yasuo hirose: 2014年6月 アーカイブ

 その "副作用" が懸念されてきた "抗がん剤" は、投与された患者ににとっての "毒性" のリスクもさることながら、昨今、問題視され始めているのは、"抗がん剤" を取り扱う医療従事者が "抗がん剤残留物" によって被る "抗がん剤曝露" というリスクのようである

 ◆ 参照 当誌過去の "抗がん剤曝露" 関連記事
  <コベルコ科研は、医療分野向けの評価・解析サービスを強化する/  医療分野向けの評価・解析サービスとして、近頃引き合いが増えている事例の一つとして紹介したのが、医療従事者の抗がん剤曝露量の分析。医療現場に残留している抗がん剤を専用キットでふき取り、その箇所の残留抗がん剤量を分析するもの。近年、医療従事者の抗がん剤曝露が問題になっていることに応えるサービスである> ( 医療従事者の"抗がん剤曝露量"とは何?"抗がん剤"は"正常細胞"にも作用するため警戒?!/当誌 2014.06.27

 今回注目する下記引用サイト記事抗がん剤取扱者の健康被害防ぐ 医師や看護師が協議会/日本経済新聞/2014.06.28 - 23:32 は、そうした "抗がん剤曝露" リスクに曝されている "医療側(医師/看護師/薬剤師ら)" が、リスク回避対策を協議しようと「抗がん剤曝露(ばくろ)対策協議会」設立に踏み切ったという推移を報じている

 <抗がん剤を取り扱う医療従事者の健康被害を防ごうと、医師や看護師、薬剤師らが「抗がん剤曝露(ばくろ)対策協議会」を設立し、危険性に関する啓発や汚染対策などの活動方針を28日までに公表/  抗がん剤は主に点滴で投与され、がん細胞だけでなく正常な細胞に対しても強い毒性がある。点滴液の交換時や患者の排せつ物の処理の際に触れたり揮発物を吸い込んだりして体内に入り、健康被害を起こす恐れが指摘されている。海外では看護師の血液中の白血球でDNA損傷が増えたとの報告もある/  協議会は今後、薬液が外部に漏れにくい器具を使用したり、ガウンや手袋の着用を徹底したりする安全対策を進めるよう呼び掛ける/  病棟の汚染状況や健康被害の実態調査もしたいとしている/  抗がん剤の運搬や投与を担当することの多い看護師に対策の必要性が十分に知られていないという。協議会理事長の垣添忠生国立がん研究センター名誉総長は「在宅医療で抗がん剤を使うケースも増え、家族が薬剤にさらされることもある。医療従事者に限らず、対策の意識を高めていきたい」と話した> とある。

 こうした対策は極めて当然な対応であるに違いない、と思われる。
 ただ、その反面、否応なく注意が向かうのは、その "残留物" でさえ<がん細胞だけでなく正常な細胞に対しても強い毒性がある体内に入り、健康被害を起こす恐れが指摘> と判断される "抗がん剤" が、"がん治療" 目的とは言え "患者" の体内に "点滴で投与" されているという現状なのではなかろうか
......。




















 ひと頃、"コンピュータ・リテラシー" という言葉が流行った。
 社会環境の大半の場面にコンピュータ導入が進む時代にあっては、個々人が "コンピュータの「いろは」" を理解しておくことが欠かせない、というほどの意味であった。
 現時点でも、"コンピュータ・リテラシー" を備えないPCユーザーが、インターネットへの "無知" があだとなって、ネット上の悪意あるハッカーの餌食となり、大きな被害を被る事例は掃いて捨てるほどある......。

 この "何々リテラシー" が欠かせない事態は、コンピュータに関してのみならず、時代環境のあらゆる領域に急速に広がっているかに見える。
 そして、今、最も戦々恐々としている領域はと言えば、端的に言って、"がん治療" の領域ではないかと思い至る。

 なぜならば、今、国民の二人にひとりが "がんにかかり"、三人にひとりが "がんで死亡する" と言われているほどに、他人事ではなくなっているからだ。
 それでも、もし "がん治療" の一般的な医療体制が、決して患者個々人の疑問や不安を寄せ付けないほどに安定し、信頼が置ける状態であったならば、患者個々人の側は "お任せスタイル" でも一向に構わないはずであろう。

 ところが、正直言って、現時点の "がん治療" 医療体制は、少なからぬ疑問に答えなければならないほどに透明性を欠いている
 そのひとつが "抗がん剤" 使用の治療法であろう。標準的治療法とされていながらも、多くの医者個々人が、"自分が患者であったら、抗がん剤治療は選択しない" と吐露しているというほどに、"副作用"(および疑問視される "延命効果" )が事態を複雑にしているからである。

 この問題の規模は、ここで簡単に対処してしまえるほどに簡単ではないわけであるが、少なくとも、患者個々人の側が、がんに関して "自身の意思決定" に踏み切れるほどの "がんリテラシー" を培わなくてはならない、とは言えそうである。
 それが可能なのかどうかには "大きな疑問符" が付くかと思われるが、何の基礎知識も得ようとせずに "お任せスタイル" で臨むのは、いわば、セキュリティ・ソフト無しでインターネットへと接続することと同様にリスクが大き過ぎるのではなかろうか
......。

 今回注目する下記引用サイト記事「抗がん剤は効かない」近藤理論をめぐる患者の意思決定サポート/日経メディカル - がん診療 UP TO DATE/2014.06.13 は、"がん治療" に携わる "良心的" で "悩み深き" ひとりの医師が綴ったエッセイである。
 このエッセイの筆者である医師のように、<患者と家族にとって残された大切な時間を本当に希望することに使えるよう、一緒に考え寄り添うことのできる医師> でありたいと願う "がん治療医" が、医療体制の大半を占めていたならば、状況の改善は時間の問題かとも思われる。
 だが、現行では、"抗がん剤" 使用の治療法のみならず、"外科手術" 治療法に関する患者側における、"持って行く場のない辛い思い" が耳と心に "浸潤(しんじゅん)" してくるのが実情ではなかろうか
......。

 "注目したエッセイ" は、実に "微妙な文脈、叙述" でもあるため、いつものような "ダイジェスト的な引用" は避けておこうかと思った。直接、読まれるのがふさわしいかと

 神経の難病、"筋萎縮性側索硬化症(ALS)" について知る人は少ないかもしれないが、"閉じ込め症候群(TLS [totally locked in state])" というその身につまされる気の毒な症状から思い起こす人もいるのではなかろうか

 ◆ 参照 当誌過去の "神経細胞、ALS" 関連記事

 (1) <交通事故などで脊髄が傷ついた患者に、神経を修復する働きのある物質を投与し、その回復を図る初めての臨床試験を慶応大学などのグループが始めると発表......> ( "脊髄損傷"の新治療法(たんぱく質HGF投与)臨床試験開始(慶応大)!寝たきり患者回復!?/当誌 2014.06.18

 (2) < "ALS(筋萎縮性側索硬化症)" の患者さんたちの "閉じ込め症候群(TLS [totally locked in state])" の問題......> ( "TLS 患者" における、"自律神経系" の "非言語的コミュニケーション"/当誌 2010.03.25


 今回注目する下記引用サイト記事iPS細胞、ALS治療に応用 マウスで効果確認 京大/朝日新聞(阿部彰芳)/2014.06.27 - 09:54 は、この "筋萎縮性側索硬化症(ALS)" への新たな治療につながる可能性が期待される "iPS細胞" によるアプローチの研究成果について報じている

 <健康なヒトのiPS細胞から作った神経の働きを支える細胞を移植し、神経の難病、筋萎縮性側索硬化症ALS)の進行を遅らせることに、京都大などのグループがマウスで成功した。移植しないマウスより、寿命が1割弱延びたALSの根本的な治療は見つかっておらず、今後、治療に応用できる可能性があるとして期待される/  米科学誌ステムセルリポーツ電子版に27日発表する。ALS手足や舌、呼吸に必要な筋肉がやせて動かせなくなる病気。筋肉を動かす神経細胞の障害が原因とされる。進行を遅らせる薬はあるが、効果は限られており、iPS細胞などを使った再生医療の研究が進んでいる。ただ、神経細胞そのものは、移植しても死んでしまうなど、障壁が高いことがわかっていた/  京大iPS細胞研究所の井上治久教授らは、神経細胞の働きを支えるグリア細胞に着目。遺伝子変異でALSを発症したマウスの腰の背骨内に、iPS細胞で作ったグリア細胞に変化する前段階の細胞を移植した。すると、移植しない場合の平均寿命150・4日が11・8日延び、運動機能の衰えも遅かった/  移植した細胞は神経細胞を長生きさせるたんぱく質を分泌しており、井上さんは「神経細胞とグリア細胞を組み合わせて移植すれば、症状の改善につながる可能性もある」と話す。海外では、神経細胞にもグリア細胞にもなれる神経幹細胞を移植する同様の研究が実施されている> とある。

 "曝露" という言葉は、<① 他人の秘密・悪事などをあばいて明るみに出すこと。「秘密を-する」、② 直接風雨にさらされること。また,有害物質や病原菌などにさらされること。> ( Kotobank.jp )という二通りがある

 今回の表題にある "抗がん剤曝露量" の "曝露" とは、② の <有害物質や病原菌などにさらされること> なのであって、決して医療従事者が、"抗がん剤" のリスクをあばきたてたその量ということではない。

 となると、"抗がん剤" には、"さらされてはならない" と言うほどの "有害物質" が含まれている、と見なさざるを得ない。 まるで、"抗がん剤" には、"がんに対して毒をもって制す!" という響きが伴っているかのようである
......。

 図らずもそんなことに目を向けさせずにはおかないのが、今回注目する下記【 引用記事 1 】医療従事者の抗がん剤曝露量の分析など、コベルコ科研が医療分野向けの解析サービスを強化/日経テクノロジー/2014.06.25 - 21:38なのである

 <コベルコ科研は、医療分野向けの評価・解析サービスを強化する/  医療分野向けの評価・解析サービスとして、近頃引き合いが増えている事例の一つとして紹介したのが、医療従事者の抗がん剤曝露量の分析。医療現場に残留している抗がん剤を専用キットでふき取り、その箇所の残留抗がん剤量を分析するもの。近年、医療従事者の抗がん剤曝露が問題になっていることに応えるサービスである> とある。

 そこで、では、<医療従事者の抗がん剤曝露> とは一体何を意味しているのかに眼を向けてみなければならない

 下記【 引用記事 2 】抗がん薬の職業曝露 外来化学療法センターにおける抗がん剤環境曝露の現状/日本癌治療学会 が、次のように、実情を解説している

 <【 背 景 】 多くの抗がん剤は、がん細胞に対しては殺細胞作用がある一方、分裂している正常細胞に作用し、変異原性、催奇形性、発がん性がある医療従事者が抗がん剤に曝露する経路としては、エアロゾルの吸入、皮膚・目への付着、汚染された手指からの食物などを介した経口摂取などが考えられる。近年、医療従事者の抗がん剤曝露について啓発・予防が行われており、本院においても抗がん剤を安全に取り扱うための指針を作成した。しかし、医療従事者が実際どのくらい抗がん剤に曝露されているのかの調査報告は少ない>/  【 目 的 】 外来化学療法センターにおける環境中のシクロフォスファミド(CPA)フルオロウラシル(5-FU)を測定し、医療従事者の抗がん剤曝露リスクを明らかにする>/  【 結 果 】 測定箇所は全部で21箇所、うち8箇所(38%)から抗がん剤が検出された。CPAは男女トイレ床、病室入口と点滴棒下の床および看護師グローブの5箇所から検出された。特に男子トイレ床では、すべての測定日にCPAが検出され、1回平均217.6 ng/100cm2であった。5-FUは男子トイレ床、病室内PCマウス、薬剤トレイの3箇所から検出された> とある。

