電子書籍(eBooks): 2012年8月 アーカイブ


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 インディーなどによる "デジタルコンテンツ" を作家サイト上で "直販" するスタイルが広がりを見せている。かく言うこのサイトでも、左のような "スタイル"( "PayPal" の "クレジットカード決済" 連動システム )を併設している。

 先日は、この種のサービスで "SNS" 視点を盛り込んだ点において興味深い "reKiosk" という "新しいネットワークのプラットホーム" について書いた。( 参照 "インディー"アーチストたちにとっては"Web販路の確保"が重要な課題!"Kioskネット"!( 当誌 2012.08.28 )

 万事が "ジワジワと沈む" この経済情勢にあって、多少なりともネット環境で "稼ごう!" という意向もさることながら、活況を帯びている個人発の "デジタルコンテンツ" の "シェア" の動きが、"有償でのシェア" をも視野に入れ始めた、と言うべきなのかもしれない。
 そして、それに "拍車を掛けている" のが、使い易くなった "決済サービス" の普及なのであろう。つまり、"小規模な取引であっても見合う"、そんな水準へと "手数料" が下がり、加えて買い手側も売り手側も簡単な操作で済むという利便性が伴うことにより、いよいよ "使える!" という機を迎えたのであろう。

 下記引用サイト記事:「デジタルコンテンツ決済ベンチャーGumroad社がAPIをバージョンアップ、作家サイト上で直接購入できるように」/hon.jp DayWatch/2012.08.20 では、かねてより話題となっていた "デジタルコンテンツ決済仲介サービス" の "Gumroad" が、<クリエイター向けWeb APIをバージョンアップし、より簡素なデジタルコンテンツ販売を実現する「Platform API」を公開>したと伝えている。

 国内でもこの"Gumroad" というサービスへの注目度は高いようで、下記のブログなどからもその様子が推測できる。

 ◆ 参照 Gumroad(ガムロード)の使い方と注意点/ましまろな生活

 筆者のこのサイトでの "左上システム" 自体も、連動する "クレジットカード決済" は "PayPal" であるが、"API" に関しては "比較的自由度の高い" 別のシステムを活用して構成している。
 いずれにしても、インディーにとっての "デジタルコンテンツ、サイト直販" に、何らかの "決済サービス" プラス "API" というツールが欠かせないという点は間違いなかろう......。




















 
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 "電子書籍" や "デジタル音楽" を"インディー" として制作する者たちにとって、ボトルネックとなるのは、"Web 上でのその販路" であるに違いない。
 好きで制作しているのだから、"制作上での苦労" を厭うことはないはずだ。しかし、継続していくためには、スキルの向上は当然として、多少なりとも "売れる" ことが欠かせない。それは、"こころざしへの支持、支援" という何ものにも代えがたい勇気づけが与えられるからだ。

 確かに、エスタブリッシュなプラットホームに登録して、"露出度" を高めるという常套手段があるにはある。それで弾みがつけばそれはそれでいい。  しかし、名もない "インディー" の作品は "露出度" をいくら高めても結果にさほどの差が出てこないというのが相場なのかもしれない。

 ちなみに、<大きな小売サイトでインディーのアーチストをプロモートして利益を上げることは不可能である>(下記引用サイト記事:個人経営の書店やレコード店の"味"と楽しさ-その復活を目指す新タイプeコマースreKiosk/TechCrunch/2012.08.25 )という事実が率直に指摘されている。

 同記事によれば、そんな事実を出発点として、"新しいネットワークのプラットホーム" が立ち上げられたのだという。

 <インディーの作品を同じ一つのプラットホームに集めてなおかつ、大手出版社などの名前に依存せずに良い作品を世に出す方法>の構築なのだそうだ。

reKioskのユーザは、自分の好きな、あるいは自分が見つけたインディーアーチストの本やアルバムを集めて、キオスクの店主になれる店主以外の一般ユーザは、人気のあるキオスクに薦められた本を買ったり、店主の蘊蓄(うんちく)を聞いたり、お店を単純に見物したり、いちばん多くのキオスクにあるアルバムはどれか調べたりする。物販の物理的なトランザクションは一から十までサイトが担当し、キオスクの店主には売上の25%が入る

