2014年4月 アーカイブ

 ますます深刻化している "アルツハイマー病/アルツハイマー型認知症" については、当誌でも焦点を合わせ続け、報道される記事についてはその都度注目してきた

 ◆ 参照 タンパク質分解酵素 "ネプリライシン" に関する記事
  <"アルツハイマー型認知症" の "原因物質" と考えられている "アミロイドβ" を "分解" する "ネプリライシン(Neprilysin)" という、体内に備わった "酵素" の働き....../  脳内のを分解するのがネプリライシンと呼ばれるタンパク質分解酵素で、加齢や症状の進行とともにネプリライシン量が低下することが知られています。アルツハイマー病の症状を緩和するため、ネプリライシン遺伝子をウイルスベクターで直接脳内に注入し、ネプリライシンの活性を増強して量を減少させるという治療法があります。しかし、この方法は外科的な手術が必要であり、かつ脳全体にこの遺伝子をいき渡らせることが技術的に困難でした....../  (そこで新たに開発されたのが)活性型ネプリライシン遺伝子を導入したウイルスベクターというアプローチ......>  ( "アルツハイマー型認知症"予防策の一つ!"有酸素運動"で"酵素:ネプリライシン"強化!/当誌 2014.04.01

 ところで、報道される "研究成果" 記事は、もちろん最先端の動向を伝えるものであるため、その "新規性" に眼が奪われて、より注意が向けられるべき "基本的理解" がややもすればなおざりにならないことを警戒すべきだと心得ている。"新規性" だけでは、理解は深まらず、真に必要な判断材料にはなり得ないと思えるからだ

 そこで、今回注目する記事としては、"アルツハイマー病/アルツハイマー型認知症" の "基本構造" ―― <老化 = 異常タンパク質蓄積 = 異常タンパク質分解酵素(機能低下!> ―― という相互関係への基本的理解を助ける、そんな解説記事に着目してみた

 下記引用サイト記事老化が関連する病気 - 活性酸素が関与すると考えられている老化に関連する病態 - アルツハイマー病/Dr.Goto の老化研究所 健康長寿 は、"老化" による "ヒトの身体に引き起こす避けられない現象" を凝視しつつ、確かな筆致で "アルツハイマー病/アルツハイマー型認知症" について叙述している

 <活性酸素が関与すると考えられている老化に関連する病態 - アルツハイマー病/ アルツハイマー病は、脳の記憶中枢などの特定部域において神経細胞内外に異常タンパク質が蓄積し、その有害作用で細胞死が起こり、神経機能(特に認知機能・記憶・感情などの高次機能)が障害される病気です/ 特に神経細胞外に溜まるβアミロイド)と呼ばれるペプチド(タンパク質)の凝集物は、組織学的に老人斑と呼ばれ(実際、脳の中に出来た微小のシミのように見えます)、鉄イオンの共存下に活性酸素(ヒドロキシラジカル) を産生して神経細胞死を引き起こすと言われています。の蓄積はアルツハイマー病の原因として最も注目 ≪アミロイド仮説≫/ 老化におけるタンパク質分解活性の変化(機能低下!)/ の分解に関わると考えられる酵素/ タンパク質分解酵素/ その後、理化学研究所脳科学総合研究センターの西道隆臣博士らが別の有力な分解酵素ネプリライシンを発見/ このほかに神経細胞内に溜まる形態学的に神経原繊維変化と呼ばれる異常タンパク質アルツハイマー病の発症と深く関わっていると考えられています。その実体は異常化したタウと呼ばれるタンパク質> とある。

  "アルツハイマー病/アルツハイマー型認知症" は、良くも悪くも、<老化 = 異常タンパク質蓄積 = 異常タンパク質分解酵素(機能低下!> という "トリアーデ" の "基本構造" から離れては、理解も治療もおぼつかない! と再認識させられる......。




















 これまで、"がんの発症" には "遺伝子異常" が深く関わっているとされてきた
 だが、"遺伝子異常" がない<「エピゲノム」という調整機能が変化> することによって生じる "がん" もあることは、かつて、以下のように注目した