 これらの解説からは、"抗がん剤" が、<分裂している正常細胞に作用し、変異原性、催奇形性、発がん性がある> と述べられている点に着目すべきはずであろう。
 しかも、こうして、<医療従事者の抗がん剤曝露リスク> が調査されているのであるから、がん患者に投与された "抗がん剤" による "患者たちの正常細胞への作用"="副作用" 問題に加えて、その患者たちから排便・排尿された "抗がん剤残存物" が、周囲の医療従事者に対してもリスクをもたらしている可能性のあることが示唆されているわけだ。
 そして、これが意味するところは、その "残存物がもたらすリスク" が問題視されるほどに "抗がん剤" の作用力は、患者の患部の "がん細胞" に限定されず、"正常細胞"(患者体内および患者以外の人の )に脅威をもたらす可能性がある、ということになろう


 "抗がん剤" の恐さについては、以下の一文が参考となる

◆ 参照 "抗がん剤" の恐さ

 < この取材のとき、「抗がん剤の恐さを知るには、これを見るのがいちばんです」と出してくれたのが、5-FU という日本で広く使われている抗がん剤の医師向け添付文書でした。...... ここにはカラー頁(64頁~)で示すように、冒頭いきなり「警告」と真っ赤な文字で大書された警告文が出てきます。
 医師向け添付文書というのは、その薬物の組成、効能、用法容量などが詳しく記された文書です。その文書によると 5-FU は高度に毒性が強い薬物で、用法をまちがえると、容易に死者を出しかねないということで(実際死者は沢山出ている)、いきなり真っ赤な警告文が出てくるわけです。そして「使用上の注意」の項には、「重篤な副作用」があらわれて、「致命的な経過をたどる」可能性に注意がうながされ、つづく「重大な副作用」の項には、「激しい下痢」「壊死性腸炎」「ショック、アナフィラキシー」「白質脳症(神経麻痺)」「神経梗塞、狭心症」「急性腎不全」「間質性肺炎」「胆管壊死」などなど命が幾つあっても足りなさそうな重大な副作用がズラリと十六項目も並んでいます。それを読んだだけで、こんな薬物絶対服用したくないと思います
 これはどういう抗がん剤かというと、RNA を破壊することによって、DNA の合成を阻害する薬です。あらゆる細胞増殖は DNA の情報を RNA が外部に持ち出して、その情報をもとに RNA がアミノ酸をかき集めてきて、タンパク質を合成するという形で行われていきます。具体的な作業は全部 RNA が行います。5-FU はその RNA を軒並み破壊するわけです。5-FU を使えば、確かに DNA 合成が止められ、細胞増殖は止まります。しかし同時に、RNA 破壊で体内のあらゆる細胞の働きが止まってしまうので、とんでもなく広範な副作用があらわれるわけです。近藤さんの『新・抗がん剤の副作用がわかる本』(三省堂)によると、5-FU が属するフルオロウラシル系抗がん剤が広く使われている( 数十万人に処方され数百億円の売上げになっている )国は、世界広しといえども日本だけで、欧米では全く使用されていないといいます。......
> ( 立花隆 NHKスペシャル取材班『がん 生と死の謎に挑む』文芸春秋 2010.12.15。 なお同書は、NHK番組 "NHKスペシャル 2009年11月23日放送" と連動 )

 病気の発見のみならず、その治療効果を調べる手法としては、いわゆる "画像診断" 法が一般的に活用されている。

 例えば、エックス線診断(X線撮影、血管造影など)、核医学診断(シンチグラフィ、PETなど)、コンピュータ断層撮影診断(CT、MRIなど)である。

 これらの検査の実施に当っては、患部の画像を得やすくする(造影)目的で、それぞれの装置の特性に応じた各種 "造影剤" が、事前に "服用"/"投与" されたりすることになる。

 もちろん、ターゲットとなる "画像" は鮮明さが要請されるわけだが、とりわけ "がん治療" においては、その患部の状態のより精緻な造影が必要となる。 治療効果判定の貴重な材料となるからだ


 今回注目する下記【 引用記事 1 】北大、がん画像診断用注射薬の臨床研究に着手/日刊工業新聞/2014.06.25 および【 引用記事 2 】新しいがんの画像診断用注射薬,[123I]IIMU の臨床研究を開始 ~First-in-human 試験実施へ~/PRESS RELEASE 北海道大学/2014.06.17 は、 "がん治療" に欠かせない "がん画像診断" において、"より精緻な造影" が可能となる新しい "注射薬" が開発され、いよいよ "臨床研究" が始まったと報じている

 <北海道大学は、がん画像診断用の新規注射薬を活用した臨床研究着手する。がん腫瘍に高く発現する「チミジンホスホリラーゼ」という酵素を指標にして、同酵素と結合する性質のある化合物を投与し、がんの治療効果などを調べる手法の臨床応用を目指す/  投与するのは「ヨウ素123標識IIMU」と呼ばれる化合物で、北大アイソトープ総合センターの久下裕司教授らが開発した。ごく微量の放射性物質を含んでおり、がん関連酵素と結合した同化合物が発する放射線を、体外から専用カメラで検出して画像化する。がん関連酵素の活性化状態から、悪性度の診断や抗がん剤投与によって治療効果を判定・予測する/  動物実験による前臨床試験で有効性と安全性を確認している。患者への負担の少ないがん検査技術になると期待される ( 患者にやさしい "非浸襲的個別化医療" の提案 )> とある。

 "がん治療" に随伴する "後遺症" として、"" の上でも"辛さ" の上でも軽視できないであろう "リンパ浮腫" という症状について、昨日は着目したところだ。( "がん後遺症"(リンパ浮腫)に苦しむ人が多い現状!医療関係者の間でも比較的関心低い?!/当誌 2014.06.24 )

 今回は、さんざんその "副作用" が懸念されてきた "抗がん剤" 治療と比べて、"延命効果" の向上と "副作用の減少" という両面で前進したとされる "分子標的治療薬"(抗がん剤の一種)の現状に目を向けてみたい

 今回注目する下記【 引用記事 1 】がんの分子標的治療薬に皮膚障害の副作用 皮膚科専門医参加で改善/msn 産経ニュース/2014.06.24 - 09:50 および 【 引用記事 2 】分子標的治療薬の副作用(1)従来の抗がん剤にはない、分子標的治療薬に特有の皮膚症状とは?/がんナビ/2010.06.22 は、"抗がん剤治療(化学療法)" の新しい改良アプローチとも言われ、"延命効果" を持ちながら "副作用が少ない" と期待された "分子標的治療薬" を使った治療の、その現状 ―― "皮膚障害" が高率に出る "副作用" ! ―― について報じている

【 引用記事 1 】
 <がん細胞を狙い撃ちして退治する分子標的治療薬化学療法の大きなウエートを占めるようになってきた。ところが、顔面にニキビのような皮疹が出たり、手足にやけどのような水泡ができ、痛みが走ったりするなどの皮膚障害副作用高率に出る。投与前からの計画的な治療や予防の対策が迫られている。(坂口至徳)/  分子標的薬は、がん細胞が増殖したり、他の組織に入り込み転移したりする際に働く特有の分子を攻撃する。このため、正常細胞への影響は少なく、髪が抜けるなどこれまでの抗がん剤副作用は少ないとされていた。しかし、がん細胞の表面に多く発現する特有の分子は正常な皮膚の細胞も少量持っているため、分子標的薬が作用し、症状を起こすとされる/  がん細胞同士の増殖の情報連絡を遮断するタイプの薬(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)では、ニキビのような「●瘡(ざそう)」(●=やまいだれに挫のつくり)という皮疹が皮膚一面に出る症状をはじめ、極端に皮膚が乾燥状態になり、指先やかかとの角質層がはがれ落ちるなどしてかゆみや痛みに悩まされる「乾燥性皮膚炎」、爪の周囲が赤く腫れ、重症化すると亀裂や痛み、出血で、歩行困難など生活に支障をきたす「爪囲(そうい)炎」がある/  がん細胞の増殖や進行に関わる複数の酵素を阻害するタイプの薬(マルチキナーゼ阻害薬)では、「手足症候群」という症状が出る。手足に赤みや痛みが出て重症化すると、やけどのような水泡と激しい痛みに見舞われる/  早くから皮膚科を含めたチーム医療を展開している静岡県立静岡がんセンター(静岡県長泉町)の清原祥夫(よしお)皮膚科部長は「分子標的薬延命効果がある患者ほど皮膚障害が出やすいというデータがある。その点を見極め、救命を優先しながらも、容貌の変化や行動の制約などにつながる皮膚障害を改善し、患者の精神状態を含めた生活の質を高める必要がある」と強調する/  同センターにがん治療で入院した60代の女性は、分子標的薬による「乾燥性皮膚炎」になった。「しっとりした玉の肌だったのに、抗がん剤をやめたい」と落胆。しかし、清原部長らが塗り薬やスキンケアで保湿効果を高める治療を行い、元の肌質を取り戻した。その結果、分子標的薬の服用を中止することなく治療が続けられ、効果が出ている

【 引用記事 2 】
 <がんの化学療法(薬による治療)を受けるとき、心配なのは副作用だろう。ここ数年、「分子標的治療薬」という新しい種類の抗がん剤が広く使われ始めたことで、今までなかったタイプの副作用が現れるケースが増えている。特に多いのが、皮膚に現れる症状だ。セルフケアで症状を和らげることも可能なので、早い段階から対策に取り組みたい/  分子標的治療薬」と呼ばれる抗がん剤は、1980年代から研究が始まり、2000年前後から実際の治療で使われるようになった/  「分子標的」という名前の通り、このタイプの薬は、がん細胞を狙い撃ちにするように設計されている。従来の抗がん剤は、体の中にあるがん細胞と正常細胞を区別できないため、正常な細胞にもダメージを与えてしまう。これに対して分子標的治療薬は、がん細胞だけに存在する分子(または非常に多い分子)をターゲットにしてダメージを与える。こんな仕組みから、がん細胞の増殖だけを抑えて、副作用が少なくなると期待されていた/  その代表例が、上皮成長因子受容体(EGFR)という分子を標的とした薬EGFRは、細胞の表面にあるたんぱく分子で、細胞が増殖するときに重要な働きをする。正常な細胞にもあるが、がん細胞では圧倒的に過剰になっているケースが多いという/  EGFRを狙った抗がん剤が実際に使われてみると、がんに対する効果は期待通りだったが、副作用として、従来とは違うタイプの症状が現れることがわかった。皮膚に、ニキビのような皮疹や乾燥、炎症などが高率で現れるのだ。かゆみを伴うことも多いという> とある。

 救命を優先しながらも、容貌の変化や行動の制約などにつながる皮膚障害を改善し、患者の精神状態を含めた生活の質を高める必要がある> とされるのだが、顕在化する "皮膚障害" 以外に、"潜伏しつつ" 体内の他の正常細胞に悪影響を与えるという副作用リスク(?) は心配無用なのであろうか......。また、"コスト面では高額!" だとも聞くが......

