"分子標的薬" を含む "抗がん剤" の "副作用" については、ほぼ常識化するほどに広く知られる、そんな現状となっている。
◆ 参照 当誌過去の "抗がん剤" 関連記事
(1) なぜ、"副作用"が少ない"放射線"治療よりも、"抗がん剤"治療が選ばれてしまうのか?!/当誌 2015.04.20
(2)"抗癌剤職業曝露"の実態調査進む!やはり気になる!ここまで有害とされる抗癌剤の使用!?/当誌 2014.07.29
(3) 医療従事者の"抗がん剤曝露量"とは何?"抗がん剤"は"正常細胞"にも作用するため警戒?!/当誌 2014.06.27
(4) "抗がん剤"で死亡 病院に賠償命令!"抗がん剤"の"副作用危険性"に改めて"要注意"か?!/当誌 2014.05.20
(5) 『医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて 元気に 長生きする方法』はお薦め!/当誌 2014.02.22
今回注目する下記引用サイト記事 : 《1849》 抗がん剤治療の第一目的とは? 長尾和宏(ながお・かずひろ)/朝日新聞 apital/2015.05.14 は、 <○ 抗がん剤は、がんを治す薬ではない ○ 再発転移を予防するか、再発したがんを延命させるかである ○ 分子標的薬の副作用は、従来の抗がん剤より少ないが、それでもある ○ ステージや年齢によっては、抗がん剤をやらないほうがいい場合もある 抗がん剤治療の第一目的とは? がんの再発、進行、転移をどこまで食い止められるか、どこまで時間を引き延ばせるかということが抗がん剤治療の第一目的である。だから"やめどき"が必ずや訪れる。けっして完治が目的ではない> と解説し、<通常の細胞までも殺す薬=「殺全身細胞薬」> とさえ言える "抗がん剤" による治療への慎重さを喚起している。
< ○ 抗がん剤は、がんを治す薬ではない ○ 再発転移を予防するか、再発したがんを延命させるかである ○ 分子標的薬の副作用は、従来の抗がん剤より少ないが、それでもある ○ ステージや年齢によっては、抗がん剤をやらないほうがいい場合もある 抗がん剤治療の第一目的とは? がんの再発、進行、転移をどこまで食い止められるか、どこまで時間を引き延ばせるかということが抗がん剤治療の第一目的である。だから"やめどき"が必ずや訪れる。けっして完治が目的ではない。そこで患者さん本人と医療者との温度差が生まれる。 患者さんは、抗がん剤治療を受ければ治るはずだとつい思いがちだ。治るのであれば、つらい副作用も甘んじて受け入れようと。私はこの「抗がん剤(anti-cancer drug)」という名前が患者さんに間違ったイメージを与えているのではないかと思う。 がんに抗う、すなわちがんを退治してくれるように誰もが思うだろう。"抗がん剤"というネーミングをした人間は商売が上手かった。しかし、少し罪はある。もし、通常の細胞までも殺す薬=「殺全身細胞薬」とネーミングされていたとしたらどうだったか? 少なくとも、死ぬまでこの治療を受けたいと考える患者さんは減っていただろう。 ならば、抗がん剤治療がいつまで続くのか? その答えは医師によってさまざまだろうが、一番正解に近い答えは、「患者さんご自身の気力、体力と相談しながら」であろう。 抗がん剤は細胞を殺す薬である。がん細胞を叩くと同時に正常で元気な細胞も叩くから(昨今多用されるようになった分子標的薬は、がん細胞だけを見分けて狙い撃ちができるが、そうとも言い切れない副作用がある)、患者さんの生命力を内側から奪っていく。 つまり体力との勝負なのだ。副作用が続き、他の抗がん剤に切り替える体力も奪われてしまい、たった1~2カ月で治療が限界となるケースもあれば、数年間続けられる人もいる。 抗がん剤の世界は日進月歩なので、治療をしている最中に新たな抗がん剤を勧められる場合もあるだろう。しかし、「もっと効果的な抗がん剤が承認されたから」といって誰もがそれに飛び付くべきか、といえばそれもまた違う。 "抗がん剤のやめどき"は大きな個人差がある。だから、最新の抗がん剤治療に無理をして足並みを揃える必要はないのだ。新しい薬だからやってみようという考えももちろん大切だが、しかしあくまでも、患者さんご本人にとって本当に救いになるかどうかを第一義に考えねばならない。 抗がん剤治療と年齢の問題 また、75歳以上の後期高齢者には積極的な抗がん剤治療をしてほしくはないと思う。三浦雄一郎さんのように齢(よわい)八十を過ぎてもエベレストに登頂できるスーパー老人は別として、言わずもがな体力が著しく低下していく年代だから。 後期高齢者になってからがんが発見されたのなら、どんながんであっても、治療もせずに定期的に様子を見ていくという方法は充分、説得力がある。若い人に比べ、がんの進行も概ね遅い。長くゆっくりがんと付き合い、老衰が原因なのか、がんが原因なのかわからないまま「平穏死」されたお年寄りを、私は在宅や施設でたくさん看取ってきた。...... 【「抗がん剤 10のやめどき」(ブックマン社)からの転載】> とある。
《1849》 抗がん剤治療の第一目的とは?長尾和宏(ながお・かずひろ)/朝日新聞 apital/2015.05.14
【 今日のポイント 】
○ 抗がん剤は、がんを治す薬ではない
○ 再発転移を予防するか、再発したがんを延命させるかである
○ 分子標的薬の副作用は、従来の抗がん剤より少ないが、それでもある
○ ステージや年齢によっては、抗がん剤をやらないほうがいい場合もある抗がん剤治療の第一目的とは?
