政治経済一般: 2013年9月 アーカイブ

 世界的に "賃金下落圧力" が高まっている、とされる。
 そして、ここから "物価下落圧力の高まり!" が引き起こされるという。端的に言えば、"デフレ化" とも言えそうだ。

 この趨勢が、"2年間で2%の物価上昇達成=デフレ脱却" という目標を掲げたアベノミクスに、ただならぬ暗雲をもたらしていると指摘されている。

 この点に関しては、一昨日も以下のように注目したばかりだ。

 <賃金の大幅な上昇がなければ、2年で2%の物価上昇目標の達成が難しいという見方が多くなっている....../ 市場関係者の間では、物価が日銀の想定ペースでは上がらないとのコンセンサスがで形成されつつある/ 今後は伸び悩むとの見方が多い/ 大幅な賃上げなどが実施されない限り、日銀の見通しは達成が難しいとの見方が、民間エコノミストの間では多くなっている>( デフレ脱却=物価上昇目標達成が難しい見通し!日銀追加緩和か?! 賃金の大幅上昇が鍵!( 当誌 2013.09.28 )

 ただし今回着目する点は、この "目標" の前に "立ちはだかる障害" が、"半端ではない!" という点なのである。

 下記引用サイト記事:コラム:欧米で高まる賃金低下圧力、日本の物価目標に黄信号も/REUTERS/2013.09.27 - 16:22 によれば、その "障害" は、大きく "2点" に集約されそうである。

 (1) 世界的に起きている賃金の平準化の動き新興国で生産された安い製品と価格面で対抗するため、賃金などの固定費をカットする傾向>) 物価下落圧力の高まり!

 (2) 非正規社員の割合は年々増加しており、正規社員に比べ年収の水準が低い非正規社員の割合が増加することで、賃金水準の平均が下がる傾向に拍車がかかるリスクも高まる 物価下落圧力の高まり!

 では、これらの "障害" が、なぜ "半端ではない!" のか?

 一言で言えば、これらの "障害" は、"現行世界経済の基本フレーム!" と密着している、からだと言える。

 つまり、(1) にせよ、(2) にせよ、"グローバリズム経済" という現行経済とは "不可分の現象" なのであり、これらだけを "都合よく回避する" わけには行かない現象だからである。
 したがって、現政府が<賃上げした企業の法人税減税や復興特別法人税の前倒し廃止の検討など> を推進したところで、"賃金水準の上昇 物価水準の上昇" が起動していくとは考えにくいわけだ......。




















 庶民にとって、"消費者物価" の上昇は好ましいはずがない。まして、"消費増税" が間近に控えているのだから、尚のことであろう。
 しかし、安倍政権が掲げた "デフレ脱却=2年で2%の物価上昇目標" からすれば、とにかく "消費者物価" が速やかに上昇しなくてはならないという。

 その "消費者物価" の "指数" は、"プラスに転じ、上昇傾向" にあるとされるものの、必ずしも順調ではなさそうである。
 いや、"伸び悩み" 傾向もうかがえようであり、このままでは "目標達成が難しい!" とする見方さえ少なくないという。

 そして、庶民にとっても、"物価上昇" に対しては、"賃金の上昇" こそが不可欠と受けとめられているわけだが、政権側の目標達成にとっても、今や、この "賃金の上昇" が不可欠だと強調され始めたようである。

 下記引用サイト記事:アングル:広がる日銀追加緩和期待、一部に「来年1月」の声/REUTERS/2013.09.27 - 15:59 は、その実情を以下のように報じている。

 <日銀が来年初めにも追加金融緩和に踏み切るのではないか、との観測が市場関係者の一部で浮上している。賃金の大幅な上昇がなければ、2年で2%の物価上昇目標の達成が難しいという見方が多くなっているためだ/ 市場関係者の間では、物価が日銀の想定ペースでは上がらないとのコンセンサスがで形成されつつある/ 今後は伸び悩むとの見方が多い/ 大幅な賃上げなどが実施されない限り、日銀の見通しは達成が難しいとの見方が、民間エコノミストの間では多くなっている

 こうした状況であるため、"物価上昇=インフレ化" を加速すべく、<日銀が来年初めにも追加金融緩和に踏み切るのではないか、との観測> が浮上し始めているというのである......。

