科学一般: 2013年8月 アーカイブ

 生物の "寿命" とは、言ってみれば生命活動全体から結果する "総合的帰結" なのではないかと思われる。
 所詮、"寿命" は定まっている( "類" 単位では概ね定まっていそうだが )という運命論に加担するつもりはないが、かと言って、単純に、個々のあれこれの健康法を実施しさえすれば ">寿命が延びる" というものでもなさそうな気がする。

 あえて言うならば、"老化" という言葉が "対(概念)" となっている気配であり、"老化のメカニズム" の解明が進めば、より "寿命" という言葉の内実も明らかになってくるのであろう。

 ところが、下記引用サイト記事:遺伝子操作で寿命延びる可能性/NHK NEWS WEB/2013.08.30 - 04:42 では、この "寿命" に関して一歩踏み込んだ実験と研究が紹介されている。

 <老化に関わる遺伝子を操作することで生物の寿命を延ばせる可能性があることを国立遺伝学研究所の研究グループが酵母菌を使った実験で突き止めました> という。そして、

 <生命維持に欠かせないタンパク質を作る「リボソーム」という細胞の中の器官に注目し、リボソームの遺伝子の働きを酵母菌を使った実験で詳しく調べました/ 酵母菌の老化が進むと、リボソームの遺伝子の中で特定の部分の働きが不安定になる> とある。

 ここまでは、"対(概念)" だと思われる "寿命" と "老化" との関係を踏襲していると見受けられるのだが、この先が興味深い点!なのである。
 <老化が進んでも働きが安定するよう遺伝子操作をしたところ、酵母菌の寿命は通常の2日間から3日間にまで延びた> というのである。

 つまり、"老化" の進行 = "寿命" が尽きる、という関係ではなくて、"老化" のプロセスで、"遺伝子操作"( "リボソームの遺伝子の中で特定の部分" への操作 )を加えると、"寿命は延びた" とされるのだ......。




















 自分自身もその傾向があるし、周囲を見回しても "そんな人" が少なくないのに気づかされる。
 いや、余程、"訓練(?)" をしている人やワケあって "自戒" している人などを除けば、ほとんどの人がそうだと言えないこともない。
 つまり、"自分のことを話すのが好きな"、そんなタイプの人がほとんどではないかということである。

 そして、"ひと(他人)の話を聴くことが好き" な人を除けば、そうしたタイプの人に接する時、心密かに、『この人は何と "自己中心" 的で、"自己顕示欲" が強いのだろう......』と感じて閉口しているのかもしれない。

 そうした "感じ" は、多分、当を得ていると思われるのだが、より厳密に、いわば科学的に解析するならばどう説明されるのだろうか、と考えることもある。

 下記引用サイト記事:なぜわたしたちは自分のことを話すのが好きなのか?:研究結果/WIRED/2013.08.23 は、そのメカニズムを "脳科学/脳生理学" の見地から解き明かしている。

 <人は自分自身について語るときには、生理学的に快感を得られることを発見/ その理由は、その行為が脳の快楽や満足に関係する脳の神経領域を活性化させるからだ。しかもこれは、話しているのを聞く相手がいなくても機能するメカニズム/ いわゆる報酬のメカニズムや快楽の感覚、セックス、コカイン、おいしい食事のような刺激にかかわる動機の状態と関係している脳の領域(の活性化)/ 実験の結果によると、脳の観点からすれば、自分自身について語ることは多かれ少なかれ自分のお気に入りの料理を食べているのと等価なのだ> という。

 とすれば、<お気に入りの料理を食べている> 時、"My favorite time" に水を差したり、さえぎることは禁物! ここは、"達人シェフ" さながらに、ニコニコ対応するに限るようだ。

 翻って考えるならば、"ノー・コスト" で、これほどに "根拠ある自己満足感" が得られる(与えられる)行為はほかにはあり得ないのではなかろうか
 だから、自身での援用もさることながら、"応用範囲は広い!" はずだ......。高齢者の "こころのケア!"、苦悩多き若者たちの "鬱屈解放!"、そして "交渉人(こうしょうにん negotiator)" にとっての "必殺技(?)"、もちろん "セールスマン" 必携アプローチの "ラポール (rapport)" などなど......。