 ◆ 参照
 (1) <遺伝子の異常が原因にならないがんがあることを京都大iPS細胞研究所などのチームが人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った研究で明らかにし、13日付の米科学誌セル電子版に発表/ 今回形成されたがん細胞は遺伝子異常がなく、遺伝子を制御する「エピゲノム」という調整機能が変化/ 形成の仕組みは不明だが、エピゲノムをコントロールすることで、新しいタイプの治療法開発につながる> ( 遺伝子異常が原因にならないがんがあること!京都大iPS細胞を使った研究で明らかに!/当誌 2014.02.16

 ◆ 参照 「エピゲノム」について
 (2) 下記引用サイト記事なぜ今、エピゲノムなんですか? エピゲノムって、なんですか?/国際ヒトゲノムコンソーシアム 日本チーム 

 今回注目する記事は、上記の◆ 参照 (1) 記事の続編ということになる。

 下記引用サイト記事遺伝子変異によらない発がんの仕組みを、iPS細胞を使って解明!/nature japan jobs/2014.04.10 は、"遺伝子変異によらない発がんの仕組み=エピゲノム異常" に関し、京都大学iPS細胞研究所 山田泰広 教授 がインタビューに応じて語るかたちをとって報じている

 <「がんは複数の遺伝子が段階的に変異して生じる」とされるが、最近になって、エピゲノム異常もまた、がん化と深く関連することが分かってきている。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の山田泰広教授らは、マウスの生体内で細胞を中途半端に初期化するとエピゲノム異常を引き起こし、遺伝子変異がなくても細胞をがん化させ得ることを示した/  塩基配列によらない遺伝子制御の仕組みは「エピゲノム」と呼ばれる。近年、がん細胞エピゲノム状態が網羅的に解析されるようになり、ほぼ全てのがん細胞でエピゲノム異常が認められることが分かってきた/  ただし、エピゲノム異常がどのように引き起こされ、発がんにどう関与しているのかは、よく分かっていません/  これまでの研究では、がん化の鍵はあくまでも遺伝子変異の蓄積で、エピゲノム異常がん化をサポートする程度とされてきましたが、私たちは今回、遺伝子配列異常に依存しない発がんを初めて実証しました/  腎芽腫などの一部のがんで、エピゲノム異常が最も重要な原因となり得ることも示せました> とあり、

 <現在のがん治療は、がん細胞を取り除く、消滅させる、分化を促進させるといったもので、がん化の原因(多くの場合は遺伝子の傷)を矯正するような根本治療になっていない。今回の成果は、「特定のがんでは、エピゲノム異常を正すことが根本的ながんの治療となり得る」ということを示し、エピドラッグとでもいうべき新薬の開発の重要性を示唆するとともに、iPS細胞が再生医療以外の疾患研究に新たな知見をもたらすことも示した> とある。

 "糖尿病" が、成人病の温床となることはしばしば指摘されてきたところだ。心筋梗塞や脳卒中、人工透析といった最悪のケースの合併症を誘発する場合もあり、さらに "心不全" への悪影響もあると懸念されている

 ただ、<糖尿病管理状態と心不全発症の関係は明らかでなく、心不全予防の観点からどの程度の糖尿病管理が必要かはっきりしていない> (下記引用サイト記事) という不気味な実情があった。

 ところが、下記引用サイト記事国循、糖尿病管理が心不全にも影響することを解明/マイナビニュース/2014.04.22 は、"糖尿病" は、心不全 に対しても "悪影響" を及ぼすことが解明された、と報じるに至った

 <国立循環器病研究センター(国循)は、糖尿病患者の心不全発症頻度を調査の調査から、糖尿病管理が心不全にも影響することを明らかにしたと発表/ 2000年1月から2007年12月までに糖尿病・代謝内科に紹介された608名の2型糖尿病患者を追跡調査し、入院が必要な心不全が発症した頻度を調査/ 事前の糖尿病管理が不良であるほど心不全入院が多い結果だったこと、もともと心臓病がある場合は特に糖尿病管理不良の影響が大きい傾向があったことが判明/ 糖尿病管理指標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値が 8%を超えて悪くなる と、心不全入院も増えていたため、心不全予防においてもHbA1cが少なくとも 8%を超えないよう に糖尿病を管理する必要性が示された/ 血糖管理不良群では心不全の入院も多く、特に心筋梗塞など心臓病の既往のある患者で糖尿病管理の影響が大きいこと/ また日本糖尿病学会は、合併症予防のための血糖管理目標値をHbA1c 7%未満 とする一方で、治療強化が困難な際の目標値を 8%未満 としている/ 心臓病のある方でも少なくとも 8%未満 に血糖管理が必要である> とある。