 ここに来て、"米ダウ平均株価"が冴えない動きを続けている。
 最新状況は次のとおりだ。

 <24日のニューヨーク株式市場は、アメリカの住宅価格や製造業の景況感を表す経済指標が市場の予想を下回り、中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が今の量的緩和をいつ縮小するのか先行きに不透明感が強まったとして、売り注文が目立つ展開になりました。このためダウ平均株価は、前日より66ドル79セント安い1万5334ドル59セントで取り引きを終え、4営業日連続の値下がりになりました。>( NY株 4営業日連続で値下がり/NHK NEWS WEB/2013.09.25 - 08:29

 直接的なきっかけは、<今の量的緩和をいつ縮小するのか先行きに不透明感> が生まれたからだとされるが、それだけでもなさそうで、どうも全体の "雲行きが怪しくなってきた" という表現が当りそうな気配だ。

 下記引用サイト記事:アングル:見直し迫られるドル高/円安シナリオ、年末予想修正も/REUTERS/2013.09.24 - 12:51 によれば、"楽観を許さない推移(?!)" のようにも読める。

 <為替市場で、ドル高/円安シナリオが見直しを迫られている。米国の量的金融緩和(QE)縮小の見送りをきっかけに、米経済に対する疑念が浮上。米金利も低下し、ドルのサポート体制が揺らいでいる/ 投機筋はいったん様子見。年末時点の予想を修正する金融機関も増えてきた/ ここへ来て、米国の景気の雲行きが怪しくなってきたことに加え、これまでの米景気回復が本物だったのかと疑問を呈する声も上がっている/ 米雇用の回復が鈍い/ 住宅市場にも不安が強まっている/ 10月のリスクは円買戻し方向/ 下値のメドは95円割れの水準/ アベノミクスの進展も不透明ななかで、これまで執拗に(ドル/円の)押し目買いを続けてきたファンド勢も、次第に興味を失いつつあるようだ/ 現時点では「ドルを大幅に持ち上げるのは至難の業」(投資家)との意見が多い> と。

 差し当たって、日本の株式市場でも、<日経平均株価、25日の終値は、24日より112円8銭安い、1万4620円53銭>( 株価 先行き不透明で値下がり/NHK NEWS WEB/2013.09.25 - 15:59 ) という反応が現れているが、日米株価の今後の動向が気になるところだ......。

 国際舞台( 国際オリンピック委員会[IOC]総会 )で、安倍首相が "切った大見得" ! どうせ、こんなことではないかと思っていたが、やはり "官僚作文" の "読み上げ" 以外ではなかったようだ。

 下記引用サイト記事:安倍首相「0・3平方キロはどこ?」/現地視察の際、東電幹部に/範囲知らず発言か/共同通信/2013.09.21 - 12:14 は、そうした事実を "淡々と報じて" いる。

 <東京電力福島第1原発の汚染水問題をめぐり、安倍晋三首相が19日に現地を視察した際、放射性物質による海洋への影響が抑えられていると説明する東電幹部に、「0・3(平方キロ)は(どこか)」と尋ねていたことが20日、分かった
 首相は東京五輪招致を決めた国際オリンピック委員会(IOC)総会で「汚染水の影響は港湾内0・3平方キロの範囲内で完全にブロックされている」と説明していたが、実際の範囲がどの程度か理解しないまま発言していた可能性がある


 東電の<小野所長は港湾出口に灯台があることを示しながら広さを説明> とあるが、ふと、「灯台下(もと)暗し」ということわざを思い起こすのは私ばかりではなかろう......。

 どうして、このような "税金のムダ遣い!" × "弱者作業員いじめ!" × "復旧作業遅延!" に対して、国は "ビシッとした有効な対策" を講じることができないのか?! いわゆる "ブラック企業" そのものではないか!

