"がん" や "アルツハイマー病" などの治療/予防に効果的な薬の開発が、新規プロジェクトであれば時間も経費も莫大なものとなろうことは容易に想像できる。
そこで着目されているのが、既に開発済みで認可もなされている "既存薬" が、当初、ターゲットとされていた病気に加えて、"がん" や "アルツハイマー病" などに対しても "効果あり" と発見されたケースである。
このメリットは、言うまでもなく、"安価な薬" が直ちに可能となるという点であるに違いない。 そんなケースはあるのか? と信じられないかもしれないが、実例が報じられている
◆ 参照 当誌過去の "既存薬" 関連記事
(1) <シロスタゾールを内服していた患者では年間の認知機能低下が有意に抑制されていることが分かりました。シロスタゾールを内服していた患者では、特に記憶の再生や自分の置かれている状況を正確に把握する能力(見当識)の低下が阻止されていました/ シロスタゾールがアルツハイマー病のような神経変性症にも有効である可能性を示唆している> ( (再) 脳梗塞予防の既存薬「シロスタゾール」!アルツハイマー型認知症の進行を抑制!/当誌 2014.03.12 )
(2) <血液が固まるのを防ぎ、脳梗塞予防などに用いられる薬「シロスタゾール」に、認知症の進行を抑える効果のあることが、国立循環器病研究センターなどの研究で分かった> ( アルツハイマー型認知症の進行を既存薬(脳梗塞予防薬「シロスタゾール」)内服で抑制!/当誌 2014.02.28 )
(3) <慶応義塾大学の佐谷秀行教授と永野修講師らは、がんを生む親玉とされる「がん幹細胞」をたたく新薬候補の作用を胃がん患者の臨床研究で確かめた。大腸炎の治療に使う薬の成分をがんにも応用したところ、数人の患者でがん幹細胞が減ったという。抗がん剤や放射線が効かず、再発や転移の元凶といわれてきたが、攻略の糸口をようやくつかんだ。数年内にもがんの根治につながる薬の実用化を目指す/ 研究に使うのは「スルファサラジン」という成分......> ( "がん幹細胞"をたたく"新薬"候補!"身近な薬"="スルファサラジン"の臨床研究:慶応大!/当誌 2013.10.02 )
そして、今回注目する下記引用サイト記事 : アスピリン常用 膵臓がん予防に一役/SankeiBiz/2014.07.02 - 05:00 は、"膵臓(すいぞう)がん" への予防効果あり、と目される "アスピリン" に関する研究成果なのである。
<アスピリンを日常的に服用することで、膵臓(すいぞう)がんのリスクを半分に減らせるという研究報告が、米国がん学会(AACR)が発行する医学誌「がん疫学、生体指標と予防」に発表された。膵臓がんは、悪性腫瘍の中で最も死亡率が高いものの一つとされるが、この予防に安価な薬が役立つ可能性が出てきた/ 研究報告によると、心臓病の予防に約75~325ミリグラムの低用量のアスピリンを毎日服用した人は、膵臓がんのリスクが48%低くなったという。また、アスピリンを定期的に10年間服用した場合、リスクは60%まで下がった/ アスピリンは、常用することで大腸がんや、食道がん、肺がん、前立腺がんのリスクを減らせることがさまざまな研究で報告されており、心臓発作や脳卒中のリスクを減らすために処方される薬の定番でもある。膵臓がんは、成人の60人に1人が発症するとされており、5年生存率は5%にも満たない。そのため、膵臓がんの予防方法の発見は「極めて重要」だと、論文の上席著者であるイェール大学のハービー・リッシュ教授(疫学専攻)は述べた/ 「家族にがんを患ったことのある人がいたり、遺伝子検査を受けたりして、膵臓がんのリスクが高いとわかった人にとって、アスピリンの服用はがんのリスクを減らす手段の一つとして有効であるかもしれない」と同教授は話した/ リッシュ教授は、がん発症のメカニズムが不明なため、アスピリンがどのような働きをしているのかはわからないという。ただ、アスピリンの炎症を抑える効果が、がんのリスクを減らしている可能性があるそうだ/ しかし、膵臓がんの予防効果があるからといって、誰もがアスピリンを服用すべきだということではない。アスピリンには消化管出血などの副作用もあるからだ> とある。