 いずれにせよ、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) の値が 8%を超えないよう に糖尿病を管理する必要性がある、とくれぐれも銘記しておきたい

 現在、"再生医療" の分野では、"iPS(人工多能性幹)細胞やES(胚性幹)細胞" を患部に移植するという医療アプローチが旺盛に研究されている。
 そして、そこでの大きな課題の一つが、必要となる "膨大な量" の "iPS細胞(ES細胞)" が如何に効率的に準備調達されるか、であることは、よく知られている。

 つまり、より効率的に "iPS細胞(ES細胞)" を作製し、それらを必要に応じて迅速に供給する、という課題なのである。以下の「国際iPS細胞バンク」計画もその課題に呼応した動向以外ではないと思われる

 ◆ 参照 iPS細胞作製効率化の関連記事

  <人工多能性幹細胞(iPS細胞)患者自身の細胞から作製でき、さまざまな臓器や組織の細胞に変化させられるため、再生医療への応用が期待される。しかし、患者自身の細胞から、その都度作製するのは費用や時間がかかり、現実的ではないこのため、事前に拒絶反応を起こしにくい白血球型(HLA型)を持つ人の細胞から作った高品質のiPS細胞を備蓄し、治療などに活用するのが「細胞バンク」の狙いだ。/ ...... 再生医療などに使う拒絶反応を起こしにくい人工多能性幹細胞(iPS細胞)の各国の備蓄状況を一括管理し、国境を超えて使用できるようにする「国際iPS細胞バンク」計画/ 日本、米国、英国、フランス、オーストラリアなどが参加する見通し/ 実現すればiPS細胞の医療応用が大きく進展しそうだ......> ( 「国際iPS細胞バンク」計画が着手!まるでかつての"PC/AT互換機"パーツ製造国際分業?!/当誌 2014.01.18

 今回注目する記事も、こうした必要となる "膨大な量" の "iPS細胞(ES細胞)" が如何に効率的に準備調達されるか という課題に貢献すると考えられる動向に関するものである

 下記引用サイト記事シャーレ使わずiPS細胞を大量生産 京大が開発/京都新聞/2014.04.25 - 08:43 は、"iPS細胞などの大量生産" を可能とする新しい方法について、下記のように報じている。

 <現在は細胞をシャーレに接着させて増殖している。脊髄(せきずい)損傷や心筋梗塞の患者の再生医療では1人当たりシャーレ100枚分(10億個)のiPS、ES細胞が必要になるとされ、培養のスペースや品質維持に課題があった/ さまざまな細胞や組織になるヒトのiPS(人工多能性幹)細胞やES(胚性幹)細胞を大量生産する方法を、京都大物質―細胞統合システム拠点の中辻憲夫教授や尾辻智美研究員、日産化学工業のグループが開発した。将来、再生医療のコスト低下につながると期待され、米科学誌「ステム・セル・リポーツ」で25日に発表する/ 市販の培養液に独自に探した2種類の物質を加えることで、細胞を袋の中で増殖させることに成功。シャーレと比べてスペースを取らず、品質管理も容易/ 大きくなった細胞の塊を網目状のナイロンに通して傷つけずに細分化する方法も開発> とある。

 "アルツハイマー病" の治療に向けた研究が、関連する "遺伝子" の研究/操作をも含めて、旺盛に進められている

 ◆ 参照 関連記事
 (1) <アルツハイマー病患者に似た症状を示すマウスの開発に成功したと、理化学研究所脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)の西道隆臣シニアチームリーダーらが14日、米科学誌ネイチャーニューロサイエンス電子版に発表した。現在、研究に利用されているアルツハイマー病のマウスより患者の状態に近いという/ 脳の中に有害なタンパク質「アミロイドベータ」がたまり認知症になる病気の解明や、薬の候補を試す研究に役立ちそうだ> ( "アルツハイマー病マウス"を開発(理研)!患者に似た症状!病気解明、新薬試す研究に!/当誌 2014.04.15