 医療の現場では "MRI" が使われることはめずらしくなくなった。( あの "工事現場の騒音" のような音を立てるヤツである )外科的な手術を行わずに体や脳の断面画像を得ることが出来るからだ。

 この "MRI" に対して、"fMRI(機能的磁気共鳴画像診断装置)" というものがあり、あるものを見たり考えたりする時に、"脳のどの領域が活動しているかなどの活動状態" をリアルタイムで画像化(動画化)する装置だそうである。―― "f"="functional"。聞くところでは、犯罪者の脳活動の検査にも利用されているとか......。

 この "fMRI" を駆使して、被験者が「見ている文字」をデコード(解読)することに成功した、というのが、下記引用サイト記事:脳スキャンで「見ている文字」の解読に成功/WIRED/2013.08.22 が伝える主旨である。

 まさか、いくら高性能な "fMRI" であっても、脳( "後頭葉" )に "浮かび上がった文字" を読み取る、というマンガ的な構造ではない。その "仕組み" は以下のようである。

 <形状認識とアルゴリズムのトレーニングを組み合わせ、人間が文字を見たときに生じる機能的磁気共鳴画像(fMRI)の信号の変化を理解するよう、アルゴリズムに学習させる方法を用いたものだ

 つまり、「見ている文字」⇔ "視覚刺激として後頭葉において生じたパターン変化" との間の "1対1の対応関係" を、考案された "アルゴリズム" で結び付ける......、というふうに理解できそうである。

 大した研究成果だと先ずは感心させられる。
 が、貪欲な自分としては、願わくば、「見ている文字」の "デコード(解読)" ではなくて、被験者が「思い描いた文字」が "デコード(解読)" されてこそ、拍手喝采! なのではないかと......。
 その辺の事情については次のように伝えられている。

 <ただし、これは人間の思考を読み取ることとは違うと、ファン・ヘルフェン氏は注意を促した。後頭葉は外的刺激に反応を示し、それゆえ後頭葉において知覚の解読が可能であることはよく知られているが、同様の刺激を想像するだけで後頭葉に何らかの効果が生じるかどうかはわかっていない> と。

 もしこうした "一段上" のケースが可能となるならば、身体に重篤なハンディを背負った人の、画期的な意思伝達手段につながって行くに違いない......。

 "血液のがん" とも言われる "骨髄性白血病" は、<国内で年間1万人以上が発症しているが、骨髄移植しか根本的な治療法はない。遺伝子の働きを調節する遺伝子や、RNAの合成に関わる遺伝子の異常が原因になることが分かっていた。>( 骨髄性白血病の原因、遺伝子の異常特定 京大など/京都新聞/2013.08.19 - 02:10 ) とされている。

 こうした "骨髄性白血病" の "発症を抑制している遺伝子(STAG2)" が突きとめられたという。"骨髄移植" しか根本的な治療法がなかった現状にあって、こうした "がん抑制遺伝子" が特定されたことから、<診療や治療薬開発に役立てられる> と大いに期待されている......。

 先日、十日余りの入院(胆石/胆嚢炎)を余儀なくされたが、その際、同室の患者さんの中に、"火野 正平"(NHKの「にっぽん縦断 こころ旅」)のトレードマークの "被り物(ボヘミアンズ?)" らしきものを被っておられた方が複数おられた。

 話をしてみると、"肺がん" のため "抗がん剤治療" をされているとのこと。"脱毛" のための "被り物" だと......。しかし、 "抗がん剤" も回数を重ねる毎に効き目が弱まっていくと嘆いておられたことが印象に残った。

 周囲を見回すと、自分の知り合いの中には、"肺がん" の治療している方が少なくないことに気づく。

 下記引用サイト記事:再発しやすい肺がん、発見方法を開発 年内にも臨床試験/朝日新聞/2013.08.18 - 09:44 によれば、<毎年10万人が新たに診断され......> ているというから相当な発症率のようだ。しかも、<死者が最も多いがん> だとされる点にも注意が向かう。

