電子書籍(eBooks): 2011年7月 アーカイブ

 "iTunes" に関するエラーに目を向けていると、自然に関心が向く先は、"iTunes" を使わずに何か別のソフトで、PCと "iPhone/iPod touch"(+"iPad" )との間でファイル送受信、同期ができないものかという願望だ。自分の場合、特に望むのは、"電子書籍( ePub,PDF )" に関してである。
 "iTunes" が何らかのトラブルで使えなくなった場合などを想定すると、そんな思いが浮かんできたりする。

 その際に先ず想起されるのは、"フリーソフト i-FunBox" であろうか。

◆ 参照 <フリーソフト "iPhone/iPod touchビューワー i-FunBox" ダウンロードサイト>

 また、"フリーソフト CopyTrans Manager" も候補に挙げることができそうだ。

◆ 参照 <フリーソフト CopyTrans Manager ダウンロード>


 先ず、"フリーソフト i-FunBox" についてである。
 これについては、比較的以前から着目しており、ある程度は使ってもきた。

◆ 参照 "iPad/iPod"に"同期"(転送)したファイルを,PCの所定フォルダに"転送"する方法( 当誌 2011.03.11 )
◆ 参照 "iPhone"などでの"PDF、TEXT"文書対処法まとめ/SkyBook向け転送ソフト"i-FunBox"( 当誌 2010.08.01 )

 だが、今回、「"iTunes" を使わずに」という観点に立って改めて使ってみると、多々メリットはあるものの、肝心のニーズについては "難しい" という感触を得た。
 つまり、PC上の "電子書籍( ePub,PDF )" を "iPhone/iPod touch" の "iBooks 本棚" へと送り込むというニーズに関しての話では困難だということ。
 音楽・ビデオ・画像については転送可能であり、また、"電子書籍( ePub,PDF )" に関しても、"iPhone/iPod touch" からPC側へとダウンロードすることについては、上記のエントリー( 当誌 2011.03.11 )でも書いたとおり可能なのである。
 ところが、この逆方向のアップロードについては、一応、"i-FunBox" のウインドウ上のスペースに書き込まれはするものの、それまでなのである。"iPhone/iPod touch" 側に反映させることができない......。ここがニーズの焦点であったのだが......。


 次に、"フリーソフト CopyTrans Manager" についてである。
 ダウンロードサイトには以下のような謳い文句が並んでいる。

―――― <iTunesの起動・操作に疲れていませんか?
やりたい事に対して難しすぎ・遅すぎると感じていませんか?
iTunes以外の速くて軽く、そして無料のiPodやiPhone管理ソフトをお探しですか? CopyTrans ManagerはiPhoneまたはiPodの音楽・ビデオを完全に管理する無料ソフトです!音楽プレーヤー内蔵でiPod内の音楽をプレビュー・音楽やビデオをPCからiPhoneやiPodに転送・音楽のタグやアートワークの編集・管理 iPhoneプレイリストの作成・編集・削除...他にもiPodの音楽を直接PCで聴くことが簡単にできるようになりました!
iPodを管理、iPhoneをiTunesなしで。これが今、現実になりました! >(CopyTrans Manager サイト)


 期待を誘う文言のため期待を寄せて使ってみたのだが、"音楽・ビデオ" に関してはともかくとして、"電子書籍( ePub,PDF )" に関しては、まるで "対象外!" といった感触に終わった。
 確かに、接続した "iPod touch" (iPad も同様のはず)の "内部ファイル構成" は、実に詳細かつ正確に表示され、この辺は、"i-FunBox" に勝るようだ。
 しかし、転送操作ボタンらしき<iPodにトラックを追加>というボタン操作で、PC上の "電子書籍( ePub,PDF )" を指定しても、まさに "門前払い!" のような扱いがなされてしまった......
 この "CopyTrans" パッケージには、この "Manager" ソフト以外に、数本のシェアウェア・ソフトが含まれていて、"音楽・ビデオ" に傾注している方には役立つはずである。

 と言うようなわけで、PC上の "電子書籍( ePub,PDF )" を "iPad/iPod touch" に転送したいというニーズを持つ自分としては "残念賞" という結果であった...... (2011.07.31)




















