政治経済一般: 2013年11月 アーカイブ

 今朝の朝刊(朝日新聞 2013.11.24)一面記事の見出しが目に飛び込んだ。

 国民の「知る義務」邪魔する( 異議あり 特定秘密保護法案――東京大学名誉教授 樋口 陽一さん )である。

 < 敗戦後の焼け野原の中、「私はだまされていた」と告白した高名な作家がいました。国民主権の憲法となり、国民自身が政治を動かす立場にある今こそ、私たちには「だまされない責任」があると言いたい。

 しかし3・11の原発災害で私たちは「原発は安全」という神話にだまされていたことを知った。今後、政府のうそにだまされず、主権者として公のことがらの基本を動かし、未来への責任を果たすため、国民には問題の所在を「知る義務」がある。それを邪魔するのが、今回の特定秘密保護法案だと言えます。 ...... >

〈秘密保護法案〉国民の「知る義務」阻害 樋口陽一さん/朝日新聞/2013.11.24


 もちろん、一般的に指摘される言葉は「知る権利」であろう。
 だが、"特定秘密保護法案" という "時代錯誤" でしかない "悪法案" について考える際には、「知る権利」と言う以上に、国民の「知る義務」と言うべきだと痛感させられる。

 「だまされない責任」  「知る義務」というきわめて分かりやすい道理だ。
 そして、今、政府は自信がないからこそ "急ぎ足" となっている "特定秘密保護法案" は、時間経過とともにその "理不尽!" さが、国民や世界の良識によって危惧されはじめている。

 下記引用サイト記事 1秘密法案に国連人権事務所懸念 は、"国連からの危惧!" である。

 <国連人権高等弁務官事務所の特別報告官は声明を発表し、「法案では、秘密の範囲が非常に広くてあいまいで、透明性を脅かすおそれがある」などと懸念/ 秘密を内部告発したり報道したりする人たちにとっても、深刻な脅威となる要素を含んでいる/ 秘密の指定が適切に行われているかチェックする機関の設置が法案に盛り込まれていないことにも懸念> と。

 下記引用サイト記事 2秘密保護法案 26日衆院通過に「審議不十分」/NHK NEWS WEB/2013.11.24 - 12:29 では、"成立を急ぐ自民党" に対して、"慎重審議継続!廃案!などを迫る野党側" という緊迫した国会情勢を報じている。

 下記引用サイト記事 3日本を暗くする特定秘密保護法 情報流出事件が示す公安警察の暗躍/DIAMOND online/2013.11.21 では、同法案が "国際的な人権保護原則( ツワネ原則 )" に反していることが論じられている。

 <「諜報機関を含めたいかなる政府機関も情報公開の必要性から免除されない」と謳うツワネ原則は、敢えて核心を表現するなら「無期限の秘密は認めない」「秘密を審査する独立機関を設置する」が大原則/ 日本に秘密保護を迫った米国でさえ、一定期間後に情報公開を義務付け、さらに国立公文書館が秘密の妥当性を審査する。日本は「情報が漏れる」ことを恐れ、独立機関を認めず、大事な秘密は永遠に封印される仕組み> と指摘している。

 "巨大与党" としての立場と、"内閣高支持率" とを "利用できるうちに......" とでもいった自民党安倍信三政府の姑息な "急ぎ働き" のスタンスが、実に見苦しい! の場面か......。




















 アベノミクス経済政策という "異次元金融緩和" 政策は、その "金融相場" 型情勢によって取りあえずの "株高" をもたらしつつ、"景気回復" 的動向を誘ってはいる。
 ただ、その "景気回復" 的動向にしても、"実感が伴わない!" という多数の国民を置き去りにしたかたちで展開している。

 "成長経済" がはじまっているのかどうかは別としても、"所得格差" をはじめとした "格差問題" が昂進している点だけは現実であろう。政府から企業に対する直々の "賃上げ要請" が、"景気腰折れの回避" のためになされているとのことであるが、そんな小手先技で、深まる "格差問題" がどうにかなるはずもなかろう

 仮に、かろうじて "景気回復" が叶ったとしても、この日本社会における "格差問題" とそこから派生して発生するおびただしい数の社会問題の噴出とを防ぐことは至難の業となりそうである......。

 図式的に言うならば、"異次元金融緩和" 政策を引き金とするアベノミクスのような "景気刺激" 政策は、"格差社会問題" の深刻化をまさに "抱き合わせ" として推進されているのだと言える。"副作用" を度外視した "即効薬(?)" が試されている事情とよく似ている......。

 ところで、"金融緩和" 経済策と言えば米国、加えて "格差問題" のご本家もまた米国であることは言うをまたない。
 その米国において、"格差問題" がついに "もうたくさんだ、我慢できないと言う段階!" に踏み込んでいるらしい......。

