"免疫抗体の6割が腸管でつくられる(腸内細菌/腸管免疫系)" と言われているとおり、ヒトの "腸" における "腸内細菌" のあり様は "免疫機能" にとって重要だと見なされている。
そうした観点から、当誌でも、その "免疫機能" を担う "腸内細菌" については注目し続けている。
◆ 参照 当誌過去の "腸内細菌" 関連記事
(1) <キリンホールディングスは自社保有の乳酸菌「プラズマ乳酸菌」に、アンチエイジング(抗加齢)の効果があることを解明した。マウスの実験で免疫機能が活性化し寿命延長につながることが判明、......> ( 免疫力活性の乳酸菌に、アンチエイジング(抗加齢)の効果があることを解明(キリンHD)!/当誌 2014.06.10 )
(2) <ヨーグルトや乳酸菌飲料の保健効果が注目/ 「免疫力」をキーワード/ 免疫力に特化した商品開発にますます拍車が/ ヒトの腸管は栄養成分を消化・吸収する役割のほか、食べ物とともに侵入する病原菌などから身体を守る免疫機能も/ 抗体の6割を腸管でつくる人体最大の免疫器官といわれ......これらの腸内細菌が腸管免疫系に関与/ 腸内細菌の種類や数、性質などの「様態」は食生活や加齢、ストレスで変わる。個人差も大きい/ この「様態」が乱れると、腸管免疫系に影響を与え、多くの疾病を誘発......花粉アレルギーや炎症性大腸炎、がん、肥満、自閉症など......> ( 免疫力!腸内細菌とヨーグルト!ヒトの腸管は抗体の6割をつくる人体最大の免疫器官!/当誌 2014.02.19 )
ところで、こうしてヒトの健康に大きな影響を及ぼしている "腸内細菌" については、従来指摘されてきた "免疫機能" への貢献という主要な側面以外にも、まだほかに目を向けるべき側面がありそうなのである。
今回注目する下記引用サイト記事 : ヤクルトなど、日本人2型糖尿病患者の腸内フローラのバランスの乱れを確認/マイナビニュース/2014.06.12 は、"腸内細菌" の存在が、昨日も記載した "糖尿病" とも、どうやら "関係がありそう ?!" だという主旨の研究成果を報じているのである。
<ヤクルトは6月11日、日本人2型糖尿病患者では腸内フローラのバランスが乱れていること、ならびに腸内細菌が血流中へ移行しやすいことを明らかにしたと発表/ ヒトの腸管内には100兆個を超すさまざまな微生物種が複雑な生態系(腸内フローラ)を形成しており、その状況などがヒトの健康に影響を与えることが近年の研究から分かってきた。また、約1000万人と推定されている日本における糖尿病患者の約95%を占めると言われる2型糖尿病でも腸内細菌の関与が指摘されているが、その関係性はよく分かっていなかった/ そこで研究グループは今回、日本人の2型糖尿病患者50名と2型糖尿病に罹患していない被験者50名の腸内フローラの比較を実施したほか、腸内細菌の血流中への移行についての解析を、ヤクルトが開発した「腸内フローラ自動解析システム(Yakult Intestinal Flora-Scan:YIF-SCAN)」を用いて実施/ その結果、......日本人2型糖尿病患者では腸内フローラが乱れていること、ならびに腸内細菌が腸内から血流中へ移行しやすいことが示されたこととなった/ なお、研究グループでは、今回の成果を受けた今後の研究で、腸内フローラの乱れや腸内から血流中に移行した腸内細菌が2型糖尿病に伴う炎症に関与することが示されれば、腸内環境の改善により2型糖尿病に伴う炎症を抑制することが可能になることが期待できるようになるとコメントしている> とある。
記事の中でも <約1000万人と推定されている日本における糖尿病患者の約95%を占めると言われる2型糖尿病でも腸内細菌の関与が指摘されているが、その関係性はよく分かっていなかった> と言及されているのであるが、今回の研究成果は、この "未解明な関係" への大きなヒントとなる可能性が秘められているかに思われる......。
ヤクルトなど、日本人2型糖尿病患者の腸内フローラのバランスの乱れを確認/マイナビニュース/2014.06.12
ヤクルトは6月11日、日本人2型糖尿病患者では腸内フローラのバランスが乱れていること、ならびに腸内細菌が血流中へ移行しやすいことを明らかにしたと発表した。
同成果は同社中央研究所ならびに順天堂大学大学院医学研究科・代謝内分泌内科学の佐藤淳子 医師、金澤昭雄 准教授、綿田裕孝 教授、順天堂大学大学院プロバイオティクス研究講座の山城雄一郎 特任教授らによるもの。詳細は米国学術誌「Diabetes Care」オンライン版に掲載された。
ヒトの腸管内には100兆個を超すさまざまな微生物種が複雑な生態系(腸内フローラ)を形成しており、その状況などがヒトの健康に影響を与えることが近年の研究から分かってきた。また、約1000万人と推定されている日本における糖尿病患者の約95%を占めると言われる2型糖尿病でも腸内細菌の関与が指摘されているが、その関係性はよく分かっていなかった。
そこで研究グループは今回、日本人の2型糖尿病患者50名と2型糖尿病に罹患していない被験者50名の腸内フローラの比較を実施したほか、腸内細菌の血流中への移行についての解析を、ヤクルトが開発した「腸内フローラ自動解析システム(Yakult Intestinal Flora-Scan:YIF-SCAN)」を用いて実施した。
その結果、2型糖尿病患者と対照者で腸内細菌の総数に大きな違いはなかったものの、腸内フローラを構成する腸内細菌の割合が異なることが判明した。また、血液中に含まれる生きた腸内細菌を解析したところ、対照者では50名中2名(検出率4%)の血液中に腸内細菌が検出されたのに対し、2型糖尿病患者では50名中14名(検出率28%)の血液中に腸内細菌が検出されたとのことで、これらの結果から、日本人2型糖尿病患者では腸内フローラが乱れていること、ならびに腸内細菌が腸内から血流中へ移行しやすいことが示されたこととなった。
なお、研究グループでは、今回の成果を受けた今後の研究で、腸内フローラの乱れや腸内から血流中に移行した腸内細菌が2型糖尿病に伴う炎症に関与することが示されれば、腸内環境の改善により2型糖尿病に伴う炎症を抑制することが可能になることが期待できるようになるとコメントしている。
唐突ではあるが、"腸内細菌/腸管免疫系" に関しては、常々、思うことがあった。これらは "農作業における畑の土質" と類比できそうだ......、と。
したがって、"腸内細菌/腸管免疫系" に配慮するということは、言ってみれば、"畑の土質改良" に眼を向けることと同義ではないか、と。
そして、この "畑の土質改良" 作業によって得られるメリットは、意外と計り知れないのかも知れず、上記記事で注目されていた "糖尿病" 新・治療方法にも一石を投じるという結果につながるのかもしれない...... (2014.06.22)
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