 誰もが "Android搭載タブレット" のシェアが急増し、やがては "iPad" を追い抜くだろうと予想しているのではなかろうか。
 Apple でさえそうした動向を察知してでもいるような "ナーバス" な戦略( "App Store のポリシー変更" ! 参照 <iPhone/iPadアプリの提供各社、App Storeのポリシー変更に対応 [ITPro/2011/07/26]> )に打って出ているとも見える......。
 多分、そうなってゆくのではないかと見受けられはするものの、一直線のトレースを描いてそうなってゆくかのどうかについては予断の許されないところかもしれない。
 と言うのも、"Android" 軍(?)を優勢にしているその "多国籍軍(多企業参画)" という軍勢は、そのまま、既に問題視されている "セキュリティ" 問題などで、場合によっては裏目に出る可能性も残されていそうだからである......。


 以下に、こうした二面状況を象徴する記事を引用してみたい。一つは、"Android搭載タブレット" 側のシェア予想である。

 iTunes 関連で、PC起動時の "エラーメッセージ" という現象に相変わらず関心を向けている。自身のトラブルは解消させたものの、どうしてこんな現象が発生するのかが気になってのことである。

◆ 参照 【続報】iTunes 関連のエラー「 CoreFoundation.dllが見つからなかったため~」 ( 当誌 2011.07.28 )
◆ 参照 iTunes"AppleSyncNotifier.exe"関連のエラー/エントリポイントが見つかりません( 当誌 2011.07.26 )

 ところで、解決方法としては、既に書いてきたように "iTunes の再インストール" が最も無難であるかと思われる。その点に変わりはない。あるいは、"MobileMe" のダウンロードと再インストールでも有効なのかもしれない。(ダウンロード:Apple/MobileMe Control Panel for Windows
 で、確証を得ているわけではなく、あくまでも私見なのだが、iTunes 関連の "MobileMe" インストール時周辺での何らかのトラブルではないかという気がしてならない。

 一昨日、PC起動時に現れる "iTunes" 関連の "エラーメッセージ" の解消の仕方について書いた。

◆ 参照 iTunes"AppleSyncNotifier.exe"関連のエラー/エントリポイントが見つかりません( 当誌 2011.07.26 )

 PC起動時の "エラーメッセージ" というのは、とにかく鬱陶しいものである。しかも、どうも少なくないユーザーが被っている現象のようでもあり、当ブログにはかなり多くの閲覧者が訪れていただいた。
 ただ、若干の心残りがあった。というのは、自分の推定では、そこで書いた事例( "sqlite3.dll" の頓挫!? )以外に、もう一つ "CoreFoundation.dll" の行方不明(!?)というエラー現象も多くのユーザーがお困りのようだったからである。

 この間、"電子書籍" の "インタラクティブ" 性を【 図説 】するために、"iPod touch" (や "iPad" )の画面を "スクリーンショット" 方式( 注 1 )で取り込みそれらを活用してきた。
 なお、自分が愛用している "iPod touch" は、 "第3世代 32GB MC008J/A" であり、もちろんカメラは搭載されていないものである。

( 注 1 )

―――― <スクリーンショット 【screen shot】(スクリーンキャプチャ)
ディスプレイに表示されている画面イメージを画像ファイルとして保存したり、クリップボードなどにコピーする機能。多くのOSに標準で備わっている他、ワープロソフトやゲームソフトの一部にもこの機能が備わっているものがある。>
IT 用語辞典 e-Words より


 当ブログの読者の方から、「iPod touchの画面はどのように作成していますか? 教えていただけませんか」という問合せがあったため、自分の "秘策" (と言うほどでもないが......)を紹介させてもらうことにした。

 PCの起動時に、下記のような "エラーメッセージ" が現れ、煩わしさに悩まされていた。


Apple Sync Notifier.exe - エントリ ポイントがみつかりません
 プロシージャ エントリ ポイント sqlite3_wal_checkpoint がダイナミック リンク ライブラリ SQLite3.dll から見つかりませんでした。

  "Apple Sync......" とあるから、"iTunes" 関連のファイル・エラーであることは分かったが、"iPad/iPod touch" との "同期" などで目立ったトラブルもないため、何がどうなっているのか見当がつかなかった。
 ただ、PCを起動する度に毎回表示されるので気にせざるを得なかった。