 (2) <40代〜60代の被験者4人での実証実験では30パーセント減らした食事を3〜7週間続けただけで、長寿を担っているサーチュイン遺伝子が目覚めて働き始めた/ 減食ではなく薬物でサーチュイン遺伝子を活性化させる方法 レスベラトロールを毎日服用すれば、食事制限なしでサーチュイン遺伝子を活性化できる......>

 <早稲田大学人間科学学術院の千葉卓哉准教授(早稲田大学人間科学学術院・早稲田大学応用脳科学研究所)、長崎大学医学部の下川功教授らのグループは、食事制限による寿命延長、抗老化作用に関して、神経細胞で発現している神経ペプチドの一つである、ニューロペプチドY(NPY)が重要な役割を持つことを明らかにしました......> ( "食事制限による寿命延長/抗老化作用"を進める必須の因子"NPY"(神経ペプチド)を解明!/当誌 2014.04.07

 今回注目する記事は、下記引用サイト記事アルツハイマー病のマウスで記憶回復に成功、研究/AFP BBNews/2014.04.24 - 16:13 であるが、"遺伝子治療" の観点から行われた実験だと見られ、"アルツハイマー病で失われた記憶" が回復できたとするものである

 <アルツハイマー病のマウスを使った実験で失われた記憶を遺伝子治療で回復することに成功したとの研究結果/ スペインのバルセロナ自治大学(Autonomous University of Barcelona)の研究チームは遺伝子組み換えマウスを使った実験で、記憶に関係する脳の海馬に、アルツハイマー病の患者で阻害されるタンパク質を生成する遺伝子を注入/ 遺伝子治療により注入されたタンパク質は、長期記憶の固定に関与する遺伝子の活性化に必要な信号を動作させる/ 今回の研究が、人間でもこれらの遺伝子を活性化させ、記憶を回復させる薬剤の開発につながることを期待している> とある。

 "アルツハイマー型認知症" は、"根治技術が未確立?!" であることに伴って、"早期診断と早期の対策" が欠かせないと叫ばれているのが現状だ。

 しかも、その "早期診断/早期対策" でさえ、その原因物質は "βアミロイド" だけなのだろうか( "タウ" ?! )という研究視点も浮上し、解明されなければならない点が少なくない
......。

 ◆ 参照
 アルツハイマー型認知症の原因の一つとされる「タウたんぱく質」が患者の脳に集積する様子を画像化することに成功したと、放射線医学総合研究所の研究チームが19日、米科学誌ニューロン電子版に発表する。タウの集積は従来、死後に脳を解剖しなければ分からなかったが、画像化で発症前の早期発見につながる可能性がある/ 画像化は早期診断や症状進行の客観的な指標になる>( アルツハイマー型認知症の原因物質:タウ蛋白質集積"画像化"に成功!早期診断に奏功!/当誌 2013.09.20

 代表的な認知症のアルツハイマー病は、インスリンがうまく働かない糖尿病の一種なのではないか――。そんな見方を示す報告が続いている。......糖尿病がアルツハイマー病を引き起こしやすいこともわかってきた。別の久山町研究によれば、インスリンがあっても糖をうまく処理できない傾向が強い人ほど、アルツハイマー病を発症しやすかった。......大阪大の里直行准教授(老年医学)は、高血糖が続くと脳にAβがたまりやすくなるほか、タウという別のたんぱく質にも異変が起きて神経細胞が壊れやすくなる、とみる。>( "アルツハイマー病"と"糖尿病"との関係に熱い視線が!"インスリン"の働き周辺に注目!/当誌 2013.07.30

 こうした状況にあって、 下記引用サイト記事認知症の原因はここまで"見える"ようになった 「放医研 一般公開」の講演から/日経テクノロジー online/2014.04.22 - 08:01 では、二つの重要な事実を浮かび上がらせている。

 一つは、アルツハイマー病の原因物質は、βアミロイドと呼ばれるたんぱく質である以上に、「タウ」と呼ばれるたんぱく質である、という点。

 もう一つは、この「タウ」と呼ばれるたんぱく質は、イメージング(可視化)技術の最前線である "PET(陽電子放射断層撮影装置)" によって "鮮明な画像" で捉えることが可能であることから、<「認知症の進行度の客観的な指標になる」> というのである。
 "より早い時期での診断と対応" が求められる現状にあって、客観的な "進行度" の把握が可能であること の意義は大きい。以下のとおりだ