 "がん治療" では、先ずは、最悪のケースから脱して "命を取り留めること" が主目的とされるのは当然のことだ。
 ところが、手術、放射線治療、抗がん剤治療の結果でもたらされてしまった、いわゆる "がん後遺症" の問題が次第に注目されるようになっているようである


 これを、"がん治療" の "守備範囲(?)" が、医療技術の進展とともに "プラスα" の意味合いで広がっているのだと考えられなくもない

 だが、むしろ、"がん後遺症" の問題は、現状の "がん治療" のあり方への "再吟味" や "フィードバック" を迫っているのではないか? と受け留められなくもない......。

 "抗がん剤治療" に対する数々の疑問(副作用)の問題が脳裏をかすめたりするわけだが、"リンパ浮腫" といった "がん後遺症" の問題が照らし出しているのは、がん克服過程での "プラスα" 的意味合いでの課題と言うよりも、"がん治療" のあり方それ自体への "反芻" を求めているように思えてならない

 もし、"リンパ浮腫" が、多くの場合が "一過性" の症状であったとするならばまだしも、現状では "ある程度改善はできても、完全に元には戻らない" と診断されているようであるため、しばしば "がん治療" の際に引き合いに出される "QOL(quality of life、生活の質)" の観点に著しく抵触すると見なされるのではなかろうか

 ◆ 参照 当誌過去の "リンパ浮腫" 関連記事
  <リンパ浮腫とは  リンパ浮腫とは、がん治療によってリンパ節やリンパ管が傷つき、リンパの流れが滞るとことで起こるむくみのことです。がん治療以外でも発症する可能性がありますが、乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどの手術や抗がん剤治療、放射線治療後に発症する副作用の一つになります。症状については個人差があり、手術や抗がん剤治療、放射線治療の直後に現れる場合や、数年~10数年後に現れる場合もあります。リンパ浮腫は日常生活に影響を与え、腕がむくむと、ペンで文字を書いたり、料理で包丁を使うといったことが難しくなります。また、脚がむくむと、歩いたりすることが難しくなることもあります> ( "リンパ浮腫"!"がん治療"(手術/抗がん剤/放射線)の"副作用"として発症する"むくみ"!/当誌 2014.06.20



 今回注目する下記引用サイト記事がん後遺症の対処法シンポジウム/NHK NEWS WEB/2014.06.22 - 17:48 は、"リンパ浮腫" といった "がん後遺症" の問題 が、人々の視野の中にしっかりと据えられつつある最初のケースではないかと思われる

 <がんの治療を受けたあと手や足などがむくむ後遺症に苦しむ人が多いことから、対処法について知ってもらおうというシンポジウムが東京で開かれました/  このシンポジウムは、手や足などがむくむ「リンパ浮腫」といわれるがん治療の後遺症や、その対処法について知ってもらおうと、日本リンパ学会が東京・港区で開いたもので、患者や医療関係者などおよそ100人が参加/  がん研有明病院の宇津木久仁子医師が、リンパ浮腫乳がんや前立腺がんなどの手術で転移を防ぐためにリンパ節を取った患者が発症する傾向があると説明 「体の小さな変化を見逃さず、早めに専門の医療機関に相談してほしい」と呼びかけ/  日本人の2人に1人がかかるとされているがんは、治療で命を取り留めてもリンパ浮腫などの後遺症に苦しむ人が多いのが現状/  しかし後遺症については、医療関係者の間でも比較的関心が低く、患者に正しい知識が伝わっていない/  シンポジウムに参加した50代の女性は「7年前に乳がんの手術を受け、リンパ浮腫に悩んでいます。......」と> とある。

 "リンパ浮腫" が "一過性" の症状 ではないことは、はからずも <シンポジウムに参加した50代の女性は「7年前に乳がんの手術を受け、リンパ浮腫に悩んでいます。......」> との記述からも了解できる

 "がん" の脅威が知れ渡る昨今、"がん予防" の方法、そのための食品(サプリメント)をめぐる情報が飛び交っている。

 それらに振り回されずに取捨選択するために必要なのは、"基本情報" を踏まえてこそ成り立つ "がん情報リテラシー" であるのかもしれない


 今回注目する下記引用サイト記事(がん新時代:64)この生活習慣、効果かリスクか/朝日新聞/2014.06.21 - 05:00 は、科学的な "基本情報" として、"生活習慣" に関わるリスク"感染症" に伴うリスクとに焦点を合わせつつ、"がん情報リテラシー" 向上に寄与している。

 概ね想定内の情報かとは思われるが、健康とおカネとをムダにしないために参考としたいものだ


 <がんを防ぐ方法や食品などの情報が、ちまたにあふれている。多くは科学的根拠がなかったり、あいまいだったりする/  日本での複数の疫学研究をもとに、国立がん研究センターの研究班は、喫煙、飲酒といった生活習慣や、感染症について、日本人のがんのリスクを上げるのか下げるのかを評価/  がん全体のうち、生活習慣や感染症が原因のがん男性で約5割、女性で約3割ある/  喫煙は、多くの種類のがんで発病リスクを引き上げている。喫煙が原因のがんは、がん全体のうち、男性では約3割、女性では5%/  次に、原因となる割合が高いのが感染症だ。男女とも2割前後ある。肝がんは肝炎ウイルス、胃がんはピロリ菌、子宮頸(けい)がんはヒトパピローマウイルスに感染することで、「確実」にリスクが上がる  喫煙と感染をなくすことができれば、日本人のがんは3割程度減る計算になる

 <「 飲酒 」 飲酒が原因のがんは、男性では約1割一方、ほどほどの量ならば、がん以外も含めた死亡率全体を下げるという研究結果もある/  「 塩分 」 塩分が胃がんのリスクを高めることは「ほぼ確実」/  「 野菜・果物 」 野菜や果物は、不足すると食道がんのリスクを「ほぼ確実」に上げる/  「 肥満・痩せすぎ 」 肥満ややせ過ぎも影響する/  「 運動 」 リスクを下げそうなのは運動だ。大腸がんには「ほぼ確実」、乳がんには「可能性あり」と判定 毎日1時間程度の歩行と週1回30分程度のランニングなどが勧められている/  「 コーヒー 」 コーヒーも肝がんのリスクを下げるという研究結果がある/  イソフラボン「効果見られず」ほとんど科学的根拠なし> とある。

 "免疫抗体の6割が腸管でつくられる(腸内細菌/腸管免疫系)" と言われているとおり、ヒトの "腸" における "腸内細菌" のあり様は "免疫機能" にとって重要だと見なされている。
 そうした観点から、当誌でも、その "免疫機能" を担う "腸内細菌" については注目し続けている


 ◆ 参照 当誌過去の "腸内細菌" 関連記事

 (1) <キリンホールディングスは自社保有の乳酸菌「プラズマ乳酸菌」に、アンチエイジング(抗加齢)の効果があることを解明した。マウスの実験で免疫機能が活性化し寿命延長につながることが判明、......> ( 免疫力活性の乳酸菌に、アンチエイジング(抗加齢)の効果があることを解明(キリンHD)!/当誌 2014.06.10

 (2) <ヨーグルトや乳酸菌飲料の保健効果が注目/ 免疫力」をキーワード/ 免疫力に特化した商品開発にますます拍車が/ ヒトの腸管は栄養成分を消化・吸収する役割のほか、食べ物とともに侵入する病原菌などから身体を守る免疫機能/ 抗体の6割を腸管でつくる人体最大の免疫器官といわれ......これらの腸内細菌腸管免疫系に関与/ 腸内細菌の種類や数、性質などの「様態」は食生活や加齢、ストレスで変わる。個人差も大きい/ この「様態」が乱れると、腸管免疫系に影響を与え、多くの疾病を誘発......花粉アレルギーや炎症性大腸炎、がん、肥満、自閉症など......> ( 免疫力!腸内細菌とヨーグルト!ヒトの腸管は抗体の6割をつくる人体最大の免疫器官!/当誌 2014.02.19

 ところで、こうしてヒトの健康に大きな影響を及ぼしている "腸内細菌" については、従来指摘されてきた "免疫機能" への貢献という主要な側面以外にも、まだほかに目を向けるべき側面がありそうなのである

 今回注目する下記引用サイト記事ヤクルトなど、日本人2型糖尿病患者の腸内フローラのバランスの乱れを確認/マイナビニュース/2014.06.12 は、"腸内細菌" の存在が、昨日も記載した "糖尿病" とも、どうやら "関係がありそう ?!" だという主旨の研究成果を報じているのである

 <ヤクルトは6月11日、日本人2型糖尿病患者では腸内フローラのバランスが乱れていること、ならびに腸内細菌が血流中へ移行しやすいことを明らかにしたと発表/  ヒトの腸管内には100兆個を超すさまざまな微生物種が複雑な生態系(腸内フローラ)を形成しており、その状況などがヒトの健康に影響を与えることが近年の研究から分かってきた。また、約1000万人と推定されている日本における糖尿病患者の約95%を占めると言われる2型糖尿病でも腸内細菌の関与が指摘されているが、その関係性はよく分かっていなかった/  そこで研究グループは今回、日本人の2型糖尿病患者50名と2型糖尿病に罹患していない被験者50名の腸内フローラの比較を実施したほか、腸内細菌の血流中への移行についての解析を、ヤクルトが開発した「腸内フローラ自動解析システム(Yakult Intestinal Flora-Scan:YIF-SCAN)」を用いて実施/  その結果、......日本人2型糖尿病患者では腸内フローラが乱れていること、ならびに腸内細菌が腸内から血流中へ移行しやすいことが示されたこととなった/  なお、研究グループでは、今回の成果を受けた今後の研究で、腸内フローラの乱れや腸内から血流中に移行した腸内細菌が2型糖尿病に伴う炎症に関与することが示されれば、腸内環境の改善により2型糖尿病に伴う炎症を抑制することが可能になることが期待できるようになるとコメントしている> とある。

 記事の中でも <約1000万人と推定されている日本における糖尿病患者の約95%を占めると言われる2型糖尿病でも腸内細菌の関与が指摘されているが、その関係性はよく分かっていなかった> と言及されているのであるが、今回の研究成果は、この "未解明な関係" への大きなヒントとなる可能性が秘められているかに思われる......。

 "インスリン" 分泌が不足、不十分なために、"血糖値" を下げることができない "糖尿病" の治療は、薬の服用や注射によって、この不足する "インスリン" を補うことが目指されている。

 しかし、重篤な症状の "糖尿病" の場合は、"インスリン" 分泌を担っている "膵臓/膵島細胞" 自体を患者の体内に "移植" するという治療法が検討されることになる


 ◆ 参照 当誌過去の "膵臓/膵島細胞の移植" 関連記事

 (1) <あらゆる細胞に分化できるマウスの胚性幹細胞(ES細胞)から、血糖値に応じてインスリンを分泌する膵臓(すいぞう)の細胞(膵ベータ細胞)を効率よく作製することに成功したと、熊本大の研究チームが発表......> ( 糖尿病治療に朗報!マウスの胚性幹細胞(ES細胞)から"膵臓細胞"を効率よく作製に成功!/当誌 2013.12.17

 (2) <京都大病院は18日、同病院で記者会見し、脳死者から提供された膵臓から、血糖値を調整するインスリンを分泌する組織「膵島」を取り出し、糖尿病患者の50代の男性に移植する手術を13日に実施し、成功したと発表......> ( 全国初の"脳死膵島移植"手術成功!膵臓移植がムリでも"膵島"移植ならばできる場合も!/当誌 2013.10.19

 (3) <膵臓の中の膵島細胞肝臓に移植する糖尿病治療で、福岡大(福岡市)と理化学研究所(埼玉県和光市)は、拒絶反応を抑える新たな方法の開発に成功した。移植を受ける患者(レシピエント)の免疫を抑える従来の方法とは異なり、移植する細胞に着目......> ( "膵島細胞を肝臓に移植の糖尿病治療"法で、拒絶反応/副作用なし!の新方法開発成功!/当誌 2013.06.10

 (4) <血糖値を下げるインスリンを分泌する膵臓の膵島細胞と、増殖能力を持つ幹細胞を融合させた新たな細胞を作り、重症糖尿病のラットに移植して改善させることに京都大の角昭一郎准教授(再生医療)のチームが成功......> ( "新型細胞"使い糖尿病改善!膵臓の"膵島細胞"×増殖力持つ"幹細胞"!再生医療分野!/当誌 2013.05.3

 今回注目する下記引用サイト記事糖尿病新治療法 膵島を皮膚下に移植/中日新聞/2014.06.20 は、"糖尿病新治療法" として、インスリンを分泌する組織細胞「膵島(すいとう)」を、"拒絶反応" を伴わずに "皮膚の下" に移植するという点が "新しい特徴!" である、と報じられている

