yasuo hirose: 2014年5月 アーカイブ

 "心不全" とは、<心臓の能力低下で起こる体の不健全な状態> だと言われ <現在、欧米ではトップの頻度の疾患で、1,000人当たり7.2人とされています。生活習慣の欧米化が進む日本でも、ほぼ同程度に迫っていると思われます。このうちの約50%が、狭心症や心筋梗塞が原因となっています> とある。( 循環器病情報サービス より )

 だが、右の概念図からも推測されるように、この発症の詳しいメカニズムは明らかになっていない。
 最近の報道では、"糖尿病" との関連も指摘されるに及んでいる


 ◆ 参照 当誌過去 "心不全と糖尿病" に関する記事 "糖尿病"管理が"心不全"にも影響することを解明(国循)!HbA1cが8%を超えない管理要!/当誌 2014.04.28 )

 今回注目する下記引用サイト記事心臓のポンプ機能に特定タンパク質 岡山大大学院グループ/山陽新聞 - 岡山医療ガイド/2014.05.30 は、こうした "心不全" の発症メカニズム解明に一石を投じるものかと思われる

 <岡山大大学院医歯薬学総合研究科の片野坂友紀助教、成瀬恵治教授(システム生理学)らのグループは、血圧の変化などに応じて心臓のポンプ機能を一定に保つ上で、心筋細胞にある特定のタンパク質が関わっていることを突き止め、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に29日発表した。片野坂助教は「心不全心肥大が発症する仕組みの解明につながる可能性がある」としている/  心臓は、体の成長や血圧の上昇などに伴い一つ一つの心筋細胞の構造や質が変わることで、ポンプ機能を一定に保っている。この現象は「リモデリング」と呼ばれるが、詳しいメカニズムは分からなかった/  片野坂助教らは、心筋細胞同士をつないでいる部位にあるタンパク質「TRPV2」に着目。マウスに薬剤を投与しTRPV2の機能を止めると、数日で重篤な心不全に陥ったことから、このタンパク質リモデリングに関与していることが分かった/  片野坂助教は「TRPV2心筋細胞の動きを感知するセンサーで、血圧の変化などに応じて心筋細胞内の他のタンパク質に、細胞のサイズや収縮力などの"指令"を出す役割を担っていると考えられる」としている> とある。

 ちなみに、心臓における "収縮と弛緩" という動きは、心臓全体で展開する以前に、心臓を構成している "心筋細胞" の一つひとつがその動きを担っている、と見なされているようである。
 こう考えると、今回の <心筋細胞同士をつないでいる部位にあるタンパク質「TRPV2」> の働きのイメージが浮かび上がってくる





















 つい先日、大いにありそうだと思える報道があった

 『糖尿病治療、患者の1割が1年で通院中断/YOMIURI ONLINE/2014.05.25』 という記事である

 "糖尿病" の怖さは、一方では確実に "万病の原因になる血管障害!" をもたらしながら、その反面、現時点においては "自覚症状ナシ!" という "まやかし!" にあると思われる

 だからこそ、<患者の1割が1年で通院中断> という現象が生まれてもいるのであろう。 しかも、"通院" 継続には、"治療費" も "時間" もかさむ上に、まず "エンドレス" と見なければならない......。

 そこで、"通院" の代替策にはならないとしても、"糖尿病" ならではの "生活習慣改善" 面に思い切って目を向けるべきではなかろうか、と......。

 今回注目する下記引用サイト記事糖尿病、1日1時間の運動で死亡リスク半減 /日本経済新聞/2013.02.25 は、昨年の記事ではあるが、今日でも十分注目に値する調査結果だと思われるものにした

 <糖尿病毎日1時間程度の運動をする人はしない人に比べて死亡リスクや脳卒中の発症リスクが半減したことが、厚生労働省研究班(研究代表者・曽根博仁新潟大教授)の大規模疫学調査で分かった。心臓病の発症リスクは変わらなかった。運動療法の重要性を後押しする成果として注目を集めそうだ/  国内約60カ所の糖尿病専門の医療機関での共同調査。主に生活習慣から発症しやすい2型糖尿病患者約1700人を対象/  運動量に応じてグループ分けして解析したところ、最も多い群(1日平均約70分速足で歩く運動量に相当)の患者の死亡リスクは、ほとんど運動していない最小群を1とした場合に比べて0.47倍だった。脳卒中は同0.57倍だった/  糖尿病の人は予備軍も含めて国内に推計2210万人。健康な人に比べて合併症として脳卒中や心臓病が2倍以上起こりやすい/  曽根教授は「運動の効果は期待できる。きちんと実施していけば、医療費削減にもつながる」と指摘> とある。

 なお、"糖尿病" に限らず、"運動による病気予防効果" には、実に目を見張るものがあるわけだ

 ◆ 参照 当誌過去の "運動と病気予防" 関連記事例

 (1) "軽い運動でも脳の認知機能向上" が新たな実験結果で判明!"認知症予防"に繋がるか?!/当誌 2014.05.24

 (2) "認知症"と脳の"ワーキングメモリ"! "早足歩行"で認知機能低下を抑制――熊本大学!/当誌 2014.05.04

 (3) "免疫力を高める"ための運動の仕方/留意点! 運動はすればよいというものではない!/当誌 2014.04.16

 (4) "アルツハイマー型認知症"予防策の一つ!"有酸素運動"で"酵素:ネプリライシン"強化!/当誌 2014.04.01

 中高年者にとって(いや若年層にとっても)、"運動" への "投資(?)" は、ほぼ確実に "リターン" が見えている "有望な対象!" だと見なしてよいのではなかろうか......。

 "地球温暖化現象" は、ヒトの身体の異常/病気で言えば、"高血糖(糖尿病)" に匹敵するのかもしれない
 それ自体が問題であるとともに、むしろこの現象によって引き起こされる、いわば "合併症" 的な "異常気象など" が、地球上の生命に "甚大な悪影響" をもたらしているからである

 その "異常気象など" はもはや枚挙にいとまがない。ただし、未だにそれらの原因が "地球温暖化現象" にあることを明言、直視しない向きが尾を引いているのが怖い
 その片方では、TV番組などでも、かつてなら考えられないほどに "気象予報" 関連に多大な時間が振り向けられているにもかかわらず......。

 今回注目する下記引用サイト記事二酸化炭素濃度 過去80万年で例のない水準/NHK NEWS WEB/2014.05.28 - 04:20 は、あたかも "警告の度合い" の形容に苦労するかのように、<過去80万年で例のない水準> の "悪化状態!" であることを報じ、そして、その結果、もはや<何が起きるか分からない!> 事態だと警鐘を乱打している。

 <WMO=世界気象機関は地球温暖化の原因となる二酸化炭素の濃度について、先月、北半球のすべての観測点で400ppmを超えたと公表/  過去80万年で例のない水準で、日本の気象庁は「温暖化が進むと集中豪雨や熱波など極端な気象現象が増えると言われているが、それ以上に何が起きるか分からず対策を急ぐ必要がある」と指摘/  過去80万年で例のない水準で、日本の気象庁は「温暖化が進むと集中豪雨や熱波など極端な気象現象が増えると言われているが、それ以上に何が起きるか分からず対策を急ぐ必要がある」と指摘/  IPCC=気候変動に関する政府間パネルのシナリオによれば今世紀末までに気温の上昇を2度以内に抑えるのは、今後、大幅な排出抑制をしなければ非常に難しい状況で、WMOは「将来のために地球を守ろうとするのであればもう時間はなく、温室効果ガスの抑制のために緊急の行動が必要だ」とコメント> とある。

 まだ5月だというのに、早くも "熱中症" の訪れだという

 ◆ 参照
 <総務省消防庁は27日、5月19日から25日までの1週間、全国で熱中症により病院に救急搬送されたのは291人(速報値)だったと発表した。搬送時に亡くなった人はいなかった> (熱中症で291人搬送 25日までの1週間/【共同通信】/2014.05.27 - 12:45

 もちろん、"小まめな水分補給" が欠かせないが、今ひとつ、受け入れ側の "身体づくり" も必要かもしれない

 適当な運動(または "足湯" )などで、 "十分に汗をかく" こと。これが "汗腺を鍛える" ことにつながり、「よい汗がかける身体」になれば "夏バテ" が回避できる! のだそうだ

 今回注目する下記引用サイト記事暑さ本格化する前に 汗腺を鍛えて夏バテ予防 足湯やジョギングが効果的/健康づくり - 日本経済新聞/2014.05.25 が、こうしたウラ事情(?)を伝えている

 <汗ばむ季節になった。冷房に慣れた現代人は暑い夏に、塩分を多く含む汗をかいて体力を失うケースも多い塩分が少なく水に近い汗をかけば、夏バテや熱中症の予防につながるという。暑さが本格化する前に運動や足湯などで、汗が出る通り道である「汗腺」の働きを活性化させる訓練を積めば、よい汗をかけるようになると専門家は提案/  健康な汗腺は大切な塩分を再吸収し、体内に戻す機能を持つ。その結果、体から出る汗の成分は99%が水で、サラサラとしており臭いの原因にもなりにくい/  ところが冷房が効いた環境で暮らしていると、「汗腺の機能が衰え、塩分を再吸収しにくくなる」と大阪国際大学の井上芳光教授は話す。濃い塩分を含むベトベトした「悪い汗」が出やすくなってしまう。塩分が失われると体力が落ち、夏バテしやすくなる。汗をかく量も減るため、体温調節が困難になってめまいや吐き気、意識障害などを招く熱中症にもかかりやすくなる/  こうならないためには、衰えた汗腺の機能を回復させることが大切。どんな方法が有効なのか。井上教授は「運動などで汗をかく機会を増やせば、汗腺の機能がよみがえる」と訴える。塩分が少ない「よい汗」をかけるようになるという/  汗腺を鍛えるには十分に汗をかく必要があり、ウオーキングより負荷が高いジョギングが向いている/  一方、けがや体力不足で運動が難しい人には足湯がお勧め 普通の入浴よりも長い時間続けられるため、しっかり汗をかける利点がある/  汗腺トレーニングは効果が出るまで数週間かかる> とある。

 <汗腺トレーニングは効果が出るまで数週間かかる> という点を、まどろっこしい、と見るか、よし、やってみよう! と考えるかは人それぞれであろう......。

 従来、種々の成人病を悪化させる要因としての "血管障害" については、<糖尿病やメタボリックシンドロームでは、しばしば血管の障害と細胞老化が合併する> という観点がもっぱら注目されてきた

 言ってみれば、"血管障害" は "糖尿病/メタボリックシンドローム" の "結果的産物" だという見立てである

 その点に間違いは無さそうであるが今回注目する下記引用サイト記事血管の老化は、筋肉のエネルギー消費を妨げることを発見 ~肥満や糖尿病を悪化させている可能性~/科学技術振興機構(JST) 新潟大学/2014.05.23 によれば、"逆また真!" でもあるようなのだ

