2014年2月 アーカイブ

 "認知症" 発症原因の半数が "アルツハイマー病" だとされている。さらに、"脳梗塞" などの "脳血管性" 疾患が二番目に多く、何とその合計は7割にも及ぶ

 ◆ 参照 1.


認知症の基礎知識 種類と症状 [動画]/認知症フォーラム.com 動画でわかりやすく認知症を知るサイト/2012.05.19


 さて、<《65歳以上の4人に1人が認知症とその"予備軍"となる見込み》 という事態は、その諸々の余波を考慮すれば、やはり "社会問題!" 的現象(=国民的課題!)>( ◆ 参照 2. 65歳以上の4人に1人が認知症とその"予備軍"となる見込み! 認知症に関する基礎知識!( 当誌 2014.01.07 ) ) という観点から、以下のとおり当誌でもこの領域の記事には少なからず関心を寄せ続けている

 ◆ 参照 3.
"遺伝子工学" を援用したアプローチで、"アルツハイマー病" を発症させる "タンパク質「アミロイドβ」" の量を "制御する遺伝子「KLC1E」" が突き止められた> ( アルツハイマー病で脳内に蓄積する「アミロイドβ」を制御する遺伝子発見(大阪大学)!( 当誌 2014.02.05 )

 ◆ 参照 4.
 <アルツハイマー病は、脳内において産生されるアミロイドβ(Aβ)が凝集、沈着することで神経細胞死を引き起こし、記憶や学習能力の低下を招く/ Aβの産生には酵素「γセクレターゼ」が主要な役割を担っている/ γセクレターゼ活性を最も強く抑制できるものとしてホップの雌株の球花のエキス(ホップエキス)(生薬名:啤酒花)が同定された/ 主要成分「Garcinielliptone HC」と呼ばれる物質> ( "ホップ"にアルツハイマー病を予防できる成分!"発症を遅らせる"ことができると確認!( 当誌 2014.02.04 )

 ところで、冒頭の "認知症" 発症原因首位二者、"アルツハイマー病" と "脳梗塞" などの "脳血管性" 疾患との話に戻る。

 もちろん、"アルツハイマー病" は、上記の◆ 参照 4.のとおり、"脳内において産生されるアミロイドβ(Aβ)が凝集、沈着することで神経細胞死" がもたらすものあり、"脳梗塞" などの "脳血管性" 疾患とは区別される

 しかし、"アルツハイマー病" においても、"脳血管性" 疾患(血管の病気)による "認知症" と共通した側面のあることが、""脳血管性" 疾患向け薬" の投与によって分かった、ようである
 つまり、"アルツハイマー病" も含めた "認知症" にとって、"血管(血流)へのケア" が重要だと理解できそうである。

 下記引用サイト記事認知症の進行、既存薬で抑制=秋から臨床試験-循環器病センターなど が、この事実を研究成果として伝えている。

 <血液が固まるのを防ぎ、脳梗塞予防などに用いられる薬「シロスタゾール」に、認知症の進行を抑える効果のあることが、国立循環器病研究センターなどの研究で分かった/ 認知症患者は血管の病気を併発しやすく、シロスタゾールを服用することがある。研究グループは、アルツハイマー型認知症で治療中の人を、シロスタゾールを内服したグループとしなかったグループに分け、認知機能の変化を比較した。 その結果、軽度認知症の患者では、内服した人の認知機能の年間低下率は、しなかった人の約8割に抑えられた。また、記憶したり、自分のいる場所を正確に把握したりする能力も改善した> とある。




















 ヒトの "免疫(免疫応答)" 機能が、さまざまな細菌/ウイルスに対する自然の "防御機構" として働いていることは今さら言うまでもない。
 だが、同時に、種々の "アレルギー疾患" をはじめとする、"間接リウマチ" のような "自己免疫疾患" を発症させ、人々を苦悩に陥れているのも事実であり、その "自己免疫疾患" 発症のメカニズムが未解明の現状において、いろいろな治療法が試みられている。

 ◆ 参照 今「免疫療法」は、スギ花粉症も食物アレルギーも"根治を目指す"戦略へと踏み込む?!( 当誌 2014.02.11 )

 問題は、その "自己免疫疾患" 発症のメカニズムが未解明であることに違いないのだが、漸く、"長年の謎!" が解きほぐされようとしている。

 下記引用サイト記事関節リウマチ等の自己免疫疾患の新たな発症機構を発見 ~自己免疫疾患の診断薬・治療薬開発へ繋がる新たな分子機構~/大阪大学・JST・wpi/2014.02.25 が、"その解明への確かな一歩!" について報じている。

 <大阪大学 免疫学フロンティア研究センター/微生物病研究所の荒瀬 尚 教授らの研究グループは、自己免疫疾患で産生される自己抗体が、異常な分子複合体(変性蛋白質と主要組織適合抗原との分子複合体)を認識することを発見し、それが自己免疫疾患の発症に関与していることを突き止めました> とある。

 "免疫(免疫応答)" 機能のメカニズム、とりわけ "自己免疫疾患" 発症のメカニズム(=<自己免疫疾患の発症機序>)は "専門用語" が多いために理解に苦しむが、要するに、細菌/ウイルスなどの "抗原" に対して、"抗体" の "産生" で反撃するために "連携プレー" を展開していると理解できる。"自己免疫疾患" 発症も、こうした "連携プレー" の過程における "誤った捜査と誤った逮捕(!?)" だと言えそうだ。

 その "連携プレー" には、免疫細胞(T細胞、B細胞など)や各種の分子( "主要組織適合抗原"、情報連絡分子サイトカインなど)が関与しているとされるが、細胞内に侵入した "抗原" に対する、いわば "初動捜査(?)" の役割を担う "主要組織適合抗原" という分子の存在意義が大きいようだ。にもかかわらず、"この周辺" が未解明とされてきたようなのである。そして、今回の研究ではここに、メスが当てられたと言える

 <本研究では、通常は速やかに分解されてしまう細胞内の変性蛋白質が、主要組織適合抗原(MHC)によって細胞外へ誤って輸送されてしまい、その変性蛋白質自己抗体の標的分子であることを世界で初めて明らかにしました/ 主要組織適合抗原が細胞内の変性蛋白質を自己応答性のB細胞に提示することが自己免疫疾患の原因である> とされている。

 妙な譬えで恐縮だが、<変性蛋白質>という "現場に残された遺留品(?)" の、その "扱い" を、主要組織適合抗原が "誤って対処(提示)" していたというのが真相のようである。

 "がんの疑い" で不安が煽られている患者にとって、"がんの有無" を調べる検査結果待ちは、居ても立ってもいられないはずだ
 ところが、従来からの "がんの組織検査/生検(せいけん)"(患部の組織の一部を,麻酔をしてからメスや針などで切り取って,顕微鏡などで調べる検査)では、患者にとっては思いのほか長期間待たされるのが現状である。

 ◆ 参照
 <5.検体採取から診断報告までの日数
大まかな目安ですが、細胞診断:2-4日、生検組織診断:3-5日、組織診断:4-6日を要します。緊急の場合には、それぞれ1日の短縮が可能です。また、特殊な染色や検索を行う場合には、それぞれ1-2日が更に必要となります。
>( 東邦大学医療センター/診断内容・特色

 こうした一般的な現状に対する "朗報" を伝えているのが、下記引用サイト記事がんの有無を2分で診断 山梨大など、切除細胞の質量分析/日本経済新聞/2014.02.24 - 23:43 である。

 <山梨大学や島津製作所、早稲田大学のチームは、手術時に患者から取り出した細胞からがんの有無を約2分で診断できる技術を開発した。細胞の成分を質量分析計という高精度の機器でふるいにかけ、がんの特徴を表すパターンから判定する。3年後の製品化を目指す/ 新技術は患者から採取したサンプルに直径数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルの針を近づけて、先端に2~3個の細胞を付ける。電圧をかけて細胞内の成分をイオンにして飛ばし、質量分析計で測る。様々な成分の量をあらかじめ蓄えたデータベースと照合してがんの存在する確率をはじく/ 大腸がんや胃がんの患者から採取したサンプルで検証......専門の医師の判断と8~9割が一致......測定から照合結果が出るまでの時間は約2分......病理診断に利用できる水準。データを蓄積すればさらに精度が高まる可能性がある/ 年内にも臨床試験(治験)を申請/ まずは専門の医師の診断を確認する支援装置として製品化/ 開業医などでも利用できる見込み> とある。

 患者から採取した "検体" と、<様々な成分の量をあらかじめ蓄えたデータベース> との "照合" 処理をするという技術システムであることが、スピーディな検査処理を可能としているようである......。

 これまで、"三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)が当然視されていたがん治療法が、漸く "がん免疫療法" という新しいアプローチへと移行しつつあるかのようだ。

 ◆ 参照 1.
 <"がん免疫療法" とは、簡単に言えば、患者体内に備わった "免疫力/免疫細胞" を活性化させ、支援することで、"がん細胞" の動きを封じ込める治療法>("がん免疫療法"進展!免疫細胞を"再教育"!新療法で白血病患者88%の症状消失(米国)!( 当誌 2014.02.23 )

 こうした推移に拍車を掛けるのが、この "がん免疫療法" に使われる "医薬品" の開発であるとともにその認可だと言える
 既に、これについては、以下のような "小野薬品工業の動き" があった。

 ◆ 参照 2.
 <新しいがんの治療法が、早ければ年内にも国内で始まる。免疫の攻撃力を利用する「免疫療法」の一種で、効果が限定的だった従来の方法とは異なる仕組みだ。小野薬品工業が昨年末に厚生労働省に医薬品としての承認を申請し、今秋にも認められる見通し。がんの有力な治療法になると期待されている。......(朝日新聞/2014.02.17 - 07:47)>( "がん"を攻撃する"新しい免疫療法"年内にも開始!小野薬品工業の医薬品認可の見込み!( 当誌 2014.02.18 )

 ただ、治療を受けるがん患者にとっての切実な関心は、その "効き目" であるのはもちろんのこと、"治療費の問題" でもあるはず
 と言うのも、"がん免疫療法" というような新しいアプローチに関しては、"医療保険対象外" の扱いとなり "高額な自己負担!" となっていたからだ。

 ところが、この現状が突き崩されつつあるという点に焦点を合わせているのが、下記引用サイト記事がん細胞攻撃する免疫療法薬 初の医療保険対象/Economic News/2014.02.23 - 15:06 であり、上記の "小野薬品工業の動き" を "医療保険適用" の視点から照らし直している。

 <これまでにないタイプの新しいがんの治療薬が年内に販売される予定だ。厚生労働省は昨年末に小野薬品工業<4528>からの医薬品「ニボルマブ」の承認の申請を受けており、年内に申請する見通し/ これまでの抗がん剤は、ある種の毒性を利用して疾患の原因となっている微生物やがん細胞の増殖を阻害することを目的としていたため、嘔吐や脱毛といった強力な副作用を生じることが問題視されていた。自己免疫を強化させることでがん細胞と戦わせる免疫療法薬は副作用の心配が少ない反面、これまで保険対象とならず、高額な自費となる点がネックであった。ニボルマブは、認可されれば公的な医療保険が使える初の免疫療法薬となるがん患者にとって有効な選択肢の一つとなることを期待したい> とある。

