ヒトは、"遺伝情報" が書き込まれた "DNA" の組合せからできた "全・遺伝情報"("ゲノム")を持っている。もちろん、個々人の "ゲノム" はそれぞれに異なっている。
また、この "ゲノム" の中には、<遺伝的な個人差を生じさせている可能性がある>ところの<"遺伝子配列のわずかな違い(SNP)"> 【注.1】 があるとされる。
【注.1】 <一塩基多型のこと。スニップと読む。複数形はスニップス(SNPs)。ヒトのゲノムDNAの約30億個の塩基の並びは、全ての人間で同じではない。標準的な塩基配列と比べると、一塩基だけが違って多様性(多型)が生じていることがあり、これをSNPという。ヒトDNAではSNPは約1000塩基に1個あると推定されている。SNPの大多数は、ゲノムDNAにおいて、遺伝子領域やたんぱく質合成の制御領域以外のところにあり、遺伝的な特徴の変化をもたらさない。しかし、遺伝子や制御領域にあるSNPは、遺伝的な個人差を生じさせている可能性がある。つまり、SNPは、基本的な体質、医薬品の効力や副作用などの個人差や、高血圧、糖尿病などの多因子性遺伝子疾患の発症の個人差などの指標になる可能性があり、SNPの解析により、個人別のテーラーメイド医療や予測医療への可能性が広がると期待>されている。( 川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト ) >( SNP/知恵蔵2013の解説/kotobank )
そして、この<"遺伝子配列のわずかな違い(SNP)">と、各種の "がん" 発生との関係が注目されて来た。
下記引用サイト記事:がんにつながる「遺伝子配列を特定」/NHK NEWS WEB/2013.03.28 によれば、イギリスや日本などの国際共同研究チームが、<乳がんと卵巣がん、それに前立腺がんにつながる可能性のある遺伝子の配列>を特定し、<こうした遺伝子の配列は、これまでも見つかっていますが、今回の研究で、その数は2倍に増えた>そうであり、<健康な人ががんになるリスクを事前に診断するうえで新たな指標になると期待>されているとのことである......。
科学一般: 2013年3月 アーカイブ
昨今の難病の治療にあたっては、"遺伝子治療" 【注.1】 という画期的な治療法が試みられているという。
【注.1】 <体外から遺伝子を組み込んだウイルスあるいは細菌を患者の体内に導入し、病気に関わる遺伝子の働きを抑えたり補ったりして病気を治す方法。1990年、アデノシン・デアミナーゼ欠損症による重い免疫不全患者に対して、米国で最初の遺伝子治療が行われた。95年に北海道大学で行われた日本初の治療も、同じ病気の患者に対してだった。治療の対象は先天性免疫不全、がんが主だが、次第に対象範囲が広がってきており、肝硬変、血管系の疾患、心臓病などにも試みられようとしている。( 今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 ) >( 遺伝子治療/知恵蔵2013の解説/kotobank )
この治療法に関する関連記事は、当誌でも下記のように取り上げている。
<ネプリライシンを作る治療遺伝子(ネプリライシン遺伝子)を脳内に届ける"運び屋"となるウイルスを開発。末梢(まっしょう)血管に投与しても脳の神経細胞だけに作用する無害なウイルスで、長期間にわたって効果が保たれるという。これにネプリライシン遺伝子を組み込んだ。マウスに注射した結果、アミロイドβペプチドが減少し、学習・記憶能力も通常のマウスのレベルにまで回復した......>( 記憶障害を伴う認知症"アルツハイマー病"を注射で治療!原因物質"分解"促進に新手法!( 当誌 2013.03.21 ) )
また、以下のような新しい分野での記事も目につく。
目の難病に初の遺伝子治療 来春にも九州大病院/【共同通信】/2012.08.29
九州大病院(福岡市)は29日、光を感じる網膜の視細胞が徐々に失われ、失明する恐れのある難病、網膜色素変性(色変)の患者に、日本初となる遺伝子治療の臨床研究を来春にも開始すると発表した。
治療を計画した石橋達朗教授によると、色変は約5千人に1人の割合で起こる遺伝性の病気。約50種の遺伝子異常が原因だが、これまで有効な治療法はなかった。
石橋教授らは、視細胞を保護するタンパク質の遺伝子を組み込んだウイルスベクター(遺伝子の運び役)を患者の網膜に注射することで、視細胞の喪失を防ぎ、視力の低下を遅らせる考え。
なお、この治療法のひとつの課題は、"遺伝子" の "運び役" となる "ウイルス"( <"運び屋"となるウイルス>、"ウイルスベクター[遺伝子の運び役]" )だとされている。