死ぬまで打ち続ける医師もぎょうさん(=関西の方言で「たくさん」)いますよ。本当ならそう申し上げたいところだ。だが今ここで、それを鈴木さんに申し上げて何になるのだ、と自問自答をする。鈴木さんのような進行胃がんに、抗がん剤が効くかどうかは、予防的投与のときは特にわかりにくい。
がんの再発、進行、転移をどこまで食い止められるか、どこまで時間を引き延ばせるかということが抗がん剤治療の第一目的である。だから"やめどき"が必ずや訪れる。けっして完治が目的ではない。そこで患者さん本人と医療者との温度差が生まれる。
患者さんは、抗がん剤治療を受ければ治るはずだとつい思いがちだ。治るのであれば、つらい副作用も甘んじて受け入れようと。私はこの「抗がん剤(anti-cancer drug)」という名前が患者さんに間違ったイメージを与えているのではないかと思う。
がんに抗う、すなわちがんを退治してくれるように誰もが思うだろう。"抗がん剤"というネーミングをした人間は商売が上手かった。しかし、少し罪はある。もし、通常の細胞までも殺す薬=「殺全身細胞薬」とネーミングされていたとしたらどうだったか? 少なくとも、死ぬまでこの治療を受けたいと考える患者さんは減っていただろう。
ならば、抗がん剤治療がいつまで続くのか? その答えは医師によってさまざまだろうが、一番正解に近い答えは、「患者さんご自身の気力、体力と相談しながら」であろう。
抗がん剤は細胞を殺す薬である。がん細胞を叩くと同時に正常で元気な細胞も叩くから(昨今多用されるようになった分子標的薬は、がん細胞だけを見分けて狙い撃ちができるが、そうとも言い切れない副作用がある)、患者さんの生命力を内側から奪っていく。
つまり体力との勝負なのだ。副作用が続き、他の抗がん剤に切り替える体力も奪われてしまい、たった1~2カ月で治療が限界となるケースもあれば、数年間続けられる人もいる。
抗がん剤の世界は日進月歩なので、治療をしている最中に新たな抗がん剤を勧められる場合もあるだろう。しかし、「もっと効果的な抗がん剤が承認されたから」といって誰もがそれに飛び付くべきか、といえばそれもまた違う。
"抗がん剤のやめどき"は大きな個人差がある。だから、最新の抗がん剤治療に無理をして足並みを揃える必要はないのだ。新しい薬だからやってみようという考えももちろん大切だが、しかしあくまでも、患者さんご本人にとって本当に救いになるかどうかを第一義に考えねばならない。
抗がん剤治療と年齢の問題
また、75歳以上の後期高齢者には積極的な抗がん剤治療をしてほしくはないと思う。三浦雄一郎さんのように齢(よわい)八十を過ぎてもエベレストに登頂できるスーパー老人は別として、言わずもがな体力が著しく低下していく年代だから。
後期高齢者になってからがんが発見されたのなら、どんながんであっても、治療もせずに定期的に様子を見ていくという方法は充分、説得力がある。若い人に比べ、がんの進行も概ね遅い。長くゆっくりがんと付き合い、老衰が原因なのか、がんが原因なのかわからないまま「平穏死」されたお年寄りを、私は在宅や施設でたくさん看取ってきた。
......【「抗がん剤 10のやめどき」(ブックマン社)からの転載】( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
"医療もまたビジネス/商業主義の一翼" という当たり前の事実を踏まえた時、がん治療に関するさまざまな疑問が生まれてきたりもする。 その一つが、大半の医療機関が "標準治療" として対応している "抗がん剤治療" ではなかろうか...... (2015.05.16)
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