 "電波の見える化" を望む声は少なからずあったし、あるはずだと思われる

 以前、"TV アンテナ" の設置を業者に依頼した際、その設置作業に立ち会ったことがある。最終作業であった "電波方向" に向けたアンテナ方向微調整の時、
 「"これ" があるから助かるんですけど、とてつもなく "高価!" ので屋根から落としでもしたら大損ですよ......
と呟いていたことを思い出す。"電波測定器" のことであった。
 また、携帯電話のつながり具合や、ますます増えているモバイル端末の受信状況の確認など、もし "手軽" に "電波の見える化" が図られれるならば......、という期待は少なくないと思われる。

 今、"モバイル端末向けアプリ" は雨後のタケノコのごとき多さで市場に登場している。中にはどうでもいいものも多いが、今回、注目する "アプリ" は、まだ "リリース前" であるが、前述のとおり大いに待ち望まれるのではなかろうか。

 下記引用サイト記事モバイル端末で電波の強さと方向がリアルタイムで分かる(電波を見える化するARアプリを開発)/東京大学先端科学技術研究センター/2014.02.21 の "電波を見える化する AR アプリ" がそれである。

 <東京大学先端科学技術研究センターの長谷良裕 特任教授らは、無線局間の干渉計算用に、非常に高速で計算できる電波強度シミュレータを組み込んだ無線局情報データベースを開発・構築......今回、そのデータベースにインターネット経由でアクセスし、電波の強度および到来方向をAR(拡張現実)機能によって視覚的にわかりやすく表示するモバイル端末用アプリケーションを開発/ 一般のスマートフォンやタブレット等のモバイル端末が電波のヴァーチャル測定器となり、どの携帯基地局とつながるか、どの放送局が受信できるか等がわかる「電波の見える化」ツールとしての実用化が期待されます> とある。

 "このシステム" では、<無線局間の干渉計算用に、非常に高速で計算できる電波強度シミュレータを組み込んだ無線局情報データベース> や、<"AR">( Augmented Reality拡張現実 :現実に見ている世界に何らかの追加情報を重ねて表示し、現実世界を拡張した情報が見られるようにする機能または技術のこと。引用記事中の用語解説より )といった最新技術が活かされているとのことであり、結構 "高度なアプリ!" だと言えそうだ......。

 "がん免疫療法" という "がん治療" のアプローチが、いよいよ活況を帯びてきている。

 "がん免疫療法" とは、簡単に言えば、患者体内に備わった "免疫力/免疫細胞" を活性化させ、支援することで、"がん細胞" の動きを封じ込める治療法と理解できる。

 当誌でも、これまでに以下のような記事に注目し続けてきた。

 ◆ 参照 1. "がん"を攻撃する"新しい免疫療法"年内にも開始!小野薬品工業の医薬品認可の見込み!( 当誌 2014.02.18 )

 ◆ 参照 2. "iPS細胞"技術:"がん免疫療法"への応用目指し着実な進展!NKT細胞ほか免疫細胞培養!( 当誌 2014.01.27 )
 <ウイルスに感染した細胞やがん細胞などを攻撃する免疫細胞の一種「T細胞」を一度、人工多能性幹細胞(iPS細胞)にした上で、同じ能力を持つ「元気」なT細胞に再生させることに世界で初めて成功したと、東京大の中内啓光(ひろみつ)教授らのグループが発表した。このT細胞を患者の体に戻すことで、がんなどの新たな治療法につながる ......
 <がん免疫療法への応用を目指し、iPS細胞から免疫細胞を作り出す研究が進んでいる。理化学研究所は強力な免疫作用のあるナチュラルキラーT(NKT)細胞」の作製に成功。 熊本大学は膵臓がんや胃がんの治療に向けて「マクロファージ」と「樹状細胞」を効率的に増やす手法を開発した

 ◆ 参照 3. iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究の多彩な動向!着実な歩みを見せる実用化アプローチ!( 当誌 2014.01.17 )
もう一つ注目されるのは「iPS免疫療法」と呼べそうな手法/ がん細胞やエイズウイルスに感染した細胞を攻撃する「T細胞」という免疫細胞からiPS細胞をつくり、もう一度T細胞に育てる手法/ この方法が発展すれば、がんや感染症の治療にiPS細胞を活用できる可能性があり、治療の対象となる人が大幅に増える

 ◆ 参照 4. 米科学誌Science/今年の"科学10大NEWS"1位:免疫細胞にがん細胞を攻撃させる免疫療法!( 当誌 2013.12.22 )
 <米科学誌サイエンスは20日付で、今年の「科学10大ニュース」を発表した。1位免疫細胞にがん細胞を攻撃させる「がん免疫療法の進歩だった。現時点では最終的な効果は不明で、利点ばかり強調してはいけないとしながらも、一部の患者への臨床試験が大幅に前進し、製薬会社も多額の投資をしていることを理由に挙げた。......

 そして、今回注目するのは "米国でのがん免疫療法" の最新成果である。

 下記引用サイト記事免疫細胞を「再教育」、新療法で白血病患者88%の症状消失/AFP BB News/2014.02.20 - 19:17 発信地:ワシントンD.C./米国 は、<免疫細胞を「再教育」> と題して、<「がん免疫療法」の新手法> について報じている。

 <患者の免疫系を利用してがん細胞を殺す「がん免疫療法」の新手法で、症状が一時的に全て消失する「完全寛解」状態が成人の白血病患者の88%に確認されたと、米研究チームが19日発表した/ がん免疫療法は ...... 「リビングドラッグ(living drug、生きた薬剤)」とも呼ばれる/ 今回の試験では、患者から取り出したT細胞に遺伝子操作を施し、がん細胞中の「CD19」たんぱく質を認識して攻撃するよう改変/ 研究室での遺伝子治療によって、腫瘍細胞を認識・破壊できるようT細胞を再教育した/ がん治療法にパラダイムシフトを起こすかもしれない> とある。現にその成果は、

 <今回の試験では、対象者16人の免疫細胞「T細胞」に遺伝子操作を施し、がん細胞を死滅するまで攻撃するようにしたところ、14人で完全寛解が確認された。16人の年齢の中央値は50歳で、試験開始前には全員が化学療法で効果が得られず死の間際にあった> というから驚くばかりである

 
 医は仁術」 ( 医は、人命を救う博愛の道 )であることが望まれるが、当然のことながら「医はビジネス」だと言わざるを得ない

 だが、どういうものか "病院" に出向いたり、医者と対面すると "妙な期待感(?)" や "根拠薄弱な信頼感(?)" に染まっている自分に気づくことになる。

 その理由の一つには、自分側に "元気がない" からという "ハンディ(?)" を伴っていることが災いしているに違いない。"元気がない" からこそ病院通いに至るわけだから、これまた当然の話ではあるが。

 もちろん、"専門家" と "非・専門家" という歴然とした立場の違いによることは否定できまい。

 しかし、眼の前の "患者" よりも、院内 LAN に接続したPCの操作にのみ関心を向け、"効率的診断" を一義としているかのような医者に接すると、「医はビジネス」という印象が募らざるを得なくなる。  そして、"インフォームド・コンセント( informed consent )" というタームが脳裏をよぎり、眼の前の "医者の見立て" について、可能な限り自身の頭で考えようとしたりする......。最悪の場合は、"深入りする前に別な病院を探さなくては......" と思いを巡らしたりもするわけだ。

 いつもながらのこうした "病院/医者不信(?)" の中で見出したのが次の著作であった。その内容は以下に引用した "目次構成" からも推測できようかと思う。



近藤 誠 (著)『 医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法 』[新書/アスコム 2012/12/13]

【 目次構成 】
■ 第1章 どんなときに病院に行くべきか
心得1「とりあえず病院へ」。あなたは医者の"おいしい"お客様
心得2「老化現象ですよ」と言う医者は信用できる
心得3 医者によく行く人ほど、早死にする
心得4「血圧130で病気」なんてありえない
心得5 血糖値は薬で下げても無意味で、副作用がひどい
心得6 世界一売れるコレステロール薬の「病気を防ぐ確率」は宝くじ以下
心得7 がんほど誤診の多い病気はない ほか

■ 第2章 患者よ、病気と闘うな
心得12 一度に3種類以上の薬を出す医者を信用するな
心得13 軽い風邪で抗生物質を出す医者を信用するな
心得14「抗がん剤を使えば寿命が延びる」と言う医者を信用するな
心得15 がんの9割は、治療するほど命を縮める。放置がいちばん
心得16「医者から薬をもらう」を習慣にしてはいけない ほか

■ 第3章 検診・治療の真っ赤なウソ
心得20 がん検診は、やればやるほど死者を増やす
心得21「乳がん検診の結果は、すべて忘れなさい」
心得22 胃を切り取る前に、知っておきたいこと
心得23 1センチ未満の動脈瘤、年間破裂率は0・05% ほか

■ 第4章 100歳まで元気に生きる「食」の心得
心得27 体重、コレステロールを「減らさない」健康法を選ぶ
心得28 ピンピン100歳への体づくりは「毎日タマゴと牛乳」から
心得29 ビールは1日にロング缶2本までなら「百薬の長」
心得30 ビタミン・ミネラルの摂りすぎで早死にする

■ 第5章 100歳まで元気に生きる「暮らし」の心得
心得34 22時から2時にどっぷり眠る。「超」早寝早起き健康法のすすめ
心得35 石けん、シャンプーを使わないほど、肌も髪も丈夫になる
心得36 大病院にとってあなたは患者ではなく被験者
心得37 「手当て」でストレスを癒す ほか

■ 第6章 死が恐くなくなる老い方
心得42 ポックリ逝く技術を身につける
心得43 いきなり進行がんが見つかったらどうするか
心得44 喜怒哀楽が強い人ほどボケない
心得45 100歳まで働き続ける人生設計をする ほか

( amazon サイト より )

 今回、注目する下記引用サイト記事中村勘三郎さん がん検診したことで死期が早まったとの意見も/マイナビニュース/2014.02.21 は、この著作についての記事である。

 <初期であろうと末期であろうと、がん患者はなるべく臓器を温存したほうが生活の質も上がり、むしろ寿命が延びる/ がん検診をすると、患者にされてしまう可能性があるので注意が必要です。例えば日本では、胃がん細胞が上皮内にとどまった状態の非浸潤がんでも、がんと診断されます。しかし欧米では、周囲の健康な組織までがん細胞が浸み出すように増殖した浸潤がんのみをがんと定義しています。欧米では認められていない8~9割の症状を、日本ではがんと言っているのです/ がん検診は誤診も問題にされてきたが、近年は「検診自体に意味がない」というのが世界の医療の潮流/ がん検診したグループとしないグループの死亡率には、変化がないというデータ......> とある。

 
 一般に、"痛み" や "発熱" は "取り除くべきもの" と見なされがちだけれど、一概には言えないようだ。(もちろん、度を越せば鎮静化させざるを得ないが......)

