政治経済一般: 2012年9月 アーカイブ

 中国経済の厳しい現状と今後については、つい先日も以下のとおり書いた。

政経不可分の中国リスクが強く意識されだすなか、中国株の代表的指標である上海総合指数の動向が焦点となっている。2007年の高値の3分の1の水準に沈み、からくも2000ポイントを維持している。2000ポイントを割り込むようだと、リーマン・ショック後の09年初以来、中国経済は警戒水域に入る
 今回の事態が深刻なのは、中国当局が9月に1兆元(約12兆円)の景気対策を打ち出したにもかかわらず、株価の低迷が続いているからだ。2回にわたる政策金利の下げも、空振りに終わっている。
......>( 中国は"世界の工場(低廉な労働力)"の"Nextへの道"(=外資による技術移転)を閉ざすか?( 当誌 2012.09.25 )

 こうした観測のある中、中国当局のメンバーによる現状認識が伝わった。
 下記引用サイト記事:中国は世界の景気減速を甘くみていた=人民銀金融政策委員/REUTERS/2012.09.28 によれば、インタビューに応じて以下の二点が示されたという。

 .<「われわれは外部の経済環境の厳しさを甘く考えていた」>

 .<「金融政策はジレンマに直面している。(人民銀行は)経済成長を安定させる必要がある一方で、不動産価格の問題を強く懸念している」>

 ユーロ圏外需に大きく依存している中国にとって、なかなかスッキリとした出口が見えてこない "ユーロ圏債務危機" 問題は、想定外でもあろうし、大きな打撃でもあるに違いなかろう。
 また、"金融緩和" と "不動産バブル(インフレリスク)" の両睨みが強いられた "金融政策ジレンマ" という課題も計り知れない困難さに満ちている。

 これらの経済悪化情勢や、指導体制移行期の緊張もあってか、"尖閣諸島" 問題がことさら加熱させられているかに見える。
 中国経済の落ち込みは、決して小さくはない日本側にとっての "経済的打撃" ともなっているが、先方の "足元" から視線を外さないことが肝要か。何やら日中関係は "我慢比べ(?)" の様相を帯びてきた感じがありそうだ......。




















 今日の日経平均株価の反落( 前日比145円安の9086円 )は、投資家以外の多くの人に失望感と苛立ちとを与えているようだ。
 前日、"日銀による追加緩和実施の発表" で久々に大幅 "反発" を見せていただけに、小さくない失望感を誘っている。"日銀対応" でもダメか......、という諦め感にも似た失望か。以下のような記事がそれを伝えている。

 20日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反落した。前日比145円23銭(1.57%)安の9086円98銭で引け、日銀が追加緩和の実施を発表した前日の上昇分(108円)を帳消しにした。......>( 「株、日銀の追加緩和前に逆戻り 円高と中国懸念で 日中緊迫じわじわ重荷に」/日本経済新聞/2012.09.20

 20日午前の東京株式市場で日経平均株価は反落した。前日は日銀が追加緩和策を決定し円が売られたことを好感して上昇したが、効果は1日しか持たなかった。グローバルで見れば直近で日米欧の中央銀行がそろって追加緩和策を......>( 「日本株、トリプル緩和でも諦めムード 出遅れシナリオ現実味」/日本経済新聞/2012.09.20

 この間の "反日デモ" 問題や "チャイナリスク" の影響も、という見方もあるようだが、やはり "手強い円高" 現象を主要因だと見た方が妥当かもしれない。

 下記の【 引用記事 1 】では、<日銀の追加緩和も、欧米中銀に比べて見劣りするとの辛口評価が海外では多く、円高が進んで日本株を圧迫している>と指摘されている。

 "中国における反日デモに伴う混乱" のニュースが人々の眼を釘付けにしている。このニュースは国内のみならず海外でも少なからず取り上げられているようだ。( 時あたかも "反米デモ" 問題を抱える米国ではやや小さく扱われているともいうが )
 この種の問題は感情的レベルで無用に "加熱" しがちとなる。そして、そうなればそうなるほどに問題は拗れる。

