がん治療法は、"三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)に依拠してきた とされているが、医療技術の発展や研究開発の進展によって、"患者にとっての選択肢" は増えつつあるのが現状だ。
全く "新たな治療法" としての、"がん免疫療法" というアプローチも視野に入り始めた昨今だ。
◆ 参照 1.
"iPS細胞でがん免疫療法"!京大発ベンチャーが着手!いよいよ"実用化のステージ"か!( 当誌 2014.03.01 )
こうした状況で、上記の "三大療法" からも、種々の革新が加えられた "新たな治療法" が登場し、注目を浴びている。
「サイバーナイフ( CyberKnife )」という、最新医療機器を駆使したがん治療のアプローチ(「定位放射線治療」/「放射線治療ロボット」)である。
実際にメスを使って体を傷つけるのではなく、患部に細い放射線を正確に照射し、あたかもメスで切り取ったように病巣を破壊してしまうものと言われている。
その特徴としては、以下の点が挙げられている。
<【サイバーナイフの4つの特徴】
◎ 高性能 : 病変だけを狙い打つ最新の治療「病変追尾システム(TargetLocatingSystem:TLS)」
◎ 低浸襲性 : 治療のつらさ、痛みを伴わない「プラスチック製マスク」
◎ 治療自由度 : 通院での定位放射線治療が実現「分割治療」
◎ フレキシブル : 大きな病変にも対応「ロボットアーム」>( 新百合ケ丘総合病院 )
今回、注目する下記引用サイト記事 : がん治療で増える選択肢、切らずに治す「サイバーナイフ」とは?/神奈川新聞 カナロコ/2014.02.28 は、この動向について報じている。
<医療技術の進歩や研究開発により、がんの新たな治療法が開発され、患者の選択肢が広がっている/ 患者が自ら選ぶ時代に変わりつつある/ 「切らずに治すがん治療法は脳外科が源流です」。新百合ケ丘総合病院(川崎市麻生区)の笹沼仁一院長は、同病院が誇る最新鋭のエックス線治療ロボット「サイバーナイフ」の原理について、そう切り出した/ 「ナイフという名称がついているが、体にメスを入れるわけではない。近年、ニーズが増えている『切らずに直す』ための有力な装置で、保険も適用される」。サイバーナイフの基になったのは、頭頸部の病巣に放射線の一種、ガンマ線を集中的に照射し治療するガンマナイフだ/ 開頭手術による患者の身体的な負担をいかに軽減するかという考えからこの装置の導入が進んだ。脳腫瘍などの病巣をナイフで切り取るような治療法/ サイバーナイフを使った治療の効果を顕著に高めているのは、極小のがん細胞も鮮明に映し出すPET画像との融合です。それがこの治療法の生命線/ 一つ一つの線量は微量で正常な細胞をほとんど傷つけることなく病巣に達し、さまざまな角度からがん細胞に集中して攻撃する/ 切らずに治す治療はあくまで選択肢の一つ。がんの種類によっては、外科手術が最適な場合もある......どれを選ぶかは個人の判断。じっくり考えて選択するとともに、セカンドオピニオンを受けることが大切> とある。
がん治療で増える選択肢、切らずに治す「サイバーナイフ」とは?/神奈川新聞 カナロコ/2014.02.28
医療技術の進歩や研究開発により、がんの新たな治療法が開発され、患者の選択肢が広がっている。治療後の生活の質も考慮しながら、患者が自ら選ぶ時代に変わりつつある。一方、急速な高齢化に伴いがん患者も増加傾向にあり、地域社会の中でのケア、サポートが一層求められている。
「切らずに治すがん治療法は脳外科が源流です」。新百合ケ丘総合病院(川崎市麻生区)の笹沼仁一院長は、同病院が誇る最新鋭のエックス線治療ロボット「サイバーナイフ」の原理について、そう切り出した。
「ナイフという名称がついているが、体にメスを入れるわけではない。近年、ニーズが増えている『切らずに直す』ための有力な装置で、保険も適用される」。サイバーナイフの基になったのは、頭頸部の病巣に放射線の一種、ガンマ線を集中的に照射し治療するガンマナイフだ。
脳外科が専門の笹沼院長は続ける。「開頭手術による患者の身体的な負担をいかに軽減するかという考えからこの装置の導入が進んだ。脳腫瘍などの病巣をナイフで切り取るような治療法なのです」。サイバーナイフも原理は同じだという。
「この鮮明な画像から全身と局所を同時に把握する。転移や他の部位の病巣も見逃しません」。がん検診、診断の最先端機器「陽電子放射断層撮影(PET)」の画像を示しながら解説するのは、同病院放射線治療科の宮崎紳一郎サイバーナイフ治療部長だ。
「サイバーナイフを使った治療の効果を顕著に高めているのは、極小のがん細胞も鮮明に映し出すPET画像との融合です。それがこの治療法の生命線」
撮影後に宮崎部長が取り組むのは緻密な治療計画の策定だ。「どんなに医療機器が進化しても、患者と直接向き合い、患者の訴えを聞くことが何より重要」と宮崎部長。鮮明な画像データと患者との対話によって、まるでテーラーメードのように治療計画を作る。患者の個人差に配慮して最適な医療を選ぶ、いわゆる個別化医療だ。
■腫瘍の動きを追尾
サイバーナイフのロボットアームは六つの関節を持ち、1200もの角度から照射が可能。宮崎部長は患者の画像を観察し、線量の分布や照射部位の数値を割り出し、照射のターゲットを緻密に絞り込む。「一つ一つの線量は微量で正常な細胞をほとんど傷つけることなく病巣に達し、さまざまな角度からがん細胞に集中して攻撃するのです」肺などにできた腫瘍は呼吸をしただけでも移動してしまう。サイバーナイフには患者の動きを追尾するシステムが搭載されていて、患者の動きに応じ照射角度を自動修正する。
2012年8月の開院以来、この治療法を希望する患者は着実に増えているという。難治性の大きな原発性肺がんを発症した関西地方に住む70代の男性は、昨年5月に来院。治療後、3回にわたり追跡検査を行い、今年2月の検査でも悪性腫瘍は見つからなかった。
笹沼院長は「切らずに治す治療はあくまで選択肢の一つ。がんの種類によっては、外科手術が最適な場合もある。がんの治療法はここ数年で多様化しており、治療後の生活も見据えてどれを選ぶかは個人の判断。じっくり考えて選択するとともに、セカンドオピニオンを受けることが大切」と指摘している。(以下略)
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
患部に細い放射線を正確に照射するという「サイバーナイフ( CyberKnife )」とはいえども、「定位放射線治療」という "放射線" 治療であることには変わりない。その点には留意しておかなければならない。
◆ 参照 2.
<● 放射線治療は怖くないのか?
◆適切な範囲に適切な量を照射する分には必要以上に恐れることはありません。
どのような治療にも副作用や合併症はありますが、原則として、副作用の危険よりも治療によって受ける利益の方が大きいと判断される時に治療を行います。
◆副作用で比較的多いのは、一時的な吐き気や頭痛などです。また、何年かして副作用が現れることもあります。病気の種類や場所などによっても違いますので、治療を行う場合は個別に説明させて頂きます。......>( サイバーナイフセンター )
◆ 参照 3.
患者必携 国立がん研究センターがん対策情報センター/放射線のことを知る - 放射線治療の主な副作用と対策
が、ともかく "患者個人の選択肢" が拡大したことは確かであり、<セカンドオピニオンを受けることが大切> と述べられているとおり、診断や治療方針について主治医以外の医師の意見も参考にしつつ対応したいものである...... (2014.03.03)
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