 "痛み" には、身体が何らかのかたちで傷ついたことを報せる "警告信号/バイタルサイン" だとする "重要な意義" もあるからだ。

 また同様に、"発熱" にも、"免疫機能" が働くことによる "自然治癒" の一通過点だとされる側面もある。( "免疫機能" がウイルスを撃退している状態!

 ◆ 参照 1.  < インフルエンザの対症療法薬
 アセトアミノフェン(商品名カロナールなど)内服薬と坐薬があり、インフルエンザでも安心して服用できる解熱鎮痛剤です。高熱があって痛みがつらい時に頓服で使用しますが、無理に平熱まで下げようとしないでください。前にも話したように発熱はウイルスを排除するための身体の防衛反応なので、下げ過ぎないほうが早く治るのです。整形外科などで処方された鎮痛剤をインフルエンザの解熱剤として用いると、むしろ重症化することがありますので、ご注意ください。......
>( インフルエンザ:知っておきたい最新の情報!インフルエンザワクチンの効果過信禁物!( 当誌 2013.12.31 )

 ◆ 参照 2.  < 発熱するのは何のため?
 かぜのウイルスの侵入を受けると、体はなぜ発熱するようにはたらくのでしょうか?その理由として、次の図のように、ウイルスの侵入をうけた生体にとっては、発熱したほうが有利だということが考えられます。
 18~19世紀に解熱剤が開発されたときは、発熱は病的な状態なので、すぐに解熱剤を飲んで是正すべきとの考えがありました。しかし現在は発熱は、体が身を守るための生体防御機能のひとつとして理解されるようになってきました
 少なくとも発熱が軽度で、ほとんど苦痛を訴えない場合には解熱剤の必要はなく、むしろ与えないほうがよいとされています
>( テルモ体温研究所/発熱のメカニズム ) ※ このサイトは、貴重な情報があり、かつ実に分かりやすい......

 下記引用サイト記事「痛くなったらすぐ薬」は間違い!薬を飲まない薬剤師が教える健康法/日刊アメーバニュース/2014.02.19 は、<薬を飲まないで健康な体をつくる方法> をやさしく解説している。

  <■「痛いから」という理由ですぐに薬は飲まないで!/ 痛みから解消されるためだけに薬を飲むようであれば、その痛みやつらさから開放するという結果だけで、なんで痛くなったのかという原因を探すことにはなりません 根本的な原因が解決しなければ、また繰り返し悩まされます 自分の体に起きている症状の原因を考えることが、健康の第一歩
 <■低体温は免疫力減退のもと!/ 体温と健康は密接に関わっています/ 体温が1度下がると、免疫力は37%低下し、基礎代謝が12%低下し、体内酵素の働きが50%低下します。免疫力は体内に入ったウィルスや細菌、異物などから体を守る働きがありますから、免疫力が低下すると、病気にかかりやすくなってしまう/ 体温を上げるためには、......筋肉量を増やすことをおすすめ
 <■"インナーマッスル"を鍛える!/ 体温を上げ、免疫力を高めて、代謝をよくするには、背骨から股関節にかけて広がる腸腰筋(ちょうようきん)、肩関節周辺を囲む回旋筋(かいせんきん)を鍛えましょう/ 体温を上げ、免疫力を高めて、代謝をよくするには、背骨から股関節にかけて広がる腸腰筋(ちょうようきん)、肩関節周辺を囲む回旋筋(かいせんきん)を鍛えましょう/ インナーマッスルは直接内蔵を刺激するため、これを鍛えれば、内臓脂肪を燃焼しやすくなり、脂肪がつきにくく痩せやすい体になります。このインナーマッスルを鍛えるには、誰でも手軽にできるウォーキングがおすすめ

 <体温と健康は密接に関わっています> という、一見、平凡な事実に "健康のツボ!" が潜んでいるようである......。

 "大動脈解離" という、突然死の原因ともなる怖い病気がある。しかも、その発症の仕組みは現在も未解明なのだそうだ。

 ◆ 参照
 <大動脈解離(だいどうみゃくかいり、英: Aortic dissection)とは、3層構造を作っている大動脈のうち真ん中の層の膜(中膜)に、なんらかのきっかけによって血流が入り込んでしまい、層構造が別々に剥がれていく(解離してしまう)疾患。 解離によって生じた空間は仮性動脈瘤となるため、大動脈瘤の一種として分類されることがあり、別名を「解離性大動脈瘤」ともいう。>( ウィキペディア/大動脈解離

 下記引用サイト記事大動脈解離:世界初、防ぐたんぱく質発見 久留米大など/毎日新聞/2014.02.18 - 21:29 は、この "大動脈解離" についての解明にもつながると期待される "世界初の発見" について報じている。

 <久留米大循環器病研究所(福岡県久留米市)は18日、大動脈解離を防ぐたんぱく質を世界で初めて発見/ 突然死の原因ともなる大動脈解離は、大動脈が突然、裂ける病気で、50代以上の男性に多く、国内では年間1万人前後が発症しているとされる。青木教授らは、大動脈解離を防ぐ「安全装置」の役割をたんぱく質「テネイシンC」が果たしていることを発見した。大動脈解離の発症の仕組みについては現在も未解明なままで、今回の発見は、大動脈解離の病態解明が進むきっかけになると期待されている/ 青木教授らは「安全装置」として働く物質は他にもあると考え、今後は他の物質の発見を目指す。青木教授は「新薬に適合する物質が見つかれば、大動脈解離治療に役立つ可能性がある」と話す。また、血中のテネイシンCの値を測ることで、大動脈解離や高血圧性心臓病などの予防に役立てられそうという> とある。

 "未解明なまま" で現在に至っていた "大動脈解離" に関して、原因物質ではないにせよ、<たんぱく質「テネイシンC」> という重要な手掛かりが発見されたことは実に意義深い成果だ

 "ヨーグルトや乳酸菌飲料" に含まれる "乳酸菌" がヒトの "腸管内" で有用に働き、様々な "免疫力" を発揮する事実は、これまでに当誌でも、以下のとおり注目してきた。

 ◆ 参照 1.
 <"乳酸菌" などの "腸内細菌" が機能する舞台は、もちろん "腸" であり、これらによって果たされる "免疫" は "腸管免疫系" と呼ばれ、何とヒトの "免疫力" 全体の "60%" を占めるのだそうだ。
 どうも、"乳酸菌"/"プラズマ乳酸菌"/"免疫力" という体内リンケージは、ことインフルエンザ・ウイルスにのみ関わっているのではなくて、"免疫力" という点において、"がん" を含む多くの病気とその治癒力にも深く関係している>( インフルエンザ流行が警報レベルに急接近!"自前の免疫力"活性化/"プラズマ乳酸菌"!( 当誌 2014.02.03 )

 ◆ 参照 2.
 <ヒトの腸管内には、500種類以上、総計100兆個以上の腸内細菌が共生しており、腸管からの栄養吸収、腸の免疫、病原体の感染の予防などに働いています。一方、遺伝的要因、食餌などを含むライフスタイル、病原体の侵入などや種々の医療的処置などによって腸内細菌のバランスが乱れると、クローン病や潰瘍性大腸炎をはじめとする炎症性腸疾患などの原因となることがあります。しかし近年、腸内細菌のバランスの乱れが、腸管以外の全身にも影響を及ぼし、肥満、糖尿病、アトピー、喘息などの疾患さえも生じることも知られるようになり、大きな注目を浴びています。しかし、どのようなメカニズムでこれらの腸管外の疾患が起きるかについては、ほとんど明らかにされていません>( "抗生物質と腸内細菌「善玉菌」"の関係!ぜんそく:抗生物質で悪化も 腸内でカビ増殖!( 当誌 2014.01.21 )

 ◆ 参照 3.
 <インフルエンザ予防に最も重要なのは免疫力を高めること/ 免疫力の維持や向上に大切なのは、規則正しい生活とバランスのとれた食事/ 最近は、こうした免疫系の働きに欠かせない栄養素のほかにも、......ウイルスに対する防御力を発揮する食品素材が確認 ...... 乳酸菌!/ 今、注目を集めているのがプラズマ乳酸菌/ プラズマ乳酸菌は免疫の総司令部であるプラズマサイトイド樹状細胞に働きかけることが世界で初めて確認された乳酸菌/ ヒト血液中の免疫細胞のウイルスに対する反応性が高まるとともに、冬期の風邪・インフルエンザ様疾患の発症を抑制する>( インフルエンザが全国的な流行期に!今年は"乳酸菌(プラズマ乳酸菌)"で"免疫力UP"!( 当誌 2013.12.29 )

 ◆ 参照 4.
 <ヨーグルトなど乳製品に含まれる微生物、いわゆるプロバイオティクスを用いた研究/ プロバイオティクスを摂取したマウスは、摂取していないマウスに比べて、不安に関連する行動を示すことが少なく、ストレスホルモンの分泌も少なかった/ ニューロンの活動を抑制する神経伝達物質であるGABA(γ-アミノ酪酸)が関与/ プロバイオティクスを摂取していた群では、記憶と、感情の制御に関わる領域において、GABA受容体が増えていた>( ヨーグルトは脳に効く:心と身体の謎/不安や心的苦痛に苛まれる現代人への朗報( 当誌 2011.10.03 )

 今回注目する下記引用サイト記事腸内細菌とヨーグルト(2月16日)/福島民報/2014.02.16 - 09:55 は、こうした事実を非常に分かりやすくまとめておられたので引用させていただくことにした。

 <ヨーグルトや乳酸菌飲料の保健効果が注目/ 免疫力」をキーワード/ 免疫力に特化した商品開発にますます拍車が/ ヒトの腸管は栄養成分を消化・吸収する役割のほか、食べ物とともに侵入する病原菌などから身体を守る免疫機能/ 抗体の6割を腸管でつくる人体最大の免疫器官といわれ......これらの腸内細菌腸管免疫系に関与/ 腸内細菌の種類や数、性質などの「様態」は食生活や加齢、ストレスで変わる。個人差も大きい/ この「様態」が乱れると、腸管免疫系に影響を与え、多くの疾病を誘発......花粉アレルギーや炎症性大腸炎、がん、肥満、自閉症など/ プロバイオティクス」......宿主に適当量を与えたとき健康効果をもたらす生きた微生物......ビフィズス菌や乳酸菌はプロバイオティクスの代表菌種/ ヨーグルトの新たな活用......インフルエンザ感染予防、ノロウイルス感染による胃腸炎の軽減効果/ ヨーグルト不老長寿説/ 自己流であるが、毎日、百グラムほど3日間以上食べ続け、10日目くらいまでに、いわゆる「快便」であれば、おおむね相性の良いヨーグルト> とある。