下記引用サイト記事:人工ウイルスの殻、中にDNA 安全な遺伝子治療へ/【共同通信】/2013.03.25 は、この課題への挑戦となる研究についての記事だ。
これまで、<"運び屋"となるウイルス>としては、<天然ウイルス>が利用されていたところを、<人工ウイルスの殻>を開発したのだという。
<ウイルスの微小な殻を人工的に合成し、その中に、生物の遺伝情報を担っているDNAを入れる/ 一般的な遺伝子治療で投与する、治療用DNAを組み込んだ天然ウイルスよりも安全、効率的にDNAを運ぶことが期待できる> ということのようである......。
"がん" を、われわれが恐れる大きな理由は、"抗がん剤" が必ずしも効くとは限らない点や、"再発・転移" という "がん" が持つ "しぶとい特徴" ではないかと思える。
"がん" のメカニズムについては、まだまだ未解明な点が残され続けているが、いわば "がん" を作り出す "大元" だとも見なされている「がん幹(かん)細胞」に焦点を合わせた研究が進んでいるようだ。
この「がん幹細胞」は、<抗がん剤や放射線が効きにくく、転移や再発の原因になっている>だけに、これを制する(死滅させる)ことが"がん" の "根本的治療" につながると考えられているのである。
今回は、この「がん幹細胞」退治に向けられた研究二点に注目してみたい。
下記引用サイト記事/【 引用記事 1 】:胃がん根本治療へ 初の臨床研究/NHK NEWS WEB/2013.03.19 と、【 引用記事 2 】:「がん作る細胞」に新治療の可能性/NHK NEWS WEB/2013.03.19 である。
【 引用記事 1 】では、抗がん剤が効きにくい「がん幹細胞」の構造を突き止めつつ、<胃がんのがん幹細胞の表面に抗がん剤の作用を抑える物質を取り込む特殊なポンプがあること/ このポンプを詰まらせる薬を投与し、がん幹細胞を死滅させる> という、そんな計画が進められている、と報じられている。
【 引用記事 2 】では、「がん幹細胞」の構造に潜む<「Fbxw7」というたんぱく質> に着眼して、これに対処することで、抗がん剤が効きにくい「がん幹細胞」に、抗がん剤を効かせてしまう "状態"("増殖" 開始状態 ?!) を作り出すという "新アプローチ" が報じられている。
<がん幹細胞は抗がん剤が効きにくく、再発や転移に関わる一方で、ほとんど増殖しないとされています/ 「Fbxw7」というたんぱく質の働きを抑えるとがん幹細胞が増殖を始めることを確かめました/ がん幹細胞が抗がん剤の効きやすい状態に変化/ この特定のたんぱく質の働きを抑える物質を見つければ、がんの根本的な治療法の開発につながる可能性がある>
いずれにしても、"一兵卒のがん細胞" ではなく、いわば "元締めである「がん幹細胞」" をターゲットにして、抗がん剤が効いてしまうその寸隙を狙うという "新アプローチ" のようである......。
最近の研究では、記憶障害を伴う認知症「アルツハイマー病」の原因は、<「アミロイドベータ」という特殊なたんぱく質が神経細胞の内部に蓄積>することではないかと究明されている。
◆ 参照 iPS細胞を使い、認知症の原因でもある"アルツハイマー病"発症のメカニズム一部解明!( 当誌 2013.02.24 )
併せて、この「アミロイドベータ」を "分解" する酵素(「ネプリライシン」)が脳内で作られていることも分かっているようだ。
そこで、「アルツハイマー病」の治療が、その「アミロイドベータ」を "分解" する酵素(「ネプリライシン」)をどのように "支援" するかに掛かっていると考えられている。
そして、これまでは、「ネプリライシン」を作る "遺伝子" を、患部に届ける方法としては、<頭蓋(ずがい)骨に穴を開けて直接注入する方法>しかなかったという。
この従来からの治療方法を、画期的に改善する可能性が高いと見られているのが、下記引用サイト記事:認知症を注射で治療へ アルツハイマー病症状緩和に世界初の成功/長崎新聞/2013.03.19 が伝えるところの<世界で初めて成功>という新しい方法のようだ。
<ネプリライシンを作る治療遺伝子(ネプリライシン遺伝子)を脳内に届ける"運び屋"となるウイルスを開発。末梢(まっしょう)血管に投与しても脳の神経細胞だけに作用する無害なウイルスで、長期間にわたって効果が保たれるという。これにネプリライシン遺伝子を組み込んだ。マウスに注射した結果、アミロイドβペプチドが減少し、学習・記憶能力も通常のマウスのレベルにまで回復した> というから、今後の実用化研究が期待される。
いわゆる "南海トラフ巨大地震" については、その "想定被害規模" が、国の検討会などから、過去二度にわたって公表されている。