 下記引用サイト記事[FT]米国、もう見過ごせなくなった格差問題/日本経済新聞/2013.11.22 - 07:00 は、"政治課題" ともなりつつあるそうした現状について論評している。

 <数十年にわたる中間層の賃金停滞によって定着した格差の問題は、政治論争の最前線に出てき始めた/ 格差のトレンドは、好転するのが難しい/ 現時点では、どちらの党も格差についてどうすべきか分かっていないという事実の元で政治の多くが動いている

 <■上位1%が富を享受/ 2012年までの3年間で、上位1%の人の所得が31%増える一方、残りの人たちは0.4%しか増えなかった/ 要約すれば、上位1%の所得は(金融危機後に)ほぼ完全に回復し、下位99%はほとんど回復し始めてもいない状況だ/ 共和党が格差拡大を認めたことは、この争点が有権者に対して訴える力があることを浮き彫りにした

 <■両立困難な格差是正と成長政策/ 貧富の差の軽減に向けた課題は、現在の政策論争、特に最低賃金を引き上げ、貿易自由化を拡大し、金融規制を強化する取り組みに直接的な影響を及ぼす

 <■民主党内でも意見対立/ 格差に関する議論は、民主党内により大きな意見対立があることを示す。新しい経済政策が必要かどうか/ 伝統的に富を称賛してきた米国でさえ、格差を巡る議論が転換点を迎えた可能性がある/ この議論は人々がもうたくさんだ、我慢できないと言っている段階にある......限度を超えたら米国人でさえ納得しなくなる

 決して明瞭な状況変化ではなさそうであるが、"民主党" のみならず "共和党" もまた、この "格差問題" の事実を "無視し得なくなっている" というのが現時点での米国の政治状況なのであろう......。

 やはり、とてつもなく "恥ずかしい!" ことだ言うべきか......。

 "地球温暖化" 問題が、ますます目に見えるかたちで現象化しており、世界中の人々がその結果としての "異常気象" の深まりに慄いているにもかかわらず、日本政府は、過去に表明した "温室効果ガス排出削減の目標値" を撤回して大幅に引き下げたのである

 つい先日にも、「結局は "先進国が温暖化をもたらし、途上国がその被害を受ける構図" !」という記事( ◆ 参照 結局は"先進国が温暖化をもたらし、途上国がその被害を受ける構図"!"COP19"が示す!( 当誌 2011.11.15 ))に着目したばかりだ。

 本来を言えば、そうした<構図> の "加害的立場" であることを踏まえて、日本なぞは "温室効果ガス削減" に関する国際的世論を導く役割を担って当然のはずではなかろうか。
 ところが、今回の "削減目標の引き下げ" においては、余りの理不尽さに、"途上国" のみならず "先進国" からも "批判の声" が上がっているというのである。

 下記引用サイト記事COP19 日本の新目標に批判相次ぐ/NHK NEWS WEB/2013.11.16 - 05:02 は、以下のように報じている。

 <地球温暖化対策として、日本政府が決定した温室効果ガスの新たな削減目標について、温暖化対策を話し合う国連の会議、COP19に参加している先進国や途上国からは、これまでの目標より削減する数値が大幅に低くなっていることから批判の声が相次ぎました

 <今回の目標は、......1990年と比べると25%削減するというこれまでの目標に比べて大幅に数値が低くなるうえ、1990年より排出量は3.1%増加する

 <南太平洋の島国フィジーの代表は、「日本など先進国が以前、約束したとおりに温室効果ガスの削減を進めていないことに失望しています」と日本の姿勢を強く批判/ ブラジルの代表は、......「先進国の一部の国がこれまでの目標を撤回したことを注視する必要がある」と述べ/ EU=ヨーロッパ連合の代表も、「......日本の新たな目標は各国の取り組みを前進させようという会議の議論に明らかに逆行するものだ」と指摘/ 途上国だけでなく先進国からも批判の声

と伝えている。

 グローバルな緊急課題よりも、目先の自国経済を優先して憚らない日本政府の姿勢を、国際社会に強く印象づけた格好となっているわけだ......。

 とかく、隠されがちなのが "リアル" 社会の現実!