 ここは、ひたすらクールダウンして、この問題へのアプローチは、"経済問題" の側面に限定しておくべきだろう。
 "「戦略的互恵関係」"( 注.「日中両国がアジア及び世界に対して厳粛な責任を負うとの認識の下、アジア及び世界に共に貢献する中で、お互い利益を得て共通利益を拡大し、日中関係を発展させること」――外務省 )の視点と言えば聞こえは良いが、要するに、両国の "密接な経済関係" とそこでの "互恵"/"互損(?)" の視点に照らして考えることしか "合理的なアプローチ" はないと思えるからだ。

 下記引用サイト記事:「コラム:反日デモで日本経済下押しも、対中投資見直しの契機に」/REUTERS/2012.09.18 は、その点では参考になるとともに重要だと思えた。

中国における反日デモの激化は、日中双方の経済にとってマイナスになるだけ>( "互損(?)" )という "読み" から、両国が事態の "鎮静化" に努力すべきだとする、いわば "良識" 的な考察である。
 その "読み" を裏付ける点としては、以下が指摘される。

自動車・IT関連で部品輸出減の可能性>が、日本側での<対中依存高い企業、業績下振れリスク>を招くと同時に、中国側のダメージとして<対中投資、見直しの契機になる可能性>が、日本だけではなく、日本以外の外資系企業にも及ぶであろう点。
 また、中国経済の現状と今後が決して安定しているわけではなく、一方で<欧州債務危機の影響で、主力の欧州向け輸出が前年比マイナス/足元での調整局面を長引かせている>点や、他方で<急速な高齢化=中国経済の成長性が、急速に低下するリスク>などに目が向けられ、ここで<反日デモの激化>継続ということになれば、状況悪化が深まりかねない点。

 こうした "経済関係" 上の問題が、ただちに事態収束に向かわせることにはなりにくいのが "領土問題" に関する "外交" であり、<日中関係の緊張が長期化するリスクは、相当に高まって>おり、<多様な危険性を抱える世界経済にとって、新たな「火薬庫」を抱え込むことを意味する>との懸念が......。

 政府に何を望みますか? という問いに対して、しばしば、われわれは "景気回復"!と答えがちだ。確かに、"失業率" が低下するような景気が望ましいに違いない。
 しかし、もうそろそろ、"景気回復" というような "玉虫色" の言葉に寄りすがるのは止めるべきかもしれない。
 "株価上昇傾向" に軸足を置いた "景気回復" が、必ずしも庶民の期待する "景気回復" の実現には繋がらず、かけ離れがちだからだ。
 端的に言って、この時期の "物価上昇 = インフレ傾向" は、事実上 "実質賃金" の低下、年金生活者にとっては痛打以外ではなく、大半の庶民にとっては "やらずぶったくり" 効果しか伴わない可能性があるからだ。
 そうした状況が、 "景気回復" の名のもとで "金融政策" によって作り出されるとしたら、もちろん庶民は、テーブルに運ばれた "景気回復" の皿に向かって、これは "オーダーしたものとは違う!" と言わざるを得なくなろう......。

 下記引用サイト記事:QE3は「破滅的」「庶民の敵」... 米連銀がアンケート/日本経済新聞/2012.09.18 は、そうした構図を伝えているのだと思われる。
 話の中心には、先ごろの米国の金融政策である "量的金融緩和の第3弾(QE3)"( 参照:株価を押し上げた米国"量的緩和第3弾(QE3)"は"万能薬"か? "隠れた問題点"は?( 当誌 2012.09.17 ) )が見据えられている。

 要するに、FRBが米景気の下支えに決意を示して踏み切った "量的金融緩和の第3弾(QE3)" は、米株式市場からは好意的に受け容れられたものの、、一般市民からは酷評が下されているというのである。

一般市民の期待の乏しさが鮮明/ 「長い目で見て破滅的」との回答が全体の3割/ 過去2回にわたるQEでも米景気の回復が鈍く、市場にあふれる投資マネーが商品市場に流入し物価上昇を招いたとの警戒感が根強い/ FRBの政策が格差を助長する/ 回答の上位10位にはQE3への支持は見当たらず、「バーナンキ議長は辞めるべきだ」との過激な回答が105件と5位に