 "自炊 PDF" 作成をする場合、一応出来上がった "PDF" を開いてみて思うことは一つであろう。「このページの "黄ばみ" や "落書き、損傷" 跡を何とか "修復" できないものか......」ということになりそうである。
 大体が、"自炊 PDF" 作成をしようとする書籍は、古い書籍の場合が多いはず。当然、"使用感" のある汚れや "黄ばみ" 、"落書き、損傷" があったりするものだ。
 そこで、長く愛読したい書籍であれば、できる限り修復したいわけであり、あれこれと思案することとなる。

 以前にも、こうした場合の "対処法" については書いたことがある。ただ、その時は、"Adobe Acrobat" に加えて、"Adobe Photoshop" をツールとして活用した。その概要は、以下の二通りであった。 "最も簡単な方法" は次のようになる。
 なお、今回は後で述べるように、"Adobe Photoshop" は使わずに一般的な "フォトレタッチ・ソフト" で済ませる方法なのである。

 "電子書籍" ならではの "インタラクティブ" 性について目を向けているところだ。
 既に "辞書" 機能"メモ" 機能については検証したつもりだが、今回は、"ブックマーク(付箋、しおり)" 機能と、"ハイライト" 機能、そして "メモ" 機能との関係などを検証してみた。
 <どうもこの辺りの機能は、どちらかと言えば "地味" なためか、だからベンダー側もそれと知って "そーっとしている" ためか、話題性に乏しい雰囲気がないではない......。>だけに、自分としては「ならば、自分で "掘り起こし" するしかないか......」となったわけだ。
 だが、逐一実行してみると、結構、リーズナブルであり、これらを上手く活用すれば "読書ノート" などもスムーズに作ることができて、"読書体験" としても深みを増すに違いないと思えた。
 以下、"iPod touch" のスクリーン・コピーを使って【 図説 】することにした。

 "電子書籍" での読書が、Book Reader に装備された複数のシステム・ツールに助けられることで、"読書体験" として充実、深化していくこと、そこに今関心を向けていているのだと思う。
 "紙の書籍" では不可能、あるいは手間が掛かることが、もし、それらのシステム・ツールによってスムーズに実行できるのだとしたら、それこそが "電子書籍" の重要なメリットだと言えそうだからである。しかも、その実行が "読書体験" の質の向上に繋がるとするならばなおのことであろう。
 そんな意図から、この間、iBooksに標準装備の "辞書" 機能"メモ" 機能などの使い勝手を自分なりに検証してきた。今回も、この周辺を手探りすることになる。

 ところで、こうした検証をしていると、これらは要するに、"電子書籍" が備えている "インタラクティブ" 性という性格なのだろうと再認識したわけである。
 つまり、とかく "お仕着せ"的であったり、"一方通行" (書籍 → 読み手)で流されてしまいがちな読書で、読み手側が、例えば "メモ" をするといったような何らかの "リアクション" を起こすとするならば、スタティックな事情はいくらか変わる......、ということなのである。それを "インタラクティブ" 性の効用だと想定したのである。

 "インタラクティブ" 性の効用については、さまざまなマルチメディアで既に実証済みではないかと思われる。メディアの受け手が "リアクション" 操作を実行することで、情報の流れ方がより充実するということになろうか。
 お地蔵さんのようにスタティックな姿勢でメディアに向かっているよりも、コンテンツを受け留めて頭なり心なりに浮かんだことを、簡単な操作で "リアクション" してみるという "インタラクティブ" な関係が生み出す効用である。

 読書とは本来、プロセスを楽しみ、苦しみ、そのプロセスで自身の脳と心とが撹乱され、そこで崩れたバランスを急いで取り戻そうとするような、そんな結構 "ヤバイ経験" なのかもしれない。(自身の頭で考えるということは、どんな場合でも "ヤバイ経験" であろう!)だから、"読書" なんぞと軽々しく(?)呼び捨ててはいけないわけだ。少なくとも、語尾にワケがわからないにしても二文字を絡ませて、"読書体験" とでも言った方が良さそうである......。
 しかし、"本来の読書" というものは、書籍コンテンツにビルトイン(エンコード)されたお宝を、デコードし切る読み手側の "想像(想像)力" を大前提にしていたのではなかったかと思ったりする。
 ところが、現代人たちはそんな "古風なパワー" を持ち合わせているとは言い難い。TV画像に、会話音声などが一々字幕としてスーパーインポーズされるご時世であるから、より確かな知覚以外は用無しということになっていそうだ。"想像(想像)力" のような "リスキー(?)" さの塊(かたまり)みたいなパワーは視野の外へと追い出されていそうでもある。