 末尾にある <自己流であるが、毎日、百グラムほど3日間以上食べ続け、10日目くらいまでに、いわゆる「快便」であれば、おおむね相性の良いヨーグルト> だとするアドバイスは、個々人の "腸内環境" がそれぞれ "個性的" であるだけに、参考にしたい指摘であろう。

 "がん治療" における "免疫" の意義が見直されているようだ

 "がん免疫療法" という治療アプローチという言葉をしばしば耳にする昨今であるが、患者体内に備わった "免疫力/免疫細胞" を活性化させ、支援することで、"がん細胞" の動きを封じ込める治療法と理解されているようである。

 当誌でも、これまでに以下のような記事に注目してきた。

 ◆ 参照 1. "iPS細胞"技術:"がん免疫療法"への応用目指し着実な進展!NKT細胞ほか免疫細胞培養!( 当誌 2014.01.27 )
 <ウイルスに感染した細胞やがん細胞などを攻撃する免疫細胞の一種「T細胞」を一度、人工多能性幹細胞(iPS細胞)にした上で、同じ能力を持つ「元気」なT細胞に再生させることに世界で初めて成功したと、東京大の中内啓光(ひろみつ)教授らのグループが発表した。このT細胞を患者の体に戻すことで、がんなどの新たな治療法につながる ......
 <がん免疫療法への応用を目指し、iPS細胞から免疫細胞を作り出す研究が進んでいる。理化学研究所は強力な免疫作用のあるナチュラルキラーT(NKT)細胞」の作製に成功。 熊本大学は膵臓がんや胃がんの治療に向けて「マクロファージ」と「樹状細胞」を効率的に増やす手法を開発した

 ◆ 参照 2. iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究の多彩な動向!着実な歩みを見せる実用化アプローチ!( 当誌 2014.01.17 )
もう一つ注目されるのは「iPS免疫療法」と呼べそうな手法/ がん細胞やエイズウイルスに感染した細胞を攻撃する「T細胞」という免疫細胞からiPS細胞をつくり、もう一度T細胞に育てる手法/ この方法が発展すれば、がんや感染症の治療にiPS細胞を活用できる可能性があり、治療の対象となる人が大幅に増える

 ◆ 参照 3. 米科学誌Science/今年の"科学10大NEWS"1位:免疫細胞にがん細胞を攻撃させる免疫療法!( 当誌 2013.12.22 )
 <米科学誌サイエンスは20日付で、今年の「科学10大ニュース」を発表した。1位免疫細胞にがん細胞を攻撃させる「がん免疫療法の進歩だった。現時点では最終的な効果は不明で、利点ばかり強調してはいけないとしながらも、一部の患者への臨床試験が大幅に前進し、製薬会社も多額の投資をしていることを理由に挙げた。......

 そして今回注目するところの下記引用サイト記事がん新治療法、国内で年内にも 免疫の攻撃力いかす/朝日新聞/2014.02.17 - 07:47 によれば、部分的にではあるものの、こうした流れにある "新しい免疫療法" が、当該の "医薬品" の認可(見込み)によって年内にも開始されるという。

 <新しいがんの治療法が、早ければ年内にも国内で始まる。免疫の攻撃力を利用する「免疫療法」の一種で、効果が限定的だった従来の方法とは異なる仕組みだ。小野薬品工業が昨年末に厚生労働省に医薬品としての承認を申請し、今秋にも認められる見通し。がんの有力な治療法になると期待されている。/ 申請されたのは点滴薬ニボルマブ(一般名)で、既存の治療法で効果がなくなった皮膚がん患者が対象/ これまでの免疫療法は、免疫の攻撃能力を高めて、がん細胞を殺そうとしていた。だが、攻撃が過剰になると自分を傷つけるので免疫自体がブレーキをかけてしまい、効果は不十分だった。新しい免疫療法は、免疫のブレーキがかからないようにし、攻撃のアクセルを踏み続ける/ 国内の臨床試験(治験)では、患者35人の半数が5カ月半以上、がんが進行しなかったという/ 今回(医薬品が)認められれば、公的医療保険が使える国内初の免疫療法となる見込み> とある。

 "抗がん剤" 使用については、何かと見解が分かれがちでもある現状で、"がん免疫療法" という治療アプローチが開始されることの意義は、決して小さくはなさそうである......。

 一般的に事故や手術などで生じた "神経の切断" は、"縫合手術" によって "つなぎ直し" 手術が行われる

 だが、神経の末端間の間隔が広いとそれは困難となり、その場合には、"神経再生" を促す特殊な "人工チューブ" を用いたアプローチの手術が為されるという。

 ◆ 参照記事 神経再生が実用段階に 人工チューブ開発 臨床試験で次々成果/最新医療情報 MEDICAL NEWS 共同通信社/2002.07.16

 今回、注目したい下記引用サイト記事切れた神経の再生促進 純国産の誘導チューブ 知覚回復8割超/47NEWS 医療新世紀/2014.02.12 は、上記参照記事での"人工チューブ" を活用するアプローチの、その延長線上にある医療動向なのであろうと思われる。

 <外傷などで切れてしまった末梢神経の欠損部分を橋渡しするようにつなぎ、神経の再生を促進する「神経再生誘導チューブ」が治療現場に広がり始めた。日本の企業が開発し、昨年3月、世界に先駆けて国内で承認、7月から保険適用になった純国産の医療材料だ。手や指の神経損傷を対象とした臨床試験(治験)では、80%を超える患者で知覚機能が回復。運動神経の再生や、がんの手術で切除した神経の再生など、幅広い用途への応用も期待されている/ 神経再生誘導チューブは製品名「ナーブリッジ」/ 神経の欠損部分にチューブを挿入し、その両端に断裂した神経の端をそれぞれ縫合固定する。するとチューブ内を中枢側から末梢側に向かって神経が伸びていき、やがて1本の神経として修復される。チューブ自体は数カ月で分解し、体内に吸収されてしまう/ 末梢神経であれば、知覚神経でも運動神経でも部位を問わず使えるので、治療の幅を大きく広げる可能性があります> とある。

 "神経再生" という事実を踏まえ、その "再生誘導" が目指された "チューブ" ではあっても、<管の内部が中空のため体の中でつぶれてしまう> というような従来品のデメリットに "画期的改善!" を図ったことが、<82・8%の症例で知覚が改善> という実績を導き出しているようである......。

 これまで、"がんの発症" には "遺伝子異常" が深く関わっているとされてきた

 その事実は変わらないとしても、加えて "遺伝子異常がなくてもがんに......" というケースのあることが明らかになった

 これを伝えているのは、下記引用サイト記事遺伝子異常なくてもがんに iPS使い解明、京大/【共同通信】/2014.02.14 - 02:01 である。

 <遺伝子の異常が原因にならないがんがあることを京都大iPS細胞研究所などのチームが人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った研究で明らかにし、13日付の米科学誌セル電子版に発表/ 今回形成されたがん細胞は遺伝子異常がなく、遺伝子を制御する「エピゲノム」という調整機能が変化/ 形成の仕組みは不明だが、エピゲノムをコントロールすることで、新しいタイプの治療法開発につながる> とある。

 "がんの発症" をめぐっては、"遺伝子の異常" のほかに、"遺伝子を制御する「エピゲノム」という調整機能" のあり様が新たな条件に加わったわけであり、これが複雑化となるのではなくて "新たなヒント" となってもらいたいものである......

 いわゆる "輸血" と呼ばれるものには、"赤血球輸血" と "血小板輸血" とがある。

 ◆ 参照 1. <...輸血を必要とする場合,その80%は赤血球輸血でよいといわれている。 血小板輸血は血小板が急激に減少した場合や,血小板産生低下による減少症,あるいは血小板機能の異常のため出血傾向がみられるときに輸注される。 血漿輸注のうち新鮮凍結血漿は多くの血液凝固因子を含み,外傷や外科手術の際の凝固因子の補給やそれらの欠乏による出血傾向のときに補充するために行われる。... >( kotobank/血小板輸血

 ◆ 参照 2. <血小板(けっしょうばん、英名Platelet)は、血液に含まれる細胞成分の一種である。核を持たない。血管が損傷した時に集合してその傷口をふさぎ(血小板凝集)、止血作用を持つ>( 血小板/ウィキペディア

 下記引用サイト記事京大、iPSで血小板大量作製 輸血安定供給へ/【共同通信】/2014.02.14 - 02:01 は、この "血小板輸血" に必要でありながら、<献血で集められるが、保存期間は短く慢性的に不足し安定供給が課題> とされる "血小板" の、その "安定供給(体制)" 確立についての朗報である。

 <人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、血小板のもとになる巨核球という細胞を作製し、血小板を大量に作り出す方法を京都大iPS細胞研究所などのチームが確立し、13日付の米科学誌セル・ステム・セル電子版に発表した/ 血小板は血液成分の一つで、血液がんの患者らへの輸血に利用される。献血で集められるが、保存期間は短く慢性的に不足し安定供給が課題だ> とある。

 なお、"赤血球輸血" に必要な "赤血球" についても、同 京大チームが、既に "赤血球量産" 技術を以下のとおり開発している。

 ◆ 参照 3. <京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之教授らは、血液中で酸素を運ぶ赤血球iPS細胞から大量に作り出す技術を開発した。赤血球のもとになる細胞を作って増殖させる。輸血に使う血液の確保のほか、白血病など血液の難病の治療に役立つ成果という。米科学誌ステムセル・リポーツ(電子版)に6日掲載される/ (これまでは、) iPS細胞から赤血球を作ることはできたが増殖できず、量産できなかった>( iPS細胞から"赤血球量産"の技術開発(京大)!遺伝子操作での"不死化赤血球前駆細胞"!( 当誌 2013.12.07 )

 "iPS細胞技術" が、汎用的に要請され続けてきた "輸血" という医療領域で、"素早く応用!" されている事実は、とにかく注目される。

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 脳内に "「アミロイドβ」というタンパク質" が蓄積することで発症するとされている "アルツハイマー病" に関して、その "「アミロイドβ」" を "取り除く" 役割を果たす "タンパク質" が特定されたという。

 下記引用サイト記事アルツハイマー防ぐ物質解明 脳内「掃除役」、大阪大/【共同通信/2014.02.13 - 05:17 が、次のように伝えている。

 <アルツハイマー病は、脳の細胞内で作られたアミロイドベータ(Aβ)という物質が細胞の外に出て脳内で蓄積し、神経細胞が死滅して発症する/ 脳内のタンパク質が、アルツハイマー病の原因とされる物質蓄積を防ぎ、発症のリスクを下げているとみられることを大阪大とドイツの医学研究所のチームが解明......この「掃除役」のタンパク質を増やせれば、予防や治療に役立つとしている> とある。

 ちなみに、"大阪大学の研究グループ" は、ごく最近、 "アルツハイマー病" の "「アミロイドβ」というタンパク質" に関して、以下のような "遺伝子の働き" の視点からの研究成果を上げている。