 <インスリン注射が必要な1型糖尿病などの患者への治療法として、膵臓(すいぞう)でインスリンを分泌する組織細胞「膵島(すいとう)」を皮膚の下に移植する新しい手法を京都大の岩田博夫教授(高分子化学)らのグループが開発、ラットの実験に成功した。拒絶反応も起きないという。19日に岩田教授が発表/  グループは、インスリンを自ら分泌できないラットの背中の皮膚下に血管を誘導するタンパク質入り寒天を移植。血管が寒天内に延びてきたところで寒天を摘出し、その空洞に膵島を移植して膵島に血管をつなげた。  すると直後からラットの血糖値が下がりだし、10日後には正常なラットと同じ血糖値となった。皮膚下の膵島インスリンを分泌したためで、効果は90日以上続いた。拒絶反応もなかった/  糖尿病患者はこれまでインスリン注射を生涯続ける必要があった。膵島移植はこれまで肝臓内にしてきたが、拒絶反応が起きるため免疫抑制剤が必要だった。ラットの実験で拒絶反応が起きない理由について解明を進めている/  1型糖尿病患者は国内で10万~15万人。岩田教授は「iPS細胞で膵島を作製することが実用化レベルになりつつあり、移植に必要な膵島確保のめどがつきそうだ。医療費削減に大きく貢献する」と話している> とある。

 "がん治療"( 手術/抗がん剤/放射線 )に伴う "副作用" は少なくない。患者さん自身にしか分からない "痛み、しびれ、嘔吐感、倦怠感 ......" をはじめとして、しばしば指摘されるように、傍目にも分かってしまう "脱毛" といった症状もある。

 そして、さらにこの後者に類する症状の一つとして、"むくみ" といった辛い症状もあるとされる。
 "むくみ" は、四肢、顔に現れるものであり、これは "がん治療" 後というケースに限られず、一般の人にも時として一過性的に発症することがある。
 ただし、"がん治療" の "副作用" として発症する "むくみ" というものは、下記のような "リンパ浮腫" と呼ばれて、"むくみ状態" も顕著であり、また通常の "むくみ" のように短期間にに消失してしまうとの楽観はしにくいようだ


 ◆ 参照 <リンパ浮腫とは  リンパ浮腫とは、がん治療によってリンパ節やリンパ管が傷つき、リンパの流れが滞るとことで起こるむくみのことです。がん治療以外でも発症する可能性がありますが、乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどの手術や抗がん剤治療、放射線治療後に発症する副作用の一つになります。症状については個人差があり、手術や抗がん剤治療、放射線治療の直後に現れる場合や、数年~10数年後に現れる場合もあります。リンパ浮腫は日常生活に影響を与え、腕がむくむと、ペンで文字を書いたり、料理で包丁を使うといったことが難しくなります。また、脚がむくむと、歩いたりすることが難しくなることもあります>( がん治療.com

 その他参照 がん手術後のリンパ浮腫/SURVIVOR SHIP サバイバーシップ

 今回注目する下記引用サイト記事闘病中の大塚範一さんが「徹子の部屋」登場 元気そうだが、顔がむくみ「別人になってる!」/Jcast ニュース/2014.06.18 - 13:16 は、TV 番組でのキャスター(大塚範一さん)の場合であるだけに、関心を寄せた方も多いのではなかろうか

 <急性リンパ性白血病で2011年11月に休養、12年4月には「めざましテレビ」(フジテレビ系)メーンキャスターを降板した大塚範一さん(65)が、14年6月18日放送の「徹子の部屋」(テレビ朝日系)でお茶の間に姿を見せた/  司会の黒柳徹子さんと軽妙なやり取りを見せ、順調に元気になっていることをアピールしたが、視聴者からは心配の声も上がった。抗がん剤の副作用のため、休養前とは見た目が大きく変わってしまったからだ/  抗がん剤治療の副作用で顔がかなりむくんでいたのにびっくりした人が多かったようで、ツイッターでは「別人になってて驚いた...」「見てられないなこれは、、、」「お辛そう。目も赤いし...」などと投稿されている/  なお、大塚さんの現在の夢は「とにかく健康を取り戻すこと」だという。2020年の東京五輪の際は是非キャスターとして仕事をしたいとの抱負も語っていた。> とある。

 ことさら着目することになったのは、現在、"がん闘病中" である知人が、かなり重篤かと思われる同様の症状で苦しんでいるのを目の当たりにしていたからなのである

 "がん本体" の方の鎮静化に関する不安に苛まれる上に、まるで "居座る" かのように "副作用/リンパ浮腫" が残り続ける状態は身につまされてならない......。

 "がん治療" に "漢方薬" が取り入れられる動きが広まっているという。
 と言っても、がん自体に対する効能というよりも、"つらい症状" や "副作用(抗がん剤/放射線)" に対する "緩和" が目的とされているようである


 ◆ 参照 当誌過去の "がん治療と漢方薬" 関連記事

  <従来のがん治療に漢方薬を取り入れることで副作用の軽減など一定の効果が期待できるなどとして、横浜市にある「神奈川県立がんセンター」がことし4月から漢方薬を活用する治療の相談窓口を設けることになりました......> ( がんセンターに漢方相談窓口! 抗がん剤治療での副作用軽減+免疫機能を高める効果!/当誌 2014.01.06

  今回注目する下記引用サイト記事広がる「がん漢方」 症状や副作用を緩和/東京新聞/2014.06.17 もまた、"同様の目的" での対応が広がっていることを報じている

 <がん漢方」という言葉をよく聞くようになった。全身にゆっくり作用する漢方薬を西洋医学の治療と併用することで、がんのつらい症状や抗がん剤などの副作用を緩和し、患者の生活の質(QOL)を高めようという取り組みだ。臨床の現場だけでなく、エビデンス(科学的根拠)を確かめる研究も少しずつ増えてきた。 (編集委員・安藤明夫)/  愛知県がんセンター(名古屋市千種区)の循環器科部の外来。...... 部長の波多野潔さん(59)....../  波多野さんは十年ほど前から、漢方薬の効果に注目し、がんのつらい症状や副作用の軽減、転移の防止などに取り入れている/  がんによる食欲不振にしばしば処方するほか、精神的な落ち込みにも使う。精神科の薬より、患者の抵抗感が少ないという利点もある/  抗がん剤のイリノテカンによる特有の下痢、口内炎には、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などがよく効くことが確かめられている。 放射線で唾液腺がダメージを受け、口内が乾燥する場合白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)が有効だ/  大腸がんは肝臓、肺などに転移しやすいが、その予防に「三大補剤」と呼ばれる十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、補中益気湯(ほちゅうえききとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)を、よく使う

 <がん診療に漢方薬を使う医師、病院は全国的にも増えている......国立がん研究センター研究所チームは、国内のがん治療病院などの緩和ケアに携わる医師に2010年、アンケートを実施......「がん治療に漢方薬を使っている」という人が64%に達した/  使用する症状は、しびれ・感覚が鈍くなる、便秘、食欲不振・体重減少の順で、いずれも抗がん剤の代表的な副作用だ。使用されている漢方薬は、大建中湯(だいけんちゅうとう)(モルヒネ投与による便秘など)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)(しびれ)、六君子湯(りっくんしとう)(食欲不振-の順で多かった/  緩和ケアとは末期がんの治療に限らず、患者の状態を改善させ、生活の質を向上させる取り組みのこと......全身に作用する漢方薬は、がん治療の副作用や、痛み、衰弱を抑えることが期待できる......その効果を科学的に実証/  例えば膵臓(すいぞう)がんの抗がん剤・ゲムシタビンを使用すると、食欲不振や体重減少という副作用が出る。これに対する六君子湯の効果を検証する臨床研究など、「漢方薬がなぜ効くのか、本当に効くのか?」を具体的に解明する研究だ> とある。

 がん患者にとって、"つらい症状" や "副作用(抗がん剤/放射線)" が、少しでも "緩和" されることは "喜ばしいこと" であるに違いない。
 ただ、特に "抗がん剤による副作用!" とその結果による "つらい症状" がことのほか強調され始めた現状にあっては、 "この側面の問題" が、同じ比重で対策される必要がありそうに思える......。

 交通事故などによる "脊髄損傷" は、その後、"寝たきり" 生活を余儀なくされるようなリスクを伴う、と言われる

 < "中枢神経系" である "脊髄" は、脳と手足などの "末梢神経系" とを繋ぎ、脳からの運動命令を伝えたり、手足の感覚情報を返したりしている。
 ところが、もしこの "脊髄" が損傷する("脊髄損傷")ならば、"末梢神経系" の場合とは異なって、"修復と再生は不能!(決定的な治療法なし)" だと見なされている。 損傷部位以下の手足などから "運動機能" が失われ、"感覚知覚機能" も失われる(麻痺)ことになる。
 それゆえに、"脊髄損傷" は甚大な障害につながりかねないと警戒されている
。......> ( 脊髄損傷のラット:酵素(たんぱく質)投与で神経細胞を再生、動き回れる回復 (京大)!/当誌 2014.05.17

 ◆ 参照 当誌過去の "脊髄損傷" 関連記事

  <体内では再生しないとされる神経細胞酵素(たんぱく質)の投与で再生させることにラットの実験で成功したと、武井義則・京都大特定助教らの研究グループが15日、科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。脊髄損傷などの新たな治療法になる可能性があるとしている......> ( 脊髄損傷のラット:酵素(たんぱく質)投与で神経細胞を再生、動き回れる回復 (京大)!/当誌 2014.05.17

 今回注目する下記引用サイト記事脊髄損傷の新治療法 臨床試験開始へ/NHK NEWS WEB/2014.06.17 - 03:20 は、上記参照記事での "ラット実験成果" との関係は定かではないが、このアプローチにおける "臨床試験" ではないかと推測される

 <交通事故などで脊髄が傷ついた患者に、神経を修復する働きのある物質を投与し、その回復を図る初めての臨床試験を慶応大学などのグループが始めると発表/  対象となるのは、交通事故などで首の脊髄が傷ついて78時間以内の患者で、神経の再生を促す働きのある「HGF」と呼ばれる、たんぱく質を5回投与し、半年後に手足の働きの改善の程度を調べます/  国内では毎年およそ5000人が事故などで新たに脊髄損傷になっているとされますが、有効な治療法は確立されていません/  これまでの猿を使った実験では、HGFを投与して8週間後に手で物をつかめるようになるなど運動機能の回復が見られたということで、研究グループでは今後2年ほどの間に48人の患者に行いたいとしています/  慶応大学の中村准教授は「動物の実験では、かなりの手足のまひがあっても治療を行うと動き回れるまでになる。同じような効果があれば、寝たきりに近いような人自分の足で立ったり、動かなかった手が動くようになる可能性もある」と話しています> とある。

 "食事制限"( 短期間の "断食" を含む )が、種々の観点から "健康回復" にとって有意味であることは、しばしば注目され、指摘されている

 ◆ 参照 当誌過去の "食事制限" 関連記事

 (1) <40代〜60代の被験者4人での実証実験では30パーセント減らした食事を3〜7週間続けただけで、長寿を担っているサーチュイン遺伝子が目覚めて働き始めた/ サーチュイン遺伝子は殆ど休眠中で、その結果、老化が進行/ 飢餓状態になると目覚め、細胞中のミトコンドリアを活性化/ 活性酸素の害を防ぎ、免疫力低下、動脈硬化、高血糖、惚け、骨粗鬆症、脱毛白髪等の老化症状を防ぎ改善して、美肌と持久力と抗がん作用を高める/ 更に注目すべきは遺伝子損傷の修復能力で、今、福島で問題になっている放射線被曝への抵抗力も期待できる......> ( "長寿遺伝子サーチュイン"と"中年太り"との関係が解明!"肥満/メタボ"では長寿不可!?/当誌 2013.12.28

 (2) <早稲田大学人間科学学術院の千葉卓哉准教授(早稲田大学人間科学学術院・早稲田大学応用脳科学研究所)、長崎大学医学部の下川功教授らのグループは、食事制限による寿命延長、抗老化作用に関して、神経細胞で発現している神経ペプチドの一つである、ニューロペプチドY(NPY)が重要な役割を持つことを明らかにしました。約80年ほど前から、ネズミに与える餌を自由に食べる量の30%程度減らす食事制限を行うと、寿命が延長することが知られていました/ 今回の研究では、NPYを持たない遺伝子改変マウスに対して食事制限を行っても、活性酸素によって誘導される酸化ストレスに対する抵抗性が高まらず、結果として寿命延長が見られないことが明らかとなりました/ NPYは摂食行動を促すホルモンの一種/ 食事制限の寿命延長、抗老化作用には、NPYが必須の因子であることが示唆されました> ( "食事制限による寿命延長/抗老化作用"を進める必須の因子"NPY"(神経ペプチド)を解明!/当誌 2014.04.07

