ますます深刻化している "アルツハイマー病/アルツハイマー型認知症" については、当誌でも焦点を合わせ続け、報道される記事についてはその都度注目してきた。
◆ 参照 タンパク質分解酵素 "ネプリライシン" に関する記事
○ <"アルツハイマー型認知症" の "原因物質" と考えられている "アミロイドβ" を "分解" する "ネプリライシン(Neprilysin)" という、体内に備わった "酵素" の働き....../ 脳内のAβを分解するのがネプリライシンと呼ばれるタンパク質分解酵素で、加齢や症状の進行とともにネプリライシン量が低下することが知られています。アルツハイマー病の症状を緩和するため、ネプリライシン遺伝子をウイルスベクターで直接脳内に注入し、ネプリライシンの活性を増強してAβ量を減少させるという治療法があります。しかし、この方法は外科的な手術が必要であり、かつ脳全体にこの遺伝子をいき渡らせることが技術的に困難でした....../ (そこで新たに開発されたのが)活性型ネプリライシン遺伝子を導入したウイルスベクターというアプローチ......> ( "アルツハイマー型認知症"予防策の一つ!"有酸素運動"で"酵素:ネプリライシン"強化!/当誌 2014.04.01 )
ところで、報道される "研究成果" 記事は、もちろん最先端の動向を伝えるものであるため、その "新規性" に眼が奪われて、より注意が向けられるべき "基本的理解" がややもすればなおざりにならないことを警戒すべきだと心得ている。"新規性" だけでは、理解は深まらず、真に必要な判断材料にはなり得ないと思えるからだ。
そこで、今回注目する記事としては、"アルツハイマー病/アルツハイマー型認知症" の "基本構造" ―― <老化 = 異常タンパク質蓄積 = 異常タンパク質分解酵素(機能低下!)> ―― という相互関係への基本的理解を助ける、そんな解説記事に着目してみた。
下記引用サイト記事 : 老化が関連する病気 - 活性酸素が関与すると考えられている老化に関連する病態 - アルツハイマー病/Dr.Goto の老化研究所 健康長寿 は、"老化" による "ヒトの身体に引き起こす避けられない現象" を凝視しつつ、確かな筆致で "アルツハイマー病/アルツハイマー型認知症" について叙述している。
<活性酸素が関与すると考えられている老化に関連する病態 - アルツハイマー病/ アルツハイマー病は、脳の記憶中枢などの特定部域において神経細胞内外に異常タンパク質が蓄積し、その有害作用で細胞死が起こり、神経機能(特に認知機能・記憶・感情などの高次機能)が障害される病気です/ 特に神経細胞外に溜まるβアミロイド(Aβ)と呼ばれるペプチド(タンパク質)の凝集物は、組織学的に老人斑と呼ばれ(実際、脳の中に出来た微小のシミのように見えます)、鉄イオンの共存下に活性酸素(ヒドロキシラジカル) を産生して神経細胞死を引き起こすと言われています。Aβの蓄積はアルツハイマー病の原因として最も注目 ≪アミロイド仮説≫/ 老化におけるタンパク質分解活性の変化(機能低下!)/ Aβの分解に関わると考えられる酵素/ タンパク質分解酵素/ その後、理化学研究所脳科学総合研究センターの西道隆臣博士らが別の有力なAβ分解酵素ネプリライシンを発見/ このほかに神経細胞内に溜まる形態学的に神経原繊維変化と呼ばれる異常タンパク質もアルツハイマー病の発症と深く関わっていると考えられています。その実体は異常化したタウと呼ばれるタンパク質> とある。
"アルツハイマー病/アルツハイマー型認知症" は、良くも悪くも、<老化 = 異常タンパク質蓄積 = 異常タンパク質分解酵素(機能低下!)> という "トリアーデ" の "基本構造" から離れては、理解も治療もおぼつかない! と再認識させられる......。
老化が関連する病気 - 活性酸素が関与すると考えられている老化に関連する病態 - アルツハイマー病/Dr.Goto の老化研究所 健康長寿
アルツハイマー病は、脳の記憶中枢などの特定部域において神経細胞内外に異常タンパク質が蓄積し、その有害作用で細胞死が起こり、神経機能(特に認知機能・記憶・感情などの高次機能)が障害される病気です。
特に神経細胞外に溜まるβアミロイド(Aβ)と呼ばれるペプチド(タンパク質)の凝集物は、組織学的に老人斑と呼ばれ(実際、脳の中に出来た微小のシミのように見えます)、鉄イオンの共存下に活性酸素(ヒドロキシラジカル) を産生して神経細胞死を引き起こすと言われています。Aβの蓄積はアルツハイマー病の原因として最も注目され <アミロイド仮説>、種々の方法でそれを減らして病気の進行を遅らせようという試みがされています。
Aβはアミロイド前駆体タンパク質(APP)からある種のタンパク質分解酵素の働きで切り出されます。Aβが切り出される量が多かったり、分解されないで溜まってきたりして凝集して細胞毒性をあらわすことになります。 私たちは以前に老化におけるタンパク質分解活性の変化を重視した一連の研究の中でAβの分解に関わると考えられる酵素を明らかにしました (Kurochkin and Goto, Alzheimer's beta-amyloid peptide specifically interacts with and is degraded by insulin degrading enzyme.FEBS Lett. 345:33-37,1994) 。
それは従来インスリン分解酵素と呼ばれていたタンパク質分解酵素でした。その後、理化学研究所脳科学総合研究センターの西道隆臣博士らが別の有力なAβ分解酵素ネプリライシンを発見しています (Iwata et al. Identification of the major Abeta1-42-degrading catabolic pathway in brain parenchyma: suppression leads to biochemical and pathological deposition. Nature med. 6:143-150, 2000)。
このほかに神経細胞内に溜まる形態学的に神経原繊維変化と呼ばれる異常タンパク質もアルツハイマー病の発症と深く関わっていると考えられています。その実体は異常化したタウと呼ばれるタンパク質です。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
もちろん、前述の "トリアーデ" の "基本構造" の理解に踏み止まっているだけで "アルツハイマー病対策" が十分なはずはない。
ただ、<老化 = 異常タンパク質蓄積 = 異常タンパク質分解酵素(機能低下!)> という "一筋縄では行かない則!"、そしてこの足元で展開している "活性酸素" の動きを踏まえた上での究明と対策でなければ、奏功することは難しい、と見える...... (2014.04.30)
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