 <《 ...... チームは、アルツハイマー病になりにくい体質のマウスを発見し、遺伝子の働き方をほかのマウスと比べた。その結果、脳にたまるアミロイドベータの量が少ないマウスは、「KLC1E」という遺伝子の働きが弱いことを突き止めた ...... 》 ( 脳内に原因物質ためる遺伝子発見 アルツハイマー病/【共同通信】/2014.01.04 - 05:00 )>( アルツハイマー病で脳内に蓄積する「アミロイドβ」を制御する遺伝子発見(大阪大学)!( 当誌 2014.02.05 )

 "アルツハイマー病" を防ぐ物質の解明が、漸く軌道に乗り始めたようである......。

 実は、今回の記述は、既に "当誌で先日に注目したニュースソース" に関する記述の "リトライ(繰り返し)" なのである。
 その "先日の記述" とは、"RNA(リボ核酸)"の一種(NEAT1)!"対ウイルス免疫反応の調節機能"を担っていると判明!( 当誌 2014.02.08 ) のことである。

 "先日の記述" に間違いはなかったにせよ、「自己免疫疾患」に焦点を合わせて、当該研究成果"部分的な成果" に閉じ込めてしまった嫌いがあった。

 <単独で機能するリボ核酸(RNA)の一種が、インフルエンザやヘルペスのウイルスに対する免疫反応の調節を担っていることが分かった/ マウスを使って実験した結果、ウイルス感染を受けて生み出されるRNAの一種「NEAT1」が、免疫反応に歯止めをかけているたんぱく質「SFPQ」の機能を解除することが分かった/ 今後、新薬を開発する手掛かりになるという> と。

 しかし、当該研究成果は、実は、さらに "価値ある意義" を持つはずだと気づかされたのである。
 それに気づかせてくれたのは、同当該研究成果をバランスよく解説したところの下記引用サイト記事東大など、自然免疫を制御する未知の生体分子として「長鎖ncRNA」を発見/マイナビニュース/2014.02.10 であった。

 そこで、この下記引用サイト記事 に再度注目することで、同当該研究成果に改めて目を向け直したいと思うのである。要点は、以下のように整理できる。

 <東京大学は2月7日、筑波大学、九州工業大学との共同研究により、ウイルス感染と戦うための「自然免疫を制御する新たな生体分子を発見してその分子機能を解明、発見した生体分子はタンパク質へ翻訳されない特殊なRNA分子の「長鎖ノンコーディング(nc)RNA」であることが判明したと発表した

( 1 ) ヒトの免疫は、「自然免疫」と「獲得免疫」から構成/「自然免疫」はウイルス感染の最前線

 <ヒトの免疫は「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類から構成されている。自然免疫は免疫の初期段階を担い、獲得免疫は免疫の後期段階を担う。自然免疫はウイルス感染に抵抗するため、「サイトカイン」(細胞間でやり取りされる多様な生理活性を持つタンパク質の1種)と総称されるインターフェロンなどを産生することでウイルスに抵抗しているよって、自然免疫はヒトの生体防御システムの中でもウイルス感染の最前線といえる。

( 2 ) 「自然免疫」の全貌解明は、その制御を司る生体分子の未解明で阻まれていた

 <(「自然免疫」は、)これまで幅広い研究がなされてきたが、その仕組みの全貌解明には至っていない。その原因の1つが、自然免疫制御を司る生体分子として、タンパク質以外にどのようなものが存在するかが解明できていない点が挙げられるという。免疫研究のブレークスルーのため、従来のタンパク質以外の生体分子に着目した研究が必要であった

( 3 ) 研究チームは、「自然免疫」活性の前提となっている分子機構=ncRNAの1種「NEAT1」周辺を解明!

 <研究チームは今回、最新の「分子生物学的手法」、「分子イメージング技術」、「バイオインフォマティックス」を縦横に駆使して、ncRNAの1種「NEAT1」自然免疫に必須なサイトカインの発現を制御する分子スイッチとなっていることを発見し、詳細な分子機構を明らかにした

( 4 ) 「NEAT1」/タンパク質「SFPQ」/「mRNA」などの一連環と、それに基づく自然免疫活性化の高揚

 <まずウイルスに感染するとそれが刺激となって、NEAT1が誘導されることを解明。次に、誘導されたNEAT1が転写を抑制する働きを持つタンパク質「SFPQ」を吸着して、その働きを阻害することが示された。転写を抑制するSFPQの働きが阻害された結果、サイトカインを指令するmRNAの転写反応が促進され、それに引き続いてサイトカインの大量生産が引き起こされ、結果的に自然免疫活性が高まることが見出された

 "自然免疫" の仕組みが、ウイルス感染に抵抗するためには、ウイルスを死滅・撃退せよ! という "情報伝達(サイトカイン)" が、細胞間に行き渡ること不可欠なのだという。
 だが、この "伝達" が "タンパク質「SFPQ」" によって妨げられているのが実情であり、このメカニズムを、"リボ核酸(RNA)の一種=「長鎖ノンコーディング(nc)RNA」" の存在を通して解明したのだと理解される。

 こうした研究成果からは、"ウイルス感染の最前線" に立つ "自然免疫" の仕組み自体を "活性化/支援する治療法や治療薬の開発" が期待できることになろう。専門的で複雑な内容ながら、見逃せない価値ある重要な研究成果であることが分かる......。

 "糖尿病" が、他の "成人病" を誘発する "温床" となっていることは広く知られている。しかし、その治療法としては、"インシュリン" 投与のほか、生活習慣において "血糖値" を下げることのほかは決め手を欠いているのが現状

 ◆ 参照 注目点は"糖尿病"×"ウェアラブル医療機器"!"Dario":オールインワンで"血糖値"測定!( 当誌 2014.02.10 )

 そんな状況で、下記引用サイト記事糖尿病の悪玉物質を特定 マウスで症状改善/【共同通信】/2014.02.11 - 05:00 では、"遺伝子" 関連のタンパク質に絡んで、"新薬開発" に役立つと期待される研究成果を報じている。

 <糖尿病を発症、進行させるタンパク質を京都府立医大の的場聖明助教(循環器内科)のチームがマウスを使い特定し、10日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した/ 糖尿病は......年を取ると発症しやすくなるため、チームは細胞を老化させるタンパク質「p53」に着目/ チームは、このタンパク質の働きを抑える物質を糖尿病のマウスに投与して、症状を抑え、改善させており、「新薬開発に役立つと期待される」としている> とある。



 ただ、一つ気になるのは、この<細胞を老化させるタンパク質「p53」> が、下記参照文の<p53遺伝子(ピー53いでんし)> だとするならば、<このタンパク質の働きを抑える......> ことが "糖尿病" の症状を改善するとしても、このタンパク質の<癌抑制遺伝子> としての働きはどうなるのか、という点である......。

 ◆ 参照文
 < p53遺伝子(ピー53いでんし)とは、一つ一つの細胞内でDNA修復や細胞増殖停止、アポトーシスなどの細胞増殖サイクルの抑制を制御する機能を持ち、細胞ががん化したときアポトーシスを起させるとされる。この遺伝子による機能が不全となるとがんが起こると考えられている、いわゆる癌抑制遺伝子の一つ
 p53のpはタンパク質(protein)、53は分子量53,000を意味しタンパクは393個のアミノ酸から構成されている。......
 細胞が、がん化するためには複数の癌遺伝子と癌抑制遺伝子の変化が必要らしいことが分かっているが、p53遺伝子は悪性腫瘍(癌)において最も高頻度に異常が認められているp53は、細胞の恒常性の維持やアポトーシス誘導といった重要な役割を持つことからゲノムの守護者(The Guardian of the genome)とも表現されるが、染色体構造が変化する機構と、それらの細胞内での働き、そしてそれらが生物にとってどのように大切なのかについてはよくわかっていない
 ......
 p53遺伝子は単に癌の抑制にのみ関与しているのではないことが示唆されている。2002年、Tynerらは通常のマウス(p53+/+)とp53が通常よりも活性化している変異マウス(p53+/m)を比較したところ、変異マウスでは癌の発生率は低かったものの組織の老化が早く寿命が短かったことを報告した
>( p53遺伝子/ウィキペディア

 おそらくは、上記参照文にもあるとおり、
p53遺伝子は、...... 染色体構造が変化する機構と、それらの細胞内での働き、そしてそれらが生物にとってどのように大切なのかについてはよくわかっていない> とあるゆえに、この "新たな発見" によって、"p53遺伝子" の "別な素顔" が究明されて行くことになるに違いない。"遺伝子" の構造や働きは、まだまだ大半が "未知数" だというのが常識のようである......。

 
 "免疫" のしくみは、生体にとって不可欠な働きであることは言うまでもない。

 しかし、その"免疫" のしくみ自体が、種々の "アレルギー" 症状を引き起こすといった厄介な側面を抱えているのもまた事実だ。

 ◆ 参照 1.  <"免疫(応答)" というと、生体内部で "自分(のからだ)" を "敵" から守ってくれる "自前の味方" 勢力だと受け止められがちだ。
 ...... ただし、"手放し" で "100% の味方" とばかりは称賛できないという複雑さがある。  たとえば、"自己免疫疾患" と呼ばれている "花粉症アレルギー/リウマチ"( 臓器移植に伴う "拒絶反応" も )などがその例であり、"自分(のからだ)" に潜む "免疫細胞" 領域のメカニズム/働き自体が、"自分(のからだ)" を蝕み、苦痛や害をもたらすという "反転攻勢" に打って出ている......。>( 過剰な"細胞死/免疫応答"制御!又しても"免疫細胞"領域で新たな分子メカニズム発見!( 当誌 2014.02.07 )

 ◆ 参照 2.  <■過剰反応でアレルギー
 ...... 一方で、免疫が過剰に働くことで起きる問題もある。花粉やほこりなどの異物は本来、病気の原因にならないはずだが、何らかの理由で過剰な反応が出ると花粉症などのアレルギー症状になる。また、間違って自分の体の細胞を攻撃してしまうのがリウマチなどの自己免疫疾患だ。  免疫の働くバランスを巡っては衛生仮説」と呼ばれる考え方がある。先進国では衛生環境が向上し、感染症が減った。病原体にさらされることが減り、獲得免疫の働く機会も減ってしまったそれが、アレルギー疾患の増えた原因ではないかというものだ。......>( 1日当たり新たながん細胞は約5千個もできる?! なのに"がん"にならないワケ:免疫力!( 当誌 2014.01.26 )

 ◆ 参照 3. アレルギー抑えるタンパク質("EZH2")を特定(千葉大学など)!根本的治療薬開発に期待!(当誌 2013.11.19)
 ◆ 参照 4. 悩んでいるなら! 花粉症の症状を軽減するための「舌下免疫療法」とは/マイナビニュース/2014.02.06
 ◆ 参照 5. 経口免疫療法でアレルゲン耐性が25倍に/WIRED/2014.02.05 WED