当記事の中でも、<アスピリンは、常用することで大腸がんや、食道がん、肺がん、前立腺がんのリスクを減らせることがさまざまな研究で報告されており、心臓発作や脳卒中のリスクを減らすために処方される薬の定番でもある> と述べられているわけだが、ここに来て、さらに "膵臓がんへの予防効果" が追加された格好となる。
アスピリン常用 膵臓がん予防に一役/SankeiBiz/2014.07.02 - 05:00
アスピリンを日常的に服用することで、膵臓(すいぞう)がんのリスクを半分に減らせるという研究報告が、米国がん学会(AACR)が発行する医学誌「がん疫学、生体指標と予防」に発表された。膵臓がんは、悪性腫瘍の中で最も死亡率が高いものの一つとされるが、この予防に安価な薬が役立つ可能性が出てきた。
研究報告によると、心臓病の予防に約75~325ミリグラムの低用量のアスピリンを毎日服用した人は、膵臓がんのリスクが48%低くなったという。また、アスピリンを定期的に10年間服用した場合、リスクは60%まで下がった。
アスピリンは、常用することで大腸がんや、食道がん、肺がん、前立腺がんのリスクを減らせることがさまざまな研究で報告されており、心臓発作や脳卒中のリスクを減らすために処方される薬の定番でもある。膵臓がんは、成人の60人に1人が発症するとされており、5年生存率は5%にも満たない。そのため、膵臓がんの予防方法の発見は「極めて重要」だと、論文の上席著者であるイェール大学のハービー・リッシュ教授(疫学専攻)は述べた。
「家族にがんを患ったことのある人がいたり、遺伝子検査を受けたりして、膵臓がんのリスクが高いとわかった人にとって、アスピリンの服用はがんのリスクを減らす手段の一つとして有効であるかもしれない」と同教授は話した。
米国立がん研究所(NCI)によると、米国の最も多い悪性腫瘍ランキングで、膵臓がんは新規症例としては10位だが、死亡率という点では4位に入る。米国では、今年4万6000人以上が新たに膵臓がんと診断され、約4万人がこの病気で死亡するとされている。
リッシュ教授は、がん発症のメカニズムが不明なため、アスピリンがどのような働きをしているのかはわからないという。ただ、アスピリンの炎症を抑える効果が、がんのリスクを減らしている可能性があるそうだ。
しかし、膵臓がんの予防効果があるからといって、誰もがアスピリンを服用すべきだということではない。アスピリンには消化管出血などの副作用もあるからだ。
コネティカット州の病院の患者らを対象にした研究では、低用量のアスピリンと、通常用量のアスピリンを毎日服用したグループの両方で、膵臓がんのリスクが減った。しかし、低用量を服用し続けた人々の方が、リスクを抑える効果は大きかった。また、アスピリンの服用期間が長いほど、膵臓がんを予防する効果も大きかったという。(ブルームバーグ Nicole Ostrow)
ここでもまた、注意すべきは思い込みに基づく "素人療法" なのであろう。
記事中にも、<しかし、膵臓がんの予防効果があるからといって、誰もがアスピリンを服用すべきだということではない。アスピリンには消化管出血などの副作用もあるからだ> という軽視できない "注意書き" がある。
前記の "シロスタゾール" と同様に、"アスピリン" の作用のひとつにも "血液サラサラ効果" があると言われているため、恐らく、出血時に機能されるべき "血液凝固" 作用が滞るからなのかもしれない...... (2014.07.03)
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