 つまり、"血管の細胞老化" 自体が、筋肉のエネルギー消費を低下させることで "肥満/糖尿病を悪化!" を誘い、ここに "悪循環!" が生まれる、というのである

 <血管老化によって筋肉の代謝機能が低下して、エネルギー消費が阻害されることを発見/  高カロリー食投与によって引き起こされた血管老化が、筋肉でのエネルギー消費を阻害することをマウスの実験で発見しました/  (従来) 血管の老化が、糖尿病やメタボリックシンドロームにどのような影響を及ぼしているかはよく分かっていませんでした/  高カロリーの食事を投与された糖尿病病態モデルマウスでは、血管細胞が老化することで、筋肉への糖輸送や、筋肉におけるミトコンドリアの合成能が障害されていることが分かりました。この障害によって余剰となったカロリーが内臓脂肪として蓄積し、肥満や糖尿病がさらに悪化すると考えられます/  これまで、糖尿病で合併する血管障害は、糖尿病の病態の結果と考えられていました。しかし今回の成果で、血管の細胞老化によって肥満や糖尿病がさらに進行する悪循環を引き起こしている可能性を示しました> とある。

 下の<参考図> にもあるとおり、 "高カロリー食摂取" は、一方で "糖尿病/肥満" を招き、他方で <血管の老化がエネルギー消費を低下させるため、余剰となったカロリーが脂肪として蓄積し脂肪炎症を促進。その結果、さらなる糖尿病と肥満の進行を誘導する悪循環(Vicious Cycle)を形成> という "ダブル・ダメージ" を引き寄せると......。

 従来、"アドレナリン、ドパミン" と同様の "神経伝達物質" である "アセチルコリン" は、<学習、記憶、睡眠、目覚めなどに深くかかわっている>、<主に記憶、学習、認知機能を促進する>と見なされてきた

 <アセチルコリンの不足は認知障害などの症状を起こすとされ、実際にアルツハイマー病の人の脳内ではアセチルコリンの不足が確認されている> ( 下記【 引用記事 2 】 アセチルコリン/goo ヘルスケア

 ところが、こうした "アセチルコリン" の "機能促進" 面とは "裏腹" の、いわば<機能を抑える役割> も果たすことが判明したという

 今回注目する下記引用サイト記事特定行動抑える脳内物質 愛媛大など解明/愛媛新聞ONLINE/2014.05.08 が、そうした"アセチルコリン" の"別の顔" についての研究成果を報じている

 <脳中心部の神経細胞が集まる線条体で神経伝達物質アセチルコリン」の働きを抑制すると、環境の変化に応じてより柔軟に行動できるようになることを、愛媛大や福島県立医科大などのグループが発見し、6日付英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版で発表した。愛媛大によると、研究が進めば統合失調症など脳疾患の改善に有効な治療薬開発につながるとしている/  アセチルコリンアドレナリンなどと同じ神経伝達物質の一つ。主に記憶、学習、認知機能を促進すると考えられてきたが、今研究で脳の領域や学習内容によっては、機能を抑える役割を持つことが分かった/  柔軟な行動の切り替えには、脳内の前頭葉と線条体をつなぐ神経回路が重要な役割を担うことは分かっていたが、神経細胞の働きには未解明な点が多かった> とある。

 なお、こうした解明は、<統合失調症など脳疾患の改善に有効な治療薬開発につながる> と期待されているとのことだ

 "疲労" を、決して侮らない方がよさそうであることについては、一昨日にも目を向けた

 ◆ 参照 ( 国内初「疲労」専門クリニック!予防医学の観点に立ち健康と病気の"中間的段階"ケア!/当誌 2014.05.23 )

 「予防医学」の観点からすれば、"疲労感" もまた、"健康と病気の「中間的な段階」" から発せられる無視できない "アラーム" の一種だと考えられるわけなのであろう

 ただ、"疲労" には、単なる一過性の現象では終わらず長期(6ヶ月以上続く)に及び、その上、各所に痛みまで伴うとされる "慢性疲労症候群" という要注意の特殊ケースもあるとされる

 ◆ 参照 ( 実は"TGF-β"という"サイトカイン"の仕業!"慢性疲労"の原因も、"抜け毛"の原因も!/当誌 2014.03.26

 今回注目する下記引用サイト記事免疫細胞活性化が原因か 慢性疲労症候群の痛み/【共同通信】/2014.05.23 - 22:06 は、そうした 慢性疲労症候群" に伴う "痛み" の仕組みを解き明かした研究成果を伝えている

 <名古屋大大学院医学系研究科の木山博資教授(機能組織学)らの研究グループは23日、慢性疲労症候群CFS)患者が感じる痛みは、脳や脊髄内の免疫機能を担う細胞ミクログリア」の活性化が原因の一つとなって引き起こされる可能性が高いとの研究結果を、国際科学誌電子版に発表した/  CFSは痛みや強い疲労感が半年以上続き、睡眠障害などを引き起こすが、痛みの原因は不明だった。木山教授は「ミクログリアの活動を抑制すれば、CFS患者の痛みを和らげられる可能性がある」と治療法開発に期待している> とある。

 免疫機能を担う細胞ミクログリア」の活性化が原因の一つ> だと解析されているところから、いわゆる "アレルギー" 現象の一種だと理解できそうだ

 <"ミクログリア"/ 免疫細胞/ 神経細胞の障害などにより、過度に活性化すると、炎症性物質(炎症性サイトカインなど)を産生し、神経細胞の機能異常などを引き起こすことが知られている> ( 下記 ◆ 参照 "ミクログリア" について

 "認知症" の予防! に関心が集まっている昨今だ。
 その予防対策は、"成人病体質" の改善をはじめとして幅広く提言されているが、最も手軽な対策としては "適度の運動" が挙げられる


 ◆ 参照 当誌過去の "認知症と運動" 関連記事

 (1) <早足での歩行ができる運動能力を維持することで、認知症に関連するような認知機能低下を抑制できる可能性が考えられる。ワーキングメモリは、高齢者では急速に低下することが知られている>  ( "認知症"と脳の"ワーキングメモリ"! "早足歩行"で認知機能低下を抑制――熊本大学!/当誌 2014.05.04

 (2) <ネプリライシンの減少と有酵素運動/ しかし残念ながらこのネプリライシン、60才を過ぎると体内での生産量が低下してしまいます/ しかし有酵素運動で増やすことが出来るそうです/ 有酵素運動とは、エアロビ、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどの、一定時間以上継続し脂肪を燃焼させる運動のこと/ ダイエット目的でこれらの運動を行っている人も多いですが、それと知らずにアルツハイマーの予防になっていたなんて一石二鳥>  ( "アルツハイマー型認知症"予防策の一つ!"有酸素運動"で"酵素:ネプリライシン"強化!/当誌 2014.04.01

 (3) <身体運動、特にランニングは、神経系にも影響を及ぼして、新しいニューロンの生産を促進する。しかし、それだけではないランニングが新しい神経幹細胞の生産を促して、脳の老化を遅らせ、記憶力のパフォーマンスを向上させることも証明/ この研究は、成人年齢における幹細胞の喪失が、不可逆的プロセスではないことを証明する最初のもの/ ランニングのような有酸素運動が老化のプロセスを阻止して、海馬の中での新しい神経幹細胞の大量生産を促し、記憶能力を増大させることを確かめました>  ( ランニングなどの有酸素運動が、脳の老化阻止/海馬の"神経幹細胞"新生/記憶能力増大!?/当誌 2014.03.23

 今回注目する下記引用サイト記事軽い運動でも脳の認知機能向上/NHK NEWS WEB/2014.05.23 - 06:07 も、"運動による認知症予防" という視点を補強するものだ

 <ウオーキングと同じ程度の軽い運動を短時間行っただけで、脳の認知機能が高まったことが筑波大学などの研究グループの実験で分かりました/  征矢教授は今回、中央大学と共同でウオーキングと同じ程度のより軽い運動の効果について実験しました。 実験では20代の男女25人が10分間自転車のペダルをこいだあと、パソコン画面に出た色と、色を表す文字が一致しているかなどを即座に判断するテストを行いました/  その結果、脳の中の認知機能をつかさどる「前頭前野背外側部」と「前頭極」の活動が運動をしていないときよりも活発になり、認知機能が高まったことが分かりました/  この結果について征矢教授は「ウオーキング程度の軽い運動でも脳の認知機能に効果があることが分かった。今後は長期間軽い運動をした場合の効果などを調べて認知症の予防に役立てたい」と話しています> とある。

 冒頭の 当誌過去の "認知症と運動" 関連記事 においても、いわゆる "有酵素運動" が、"認知症" の予防! に効果的であることが強調されてもいる
 <長期間軽い運動をした場合の効果> の測定結果に期待したいところである

 "" を治すのが "名医" であることは誰でも分かるが、更に優れた "名医" ともなると、"未だ発症していない病" を治すのだそうである。( c.f.「上医は未病を治(じ)す」)
 つまり、"" を "未然に防ぐ" ところの「予防医学」に徹する、ということになりそうである

 昨日は、「フレイル(frail)」( "老化現象" )という "健康と病気の「中間的な段階」" を指すことばに、あえて注目してみたのだが、要するに「予防医学」の視点と文脈が、現在、差し迫った課題として急浮上しているかに思えるからであった。( 統一名称「フレイル(frail)」と改名された"老化現象"!高齢化社会に即した学会対応!?/当誌 2014.05.22 )

 "健康と病気の「中間的な段階」" から、もしそこからの "微妙なアラーム" を的確に読み取り、対処できるならば、おそらく "" は "未病" のままであり続けるのであろう。これこそが「予防医学」の眼目!かと思われる

 今回注目してみたいことばは、昨日からの流れで言えば「ファティーグ(fatigue)」、つまり "疲労" ということになる。
 これも、仇や疎かにはできない "健康と病気の「中間的な段階」" という怖さを潜伏させているようである


 ◆ 参照 当誌過去の "慢性疲労" に関する記事

  <なんとなくダルさが続く慢性疲労。休日をゴロゴロと過ごしても、疲れがとれないまま月曜日を迎えるなんてパターンがお約束だが、寝ても治らないのはなぜか?/ 慢性疲労の正体は、ストレスを感じた脳が過剰に放出するTGF-βで、自分で自分を傷つけるアレルギーのようなものだから、睡眠では解消しない。やがて意欲や創造性も減退してしまうので、疲労感を踏み越えてストレス発散に出かけよう!/ なぜストレスが慢性疲労を引き起こすのか? 原因は、細胞の増殖を抑制する物質・TGF-β(ベータ)が過剰に放出されること/ ひとはストレスを感じると免疫が低下し、菌やウィルスに侵されやすい状態になってしまう。そこでTGF-βを放出し侵入者に対抗するのだが、過剰放出されると自分自身も攻撃してしまい悪影響を及ぼす。慢性疲労は、いわばアレルギーのようなものなのだ/ TGF-β過剰の状態が続くと、なんと脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)が委縮してしまう/ 前頭前野は脳の司令塔とも呼ばれ、感情や理論、経験や推測を束ねて「そのひとらしい」行動をつかさどる。やる気、計画性、創造性など、ポジティブな要素をたくさん引き連れているのだが、その部分が委縮してしまうため、「なにかしよう」と思う気持ちが薄れてしまう/ 原因であるストレスを解消するには気分転換が重要 ...... 原因であるストレスを排除すれば解消する。 脳の委縮は一時的なので、TGF-βが減少すればもとに戻る。前頭前野が活発に働けば、やる気や創造性も復活する> ( 実は"TGF-β"という"サイトカイン"の仕業!"慢性疲労"の原因も、"抜け毛"の原因も!/当誌 2014.03.26

