国の財政もそうなら、個人の家計においても "医療費" の重圧がのしかかっている。"診断/治療" の費用もさることながら、"医薬品" 価格も馬鹿にならない。
そんな状況にあって、より価格の安い "後発医薬品(ジェネリック医薬品)" の提供は好ましい事柄であった。いわば、"医薬品" 価格の "値下げ" にも匹敵するからである。
かつて、このブログでも以下のようなことを書いたことがある。
< "介護・医療" 関連製品の価格はもっと "お手頃" にならないものだろうか?
先ずひとつ目は "医薬品" の価格についてである。
昨日、持病の定期診断に行き、いつものとおり病院近くの薬品店で3ヶ月分の薬を購入してきた。その時、とある貼り紙が目に付いた。そこには、
「低価格の "ジェネリック" 医薬品がご提供できる場合がありますので、薬剤師にご相談下さい。」
というようなことが書かれてあった。
さっそく、自分が購入するクスリにそうしたものが出ていればそれで間に合わそうと思い、訊ねてみた。だが、「まだこのクスリについては発売されていませんね」というつれない返答が返ってきた。何だ "お触れ" だけのことかとがっかり......。
"ジェネリック" 医薬品とは、特許によって保護された初発の医薬品の特許期間が過ぎることで、後発の製薬会社が同種類の医薬品を製造・出荷することが可能となり、研究開発費分が上乗せされない分、販売価格が安くなるそんな医薬品のことである。
製薬会社にとっては、特許料が無くなることや、競合が無いことによる "独占的" 価格設定のメリットがなくなることで旨味がなくなるのだろうが、医薬品のユーザー側にとっては有難いことだと言うべきであろう。......>( 問題深まる高齢化社会!/"医薬品・介護用品"などの"価格お手頃化"にも傾注すべし( 当誌 2010.08.30 ) )
この低価格の "ジェネリック" 医薬品は、当然のことながらその使用が増加しているとのことだ。
ところが、ひとつ気になる問題があるとされる。
下記引用サイト記事:後発医薬品の普及進むも薬剤師説明不足/NHK NEWS WEB/2013.01.06 によれば、
<その一方で、薬をもらう際、後発医薬品について説明を受ける機会が増えたかどうか尋ねたところ、46%の人が「以前と変わらず説明されていない」と答え、文書を渡されるだけで薬剤師から積極的な説明はされていない>というのである。
この叙述からは、今一状況がよく見えてこない。
医師が処方した "医薬品" に、低価格の "ジェネリック" 医薬品が出ているにもかかわらず、従来の "割高" の "医薬品" を出していると読めないこともない......。
"医薬品" の処方は医師が行うものであるため、多分、そうではなくて、新しく処方され直した "ジェネリック" 医薬品についての<積極的な説明>がなされない、ということなのであろう。
それにしても、いくら "収益率が下がった(?)" からといって、"説明省略" というのは "あからさまに過ぎる" と感じる。
したがって、どうも患者側から "( "ジェネリック" 医薬品についての)説明が聴きたい!" と要望するほかなさそうだ。
まして、冒頭のわたしの経験のように、<「低価格の "ジェネリック" 医薬品がご提供できる場合がありますので、薬剤師にご相談下さい。」> という点についても確かめてみても損はない。
"医療" ジャンルであろうが、ビジネスで行われている以上は "収益" が目指され、そして "収益至上主義" に陥る可能性もあること、そんなことを読み込んだ "賢い" 患者となって然るべきだと思われる......。
後発医薬品の普及進むも薬剤師説明不足/NHK NEWS WEB/2013.01.06
価格が安い「後発医薬品」を使ったことがある人は、患者が使いやすいよう診療報酬が改定された去年4月以降増える傾向にある一方で、薬を受け取る際に薬剤師から説明を受けていない人が半数近くに上るという調査結果がまとまりました。
この調査は製薬会社の「沢井製薬」が去年10月、過去3か月以内に薬の処方を受けた全国の30代から60代の400人を対象にインターネットを通じて行いました。
後発医薬品は「ジェネリック医薬品」とも呼ばれ、成分が同じで価格が安い薬ですが、医療費を抑えるため、国は去年4月、処方箋の形式を変えたり調剤薬局で詳しい説明文書を渡したりして、患者が選びやすくなるよう診療報酬を改定しました。
調査によりますと、「これまでに使ったことがある」と答えた人は50%を超えていて、中でも4月以降に初めて使った人は14%と、改定をきっかけに利用が広がっていることが分かりました。
その一方で、薬をもらう際、後発医薬品について説明を受ける機会が増えたかどうか尋ねたところ、46%の人が「以前と変わらず説明されていない」と答え、文書を渡されるだけで薬剤師から積極的な説明はされていないことがうかがえます。
東京都薬剤師会の山本信夫会長は「説明のしかたにもっと工夫が必要だ。薬剤師は安さだけでなく、安全性や効果を分かりやすく説明する努力をしなればいけない」と話しています。
低価格の "ジェネリック" 医薬品の登場の裏には、製薬企業の経営にとって苦しい "特許収入の激減" という事実があるようだ。
【 参照 】 <......"2010年問題"と呼ばれる危機だ。製薬各社が収入源としてきた「主力商品の特許」が、今年に入って軒並み切れる。そのため、製薬企業の特許収入は激減し、新薬開発に必要な巨額の資金が手当できなくなる恐れが強まっているのだ。......>( "2010年問題"と「新薬が生まれない」というシビァな事情( 当誌 2010.04.12 ) )
つまり、低価格の "ジェネリック" 医薬品は、患者側にとっては喜ばしいことでありながら、とかく "波風" 無しとはしない文脈にあるのかもしれない。
だからこそ、その普及のためには関係者たちの "積極的な対応" が求められるというわけなのだろう...... (2013.01.13)
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