 "汚染水処理" 問題での "ダラダラぶり" を嫌と言うほどに見せつけられている国民にとっては、皮肉なことに、特別の違和感も催さず、ただただ「ここでも、またか......」という思いとさせられるだけかもしれない。

 しかし、そう突き放したことを言っていられないのが、"原発事故汚染除染作業" であろう。と言うのも、多分、"この作業" は今後、"廃炉" 作業をも見渡すならば、これから何十年も継続することになりそうだからである。

 ややもすれば、この "ダーティな現象" は、"民間の悪徳業者による仕業" だとして片付けられかねない。しかし、果たしてそれで済むことであろうか?
 むしろ、原発事故の復旧/復興に責任を持つ国、政府が、より効果的な "除染作業" を追及する方針から、これを妨げて余りある "ダーティな現象" を排除するのがスジではなかろうか。

 下記引用サイト記事 【 引用記事 1 】:除染賃金「中抜き」横行 国の手当は形骸化/河北新報社/2013.09.22 - 日曜日 は、"「中抜き」横行" の実態を報じている。

 <東京電力福島第1原発周辺の国直轄除染地域は放射線量が高いため、通常の賃金に加えて国から1日1万円の特殊勤務手当(除染手当)が支給されるにもかかわらず、それ以外の市町村担当地域と比べると、作業員の平均日給の差額が4500円しかないことが21日、福島労働局への取材で分かった。/ 業者側は手当を支払う一方で賃金を引き下げて事実上の「中抜き」を続けているとみられ、除染手当が形骸化している実態> だという。

 また、下記引用サイト記事 【 引用記事 2 】:福島の作業員 線量知らずに除染 被ばく量も通知なし/東京新聞/2013.01.18 は、幾分古い記事ではあるが、"「中抜き」" に加えて、"安全管理規則に違反" という事実も潜伏している実態を報じている。

 <国直轄の除染事業で、受注した業者の一部が、作業員らに現場の放射線量や被ばく線量をきちんと伝えていない実態が、本紙の作業員らへの取材で分かった。除染作業は被ばくの危険を伴うため、適切な安全管理が不可欠だが、現場の実情は、国の規則に違反しているだけでなく、作業員の健康への影響が懸念される> と。

 こうした "実態" が、きちんと国民に伝わっていたならば、聡明な国民は、この "杜撰さ!" を厳しく批判するに至ったことかとも思われる。如何せん、"政府広報誌!" となり果てしまった主要メディアは、"アベノミクス万歳" ばかりを垂れ流してきたのが実情だった......。

 多くの国民が、"消費増税" は、現在の "財政赤字" の是正、"財政再建" のためにはやむを得ないと考えてきた。まさに、本来の "消費増税" の根拠は、そうであったし、とりわけ "社会保障の充実" のためという強い意向があった

 ところが、"現自民党(公明党)政権" は、言葉巧みに、国際公約でもある "財政再建" 目標を押し退けて、"公共事業の拡大"(一時的景気対策!)を行う構えでいる
 かつての "自民党政府" が、繰り返してしがみ付いて押し進め、失敗の挙句、"財政赤字" 拡大をももたらしたのがこの "公共事業拡大" という "一本槍!" 経済政策ではなかったか!
 "消費増税" や "東京オリンピック決定" を "千載一遇の機会" として、ここでまた、まったく同じ "一本槍!" 経済政策が再現されようとしている

 不思議に思えるのは、こうした、ただただ "財政赤字拡大"="将来へのツケ増大" でしかない "一本槍!" 経済政策ではなく、なぜ、アベノミクスの「3本目の矢」=「成長戦略」で勝負しようとしないのか? という点である。
 が、要するに、それが "不可能!" であることを自認するに至り、かねてからの "公共事業拡大" という "一本槍!" 経済政策によりすがるしかないというのが実態なのではなかろうか......。

 その "大義名分" の名目として、"消費増税" や "東京オリンピック決定" が利用されているといった様子は、冷静な国民の目からはありありと見えるというものであろう。

 ちょっと以前に、"東京オリンピック決定" が "公共事業拡大"( "拡張主義" )に利用される可能性の高いことを、以下のように懸念したものである。

 ◆ 参照 <......東京五輪に合わせて、大規模な社会インフラを建設したいという政治的気運が高まらないとも限らない。2度の消費税増税では賄えないくらいの財政負担が生じれば、20年の基礎的財政収支の黒字化計画はあえなく頓挫してしまう
 幾度かの選挙を経たとして、財政再建の堅持と東京五輪を天秤にかけて、拡張主義の魅惑を我慢し続けられるのだろうか。東京五輪は、日本経済を復活させる幸運の女神のままでいられるのか、それとも拡張主義に走らせる罠になるのであろうか。くれぐれも慎重であってほしい
>( 東京五輪決定は期待するほどの"経済効果"があるのか?逆に"拡張主義"へと走る危険も?! [当誌 2013.09.13] )