それらについては、ここでも以下のように取り上げてきた。
◆ 参照(2) 東日本大震災の強い余震ある中、南海トラフ巨大地震の想定被害公表!死亡32万3000人!( 当誌 2012.08.31 )
◆ 参照(1) 茫然自失!?「南海トラフ」地震で新たに想定された"34.4メートルの大津波"(高知) ( 当誌 2012.04.02 )
そして、今回はそれらを踏まえた "経済的被害額" が想定されるに至り、公表された。
想定された被害の最悪事態( ex."34.4メートルの大津波"/"死亡32万3000人" )が "茫然自失!" であったことに相応して、これまた想像を絶するものであり、"220兆円余:国の年間予算の2倍以上" という規模に及ぶ可能性があるという。
この詳細については、下記引用サイト記事:南海トラフ地震 被害は220兆円余/NHK NEWS WEB/2013.03.18 が以下のように報じている。
"緑茶" が健康に良いこと( "抗がん作用" !)については、ここでもすでに取り上げている。
<緑茶に多く含まれるカテキンの一種「EGCG」と、勃起不全(ED)治療薬に含まれる低分子化合物を併用して投与すると、がん細胞を効果的に殺傷する> という実験成果!
◆ 参照 緑茶成分"EGCG"とED治療薬含有の"低分子化合物"との併用投与でがん細胞を殺傷!( 当誌 2013.01.27 )
さらに、今回の下記引用記事:緑茶かコーヒー 1日1杯で脳卒中減/NHK NEWS WEB/2013.03.15 では、"脳出血や脳梗塞" の "予防( 発症リスクの低下 )" にも "効き目" があると判断できる研究結果を報じている。
<緑茶を毎日、またはコーヒーを週に1杯以上飲む人は、脳出血や脳梗塞を発症するリスクが1割以上低くなるという研究結果/ 緑茶やコーヒーに含まれる血管を保護する物質や血糖値を抑える物質が脳卒中のリスクの低下に関係しているのではないか> と。
また、この研究結果は、
<全国の45歳から74歳の男女、およそ8万人に緑茶やコーヒーを飲む習慣を尋ね、その後、最長で13年間追跡して病気との関連を分析>
という大掛かりなデータを元にしているそうだからかなり信頼性が高いと言えるのではなかろうか。
さまざまな "(高額な)サプリメント" に頼る前に、日本人の基本的な生活習慣でもある "緑茶" に目を向けさせて余りある......。
極めて発生率の高い成人病のひとつである "脳梗塞" は、幸いにも命が助かっても、その "後遺症" での苦しみが尾を引く点についてはよく知られている。
そして、その治療法が、"長期にわたる闘い" としての、いわゆる "リハビリ治療" しかないというシビァな事実についても......。
こうした状況に 一筋の "光明" が射し始めているというのが、下記引用サイト記事:脳梗塞後遺症に治療薬=骨髄幹細胞で神経再生-3年後の実用化目指す・札幌医大/時事ドットコム/2013.03.08 が伝えるところである。
<半身まひや失語症など脳梗塞の後遺症を改善する世界初の細胞製剤を実用化/ 患者本人の骨髄液から特定の幹細胞を採取し、大量に培養して静脈に投与、神経を再生する> という画期的治療法なのだそうだ。
"幹細胞(Stem Cell)" を利用した "再生医療" と言えば、今や "iPS細胞(人工多能性幹細胞)" の利用に目が向きがちかも知れない。
しかし、むしろ "iPS細胞(人工多能性幹細胞)" によるものの方が "特殊で新しい再生医療" なのであり、いわゆる "幹細胞(Stem Cell)" の利用によるものの方が一般的なのだそうだ。
ところで、"幹細胞(Stem Cell)" とは、<①分裂して自分自身をコピーする「自己複製能力」と、②様々な細胞へと変化する「分化能力」とを併せ持つ「未分化な細胞」>( 再生医療:細胞を使って病気を治す/NIHS 遺伝子細胞医薬部 )なのであり、この方法での移植という "再生医療" は、"拒絶反応" ほかの限界はあるものの、いろいろなケースで実施されているようである。
今回、実用化を目指して臨床試験が始められるこの治療法も、この "幹細胞(Stem Cell)" を利用した "再生医療" に類するものだと理解できる......。
春に向かう季節の推移とともに、猛威を振い続けたインフルエンザの流行も幾分減少しているようだ。( c.f. インフルエンザの発生状況について/厚生労働省/H25.03.01 )
しかし、油断できないのがインフルエンザであり、悪化させて重症化すると思わぬリスクを招くことにもなりかねない。しかも、現状では "重症化した" インフルエンザに薬は効きにくい......。