 もちろん、自己流でムリをすることは論外で、"適切な状態管理" が大前提となるはずだ。(特に、糖尿病患者における "低血糖" などは要警戒とされている)

 今回注目する下記引用サイト記事断食の効用:免疫系を再生させる科学的確証/WIRED/2014.06.16 - MON では、"短期間の断食" が "免疫系を再生させる" という "科学的確証" を得たという研究成果を報じている。 科学的実験における "免疫系" に対する "良好な作用" という点が注目される

 <南カリフォルニア大学長寿研究所のヴァルテル・ロンゴの行った 研究 が、科学的確証をもたらしている。3日間の断食は、免疫系全体を再生させる。これは、高齢者においても/  研究によれば、短期間食事をしないことで細胞は刺激を受け、新しい白血球を生み出すことになる  白血球は、感染に打ち勝ち、病気を遠ざけることで、免疫系を回復させる/  断食の間に、体は、損傷し老化して不要となった細胞から解放されます  エネルギーを節約しようとするからでしょう。高齢者や、化学療法を受けている人の体のことを考えるなら、私たちはこの効果の重要性をよく理解することができます。断食は、文字どおり新しい免疫系を作り出すのです/  分析からは、断食が、老化や腫瘍の成長のリスクと関係する酵素、PKA(プロテインキナーゼA)を減少させることに貢献したことがわかった/  化学療法を受けている患者においては、食事を控えることで、副作用が最小限になることが観察された。「わたしたちは、断食が幹細胞を活性化させられることを発見しました。幹細胞は、免疫細胞を再生し、化学療法によって起きる免疫抑制の防止が可能になるようです。さらにマウスにおいては、免疫系を若返らせられるようになります」/  もし確証が得られれば、この発見は、研究者たちが実験を行い始めた腫瘍患者たちにとって、この上なく有利なものになるだろう。断食は、......化学療法の効果を最大20倍強化することができるだろう/  断食は、完全に健康な体にとっても、体調を改善するのに役立つ  数日間食事を控えることが人体に害を与えるという証拠は何もありません。その一方で、特筆すべき恩恵をもたらすという強力な確証が存在します> とある。

 やや気になる点があるとすれば、"腫瘍(がん?)患者たち"、"化学療法(抗がん剤?)の効果" への言及である。また、"幹細胞" については、それは、"正常細胞" に限らず "がん細胞" にも備わっているわけだが、その点はどう理解されているのだろうか......。

 "認知症" には "大きな二つの壁"、<大きな二つの壁/ 60歳代から70歳代で現れる「血管性認知症」という壁/ その後の80歳前後で現れる「アルツハイマー型認知症」という壁> ( "認知症"にならないための"正攻法"!"血管性認知症"と"アルツハイマー型認知症"が壁!/当誌 2014.04.20 ) がある、とされている点については繰り返し目を向けてきた

 どうも、これら両者の壁に、"喫煙" は、悪影響を及ぼしているようである

 今回注目する下記引用サイト記事喫煙者の認知症リスク2倍...脳神経細胞に影響か/yomiDr. ヨミドクター/2014.06.14 では、"喫煙と認知症発症との関係" について、かなり大規模な "追跡調査" に基づき、<喫煙者非喫煙者に比べ、認知症の発症リスクが2倍> という "調査結果" を報じている

 <たばこを吸う人は認知症>になる危険度が2倍に高まるとの調査結果を九州大の清原裕教授(環境医学)らの研究グループがまとめた/  14日の日本老年医学会で発表/  かつて喫煙認知症を減らすとの報告があり、近年、それを否定する報告も海外で相次いでいた/  日本人対象の研究でも、たばこ認知症のリスクとなることが示された

 <今回の調査は、1988年時点で認知症でなかった福岡県久山町の高齢者712人の集団(平均年齢72歳)を15年間追跡した。また、この集団の15年前(72~73年、平均年齢57歳の中年期)の健診記録を照合。中年期、高齢期の喫煙状況と認知症発症の関係を調べた/  追跡期間中に認知症を発症したのは202人。中年期、高齢期の各時期で「喫煙」「過去に喫煙歴あり」「非喫煙」に分けて分析すると、喫煙者非喫煙者に比べ、認知症の発症リスクが2倍になった。過去に喫煙歴がある人と非喫煙者では明確な差はなかった/  中年期、高齢期の両時期とも喫煙している人は、全く喫煙歴のない人に比べ、危険度が2・8倍に上った/  喫煙脳神経細胞の障害をもたらしたり、動脈硬化を促進したりするのが認知症の誘因になっているとみられる> とある。

 "iPS細胞" は "再生医療での治療" に奏功するとともに、病気の "病態解明" という、医療研究分野でも役立てられている、という。
 その一例となるのが、"光を受け取る視細胞" が損なわれる "網膜色素変性症" のメカニズム解明だ。


 ◆ 参照 当誌過去の "網膜色素変性症" 関連記事

  <"視力を失う(失明)" という疾病の場合、"視神経(神経節細胞)" は正常で、"光を受け取る視細胞" が損なわれているケース(網膜色素変性症や加齢黄斑変性症での失明)があるのだという......> ( 藻の遺伝子注入での視覚回復研究/"幅広い色をも感知"できる視覚回復に成功(岩手大)!/当誌 2014.05.15

 今回注目する下記引用サイト記事iPS細胞で目の難病の病態解明/NHK NEWS WEB/2014.06.14 - 11:42 は、"網膜色素変性症" の病態解明 に活用され、この病気の "予防的な治療" につながると期待される研究成果である

 <失明につながることもある目の難病「網膜色素変性症」の患者から作り出したiPS細胞を使って、病気の原因となる遺伝子の1つを突き止めることに慶応大学の研究グループが成功/  新たな治療薬の開発につながると期待/  網膜色素変性症目の網膜の細胞が死んで視力が低下する難病で、失明することもありますが、根本的な治療法は見つかっていません/  研究グループは、網膜色素変性症の患者からiPS細胞を作り出し、目の網膜の細胞に変化させて、試験管の中で病気の状態を再現することに成功しました。 そしてこの細胞を詳しく調べたところ、ロドプシンという遺伝子に特定の変化があると細胞が死んで症状が進行することが分かったということです。 また抗がん剤の一種が、ロドプシンの働きを抑え症状の悪化を食い止めることも分かったということで、研究グループは新たな治療薬になる可能性もあるとしています/  岡野教授は「iPS細胞を使うことで遺伝子の変異と症状の因果関係を証明することができた。遺伝子の変異がある人は症状が進む前に薬の投与を受けるといった予防的な治療も可能になるのではないか」と話しています> とある。

 "認知症への薬物療法の『適応外使用』" に関して先日記載した記事で、<死亡率が2倍高まる> とされる以下の点が気になっていた

 ◆ 参照 当誌過去の "抗精神病薬" 関連記事

  <「認知症に伴う激しい症状への治療は、薬物療法が主となります。『鎮静をかけて症状を抑える』という方法を取らざるを得ず、活気を損ねず症状のみを消退させるのは、現状では困難です」/  「抗精神病薬」「気分安定薬」という、統合失調症や気分障害に向けた薬を使って認知症の症状を治療するため、本来の治療対象とは異なる「適応外使用」......「認知症にそれらの薬を『適応外使用』すると、心疾患、脳血管障害、感染症などによって、死亡率が2倍高まると知られています。でも、使わざるを得ないのです」> ( "認知症"の凄まじい現状!八方手を尽くした先、やむにやまれず精神科病院にたどり着く/当誌 2014.06.04

 今回注目する下記引用サイト記事認知症高齢者の抗精神病薬 服用開始3~6か月、死亡リスク2倍/yomiDr. ヨミドクター/2014.06.13 は、まさにこの点への危惧が裏書きされるものと理解できる

 <認知症高齢者に、統合失調症などに用いる抗精神病薬を使う場合、飲み始めから3~6か月の間は、死亡リスクが飲まない人の2倍に高まる、との調査結果を日本老年精神医学会がまとめた/  抗精神病薬については、米食品医薬品局(FDA)が2005年認知症患者に使うと死亡リスクが1・6倍高まると警告した。しかし医療現場では、激しい興奮や暴力などの症状を抑えるために用いられることが珍しくない/  このため、同学会は12~13年、全国の約360医療機関で診療を受ける認知症高齢者(平均82歳)で、抗精神病薬を使う約5000人と使わない約5000人を登録。半年間追跡し、死亡率などを調査した。その結果、使う群と使わない群全体の比較では、死亡リスクに差はなかった。しかし、抗精神病薬を飲み始めたばかりの約450人を抽出すると、開始11~24週(3~6か月)の間の死亡率は3・7%で飲まない人の1・9%より高く、死亡リスクは2倍に上った。開始10週(約2か月)までは差がなかった> とある。

 <激しい興奮や暴力などの症状を抑えるため> という "医療現場" のシビァな実態からすれば、"抗精神病薬" の "『適応外使用』" は避けられないともされているようなのだが......。

 "心筋梗塞" などによって、心臓がダメージを受けると、大量の心筋細胞が破壊されることになるが、ヒトを含む哺乳類は失われた心筋細胞を元に戻す自己再生能力を持っていない
 そこで、"胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)の技術" を活用して、"体外で作製した「心筋細胞」を体内に移入する" ことによる「再生医療」に期待が託されている

 なお、こうした "iPS細胞" 活用のアプローチとは異なった、患者本来の心臓内細胞に "遺伝子" を投入して「心筋細胞」へと変化させる新しいアプローチがすでに成功している

 ◆ 参照当誌過去の "心筋細胞作製" 関連記事

  <心臓の心筋以外の細胞五つの遺伝子を入れて、拍動する心筋細胞に変えることに、慶応大の家田真樹特任講師らが人で成功した。作製効率や安全性を高めて、心筋梗塞(こうそく)などでダメージを受けた心筋を補う治療法の開発につなげたいという/ 急性の心筋梗塞を起こしたマウスの心臓の中で、心筋以外の細胞を心筋細胞に変えることに成功/ 将来的に人でも、心筋梗塞などの患者の心臓に遺伝子をカテーテルで送りこみ、治療に使える可能性がある/ (大きなメリットとして)iPS(人工多能性幹)細胞を使わずに直接、心筋細胞ができれば、細胞移植の必要がなく、がん化のリスクも低い> ( iPS細胞を使わずに"心筋細胞"を作製!慶大成功!"心筋梗塞"治療に遺伝子治療から光!/当誌 2013.07.17

 今回注目する下記引用サイト記事iPS経ず心筋細胞変化の効率が8倍に...慶応大研究チーム/yomiDr. ヨミドクター/2014.06.12 は、上記参照記事での研究の延長線に位置した "続編" としての成果だと理解される

 <皮膚や心臓に含まれる細胞を、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を経ずに効率良く心筋細胞に変化させることに成功したと、慶応大の家田真樹特任講師(循環器内科)らの研究チームが、欧州科学誌「EMBOジャーナル」電子版に11日、発表した。心筋梗塞で傷ついた心臓を再生させる医療の実現に一歩近づく成果/  家田特任講師らは2010年、マウスの心臓に含まれる「線維芽細胞」に3種類の遺伝子を導入し、直接、心筋細胞に変化させることに成功/  今回、この3遺伝子に特殊なRNA(リボ核酸)を加えると、心筋細胞に変化する効率が従来の1・2%から9・5%と約8倍になった人間の細胞では、5種類の遺伝子で線維芽細胞が心筋細胞に変化することが知られている。この5種類に同じRNAを加えると、効率が約12倍に高まった/  iPS細胞からも心筋細胞はできるが、再生医療に用いるには、作った心筋細胞を移植する必要がある> とある。