 事ほど左様に、現自民党(公明党)政権は、"消費増税" をもって、またぞろ "公共事業拡大" という "一本槍!" を振り回すつもりでいるようである。"景気回復" さえあれば、"財政再建" は自ずから叶う、と言わぬばかりに......。
 しかし、その構えは、「一発、当てさえすれば、すべて逆転!」と "うそぶくギャンブラー" の素振りと極めて似ているとしか思えない。

 下記引用サイト記事:消費増税して財政は大盤振る舞い これでは一体何のための増税か/DIAMOND online - 森信茂樹の目覚めよ!納税者/2013.09.20 では、この辺の推移が孕む "危険さ!" を分析している。

 <安倍政権は、消費税率引き上げと引きかえに、3%の増税のうち2%分を経済対策で還元するという。/ 大盤振る舞いの背景には、公共事業の拡大などを目論む古い自民党が見え隠れする。/ しかし、補正予算で兆円単位の新規国債が追加発行となった場合、2015年度にプライマリー赤字を半分に減らす、という国際公約の財政目標(第1段)が達成できないことがほぼ確実/ このような垂れ流しの政策が行われれば、構造改革の進まない、赤字垂れ流しの日本として、市場から「日本売り」というしっぺ返しを受ける

 <市場から「日本売り」というしっぺ返し> という指摘は、"メディアの偏り" によって、とかく "我田引水" の世界像をつくりがちなわれわれ日本人が、もっとクールに受けとめて良さそうな事態なのではなかろうか......。

 誰もが懸念したのではなかろうか ?! "猛暑" の今夏、さぞかし "電力の需要と供給" との関係が、"緊張関係" に陥ったのではないか、と。

 たとえ、<政府は今夏震災後初めて数値入りの節電目標を定めず、節電PRも控えめ>(下記引用サイト記事:東電 使用率95%超す日なし/東京新聞/2013.09.16 - 朝刊 )だったとしても、庶民は "家計自衛" のため "節電" に努めた

 しかし、度外れた "猛暑" は、そんな庶民の努力姿勢を嘲笑い、庶民の努力姿勢を揺さぶり続けた
 そして、やむを得ず庶民は、"クーラー" に頼ることにもなったが、"その後ろめたさ" から、『さぞかし "電力の需要と供給" との関係が、"緊張関係" に陥ったのではないか』と心配するに至ったはずだ......。現に、自分自身もその一人だと告白する。

 ところが、どうも、"心配する逼迫" は生じなかったようである。

 <今夏、西日本を中心に記録的な猛暑日が続いたが、電力不足は回避できそうだ。本紙が原発のない沖縄を除く電力九社の電力需給を調べたところ、東日本はかなり余力があり、西日本では一部で厳しい日もあったが、大半は問題なかった。この間、動いていたのは関西電力大飯原発3、4号機の二基のみ。ほかの電力会社は原発なしで猛暑を乗り切った> とある。

 特に注目したい点は、<この間、動いていたのは関西電力大飯原発3、4号機の二基のみ。ほかの電力会社は原発なしで猛暑を乗り切った> という記述の "原発なしで" という箇所である。

 "原発推進" を推し進める政府ほか "推進派" は、ややもすれば、この "猛暑下での電力需給逼迫!" という事実を所望していたのかもしれない......。「でしょ? それ故に "原発" は不可欠なのです!」と、そう喧伝したかったのかもしれない......

 しかし、"意に反した事実" が表面化することになった。<需給だけをみれば、原発は必要ないことがはっきりした> と。
 とすれば、この後に登場するのは、「"原発" なしの場合には、"電気料金の値上げ" は避けられません!」というシナリオになるのであろうか......。

 最初に、下記引用サイト記事 【 引用記事 2 】:東電 海のセシウム濃度を2年近く低く公表/NHK NEWS WEB/2013.09.14 - 04:10 に注目しておいた方がよさそうだ。

 <東京電力は、福島第一原子力発電所の近くの海で、2年近くにわたって放射性セシウムの濃度を誤った方法で測定し、実際より低く公表していたことが分かりました/ 原子力規制庁の職員に指摘され正しく測り直した結果、公表していた値は、1リットル当たり実際より数ベクレル程度低かったことが分かりました