 今回注目する下記引用サイト記事疲労:国内初専門クリニック 数値化してケア 重症化防ぐ/毎日新聞/2014.05.22 - 07:58 は、"重症化" すれば侮れない結果にもつながりかねない "疲労" を "専門的にケア" する、そうした医療機関に焦点を合わせている。
 まさに、「予防医学」の観点が再評価されている今日、こうした動向が衆目を集めるのではないかと思われた


 <疲労がたまるメカニズムを知り、重症化を防ぎたい/  国内初の疲労専門クリニック「ナカトミファティーグケアクリニック」がオープンした。「ファティーグ(fatigue)」は疲労の意味/  疲労は、人によって感じ方が異なり、問診でも症状が伝わりにくいことが多いため、数値化などによって、より客観的な診断を目指す/  診断のため、自律神経のうち、活動に関わる交感神経と休息に関わる副交感神経のバランスを疲労度計で測るほか、活性酸素や抗酸化力を調べる血液検査、睡眠時無呼吸症候群の検査などを導入/  疲れは、痛みや発熱と並ぶ体からのアラーム(警報)。それを無視して(仕事などの)成果を求め続けると、健康な状態に戻れなくなる可能性がある/  通常、疲労は睡眠など休息によって解消できるが、ストレスに長期間さらされると、脳神経系や免疫系、内分泌系の働きにまで影響を及ぼす。深刻になると、過去に感染したヘルペスなどのウイルスが活動を始め、それによって抑うつ状態や体に痛みを感じるようになることもあるという。物を落としやすくなったり、つまずいたりするのも疲労症状の一つ/  受診するタイミングに目安はあるのか。「朝起きた時の爽快感が一つの基準」  目覚めた時に爽快感がなく疲労感が残っている状態が1週間続くようであれば、受診を考える/  症状の深刻化を防ぐには、しっかり睡眠をとることが最も効果的> とある。

 結局、「老化現象ですね!」 と言われて締めくくられることが多い、とは、病院帰りの高齢者からもれがちな呟きである。
 事実はそのとおりなのではあろうが、それでは身も蓋もないとも言える。

 確かに、「老化現象」の因果連関を詳細に説明されたとしてもさほど有難いとも思えないが、それでももう少しマシな説明、ちょっとした "善後策" の解説なりが有って然るべきなのかもしれない。
 何しろ時代は、高齢者たちが大量に病院に詰め寄せている時代であり、この傾向は当面変わりそうもないのである
......。

 今回注目する下記引用サイト記事筋力・活力の老化は「フレイル」 学会が命名、予防提言 土肥修一/朝日新聞/2014.05.08 - 08:42 は、そんな現状を見つめ直したものかどうか、"日本老年医学会" が、従来「老化現象」と呼ばれてきた "現象" を、「フレイル」と改名(?)したとの顛末を報じている

 <日本老年医学会は、高齢になって筋力や活力が衰えた段階を「フレイル」と名付け、予防に取り組むとする提言をまとめた。これまでは「老化現象」として見過ごされてきたが、統一した名称をつくることで医療や介護の現場の意識改革を目指している/  フレイルは「虚弱」を意味する英語「frailty」から来ている。健康と病気の「中間的な段階」で、提言では、75歳以上の多くはこの段階を経て要介護状態に陥るとしている。高齢になるにつれて筋力が衰える現象は「サルコペニア」と呼ばれ、さらに生活機能が全般的に低くなるとフレイルとなる/  米国老年医学会の評価法では、① 移動能力の低下 ② 握力の低下 ③ 体重の減少 ④ 疲労感の自覚 ⑤ 活動レベルの低下 のうち、三つが当てはまると、この段階と認定している/  たんぱく質を含んだ食事や定期的な運動によって、この段階になるのを防いだり、遅らせたりできる/  フレイルの予防法 ① 十分なたんぱく質、ビタミン、ミネラルを含む食事 ② ストレッチ、ウオーキングなどを定期的に行う ③ 身体の活動量や認知機能を定期的にチェック ④ 感染予防(ワクチン接種を含む) ⑤ 手術の後は栄養やリハビリなど適切なケアを受ける ⑥ 内服薬が多い人(6種類以上)は主治医と相談 (荒井秀典・京都大教授による)> とある。

 老化に伴って遭遇する "健康の喪失" は、何も "認知症" や "がん" ばかりではないはずであり、むしろ結果としてそれらに至る "進行過程" こそが "予防の観点" から注視されるべきなのかもしれない。
 そうした点を考慮するならば、<健康と病気の「中間的な段階」> を浮かび上がらせ、関心を喚起させるフレイル」という名称設定は有意義だと思われる


 "脳梗塞(こうそく)" は、生命にかかわる疾病であるとともに、その "後遺症" ( まひや意識障害など。"認知症" につながるリスク ―― 血管性認知症 ―― も! ) を伴う可能性もあるため恐れられている

 ◆ 参照 当誌過去の "脳梗塞" 関連記事

  <認知症にならないために/ 大きな二つの壁/ 60歳代から70歳代で現れる「血管性認知症」という壁/ その後の80歳前後で現れる「アルツハイマー型認知症」という壁......> ( "認知症"にならないための"正攻法"!"血管性認知症"と"アルツハイマー型認知症"が壁!/当誌 2014.04.20

 今回注目する下記引用サイト記事脳梗塞の悪化抑える物質発見 大阪大など、新薬開発も 福島慎吾/朝日新聞/2014.05.20 - 05:06 は、その "脳梗塞" が引き起こす可能性が高い "後遺症"、これを抑制する物質(たんぱく質RANKLランクル)を発見した、と報じている

 <脳梗塞(こうそく)を発症したときに脳細胞の損傷範囲が広がるのを抑えるたんぱく質を、大阪大などの研究グループがマウスを使った実験で突き止めた。まひや意識障害など、脳梗塞の後遺症を抑える新薬の開発につながる可能性がある/  骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などにかかわるRANKL(ランクル)というたんぱく質に着目。わざと脳梗塞を起こしたマウスの脳に、発症の4時間後にRANKLを直接注入したところ、注入しなかったマウスと比べて、脳の損傷部分の体積が6割ほどに抑えられた/  脳梗塞の時には脳の免疫細胞が周囲の細胞の死を促す物質を出しており、RANKLはその放出を抑えていることも見つけた/  ただ、RANKL骨を壊す細胞を刺激する働きがあり、骨粗鬆症を起こすおそれがあるという。島村さんは「新しい治療につながる可能性があるが、投与しすぎないよう検討が必要だ」と話した> とある。

 引き起こされる "後遺症" については、"血管梗塞による血流の途絶え" が原因となるほかに、<脳の損傷部分の体積> の肥大化による圧迫や、<免疫細胞が周囲の細胞の死を促す物質を放出> することによる損傷が認められるようである。
 今回発見の "物質(たんぱく質RANKLランクル)" は、これらの症状を抑制する、とのことであり、"新しい治療薬" の開発が期待できそうだというのである


 
 "三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)と呼ばれる "がん治療法" のうちの "抗がん剤" 適用は、いわば "がん治療" での定石のように頻繁に行われてきたし、行われ続けてもいる。

 しかし、その "副作用" を危ぶむ声は無かったわけではないし、それが "がん免疫(細胞)療法" の研究と臨床への応用を促してたとさえ言える


 ◆ 参照 当誌での "がん免疫療法" に関する記事

 (1) <遺伝子組み換え麻疹ウイルスの有効量投与により、女性患者のがんを完全に消滅させたとの研究論文が14日、米医学専門誌「メイヨー・クリニック紀要」に発表された> ( がんワクチン治療:"遺伝子組み換え麻疹ワクチン"の高い投与量で、がん消滅!(米研究)/当誌 2014.05.18

 (2) <"がん免疫(細胞)療法" は、従来からのがん治療の "三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)とは一線を画している。  患者の体内に備わっている "免疫" システムを最大限に活用して、がん細胞を撃退するという点、そして "三大療法" が大なり小なりに伴う "副作用" が回避できるという点などに大きな特徴があると考えられている。  それだけに、この "がん免疫(細胞)療法" は、"がんの第4の治療法" として根強い期待を集めている......> ( "がん免疫(細胞)療法"/最近の各種動向一覧!最新:腫瘍細胞免疫回避の一要因 PD-L1!/当誌 2014.04.17

 こうした状況にあって、今回注目する下記引用サイト記事 1抗がん剤で死亡、病院に賠償命令 宮崎地裁判決 [宮崎県]/西日本新聞/2014.05.17 - 00:12 では、"抗がん剤で死亡" という事実にとどまらず、司法の観点から、"病院に賠償命令" という判決が下された、と報じている

 <宮崎市の女性=当時(70)=が乳がん治療中に死亡したのは、副作用の検査を十分にせず抗がん剤を投与されたことが原因として、夫など遺族が医療法人春光会(宮崎市、宮路重和理事長)を相手取り慰謝料など約8700万円を求めた訴訟で、宮崎地裁は16日、病院側の過失を認め約4900万円の支払いを命じた/  判決理由で内藤裕之裁判長は「高齢で血糖値の高かった女性は、抗がん剤による副作用が起きる危険性が高かった。十分な検査をしないまま抗がん剤を投与した医師の行為は注意義務違反に該当」と指摘。「医師の行為と死亡には相当の因果関係がある」と判断/  女性は2011年7月、同法人宮路医院で乳がん摘出手術を受け入院。放射線療法の後、再発防止のために抗がん剤治療を始めたが、10月27日、急性呼吸循環不全で死亡> とある。

 なお、下記引用サイト記事 2抗がん剤副作用?で4人死亡 肝炎や肺炎の症状/朝日新聞/2014.03.26 - 21:22 は、しばらく前に、<副作用とみられる報告例で、うち4人が死亡> という事実を報じていたものである

 <厚生労働省は26日、結腸がんや直腸がんの治療薬「スチバーガ錠」(バイエル薬品)を使った患者で、副作用とみられる劇症肝炎や間質性肺炎の報告が7例あり、うち4人が死亡したと公表した。昨年5月に発売され、推定使用者数は約2600人。医師向けの文書で注意を呼びかけた/  厚労省によると昨年8月、結腸がんの30代女性が薬を飲んだ後に肝臓に障害が現れ、15日後に劇症肝炎で死亡。9月には直腸がんの60代男性に呼吸不全などの症状が出て、薬を中止してから15日後に間質性肺炎で死亡> とある。

 "抗がん剤" の使用が "諸刃の剣" さながらのリスクを秘めていることを、改めて認識しておかなければならないのかもしれない......。

 今、広がる "認知症" は、悲惨な "徘徊/行方不明" という点などにおいて社会的にも懸念されている。
 ただ、考えてみると、懸念されるのは "徘徊/行方不明" といった現象に限られないようである。いろいろと気になる場面もあるが、指し当たって次のようなケースはどうであろうか......。
 "がんなどの重篤な病気に罹っている患者" が "認知症" を合併していて、"発見と適切な治療が遅れる" というケースだ。
 深まる高齢化時代、"がん罹患率" と "認知症罹患率" の両者が上昇している中で、"合併症" が生じていても不思議ではないはず......。
 だからこそ、"認知症" 罹患とその合併が、他の重篤な病気の悪化を "見過ごし隠してしまう!?" というリスクを警戒しなければならないわけであろう


 今回注目する下記引用サイト記事がん患者、2割に認知機能障害...読売調査/読売新聞/2014.05.17 は、所定の "がん患者" が "認知機能障害を合併" しているケースをアンケート調査によって洗い出し、その現状と実態について報じている