 一般的に、"早期発見" されて<現在は早期の肺がん治療は手術でがんを切り取るだけで、抗がん剤治療はしない> で済む場合が多いとも言われている。

 だが、問題は、"術後" 、不幸にも "再発" するケースなのだそうで、そんなことならば引き続き "抗がん剤治療" を受けておくべきだったと......。

 下記引用サイト記事は、こうした "再発" の可能性、<再発するタイプの肺がんを見つける方法> に焦点を合わせて、その "発見方法" を開発したという内容なのである。

 その "発見方法" を成り立たせているのが、<ACTN4」という遺伝子> の量と、この<ACTN4がつくり出すたんぱく質の量> の "多寡(たか)" なのだという。これらの "量" を検査することで診断するのだそうだ。

 <たんぱく質が多い人は少ない人よりも5年生存率が低かった> というシビァな結果が出ているとのことであり、<「検査で再発しやすい患者を見つけ、手術後に抗がん剤治療などを加えれば、がんの再発を減らせる」> というのである。

 この検査が臨床で実用化されることにより、これまで以上に "早期発見 → 切除" という措置が重要な意味を持つことになりそうだ......。

 "人間の脳" の働きに関しては、さまざまな面で驚かされるが、その一つに、"人の顔の識別" とその記憶という点がある。

 無数の人々が行き交う街の雑踏の中からでも、知り合いの者の顔であればほぼ確実に見分けられるのが人間であり、赤ちゃんでさえ身近な者を正確に見分けて反応する。
 また、こうした当たり前の事実を踏まえて、"犯人の顔の目撃" が犯人捜査の上で重要な証言ともされるわけだ。

 まあ、歳をとると、"人の顔の識別" は可能であったとしても、その人の名前を失念してしまうという不始末があったりするが、それは取りあえず "人の顔の識別" の範疇ではなさそうだ。

 考えてみれば、"人の顔" という "映像情報" は、情報量の観点からすれば、多分、膨大な規模であるに違いない。その情報を、ほとんど瞬時に処理して識別しているのだから、やはり驚くべき能力だと思われる。

 この能力に関連するのかどうか、つい先日、ちょっとした報道があった。< ブラッド・ピット、人の顔が覚えられない? 米誌に告白/CNN/2013.05.24 > である。<「相貌失認(そうぼうしつにん)」の症状> だと説明されてあった。実は、意外に多い疾患なのだそうである。

 ところで、"人の顔" に反応する脳の部位は、"側頭連合野" だそうであり、そこに「顔細胞」と呼ばれる "神経細胞" があると言われている。ただし、解明されるべき課題が多々残されているようである。

 下記引用サイト記事:チンパンジー:右脳使い顔認識 「人間と同じ」京大霊長研/毎日新聞/2013.08.14 - 12:26 が伝える研究成果は、こうした課題に少なからぬ手がかりを与えるものとして注目される。

 <京都大霊長類研究所の足立幾磨助教(比較認知科学)の研究グループは、チンパンジーが相手の顔を認識する際、人間と同様に右脳を使っていることを実験で確認したと発表した。14日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス電子版に掲載された。顔を認識する仕組みが人間と極めて近いことが分かり、顔の認識の進化過程を探る手がかりになるという

 この研究が興味深いと思われた点は、<映像を認識する右脳には左側の視野の情報が先に入るため、左半分の情報が印象に残る> という点に着眼して、<人間の顔は左右対称ではないため、顔の左半分や右半分の画像を使って左右対称の顔写真を合成> することで、被験者であるチンパンジーのための "顔の識別用テスト素材" とした点であろう。

 いずれにしても、"他者の顔の識別" は、ヒトにせよチンパンジーにせよ、生存競争上で重要な意味( 敵か味方か? 感情の推測? )を秘めているため、長い進化の過程で着実に培われてきたものだと解釈される......。

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