 従来、"アレルギー" 症状に対しては、"対症療法" が採られてきた。症状を表面的に消失あるいは緩和させることを目的とした治療である。
 ところが今、注目されている治療法は、"根治療法" だとされる。読んで字のごとく、症状を "根本(の原因)" から解消する治療( "原因療法" とも言われる)に注目が集まっている。
 下記引用サイト記事スギ花粉症も食物アレルギーも 根治を目指す「免疫療法」の威力 激変するアレルギー治療最前線/DIAMOND online/2014.02.10 は、そうした現状を解説した雑誌の紹介記事である。

 <さまざまな種類のアレルギー薬が販売されているが、シダトレンは全く毛色が異なる。抗ヒスタミン薬など既存のクスリは、目のかゆみや鼻水、鼻詰まりなどの症状を一時的に抑える対症療法。対して、シダトレンは「舌下免疫療法」というスギ花粉症の根治を目指す治療に使われる/ 根治療法への待望論が膨らむ背景には、スギ花粉症などアレルギー患者数の急増がある/ スギ花粉症の有病率は10年間で急増/ 今や国民の4人に1人、およそ3000万人がスギ花粉症患者/ 一度発症すると大半は治ることがないので、雪だるま式に増えてきた/ アレルギー性鼻炎/ 食物アレルギー/ 実は食物アレルギーの治療も、常識が百八十度転換する激変ぶりを見せている。スギ花粉症舌下免疫療法と同じように、"治す"ための「経口免疫療法」が一部で始まっている/ 環境中に広く存在するさまざまなアレルギー物質/ 多くのアレルギーには、IgE抗体と呼ばれる物質が関与しており、これにアレルギー物質が結合すると、ヒスタミンなどのさまざまなアレルギーを引き起こす化学伝達物質が作られる/ アレルギーになりやすい体質の場合......アレルギー症状が増えていく傾向にある/ アレルギー疾患に順番にかかっていく様を行進に例えて「アレルギーマーチ」とも呼ばれる

 <アレルギー治療には原因物質を体内に取り入れて体を慣れさせる「免疫療法」というものが100年以上昔からからあります。これが最新治療法としてよみがえり、スギ花粉症や食物アレルギーの治療で行われています。どんな治療内容なのか。根治するのか。どこで治療できるのか......> とある。

 一つ、"要注意事項!" として書いておいた方が良さそうな点がある。

 <実は食物アレルギーの治療も、常識が百八十度転換する激変ぶりを見せている。スギ花粉症舌下免疫療法と同じように、"治す"ための「経口免疫療法」が一部で始まっている> とある中の "食物アレルギー" に対する "「経口免疫療法」" なのである。 他の記事においても<この方法は自宅で我流に行えるものではないことには留意していただきたい> と警告されている(生命に関わる可能性)点なのである。( 経口免疫療法でアレルゲン耐性が25倍に/WIRED/2014.02.05 WED

 "免疫" のしくみ に関わる現象は、"全身への波及" を誘う可能性もあるだけに、"我流は禁物!" であり、知識/情報を吟味することが重要かと思われる......。

 世界中に "糖尿病" にかかっている人は "4億人" もいるのだという。これに関連する医療費を計算すれば膨大な額! となろう。
 と同時に、だからこそ "糖尿病" 患者に焦点を合わせた医療機器の開発とビジネスもまたクローズアップされるのかもしれない。

 また、普及し尽くした観のある "モバイル" 機器が、このところ向かっているターゲットは、"ウェアラブル機器" だという点も広く知られた事実だ。

 だから、"目敏い企業" は、"糖尿病"×"ウェアラブル医療機器"! に焦点を合わせるのかもしれない。

 ◆ 参照 <アメリカのIT企業グーグルは、糖尿病の患者の負担を減らすため、血液の代わりに涙の成分から血糖値を測定するためのコンタクトレンズの開発を始めたことを明らかにしました/ 具体的にはコンタクトレンズに小型のセンサーを埋め込み、涙の成分に含まれるブドウ糖の量を、自動的に測定する仕組みを開発する計画/ レンズに小型のLEDライトを装着し血糖値が基準を超えた場合には、ライトが点滅して警告する仕組みについても実用化できないか検討>( 「涙で血糖値」グーグルが新コンタクト開発へ! "ウェアラブル端末"→"医療機器"へ!( 当誌 2014.01.19 )

 そして、今回注目する記事もまた "この文脈" にあると言えそうだ。

 下記引用サイト記事「Dario」:糖尿病を克服するためのアプリ/WIRED/2014.02.09 - SUN がそれである。

 <血糖値を測定し、炭水化物の摂取量を計算して、インスリンと身体的負荷のレヴェルを検証する。糖尿病に苦しむ人には気をつけるべきことがたくさんあるが、これからはもうひとり味方がいる。彼の名前は「 Dario 」という。イスラエルのスタートアップのチームの製品だ。これは健康のための鍵となるすべてのパラメーターを統合的に管理することのできる、ポータブルデヴァイスとの連携で利用するアプリである/ すべてはポケットサイズの小さな装置を中心に機能する/ 内部には25枚のテストストリップ(試験紙)のカートリッジと非常に細い針を備えた無線の血糖値計/ テストストリップに血を一滴吸収させて、オーディオジャックを通して機器をスマートフォンに接続するだけ/  Dario はオールインワンのスタイル>によって独特のアプリとなっている> とある。

 患者当事者でなければ理解し難いのかもしれないが、"血糖値" 管理というものは "手間ひま" が掛かる! また、怠ることができないのは、"糖尿病" 状態が他の恐い "成人病" のへの道に通じているからだ......。

 今シーズンのインフルエンザの流行が猛威を振っている

 下記引用サイト記事 1インフル、H1N1型が最多...免疫ない人増加/YOMIURI ONLINE/2014.02.07 - 15:24 によれば

 <1月27日~2月2日の推計患者数は約187万人で、昨シーズンのピーク時(約214万人)に近づいた> とある。

 そして、一つの特徴としては、

 <2009年に新型として発生したH1N1型の患者が最多で、3シーズンぶりに流行/ 昨シーズンは2%にとどまっていた (のに対して) 今シーズンは最多の40%> に急増加している点なのだという。

 なお、その理由は、<H1N1型への免疫を持たない人が増えたためだろう> と推測されている。

 しかも、<H1N1型は09年の発生当初、若年層が肺炎や呼吸困難で入院するケースも目立った> という過去の経緯があるだけに "要注意!" なのだとされる。

 ところで、"H1N1型" のインフルエンザは、<2009年に新型として発生> とあるから、いわゆる "新型" インフルエンザでなく、"再流行" だということになる。

 いや、世界的な視野から見れば、実は "H1N1型" は、かなり以前から登場していたようだ。

 その点については、下記引用サイト記事 2新型インフルエンザウイルス/インフルエンザウイルス/2007.09.26 - 13:54 が次のように解説している。

 <1918年に発生したスペイン風邪H1N1型/ H1N1型はアジア風邪が登場してから姿を消していましたが、1977年にソ連風邪として再登場しました。よく耳にするAソ連型H1N1型/ インフルエンザウイルスは、毎年少しずつ形を変えながら感染を繰り返します。このような、ウイルスの性質が少しずれて起こる変異「連続変異」といいます> とある。
 <これに対して、従来流行していたウイルスとはHAやNAの亜型が全然違うウイルスが突然現れることがあります。これを「不連続変異」といい、これによって現れたウイルスが、いわゆる「新型インフルエンザウイルス> だとされるので、いわゆる"新型" インフルエンザではないことになる。

 だとしても、"免疫"(抗体/免疫細胞)が過去に作られた経緯のない個々人=<免疫を持たない人々> にとっては、概ね "新型" と同じ結果となってしまうわけだ。

 ちなみに、"ウイルス" の "変異体/亜型" は、ウイルスの遺伝子が生体の体内で混じり合って "遺伝子配列がダイナミックに変化" することで生じるとのことである。"鳥インフルエンザ" でも警戒されているように、この "ウイルス変異" は予想以上に発生し易いようである。
 そして、その "変異" は、"ウイルスの表面の突起"(HA,NA) の変化で見分けられる、と言われ、それが "H~N~" と呼ばれるそうなのである......。

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 今回も、"免疫(応答)" に関連する先端研究の成果が話題となる。
 その重要さとともに、興味と関心の尽きないのが"免疫(応答)" 現象だからである。

 昨日は、その "免疫(応答)" 機能の、いわば "副作用(?)" の側面だとも言えそうな "自己免疫疾患" と呼ばれる現象について次のように触れた。

 "免疫(応答)" 機能には、<"手放し" で "100% の味方" とばかりは称賛できないという複雑さがある。
 たとえば、"自己免疫疾患" と呼ばれている "花粉症アレルギー/リウマチ"( 臓器移植に伴う "拒絶反応" も )などがその例であり、"自分(のからだ)" に潜む "免疫細胞" 領域のメカニズム/働き自体が、"自分(のからだ)" を蝕み、苦痛や害をもたらすという "反転攻勢" に打って出ている......。>( 過剰な"細胞死/免疫応答"制御!又しても"免疫細胞"領域で新たな分子メカニズム発見!( 当誌 2014.02.07 )

 そして、今回、注目したいのは、その "自己免疫疾患" に関連しており、言ってみれば、その "裏側(?)のメカニズム" に関わる "新発見" なのである。

 下記引用サイト記事免疫反応を調節するRNA=インフルなどで発見―東大など/Yahoo!JAPAN ニュース/2014.02.07 の本題に入る前に、着目しなければならないのは、同記事中末尾にある以下の事実であろう。
 <免疫は、過剰に働くと自分の体や細胞を壊す「自己免疫疾患」の原因になるため、簡単に反応しないよう歯止めがかかっている> という事実である。

 "免疫" 機能とは、"自分(の身体)" 以外を "異物(抗原)" として何でも "抗体" をもって抗うのかと思えば、さにあらず! "モノ分かり良く鷹揚に構える(?)" スタンス! の面(=<簡単に反応しないよう歯止めがかかっている>) もある、というのである。

 それはそれで "結構な話" のように思えるが、これまた、さにあらず! その結果、"情け容赦なんぞ不必要なウイルスなど" に対して "手ぬるい" 応対となりかねないからだ......。

 そこで、「そんな "手ぬるい" 応対はマズイよ」と "調整役を果たす者(中間管理職 ?)" が必要となる......、ということになろうか。

 とまあ、こんな "枕噺(?)" を踏んでおくと、記事における以下の叙述が理解し易くなるのではなかろうか。

 <単独で機能するリボ核酸(RNA)の一種が、インフルエンザやヘルペスのウイルスに対する免疫反応の調節を担っていることが分かった/ マウスを使って実験した結果、ウイルス感染を受けて生み出されるRNAの一種「NEAT1」が、免疫反応に歯止めをかけているたんぱく質「SFPQ」の機能を解除することが分かった/ 今後、新薬を開発する手掛かりになるという

 こうした "調整役を果たす者(中間管理職 ?)" としては、<シグナル伝達分子>(<"情報伝達分子">)が、昨日の記事でも登場していたのであるが、今回の記事では "RNA(リボ核酸)"の一種 ( NEAT1 )! もまた同様の "調整役" を果たしている! というのであるからおもしろい......。