 <全国に整備されたがん診療連携拠点病院で、「緩和ケアチーム」が担当するがん患者の少なくとも2割認知機能障害を合併していることが、読売新聞の全国調査で分かった/  こうした患者は、がんの発見の遅れや、意思確認の難しさで適切ながん治療を受けにくくなる懸念治療後の受け入れ先探しの難しさなどに直面し、高齢人口の急伸に伴って激増が予想される/  調査は4月、全国のがん診療連携拠点病院397か所にアンケートを実施。認知症を含めた精神症状を伴うがん患者に最も接する緩和ケアチームに、認知症や一時的に過度な興奮や幻視を起こす「せん妄」などの認知機能障害を合併した患者について尋ね、225病院(57%)から回答を得た/  認知機能障害を合併していた人は計2080人(平均10人)で、担当患者全体の20・4%/  認知機能障害はうつ病や体調不良などとして見過ごされがちで、実際にはさらに多くの合併患者がいるとみられる/  国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の小川朝生・精神腫瘍科長は「合併患者の比率の高さに緩和ケアチームの実力が反映している。首都圏などでは高齢者数の急増が確実で、対策を急がなければ深刻な状況に陥る」と話している> とある。

 専門的な知識がありようもない "患者自身とその家族だけでの判断" という心もとない現状の成り行きでは、<深刻な状況に陥る> という指摘が十分に説得力を持つ。
 <緩和ケアチーム> という "不可欠な組織" の制度的充実が図られて然るべきではなかろうか


 "がん治療法" として一般的なものは、いわゆる "三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)と呼ばれる治療法であることはよく知られている。
 そして、今ひとつ注目されているのは、"がん免疫(細胞)療法" であろう。


 ◆ 参照 "がん免疫(細胞)療法"/最近の各種動向一覧!最新:腫瘍細胞免疫回避の一要因 PD-L1!/当誌 2014.04.17 )

 この "がん免疫(細胞)療法" の一翼を担ってきたものに、"がんワクチン療法" というアプローチがあり、その要点は次のとおりである

 <がんワクチン(英: cancer vaccine)は、発がんウイルスの感染阻止や、がんの治療目的で使用されるワクチンのことを指す/  がんワクチンとは、がん細胞に多く発現し正常細胞には全く発現せず、がん特異性で、かつ強い免疫原性(抗原が抗体の産生や細胞性免疫を誘導する性質)をもつ、がんの予防や治療を行なうために用いる(ワクチン製剤である> ( 下記引用サイト記事 1がんワクチン/ウィキペディア 参照 )

 今回注目する下記引用サイト記事 1遺伝子組み換え麻疹ワクチンでがん消滅、米研究/時事ドットコム/2014.05.16 - 13:43 は、この "がんワクチン療法" による最新の研究成果を報じているものかと思われる

 <遺伝子組み換え麻疹ウイルスの有効量投与により、女性患者のがんを完全に消滅させたとの研究論文が14日、米医学専門誌「メイヨー・クリニック紀要」に発表された/  当時49歳の女性患者は、多発性骨髄腫と呼ばれる骨髄がんの一種と診断された。額に腫瘍があり、骨髄にがんが拡散 ―― がんは他の治療法の選択肢がない程度にまで拡散していた ――/  この治療法の共同開発者で、米総合病院メイヨー・クリニックの血液学者、スティーブン・ラッセル氏率いる研究チームはこの患者に、骨髄腫の形質細胞に対して選択的に毒性を示す麻疹ウイルス「MV-NIS」の静脈内投与を1回行った/  麻疹ワクチンの標準的な投与量には、1万感染単位の麻疹ウイルス......今回の研究で用いられた投与量は、1000億感染単位/  間もなく額の腫瘍は消え、骨髄はきれいになった。「彼女は目覚ましい反応を示した」  女性患者のがんの寛解状態は9か月間続いた  額の腫瘍が再発し始めた際には、局所放射線療法による治療が施された/  研究で行われた治療では、1回の投与で長期の寛解状態を得ることができた  現在50歳の女性患者の健康状態は良好で、今も体にがんがないことが来月の診察で明らかになるのを楽しみにしている/  今回の研究では、どちらの患者にも可能な限り高い投与量による治療が初めて実施された。これまでの低い投与量では効果がみられなかったためだ> とある。

 "中枢神経系" である "脊髄" は、脳と手足などの "末梢神経系" とを繋ぎ、脳からの運動命令を伝えたり、手足の感覚情報を返したりしている。
 ところが、もしこの "脊髄" が損傷する("脊髄損傷")ならば、"末梢神経系" の場合とは異なって、"修復と再生は不能!(決定的な治療法なし)" だと見なされている。 損傷部位以下の手足などから "運動機能" が失われ、"感覚知覚機能" も失われる(麻痺)ことになる。
 それゆえに、"脊髄損傷" は甚大な障害につながりかねないと警戒されている。


 ◆ 参照 当誌過去の "神経(幹)細胞" 関連記事

 (1) <神経幹細胞から神経細胞に分化する過程を見ると、3種類のタンパク質の一つ「Ascl1(エーエスシーエルワン)」が作られ続け蓄積している> ( 神経幹細胞を"青色光で操作"して神経細胞を作る技術開発!治療/再生医療へ可能性大!/当誌 2013.11.02

 (2) 切れた神経の再生促進!神経の修復に新製品!純国産"誘導チューブ" 知覚回復8割超!/当誌 2014.02.17

 今回注目する下記引用サイト記事脊髄損傷、酵素で神経細胞が再生...京大グループ/YOMIURI ONLINE 関西発/2014.05.16 は、こうした "脊髄損傷" への治療に対して "明るい材料!" を提供しているように思われる

 <体内では再生しないとされる神経細胞酵素(たんぱく質)の投与で再生させることにラットの実験で成功したと、武井義則・京都大特定助教らの研究グループが15日、科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。脊髄損傷などの新たな治療法になる可能性があるとしている/  神経細胞は、体の各部位と脳の間で信号をやり取りしている。脊髄には、神経系の細胞のもとになる神経幹細胞があるが、通常は体外で培養しないと神経細胞に変化しない。交通事故などで脊髄が傷ついた際、神経幹細胞は患部に集まってくるものの、傷口をふさぐ細胞にしか変化せず、神経細胞にはならないため、信号がやり取りできなくなり、手足にまひが生じる/  グループは、脊髄神経細胞への変化を抑えている物質を特定。この物質の働きを止める酵素を、脊髄の半分を損傷させたラットの患部に2週間注入し続けた。すると、投与開始から1週間後に新しい神経細胞ができ始め、4週間後には後ろ脚で体重を支え、動き回れるようになった。投与しなかったラットはほとんど動けなかった/  武井さんは「軽い脊髄損傷なら、症状をある程度抑えられるのではないか。重度の場合も、酵素で再生を促した後、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った神経細胞を補えば、より効果的な治療になるだろう」と話している> とある。

 "緑茶" を飲む習慣が、さまざまな恐い病気( "脳出血/脳梗塞/がん" など)に対する予防効能を秘めている、という報告は実に多い。
 いろいろな薬やサプリメントが出回っている昨今であるが、"緑茶" は最も "低コスト" であり "手軽で親しみやすい" ため、この "長い付き合いの友人" にもっと好意が寄せられても良さそうではないか


 ◆ 参照 当誌での "緑茶" の効能に関連する過去の記事

 (1) <緑茶を毎日、またはコーヒーを週に1杯以上飲む人は、脳出血や脳梗塞を発症するリスクが1割以上低くなるという研究結果/ 緑茶やコーヒーに含まれる血管を保護する物質や血糖値を抑える物質が脳卒中のリスクの低下に関係しているのではないか> ( "緑茶"習慣で"脳出血/脳梗塞"の発症率低下! "生活習慣病"を"生活習慣の緑茶"で制す!?/当誌 2013.03.16

 (2) <緑茶に多く含まれるカテキンの一種「EGCG」と、勃起不全(ED)治療薬に含まれる低分子化合物併用して投与すると、がん細胞を効果的に殺傷する> ( 緑茶成分"EGCG"とED治療薬含有の"低分子化合物"との併用投与でがん細胞を殺傷!/当誌 2013.01.27

 そんな "緑茶" の効能 に、また一つ興味深い事実 ―― "認知症予防効果!" ―― が加わりつつある

 今回注目する下記引用サイト記事 1緑茶に認知症予防効果か 金沢大が統計調査/【共同通信】/2014.05.15 - 06:11 がそれである。

 <金沢大医薬保健研究域医学系の山田正仁教授(神経内科学)の研究グループは15日、60歳以上の男女490人を対象に認知症の発症率を調べ、緑茶を毎日飲む習慣がある人の発症率が飲まない人に比べて3分の1程度だったと米科学誌電子版に発表/ 山田教授は「緑茶に含まれるカテキンやミリセチンといったポリフェノール類に予防効果がある可能性がある。これらの成分の効果が解明できれば、認知症の安全な予防法の開発が期待できる」と話している> とある。 <統計調査> の結果ということだが、"有意性" も高く説得力のある事実だと思われる

 ちなみに、"緑茶" の効能 をもたらしているとされる "ポリフェノール"、"カテキン"、"ミリセチン" の各効能に関する記事も、以下のように掲載することとした

 【 引用記事 2 】ポリフェノール効能ガイド )、
 【 引用記事 3 】緑茶の健康パワーは"カテキン"にあった!/health クリニック )、
 【 引用記事 4 】栄養補助食品 ミリセチンとは? supplement
/サプリメント事典 ) などである。

 "緑茶特有の含有成分" である "カテキン" にせよ、"ミリセチン" にせよ、いずれも "抗酸化作用!" が際立って強いとされていることから、この作用が、"認知症" の予防効果にも寄与しているのであろうか......。

 "視力を失う(失明)" という疾病の場合、"視神経(神経節細胞)" は正常で、"光を受け取る視細胞" が損なわれているケース(網膜色素変性症や加齢黄斑変性症での失明)があるのだという

 ◆ 参照  <......網膜色素変性症や加齢黄斑変性症での失明は、光を受け取る視細胞が損なわれますが、脳に情報を伝える神経節細胞は正常な状態のままです。光を受け取る機能を回復できれば、見えるようになるわけです。......> ( 近視は眼病のもと~黄斑変性で世界がゆがむ ※ ちなみに、下記【 引用記事 2 】(過去の報道記事)の報道直後に掲載された記事のようです )

  今回注目する下記引用サイト記事 1失明ラット幅広い色感知 岩手大、藻の遺伝子注入し視覚回復/msn 産経ニュース/2014.05.13 - 18:36 は、過去に報道された【 引用記事 2 】失明ラットが視覚回復 東北大、藻の遺伝子で/【共同通信】/2009.11.05 - 10:02 の "続報" に値するものだと理解される

 つまり、遡ること5年、2009年11月に、 <東北大国際高等研究教育機構の富田浩史准教授(分子生物学)らの研究グループは5日、光を感じる緑藻の遺伝子を組み込んだ失明ラットが、正常に近い視覚を回復することが分かったと発表した。4日付の米科学誌プロスワンに掲載された> とあった。

 前述のように、"失明" の場合であっても <光を感じる網膜の視細胞が障害を受けてしまう網膜色素変性症などで失明した人の視力回復治療> は可能だと考えつつ研究が進められたようだ

 そして、<緑藻に光を感じる遺伝子があることに着目。この遺伝子を組み込んだラットを失明させて実験した結果、ものの動きや色の濃淡の判別などで正常なラットとほぼ同等の視覚を取り戻した> という

