前回(昨日)の記事のとおり、今日では、"寿命延長/抗老化作用" といったより包括的なテーマに関する研究も進められている。(参照 "食事制限による寿命延長/抗老化作用"を進める必須の因子"NPY"(神経ペプチド)を解明!/当誌 2014.04.07 )
ところが、こうしたテーマの研究において、意外と "盲点" となってきたのが "免疫システム"(とその老化) ではなかったかと思える。
仮に、例えば "免疫老化" という現象に目が向けられた場合にも、以下のように、"老化" に伴う "免疫力低下" が "疾患発症" の原因につながるという因果関係や文脈ではなかったか。つまり、"老化" に伴って "免疫力が機能低下する" ことだけが問題視されていたと言える。
◆ 参照
○ <老化によって、病原体などに対する獲得免疫応答が著しく低下するとともに、過剰な炎症反応が引き起こされます。それにより慢性的な炎症状態が誘導され、最終的に加齢に伴う慢性炎症疾患(関節リウマチなどの自己免疫疾患)の発症増加につながると考えられています。この現象は、免疫老化と呼ばれ、免疫系の司令塔であるヘルパーT細胞の機能的な劣化が一因だと考えられていましたが、そのメカニズムは不明でした/ 山下教授らは、マウスでメニン(Menin)というたんぱく質が、ヘルパーT細胞の老化を制御する鍵分子として働くことを明らかにしました。......>( 免疫システムの老化を引き起こす仕組みを発見(愛媛大学)!迫り来る"免疫老化"の危惧!/当誌 2014.04.05 )
確かに、"老化" に伴う "免疫力の機能低下" が問題視されること自体は、間違いではない。それどころか重大な懸念材料である。"免疫機能の低下" によって、本来ならば防御されるはずの疾患が罷り通ってしまうからだ。
ところが、"免疫老化" が危惧される理由は、これだけではなさそうなのである。
"免疫システムの老化(免疫細胞の老化)" が、"免疫機能" の由々しき "誤作動" を引き起こして、その挙句に、"疾患の原因自体になり果てる!" というのである。
これは、"免疫システム" のいわば "負の働き" ということになる。それも、いわゆる "アレルギー/自己免疫疾患" とは異なった、"老化した免疫システム" ゆえの "暴走!" だと言えそうなのである。
下記引用サイト記事(同TV番組) : 人体 ミクロの大冒険 第3回 あなたを守る! 細胞が老いと戦う/NHK スペシャル/2014.04.06 - 21:00~21:49 は、こうした "老化した免疫システム" がもたらす奇異な現象を、分かりやすいコンテンツで解説していた。とりあえず、"番組紹介欄" によれば以下のようになる。
<これまで老化とは「身体のあらゆる場所が衰えること」とされていたが、最新の細胞研究は「免疫細胞の衰えがその根底にある」という事実を明らかにしつつある/ 身体を守るはずの免疫システムを指揮するT細胞という免疫細胞は思春期の始まりとともに生産がほぼ終わってしまう。そのため、年齢を重ねるにつれて能力が衰え、やがて誤作動して自らの組織を攻撃するようになり、老年病や生活習慣病といった多くの病気を引き起こす原因のひとつになっている/ こうした知見により、免疫細胞の老化そのものを防ごうとするまったく新しい老化研究がはじまっている> とある。
これは、いわば<反逆する免疫細胞!> という表現となり、一つの "宿命!" だと見なされる。
そして、この "宿命!" への挑戦に値するのが、<人口細胞:iPS細胞> の技術なのだとされる。
"番組" を観た上での補足は以下のとおりとなる。
※ この部分は、次回(明日)に持ち越すこととする。
人体 ミクロの大冒険 第3回 あなたを守る! 細胞が老いと戦う/NHK スペシャル/2014.04.06 - 21:00~21:49
これまで老化とは「身体のあらゆる場所が衰えること」とされていたが、最新の細胞研究は「免疫細胞の衰えがその根底にある」という事実を明らかにしつつある。
身体を守るはずの免疫システムを指揮するT細胞という免疫細胞は思春期の始まりとともに生産がほぼ終わってしまう。そのため、年齢を重ねるにつれて能力が衰え、やがて誤作動して自らの組織を攻撃するようになり、老年病や生活習慣病といった多くの病気を引き起こす原因のひとつになっているのだ。
こうした知見により、免疫細胞の老化そのものを防ごうとするまったく新しい老化研究がはじまっている。 シリーズ最終回となる第3回は、老化研究や再生医療の最先端研究を紹介し、細胞社会の終わりを見つめる。出演は京都大学iPS細胞研究所 所長 山中伸弥さん、劇作家・演出家・役者の野田秀樹さん、作家の阿川佐和子さん。テーマ曲はヴァイオリニストの葉加瀬太郎さん。
上記の番組は、"人類にとっての最大の懸念=老化" に対する、その "斬新な処方!挑戦!" を提起しているという点において、まさに<人口細胞:iPS細胞> 技術の真価を示すものだと思えた...... (2014.04.08)
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