<65歳以上の認知症の有病率は15%>( 下記引用サイト記事 : 認知症高齢者、462万人の衝撃~薬治療でも改善困難、重い経済的負担/Business Journal/2014.01.28 )とは、単純に言い換えると、"65歳以上の高齢者の七人に一人は認知症!" だということになる。
"二人に一人はがんを罹患" の比率に比べれば低いものの、もはや "認知症" は高齢者にとって決してめずらしい病気とは言えなくなった、ということになる。
こうした推移を想定せざるを得なかっただけに、当誌でも、"認知症" 関連記事をフォローし続けてきた。
【 "認知症" に関する最近の当誌記事 】
◆ 参照 1.
○ 認知症:仮設暮らし リスク1.3倍!/認知症:「本人の努力次第」(自己責任論)ではない!( 当誌 2014.03.06 )
◆ 参照 2.
○ アロマセラピー!"香りの力"で認知症を予防する!アルツハイマー型認知症と嗅覚障害!( 当誌 2014.03.04 )
◆ 参照 3.
○ アルツハイマー型認知症の進行を既存薬(脳梗塞予防薬「シロスタゾール」)内服で抑制!( 当誌 2014.02.28 )
◆ 参照 4.
○ 65歳以上の4人に1人が認知症とその"予備軍"となる見込み! 認知症に関する基礎知識!( 当誌 2014.01.07 )
だが、浸水のごとくジワジワと足元に迫ってくる現状の動向に気づく時、一つ思い当たることは、"今後に向けられた新治療法(新しい研究成果)" への関心とともに、"現状の治療状況" にも十分に目を向ける必要がある! という点である。
すでに、"高齢者介護" という課題については、"老々介護" という厳しさに加えて<十代や二十代の若者が介護の担い手となる「ヤングケアラー」の問題が浮かび上がってきた>( <セカンドライフ>増える「ヤングケアラー」10代・20代が介護/東京新聞/2014.03.05 )ことも憂慮され始めている。
今回注目する記事は、こうした "切迫した動向" において "避けられない課題" の一つとしての "対症療法" = "薬治療" の現実に関するものである。
下記引用サイト記事 : 認知症高齢者、462万人の衝撃~薬治療でも改善困難、重い経済的負担/Business Journal/2014.01.28 は、その典型的な問題を取り上げている。
<認知症の中で最も多いとされるのが、アルツハイマー病です。アルツハイマー病は、記憶と関係が深い海馬という脳の一部と、その周辺の萎縮が早期から見られます。必ず表れる症状として、もの忘れ、判断力の低下など、中核症状と呼ばれるものがありますが、現在はその症状の進行を遅らせる薬による治療が主流/ いくつかある薬の中で最も多く処方されているのは、エーザイの「アリセプト」/ アリセプトは3mgから服用を開始し、1〜2週間で5mgへ増量します。3mgでは基本的には効果はなく、吐き気や軟便などの消化器症状の副作用に慣れるための服用となります。さらに症状が進行した場合、10mgの服用へと移行していきます。アリセプトは服用開始後、効果がみられるまで3カ月ほどかかる/ あくまでも、認知機能を改善するものではなく、症状の進行を遅らせるもの/ アリセプト5mgの薬価は356円で1日1回1錠、保険も適用されるため月額数千円とはいえ、毎日、しかも将来にわたって服用し続けなければならないことを考えると、経済的負担は決して軽いとはいえない価格です。「なかなか効果を感じられない」「お金がかかる」といったことから、ご家族による服用中止というケースも少なくありません。しかし、6週間服用を中止すると、進行を遅らせていた症状が、何も治療しない場合の状態へと一気に悪化してしまうことがあります。素人判断で服用を中止することは取り返しのつかないことになりかねません> とある。
◆ 参照
製品例:アリセプト( 一般名:ドネペジル塩酸塩 )
【 引用記事 】
認知症高齢者、462万人の衝撃~薬治療でも改善困難、重い経済的負担/Business Journal/2014.01.28
昨年6月に厚生労働省が発表した「認知症有病率等調査」によると、65歳以上の認知症の有病率は15%、全国の認知症高齢者数は約462万人と推計されています。また、予備軍も約400万人いるといわれています。(中略)
認知症の中で最も多いとされるのが、アルツハイマー病です。アルツハイマー病は、記憶と関係が深い海馬という脳の一部と、その周辺の萎縮が早期から見られます。必ず表れる症状として、もの忘れ、判断力の低下など、中核症状と呼ばれるものがありますが、現在はその症状の進行を遅らせる薬による治療が主流となっています。
● 服用を中止すると、一気に悪化の危険
いくつかある薬の中で最も多く処方されているのは、エーザイの「アリセプト」です。アリセプトは3mgから服用を開始し、1〜2週間で5mgへ増量します。3mgでは基本的には効果はなく、吐き気や軟便などの消化器症状の副作用に慣れるための服用となります。さらに症状が進行した場合、10mgの服用へと移行していきます。アリセプトは服用開始後、効果がみられるまで3カ月ほどかかるといわれています。
あくまでも、認知機能を改善するものではなく、症状の進行を遅らせるものです。
アリセプト5mgの薬価は356円で1日1回1錠、保険も適用されるため月額数千円とはいえ、毎日、しかも将来にわたって服用し続けなければならないことを考えると、経済的負担は決して軽いとはいえない価格です。「なかなか効果を感じられない」「お金がかかる」といったことから、ご家族による服用中止というケースも少なくありません。しかし、6週間服用を中止すると、進行を遅らせていた症状が、何も治療しない場合の状態へと一気に悪化してしまうことがあります。素人判断で服用を中止することは取り返しのつかないことになりかねません。アリセプトはジェネリックも発売されており、薬価は7割ほどになるので、そちらを利用すれば経済的負担は軽減できます。
病気や健康状態を判断する際に、高血圧の場合は血圧を130/85以下に、糖尿病はHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)を6.5未満になど、基準となる数値がありますが、認知症は数字で簡単に表せない上に、一人ひとり表れる症状も異なります。
認知症患者にとってよかれと思ってしたことが、かえってプライドを傷付けてしまい怒らせてしまうこともあります。介護する家族は、何が正解なのかわからず、ストレスをためていってしまうことも多くあるといいます。
高齢者が増加していく社会にあって、介護保険制度や、相談窓口、サービスを利用し、社会全体で認知症患者とその家族を支えていく取り組みをさらに進めていく必要があります。団塊の世代が後期高齢者となることによる種々の懸念が取りざたされている「2025年問題」への対策としても、特に重要な課題のひとつといえるでしょう。
(文=ピカケ/薬剤師)
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
今回、いわば "対症療法" としての "治療薬"、しかも<あくまでも、認知機能を改善するものではなく、症状の進行を遅らせるもの> である "治療薬" に目を向けざるを得なかったのは、今や目の当たりにする現状はここまで緊迫しているのだと痛感するからであった...... (2014.03.10)
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