という信じ難い事実である。

 その事情を、<東京電力は「測定時に周辺の放射線の影響を誤って見積もったために正しく測れていなかった」と説明> しているとのことだ。
 ここは、<「初歩的なミスだ」> とする "会合に参加した専門家" の言葉を了解しておくが、"情報コントロール" ではなかったのか? という疑義の念が打ち消し難く残るのも事実だ......。

 ことほど左様に、"東京電力福島原発の "汚染水" 処理問題" は、今や "不信と疑惑の坩堝" と化している......。

 そして、こうした "不信と疑惑" の思いが、あたかも "逆撫でされる" かに響いたのが、安倍晋三首相のあの公式発言、「状況はコントロールされている」だったわけだ。
 というのも、"東京電力福島原発の "汚染水" 処理問題" のリアルな現状からすれば、この発言こそは、"情報コントロール" 以外の何ものでもなかったからだ。
 下記引用サイト記事 【 引用記事 1 】:安倍首相と東電幹部、汚染水制御の認識でズレ 衆院は閉会中審査へ/日本経済新聞/2013.09.14 - 00:16 は、公式的な "東京電力による現状認識" を報じることによって、根拠希薄であった "安倍首相発言" 内容との "ズレ!" を浮かび上がらせている。

 <東京電力の山下和彦フェローは13日、福島県郡山市で開いた民主党の会合で、福島第1原子力発電所の汚染水漏れについて「コントロールできていない」と説明した。「状況はコントロールされている」と明言していた安倍晋三首相とは異なる現状認識ともいえ、菅義偉官房長官が記者会見で釈明に追われた......

 "安倍首相発言" は、"五輪の東京招致実現" に向けたパフォーマンスだったのだから......、という「嘘も方便!」的な寛容な解釈を採る人が少なくないことも想像できる。
 しかし、要するに、"ファウルボール" ではなかったかという疑念が打ち消せない......。そして、その向こうに見え隠れしている政権運営に絡む "情報コントロール" の動きが気にならざるを得ない......。


 何だか、暴走する "ハッタリ社長" が牛耳る会社の社員となったかのような、実に不安な気分にさせられている。

 五輪招致での、「福島第一原発の状況はコントロール下にあって、東京にダメージを与えない」という "嘘に近い" パフォーマンス! もそのハッタリ以外ではなかったことだし、"東京五輪決定 → 消費増税ほぼ決定!"(後述参照)という流れからは、当然懸念されるはずの、財政健全化を頓挫させる拡張主義(後述参照)への踏込み! という、その危なっかしさを警戒せざるを得ないようだ......。

 とかく、安倍晋三首相のメッセージは、官僚作文読み上げゆえの明瞭な響きはあるものの、綺麗事で覆われ続けるためかその心根が見えにくい。だから、"ハッタリ!" だと受けとめざるを得ないのだ。

 言うまでもなく、かねてからの "消費増税" 策は、ひとえに現状の極端な "赤字財政" の、その再建に向けられたものであったはずだ。だから少なからぬ国民の支持が生まれもしたのであろう。少しでも "社会福祉財源" の安定化に繋がってゆけばと願う国民の思いが託されていたはずだ。
 ところが、もし、そうした 国民の "実直な願い" とはかけ離れたところで、"赤字財政健全化" の動きが撹乱されるならば、国民は一体どう考えるだろうか......。
 以下の記述は、そうした懸念と大いに関係している。

 ところで、今日12日、"消費増税" が "内定" したようである。

 <安倍晋三首相が、来年4月に消費税率を5%から8%へ予定通り引き上げる方針を固めたことが12日分かった。......>( 消費税率、来年4月8%に 首相、10月1日表明へ/【共同通信】/2013.09.12

 "消費増税" 策に関しては、"景気動向の腰砕け" が懸念されたことで、その決定が先送り(10月まで)されてきたのであった。
 ところが、上記記事のとおりの推移なのである。この時点で、景気状況が大きく改善して "消費増税" 策の判断を促した事実は特別見当たらない。むしろ、 7月の機械受注0・025%減 2カ月連続マイナス/【共同通信】/2013.09.12 という "マイナス材料" があったくらいである。

 とすれば、"東京五輪決定 → 消費増税ほぼ決定!" という文脈にこそ目を向けるのが自然だと思われる。
 "東京五輪決定" による "経済効果" が、"トリガー(引き金)" となり、有力な "判断材料" となったのではなかろうか、と推測しても不思議ではなさそうである。