 ただし5年前には、"感知できる色" に "制約(青色のみ!)" があった点が "残された課題" であったようだ。

 そして、この持ち越された "課題" が、今回解決されたことになる。

 <幅広い色を感知できる視覚の回復に成功/ これまで感知できなかった緑、黄、赤にラットが反応した> という画期的な側面が、今回の新たな研究成果なのである


 この達成に向けては、<今回は、緑藻の一種であるボルボックスの遺伝子を哺乳類で機能するように組み換え、「アデノ随伴ウイルス」と呼ばれるウイルスに組み込んでラットの網膜細胞に注入> というイノベーションがなされたとある

 "老化症状" を防ぎ、"長寿" を担うといういわゆる "長寿遺伝子(サーチュイン/Sirt1)" があること、そして "この遺伝子" は、"飢餓状態(食事制限)" がきっかけとなって "目覚めて働き始める" という事実! かつて、以下のような不思議な現象に注目したことがある。

 ◆ 参照 当誌での "長寿遺伝子 サーチュイン/Sirt1" 関連記事
 (1) <40代〜60代の被験者4人での実証実験では30パーセント減らした食事を3〜7週間続けただけで、長寿を担っているサーチュイン遺伝子が目覚めて働き始めた/ サーチュイン遺伝子は殆ど休眠中で、その結果、老化が進行/ 飢餓状態になると目覚め、細胞中のミトコンドリアを活性化/ 活性酸素の害を防ぎ、免疫力低下、動脈硬化、高血糖、惚け、骨粗鬆症、脱毛白髪等の老化症状を防ぎ改善して、美肌と持久力と抗がん作用を高める/ 更に注目すべきは遺伝子損傷の修復能力で、今、福島で問題になっている放射線被曝への抵抗力も期待できる/ 減食ではなく薬物でサーチュイン遺伝子を活性化させる方法/ 薬品名はレスベラトロールで、1939年に北大の高岡道夫氏が有毒なバイケイソウから発見/ 動物実験では、長寿、抗炎症、抗癌、血糖降下、放射線障害抑止などの効果が確認/ レスベラトロールを毎日服用すれば、食事制限なしでサーチュイン遺伝子を活性化できる。レスベラトロールと同じ働きをする薬品が次々と開発されている......> ( "長寿遺伝子サーチュイン"と"中年太り"との関係が解明!"肥満/メタボ"では長寿不可!?/当誌 2013.12.28

 先ずもって目を見張らせたのは、"長寿遺伝子(サーチュイン/Sirt1)" という存在であったはずだ。
 要するに、<活性酸素の害を防ぐ> ことによって、種々の "老化症状(免疫力低下、動脈硬化、高血糖、惚け、骨粗鬆症、脱毛白髪等)"防ぎ改善し、美肌と持久力と抗がん作用を高める というわけであった


 今回注目する下記引用サイト記事肺で働く2タンパク質に長寿遺伝子の作用 阪大が解明/日本経済新聞/2014.05.12 - 22:43 は、こうした "長寿遺伝子(サーチュイン/Sirt1)" の働きと深い関係を持つ "肺で働く2タンパク質" についての研究成果だ

 <肺で活発に働いている2つのタンパク質が、老化を抑制するとともに、長生きにつながる長寿遺伝子の作用を保っていることを大阪大の武田吉人助教(呼吸器病学)のチームがマウスを使って12日までに明らかにした/  これらのタンパク質がないと脂肪や筋肉が早く萎縮し寿命が短くなった ―― 骨粗しょう症や白内障、組織の萎縮といった老化も早く進んだ、老化した細胞が多く見つかった、長寿遺伝子「Sirt1」の働きも下がり、通常2年の寿命が1年半になった ―― ほか、肺の呼吸機能が低下する慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状も示した/  老化が進み、COPDになったと考えられる。2つのタンパク質を増やし、健康に長生きできる薬を開発したい> とある。

 "長寿遺伝子(サーチュイン/Sirt1)" という興味津々の "遺伝子" に影響を及ぼす "2つのタンパク質" ということになれば、当然、<健康に長生きできる薬の開発> という運びになるのであろう......。

 "認知症" による "徘徊/行方不明" の実態は、それに関する報道が掘り下げられるほどに、痛ましく、また情けなくも思われてくる。

 情けなく思われるというのは、"人命" にもかかわり、しかも誰にでも起こり得るお年寄りたちの不幸に関して、社会はこうも "無頓着(?!)" でいられた/いられるという現実に対してなのである。

 先の "NHK の番組" の中で、"徘徊/行方不明" となっていたご老人を発見した男性(タクシー運転手)が語っていた言葉が印象的であった。

 「自分もいつ認知症になるか分からないので、手配されると役に立ちたいと思っています......」

 これが普通 だと思えるところであるが、今の現実は残念ながらズレており、だからこそ "不幸な実態!" が跡を絶たない......。

 ◆ 参照 当誌での "認知症/徘徊/行方不明" 関連記事
  必見TV番組!"認知症800万人"時代 行方不明者1万人 ~知られざる徘徊の実態~(NHK)!/当誌 2014.05.11


 繰り返して "認知症/徘徊/行方不明" 問題に目を向けたいと思い、下記引用サイト記事"認知症"で行方不明 何度も繰り返す実態/NHK NEWS WEB/2014.05.11 - 19:07 に着目することとした

 <認知症やその疑いがあって行方不明となる人が年間1万人に上っている問題で、NHKが、行方が分からなくなったことがある120人余りの家族にアンケートした結果、行方不明になった回数は平均で6.3回に上り、何度も繰り返されている実態が明らかに/  また、全体の78%が行方不明を複数回経験していて、最も多いケースで70回あったと答えるなど、行方不明が何度も繰り返されている実態が明らかに/  捜す際、警察や周囲に協力を求めることに、ためらいがあるかどうか尋ねたところ、「大いにある」と「どちらかと言えばある」を合わせると74%......誰に協力を求めたか複数回答で尋ねたところ、「家族・親戚」が68%と最も多くなっているのに対し、「ケアマネージャー」や「近所の人」といった家族以外はいずれも20%台にとどまっていました/  行方不明が繰り返されているにもかかわらず、SOSを出せず苦慮している家族の姿が浮き彫りになった。問題を家族だけに押しつけず、社会全体で解決を図っていく本格的な対策を、国や市町村は急ぐべきだ> とある。

 注目しなければならない点は、<SOSを出せず苦慮している家族の姿が浮き彫り>になったという "当該家族の孤立!" の問題であるに違いない

 <捜す際、警察や周囲に協力を求めることに、ためらいがあるかどうか尋ねたところ、「大いにある」と「どちらかと言えばある」を合わせると74%......誰に協力を求めたか複数回答で尋ねたところ、「家族・親戚」が68%と最も多くなっているのに対し、「ケアマネージャー」や「近所の人」といった家族以外はいずれも20%台にとどまっていました> という現実である。

 ご家族が、事を "内輪に留めておきたい" と望む気持ちは十分に推測できるものだ。
 "恥ずかしいこと(?)" というような古い感じ方や、とかく時代が押しつける "自己責任(?)" の風潮などが足元にあるかと思われる。

 しかし、これらが相俟って、結果的にではあるが、社会や関係機関の "無頓着(?!)" の流れを誘うことになっていたかに見える
......。

 どうしてなのか? と疑問を抱いた人が少なくないと思われるが、どんなに "記憶力が良い人" でも、およそ "三歳以前" の幼児期の記憶までは保持していない( "幼児期健忘" )、というのが通説となっている

 ◆ 参照

   <幼児期健忘(ようじきけんぼう)は幼児期の記憶がなくなる症状のことである。  はっきりした原因はわかっていないが、幼児期の学習能力が未熟であり、記憶をうまく固着できないという説と、記憶を貯蔵した神経ネットワークが後に発達したものに上書きされて、当時の記憶を思い出せないという説がある。>( 幼児期健忘 - ウィキペディア

 (1) "学習能力未熟" 説、(2) "神経ネットワーク上書き" 説 の双方ともに説得力がありそうだ

  今回注目する下記引用サイト記事神経細胞増→古い記憶忘却...幼児期健忘解明か/読売新聞 yomiDr ヨミドクター/2014.05.10 は、先ずは、こうした "幼児期健忘" という問題の解明に、大きく役立ちそうな研究成果を報じている
 <記憶に重要な役割を果たす脳の海馬のうち、情報の入り口にあたる部位で、新しい神経細胞が増えれば古い記憶の忘却が進むことを確認したと、藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)の宮川剛教授(神経科学)らとカナダ・トロント大学の共同研究グループが発表/  実験でマウスに電気ショックを与えた後、薬物投与や運動で新しい神経細胞ができるようにしたところ、電気ショックを思い出して身動きをしなくなる「すくみ反応」が短くなった。海馬の情報の入り口にあたる部位で若い頃に盛んに生まれる神経細胞は、新しい記憶の形成に重要とされる一方、古い記憶を忘れることも促進していることがわかった/  乳幼児の頃の出来事をほとんど覚えていない「幼児期健忘」のメカニズムの解明が進むとともに、心的外傷後ストレス障害(PTSD)で、障害の元となった体験の記憶を薄れさせて治療につなげることなども期待できる/  生理学研究所の鍋倉淳一副所長(神経生理学)は「幼児期健忘を全く新しい視点で説明した興味深い研究だ」と話している> とある。

 現在、"認知症による徘徊と行方不明" という一つの社会問題が注目されている。
 この問題が、"NHKによって実施されたアンケート調査" によって明るみに出たことは広く知られている


 <NHKは、ことし2月、おととし1年間に認知症やその疑いがある人が「はいかい」などで行方不明になったケースについて全国の警察本部を対象にアンケート調査を行いました。  その結果、行方不明になったとして警察に届けられた人は全国で延べ9607人に上ることが分かりました。   このうち、川に転落したり交通事故にあったりして死亡が確認された人は351人に上りました。  さらに、その年の末の時点でも行方不明のままの人も208人いたことが分かりました。......> ( "認知症で行方不明" 1年で1万人近くに!国はこの社会問題に詳しい分析と有効対策を!/当誌 2014.04.18

 当誌でも、この推移には以下のとおり着目してきた

 ◆ 参照 当誌での "認知症/徘徊/行方不明" 関連記事

 (1) <認知症で徘徊する高齢者を救うため、先進的なモデルをつくりあげたのが福岡県大牟田市/ 市は「高齢者等SOSネットワーク」を構築 捜索願が出ると警察は、地元の郵便局や駅、タクシー協会、ガス会社など協力団体に連絡する。そこからさらに郵便局員、タクシー運転手、従業員に情報が流れて捜索協力者が増えていく。民生委員を経由して校区内の公民館長、学校、PTA、商店など市民にも伝えられる/ 仕組みを円滑に回す努力も怠らない2004年度から年1回、「模擬訓練」を実施/ 当日、「認知症による徘徊でお年寄りの行方が分からなくなっている」との想定で、高齢者数十人が「行方不明者」に扮し、連絡を受けた地元の人たちが市内を巡回しながら該当者と思われる人に声をかけたりして救援を試みる......> ( 認知症での"徘徊/行方不明"急増!地域ぐるみで解決図る"大牟田モデル"に関心高まる!/当誌 2014.04.22