 昨日のエントリーの末尾で、以下のような "願望" を書いた。

<この"iBooks" での "メモ" 機能については、この "発展形態" があればなお有難いのてはないかと考えたりしている。
 例えば、"メモ" 内容に関して、書籍単位で "一括管理" が可能となり、"読書ノート" 風のものにまとめ上げることができたり、さらに言えば、これらのデータが "SNS" 水準で公開・共有できたりという風にである。>

 "紙の書籍" の読書に比べた、"電子書籍" での "読書体験" におけるメリット探しをした場合、"メモ機能" の活用という点が注目に値すると思えたわけだ。
 ただ、冒頭のような "願望" をどのように実現するかは、しばし考えさせられた。だが、意外と簡単な操作でそれが実現できることがわかった。
 "iBooks" での "メモ" 機能には、 "一括" して "メール送信" できる "下準備(?)" がなされていたのである。
 これにはやや驚きが禁じえなかった。多分、 "この辺の仕組み" にまで言及した "マニュアル本" はないのではなかろうか......。
 自分が気付いたのも、「こうした仕組みがあればいいのだが......」と模索していた時に偶然見出したのである。

 "電子書籍" 制作に携わる者は、"制作" 段階以前の "読書経験" 段階での "電子書籍" システムの "メリット" の諸々を実感しておくことが重要だろうと思っている。
 これまでにも、"辞書" 機能や "読み上げ" 機能にこだわってきたのもこうした観点からであった。
 今回は、"iPad/iPhone/iPod touch" 向けの "iBooks" の標準装備機能である "メモ" 機能に関心を寄せている。
 "メモ" 機能は、本体に単独アプリとしても備わっているが、ここでの話は、"iBooks" で "ePub" 書籍を読む際に活用できる "メモ" 機能のことなのである。
 "辞書" 機能と同様に、ページの任意の(textなどの)部分を "長押し" して部分選択をすると、"コピー 辞書 ハイライト メモ 検索" というメニュー・バーがポップアップするので、ここで "メモ" の項をタップすれば、"メモ入力用紙" が表示され、入力できるようになる。

 "電子書籍" での読書に熱を入れ始めると、"読みたい本" を探すのに結構手間取ることを実感する。
 その点、"紙の書籍" の場合には、とりあえず "Amazon" での書籍検索をしてみると、多少出版時期が古いものでも何らかの手掛かりを得ることができて助かる。
 そろそろ "電子書籍" に関しても、こんな簡便なイメージで探せないものかと思ったりするのである。
 今のところ、"電子書籍" については、「こんな "電子書籍" コンテンツがあるから読んではどうですか?」という "デバイス主導型" の案内が一般的であり、逆に、「こんな本(例えば古典など)は "電子書籍" となっていませんか?」という読み手側のニーズに沿う "読み手主導型・読み手検索型" の環境にはなっていない。
 "電子書籍" の数量も増加しているようだし、なお一層の "電子書籍" 普及・発展を目指すのならば、この辺で、出版済み "電子書籍" を総合的(横断的)に案内し、スピーディな検索も可能であるような "電子書籍用ポータル・サイト" のようなものが現れても良さそうに思うのである。こんなことを望むのはまだ時期尚早なのであろうか......。

 日本社会は、米国に比べて技術で負けているというよりも、ビジネスの運びや制度設計などが上手くないのかもしれないなぁ、と再認識させられた思いだ。
 別に日米間経済競争などに関する大げさなことではない。"電子書籍" などの流通に関して、米アップルはさすがに "急所" を良く心得ている、と知らされた思いがしたのである。
 ひょっとしたら、以下のニュースから何も思い浮かばない関係者も多いのかもしれない......。しかし、"電子書籍" の "流通" 問題は、"電子書籍" の発展動向を左右するはずの、それ相応に大きな課題なのではなかろうか。
 極論をすれば、この課題への取り組み如何で、"電子書籍" がブームで終わるか、しっかりと社会的に定着するかの命運も分かれると言っても過言ではないのかもしれない。