 ところで、"東京五輪決定" による "経済効果" の、その程度はどんなものなのであろうか?
 これに関して意外な解説をしているのが、下記引用サイト記事:コラム:東京五輪決定、経済効果には疑問符/REUTERS/2013.09.09 - 17:54 なのである。

 <2020年夏季五輪の東京開催が決定したことによる日本への影響は、経済効果というよりは、主に心理的な好影響にとどまるだろう/ 五輪関連の投資活動が日本をデフレから脱却させるとの期待は見当違いだ/ 東京は昨年、五輪開催が3兆円の経済波及効果と15万人の雇用創出につながるとの試算を発表した。これは国内総生産(GDP)をわずか0.5%押し上げるだけにすぎない/ 長期的にみれば、日本が五輪開催から期待できる効果はせいぜい消費者マインドの改善程度にすぎないだろう> と。

 要するに、大方の推測に反して、意外にも "効果は少ない!" というのだ。
 もし、この見立てが正しいとするならば、むしろ気掛かりとなり、目を向けるべき点は、別な論者が指摘/警告する以下の動きではないかと思えたのである。

 <......東京五輪に合わせて、大規模な社会インフラを建設したいという政治的気運が高まらないとも限らない。2度の消費税増税では賄えないくらいの財政負担が生じれば、20年の基礎的財政収支の黒字化計画はあえなく頓挫してしまう
 幾度かの選挙を経たとして、財政再建の堅持と東京五輪を天秤にかけて、拡張主義の魅惑を我慢し続けられるのだろうか。東京五輪は、日本経済を復活させる幸運の女神のままでいられるのか、それとも拡張主義に走らせる罠になるのであろうか。くれぐれも慎重であってほしい
>( コラム:東京五輪は女神か罠か=熊野英生氏/REUTERS/2013.09.10 - 20:08

 つまり、一般的に想定される "東京五輪決定" による "経済効果" の規模( 多分、この辺の大小くらいは、現政府/官僚は織り込み済みのはずである )がどうであろうと、むしろ、これに "便乗!" して為されるであろう景気刺激向け "公共投資!" こそが注意深く見つめられなければならない、という視点なのである。
 アベノミクスという "異次元の金融緩和策" のためには、"カネ(財源)に糸目はつけない" 政府であったのだから、ここで "五輪開催という大義名分" が備わることで、景気刺激向け "公共投資!" に躊躇しないこと、それは容易に想像可能だと言うべきなのではなかろうか。

 "東京五輪決定 → 消費増税ほぼ決定!" という推移が意味するものは、端的に言えば、景気刺激向け "公共投資!" が、"五輪開催という大義名分" によって "進め易くなる!" というロジックなのだろうと思われる。
 "危機的財政赤字" の問題よりも、"景気刺激向け公共投資!" を優先させるためのロジックを得た! というのが真相なのではなかろうか......。

 米国、オバマ大統領が苦慮している "シリアへの軍事介入" 問題。その推移は不透明さを拭い切れない情勢だ

 そして、もし、これを契機にして "中東危機" がより深刻な事態へと滑り込むと、日本が被る打撃は、"原油価格の上昇" という "経済問題" に止まらず、現在進行形である "対・北朝鮮/対・中国" の緊張関係がより深刻化する可能性もあるという。

 下記引用サイト記事:「シリア戦争」、日本襲う負のシナリオ  編集委員 秋田浩之/日本経済新聞/2013.09.03 - 07:00 は、

 <原油価格が急上昇し、日本の景気の重荷になること

もさることながら、

 <日本が注意しなければならないのは、今回の米国の対応が、核開発を続ける北朝鮮や中国のアジア戦略などに及ぼす影響

ではないか、と釘を刺している。確かに、そのリスクは決して小さくはないと思えた。

 要するに、"現状のオバマ大統領のスタンス" を踏まえると、

 <北朝鮮はそんな米国をみて、どう思うだろうか。『多少、危機をあおっても米国はアジアに介入できない』。勝手に、そう思い込むかもしれない同じことは、尖閣諸島や南シナ海で強気に振る舞う中国にも当てはまる> という可能性につながりかねないというのだ。その結果、