 (2) <"浮上して、照らし出されている現実" とは、すでに指摘され尽くされてきた社会問題のひとつ、"孤独死" 現象を生み出している、社会の "無縁社会" 化(=コミュニティ崩壊)だと言えそうな気配がする。
 地域コミュニティが健全であった時代に、認知症による "はいかい(徘徊)" が悲惨なことになったことなぞ、果たしてあったのであろうか
......。> ( "国民的な課題"の"認知症"に対して"社会的対応立ち遅れ"!"行方不明"後の推移が悲惨!/当誌 2014.04.21

 (3) <≪厚生労働省の研究班によりますと、国内の認知症の高齢者はおととしの時点で462万人に上り、高齢者の15%に達すると推計/ 認知症の予備軍とされる「軽度認知障害」の高齢者は400万人に上ると推計され、国内の認知症とその予備軍の高齢者は合わせて860万人余り、高齢者の4人に1人≫ という "今後" なのである> ( "認知症で行方不明" 1年で1万人近くに!国はこの社会問題に詳しい分析と有効対策を!/当誌 2014.04.18

 そこで、こうした経緯から、"この番組は必見!" だと思われるので、下記引用サイト記事"認知症800万人"時代 行方不明者1万人 ~知られざる徘徊の実態~/NHK スペシャル/2014.05.11 - 21:00 に着目しておくことにした
 もちろん、まだ放映前なので詳細について言及できないが、この問題の現状を理解しておくことは誰にとっても重要であろうと思い、お薦めしておきたい......。

 原因の究明や治療法の確立が未達成!であるがゆえに、"パーキンソン病" は、日本では "難病(特定疾患)" に指定されている

 ◆ 参照 "パーキンソン病" とは?
 <脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの相対的増加とを病態とし、錐体外路系徴候(錐体外路症状)を示す進行性の疾患である。神経変性疾患の一つであり、その中でもアルツハイマー病についで頻度の高い疾患と考えられている。日本では難病(特定疾患)に指定されている。本疾患と似た症状を来たすものを、原因を問わず総称してパーキンソン症候群と呼ぶ。>( ウィキペディア/パーキンソン病

 ◆ 参照 当誌での "パーキンソン病" 関連記事
  <ヒトのiPS細胞からドーパミンを出す神経細胞を作り、パーキンソン病の症状を示すネズミの脳に移植/ 体の片側がうまく動かず、同じ場所をぐるぐると回っていたネズミは、4か月後、症状が改善し、まっすぐ歩けるようになった......> ( iPS 臨床研究 "パーキンソン病"でも! ぐるぐると回っていたネズミがまっすぐ歩けた!/当誌 2013.03.02

 今回注目する下記引用サイト記事パーキンソン病:増加物質を突き止め 東京都医学総研/毎日新聞/2014.05.07 - 20:49 は、"発病原因" の究明につながるであろう "原因物質" 周辺の "仕組み" を解明しつつ、同時に、"病気の早期発見" への指標にもなり得るとする研究成果について報じている

 <神経難病「パーキンソン病」の原因となる細胞内の異常を除去する際に作り出される物質を突き止めた/  この物質の増加を検査で確認できれば、パーキンソン病早期発見できる可能性がある/  遺伝性パーキンソン病は、二つの遺伝子ピンク1」と「パーキン」が働かず、細胞内の小器官「ミトコンドリア」の不良品蓄積し、神経細胞が失われて発病する/  今回、二つの遺伝子が異常ミトコンドリアを除去する詳細な仕組みが分かった。ピンク1異常ミトコンドリアを見つけると、「ユビキチン」というたんぱく質にリン酸を結び付ける。この結合が合図となってパーキンが働き始め、異常ミトコンドリア分解を促していた/  パーキンが働かない場合、もしくはピンク1パーキンの処理能力を超える異常ミトコンドリアが生じた場合は、リン酸と結びついたユビキチン急増し、パーキンソン病を発病する。このユビキチンを測定すれば早期発見できるようになるかもしれない> とある。

 「この閉塞した組織は "若い血" による "若返り" が不可欠だ!」などと "比喩" でささやかれることはしばしば耳にするわけだが、まさか "科学" の領域にまで "こうした言い回し"が登場してくるとは、正直言って驚きである

 確かに、"血液中の造血幹細胞" は "老化" とともに "減少/枯渇" するとのことであり、"血液" もまた "老化" によって激しく変化することは、昨日の記事で注目したばかりであった

 ◆ 参照 当誌での"造血幹細胞" に関する記事
  <年齢とともに、消耗して死んだ組織の交替や再生の能力が使い尽くされるのだ。造血幹細胞のような幹細胞の、老化した組織を補う再生能力がなくなる/  死の少し前にこの女性に対して行われた血液分析 血液中を循環する白血球が、わずかふたつの幹細胞のみから生み出されていた 大部分は、彼女の長い生涯の間に死滅していた/  白血球のテロメア──染色体の末端部で、その長さは細胞の老化とともに減少する──が、ほとんど分裂しない神経細胞のものよりも約17分の1だった> ( 加齢は"幹細胞"のストックを減少/枯渇させ、古い組織の代替を不可能とさせる!寿命!/当誌 2014.05.08

 そこから、"オイル交換" さながらに浮上しているのが、"若い血液との交換" というような取って付けたような視点、アプローチ!
 と言っても、実現されたという話題ではない。"マウスでの実験というレベル" でのニュースである


 下記引用サイト記事若い血液との交換で若返りが可能?/NATIONAL GEOGRAPHIC/2014.05.06 は、"マウスでの実験というレベル" でのニュースではありながら、そのアプローチの可能性を、"3つの研究" を踏まえながら解説し、報告している

 <記憶、筋力、持久力、そして嗅覚の若返りを実証する 3つの研究 が、科学誌「Nature Medicine」と「Science」に同時に発表された。3論文 は共に、若い血液年をとった動物に総体的再生効果をもたらす可能性を示唆している。また若い血液は、心臓肥大やアルツハイマー病のような加齢による症状に関連した認知機能の低下を好転するのに役立つかもしれない/  ■ 「Nature Medicine」誌に発表された1つ目の研究 18カ月のマウスと3カ月のマウスの循環系が接合......年老いたマウスの脳内でより多くの神経細胞間の新しい結合が確認......若い血液で元気になったマウスの脳内では、神経可塑性(経験に応じて脳内を再編成する能力)に関連したタンパク質がより多く生成......実験結果と妥当な循環要因がタンパク質であるということ/  ■ 「Science」誌に掲載された2つ目の研究......若いマウスと年老いたマウスの循環系を結合し、あるいは若い血液から採取した特定のタンパク質を年老いたマウスに注射......その実験によって古い筋幹細胞のDNAが修復され、ミトコンドリアと呼ばれる筋線維と細胞構造がより健康で若々しいものに変化し、マウスの握力が向上......実験で使用されたGDF11と呼ばれるたんぱく質......GDF11特に骨格筋や脳といった組織にも同様の若返り効果をもたらすことが証明された/  ■ 「Science」誌に発表された3つ目の研究......若いマウスから年老いたマウスへの GDF11 の移行を試みた......若い血液が脳室下帯(嗅覚に関連したマウスの脳内領域)の循環を高め、新しい神経細胞の生成が活性化......新しい細胞が嗅球に移動して成長すると年老いたマウスの嗅覚は改善された......血流の増加は嗅覚領域だけでなく脳全体でも観察された......記憶と学習の向上を説明するのにも役立つ> とある。

 ただし、研究者からは以下のような指摘がなされていることに注意しておきたい

 <高齢者に若い人の血液を注ぐ"輸血の卸売"を勧めるには時期尚早だ> と......。

| | コメント(0) | トラックバック(0)

 今や、"老いと寿命" という命ある者にとっての "宿命的問題" は、身体の "細胞の再生能力" の問題として議論されるようになったようだ。

 以下のように、"老化" は、"免疫細胞/T 細胞" の "老化" = "免疫老化" によってこそ引き起こされている、という説は実感的にもリアリティを持っていそうである


 ◆ 参照 当誌での "老い"、"免疫老化" 関連記事

 (1) <免疫細胞こそが老いや病を引き起こす大きな要因だとする衝撃の事実!身体を守るはずの免疫細胞が逆に身体をこわしていく。/ 一つ間違えると、免疫細胞の暴走によって "サイトカイン" がところ構わず撒き散らされると身体中が免疫細胞の攻撃対象と化す→全身が老いてゆく最大の原因!/ 免疫細胞たちのリーダー "T 細胞" はなぜ暴走してしまうのか?/ "胸線" 内で、"T 細胞" のアンテナが厳しく選別され、アンテナの性能の悪いものは "T 細胞" ごと壊される。 生き残る"T 細胞" はわずか5%以下!→厳しい選別を乗り越えてはじめて、"T 細胞" は、司令塔として実戦に向かう/ ところが "胸線" :思春期を過ぎるとほとんどなくなってしまう!(宿命として維持できない)/ つまり、"胸線" が無くなって、新しいT細胞の補充が不可能になると、古くなった "T 細胞" は次第に判断力を失っていく!/ "T 細胞" は、残ったものでやりくりするしかない。 思春期以降は、細胞からの十分なケアは期待できない! これこそ細胞が私たちに強いている宿命!/ この宿命は、今、大きな転換を迎えている!/ 人工 T 細胞(←iPS細胞) 老化によって新しい "T 細胞" ができなくなったのを、iPS細胞化して再生する 無限に増やせる!/ こうしてつくられた "T 細胞" には大きなメリットがある。 異物を識別するアンテナはすでに "胸線" でチェック済みのため、すぐに実戦でつかうことができる。> ( 番組 NHKスペシャル『人体ミクロの大冒険 あなたを守る!細胞が老いと戦う』紙面要約!/当誌 2014.04.09

 (2) <老化によって、病原体などに対する獲得免疫応答が著しく低下するとともに、過剰な炎症反応が引き起こされます。それにより慢性的な炎症状態が誘導され、最終的に加齢に伴う慢性炎症疾患(関節リウマチなどの自己免疫疾患)の発症増加につながると考えられています。この現象は、免疫老化と呼ばれ、免疫系の司令塔であるヘルパーT細胞の機能的な劣化が一因だと考えられていましたが、そのメカニズムは不明でした/ 山下教授らは、マウスでメニン(Menin)というたんぱく質が、ヘルパーT細胞老化を制御する鍵分子として働くことを明らかにしました。......> ( "免疫細胞(T細胞)"の老化!免疫力低下ばかりかその"誤作動"が老年病などの引き金に!/当誌 2014.04.08




 今回注目する下記引用サイト記事死にゆく人の血液のなかで起きていること/WIRED/2014.05.05 - MON は、"死/寿命" は、もともと備わっていた "細胞(幹細胞)" の "減少/枯渇" によって導かれているのではないか、と解説しているのである

