病気や人の生命に関わるシビァな事象の調査数字は、額面どおり受け留めるべきではないかと思える。
そんな調査数字で、最近、注目せざるを得なかったのが、<認知症:仮設暮らし リスク1.3倍!> であった。
つまり、<東日本大震災後の仮設住宅での暮らしが、高齢者の認知症リスクを1・3倍高める可能性がある> という調査数字のことだ。
◆ 参照 1.
○ <東日本大震災後の仮設住宅での暮らしが、高齢者の認知症リスクを1・3倍高める可能性があることが、東北大の古川勝敏准教授(老年医学)の研究グループの調査でわかった/ 震災で家族を亡くしたり、外出や運動の機会が減ったりしたことが影響している/ 仮設住宅に暮らす65歳以上の700人を対象に、物忘れの度合いを検査/ その結果、36%にあたる252人に記憶力や判断力、計算力などの低下がみられ、「認知症か認知症予備軍の可能性がある」と判断/ 国内の認知症患者は、予備軍を合わせると高齢者の28%で、仮設住民に占める割合の方が上回っていた>( 認知症:仮設暮らし リスク1.3倍!/認知症:「本人の努力次第」(自己責任論)ではない!/当誌 2014.03.06 ) )
ここでは、"認知症" 発症の原因の一般論を振りまわす遠回りよりも、<震災で家族を亡くしたり、外出や運動の機会が減ったりしたことが影響している> と "洞察" することの方が妥当ではなかろうか。
いや、そうした "洞察" ―― 状況直視と人間的想像力とに基づく洞察 ―― こそが、"脳、心" に関わる病気にあっては重視されて正解だと思える。
そして、ことほど左様に、下記引用サイト記事 : 自殺者減少も震災関連は増加/NHK NEWS WEB/2014.03.13 - 11:48 が報じる "被災者の自殺" についても、もっと "現状への斟酌" ―― 状況直視と人間的想像力とに基づく洞察 ―― が必要なのではなかろうか......。
<去年1年間に自殺した人は、前の年より575人減り、2年連続で3万人を下回りましたが、東日本大震災に関連する自殺は前の年より増えたことが分かりました/ 東日本大震災が影響したとみられる自殺は38人で、おととしより14人増加/ 福島県が10人増加して23人、宮城県が7人増えて10人、岩手県が4人減って4人、京都府では福島県から避難していた1人が自殺> とある。
これに対し、<内閣府は、被災者の孤立を防止するとともに、避難先などでの心のケアの取り組みを引き続き進めたいとしています> とあるのは、そうあって欲しいと思うが、より切望したいのは、"将来にわたっての故郷の地に関する展望!" ではないかと思えてならない。被災高齢者たちが、心折れずに歩を進められる源は、"故郷の地の復興と永続!" 以外ではない、と思えるのだ......。
◆ 参照 2.
○ <いろいろな思いを禁じえないが、ちょうど昨夜観たTV番組 ( NHKスペシャル『無人の町の"じじい部隊"』2014年3月7日 午後10時00分~10時49分) で触発された印象 ―― 一言では表現できないのだが、心折れずに歩を進める......とでも言おうか ―― をとにかく心に留めておこうかと......>( 東日本大震災の被災3県 心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患今なお増加傾向!/当誌 2014.03.09 ) )
社会一般: 2014年3月 アーカイブ
"認知症" の予防/治療には、医学的観点を基軸にしながらも、さまざまな分野からのアプローチが欠かせないようである。
先日も、"記憶と嗅覚" という視点に依拠した "アロマセラピー" という治療法について注目してみた。
◆ 参照 アロマセラピー!"香りの力"で認知症を予防する!アルツハイマー型認知症と嗅覚障害!( 当誌 2011.00.00 )
今回は、少なからず重要な意味を持つはずの "社会的な側面" の問題/課題に注目してみようと思う。
下記引用サイト記事 1 : 仮設暮らし 認知症リスク増 ... 東北大調査/読売新聞 - yomiDr./2014.03.05 は、まさに "認知症" の "社会的な側面" を裏書きしているのだと思われる。
"認知症" が、決して、"個々人の身体的状態" のみで説明し尽くされる病気ではないことを、説得力を持って示された実証数値ではなかろうか。
<東日本大震災後の仮設住宅での暮らしが、高齢者の認知症リスクを1・3倍高める可能性があることが、東北大の古川勝敏准教授(老年医学)の研究グループの調査でわかった/ 震災で家族を亡くしたり、外出や運動の機会が減ったりしたことが影響している/ 仮設住宅に暮らす65歳以上の700人を対象に、物忘れの度合いを検査/ その結果、36%にあたる252人に記憶力や判断力、計算力などの低下がみられ、「認知症か認知症予備軍の可能性がある」と判断/ 国内の認知症患者は、予備軍を合わせると高齢者の28%で、仮設住民に占める割合の方が上回っていた> とある。
また、下記引用サイト記事 2 : 認知症を考える (11)「本人の努力次第」ではない (斎藤正彦、都立松沢病院院長)/読売新聞 - yomiDr./2014.03.02 は、"認知症" を専門的な精神医の眼から見ると、<「本人の努力次第」> で回避できる病気ではない! という点が、説得力あるかたちで平易に語られている。
<現在、認知症の原因疾患を確実に予防する方法はありませんが、血管を含む循環器の健康が、認知症発症のリスクを下げるということはかなり確実/ ただし、健康に注意している人でも、遺伝的な要因など、自分の努力では制御できない理由で、いろいろな病気になることを防ぐことはできません。まして、認知症について言えば、長生きこそが最大のリスクなのです/ 予防への熱意は、裏を返せば、私たち国民の心の中にある認知症への恐怖です。これを医療、介護に関わる経済負担を軽減したい行政的意図があおり立てると、国を挙げての認知症予防フィーバーが起こります。こういう風潮は、認知症になるのは予防を怠ったからだといった自己責任論に結びつきかねません/ 高齢になって健康を維持できるかどうかは、本人の努力だけで決まるものではありません。運悪く病気になった人を、みんなで、快く支え合う社会であってほしいと私は思います> とある。
人間は "社会的動物" であるのだから、人間の人間たる秀でた特徴としての "意識/精神" が病む("認知症")ことの原因として、"社会的な側面" の問題/課題を考慮しないというのは、やはりムリがあるのだと思われる......。
"認知症" の予防/治療には、"社会的な側面" の問題/課題が十分に組み込まれるべきだと思えてならない。
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