 "電子書籍" が本格的に社会に定着して行くためには、単に新規デバイスへの "技術的興味" や、あるいは "秀逸なコンテンツ" 登場といった条件だけではムリであろう。
 "電子書籍" の社会的定着には、多方面でのイノベーション活動が必要だと思われるが、象徴的な言い方をするならば、(1) 垣根を解消すること、(2) on-line上での "off 会" 的要素の整備、とでもいうことに尽きそうな気がする。
 要するに、意味のない "閉鎖的分散化の基盤" を取り除き、その上で、"読み手間における読書体験の交換" が充実したかたちで展開する、そんな環境を創ること。これ以外にないと思われる。


 (1) "垣根を解消すること" とは、"独自仕様" の "アプリビューワ" である "eBook Reader" が乱立することによって、結果的には、"電子書籍" の読み手たち間での意思疎通が妨げられているわけで、この現状は解消されることが望ましい、という点なのである。
 もっとも、"ePub(3.0)" フォーマットという国際標準普及が進展することで、ローカルな "垣根" は次第に解消れて行くのだろうとは思う。

 昨日は、アップルが "iTunes Store" に開設した「iTunes U」によって、"The Open University"/"開かれた大学" が実現されていることを書いた。
 "電子書籍" は個人的なエンターテイメントであっても一向に差し支えないだろう。だが、"電子書籍" という存在の本質を気に掛ける時、"The Open University" のイメージこそが、"電子書籍" の重要な姿を照らし出していると思えたのであった。
 自分自身もそうであるが、われわれはとかくIT関連などの新しいテーマに "商機" を見出そうとするものだ。有り体に言えば "稼ぎのネタ" として熱い眼差しを向けてしまうということ......。それもまた差し支えないことだろうと言うべきかもしれない。
 ただ、そうであっても、"電子書籍" という存在の本質を見間違うならば、"稼げる" どころか徒労に終わりかねないだろう。どんな場合でも、事の本質を探っておいて間違いはなさそうである。

 "モノ" と "情報" との大きな差異は、"モノ" を消費する場合には、"モノ" 自体が排他的に占有されたり、その挙句に消滅したりするのに対して、"情報" の消費(閲覧や読書をはじめとして様々な利活用)においては、"情報" 自体が消滅することにはならない。当然のことである。
 ただ、排他的に占有されることは大いにあり得る。それは、所有や市場の原理で動いている経済社会にあっては当たり前なことなのかもしれないが......。
 しかし、"情報" 自体の価値は、排他的に占有されてクローズ状態にある場合と、オープンに公開されて広く受け容れられる場合とでは、どちらが増殖的(増大しやすい)なのであろうか。
 今、頭の中にあるのは、"オープン・ソース" の OS であるあの "Linux" のことだ。一時はマイナーなイメージもあった "Linux" だが、"オープン・ソース" であったがゆえに、世界中の叡智を吸引することとなり、計り知れない価値増殖を遂げたわけだ。今、流行りの "Android" が、"Linux" で構成されていることを知る人も少なくないはずである。

 「ハーバード白熱教室」で知られたマイケル・サンデル教授の "白熱教室" ぶりの video 9巻が、アップルの "iTunes U(アイチューンズ・ユー)" から "無料" でダウンロードできるんですね。


―――― <マイケル・サンデル「ハーバード白熱教室 in JAPAN 東京大学 詳細 「ハーバード白熱教室 in JAPAN」NHK教育テレビ「ハーバード白熱教室」の講義や、早川書房「これからの『正義』の話をしよう」でも著名な、ハーバード大学マイケル・サンデル教授による講義を開催しました。この講義は、大学総合教育研究センター・NHK共催「ハーバード白熱教室 in JAPAN」として安田講堂にて行われ、身近な問題を題材に「正義」を論じる、3時間を超える対話型講義となりました。>( iTunes/iTunes Store/iTunes U より)