 ここ最近、いわゆる "免疫細胞" 領域における先端研究の成果に関心を寄せ続けている。この領域でのアグレッシィブとも言える研究が、従来、"そのメカニズムが不明" 扱いとされてきたいろいろな難しい疾患に、あたかも光明をもたらすかのような可能性が覗えるようだから、大いに期待したいわけなのである

 "免疫(応答)" というと、生体内部で "自分(のからだ)" を "敵" から守ってくれる "自前の味方" 勢力だと受け止められがちだ。

 ◆ 参照 <免疫応答【メンエキオウトウ】――免疫を担当する細胞が外来性および内因性の異物を抗原と認識し、特異的に応答して行われる反応。>( kotobank.jp

 ただし、"手放し" で "100% の味方" とばかりは称賛できないという複雑さがある。
 たとえば、"自己免疫疾患" と呼ばれている "花粉症アレルギー/リウマチ"( 臓器移植に伴う "拒絶反応" も )などがその例であり、"自分(のからだ)" に潜む "免疫細胞" 領域のメカニズム/働き自体が、"自分(のからだ)" を蝕み、苦痛や害をもたらすという "反転攻勢" に打って出ている......。

 今回、注目する記事は、こうした、いわば "免疫細胞" の "ご乱心騒動(?) に対して "新たな一矢を報いる!" 研究成果だと言えそうだ。

 この研究成果を伝えているのは、下記引用サイト記事細胞死や免疫応答を調節する新たな分子メカニズムを発見/東京大学/2014.01.22 である。

 先ず、当研究成果を理解し易いように、<研究の背景> を踏まえておきたい。

 <生体内での活性酸素の過剰な産生は、生体を構成するタンパク質やDNA、細胞膜などに傷害を与え、修復できない程度まで細胞が障害を受けると細胞死が誘導されます。このような活性酸素で誘導される細胞死は、心筋梗塞や脳梗塞といった虚血性疾患や神経変性疾患、糖尿病、がんなどさまざまなヒトの疾患に関与することが知られています。また、過剰な免疫応答は、強いアレルギー反応や炎症を引き起こし、ぜんそくや皮膚炎、リウマチなどの自己免疫疾患につながります。しかしながら、このような細胞死免疫応答が、どのような仕組みによって調節されているかについては、不明な点が残されていました>( 下記引用サイト記事

 この<不明な点が残されていました> とある<仕組み> が解明されたわけだが、"免疫細胞" 領域での基礎知識がない丸腰ではいささか難しい。

 <東京大学大学院薬学系研究科の一條秀憲教授、松沢厚特任准教授、丸山剛元特任研究員らの研究グループは、これまでに活性酸素によって誘導される細胞死免疫応答を促進する細胞内のシグナル伝達分子(注2)であるタンパク質ASK1を発見し研究を進めてきました。今回の研究では、ASK1の分解を促進させる新たなタンパク質Roquin-2を発見しました。Roquin-2は、分解されるべきタンパク質の目印となる分子、ユビキチン(注3)をASK1に結合することで、ASK1の分解を促進させ、不活性化させます。この仕組みにより、生体内で起こる過剰な細胞死免疫応答適切に調節されていることが示唆されました。
 本成果により、ASK1の活性を調節するRoquin-2のようなタンパク質を標的とすることで、活性酸素誘導性の細胞死が関与する神経変性疾患や炎症、自己免疫疾患など、さまざまなヒトの疾患に対する新たな治療薬の開発につながると期待されます
> とある。

 ところで、この研究成果の一つのポイントは、<ASK1>という<シグナル伝達分子>であろうかと思われる。

 実は、昨日の当誌の末尾で書いた<"情報伝達分子">のことなのである。
 ◆ 参照 <"免疫細胞" の範疇で重要な働きをしつつ、まだまだ未解明とされているさまざまな "情報伝達分子" の働きが解明される過程で、今後、さらに驚くべき未知の扉が開かれるのではないか>( "脳内免疫細胞"が自閉症や強迫性障害(OCD)で懸念される"社会的行動の形成"を助ける!( 当誌 2014.02.06 )

 現在の"免疫細胞" 領域における先端研究の一つの焦点はこの辺に潜んでいるのかもしれない......。

 "社会的行動" の欠落を特徴とする "自閉症や強迫性障害(OCD)" は、生活環境に起因するというよりも、いわゆる "発達障害" ではないかと判断されていることは知られている。

 <医学的意味の水準での "自閉症" とは、未解明の部分を多々残しているものの、<社会性や他者とのコミュニケーション能力に困難が生じる障害の一種。先天性の脳機能障害とされ......一般的には、発達障害の一種である......>( ウィキペディア/自閉症 )と見なされている>( 世界初!自閉症の新たな治療につながる可能性!オキシトシン点鼻剤で障害改善を実証!( 当誌 2013.12.21 )

 ただ、この "発達障害" がどのような経過で生じるのかについては、研究途上にあるようだ。

 以下の参照記事などからは、最近の研究/治療では、"遺伝子" や "一種のホルモン" が注目されていることが分かる。

 ◆ "遺伝子" に着眼する研究
 <発達障害の一つである自閉症を研究する自治医大の桃井真里子主任教授(小児科学)の研究チームは5日までに、脳内の神経伝達物質の代謝に関わる自閉症の新たな原因遺伝子を特定した。日米の患者約300人のDNAを解析した結果、GPR37」と呼ばれる遺伝子が10人で変異していることを発見、この変異が細胞機能に悪影響を与えることを突き止めた。>( 自閉症の原因遺伝子(GPR37)特定される!虐待や過保護による「母原病」なぞではない!( 当誌 2013.01.07 )

 ◆ "一種のホルモン" に着眼する研究
 <(東京大学のグループは)ホルモンの一種であるオキシトシンスプレーによって鼻から吸入することで、自閉症スペクトラム障害において元来低下していた内側前頭前野 と呼ばれる脳の部位の活動が活性化され、それと共に対人コミュニケーションの障害が改善されることを世界で初めて示しました>( 世界初!自閉症の新たな治療につながる可能性!オキシトシン点鼻剤で障害改善を実証!( 当誌 2013.12.21 )

 だが、"発達障害" と目されるからには、個体の "発達過程"(成長過程)にメスが入れられるべきかと考えられる。

 この点で、注目されるのが個体の "発達過程"で、"脳内の神経回路" で発生している "シナプス刈り込み" という現象である。

 <生後間もない動物の脳には過剰な神経結合(シナプス)が存在するが、生後の発達過程において、必要な結合だけが強められ、不要な結合は除去されて、成熟した機能的な神経回路が完成する。この過程は「シナプス刈り込み」と呼ばれており、生後発達期の神経回路に見られる普遍的な現象であると考えられている。自閉症やADHD(注意欠陥多動性障害)などの発達障害において、発達期のシナプス刈り込みの異常が関係すると考えられている......>( 小脳のシナプス刈り込みの仕組み解明/東京大学/2009.07.17

 今回、着目したい記事はこの点( シナプス刈り込みの異常! )に関係している。

 下記引用サイト記事脳内免疫細胞が社会的行動の形成を助ける Brain immune cells help shape social behavior/natureasia.com/2014.02.03 がそれである。
 この、発達期のシナプス刈り込み時における異常が、"脳内免疫細胞/ミクログリア(小膠細胞)" の "不十分な働き" から引き起こされている、のではないかというのである。しかも、ここに "ミクログリア(小膠細胞)" という "脳内免疫細胞" が関わっている ( 悪さをしているのではなく、"働きが不十分!" だという点で ) と。

 <発生過程におけるシナプス刈り込みミクログリア(小膠細胞)の介助によるこれら細胞は脳にある非神経細胞で、免疫応答にその機能を持つ。これまでの研究で、ミクログリアが低下しているマウスは学習や記憶に欠陥があることが示されている/ 遺伝的に改変して脳内のミクログリアの数を一時的に減少させたマウスを研究/ このマウスでは、他のマウスとの社会的接触の減少と同時に、毛づくろい行動の増加が見られ、OCDや自閉症スペクトラム疾患のような疾患に見られる繰り返し行動との類似が示唆される/ 脳試料を調べ、これらマウスではシナプス刈り込みが不十分で、認知および社会的行動に関わる2つの脳領域である海馬と前頭前野との間の機能する接続が減少していることを示した> とある。

 昨日、当誌で "アルツハイマー病" に関する記事を扱った際、その末尾を以下のように締め括った

 <現在、さまざまな病気に関係している "たんぱく質/アミノ酸/酵素" の研究も、"遺伝子工学" などと併せて急速に進展しているようである。
 したがって、"アルツハイマー病" の原因とされている "「アミロイドβ」というたんぱく質" 自体の解明が、ブレイクスルー的な駆け上がり方で進むことも存外遠くないのかもしれない......
> ("ホップ"にアルツハイマー病を予防できる成分!"発症を遅らせる"ことができると確認!( 当誌 2011.02.04 )) と。

 "単なる予感" で書いたに過ぎなかったのだが、<"たんぱく質/アミノ酸/酵素" の研究も、"遺伝子工学" などと併せて急速に進展しているようである> という点が、"その翌日の記事" ですかさず報道されたことには驚きである。

 下記引用サイト記事 1/ 2アルツハイマー病で脳に蓄積 「アミロイドβ」制御する遺伝子発見/TBS News i/2014.01.04 - 05:00脳内に原因物質ためる遺伝子発見 アルツハイマー病/【共同通信】/2014.01.04 - 05:00 は、"遺伝子工学" を援用したアプローチで、"アルツハイマー病" を発症させる "タンパク質「アミロイドβ」" の量を "制御する遺伝子「KLC1E」" が突き止められた、というのである。

 <アルツハイマー病で脳に蓄積するアミロイドβというタンパク質の量を制御する遺伝子を、大阪大学などの研究グループが発見しました/ アルツハイマー病になりにくい体質のマウスがいることを発見/ アルツハイマー病で脳内に蓄積するアミロイドβと呼ばれるタンパク質の量を制御している遺伝子があることを突き止めました> (【 引用記事 1 】

 <脳にたまるアミロイドベータの量が少ないマウスは、「KLC1E」という遺伝子の働きが弱いことを突き止めた> (【 引用記事 2 】

 <この遺伝子から作られる物質を培養したヒトの神経細胞で人工的に減らしてみると、アミロイドβの量も抑制されることを解明> (【 引用記事 1 】) とある。

 この "「KLC1E」という遺伝子" の働きをめぐる研究が順調に進展するならば、"アルツハイマー病" の新たな予防/治療法につながって行く可能性が大いに期待されそうである......。

 "認知症" は、65才以上の10人に1人は発症すると言われるほど、高齢者に多い病気であり、日本での "アルツハイマー型認知症" の患者数は推定100万人とも言われている。