 要するに、<キオスクの店主>という、いわば "インターフェイサー" たちの SNS ネットワークプロモーション活動がこの "新しいネットワークのプラットホーム" を形成することになり、インディーアーチストたちの作品の "露出量を稼ぐ" というわけである。

 こうした SNS ネットワークプロモーション活動 を基軸にしたビジネス・モデルは、多分、誰もが一度は想定したことがあるに違いないリーズナブルな可能性を秘めていると思われる。
 ウェブが普及し始めた頃に注目を集めた、あの "ポータルサイト" の存在価値も、こうした "インターフェイサー" たちの甲斐甲斐しい活躍だったはずだ。
 おそらく、この種の "新しいネットワークのプラットホーム" の試みは今後増えてゆくに違いなかろう......。

 ただ、そうしたものに遭遇する機会を待ちつつも、筆者なぞはひたすら "孤軍奮闘"(?) するばかりであり、"右上の「セルフパブリッシングの街角書店」" のような細々とした "露出量稼ぎ"(?)に勤しんでいる......。

 その "扱い方・操作方法" がイージーな "モバイル(型PC)" の急速な普及で、モバイル/PCにおけるユーザーの内実に "少なからぬ変化" がもたらされていることは、これまでにもいろいろと指摘されてきた。
 要するに、"PC" 志向の "マニア型" ユーザーから、"モバイル(型PC)" 活用の "一般層" ユーザーへのシフト! という趨勢だと言える。いわゆる "大衆化" である。
 もちろん、これらの趨勢を陰で推し進めているのは、"IT の発展" によるデバイス操作の "自動化技術" であり、また、デバイス価格低廉化による裾野拡大的な普及であろう。

 こうした趨勢は、デバイスの周辺を起点としながら、あらゆる社会現象に影響を及ぼしている。唐突に言えば、政治ジャンルでの "ポピュリズム" 云々という議論もこの趨勢と無縁ではなかろう。
 それはともかく、今、"モバイル(型PC)" の急速な普及が大きく揺さぶりをかけているジャンルのひとつは、"電子書籍" ジャンルだ。

 "楽天の電子書籍端末「kobo Touch」" の "一連の話題" も、この文脈で考察できるはずだ。
 "一連の話題" 自体に深入りするつもりはない。ただ一点、"UX"(User Experience/利用者体験)の視点からどう評価できるのか、その点だけに関心が向かう。( 参照 「電子書籍とは"UX"(User Experience/利用者体験)によってインスパイアされる商品!」( 当誌 2012.08.03 )

 さて、この辺の事情に関して "やや興味深い視点" を提示している記事があった。
 下記引用サイト記事:楽天「kobo」大不評に見る、電子書籍成功のヒント?/Business Journal/2012.08.08 である。
 <大量の不満レビューから見えてくる「一般層」ユーザー>という "逆説的(?)" な観察である。

 <今回の騒動で意外だったのは、荒れに荒れた楽天レビューや各種SNSコメント等の中に、あまりこの手の端末やサービスに詳しくなさそうなコメントが目立ったことだ。/ ユーザー自身の知識不足や勘違い/ 知識がないのが悪いわけではない。そういう、ごく普通の層がユーザーになったことが驚きだったのだ。/ つまり、楽天で販売されているほかの家電等と同じく、どこか的外れなレビューもたくさんあるという状況は、これまで電子書籍端末に触れてこなかった一般ユーザーを振り向かせることができたということではないだろうか。
と指摘されている。
  言いかえれば、<なによりも価格だ。税込、送料無料の定価が7980円>という点や<告知力と楽天というプラットフォームでの販売>という点によって引き出された事実、それは、<これまで電子書籍端末に触れてこなかった一般ユーザーを振り向かせること>( 一般ユーザーの新規参入? )になったのではないかと。

