"ソーシャルメディア" は、しばしば "つながり" というキーコンセプトで了解されている。また、その "つながり" は "コミュニティ" としての性格が色濃いことも指摘されているところだ。
リアル社会(←→ネット社会)での家族・地域社会・学校・職場などの "リアル・コミュニティ(自生的コミュニティ)" が、その凝集性や吸引力を弱めているだけに、ネット社会での "ソーシャルメディア" が "ニュー・コミュニティ(バーチャル・コミュニティ)" として熱い眼差しで見られているとしても不思議ではない。
だが、"ソーシャルメディア" とはどんな特色を秘めた "コミュニティ" であるのかについての詳細は意外と語られることがないようだ。
"コミュニティ" の基軸とされてきた "血縁・地縁・職縁" に替わり、どんな基軸が働くことで、どのような特色や性格が付与されるものなのか......。
この点についての考察は、マーケティング云々の領域の課題以前に、現状の社会が、人間社会の原点である "縁" を喪失した "無縁社会" に急接近しているだけに、もっと関心が寄せられて良さそうだと思われる。
こうした文脈において、"ソーシャルメディア" 参画者たちの(友達)意識についての調査結果が、下記引用記事のごとく発表されていた。詳細については、下記引用記事並びに当該サイトを参照していただきたい。
その調査結果を、"コミュニティ" 問題に焦点を合わせて眺めてみると、何と言っても次の点に注目せざるを得ない。
<ソーシャルメディアで参加しているコミュニティの種類は、トップが「趣味」つながりの65%、続いて「学校」の54%、「地元や家族」の40%となりました。現実生活におけるコミュニティを、必ずしも現実生活だけのつながりではないコミュニティが上回る結果になりました。>
現在の生活周辺や社会事象を思い浮かべれば周知の事実となり始めているかに思えるが、"ソーシャルメディア" 参画者たちにとっての "コミュニティ" 選択が、"リアル・コミュニティ(自生的コミュニティ)" よりも、ネット上の "ニュー・コミュニティ(「趣味」つながり)" へとシフトし始めているとする点は、これが調査結果であるだけに着目に値すると思える。
リアル社会で、"つながり"="コミュニティ" の生彩が乏しいが故に、<共通の「趣味・関心事」等で結びつき、お互いの同質さを確認しあうこと>を出発点としたネット社会での "ニュー・コミュニティ" 参画へと向かっているかのようである。
ただ、この "ニュー・コミュニティ" には "自生的コミュニティ" が備えていた "直接的接触" や "暗黙の了解" などが無いため、<ネットでの振る舞い方>については "気を使う" 部分も少なくないようである。<「なるべく空気を読む」が44%と一番多くなりました。>とある。"同質性" キープのための "気遣い" と言ったところか。
ふと思うのは、家族という "コミュニティ" には、"血縁" という "自生的" な関係に基づく "親子関係" と、"愛情と契約" という "選択的" な関係である "夫婦関係" とが重なっているという事実だ。
ネット社会での "ニュー・コミュニティ" を、"気遣い" も不可避の "夫婦関係" 的 "コミュニティ" に譬えてみたりして......。
以上のほかにも、この調査結果から考察可能なポイントは多々ありそうだ。いずれにしても、生活現場を含めた世界が、ますますリアル社会とネット社会との "二重化" を強め、人と人との "つながり" の原点である "コミュニティ" の "再構築" が始まっているかのようだ......。
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