 ところが、残念ながら <アルツハイマー病は、発症の仕組みは分かっていません> というのが実情であり、<症状がないか軽いうちに治療を始めることが効果的> とされ、<進行を遅くする> ことに注力されている、という。( ◆ 参照 "アルツハイマー病"発症解明へと大規模研究!医療機関サイドが"本腰を入れた"対応に!( 当誌 2013.10.08 )65歳以上の4人に1人が認知症とその"予備軍"となる見込み! 認知症に関する基礎知識!( 当誌 2014.01.07 )

 要するに、現状でのアルツハイマー病は、"根治" は難しく、"症状の軽減/進行の先延ばし" が焦点となっていると理解される。

 こうした状況であるがゆえに、下記引用サイト記事ホップにアルツハイマー病を予防できる成分 - 京大などが発見/マイナビニュース/2014.01.30 が注目に値するのだと思われる。

 <京都大学(京大)やサッポロビールの研究チームは1月30日、ビールの原料などで知られるホップから抽出した成分の中にアルツハイマー病の発症を抑える効果を持つものがあることを、アルツハイマー病モデルマウスを用いて確認したと発表/ 今回の研究は、そうしたアルツハイマー病の進行を予防するという観点から行われたもの/ アルツハイマー病は、脳内において産生されるアミロイドβ(Aβ)が凝集、沈着することで神経細胞死を引き起こし、記憶や学習能力の低下を招く/ Aβの産生には酵素「γセクレターゼ」が主要な役割を担っている/ γセクレターゼ活性を最も強く抑制できるものとしてホップの雌株の球花のエキス(ホップエキス)(生薬名:啤酒花)が同定された/ 主要成分「Garcinielliptone HC」と呼ばれる物質/ アルツハイマー病モデルマウスに投与し、発症予防の効果があるかどうかの検討を行った/ ホップエキスを摂取したADマウスでは記憶・学習能力の低下が観察されたのが15カ月齢以降となり、アルツハイマー病の発症を遅らせることができることが確認された/ 18カ月齢の高齢のADマウスでは、不安行動の欠落(情緒異常)が認められたが、同エキス摂取マウスでは、そうした情緒異常は観察されなかったほか、脳内Aβの蓄積を調べた染色結果においても、同エキス摂取マウスは非摂取マウスと比較して有意にAβの沈着が減少していることが確認された/ なおサッポロビールでは、ホップエキスを含有する商品の販売を目指す> とある。

 望むらくは、できるだけ早い時期に "発症メカニズム" の解明と、"根治" の治療法が開発されることであるには違いないが、現段階においては、"進行速度が抑制" できるならば十分に歓迎されるのではなかろうか......。

 インフルエンザの流行が急速に広がっているという。

 <インフルエンザの流行が警報レベルに近づきつつある。国立感染症研究所が31日に公表した調査によると、1医療機関あたりの患者数は平均24・81人で、前週11・78人の2倍以上。埼玉、千葉、東京、神奈川の4都県は警報レベル(30人)前後となり、いずれも警報を発令している> ( インフル流行、各地で警報レベル 厚労省が対策呼びかけ/朝日新聞/2014.01.31 - 20:32

 予断を許さない状況だという。

 <ウイルスは12月下旬以降、2009~10年に新型として流行したH1N1が増えている。新型のときは、ぜんそくや腎臓病の人で重症化したり、若い世代で発症したりするケースが目立ったため、注意が必要だ。タミフル(錠剤)とラピアクタ(点滴薬)が効きにくいH1N1の耐性ウイルスも、北海道、山形、神奈川、三重、大阪の5道府県で20人見つかっている> (同上) とある。

 "耐性ウイルス" への "変異" という推移を考慮すると、"ワクチン" に頼るだけでは万全ではなさそうだ

 そこで注目しなければならないのが、"自前の免疫力" の強化! ということになる。元より、"病原菌" とは異なる "ウイルス" に対しては "抗生物質" は効かない。罹病(りびょう)したならば、"自力で応戦!" するしかないわけだ。
 そうした観点から、昨年年末から "自前の免疫力" の強化! に関心を寄せてきた。

 ◆ 参照 "抗体医薬":生体がもつ"免疫システムの主役である抗体"を主成分とした医薬品が熱い!( 当誌 2014.01.01 )
 ◆ 参照 インフルエンザが全国的な流行期に!今年は"乳酸菌(プラズマ乳酸菌)"で"免疫力UP"!( 当誌 2013.12.29 )

 今回も、これらの繰り返しとなるが、再び、"免疫力活性化" に役立つとされる "プラズマ乳酸菌" に注目してみることにした。

 下記引用サイト記事プラズマ乳酸菌」に脚光 免疫力活性化 ウイルス撃退/msn 産経ニュース/2014.01.31 - 09:00 がそれである。

 <インフルエンザの流行が本格化/ 感染予防に"食の力"/ ヨーグルトなどの食品に含まれる乳酸菌/ 免疫力をアップさせ、高い予防効果が期待できる乳酸菌の存在/ ウイルスなどの外敵が侵入してしまった場合にしっかり撃退する「免疫細胞」の働きを高めること/ 乳酸菌の働きによって「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」と呼ばれる免疫細胞が活性化されること/ プラズマ乳酸菌"司令官"pDCに直接働きかけて複数の免疫細胞を一斉に活性化させるのが特徴/ pDCが自らの細胞の内部にプラズマ乳酸菌を取り込むと、ウイルス増殖を抑える物質を放出する/ この物質が引き金となって他の免疫細胞も一斉に臨戦態勢を整え、これまでとは違った高い予防効果が期待できる> とある。

 "乳酸菌" などの "腸内細菌" が機能する舞台は、もちろん "腸" であり、これらによって果たされる "免疫" は "腸管免疫系" と呼ばれ、何とヒトの "免疫力" 全体の "60%" を占めるのだそうだ。
 どうも、"乳酸菌"/"プラズマ乳酸菌"/"免疫力" という体内リンケージは、ことインフルエンザ・ウイルスにのみ関わっているのではなくて、"免疫力" という点において、"がん" を含む多くの病気とその治癒力にも深く関係しているようである......。

 "がん治療" については、外科的切除手術/放射線治療/抗がん剤治療など種々のアプローチが実施されている。だが、危惧されているのは、"抗がん剤が効かない末期がん" だと見なされている。

 そんな現状において、"細胞機能の根幹" に遡る視点から進められている研究で、ひとつの注目すべき研究成果が現れている。"抗がん剤が効かない末期がん" に対する "治療法" としても可能性がある手法ではないかと期待されている。

 下記引用サイト記事がん細胞を正常化 鳥大研究グループが手法発見/Net Nihonkai/2014.01.31 は、その成果と課題とを以下のように報じている。

 <鳥取大学医学部の三浦典正准教授(54)=薬物治療学=の研究グループは30日までに、細胞内に存在して生命活動を制御する小分子リボ核酸(RNA)「マイクロRNA」の一種を悪性度の高いがん細胞に入れると、がん細胞が正常な細胞に変化することを発見した。抗がん剤が効かない末期がん患者に対して有効な治療になる可能性がある/ デオキシリボ核酸(DNA)から発生するマイクロRNAを研究....../ マイクロRNAの一種の「520d」の働きを調べてきた/ 人間の肝臓がんの細胞をマウスの体内に入れると、通常ならがんになるが、事前に520dを細胞内に導入した肝がん細胞だと悪性腫瘍にはならず、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や正常な細胞になることを確認

 ただし、今後の研究課題としては、

 <実用化のためには、体内に入れるとすぐに無くなってしまう性質があるマイクロRNAを、がん細胞に届くまで無くならないように保護する方法を確立する必要がある> とのことだという......。

 なお、"小分子リボ核酸(RNA)「マイクロRNA」" と "がん細胞" との関連については、別サイトからの情報であるが、以下の引用が示唆的かと思われる。

 <―― 細胞内でのmiRNAの機能
 哺乳類において、miRNA細胞の発生、分化、増殖、がん化およびアポトーシスなどの細胞機能の根幹に関わっていることが知られている。このmiRNAは約1,000種類以上存在しており、様々な遺伝子発現様式を介して最終的に細胞機能の発現に関わっていると考えられている。
―― miRNAとがん
 miRNAは、がん、感染症、生活習慣病および難聴などの様々な疾患や病気に関わっていることが知られている。その中でもmiRNAは、細胞のがん化に深く関与していることが多くの研究者らによって指摘されている。がんに関わるmiRNAには、正の制御をするもの負の制御をするものとの2種類が存在している。正の制御をするmiRNAoncogenic miRNA (onco miRNA) と呼ばれている。一方、負の制御をするmiRNATumor Suppressor miRNAと呼ばれている。
 特にonco miRNAに関して、その発現量の亢進が細胞のがん化を誘発していることが明らかにされている。2010年、米国の研究グループは初期のリンパ腫を人為に発症させた人工マウスを作製した。そのマウスにおいて、onco miRNAのひとつであるmiRNA-21というmiRNAの発現量を抑制した場合、プレB細胞由来のリンパ腫の消滅が観察された。したがって、onco miRNAの発現量を低下させ、がん細胞を消滅させるという方法は、がんの新たな治療薬の開発手法のひとつとして期待される
>( miRNA/ウィキペディアより抜粋

 "STAP"(「stimulus triggered acquisition of pluripotency」(刺激惹起性多能性獲得)の略)という "万能細胞" の作製が、世界の注目を集めたことは、昨日触れたばかりである。

 ただし、<未だマウスからの作製の段階であり、人間の細胞からSTAP細胞が作れるかは不明のようであるが、大きな期待が寄せられている> ( 新型"万能細胞:STAP(スタップ)細胞" 酸の刺激だけで作製成功!ES細胞/iPS細胞に続く!( 当誌 2014.01.31 ) ) という、"制限付き" の現状だとされていた。

 だが、新たな "追加報道" によると、当該の"共同研究グループ"( 理化学研究所チーム、ハーバード大チャールズ・バカンティ教授ら )では、既に、"人間の細胞からのアプローチ" に迫るべく、"サル" を対象とした治療研究が進んでいる、とのことである。

 下記追加引用サイト記事サルで実験 ハーバード大、脊髄損傷を治療/msn 産経ニュース/2014.01.31 - 08:30 は、以下のように現状の進展状況を報じている。

 <細胞に刺激を与えることで、さまざまな種類の細胞に変化できる能力を持たせた新しい万能細胞「STAP(スタップ)細胞」を使い、米ハーバード大のチームが脊髄損傷のサルを治療する研究を始めていることが30日、分かった。人間の細胞を使った作製も研究しているという/ 人工的に脊髄を損傷してまひを起こさせた複数のサルからSTAP細胞を作製し、移植に利用する実験を2011年から始めている/ 詳細は明らかにできないものの、「驚くべき結果が出ている」と話し、回復効果があったと示唆さらに「最近になって、人間の皮膚にある線維芽細胞からもSTAP細胞を作製してみたが、まだ十分に細胞の性質を明らかにできていない」と述べた> とある。

 "万能細胞/STAP" 研究の進展は、その "水面下" での進行も露わになってくると、益々、サプライズの度を強めて行きそうだ......。

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