 <年齢とともに幹細胞のストックが減少し、枯渇して、古い組織の代替が不可能となる。これが、人間がいつか死んでしまう原因なのだろうか。/  オランダ人女性ヘンドリック・ヴァン・アンデル・シッパーは、115年以上を生きた。そして死に際し、科学のための献体に応じた/  科学者たちが解き明かしたかったのは、ふたつの問題 このように長寿で、相対的に健康問題とは事実上無縁だった生涯の秘密がどこにあるのかということ 肉体が生命活動を止める理由を解明すること/  年齢とともに、消耗して死んだ組織の交替や再生の能力が使い尽くされるのだ。造血幹細胞のような幹細胞の、老化した組織を補う再生能力がなくなる/  死の少し前にこの女性に対して行われた血液分析 血液中を循環する白血球が、わずかふたつの幹細胞のみから生み出されていた 大部分は、彼女の長い生涯の間に死滅していた/  白血球のテロメア──染色体の末端部で、その長さは細胞の老化とともに減少する──が、ほとんど分裂しない神経細胞のものよりも約17分の1だった/  私たちヒトは、約20,000の造血幹細胞をもって生まれる どんな時でも、約1,000の幹細胞が血液の成分を作るために活動 この細胞のストックが、人生を過ごすなかで枯渇していく> とある。

 つまり、"老いと寿命" の、その正体は、ヒトが避けることのできない "幹細胞の枯渇!" に尽きることを直視しているわけである。
 ただ、医療技術の進展によって益々 "まことしやか(?)" になりつつある "代替幹細胞の注入" という "延命策(?)" についても言及している点が注意を引く


 <この研究から考えられることは、(恐らくは)年齢によって生じる幹細胞の困窮化とその後の枯渇が、若いうちに採取した幹細胞の注入によって阻止できるかもしれないということ/  もっとも、機能するとしても、これが可能なのは血液に対してのみだろう> と......。

 "iPS細胞" 関連の研究は、一方で "臨床応用研究" へと向かうとともに、他方では、"iPS細胞作製効率化" や、"「国際iPS細胞バンク」計画" といった調達/流通などのいわばインフラ環境面での改善の動きも活発化している

 ◆ 参照 "iPS細胞作製効率化"の関連記事
  <市販の培養液に独自に探した2種類の物質を加えることで、細胞を袋の中で増殖させることに成功。シャーレと比べてスペースを取らず、品質管理も容易/ 大きくなった細胞の塊を網目状のナイロンに通して傷つけずに細分化する方法も開発> ( iPS細胞を、シャーレ使わず大量生産する技術開発(京大)!"iPS細胞応用再生医療"加速!/当誌 2014.04.27

 今回注目する下記引用サイト記事iPS細胞 低コスト培養液を開発/NHK NEWS WEB/2014.05.06 - 04:16 もまた、こうした動向の一翼となり、"iPS細胞" 応用の趨勢に拍車を掛けるものと窺える

 <体のさまざまな組織になるiPS細胞を作り出すには、これまで高価な培養液が必要でしたが、慶応大学のグループが、コストが従来の10分の1ほどの新たな培養液の開発に成功し、再生医療の実用化が進むと期待されています/  iPS細胞を作るのに欠かせない培養液は、動物由来の成分を使うものと使わないものがありますが、使うものはウイルス感染のリスクが指摘され、使わないものは1リットル15万円もするなど安全面やコスト面に課題がありました。今回、開発した新たな培養液は、大手食品メーカーの「味の素」と協力し、動物由来の成分を使わないようにしたほか、価格の高い成分を同じ働きを持つ安い成分に置き換えることに成功し、コストをこれまでの10分の1に抑えたということです/  福田教授は、「肝臓や心臓の再生医療では、大量の細胞が必要になるので、培養にかなりのコストがかかる。低コストの培養液の開発は、再生医療の実現に向けた大きなステップになる」と話しています> とある。

 "認知症" は、患者ご本人=介護される人もさることながら、一般的な高齢者介護以上に "介護する人" の苦労(=重労働)が大変であることはよく知られている

 と同時に、専門的訓練を受けていない人にとっては、"何をどうしたら良いのかの基本的指針" さえも定まりかねる、そんな困惑に直面するのかもしれない。

 したがって、もし "認知症の人のためのケア技術" というようなものがあるならば、是非理解しておきたい、と考えて当然なのではなかろうか。

 下記引用サイト記事力も道具も不要 驚くほどラクな認知症ケア/日本経済新聞 - 日経ヘルス&メディカル/2014.05.04 - 06:30 は、そうした "困惑のただ中にある介護者" にとって福音にも値するはずの "認知症ケア技術" の基本をしっかりと伝えている

 <フランス発、認知症の人のためのケア技術ユマニチュード」が注目を浴びている。体力や道具は不要。ただ、4つのポイントを心がけるだけで、介護する人は驚くほどラクになり、介護される人は快適に、穏やかになる/  ユマニチュード」とは、フランス語の造語で「人であることを尊重する」という意味  認知症の人のためのケア技術/  認知症の患者さんをあまり動かさない従来の医療現場の常識を覆し、介護者が患者さんの力を引き出しながらケアすることで、介護される人は穏やかになり、介護する人はラクになるという、いい結果を引き出す/  4つのポイント
 1.見つめる
  同じ目の高さで、20センチ程度の距離で、チラ見ではなく、0.4秒以上じっと見つめる。見下ろされていると相手に感じさせず、お互いの関係が平等であることを伝える
 2.話しかける
  低めのトーンで柔らかな抑揚で話す。「お元気そう」といったポジティブな内容で。また、「今、腕を拭きますよ」と、行っている動作の内容を"実況"し、頻繁に話しかけると、相手は安心する
 3.触れる
  ゆっくりなでるように、広い面積をやさしく触れ続ける。腕は、上から力まかせにつかんだり、引っ張ったりせず、下から支えるようにサポートし、相手を労わっていることを伝える
 4.立つことをサポート
  寝かせたままにせず、できるだけ、「立つ」「歩く」サポートを行う。最期までその人らしく、を大切にする、ユマニチュードの考え方の原点になっている> とある。

 <導入後の効果> としては、<フランスでは認知症の入院患者の向精神薬の使用、攻撃的な態度が減っただけでなく、介護職員の離職率が低下した> や、<30分かかっていた着替えの介助が2分半になったり、なかなか薬を塗らせてくれなかった人がすんなり協力してくれたり、と実際のケア現場でも大きな変化> とあり、この "認知症の人のためのケア技術ユマニチュード」" は、とかく悲観的となりがちな "認知症の介護現場" に幾筋もの光明を与えるものと思われる

 <ヒトの "免疫力" の "60%" が、"腸" における "腸管免疫系" によって担われている> という事実は、意外と知られていない。

 ◆ 参照 当誌での "腸管免疫系" 関連記事
  <"免疫力" の観点から、"" という臓器に着目し続けている。ヒトの "免疫力" の "60%" が、"腸" における "腸管免疫系" によって担われているからである> ( 今注目の"免疫力"の本命:"腸"という臓器!"腸は第2の脳"どころか脳より賢い腸に従え!/当誌 2014.03.07

 だからこそ、ヒトの "免疫力" に関心を向ける際には、"腸管免疫系" やそこでの "腸内細菌" のあり様とについて知っておく必要がありそうだ

 下記引用サイト記事腸内細菌と免疫系の共生の仕組み発見/マイナビニュース/2014.05.01 は、この"腸管免疫系" とそこでの "腸内細菌" のあり様 との関係において、長年 "未解明" とされてきた "両者の関係の仕組み" が、ようやく解明されたと報じている。
 現在、"腸管免疫系" とそこでの "腸内細菌" のあり様への関心と期待が高まっている時だけに注目される


 <腸管の免疫細胞腸内細菌に対する炎症応答を抑制するために必須の遺伝子を、慶應義塾大学薬学部の長谷耕二(はせ こうじ)教授らがマウスの実験で見つけた。腸内細菌宿主免疫系との共生の仕組みを解明する手がかりとして注目される/  ほ乳類の胎児は、生まれる前の母体内で無菌状態だが、生後に膨大な数の細菌にさらされる。その激変に伴う過剰な免疫反応による炎症を抑えるために、制御性T細胞が働くとみられている。しかし、出生直後の無菌環境から腸内細菌が定着する際に、制御性T細胞がどのような仕組みで活性化し、腸内細菌宿主の免疫系の間に共生関係がどのように構築されていくかについては、よくわかっていなかった。腸管免疫系の制御異常は、食物アレルギーや炎症性腸疾患の主因と考えられているだけに、重要な研究テーマになっている/  無菌マウスに腸内細菌を投与して、投与されたマウスの大腸機能を調べた。腸内細菌の定着......制御性T細胞が大腸で増殖......腸内細菌が定着......制御性T細胞 Uhrf1 という遺伝子の発現量が上昇していることを見つけた/   Uhrf1 の機能を解析し、......制御性T細胞の増殖や生体の恒常性維持に関わっていることも突き止めた/  一連の実験から研究グループは Uhrf1 遺伝子が作る分子は腸内細菌宿主免疫系共生関係を構築するのに重要な役割を果たしている」 と結論づけた/  長谷耕二教授は 「腸内細菌の異常がさまざまな病気に関連していることが最近わかってきた。腸内細菌大腸の免疫系との共生は重要な意味を持つ。今回の発見は、治療が難しい炎症性腸疾患の発症の仕組み解明や、新しい治療法の開発にも役立つだろう」 と研究の発展を展望している> とある。

 これだけ "認知症、認知症" と取り沙汰されていると、年配の人ならば、ちょっとした "ど忘れ、物忘れ" の類があっただけで、 "ひょっとして認知症のはじまりか?" と不安になったりするのかもしれない......。
 まあ、今朝の朝食メニューを思い出せない程度であれば問題は無く、朝食を済ませたこと自体を忘れるのでなければ、と言われている。


 ただ、ちょっとした "ど忘れ、物忘れ" が生まれるのは、いわゆる "ワーキングメモリ" と呼ばれる "脳の働きの衰え" だと見なされている。

 はじめに、"ワーキングメモリ" そのものについて注目しておくと、下記引用サイト記事 2ワーキングメモリ(作業記憶)トレーニング/認知症で要介護にならない脳トレ予防の老年若脳 では、次のように解説している。

 <人の脳にはワーキングメモリと呼ばれる領域があります。情報を一時的に保ちながら操作するための領域で、暗算や会話、思考能力等に影響します。 瞬時に一時記憶して、それを活用しながら行動しているとき、このワーキングメモリがフル活動している/  ワーキングメモリは、生活の中の「メモを取るまででもないこと」を頭の中に一時置いておくことが出来る機能です/  ワーキングメモリの劣化は物忘れの始まり  ワーキングメモリは前頭前野にあり、思考における重要な役割を果たしています。このワーキングメモリが劣化すると、「あれ、何をしようとしていたんだっけ」、会話時も「あれ、会話が理解できない...」と、いろいろなことに支障をきたしてきます......> と。

 そして、この "ワーキングメモリ" を、<日常の中で鍛えるなら、下記が有効> と指摘している。
 <・新聞を10文字くらいのブロック単位で見て読んでいく
 ・看板を見たらぱっと記憶し、見ないでぱぱっと頭の中に描いてみる
 ・会話の際、相手の話をよくよく覚えるように聞く
 ・カラオケの際、得意でない歌を歌い、歌詞を見ながら出なく、歌詞をぱっと見て、目をそらして歌う。
 ・日常の簡単な判断は瞬時にこたえる


 さて、そこで 今回注目する記事なのであるが、下記引用サイト記事 1<認知症予防研究>早足歩行で認知機能低下を抑制――熊本大学/ケアマネジメントオンライン/2014.05.02 - 09:00 は、"早足歩行" が "認知機能低下を抑制" するという研究成果について報じている

