"がん" は、その "再発と転移" の可能性という点で警戒されているし、最先端の "がん研究" においても、一面では鋭くそこに関心を向けている。
◆ 参照 当誌での "がん転移" 関連記事
○ <がんの転移は、さまざまな臓器の表面を覆う「上皮組織」で、隣り合う細胞同士の相互作用がうまく働かなくなると起こる/ 相互作用に関わっているとみられるのは、腎管から出るタンパク質「フィブロネクチン」で、細胞を下支え/ 正常な上皮組織では、細胞は整然と並んでいるが、転移の初期段階では、刺激が加わると、上皮はもろくいびつな形になってバラバラになる/ 高橋淑子京大教授は「このタンパク質を使い、副作用の少ないがんの転移予防法や治療法開発に役立つことが期待される」と話す......> ( "がん転移"の仕組み(フィブロネクチン)解明(京大)!副作用少ない予防/治療法開発へ!/当誌 2014.04.23 )
今回注目する記事/下記引用サイト記事 : がん細胞転移の仕組み解析 名大グループ/日本経済新聞/2014.05.02 - 10:01 は、"がん転移" に深く関わると見られる "がん細胞内 タンパク質「インテグリンベータ1」" の発現の仕組みを解析した、と報じている。
<名古屋大大学院の高橋雅英医学系研究科長(腫瘍病理学)と加藤琢哉特任助教(同)のグループは2日までに、がん細胞の集団が別の組織へ入り、がんが広がったり転移したりしていく際の詳細な仕組みを解析したと、米科学誌電子版に発表/ 集団の表面にある細胞内で、動きを制御するタンパク質の発現が促進され、隣接する内側の細胞を引っ張って動く仕組みを確認。高橋研究科長は「このタンパク質を阻害する薬など、新たな治療法の開発につながる」と/ がん細胞の集団を表面の「先導細胞」と内部の「後続細胞」に分類して調べた/ その結果、先導細胞では細胞の動きに関わるタンパク質「インテグリンベータ1」が強く発現することが判明。このタンパク質の阻害剤を加えてがん細胞を培養すると、周辺の組織への移動がみられなくなった/ インテグリンベータ1が発現するまでの仕組みも解析/ がん転移では、細胞が個別に分離して移動するケースの研究が中心になっているという。高橋研究科長は「集団移動のケースの方を研究の真正面に掲げ、仕組みの解明に努めなければいけない」と> とある。
<「このタンパク質を阻害する薬など、新たな治療法の開発につながる」> という点、<がん転移では、細胞が個別に分離して移動するケースの研究が中心になっているが「集団移動のケースの方を研究の真正面に掲げ、仕組みの解明に努めなければいけない」> という一歩踏み込んだ視点などに期待を寄せたい。
【 引用記事 】
がん細胞転移の仕組み解析 名大グループ /日本経済新聞/2014.05.02 - 10:01
名古屋大大学院の高橋雅英医学系研究科長(腫瘍病理学)と加藤琢哉特任助教(同)のグループは2日までに、がん細胞の集団が別の組織へ入り、がんが広がったり転移したりしていく際の詳細な仕組みを解析したと、米科学誌電子版に発表した。
集団の表面にある細胞内で、動きを制御するタンパク質の発現が促進され、隣接する内側の細胞を引っ張って動く仕組みを確認。高橋研究科長は「このタンパク質を阻害する薬など、新たな治療法の開発につながる」と話している。
グループは皮膚がんや口腔(こうくう)がん、子宮頸(けい)がんなどにみられるヒトの扁平(へんぺい)上皮がんを使用。がん細胞の集団を表面の「先導細胞」と内部の「後続細胞」に分類して調べた。
その結果、先導細胞では細胞の動きに関わるタンパク質「インテグリンベータ1」が強く発現することが判明。このタンパク質の阻害剤を加えてがん細胞を培養すると、周辺の組織への移動がみられなくなった。
さらに、インテグリンベータ1が発現するまでの仕組みも解析した。先導細胞は自身の外側にがん細胞がいないことを感知すると、細胞内で酵素を活性化させ、物質を結合。これによりインテグリンベータ1の発現が促進されていた。
遺伝子操作により、結合される物質を抑えたがん細胞を作製し、マウスの舌に移植して実験すると、リンパ節への転移率が通常の75%から10~20%程度まで抑制された。
がん転移では、細胞が個別に分離して移動するケースの研究が中心になっているという。高橋研究科長は「集団移動のケースの方を研究の真正面に掲げ、仕組みの解明に努めなければいけない」と話している。〔共同〕
"執拗な勢力拡大!" 志向を秘めていると見なさざるを得ない "がん細胞" ゆえに、"転移と再発" につながる可能性潰しのためには、あらゆる角度からの解析が望まれる...... (2014.05.03)
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