 "電子書籍" の読書においては、読み手が最も好ましいと思える操作環境が設定されて然るべきであろう。それが、"紙の書籍" から "脱皮(!)" した "電子書籍" の、いわば "ノブレス・オブリージュ"(仏: noblesse oblige、直訳すると「高貴さは[義務を]強制する」の意味。一般的に財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴うことを指す。)なのかもしれない。
 作り手側の都合による "お仕着せ" 的な操作環境を、読み手側に押しつけることは極力避けるべきだということなのである。

 そんな事例のひとつに、読書時における "辞書" の参照がある。
 昨日から書いているように、iBooksで、"ePub 洋書" を読む際、辞書を呼び出すと "お仕着せ" 的に "英英辞書" が起動されてしまう設定のことなのである。
 日本語圏の読み手に対しては、先ずは "英和辞書" が呼び出されて当然なのではなかろうか......。その上で、"英英辞書" への切り替え選択肢が備わっているならば、ナルホド感が伴うことにもなろう。
 まあ、愚痴を言っても始まらない。あとは、ならば "自前" 的に調整するしかないか、となるだけである。

 "ePub" の "電子書籍" の場合、"iPad/iPhone/iPod touch" 向けの "iBooks" アプリでは、画面を "長押し" して部分テキストを選択すると、<コピー 辞書 ハイライト メモ 検索>という選択肢が表れ、その内の<辞書>を立ち上げることができることは良く知られている。
 "日本語書籍" の場合の日本語テキストであれば、日本語の辞書が言葉の意味を指し示す。また、"英語書籍" の場合は、"英英辞書(New Oxford American Dictionary) " が立ち上がり、英語によって言葉の意味が説明される。
 では、日本語書籍の中の "英単語" の場合はどうなるか?
 試してみると、その "素性" はよくは分からないが、どうやら "英和辞書(小学館プログレッシブ英和・和英辞書?)" が立ち上がるという "現象" になるのである。

 となると、同じ "英単語" が選択されながらも、それが "英語書籍" 中の場合と、"日本語書籍" 中の場合で呼び出される辞書の種類が異なるという区分けのあることに気付かざるを得ないわけだ。
 とともに、もうひとつ気付く点は、"iBooks" は、英語については、"英英辞書" だけではなくて "英和辞書" も保持していて "取り扱っている" ! ということである。
 なぜこんなことになっているのか? にも興味が湧くところではあるが、むしろそれよりも、どんな "仕掛け" が隠されているのか? そして、この "秘密(?)" をコントロールするならば、いわゆる "洋書(英語書籍)" を読む時に、"英和辞書" を立ち上げて活用することが可能となるのかもしれない......。

 "電子書籍" とは何か? を問う時、先ずイメージされるのは、"ePub" なり "PDF" なりのフォーマットで仕上げられた "製品ファイル" や、それらがダウンロードされたり "eBook Reader" にダウンロード/インストール、ないしは同期されて表示された状態ということになろうか。「これが "電子書籍" というモノです」と。
 そして、"電子書籍" が "モノ" として見据えられ、定まったら、場合によっては、それで了解、ということになるかもしれないし、もし、そうならない場合には、その使い方や、メリットやデメリットなどが付け足されて "モノ" として価値に補足説明がなされることになるのかもしれない......。

 何が言いたいのかと言うと、いささか "ややこしい" 話ではあるが、"電子書籍" のような対象を従来どおりの "モノ" としての範疇そのままで理解しようとするのはムリがあるかなぁ......、ということなのである。もっと、周辺の環境、コンテキストと関連させながら、まさにクリエイティブな視点で迫るべきか、と。
 もちろん、製品=商品である以上、経済常識的に定義され説明されなければならない。となると、精々、"ソフト" としての概念や、システム・サービス面で補足・注釈されつつも、どうしても "モノ" としての価値の側面が前面に出されざるを得なくなる。
 しかし、"電子書籍" という製品=商品は、他のITシステムの製品=商品と同様に、"モノ" としての範疇から益々遠ざかるはずである。と言うのも、"紙の書籍" のように "モノ" としての価値(著作権というソフト的価値の面もあるが)が前面に出された製品=商品とは一線を画す点に意味がある製品=商品だからであり、それを目指すからである。