 世界経済の低迷と債務危機に業を煮やした各国は、こうした "金融緩和" 政策にいよいよ着手し始めており、日本でも "円高対応" と併せてそうした対応への要請がかけられている。( c.f.あすに予定された日銀の金融政策決定会合! )
 米国での動向を見る限り、少なくとも "株価上昇傾向" だけを見て安定した "景気回復" の到来、その足音だと "早とちり" することだけは避けたいものだ......。

 米連邦準備理事会(FRB、バーナンキ議長)による量的緩和第3弾(QE3)で、各国の "株価上昇気運" がもたらされている。
 しかし、一見、好ましいと見える一連のこの推移に "隠れた問題点" が無いわけではなさそうだ。気になる二、三の記事を抜粋引用しておきたい。

 その一は、格付け会社イーガン・ジョーンズによる<米国の信用格付けを「AA」から「AAマイナス」への引き下げ>という点。<「商品コストの上昇は、企業利益を圧迫し、消費者コストを押し上げ、消費者の購買力をも弱めることになる」>との指摘。(【 引用記事 1 】)

 その二、<インフレを引き起こすことなくいずれバランスシートを縮小させることができるとしているが、前例のない措置からの出口戦略がうまくいくかは不透明な点や<量的緩和により米国から余剰マネーが国外にあふれ出していると指摘。ドル安が他国の輸出産業への打撃となっている>点。(【 引用記事 2 】)

 その三、米国がすでに抱えている<年末に迫る「財政の崖」>や<年末に政府支出の強制削減が発動され、減税措置が失効する>という点などと議会との緊張関係の問題。(【 引用記事 3 】)

 要するに、必ずしも "用意周到" なかたちで選択されたとは言い難い施策が、今後どのような "副作用" をもたらすかは定かではないという "綱渡り" の様相である。
 そして、中国、日本を含むいずれの国々もこうした路線を踏襲する可能性が否定できないとすれば、"制御不能なインフレ" などが少なからず懸念される......。

 先日、目を向けた "無縁社員" 現象には、予想以上に多くの人が "憂え" の関心を寄せているようであった。

 ◆参照 濁流に押し流されているかの状態!"無縁社会/無縁社員"!"誰とも話さず一日終わる"!( 当誌 2012.09.06 )

 さまざまな理由があるはずだが、"壊れていく会社" とでもいう事態に対するやり切れなさという思いが共通しているのではなかろうか......。
 つい先ごろまでは、場合によっては家庭よりも強固な結束で求心力を発揮していた "職場集団" が、いつの間にか "誰とも話さず一日終わる" という寂しい現状へと変貌を遂げてしまえば、従業員としても、経営者としても今後への不安が募らざるを得ないはず。

 しかし、"異様な現状" はこれだけで済んではいないようなのだ。文字通り "壊れていく会社" の一側面である "リストラ" が、"今を救う" ことと引き換えに "厳しい将来" を招くことになっているようなのである。

 下記引用サイト記事:電機1万人削減、受け皿は中国 退職者"草刈り場"に/日本経済新聞/2012.09.08 では、この辺の戦々恐々とした事情が報じられている。

電機大手で相次ぐリストラ策国内で計1万人を超す人材が各社を去るが、その受け皿として採用を積極化しているのが中国企業日本の電機・IT(情報技術)業界が人材の草刈り場に日本企業からは人材とともに技術や顧客基盤が離れつつある......>

 "リストラ策" は、それを講じざるを得ない "電機大手" にとっては、まさに "背に腹は代えられない" 選択なのではあろうが、企業の将来にとって大きな禍根となるばかりか、<今の人材流出は長い目で国力の低下につながりかねない>という憂慮すべき事態となっている。

 昨日の "NYダウ平均" が "+244.52" であり、今日の "日経平均" が "+167.25" といった "上げ潮" イメージであり、よほど<欧州中央銀行(ECB)が国債購入を再開する新政策を導入したこと>( 下記の【 引用記事 1 】 )が好感されたようである。
 まあこれで、イメージだけではなくホントに "上げ潮" に転じて欲しいものであるが、果たしてそうなるのかどうか......。

