科学一般: 2013年5月 アーカイブ

 多くの成人病に悪影響を及ぼすとされる "糖尿病" の患者数は、世界的にも増加の一途を辿っている。"糖尿病" の原因は、"膵臓" から分泌される "インスリン" が不足することにあるとされている。
 そして、治療法としては、不足する "インスリン" を補うことが中心となっている。また、重症の場合には "臓器移植" が行われるが、臓器提供の不足がネックとなっていると言われる。

 そこで、"再生医療" の分野では、"膵臓" の機能を改善して "インスリン分泌" を促進させるための研究も進められている。

 下記引用サイト記事:新型細胞使い糖尿病改善 重症ラット、京大成功/【共同通信】/2013.05.29-08:03 の話題も、そうした "再生医療" の分野での研究成果だ。

 <血糖値を下げるインスリンを分泌する膵臓の膵島細胞と、増殖能力を持つ幹細胞融合させた新たな細胞を作り、重症糖尿病のラットに移植して改善させることに京都大の角昭一郎准教授(再生医療)のチームが成功し、米オンライン科学誌プロスワンに29日発表した> とある。
 <今回の手法> は、従来の移植方法よりも、<インスリン分泌が長く続き効果が高い> ため、新たな治療法として開発が期待される、と言う。

 なお、"糖尿病" に関する "再生医療" の分野での "新・治療法開発" では、以前に次のような話題に注目したことがある。

 <ラットの鼻の奥にある嗅球(においを感じる神経組織)の粘膜から、神経幹細胞を採取。培養後、膵臓に移植。このラットの膵臓からは、幹細胞に由来するインスリンが分泌されていた。膵臓の中に点在し、インスリンを出す膵島の機能を代替したことが分かった。......>( 参照 神経幹細胞:膵臓移植で血糖値下がる/1000万人以上の国内糖尿病患者への朗報!( 当誌 2011.10.09 )

 また、"再生医療" の分野で着目されている "幹細胞/iPS細胞" の活用事例の話題については、以下を参照。

 ◆ 参照 "人工透析/ドナー待ち移植"だけの現状を打破する弾みとなるか?!"人工腎臓"の研究成果!( 当誌 2013.04.29 )

 ◆ 参照 リハビリ治療しかなかった"脳梗塞後遺症"に治療薬!"神経再生"の再生医療用細胞製剤!( 当誌 2013.03.11 )

 ◆ 参照 "iPS細胞"使い髪の毛のもと/器官="毛包"を作り出す実験に成功!薄毛脱毛治療に応用!?( 当誌 2013.01.25 )

 ◆ 参照 iPS細胞の技術応用で、がん細胞などを攻撃する免疫細胞の一種"T細胞"の若返りに成功!( 当誌 2013.01.05 )

 "幹細胞/iPS細胞" の活用といった最先端の "再生医療" 分野での研究成果の蓄積が大いに待ち望まれる......。




















 血管の損傷を治療する "血管手術" では、血管を切り取り、人工血管に換えてしまう "血管外科手術(バイパス手術)" についてはよく知られている。
 その際にも、"糸で縫い合わせる" というより高度な外科技術に頼らざるを得ないようである。

 だが、あくまで素人考えではあるが、上下水道の配管工事のように "テープで補強する" といった治療方法が考案されないものと......。血管も細胞活動によって "修復/再生" される器官のはずだから、一定期間 "水漏れ" を防ぐ( "止血" )ことができれば、あながち無謀な治療法ではないのでは、と。

 しかも、地震その他の災害時に、"出血多量" のリスクに見舞われた多数の怪我人が発生した場合、上記のような "糸で縫い合わせる" というより高度な外科技術に頼らざるを得ない外科手術では、とても、多くの生命を救い切れないに違いない......。

 下記引用サイト記事:ナノばんそうこう:厚さラップの1000分の1/毎日jp/2013.05.18 は、こうした実情に対する "画期的治療法" 模索の最新動向を伝えている。