 この推移こそは、"IT の発展" に促される製品・サービスの急速な普及が辿る典型的な軌跡なのだと改めて思い知らされる。
 そして、そこでは、<ある意味マニア層からは出てこない>ところの "「一般層」ユーザーによる苦情" 散乱に向けた蓋が開いてしまうことになるわけだ......。
 価格面その他によって "ハードルの高さ" の下げられたことが、逆に "新たな問題状況" を照らし出し始める、という成り行き!
 どうも、現代という時代が遭遇している "解き難い難問" の好例が、ここでも立ち上がってきているのだと思えた......。

 かつて佐々木俊尚氏は『電子書籍の衝撃』( 2010.03 ディスカヴァー携書 )の中で、"電子書籍" の本質は "『アンビエント』" という言葉で照らし出せると書いた。

 多くの人気書籍をラインアップできている。
 読者が議みたいと思う本、あるいは本人は知らないけれど読めばきっと楽しめる本をきちんと送り届けられる。
 そうした本をすぐに、しかも簡単な方法で入手できて、その時々に最適なデバイスを使い、気持ちよい環境で本が楽しめる。
 つまりは本を取り巻く環境を、最もよいかたちで提供できるところが最終的に電子ブックリーダーの戦争に勝つということなのです。その購読環境さえ素晴らしければ、リーダーの製品そのものの完成度などはっきり言って重要ではありません。


そして、<「電子ブックによって本は『アンビエント』化する」>と述べたが、引き続く "電子書籍戦争" は、まさにこの "『アンビエント" を基軸にして展開されてきたと言えるだろう。

 なお、この "『アンビエント』" という言葉の含意は、"UX(ユーザエクスペリエンス)" という言葉と多くが重なると見てよい。

 UX【ユーザエクスペリエンス】

 ある製品やサービスを利用したり、消費した時に得られる体験の総体。個別の機能や使いやすさのみならず、ユーザが真にやりたいことを楽しく、心地よく実現できるかどうかを重視した概念である。
 UXは、認知心理学者でApple Computer社(当時)に勤務していたDonald A. Norman博士の考案した造語と言われている。操作感や使いやすさといった「ユーザインタフェース」「ユーザビリティ」という概念は個々の要素やその振る舞いに着目して使われることがほとんどだが、UXはより包括的な、一連の操作から得られる体験の総体を意味する概念である
 UXと密接に関係するもので同博士が発表した概念として「ユーザ中心設計」がある。これは、ユーザにとって何が望ましいかを検証しながら開発を進めることによって、製品がユーザにとって使いにくいものにならないようにするための考え方である。
 ちなみに、Microsoft社のWindows XPの名称の由来となっているのは、UXの「experience」である。現在では、UXという言葉は、インターネットやコンピュータの分野だけでなく、幅広いビジネスの分野で使われている。「UX」と略称で表記されることもある。
IT用語辞典 e-Words

 さて、つい最近、電子書籍サービス "楽天コボ" がスタートした。その印象はさまざまで、評価は分かれているようだ。
 下記引用サイト記事:アマゾンの引き立て役になりかねない楽天コボ  カギは「UX」の追求 編集委員 小柳建彦/ITトレンド(日経産業新聞)/2012.08.02 では、上記の "UX(ユーザエクスペリエンス)" という視点に立って、その "楽天コボ" についてレビューしている。
 かなり "切れ味の良い" 批評ではないかと思えた。電子書籍サービスにとっての "勘所" がしっかりと見据えられているからだ。

米アマゾン・ドット・コムが1995年にインターネット上の書店としてサービスを開始したとき、まず人々をとらえたのがその使いやすさだった。もっと分解すると、ウェブサイトの各ページの設計、ブラウジングによる本のショッピングのしやすさ、検索による本のみつけやすさ、各書籍の各種情報の充実度、商品の価格と購入決済のしやすさなどなど、多くの要素で構成される使いやすさだ。ウェブ上の店に来店した瞬間から、本を買って届くまでの一連の体験全体、つまりUXが優れていた。>

 "UX(ユーザエクスペリエンス)" の向上ばかりは、"研さん" とし言いようがないものを積み上げなければ装備できないのかもしれない......。

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