相変わらず、"アベノミクス" に絡む "円安/株高" 現象に一喜一憂する風潮が続いている。端的に言って、それらの現象の推移は、一体、"日本経済" の回復にいかほどの効果があると言うのだろうか。
それも、"後戻りしない回復" という観点で見るならば、はなはだ心もとない、と思える。たとえば、"為替相場" もマネーゲームの結果でしかないのだから、海外の "ヘッジファンド" が、再び "円買い" に走る公算も当然想定しなければならないはずではなかろうか......。"元の黙阿弥" となる可能性も皆無ではないはずだ。一国の経済の舵取りが、そんな "時の運" に身をやつしていて大丈夫なのか?
日本では、一貫して、"株価変動" の判断材料として "失業率" の変動が顧みられない慣行が続いているが、米国では、"雇用創出" 問題と併せてこれらへの関心が強いと言う。
言うまでもなく、"失業/雇用創出" 問題の好転が "経済活性化" を力強く推進するはずなのだから、米国の読みの方が理に叶っている。
したがって、景気回復を観測するこの時期に目配りが欠かせないのは、"失業/雇用創出" 問題だと思われる。
◆ 参照 勝手に期待していては危ない"アベノミクス"!生活に直結する"雇用・賃金"の行方は?( 当誌 2013.02.15 )
◆ 参照 "円安・株上昇"あれど不況脱出は程遠い!失業率悪化!新規雇用生む気配ない景気現状!( 当誌 2013.02.02 )
そこで、"失業問題" を、"孤立無業" の問題として捉え直して警鐘を鳴らしている、下記引用サイト記事:孤立無業の働き盛り162万人 5年で4割増、就職難響く/【共同通信】/2013.02.17 に目を向けてみることにした。
ちなみに、現時点での日本の"失業問題" の状態は以下のとおりだ。
<【完全失業者】 ・完全失業者数は259万人。前年同月に比べ17万人の減少。31か月連続の減少。
【完全失業率】・完全失業率(季節調整値)は4.2%。前月に比べ0.1ポイントの上昇......>( 労働力調査(基本集計)平成24年12月分(速報)/総務省統計局/平成25年02月01日 )
< 総務省が(2012年9月)28日発表した8月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント改善し、4.2%となった。2カ月ぶりの改善だが、職探しをあきらめた失業者の増加が主因とみられ、雇用環境が回復したとは言い難い。...... 完全失業者(季節調整値)は272万人で、前月に比べ10万人減少した。一方で職探しをしていない非労働力人口は4563万人と20万人増えた。総務省は「労働市場から退出する動きがあったようだ」と分析する。......>( 失業率4.2%に改善 8月、雇用情勢なお厳しく/日本経済新聞/2012.09.28 )
下記の記事でやはり注目すべきは、<20~59歳の働き盛りで未婚、無職の男女のうち、社会と接点がない「孤立無業者」> という記述であり、さらに<「孤立に陥ると職探しへの意欲が失われがちだ。今は家族が支えても将来、経済的に厳しい状況に陥る」> という点であろうと思われる。
とかく、<職探しをあきらめた失業者の増加/ 労働市場から退出する動き> が潜伏しているとは指摘されながらも手が打たれていないのが実情のようである。
そして、これらの問題の足元には、社会的に "孤立" し続けるという切なくも哀しい実態が横たわっているというわけなのだ......。
孤立無業の働き盛り162万人 5年で4割増、就職難響く/【共同通信】/2013.02.17
20~59歳の働き盛りで未婚、無職の男女のうち、社会と接点がない「孤立無業者」が2011年時点で162万人に上るとの調査結果を、玄田有史・東大教授のグループが17日までにまとめた。景気低迷に伴う就職難やリストラなどが響き、06年(112万人)と比べて4割強増えた。
職探し中の孤立無業者は半数にとどまり、事態改善に向けた動きは鈍い。玄田教授は「孤立に陥ると職探しへの意欲が失われがちだ。今は家族が支えても将来、経済的に厳しい状況に陥る」と指摘。生活保護費など社会保障費の増加を抑えるためにも、訪問支援など政府や自治体による対策が急務だと訴えている。
政府が企業に対して、"賃上げ" や "雇用促進" をお願い(?)するくらいで、これらの"失業/雇用創出" 問題が解決されるのであれば、こんなに深刻な問題は生じていないはずだ。
"日本経済" の回復という課題の試金石は、"失業/雇用創出" 問題の改善以外にあり得ず、また "デフレ解消" 自体も、この問題を放置したままでは到底成就するとは思えないのであるが...... (2013.02.19)
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