 再生医療における "心筋細胞" の "作製効率" は何故重視されるのであるのか?
  理由は、"心筋梗塞、拡張型心筋症" などが重症化すると、一挙に "膨大な数(数億個!)" の "心筋細胞が失われる" からであり、治療タイミングの点からも、長期間を要する自然培養を待つ猶予が与えられていないから、と考えられている


 ヒトの "免疫システム" は、細菌やウイルスなどの外敵からヒトの身体を守ると同時に、厄介な事態 ―― 花粉症、ぜんそく、食物アレルギーなどのアレルギー疾患 ―― を引き起こすことはよく知られている

 従来、"アレルギー疾患" に対しては、"対症療法" が一般的であった。症状を表面的に消失あるいは緩和させることを目的とした治療のことだ。
 ところが今、注目されている治療法は、"根治療法" だとされる。読んで字のごとく、症状を "根本(の原因)" から解消する治療( "原因療法" とも言われる)に注目が集まっている。
 その例としては、<シダトレンは「舌下免疫療法」というスギ花粉症の根治を目指す治療に使われる> という事例などがある


 ◆ 参照 当誌過去の "アレルギー疾患" に関する記事
  今「免疫療法」は、スギ花粉症も食物アレルギーも"根治を目指す"戦略へと踏み込む?!/当誌 2014.02.11

  今回注目する下記引用サイト記事アレルギー物質放出の仕組みを解明/Science Portal/2014.06.10 は、種々の "アレルギー" 反応の "基礎的メカニズム" にメスを入れるかたちで、まさに "根治療法" の水準を格段に深める可能性を秘めたものかと思われる

 <アレルギーが急増しており、より有効な治療法が求められている。免疫細胞の一種のマスト細胞アレルギー反応の原因となるヒスタミンなどの化学物質を放出する仕組みの一端を、九州大学生体防御医学研究所の福井宣規(ふくい よしのり)主幹教授らが解明/  ヒスタミンが放出される際に、DOCK5というタンパク質が重要な役割を果たしていることを見つけ、その仕組みも確かめた。アレルギー疾患の治療法開発の新しい手がかりになる成果で、6月9日付の米科学誌Journal of Experimental Medicineオンライン版に発表/  花粉症、ぜんそく、食物アレルギーなどのアレルギー疾患の頻度は年々増加している。生活の質を低下させるだけでなく、まれに生命を脅かす。このアレルギーに関わっているのがマスト細胞で、アレルギー反応が起きるときに、細胞内の分泌顆粒が微小管によって表面へ輸送され、顆粒に含まれるヒスタミンなどが放出される。これを脱顆粒反応と呼ぶ/  研究グループは、マスト細胞に発現しているDOCK5というタンパク質に着目して解析した。DOCK5が発現できないように遺伝子操作したマウスでは、ヒスタミンを放出するアレルギー反応が著しく抑制されることを見いだした。その作用を詳しく調べて、DOCK5マスト細胞内で分泌顆粒を運搬する微小管の動きを活性化して、脱顆粒反応を促していることを突き止めた/  現在、アレルギー疾患の治療薬としてヒスタミンの働きを抑える薬剤が主に使われているが、DOCK5ヒスタミンの放出そのものに関与しているため、アレルギー反応を根元から断つことができる。福井宣規教授は「免疫細胞でDOCK5の機能がわかったのはこれが初めてだ。アレルギー新しい創薬の標的になる」と期待> とある。

 "認知症" には "大きな二つの壁"、<大きな二つの壁/ 60歳代から70歳代で現れる「血管性認知症」という壁/ その後の80歳前後で現れる「アルツハイマー型認知症」という壁> ( "認知症"にならないための"正攻法"!"血管性認知症"と"アルツハイマー型認知症"が壁!/当誌 2014.04.20 ) がある、とされている

 そして、"「血管性認知症」という壁" を作り出すのは、"脳出血" が一つであり、もう一つが "脳梗塞" ( 脳の血管が詰まったり何らかの原因で脳の血流が極端に低下し、脳組織が酸素欠乏や栄養不足に陥り、その状態が継続する結果、その部位の脳組織が壊死(えし)(梗塞)するもの ) であることはよく知られている

 治療法としては、"血栓溶解療法"( "血栓:詰まったもの" を溶かす)が採られているが、"現行の治療法には限界!" が指摘されていた。

 この "限界!" を "改善" し、"血栓溶解療法" を "強化!" することにつながる、と期待されているのが、今回注目する下記引用サイト記事新潟大、脳梗塞治療の血栓溶解療法で起こる合併症の原因タンパク質を特定/マイナビニュース/2014.06.05 が報じる研究成果である


 <新潟大学は6月4日、脳梗塞の治療で有効な「血栓溶解療法」弱点とされる合併症(脳出血、脳浮腫)が、タンパク質「アンギオポイエチン1(Ang1)」が減少することで生じることを解明したと発表/  脳梗塞に対する血栓溶解療法は「組織プラスミノゲン・アクチベーター(tPA)」を用いて、血管に閉塞した血栓を溶かし血液の流れを再開するというものだが、治療可能時間が4.5時間以内と短く、脳梗塞患者の5%未満しか治療の恩恵を受けることができないと言われている。この原因として、脳梗塞の発症後、時間が経過すると、脳の神経細胞だけでなく、血管にも障害が起こり、脳出血や脳浮腫が生じやすくなるためであり、その原因の解明が求められていた/  今回、研究グループでは、ヒトの脳梗塞に病態が類似したラット脳塞栓モデルを用いて、アンギオポイエチン1(Ang1)」の減少がtPA療法後の血管の障害や脳出血、脳浮腫の引き金となっていることを確認したほか、強い活性をもつように合成したAng1をtPAとともに静脈に注射しAng1を補充したところ、血管に取り込まれた結果、治療後の脳出血や脳浮腫が抑制され、治療可能時間が延長できることを確認した/  研究グループでは、今後、tPAによる治療を受けられる患者数の増加が期待できるようになるほか、副作用を起こす患者数の減少による予後の改善、そして後遺症による要介護者の減少による医療費の抑制が期待できるようになるとコメント> とある。

 "腸内細菌" に基づく "免疫力" が、"乳酸菌" によって活性化される点については、当誌でもかねてより注目してきたところだ。

 "自然治癒力" として発揮される "免疫力" に眼を向ける時、ヒトの "免疫力" 全体の "60%" を占める と考えられている "腸管免疫系" を度外視することは不可能であろう


 ◆ 参照 当誌過去の "腸/免疫力/乳酸菌/プラズマ乳酸菌" 関連記事

 (1) <がん抑制遺伝子の一つで、老化の指標とされるP16というタンパク質が一番早く検出されるのは腸。食物の消化吸収のため、長時間酷使されるので疲れるためでしょう。腸の残り時間は人の寿命を決めます> ( "腸"は老化のバロメーター!残り時間が寿命決定!老化指標の"P16(がん抑制遺伝子)"!/当誌 2014.03.05

 (2) <"乳酸菌" などの "腸内細菌" が機能する舞台は、もちろん "腸" であり、これらによって果たされる "免疫" は "腸管免疫系" と呼ばれ、何とヒトの "免疫力" 全体の "60%" を占めるのだそうだ。
 どうも、"乳酸菌"/"プラズマ乳酸菌"/"免疫力" という体内リンケージは、ことインフルエンザ・ウイルスにのみ関わっているのではなくて、"免疫力" という点において、"がん" を含む多くの病気とその治癒力にも深く関係している> ( 免疫力!腸内細菌とヨーグルト!ヒトの腸管は抗体の6割をつくる人体最大の免疫器官!/当誌 2014.02.19

 (3) <乳酸菌の働きによって「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」と呼ばれる免疫細胞が活性化されること/ プラズマ乳酸菌"司令官"pDCに直接働きかけて複数の免疫細胞を一斉に活性化させるのが特徴/ pDCが自らの細胞の内部にプラズマ乳酸菌を取り込むと、ウイルス増殖を抑える物質を放出する/ この物質が引き金となって他の免疫細胞も一斉に臨戦態勢を整え、これまでとは違った高い予防効果が期待できる> ( インフルエンザ流行が警報レベルに急接近!"自前の免疫力"活性化/"プラズマ乳酸菌"!/当誌 2014.02.03

 "免疫力" について関心を持つ場合、常に気掛かりとなっているのは、"高齢者" における "免疫力低下" という事実以外ではない。( "免疫老化!" )

 昨日の記事、"ガゴメ昆布フコイダン"は高齢者の夏期の免疫低下を軽減する作用がある(TaKaRa BIO)!/当誌 2014.06.09 ) についても同じ観点からの掲載であった。 この "高齢化社会" の環境にあっては、当然といえば当然なのかもしれない。

 極端に言えば、今日における "免疫力" の課題の真骨頂は、"高齢者の免疫力活性化!" 以外ではない、と思えてならない

  今回注目する下記引用サイト記事乳酸菌に抗加齢効果、キリンHDが解明 サプリ開発に活用/日本経済新聞/2014.06.06 - 23:38 は、そうした脈絡から、<乳酸菌に抗加齢効果!> という一点に着目して関心を寄せることにした

 <キリンホールディングスは自社保有の乳酸菌「プラズマ乳酸菌」に、アンチエイジング(抗加齢)の効果があることを解明した。マウスの実験で免疫機能が活性化し寿命延長につながることが判明、サプリメントなどの商品開発につなげる。アサヒグループホールディングスもリンゴに含まれるポリフェノールの老化防止効果を生かした商品開発を進める/  プラズマ乳酸菌の効果はキリンHD傘下のキリンや小岩井乳業がマウスの飼育実験で明らかにした。餌に同乳酸菌を混ぜたグループと混ぜないグループを飼育。同乳酸菌を摂取したマウスは、毛の艶や行動分析などから老化スピードが摂取しないマウスの6割程度であることが分かった/  このほか、同乳酸菌を継続摂取すると筋肉量の減少抑制や、肺・肝臓の疾患を防ぎやすくなる点も判明。今後さらに詳細な研究を進めた上で、清涼飲料やサプリメントの開発につなげる考えだ> とある。

 "加齢/高齢化" に伴い種々の病を引き受けることになる背景には、"老化" 現象のひとつである "免疫老化" という避けて避けられない現象がある、と注目されている

 ◆ 参照  <日本では高齢化社会のさらなる進行により、免疫システム老化が引き金となる慢性炎症疾患、がんや感染症などの疾患の増加が危惧されており、対策が急がれています/ 老化に伴って、特に獲得免疫の応答が低下・劣化します。この現象は「免疫老化」と呼ばれ、この免疫老化が、高齢者における慢性炎症疾患(関節リウマチなどの自己免疫疾患)や発がんの増加、易感染性の誘発、ワクチン効率の低下につながる/ 獲得免疫に関わる細胞の中でも、T細胞の機能は個体の老化に大きく影響を受ける/ T細胞は胸腺でつくられますが、胸腺は加齢とともに退縮するので、老齢期においては新たなT細胞の供給が減少/ つまり、免疫老化の原因は主としてT細胞自身の過剰な分裂・増殖によって誘導される細胞老化だと考えられます......> ( 免疫システムの老化を引き起こす仕組みを発見(愛媛大学)!迫り来る"免疫老化"の危惧!/当誌 2014.04.05

 ◆ その他参照 当誌過去の "免疫老化" 関連記事

 (1) 加齢は"幹細胞"のストックを減少/枯渇させ、古い組織の代替を不可能とさせる!寿命!/当誌 2014.05.08
 (2) "免疫細胞(T細胞)"の老化!免疫力低下ばかりかその"誤作動"が老年病などの引き金に!/当誌 2014.04.08
 (3) 免疫システムの老化を引き起こす仕組みを発見(愛媛大学)!迫り来る"免疫老化"の危惧!/当誌 2014.04.05

 この "免疫老化" という不可避な現象を見越した上で "免疫システム" の研究が日々進められているのが、現代医学の現状かと思われる。

 さまざまなアプローチによって探索されているが、そうした一翼には、"食材に含まれる成分" による "免疫機能に対する効果" についての研究がある

 今回注目する下記引用サイト記事ガゴメ昆布が免疫低下を軽減 高年齢者を対象に試験/けあNews/2014.06.08 - 09:00 は、"高年齢者を対象" にした "免疫低下を軽減" する "ガゴメ昆布フコイダン" に関する研究を報じたものである

