"認知症" は、65才以上の10人に1人は発症すると言われるほど、高齢者に多い病気であり、日本での "アルツハイマー型認知症" の患者数は推定100万人とも言われている。
ところが、残念ながら <アルツハイマー病は、発症の仕組みは分かっていません> というのが実情であり、<症状がないか軽いうちに治療を始めることが効果的> とされ、<進行を遅くする> ことに注力されている、という。( ◆ 参照 "アルツハイマー病"発症解明へと大規模研究!医療機関サイドが"本腰を入れた"対応に!( 当誌 2013.10.08 )/65歳以上の4人に1人が認知症とその"予備軍"となる見込み! 認知症に関する基礎知識!( 当誌 2014.01.07 ) )
要するに、現状でのアルツハイマー病は、"根治" は難しく、"症状の軽減/進行の先延ばし" が焦点となっていると理解される。
こうした状況であるがゆえに、下記引用サイト記事 : ホップにアルツハイマー病を予防できる成分 - 京大などが発見/マイナビニュース/2014.01.30 が注目に値するのだと思われる。
<京都大学(京大)やサッポロビールの研究チームは1月30日、ビールの原料などで知られるホップから抽出した成分の中にアルツハイマー病の発症を抑える効果を持つものがあることを、アルツハイマー病モデルマウスを用いて確認したと発表/ 今回の研究は、そうしたアルツハイマー病の進行を予防するという観点から行われたもの/ アルツハイマー病は、脳内において産生されるアミロイドβ(Aβ)が凝集、沈着することで神経細胞死を引き起こし、記憶や学習能力の低下を招く/ Aβの産生には酵素「γセクレターゼ」が主要な役割を担っている/ γセクレターゼ活性を最も強く抑制できるものとしてホップの雌株の球花のエキス(ホップエキス)(生薬名:啤酒花)が同定された/ 主要成分:「Garcinielliptone HC」と呼ばれる物質/ アルツハイマー病モデルマウスに投与し、発症予防の効果があるかどうかの検討を行った/ ホップエキスを摂取したADマウスでは記憶・学習能力の低下が観察されたのが15カ月齢以降となり、アルツハイマー病の発症を遅らせることができることが確認された/ 18カ月齢の高齢のADマウスでは、不安行動の欠落(情緒異常)が認められたが、同エキス摂取マウスでは、そうした情緒異常は観察されなかったほか、脳内Aβの蓄積を調べた染色結果においても、同エキス摂取マウスは非摂取マウスと比較して有意にAβの沈着が減少していることが確認された/ なおサッポロビールでは、ホップエキスを含有する商品の販売を目指す> とある。
望むらくは、できるだけ早い時期に "発症メカニズム" の解明と、"根治" の治療法が開発されることであるには違いないが、現段階においては、"進行速度が抑制" できるならば十分に歓迎されるのではなかろうか......。
ホップにアルツハイマー病を予防できる成分 - 京大などが発見/マイナビニュース/2014.01.30
京都大学(京大)やサッポロビールの研究チームは1月30日、ビールの原料などで知られるホップから抽出した成分の中にアルツハイマー病の発症を抑える効果を持つものがあることを、アルツハイマー病モデルマウスを用いて確認したと発表した。
同成果は、京大大学院生命科学研究科の垣塚彰 教授、同 笹岡紀男 研究員、同薬学研究科の竹本佳司 教授らによるもの。詳細は米国科学誌「PLoS ONE」に掲載された。
社会の高齢化が進む日本において、認知症患者は年々増加することが見込まれており、その解決は重要な問題となっている。認知症の中でもアルツハイマー病は、脳内において産生されるアミロイドβ(Aβ)が凝集、沈着することで神経細胞死を引き起こし、記憶や学習能力の低下を招くと考えられている。また、Aβの産生には酵素「γセクレターゼ」が主要な役割を担っていることが知られており、阻害剤などの研究が進められている。
今回の研究は、そうしたアルツハイマー病の進行を予防するという観点から行われたもので、すでに安全性が確立されている漢方薬の原料の1つである植物エキスに着目し、その中からγセクレターゼの活性を低下させる成分を同定し、アルツハイマー病モデルマウスに投与し、発症予防の効果があるかどうかの検討を行ったという。
具体的には、簡便にγセクレターゼの活性を測定する手法として、...... ルシフェラーゼタンパク質が作り出されるという評価系を構築。...... ルシフェラーゼの活性を測定することでγセクレターゼの酵素活性を簡便に評価することを可能とした。
実際に同評価系を用いて、漢方薬の原材料を中心に約1600種類の植物エキスをスクリーニング。その結果、γセクレターゼ活性を最も強く抑制できるものとしてホップの雌株の球花のエキス(ホップエキス)(生薬名:啤酒花)が同定されたという。
ホップの雌株の球花さらに、ホップエキス中の阻害活性をもつ主要成分を精製し、その構造を調べた結果、「Garcinielliptone HC」と呼ばれる物質であることを突き止めたという。ただし、同成分はビールにはほとんど含まれていないという。
これらの成果を受けて、研究では、新たにアルツハイマー病モデルマウス(ADマウス)を作製、ホップエキス2gを1リットルの水に溶かし、アルツハイマー病発症前の若齢期から、水の代わりに自由に飲めるようにし、その後、Morrisの水迷路を用いた行動実験を実施した。その結果、ホップエキスを摂取していないADマウスでは9カ月齢から記憶・学習能力に低下がみられたが、ホップエキスを摂取したADマウスでは記憶・学習能力の低下が観察されたのが15カ月齢以降となり、アルツハイマー病の発症を遅らせることができることが確認されたという。
また、18カ月齢の高齢のADマウスでは、不安行動の欠落(情緒異常)が認められたが、同エキス摂取マウスでは、そうした情緒異常は観察されなかったほか、脳内Aβの蓄積を調べた染色結果においても、同エキス摂取マウスは非摂取マウスと比較して有意にAβの沈着が減少していることが確認されたという。
なおサッポロビールでは、今回の成果を受けて、今後、アルツハイマー病の発症および進行を予防できる製品の開発につながることが期待されるとしており、今回の成果に基づいた知財権のライセンシングを受け、従来から保有するホップ育種、加工・利用技術ならびに分析技術を生かし、ホップエキスを含有する商品の販売を目指すとしている。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
現在、さまざまな病気に関係している "たんぱく質/アミノ酸/酵素" の研究も、"遺伝子工学" などと併せて急速に進展しているようである。
したがって、"アルツハイマー病" の原因とされている "「アミロイドβ」というたんぱく質" 自体の解明が、ブレイクスルー的な駆け上がり方で進むことも存外遠くないのかもしれない...... (2014.02.04)
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