 <厚さがラップの1000分の1程度の「ばんそうこう」を早稲田大と防衛医科大のチームが開発し、ウサギの大静脈の止血治療に成功した ...... 血管の傷の治療が容易になり、手術効率が改善できると期待される。数年以内の臨床応用を目指している

 なお、この<ナノばんそうこう> は、<カニの甲羅などに含まれる「キトサン」と昆布のぬめりの元の「アルギン酸」が原料。2〜3週間で体内で溶けてなくなる> というから、応急的な "血管の傷の治療" には適していると見受けられる......。

 われわれは、ものが見えるということに何の疑問も持つことがない。しかし、疑問を差し挟むなら、例えば、眼球網膜に "倒立して結ばれた像" が、なぜ "直立像" として意識/認識されるのか? についてだって不思議と言えば不思議である。
 その結果は失念してしまったが、この謎を解こうとして、長年、逆立ちの生活をしてみたという人の話があった。
 いずれにしても、人間の "視覚情報処理" は、"眼球、視神経" などという "入力デバイス" だけで完結しているわけではなく、"大脳(皮質)" によるいわば "画像処理" 加工が為されることによって "見えるという知覚意識" に結実するようである。

 ただ、この"大脳(皮質)" によるいわば "画像処理" 加工については、未解明な点も残されおり、とくに、"入力デバイス" のレベルでの "視覚情報" が、どのようにして "見えるという知覚意識" にのぼるのか、といった多少 "哲学的" 議論( c.f. クオリア?)のような問題も残されていたと言う。

 下記引用サイト記事【 引用記事 1 】:視覚情報:大脳皮質で受け視床枕で処理...産総研で解明/毎日jp/2013.05.13 では、こうした問題、つまり、

 <目から入った情報を「確かに分かった」と意識する役割を、大脳の奥深くにある視床枕(ししょうちん)が果たしていること/ 視覚情報の処理は、いったん大脳皮質が情報を受け取り、その情報を視床枕が処理することによって「分かった」と意識する2段階の仕組みになっていること> が突きとめられたと報じている。

 下記引用サイト記事【 引用記事 2 】:知覚意識を支える神経メカニズムを解明 ─ 視床枕に「コレ、分かった!」の脳活動を発見 ─/科学技術振興機構(JST)/2013.05.03 は、【 引用記事 1 】のニュース・ソースに位置する記事である。
 ここでは、キーワードとしての<確信度> という言葉が使われてさらに詳細な解説がなされている。

 <知覚意識を支える上で不可欠な「確信度 注1)」という信号が、視床枕注2)という脳領域で、計算されていること/ 視床枕の活動が、目の前で見えている世界の主観的な確からしさ(知覚の確信度)に影響を及ぼすこと/ 見えているという知覚意識が成立するためには、色や動きなどの知覚の内容が形成される以外に、その内容を「確かに理解している」という主観的な情報が付与される過程を必要とすること

 客観的な "視覚情報""見えるという知覚意識" へと変換されるに当って、"主観的な情報/主観的な確からしさ(知覚の確信度)" が加わるというプロセスが、何とも興味深い......。

 高齢化社会の到来で、"がん" と並び、その発症が不安視されているのが、"認知症"。そして現在、その半数を占めるとされている "アルツハイマー病" への関心は高まるばかり......。
 そんな中で、この病の "研究" は進み、その "発症メカニズム" も明らかになりつつあり、また "治療の新手法" の開発もなされている。

 ◆ 参照 記憶障害を伴う認知症"アルツハイマー病"を注射で治療!原因物質"分解"促進に新手法!(当誌 2013.03.21)
 ◆ 参照 iPS細胞を使い、認知症の原因でもある"アルツハイマー病"発症のメカニズム一部解明!(当誌 2011.02.24)

 ただし、"治療の新手法" 実用化までには相応の時間が必要とされるようであり、それゆえに、もう一方で "早期発見と対策" が求められるというのが実情のようだ。

 下記引用サイト記事:アルツハイマー、脳波で早期診断 14年実用化へ/日本経済新聞/2013.05.11 によれば、

 <アルツハイマー病は治らないが、早期に診断がつけば進行を遅らせることは可能>だそうなのである。
 だが、問題となるのは、
 <現在は医師による専用テストと脳の画像からアルツハイマー病かどうかを判断するが、早期診断は難しい> という状況だと言う。