 気掛かりとなる点は多々あるが、先ず気になったのは、【 引用記事 2 】である。
 何を今さらの表明......、という印象が禁じえない。まるで "空騒ぎ" をたしなめるかのように聞こえるからだ。

 欧州中央銀行(ECB)のアスムセン専務理事は7日、前日公表した債券買い入れプログラムには明確な条件がついていると述べた。
 独ラジオで同理事は「厳しい改革措置を当該国が受け入れた時に(買い入れを)実施する。これはECBが実施するにあたり必要な前提条件だ。ECBは責務の範囲内で行う」と述べた。
>( 下記の【 引用記事 2 】 )

 つまり、"ユーロ債務危機" というトンネルは、遥か彼方にチラリと出口の明かりが見えたに過ぎず、まだまだ難所が続くことを再度強調したカタチなのであろう。
 現に、焦点:ユーロ圏の運命握るスペイン、ECB求める支援条件に抵抗/REUTERS/2012.09.07 というリアルな動きも立ち上がっているようだ......。

 ここに来て、日本株/日本の景気は、あたかも独り "寄る辺" を失っているかのようだ。
 先週末の米国株の上昇(バーナンキ米FRB議長による追加緩和策の実施に含みを持たせる発言)ゆえに、今日あたりの日本株は上昇すると期待した者も少なくなかったのではなかろうか......。

 しかし、結果は、<日経平均は3日続落、1カ月ぶりに8800円割れ>( 下記【 引用記事 1 】 )という無残さ......。
 折からの<中国景気に対する警戒感>( 参照 中国の景況感悪化鮮明!輸出の伸び大幅鈍化!景気刺激と不動産バブル再発のジレンマ!( 当誌 2012.09.03 ) )に加えて、米国での "追加金融緩和策" への動きが日本にとっては "裏目" と出てしまった。
 つまり、"円高" 可能性、<円高警戒感>を誘発したということになるようだ。

 この点に焦点を合わせているのが、下記【 引用記事 2 】だ。

量的緩和第3弾(QE3)期待の強まりは米金利を低下させ、対ドルで円高が進んでいる>( 米緩和期待を歓迎できない日本株、米金利低下で円高懸念/REUTERS/2012.09.03 )というのである。

日本株の上値を押さえたのは円高懸念対ドルで78円台前半まで進行/「円高警戒などでソニー、パナソニックなどの電機株が売り直されている」>という。
 そして、<日本株だけが異なる動き>という見方となるわけだ。
 あたかも独り "寄る辺" を失っているかのような日本株/日本の景気の今後は......。

 つい先日、「中国は危険領域に入りつつある!"バブル崩壊&経済減速"への政策舵取りが著しく困難?」( 当誌 2012.08.23 ) と題し、中国経済が迎えている困難な状況について書いた。中国経済が、世界経済に及ぼす影響を懸念してのことである。

バブルが進んだ段階で金融引き締めの発動が遅れると、崩壊を遅らせ結果として大規模な崩壊を招くリスクがある/一方、大胆な引き締め策が経済を過剰に殺す可能性についても懸念
 そして、こうした状況を<悪性のバブル>と見据えた上で、それが<崩壊する過程で何が適切な政策かは「ほとんどわからない」>と指摘されている。>(同上)

 ところが、相変わらず中国経済は混迷の中にあるようだ。
 下記引用サイト記事:中国の景況感、悪化鮮明 製造業指数50割る 新規受注が減少/日本経済新聞/2012.09.01 によれば、

8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)前月比0.9ポイント低下の49.2と、景気の拡大、悪化を判断する節目となる50を昨年11月以来9カ月ぶりに下回った。/予想を超えた中国経済の悪化新規受注の減少で生産活動が低迷する構図

とあり、

中国の最大の貿易相手である欧州の債務危機で輸出の伸びが大幅に鈍化

に注意が向けられるとともに、再び以下の点が懸念されている。

預金準備率の引き下げなど、景気刺激に向けた一段の金融緩和は不動産バブルを再発させる可能性がある

 今月が正念場だとも言われている "欧州債務危機" 問題とともに、この推移と抜き差しならぬ関係にある "中国経済" の成り行きからは目が離せない......。

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