 (マス)メディアが巻き散らかす "仮想社会" のイメージに、日々身を任せていると、何が何だかさっぱり分からなくなりそうだ......。
 そして、王様は裸だ!」だと心底思いつつも、口には出せず、ますます深刻化していく "格差社会" の、その底辺へ、底辺へと沈殿させられていく......。

 少なくとも、"動かしようのない社会的事実" については、これが残念ながら "弱肉強食の野生環境!" へと堕ちた今の日本社会の厳しい現実なのだ、として脳裏に刻んでおくべしか......。

 その "動かしようのない社会的事実" の一つが、"過去最多を更新" し続ける "生活保護受給者数" であろう。
 しかも、"この数字と推移" は、当然のことながら "水面上に浮上した氷山の一角" なのだと考えるのが妥当だと思われる。
 水面下には、この "生活保護制度" から漏れたおびただしい規模の "貧困層" が広がっていると想定される......。

 下記引用サイト記事生活保護:受給159万249世帯 ... 過去最多を更新/毎日新聞/2013.11.13 - 11:46 が報じるところの直近の数値を、過去の推移図表と組み合わせてみたのが以下の図表なのである。


    【図解・社会】生活保護受給者数の推移/時事ドットコム    <今回発表分↑


 こんな場面でしか "右肩上がり!の図" が見られなくなったのが、今の日本社会の "動かしようのない社会的事実" だというわけか......。

 アベノミクスという経済政策の今後が、概ね "予期されていた" ような "危うさ(!?)" に直面していそうな気配である。

 その "予期されていた" ような "危うさ(!?)" とは、「金融緩和」「財政出動」に加えての「3本目の矢」とされた「成長戦略」が、とかく "困難視/疑問視" されがちであったことに由来していたと理解できる。

 つまり、「成長戦略」の "中心課題" とは、一言で言えば "規制緩和(= "既得権" 構造の打破!)" 以外ではないのであり、その実現こそが、長期的な "成長経済" をもたらすに違いない、と期待されていたわけだ。

 ところが、その中身が、いわば "予期されていた" とおりとなり、必ずしも "はかばかしくない" ではないか、と受けとめられ始めたようなのだ。

 下記引用サイト記事[FT]アベノミクス、内部分裂で最大の試練/日本経済新聞/2013.11.08 - 14:00 は、この辺の現状を "危ぶむ"、そんな書きぶりとなっている。

 こうした悲観視を誘った "材料" としては、<一般医薬品(大衆薬)のインターネット販売> に関して、政府が<一部禁止・規制する新ルール> を設けたこと、そして、これに対して<政府の産業競争力会議の民間議員を務める三木谷浩史・楽天社長> が、いわば "規制緩和とはなっていないではないか!" と激怒して、<特定の利益団体に対する服従だと一蹴> した上で、上記の "産業競争力会議の民間議員" から退く......、というような顛末 ―― 内部分裂! ―― が取り上げられているのだ。

 この一例が決して見過ごせないのは、実は、<多くの自民党議員は規制緩和に反対する特定の利益団体を代表している> という公然とした事実であり、この点から、アベノミクスを推進する政府内で、"内部対立/内部分裂" が始まるのではないかと推測させるからなのであろう。これもまた、かねてより "予期されていた" 懸念だったのである。

 しかも、"金持ち喧嘩せず" ということわざのような "順風満帆" 状況ならばいざ知らず、<だが、消費者の収入は引き続き低迷> が "景気の腰折れ(?!)" を呼びかねない現況にあっては、より一層危惧されるというわけなのである......。

 下記引用サイト記事企業寄り 首相鮮明 「ブラック」対策わずか/東京新聞/2013.11.05 朝刊 によると、社会問題とまで化している「ブラック企業」の横暴さに対して、安倍政権の対策は、どうも "手ぬる過ぎる!" ようである。

 <若者らを大量に雇用し、無理な労働を押しつけているとして社会問題化している「ブラック企業」対策について、安倍政権の動きが鈍い。企業の競争力強化を掲げ、熱心に労働規制の緩和を検討しているのとは対照的だ。対策の強化を叫ぶ声は上がるが、実態が伴っていない

 いわゆる "ブラック企業" とは、<長時間過密労働や過重なノルマ、パワーハラスメントなどで労働者を酷使し、利益を追求する企業や団体を指す離職者が多いため頻繁な採用を繰り返すのが特徴「若者を使い捨てにする」との批判がある> という、"問題だらけの企業活動" に終始する企業のことだ。

 こうした企業は、言うまでもなく従業員にとって "迷惑で違法な存在" であるが、そればかりか、ひいては健全な生産活動、経済環境を内部から腐食させかねない

 その意味で "反社会的" な問題として警戒されなければならないはずだが、どうも安倍政権(自民党、厚労省)は、<首相の「企業が一番活動しやすい社会をつくる」との号令の下、次々と企業側優先の規制緩和策を打ち出し> "企業寄り" だと看做さざるを得ない "偏った対策" に終始している。

 しかも、安倍晋三首相は、国会(委員会)での公式発言では、<ブラック企業対策に力を入れていることを強調> しておきながら、"実質的には軽視!" という "お定まりの綺麗事姿勢!" なのである......。

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