 <熊本大学文学部認知心理学研究室では、認知症や下半身の運動障害のない健常高齢者において、速く歩ける人ほど記憶力が優れることを視覚的ワーキングメモリという記憶に関して明らかにした/  早足での歩行ができる運動能力を維持することで、認知症に関連するような認知機能低下を抑制できる可能性が考えられるワーキングメモリは、高齢者では急速に低下することが知られている/  今回の研究ではワーキングメモリの種類に着目し、これまで測定されてきた音韻ワーキングメモリに加え、人の顔を記憶する顔ワーキングメモリ、場所を記憶する空間ワーキングメモリにおける機能低下の度合いと歩行能力との関連について測定した。その結果、顔・空間ワーキングメモリにおいて歩行速度との強い相関が確認された> とある。

 何でもない事実のようでもあるが、留意しておくに越したことはなさそうである......。

 "がん" は、その "再発と転移" の可能性という点で警戒されているし、最先端の "がん研究" においても、一面では鋭くそこに関心を向けている。

 ◆ 参照 当誌での "がん転移" 関連記事
  <がんの転移は、さまざまな臓器の表面を覆う「上皮組織」で、隣り合う細胞同士の相互作用がうまく働かなくなると起こる/ 相互作用に関わっているとみられるのは、腎管から出るタンパク質「フィブロネクチン」で、細胞を下支え/ 正常な上皮組織では、細胞は整然と並んでいるが、転移の初期段階では、刺激が加わると、上皮はもろくいびつな形になってバラバラになる/ 高橋淑子京大教授は「このタンパク質を使い、副作用の少ないがんの転移予防法や治療法開発に役立つことが期待される」と話す......> ( "がん転移"の仕組み(フィブロネクチン)解明(京大)!副作用少ない予防/治療法開発へ!/当誌 2014.04.23

 今回注目する記事下記引用サイト記事がん細胞転移の仕組み解析 名大グループ/日本経済新聞/2014.05.02 - 10:01 は、"がん転移" に深く関わると見られる "がん細胞内 タンパク質「インテグリンベータ1」" の発現の仕組みを解析した、と報じている

 <名古屋大大学院の高橋雅英医学系研究科長(腫瘍病理学)と加藤琢哉特任助教(同)のグループは2日までに、がん細胞集団が別の組織へ入り、がんが広がったり転移したりしていく際の詳細な仕組みを解析したと、米科学誌電子版に発表/  集団表面にある細胞内で、動きを制御するタンパク質の発現が促進され、隣接する内側の細胞引っ張って動く仕組みを確認。高橋研究科長は「このタンパク質を阻害する薬など、新たな治療法の開発につながる」と/  がん細胞の集団を表面の「先導細胞」と内部の「後続細胞」に分類して調べた/  その結果、先導細胞では細胞の動きに関わるタンパク質「インテグリンベータ1」が強く発現することが判明。このタンパク質の阻害剤を加えてがん細胞を培養すると、周辺の組織への移動がみられなくなった/  インテグリンベータ1が発現するまでの仕組みも解析/  がん転移では、細胞が個別に分離して移動するケースの研究が中心になっているという。高橋研究科長は「集団移動のケースの方を研究の真正面に掲げ、仕組みの解明に努めなければいけない」と> とある。

 <「このタンパク質を阻害する薬など、新たな治療法の開発につながる」> という点、<がん転移では、細胞が個別に分離して移動するケースの研究が中心になっているが「集団移動のケースの方を研究の真正面に掲げ、仕組みの解明に努めなければいけない> という一歩踏み込んだ視点などに期待を寄せたい。

 <病原菌の抗生物質に対する抵抗力がどんどん強くなっているせいで、わたしたちはペニシリン以前の時代に戻ろうとしている> ( もし細菌が抗生物質との戦いに勝利したら/WIRED/2013.02.07 ) のであろうか?

 いよいよ "抗生物質(抗菌薬)" と "多剤耐性菌" との攻防は、頂上対決の様相を呈している観がある......。

 ◆ 参照 当誌での "抗生物質" 関連記事
 (1) <多剤耐性菌とは、多くの抗菌薬(抗生物質)に耐性を獲得した菌のことです。......多剤耐性の菌に感染してしまった場合、使える抗菌薬の種類はかなり限定されてしまいますので、耐性でない菌に比べれば治療が困難になることは事実です。なお、報道などで表現されている"ほとんどの抗生物質に耐性を示す"ような多剤耐性菌であっても、まだ一部の抗菌薬は使用可能なので、全く治療の手段が無いわけではありません......> ( "新型"多剤耐性菌(CRE)か?! 院内感染110人/大阪医療センター 免疫低下患者は要警戒?!/当誌 2014.03.20

 (2) <抗生物質を服用することで腸内細菌のバランスが乱れ、ぜんそくの症状が悪化することを、筑波大や米ミシガン大などの研究チームが動物実験で確かめた。腸内にカビが増える一方で「善玉菌」の乳酸菌が減っており、ヒトにも同じ仕組みがあると見ている......> ( "抗生物質と腸内細菌「善玉菌」"の関係!ぜんそく:抗生物質で悪化も 腸内でカビ増殖!/当誌 2014.01.21

 下記引用サイト記事WHO「耐性菌感染 世界で広がっている」/NHK NEWS WEB/2014.05.01 - 05:24 は、"ここまで来てしまったか!" の印象が禁じえない危機的な現状!について以下のように報じている

 <WHO=世界保健機関は、主要な抗生物質が効かず治療が困難な耐性菌の感染について報告書を発表し、世界のすべての地域で感染が広がっているとして、国際社会が一致して対策を取ることが必要だと強調/  黄色ブドウ球菌など7つの細菌について、従来は効果が見られた特定の抗生物質が効かなかった例/  黄色ブドウ球菌の場合、アフリカや南北アメリカの一部の国で、抗生物質のメチシリンを投与しても80%から90%の患者に効かなかった/  肺炎などを引き起こす肺炎かん菌でも、アフリカを中心に多くの国で50%以上の患者に抗生物質を投与しても効かなかった/  世界中で耐性菌の感染が広がっている/  報告書は、このままでは将来、抗生物質が役に立たなくなる可能性があると警告したうえで、感染情報の調査方法を統一して世界全体で情報を共有することや、新たな治療方法の開発に力を入れることなど、国際社会による一致した対応の必要性を提言> とある。

 たとえ、"根本的に治せるものではない!" としても、"症状の進行を遅らせ" て日々の生活を助けてくれるものであれば、頼らざるを得ないのが "アルツハイマー病向け治療薬" であろう

 以前に、同じ趣旨から下記のように "アルツハイマー病向け治療薬 : アリセプト" に関心を向けたことがある

 ◆ 参照
 (1) <認知症の中で最も多いとされるのが、アルツハイマー病です。アルツハイマー病は、記憶と関係が深い海馬という脳の一部と、その周辺の萎縮が早期から見られます。必ず表れる症状として、もの忘れ、判断力の低下など、中核症状と呼ばれるものがありますが、現在はその症状の進行を遅らせる薬による治療が主流/  いくつかある薬の中で最も多く処方されているのは、エーザイの「アリセプト/  アリセプトは3mgから服用を開始し、1〜2週間で5mgへ増量します。3mgでは基本的には効果はなく、吐き気や軟便などの消化器症状の副作用に慣れるための服用となります。さらに症状が進行した場合、10mgの服用へと移行していきます。アリセプトは服用開始後、効果がみられるまで3カ月ほどかかる/  あくまでも、認知機能を改善するものではなく、症状の進行を遅らせるもの/  アリセプト5mgの薬価は356円で1日1回1錠、保険も適用されるため月額数千円とはいえ、毎日、しかも将来にわたって服用し続けなければならないことを考えると、経済的負担は決して軽いとはいえない価格です。「なかなか効果を感じられない」「お金がかかる」といったことから、ご家族による服用中止というケースも少なくありません。しかし、6週間服用を中止すると、進行を遅らせていた症状が、何も治療しない場合の状態へと一気に悪化してしまうことがあります。素人判断で服用を中止することは取り返しのつかないことになりかねません> ( "65歳以上で七人に一人が認知症!"の切迫/当面の対症療法としての"薬治療"の現実は?!/当誌 2014.03.10

 (2) 製品例:アリセプト( 一般名:ドネペジル塩酸塩

 今回注目する記事は、その後の "治療薬" の動向と "要注意点" とを解説した 下記引用サイト記事浦上克哉・鳥取大医学部教授講演「認知症予防の最新情報」講演(3) アルツハイマー、治療薬と「接し方」で進行予防/yomi Dr. ヨミドクター/2014.04.30 である

 <アルツハイマー型の認知症には有効な薬が 4種類/  以前は、アリセプトという薬だけだったのですが、3年ほど前からレミニールリバスチグミンパッチメマリーという薬が出て来て、治療薬の選択肢が随分増えてきました/  アリセプトレミニールリバスチグミンパッチは同じ系統の薬(コリンエステラーゼ阻害薬)なので、一緒に使うことはできません/  メマリーという薬は、この3種類とは別系統の薬(NMDA受容体拮抗薬)なので、一緒に使うことができます/  アリセプトレミニールリバスチグミンパッチは、コリンエステラーゼ阻害薬と呼ばれ、アセチルコリンという物質を脳の中で増やす働きがあります/  アルツハイマー型認知症になりますと、アセチルコリンという物質が減ってきます。アセチルコリンが減るたびに、物忘れが起こってくるのです。減ったアセチルコリンを増やすことによって、記憶を改善させる働きがあります/  アリセプトには5割ほどの「改善」例がありますが、「不変」例は35%/  アルツハイマー型認知症のように、ゆっくりと徐々に進行してくる病気の場合には「不変」であっても進行を抑制できている可能性がある/  「不変」であっても「効果」のうちである可能性がありますので、安易に服用をやめないようにしていただきたい/  リバスチグミンパッチは、レミニールアリセプトと同じ系統のコリンエステラーゼ阻害薬ですが、違いは貼り薬だということです。これを胸や背中に貼ると、効果が出ます/  メマリーは、コリンエステラーゼ阻害薬と併用することができるのですが、病気がある程度進行した人に対して使うことができる薬/  薬の選択の幅は広がっているのですが、残念ながら、まだ根本的にアルツハイマー型認知症を治せる薬はありません> とある。

2020年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          














関連サイトへのリンク


  • 電子書籍(eBooks)制作にフォーカスしたサイト
  • 明けない夜はないことを確信するサイト
  • Green(地球環境改善)にフォーカスしたサイト
  • ソフトウェア技術者やSEのための評価と育成、人事考課制度を考えるサイト
  • さまざまな業種・業態でご利用可能なモバイル活用の予約システム!
  • 創作小説『海念と保兵衛』のサイト
  • 創作小説『かもめたちの行方』のサイト
  • 当ブログ推奨の商品を展示したAmazon ストアー!
  • 当AdhocBlogブログの過去のエントリー
  • 株式会社アドホクラット当時のサイト

★売れ筋! No.1!
家庭用"放射線測定器"

日本通信 bモバイルWiFi ルータ+1 ヶ月定額SIM BM-U300W-1M
価格:¥ 20,208
国内配送料無料 Amazon





このアーカイブについて

このページには、yasuo hirose2014年5月に書いたブログ記事が含まれています。

前のアーカイブは、
 yasuo hirose: 2014年4月
です。

次のアーカイブは、
 yasuo hirose: 2014年6月
です。

最近のコンテンツは、
 インデックスページ
で見られます。

過去に書かれたものは、
 アーカイブのページ
で見られます。

年月別アーカイブ