 <タカラバイオ株式会社(以下、タカラバイオ)と京都府立医科大学は共同研究で、"ガゴメ昆布フコイダン"が夏期の免疫低下を軽減する作用があることを明らかにした/  タカラバイオは、これまでガゴメ昆布フコイダン機能性について研究を進めてきており、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性化、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)の産生促進を介した免疫活性化作用、インフルエンザ感染抑制作用などを明らかにしている/  今回は、ガゴメ昆布フコイダンの免疫機能に対する効果を調べるための、高年齢者を対象としたヒト試験を行った/  第14回日本抗加齢医学会総会で、「夏期の高年齢者の免疫機能に対するガゴメ昆布フコイダン摂取の効果」として発表/  ヒト試験......結果、ガゴメ昆布フコイダンの摂取により、免疫力の低下が軽減された。その際、有害事象は発生せず、安全性にも問題は生じなかった......> とある。

 ハハーン! まるで "隠居" 制度のような視点かな? なぞと茶々を入れたくなってしまった......。
 "お家存続"のために、問題ありの "家督" を退かせて "隠居" とさせてしまう......、という話は、時代小説などでしばしばお目にかかるところだからだ

 ヒトの生体内に巣食う "がん細胞" も、これを "撃退" する道のひとつとして、速やかに "隠居=老化" させてしまう(?)という "策"(=治療法)もアリ! というわけか

 今回注目する下記引用サイト記事細胞老化のメカニズム解明=世界初、がん治療にも期待-名古屋市立大/時事ドットコム/2014.06.06 - 02:03 は、"細胞老化(=細胞分裂の阻害)" という仕組みを逆手にとって "がん細胞" への道がん化を封じ込めようとする、そうした斬新な研究成果を報じたものである

 <ヒトの細胞が老化する基本的なメカニズムを名古屋市立大学の中西真教授らの研究グループが世界で初めて解明し、論文が5日、米科学誌モレキュラー・セル電子版に掲載された。細胞は急激に老化することで、がん化が防げることから、新たな治療法の開発が期待される/  研究グループは、ヒトの皮膚や網膜から採取した細胞に紫外線を当てるなどして老化を促進細胞内でがんを抑制する働きをする二つのタンパク質正常な細胞分裂を阻害し、老化細胞になったことを突き止めた/  これまでの研究では、細胞内のDNAやタンパク質に傷が付くことで細胞が老化し、その蓄積によって人体の老化が進行することまでは分かっていたが、細胞老化の仕組みは解明されていなかったという/  中西教授は「がんを抑制するタンパク質が体内にない場合でも、老化を誘導する操作をすることで、細胞を老化させ、がん化するのを防ぐことができる」と話している> とある。

 最も多く発症する癌のひとつ(女性のがんの死亡率の1位)である "大腸癌" は、"大腸炎(潰瘍性大腸炎)" からの悪化による "発がん" が警戒されてきたものの、その詳しい発症メカニズム解明については研究途上とされているようだ

 ◆ 参照 当誌過去の関連記事
 (1) "がん免疫(細胞)療法"/最近の各種動向一覧!最新:腫瘍細胞免疫回避の一要因 PD-L1!/当誌 2014.04.17
 (2) "がん幹細胞"をたたく"新薬"候補!"身近な薬"="スルファサラジン"の臨床研究:慶応大!/当誌 2014.10.02

 今回注目する下記引用サイト記事発癌を阻止する新たな物質の発見/東京大学大学院農学生命科学研究科 プレスリリース/2014.06.03 は、こうした "大腸癌" 発症のメカニズム解明に一石を投じる研究成果を報じている

 <マスト細胞と呼ばれる免疫細胞の一種が産生するプロスタグランジンD2という物質が、大腸炎とそれに伴う細胞の癌化を抑制することを、マウスにおいて発見/  プロスタグランジンD2受容体を刺激する薬を投与すると、マウスの腸炎症状と大腸癌の発症が抑えられた/  本結果は新しい腸炎治療薬と発癌予防薬の開発につながる可能性が期待される/  大腸癌は日本人が最も多く発症する癌の1つである。大腸癌のリスクは、炎症性の消化器疾患や、生活習慣に由来する慢性的な腸の炎症によって大きく上がる。慢性的な腸の炎症から大腸癌の発症へとつながるメカニズムは、炎症に反応して組織に浸潤してくる免疫細胞が各種の生理活性物質を産生し、これらの物質が炎症部位の細胞の異常な増殖(がん化)を刺激するためと考えられている。つまり、炎症のもととなる疾患の治療や炎症の慢性化を防止すれば、大腸癌の発症を抑えられる可能性が高い/  東京大学大学院農学生命科学研究科の村田幸久 准教授の研究グループは、マウスにおいて炎症がおこった時に大腸組織に浸潤してくる免疫細胞の一種(マスト細胞注2)が、プロスタグランジンD2PGD2)という生理活性物質を産生し、このPGD2腸炎の重症化やそれに続く大腸癌発症を強く押さえる作用を持つことを発見した。さらに、薬の投与によってPGD2のはたらきを刺激し活性化することで、大腸炎の症状改善され、大腸癌発症を抑えることに成功した> とある。

 <慢性的な腸の炎症から大腸癌の発症へとつながるメカニズム> に着眼してアプローチしている点において、今後の "発がん" 経緯のメカニズム解明が大いに期待されそうだ

 アルツハイマー病は、脳内に、"アミロイドベータ(Aβ)" と呼ばれる "異常タンパク質" の断片が蓄積する結果から発症するとされている。
 このため、この "Aβ" の蓄積を、どう抑制したり、分解するかが治療法/治療薬の課題とされてきた


 ◆ 参照 当誌過去の "アルツハイマー病抑制研究" 関連記事

 (1) 増えてきた"アルツハイマー病の治療薬"!気をつけておくべき"要注意事項"がありそう!/当誌 2014.05.01
 (2) アルツハイマー病:老化による異常タンパク質(Aβ)蓄積とAβ分解酵素ネプリライシン!/当誌 2014.04.30
 (3) "アルツハイマー型認知症"予防策の一つ!"有酸素運動"で"酵素:ネプリライシン"強化!/当誌 2014.04.01
 (4) (再)"自衛機能"として!アルツハイマー病から脳を守る細胞内の「掃除屋」タンパク質!/当誌 2014.03.16
 (5) "アルツハイマー病"の脳内原因物質"アミロイドβ"の"掃除役タンパク質sorLA"が特定!/当誌 2014.02.14

 今回注目する下記引用サイト記事アルツハイマー抑制タンパク質 滋賀医科大チーム発見/京都新聞/2014.06.04 - 22:40 も、上記と同様の視点に立ちつつ、この "Aβ" に対抗する特殊な "タンパク質:ILEI" に着眼した研究とその成果とを報じるものだ
 特に、"副作用" のリスクを回避できる薬剤開発へのアプローチが期待されている

 <脳内のタンパク質ILEI(アイレイ)」がアルツハイマー病原因物質の生成を妨げ、発症を抑制する効果があることを滋賀医科大分子神経科学研究センターの西村正樹准教授らの研究グループが発見し、4日、英科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」の電子版に発表した。副作用リスクの少ない治療薬の開発が期待できるという/  アルツハイマー病は、特定の酵素の働きで生まれたアミロイドベータ(Aβ)と呼ばれるタンパク質の断片が脳内に蓄積して発症するとされる。この酵素の働きを抑え込む従来の薬剤開発では、別のタンパク質の分解まで阻んでしまい、皮膚がんや認知機能の低下など副作用が課題だった/  同グループは、アルツハイマー病の患者の脳では正常な脳よりILEIが減っている点に着目。培養細胞でILEIを増やすと、分泌されるAβが約30%減ることが判明した。別のタンパク質の分解は正常に進み、副作用の危険性が抑えられた/  実験では、アルツハイマーを発症するように遺伝子操作したマウスでILEIを生成すると、記憶障害を起こさずに健康なマウスと同等の成績を残した/  西村准教授は「治療に向けた一つの方向性が示せた。副作用がない治療薬の開発につながってほしい」と話した> とある。

 "" のイメージは自覚できるのに、その人の "名前" を失念たり、なかなか浮かび上がってこないという経験は、高齢者ならずともあり得ること

 また、不思議といえば不思議なのは、よく知った人の "" というものは、どんな群衆の中からも "識別" 可能だという点ではなかろうか

 ちなみに、他の動物たちはこの "識別" を "嗅覚" で果たしている( ex. ペンギンの親子たちは何千頭もの群れの中で "嗅覚" によって "識別" するそうだ )といわれるが、ヒトの場合、長い人類史の過程で "顔の識別能力" を脳内に培ってきたものと思われる

 この、ヒトの "顔の識別能力" が、"右脳" の働きのひとつとして説明されるのを聞いたこともある。とにかく、ヒトの知覚能力の中でも、かなり特殊でかつ奥行きが深いと想定せざるを得ないのが、"この能力" であろう
 今回注目する下記引用サイト記事東工大、脳が他者の顔を見る前から活動していることを脳波から確認/マイナビニュース/2014.06.02 は、ヒトの "顔の識別能力" には、さらに "不思議なメカニズム" のあることを、"脳波の解析" から照らし出した、そんな研究成果を報じている。
 要するに、<脳は他者の顔を見る前から活動している> という、まるで "フライング(?)" 的な機能を果たしている、というのである


 <東京工業大学(東工大)は5月26日、ヒトが何かを予測する場合、顔の出現を予測する方が、言葉や記号などの予測よりも素早いことを発見し、顔に関する情報処理は実際に顔を見るよりも前から始まっていることを実証したと発表/  ヒトは行動を迅速かつ的確に行うため、「予期」「予測」という能力を備えている  このメカニズムを詳細に調べるため、研究チームは今回、顔、言語、記号という視覚刺激を用いて  予測に関わる脳活動の違いと「刺激先行陰性電位(SPN)」の「右半球優位性」に与える影響の検討を実施/  予測の前に出現する脳波がSPNで、課題に関連した知覚刺激が与えられた時に、その刺激が出る前の数秒間に出現する「事象関連電位」(アルファ波やベータ波などの脳波に重なって生じている脳波で、一定の時間幅を設定し加算平均法を用いて抽出する脳波)と呼ばれる脳波/  このSPNは右脳の活動が高い、つまり右半球優位性という特徴を持つ/  顔の場合(Early SPN・F5・青線)は、1秒以上も前から脳活動が大きくなっていることが確認された......この結果は、顔の情報処理がほかの情報処理よりも早く、脳は実際に顔を見る前から活動を開始していることを示しているという。 Early SPNを頭皮上のマップとして描くことにより、画像2のように「後頭顔領域(Occipital Face Area)」の活動をとらえることができた> とある。 また、

 <今回の実験により、SPNの右半球優位性について、以下の3要因により半球優位性が左右されることが判明/  1つ目は、「めずらしいもの」を見つける注意システム「Ventral Attention Network(VAN)」の関与/  2つ目は、動機づけの程度と左半球の活動/  3つ目は、刺激とSPNの分布/  まとめると、今回の実験により、右脳の働きは、顔・言葉・記号などの予測される情報の種類、めずらしいものを検出する注意システム、動機づけ(やる気・報酬)、の3要素のそれぞれの程度によって影響されることがわかり、右脳と左脳の相対的な働きはこれらの3つの要素によって変化することを明らかにした形だ> とある。

 先日、<厚生労働省は29日、全国に約34万床ある精神科病床を今後、大幅に削減する方針を固めた> ( 精神科病床を大幅削減へ 長期入院解消で厚労省/【共同通信】/2014.05.29 - 10:39 )との報道があり、医療財政の逼迫問題は分かってはいるものの、釈然としないものを感じさせられた

 そのひとつが、増え続ける "認知症" 患者の中での "重篤なケース" に関するものである。以前から、 "こうしたケース" の場合、"精神科入院治療" とならざるを得ないと言われてきたからである