 <シリア介入で腰が引けぎみの米国の姿は、より強硬になるきっかけを北朝鮮に与えかねない/ 中国が米国の足元を見透かし、アジアで強気に出る可能性もある> というのだ。

 さらに、

 <緊迫した中東情勢が長く続く場合、米国のアジア戦略に狂いが生じ、日本にしわ寄せが及ぶ危険もある> と。つまり、

 <中東危機が深刻になり、軍事、外交の精力をそちらに割かれるとなれば、アジア太平洋への軍事関与は足踏み> しかねず、

 <米政府内で「米中協調論」が出てくる可能性 → 日本が埋没する恐れが増大> という流れもあながち否定できない、と......。

 現状の日本の、アジアでの立ち位置が "不安定で緊張関係にある!" だけに、こうした一連の変動が引き起こされたならば、状況は混迷の度を深めることになりかねない......。

 確かに、"化学兵器使用" という "レッドラインを踏み越える暴挙" を "傍観視" して良いわけはない
 しかし、だからと言って、直ちに "シリアへの軍事介入" という短兵急な選択をして構わないのかどうか......。
 今、関係諸国、世界は、実に "抜き差しならない" 複雑さ! に遭遇している。
 "悪を懲らしめる" ことは "潔く!"、これを躊躇うことは "優柔不断!" だと考えるのが "一般的感覚" なのであろうが、如何せん、現状の国際情勢の諸問題は、そうした "一般的感覚" では何一つ解決されない "局面" を迎えているようである。

 既にわれわれは、そうした "局面" を数え切れないほどに経験してきたわけだ。( "9.11事件"、"イラク戦争"、古くは "ベトナム戦争" ......。そして訪れた "泥沼化!"
 今、問われているのは、これまでのような "勧善懲悪的図式(?)" に則って、直結する手段に飛びついて、その結果、ただただ事態の "泥沼化!" を招来させるような、そんなアプローチが果たして妥当なのかどうか、という問題なのかもしれない。

 かねてより、現代環境と "ネゴシエーター (negotiator、交渉人)" という関係から関心が離れないのであるが、ここには、もはや現代環境は、一筋縄では "円満解決" されない複雑さを抱え込んでいるという、そんな事態が横たわっていそうな気がしてならない。

 再び強調するならば、もちろん "化学兵器使用" や "核兵器誇示" に対して "寛容" であれと言いたいわけではない。ただ、これらに対する従来型の "勧善懲悪的選択" が、ほとんど有効なアプローチではなくなっており、むしろ "泥沼化!" という事態悪化にしか至らない経緯を反芻しなければならない、と思えるのである......。

 こうした視点に立つ時、下記引用サイト記事:社説:英が攻撃断念 シリア泥沼化を恐れた/毎日新聞/2013.08.31 - 02:30 が伝える<英が攻撃断念 シリア泥沼化を恐れた> は、改めて目を向けなければならない事実のように思えた。

 <前途の多難さを暗示する出来事だろうか。米国が検討するシリア攻撃に英国は参加しない見通しとなった。アサド政権側の軍事拠点攻撃を許可してほしいとする英政府の動議を、英下院が反対多数で否決したのだ。武力行使で米英が別行動を取るのは歴史的にも異例である。世界に驚きが走ったのも無理はない/ この際、オバマ大統領はもう一度、政治解決の方策を考えてはどうか/ 軍事行動を殊更急ぐ必要はないはずだ。攻撃後のシリアで何が起きるのか。オバマ大統領は、攻撃に伴うプラスとマイナスを慎重に見極めて結論を出してほしい

 ところで、米国内にも、以下のような実情があるとされる。

 <ロイターとイプソスが30日公表した調査によると、米国では半数以上がシリア内戦への介入に反対している。ただアサド政権の化学兵器使用疑惑が明るみに出たことで介入への支持が増えた。
シリア内戦に米国は関与すべきでないとの回答は約53%と、先週の60%から低下した。行動を起こすべきとの主張は20%にとどまったが、先週の9%から大幅に増加した。......
>( 米国民の半数以上がシリア介入に反対=調査/REUTERS/2013.08.31 - 08:31

 オバマ大統領に期待される "軍事介入" 以外の政治解決の方策> といっても、それは至難の技であろうことは言うまでもなかろう。しかし、"正気のアプローチ" としては、それしか残されていないのが現実だとすれば模索されるほかない......。

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