"脳内免疫細胞"が自閉症や強迫性障害(OCD)で懸念される"社会的行動の形成"を助ける!

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 "社会的行動" の欠落を特徴とする "自閉症や強迫性障害(OCD)" は、生活環境に起因するというよりも、いわゆる "発達障害" ではないかと判断されていることは知られている。

 <医学的意味の水準での "自閉症" とは、未解明の部分を多々残しているものの、<社会性や他者とのコミュニケーション能力に困難が生じる障害の一種。先天性の脳機能障害とされ......一般的には、発達障害の一種である......>( ウィキペディア/自閉症 )と見なされている>( 世界初!自閉症の新たな治療につながる可能性!オキシトシン点鼻剤で障害改善を実証!( 当誌 2013.12.21 )

 ただ、この "発達障害" がどのような経過で生じるのかについては、研究途上にあるようだ。

 以下の参照記事などからは、最近の研究/治療では、"遺伝子" や "一種のホルモン" が注目されていることが分かる。

 ◆ "遺伝子" に着眼する研究
 <発達障害の一つである自閉症を研究する自治医大の桃井真里子主任教授(小児科学)の研究チームは5日までに、脳内の神経伝達物質の代謝に関わる自閉症の新たな原因遺伝子を特定した。日米の患者約300人のDNAを解析した結果、GPR37」と呼ばれる遺伝子が10人で変異していることを発見、この変異が細胞機能に悪影響を与えることを突き止めた。>( 自閉症の原因遺伝子(GPR37)特定される!虐待や過保護による「母原病」なぞではない!( 当誌 2013.01.07 )

 ◆ "一種のホルモン" に着眼する研究
 <(東京大学のグループは)ホルモンの一種であるオキシトシンスプレーによって鼻から吸入することで、自閉症スペクトラム障害において元来低下していた内側前頭前野 と呼ばれる脳の部位の活動が活性化され、それと共に対人コミュニケーションの障害が改善されることを世界で初めて示しました>( 世界初!自閉症の新たな治療につながる可能性!オキシトシン点鼻剤で障害改善を実証!( 当誌 2013.12.21 )

 だが、"発達障害" と目されるからには、個体の "発達過程"(成長過程)にメスが入れられるべきかと考えられる。

 この点で、注目されるのが個体の "発達過程"で、"脳内の神経回路" で発生している "シナプス刈り込み" という現象である。

 <生後間もない動物の脳には過剰な神経結合(シナプス)が存在するが、生後の発達過程において、必要な結合だけが強められ、不要な結合は除去されて、成熟した機能的な神経回路が完成する。この過程は「シナプス刈り込み」と呼ばれており、生後発達期の神経回路に見られる普遍的な現象であると考えられている。自閉症やADHD(注意欠陥多動性障害)などの発達障害において、発達期のシナプス刈り込みの異常が関係すると考えられている......>( 小脳のシナプス刈り込みの仕組み解明/東京大学/2009.07.17

 今回、着目したい記事はこの点( シナプス刈り込みの異常! )に関係している。

 下記引用サイト記事脳内免疫細胞が社会的行動の形成を助ける Brain immune cells help shape social behavior/natureasia.com/2014.02.03 がそれである。
 この、発達期のシナプス刈り込み時における異常が、"脳内免疫細胞/ミクログリア(小膠細胞)" の "不十分な働き" から引き起こされている、のではないかというのである。しかも、ここに "ミクログリア(小膠細胞)" という "脳内免疫細胞" が関わっている ( 悪さをしているのではなく、"働きが不十分!" だという点で ) と。

 <発生過程におけるシナプス刈り込みミクログリア(小膠細胞)の介助によるこれら細胞は脳にある非神経細胞で、免疫応答にその機能を持つ。これまでの研究で、ミクログリアが低下しているマウスは学習や記憶に欠陥があることが示されている/ 遺伝的に改変して脳内のミクログリアの数を一時的に減少させたマウスを研究/ このマウスでは、他のマウスとの社会的接触の減少と同時に、毛づくろい行動の増加が見られ、OCDや自閉症スペクトラム疾患のような疾患に見られる繰り返し行動との類似が示唆される/ 脳試料を調べ、これらマウスではシナプス刈り込みが不十分で、認知および社会的行動に関わる2つの脳領域である海馬と前頭前野との間の機能する接続が減少していることを示した> とある。

 脳内免疫細胞が社会的行動の形成を助ける Brain immune cells help shape social behavior/natureasia.com/2014.02.03

 マウスでは、ニューロン間の過剰な接続の削除に関わる初期発生過程の欠陥は、社会的行動の変化を伴う。今週号に掲載されるこの報告は、社会的行動の神経生物学に新たな光を投げかけ、自閉症や強迫性障害(OCD)における社会的欠陥の理解を深める可能性がある。

 発生過程におけるシナプス刈り込みミクログリア(小膠細胞)の介助によるこれら細胞は脳にある非神経細胞で、免疫応答にその機能を持つ。これまでの研究で、ミクログリアが低下しているマウスは学習や記憶に欠陥があることが示されている。これらの発見は、多くの精神医学疾患の症状である社会的行動や認知行動に生じる変化は、ニューロン間の接続が発生過程で変化したために起こるという考えを支持するものである。

 Cornelius Grossたちは、遺伝的に改変して脳内のミクログリアの数を一時的に減少させたマウスを研究した。このマウスでは、他のマウスとの社会的接触の減少と同時に、毛づくろい行動の増加が見られ、OCDや自閉症スペクトラム疾患のような疾患に見られる繰り返し行動との類似が示唆される。またGrossらは脳試料を調べ、これらマウスではシナプス刈り込みが不十分で、認知および社会的行動に関わる2つの脳領域である海馬と前頭前野との間の機能する接続が減少していることを示した。

DOI:10.1038/nn.3641 | 英語の原文


 最近の医学研究分野では、"遺伝子(操作)" 関連とともに、いわゆる "免疫細胞" に関する先端的な研究が盛んに進められている。
 そして、"神経細胞ニューロン" 間のネットワークを果たす "シナプス" にまで "免疫細胞" が少なからぬ影響を及ぼしているという事実には驚くばかりだ。
 とともに、"免疫細胞" の範疇で重要な働きをしつつ、まだまだ未解明とされているさまざまな "情報伝達分子" の働きが解明される過程で、今後、さらに驚くべき未知の扉が開かれるのではないかと...... (2014.02.06)













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