 そこに登場したのが、<脳波で早期診断> という "新手法"
 <アルツハイマー病を脳波を使って早期診断する手法を開発/ 多くの病院が持つ脳波測定装置を改良するだけで検査でき、費用も数千円程度に抑えられる。2014年を目標に実用化
 その "診断精度" は、<86%を検出> とされるから、信頼性が高いと言ってよさそうだ。
 "早期発見" によって病状の進行を遅らせ、"治療の新手法" を待つ......、という "希望" も生まれそうである......。

 
 "臨死体験" 云々と言うと、よくある "興味本位" のTV番組の次元の話と受けとめられがちだ。"死" と "意識" との問題が、どんな人にとっても関心が無いわけではなかろうから、そんな番組でもそこそこの視聴率を稼ぐのであろう......。まあ、そんな話はどうでもよい......。

 下記引用サイト記事:「脳波停止の後」に残る意識:蘇生医療の最前線から/WIRED/2013.05.02 は、久々に "手応え" を感じて読んだ。
 その証拠と言っては何だが、"文字のカラーリング(?)" が何と華やかになってしまったことか......。これでは逆に読み辛いではないかとクレームも入りそうか......。

 ちょうど今、「動物は何を考えているのか? 動物には意識があるのか?」といった唐突な問題意識を抱いていた時であっただけに、こうしたサイト記事に好感が持てたという文脈もあるにはある。

 ◆ 参照 ドナルド・R・グリフィン/渡辺政隆訳『動物は何を考えているか』どうぶつ社/1989年
 ◆ 参照 中垣俊之『粘菌 その驚くべき知性』PHPサイエンス・ワールド新書/2010年

 ところで、自分の最大の関心事は、"臨死体験" 云々というよりも、人間の"意識" は、"fMRI" で観察されるような "脳波"/"脳細胞の活動" に還元され切るものだろうか......、という点なのである。
 いや、別に "霊魂" 云々という領域の世界に突入しようとしているのではない。良くは分かっていないのだが、"意識" というものは、"脳細胞の活動" だけに依拠しているのではなく、さらに広く "身体" 全体(の神経系)と密着しているのかもしれない、と......。

 そんなわけ(どんなわけ?)で、下記記事のより後半の各所に共感を覚える点が多かったと言える。

 <「脳波が平坦になったあとでも、数時間は意識が存続する」と見られる現象
 <脳の活動が停止していたはずなのに、周囲の物事を見たり聞いたりしたというのだ
 <「意識は"死"のあとも、数時間は存続する。外側からは見ることができない冬眠的状態であるとしても」
 <さまざまな文化の人が同じものを見るのですが、それぞれの解釈は信じる体系によって違ってきます
 <そうした話は人間が死を通過するときに出会う、独特の体験が存在することを物語っています。それは普遍的な現象
 <「脳内の電気化学プロセスが意識になるという考え方は、もはや正確ではないのかもしれない」
 <心停止中に起きたことをとても詳しく説明する人がたくさんいる事実に反します。そうした人たちは、周囲で交わされた会話や、人々が着ていた服装、蘇生法開始から10~20分間の出来事などを描写します。脳活動が平坦であるにもかかわらずです
 <このような観察から、脳と心の相互作用に関する現在の概念に疑問が生じます。従来の考え方は、脳内の電気化学的なプロセスが意識につながっているというものです。死後に電気化学プロセスが起きないことは証明ができるので、この考え方はもう正確ではないのかもしれません
 <科学者は自我が脳のプロセスであると考えるようになっていますが、脳内の細胞がどのようにして人間の思考になりうるのかを証明した実験は、まだ存在していません
 <細胞の活動が心を生み出すのか、それとも、心が細胞の活動を生み出すのか
 <(fMRIと意識状態の関連性などの観察から)細胞が思考を生み出すことを示唆していると結論する試み ...... しかし、それは関連性に過ぎず、因果関係ではありません。その理論に従えば、脳内の活動が停止したあとに、周囲の物事を見たとか聞いたとかいう報告はないはずなのです
 <脳内の活動が停止したあとも意識を持ち得るのだとすれば、おそらくは、わたしたちの理論はまだ完成していないということが示されている