 脳味噌が沸騰(?)でもしそうなこの猛暑の中、東京は有明の会場で "第15回電子出版EXPO" という、"電子書籍" イベントが開かれていたようだ。

 ◆ 参照 電子書籍めくり放題! 有明で"電子出版EXPO"開催/ASCII.jp×デジタル/2011.07.07

 大体、自分はこの種の "お祭り(EXPO)" なぞは、でぃ嫌い! と言うか、肌に合わないと言うかなので、とんと関心を向けなかった。
 パッとする商機に乏しい今のIT業界にあっては、何が何でも "電子書籍" ジャンルをヒートさせたいという関係者たちの、その期待と意欲は分からないわけではない。
 しかし、日本勢はどうも "空転(?)" しているかのような印象が払拭し切れない......。
 Apple、Amazon、Googleといった米国勢による荒技の "土地区画整理事業(?)" に対して、マイホームのささやかな庭の図面引きでもやっている、という印象か......。

 つい先日、有難くも当ブログを長くご愛読いただいている読者の方/K.G.さんから、問合せメールをいただいた。
 礼儀正しく、ご丁寧な方だったので、何とかお役に立ちたいと思った。が、そのご希望に沿えないのが残念である。今のところ、"達成不可能!" なニーズであったからだ。
 その問合せは、以下のような主旨のものであった。
 
<自炊PDFから文字起こしをすることに関心があり、昨年このサイトにたどり着きました。おかげさまでOCRを利用し透明テキストを何とか埋め込むことができましたが、ipod等で電子書籍リーダーの「選択部分を辞書で調べる」といった機能が使えず困っております。......>

 今、あちこちで "見える化" という言葉が飛び交っている。下手な文章、要領を得ない文章で濁された観念やイメージは、まさに "視覚的イメージ" によって "見える化" がなされて当然だと思っている。
 そんなことを考えてみると、現代で、もはや成り立ちにくくなっている "小説" なぞこそ、この "見える化" アプローチによって存分にサポートされて良いのではないかと、マジに思ったりする......。
 新聞や雑誌の小説で、もし気が利いた "挿絵" がなかったら、誰がこんなアホくさい文章を読むものかと思わされる水準のものもないではない。目に飛び込んでくる印象的な "挿絵" が、読み手側の "イメージ受け容れ態勢" とでもいうものを醸成してくれ、それゆえに、説得力のない文章でもどうにか沁み込んでくるということが、往々にしてある、あり過ぎるということである。

 "紙の書籍" がデジタル・データ化されていさえすれば、"電子書籍" だと言って憚(はばか)らない誤った風潮は改められるべきかと思う。
 "紙の書籍" を、オートフィーダー付高速スキャナーでデジタル化して、"PDF ファイル" を瞬時に作成する方法のメリットは十分に評価できる。実に興味深い方法であり、"自炊" と呼ばれるこの方法には自分も随分と親しんでいる。
 ただ、この方法によってもたらされる成果については、もっと正確に認識されるべきであろう。結論から言えば、この成果は "電子書籍" への "前提作り" であるに過ぎず、決して額面通りの "電子書籍" にはなっていない! という点なのである。

2020年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          














関連サイトへのリンク


  • 電子書籍(eBooks)制作にフォーカスしたサイト
  • 明けない夜はないことを確信するサイト
  • Green(地球環境改善)にフォーカスしたサイト
  • ソフトウェア技術者やSEのための評価と育成、人事考課制度を考えるサイト
  • さまざまな業種・業態でご利用可能なモバイル活用の予約システム!
  • 創作小説『海念と保兵衛』のサイト
  • 創作小説『かもめたちの行方』のサイト
  • 当ブログ推奨の商品を展示したAmazon ストアー!
  • 当AdhocBlogブログの過去のエントリー
  • 株式会社アドホクラット当時のサイト

★売れ筋! No.1!
家庭用"放射線測定器"

日本通信 bモバイルWiFi ルータ+1 ヶ月定額SIM BM-U300W-1M
価格:¥ 20,208
国内配送料無料 Amazon





このアーカイブについて

このページには、2011年7月以降に書かれたブログ記事のうち電子書籍(eBooks)カテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは、
 電子書籍(eBooks): 2011年6月
です。

次のアーカイブは、
 電子書籍(eBooks): 2011年8月
です。

最近のコンテンツは、
 インデックスページ
で見られます。

過去に書かれたものは、
 アーカイブのページ
で見られます。

年月別アーカイブ

最近のトラックバック