 今回注目する下記引用サイト記事認知症の精神科入院治療、遣る瀬ない「現状」とは/yomiDr. ヨミドクター/2014.06.03 は、奇しくも "こうしたケース" の現状を "如実に!" 伝えているため目が止まった。
 表面的な報道事実だけでは了解できない "現状の凄まじさ!" が、現場から "生々しく" 伝えられている、との印象である


 <認知症が進行すると、徘徊(はいかい)による迷子や近所への家宅侵入、真夜中の大声、暴言や暴力、所かまわずの失禁や弄便(ろうべん)など、激しい症状に至ることが少なくない。高齢なだけに、大方、軽からぬ身体疾患も合併している。日夜介護に明け暮れるご家族の心労たるや、筆舌に尽くしがたい。訪問医療を導入しても自宅介護に行き詰まり、施設入所にこぎつけても、職員の手に余ることもしばしばで、八方手を尽くした先、やむにやまれず精神科病院にたどり着く/  ご家族も施設職員も皆困り、疲れ果てている。精神科入院治療に託さざるを得ず、罪悪感に打ちひしがれている/  「適応外使用」の功罪と身体へのリスク/  「認知症に伴う激しい症状への治療は、薬物療法が主となります。『鎮静をかけて症状を抑える』という方法を取らざるを得ず、活気を損ねず症状のみを消退させるのは、現状では困難です」/  「抗精神病薬」「気分安定薬」という、統合失調症や気分障害に向けた薬を使って認知症の症状を治療するため、本来の治療対象とは異なる「適応外使用」......「認知症にそれらの薬を『適応外使用』すると、心疾患、脳血管障害、感染症などによって、死亡率が2倍高まると知られています。でも、使わざるを得ないのです」/  「足元がおぼつかないまま徘徊し、転倒のおそれが著しい、他の患者の病室に出入りして治療を妨げる、暴力が激しい、といった時には、鍵のかかる個室に隔離したり、抑制帯で身体を拘束したりしなくてはならないことがあります」/  「薬物療法による鎮静、身体拘束のために、筋力や意欲、活動性や動作性が落ちてしまうことが、まれではありません」/  早期に手立て講じても ... 行き詰まり精神科入院/  実際の入院治療では、......大方は一筋縄ではいかない/  「ドネペジルに加えて、リバスチグミンやメマンチンと、『抗認知症薬』の選択肢が増えてきた。認知症を早期に発見すれば、治療することが可能だ」という、まるでキャンペーンかのような言説を目にするようになった。......しかし、それらの効果がいくばくのものか、どれだけ適切に伝えられているのだろうか/  早期に手立てを講じたにもかかわらず、精神科病院に行き着かざるを得なかったという、現実の重みが累々としていることも、知っていただかざるを得ないだろう/  「認知症のお年寄りが住みなれた地域で暮らせるよう、支援計画が緒に就きつつある」といった、希望に満ちた掛け声が際立つ割に、現状は発展途上も甚だしい/  今、ここで、苦しんでいる当事者、ご家族は、待ったなしだ。甘言には裏切られ通しだ。悲しみは深い/  激しい症状の治まる気配のない認知症のお年寄りを抱え、施設からも退所を迫られ、行き詰まってしまったご家族にお伝えしたい。  「もう十分、手を尽くされました。共倒れになっては手遅れです。罪悪感をいったん横に置き、精神科入院治療に託していただき、ひとまず重責だけでも荷降ろししてはいかがでしょう。至らぬ治療しかできないかもしれません。しかし、共に悩むことはできます。『行く末』を具体的に模索していきませんか」> とある。

 当記事の執筆は "認知症臨床現場の精神科医" だそうである。まさに、"現場からの生の声" だという。
 それだけに、<早期に手立てを講じたにもかかわらず、精神科病院に行き着かざるを得なかったという、現実の重み> が否応なく伝わってくる。 と同時に
、<希望に満ちた掛け声が際立つ割に、現状は発展途上も甚だしい/  今、ここで、苦しんでいる当事者、ご家族は、待ったなしだ。甘言には裏切られ通しだ。悲しみは深い> との呟きがズッシリとした重みで響いてくる......。

 昨今のような "不安と不幸" とが満ち溢れた時代環境にあっては、"うつ病" ならずとも、"抑うつ" 的気分を訴える人は少なくないのではないかと思われる

 ◆ 参照 < 抑うつ(よくうつ、Depression)とは、気分が落ち込んで活動を嫌っている状況であり、そのため当人の思考、行動、感情、幸福感に影響が出ている状況のこと。
 抑うつに陥った人々は、悲壮感、不安感、空虚感、絶望感、焦燥感、罪悪感、短気、痛み、気分が休まらない、などの感情となっている。彼らはかつて喜びに満ちた活動であったことに対して意欲を失っており、食欲衰退するか過食となり、集中力や記憶力や意思決定に問題を起こし、自殺について考慮・挑戦・宣言し、不眠、過眠、疲労感、エネルギー喪失、長期の体部の痛み、消化系の不良などを訴える。
 抑うつが全て精神疾患であるとは限らない。抑うつは人生の出来事の一つとして通常の反応であり、ごく一部の医学的な症候についてが医学的治療や薬物療法の対象となる。抑うつは、精神的徴候の主訴もしくは合併症状の一つである。抑うつは、精神医療において最も頻繁に見られる状態像であり、診療においては「熱が38度ある」程度の情報でしかない
> ( ウィキペディア - 抑うつ

 しかし、他方では、"抗うつ薬" に対して、副作用ほかの懸念を感じている人が少なくないのも現状のようである

 そんな状況下で、"リノール酸" という、日頃なれ親しんでいる "不飽和脂肪酸" 改良の "抗うつ薬" が開発されようとしている

 今回注目する下記引用サイト記事リノール酸を改良、うつ改善効果 動物実験で兵庫医科大/中日新聞/2014.06.01 - 15:51 は、<飲むのは微量で、効果が高い抗うつ薬を作りたい> という研究動向を伝えている

 <植物油などに含まれるリノール酸を改良した物質が、うつの改善に役立つとみられることを、兵庫医科大の西崎知之主任教授(神経統合生理学)のチームが1日までに動物実験で明らかにした/  うつは、神経細胞の接合部の間で分泌される神経伝達物質セロトニンが不足するのが一因とされる。西崎教授らはセロトニンの量と、それに反応する受容体を増やすことに成功し、「飲むのは微量で、効果が高い抗うつ薬を作りたい」と話している/  チームは、植物性脂肪に多い不飽和脂肪酸が学習機能を高める点に注目。その一種のリノール酸を、体内で吸収されずに脳の視床下部に届くように改良した> とある。

 リノール酸を、体内で吸収されずに脳の視床下部に届くように改良> という点が "ポイント" のようである

 今日の午後も、すでに30度を超える"真夏日"となっている。
 そう言えば、昨日の土曜日も同様であったが、その暑さの中で、地域の小中学校が運動会を催していたのにはやや驚かされた。
 主催側は、まさかこの初夏にこうした "真夏日" がやって来ようとは想定できなかったのであろう。無事に終了できるまでヒヤヒヤものではなかったかと想像される。
 現に、聞くところでは、救急搬送された "熱中症" の児童がいたようでもある
......。

 "エルニーニョ現象" の影響もあってか、今年の "異常気象" 状態は、すでにいろいろと警戒されてきた。
 つい先日も、 "夏本番前に熱中症" という "異常さ" に衆目が集まった


 ◆ 参照 当誌 "夏本番前に熱中症" の記事 <適当な運動(または "足湯" )などで、 "十分に汗をかく" こと。これが "汗腺を鍛える" ことにつながり、「よい汗がかける身体」になれば "夏バテ" が回避できる! のだそうだ> ( 早くも要注意"熱中症"!夏本番前に"汗腺"を鍛えて夏バテ予防!「よい汗」かく訓練!/当誌 2014.05.28 )

 今回注目する下記引用サイト記事初夏の熱中症:高齢者、特にご注意 暑さに慣れず、高湿度/毎日新聞/2014.05.3 - 15:00 も、この "異常さ" を再認識させるものであり、"初夏の熱中症" の怖さを照らすものである

 <日本列島は31日、北日本から西日本にかけて高気圧に覆われ、広い範囲で好天に恵まれた。気象庁は1日にかけ、各地で最高気温が30度以上の真夏日になると予想している。気温の上昇に伴い、危惧されるのが熱中症だ。先週の救急搬送者数は、過去最高だった前年を上回るハイペースで、専門家は早めの対策を呼びかけている/  総務省消防庁によると、昨年の熱中症による搬送者数は6〜9月で計5万8729人と、統計の残る2008年以降で最多だった/  (その上)今年、5月25日までの第1週は291人。昨年の第1週(昨年5月27日〜6月2日)の230人を上回る/  例年搬送者が最多の月は7、8月だが、昨年の場合6月が4265人と、9月の3133人より多い/  なぜ初夏は危険なのか原因は順応性にある気温が急に高くなる初夏は、暑さに慣れていないため汗がうまくかけず、スムーズな体温調節ができない/  (おまけに)梅雨になると湿度が上昇し汗が蒸発しにくいため、さらに体温調節が難しくなる/  「真夏日ではなくても、湿度の高い日は熱中症への警戒が必要」......> とある。

 "異常気象" それ自体に手がつけられない状況であってみれば、<原因は順応性にある気温が急に高くなる初夏は、暑さに慣れていないため汗がうまくかけず、スムーズな体温調節ができない> 側面での "順応" に向けての対処しかなさそうだ。が、"病人、高齢者、乳幼児" などにとっては避け難いリスクとなる......。

 "がん予防" に関する研究方法も、格段に進展し、<現在ではより科学的な検証方法が取り入れられたことで、客観的な検証が可能> となってきたかのようだ。

 その結果、従来から推奨され、信じられてもきた "特定の食材によるガン発生リスク軽減説" が、ここに来て大きく揺らぎ始めている。

 今回注目する下記引用サイト記事特定の食材によるガン発生リスク軽減説の根拠が弱まっていることが判明/Gigazine/2014.05.12 - 09:24 は、そうしたちょっとした "衝撃" とも受け取れる事実を淡々と報じている


 <ここ30年にわたって日本人(成人)の死因第1位 の座をキープし続けてきたのはガンで、その発生リスクを下げるためには特定の食物を採ったり、脂肪分の高い食べ物を避けることが有効とされてきました。しかし、2014年時点の学会における解釈では、脂肪分の抑制とアルコール量の管理を除き、特定の食生活によるガンの発生リスク軽減には明確な根拠が見いだせられないことが明らかになっています/  2014年4月に1万8000人以上の研究者が参加して開催された 全米ガン研究会議 (American Association for Cancer Research:AACR)の年次会議で明らかにされた研究内容によると、それらの食物とガン発生のリスクの間にはほとんど関連性が見られなかったとのこと/  同様に、ハーバードで伝染病学の研究に携わり、長年にわたって食事とガンの関連性を研究してきたウォルター・ウィレット教授は、2014年の同会議における定例報告の場において、特定の果物や野菜によるガンの発生リスク低減を証明する証拠は見つからないという内容を報告/  1997年からの約15年で研究結果が一転することになった最大の理由は、研究で用いる手法がより緻密なものになったためと考えられています。以前の研究では、対象者への聞き取りは本人の記憶に頼るところが大きかったのに対し、現在ではより科学的な検証方法が取り入れられたことで、客観的な検証が可能になっています/  それでもなお、全体的にな視点においては従来からの通説どおりに、肥満度の管理がガンの抑制に効果があることは確実なものとされており、これは心臓病や二型糖尿病、高血圧、脳卒中といった病気のリスクにも共通するもの。また、アルコール類の過度の摂取を避けることも明確な効果をもたらすこともわかっています> とある。

 また、<学会での関心は、すでにガン細胞の慢性炎症などに対する免疫療法へとシフトしており、従来の食事によるガン抑制はすでに主流からは外れていると考えられるようになっています> とあり、まさに、<より科学的な検証方法> が活用できるアプローチへのシフトが見て取れる......。

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