そんな中で、下記引用サイト記事:インフルエンザの抑制物質を発見/NHK NEWS WEB/2013.03.08 は、朗報を伝えている。
元より、<インフルエンザは重症化するとタミフルなどの抗ウイルス薬が効きにくくなり、有効な治療方法の開発が課題になっていました> とあるが、<重症のインフルエンザの治療薬の開発などが期待できる> というそうした "新物質" を発見したというのである。
<魚の油に含まれる脂肪酸に由来する物質がインフルエンザウイルスの増殖を抑えるとともに、症状が悪化したときの治療にも効果がある> ということで、<魚の油に含まれるドコサヘキサエン酸が化学変化した「プロテクチンD1」という物質> が特定されたのだそうだ。
"パーキンソン病" といえば、かつてのTVドキュメンタリ番組で、脳内に電極を埋め込んで症状の発作を抑制するという場面を観たことがある。手の震えが止まらないという"パーキンソン病" 患者のケースであった。
また、同様の報道番組で、困難となった歩行をクスリの服用で治すというケースもあった。ただ、このケースの場合、クスリが次第に効かなくなり、服用量が増えてしまうという問題が指摘されていたのを覚えている。
いずれにしても、"パーキンソン病" は、"難病" のひとつと指定された過酷な病気である。
<脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの相対的増加とを病態とし、錐体外路系徴候(錐体外路症状)を示す進行性の疾患である。神経変性疾患の一つであり、その中でもアルツハイマー病についで頻度の高い疾患と考えられている。日本では難病(特定疾患)に指定されている。本疾患と似た症状を来たすものを、原因を問わず総称してパーキンソン症候群と呼ぶ。本症はパーキンソン症候群の一つであるということもできる。>( ウィキペディア/パーキンソン病 )
そうした苦しい病気であるだけに、下記引用サイト記事:iPS臨床研究 パーキンソン病でも/NHK NEWS WEB/2013.03.01 は、"朗報" であるに違いなかろう。
またしても "iPS 臨床研究" の成果なのである。
"ネズミを使った動物実験" に成功したところであり、<早ければ3年後に患者に細胞を移植する臨床研究を実施したい>という段階だそうだ。
<ヒトのiPS細胞からドーパミンを出す神経細胞を作り、パーキンソン病の症状を示すネズミの脳に移植/ 体の片側がうまく動かず、同じ場所をぐるぐると回っていたネズミは、4か月後、症状が改善し、まっすぐ歩けるようになった> というから、当該の "神経細胞" が効果的に定着したものと見受けられる。
"南鳥島沖のレアアース" の報道に関しては、以前にも以下のように取り上げた。
< ...... "レアアース" と言えば、中国が世界産出量の大半を占める鉱物資源であり、日本のハイテク産業も大きく中国資源に依存している。
この 《ハイテク素材に欠かせないレアアース(希土類)を高濃度に含む泥が、日本の排他的経済水域(EEZ)内である南鳥島周辺の海底で大量に見つかった。国内消費量の約200年分が眠る大鉱床だ。資源化できれば、世界産出量の大半を占める中国への依存から脱却し、国内自給の道が開ける可能性がある。》 というのだから、挑戦してみる価値は十分にありそうだ。......>( 続/日本経済の"救世主"! 南鳥島周辺海底で発見の海底資源"レアアース泥"約200年分!( 当誌 2012.10.23 ) )
まさに "日本経済の"救世主"!" だと期待するに足る "お宝" なのである。
しかも、その "お宝" は、その後の現地調査により、さらに "バリュアブル" な中身であることが分かったようだ。
下記引用サイト記事:南鳥島沖のレアアースは高濃度/NHK NEWS WEB/2013.02.27 によれば、次のとおりだという。
<水深5000メートルを超える海底から泥が採取/ レアアースは6000PPMという高い濃度で含まれていることが確認/ ハイブリッド車の製造などに欠かせない「ジスプロシウム」が、中国南部の鉱山のおよそ20倍の濃度/ LED照明などに利用される「ユウロピウム」が35倍、IT機器に必要な「テルビウム」も16倍の濃度で含まれていた>
このレアアース資源については、<5000メートルを超える深海では、世界的にもこれまでに資源開発が行われた実績がない> ため、"採算" がとれるのかどうかが懸念事項であったようだが、"高濃度" での埋蔵らしいという点が明るい材料として歓迎されている気配だ......。
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