 なぜ、こんなことに関心を持つのかと考えてみると、冒頭のことば、"興味本位" の範疇と限りなく隣接しているようにも思えたりするが......。

 少なくないがんの発生に関与しているとされる体内の "タンパク質" の一種に "Rasタンパク質" がある。

 [参照] <Rasタンパク質(Ras蛋白質、Rasサブファミリー、以下Rasと略す)は、低分子GTP結合タンパク質の一種で、転写や細胞増殖、細胞の運動性の獲得のほか、細胞死の抑制など数多くの現象に関わっている分子である。Rasの異常は細胞のがん化に大きく関わるのでras遺伝子は原がん遺伝子の一種である。...... Rasはラットの肉腫(Rat sarcoma)から見つかったのでそれに基づいて名前が付けられた。>( Rasタンパク質/ウィキペディア

 この "Rasタンパク質" の働きを "阻害/抑止" することができれば、その分、がん発生が抑えられることになるわけだ。
 こうした役割を果たす "化合物"(3種類)が発見された、というのが、下記引用サイト記事:がん防ぐ物質発見、神戸大 マウスで効果/【共同通信】/2013.04.30-04:00 が伝えるところである。

 <多くのがんの発症に関与するタンパク質「Ras(ラス)」の働きを阻害する化合物を、神戸大大学院の片岡徹教授らのグループが発見し、29日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表/ がん全体の原因の約2割はこのケースで、大腸、膵臓がんで割合が特に高い/ 化合物をマウスに投与し、がん増殖を抑えており、新たな抗がん剤開発につながると期待される> という。

 これでまた、<新たな抗がん剤開発> がスタートされることになりそうであり、喜ばしいことだ......。

 ◆ 参照 "がん"になる可能性がある"遺伝子配列のわずかな違い(SNP)"!国際共同で新たに特定!( 当誌 2013.03.29 )
 ◆ 参照 がんの"再発転移"を阻止!"がん幹細胞"に"抗がん剤"を効かせるための新研究と新治療!( 当誌 2013.03.22 )
 ◆ 参照 緑茶成分"EGCG"とED治療薬含有の"低分子化合物"との併用投与でがん細胞を殺傷!( 当誌 2013.01.27 )
 ◆ 参照 薬剤と体外からの"近赤外線"照射の組合せ治療法一回でがん細胞破壊!マウス実験成功!( 当誌 2013.01.08 )

2020年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          














関連サイトへのリンク


  • 電子書籍(eBooks)制作にフォーカスしたサイト
  • 明けない夜はないことを確信するサイト
  • Green(地球環境改善)にフォーカスしたサイト
  • ソフトウェア技術者やSEのための評価と育成、人事考課制度を考えるサイト
  • さまざまな業種・業態でご利用可能なモバイル活用の予約システム!
  • 創作小説『海念と保兵衛』のサイト
  • 創作小説『かもめたちの行方』のサイト
  • 当ブログ推奨の商品を展示したAmazon ストアー!
  • 当AdhocBlogブログの過去のエントリー
  • 株式会社アドホクラット当時のサイト

★売れ筋! No.1!
家庭用"放射線測定器"

日本通信 bモバイルWiFi ルータ+1 ヶ月定額SIM BM-U300W-1M
価格:¥ 20,208
国内配送料無料 Amazon





このアーカイブについて

このページには、2013年5月以降に書かれたブログ記事のうち科学一般カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは、
 科学一般: 2013年4月
です。

次のアーカイブは、
 科学一般: 2013年6月
です。

最近のコンテンツは、
 インデックスページ
で見られます。

過去に書かれたものは、
 アーカイブのページ
で見られます。

年月別アーカイブ

最近のトラックバック