 <■ 認知症の原因物質のイメージング(可視化)技術の最前線/ 認知症では症状を早期に診断し、対策を打つことが極めて重要/ 今のところ症状の進行を完全に止める治療技術は確立しておらず、進行を遅らせることしかできない/ そこで、その兆候を捉える超早期診断技術の開発が重要になる/ 認知症の可視化技術......近年では、脳の機能をイメージングできるPETによる超早期診断が注目を集めている

 <■ "悪の根源"はβアミロイドではなく「タウ」か/ 認知症とは一言で言えば「脳内にゴミがたまる現象」 その"ゴミ"として比較的良く知られているのが、βアミロイドと呼ばれるたんぱく質/ ところが数年前、「研究者を落胆させる事実が判明した」 βアミロイドは除去できたにもかかわらず、症状の改善が見られない場合があることが分かった βアミロイド以外に認知症に関与する物質があるのではないか、との認識が広まった/ その物質として昨今注目を集めているのが、「タウ」と呼ばれるたんぱく質/ 一部の認知症(神経変性疾患)では、βアミロイドは蓄積せず、タウの蓄積だけがみられる場合がある/ βアミロイドが蓄積しなくても、タウが蓄積するだけで認知症を発症することが分かってきた/ タウを標的とする治療が、認知症の根本的治療法になる可能性が出てきた

 <■ 症状の進行も可視化できる/ タウPET可視化する/ タウβアミロイドに比べて海馬に蓄積しやすい/ 認知症が進行するほどタウの蓄積箇所が広がるという現象も確認/ タウ可視化は、βアミロイド可視化では実現できなかった「認知症の進行度の客観的な指標になる> とある。

 やはりそうか......、と "悲痛な事実!" に改めて目を向けさせずにはおかない

 下記引用サイト記事がん患者:高い自殺危険性...求められる診断時から心のケア/毎日新聞/2014.04.22 - 13:59 は、"がん" という病が、医療の面だけに限定される問題ではないことを知らしめている。

 <がんと診断された患者が診断後1年以内に自殺する危険性は、がん患者以外の約20倍に上るとの調査結果を、国立がん研究センターの研究班がまとめた。この調査結果は、国民の半数ががんになる現代の日本に重い課題を突きつけた。医療関係者や患者団体からは「衝撃的な数字」という驚きとともに、患者や家族へのサポート体制の充実を求める声が相次いだ/ 関東地方の50代の男性会社員は、初期の舌がんと診断されて間もなく、自ら命を絶った。診断後は仕事を続けるか悩み....../ 全国のがん診療連携拠点病院(397施設)でも昨年11月時点で精神科医がいる病院は251施設(63%)止まり/ 患者が抱える苦悩の大きさを改めて示す衝撃的な結果だ。がん診療に携わるすべての医療者が、がんと共に生きる社会生活や心理面の苦痛に対する支援の重要性を理解し、診断段階からの緩和ケアに取り組むことが求められる> とある。

 "がん克服" に向けた医療技術の進展が目覚ましい今日ではあっても、"がん" は "余命" を強く意識させることになる
 ふと、思い起こすのは、"がん" を告知されたある知人が、「自分はもう死ぬのかな......」と、不安に打ちひしがれた表情で呟いた一言である。

 "いつか訪れる死" は、誰もが避けられないにしても、その "不確定" が限りなくその事実を遠ざけてくれている
 だが、"がん告知" は、その "不確定" を無造作に取り払ってしまう。 たとえ、その後の療養生活で "告知" をはるかに超えて長生きをしているがん患者も少なくない事実があるにしてもだ。

 だからこそ、<がんと診断された患者が診断後1年以内に自殺する危険性は、がん患者以外の約20倍に上る> という残酷な現実が横たわり、そうであるからこそ<がん診療に携わるすべての医療者が、がんと共に生きる社会生活や心理面の苦痛に対する支援の重要性を理解し、診断段階からの緩和ケアに取り組むことが求められる> ということになる。

 と同時に、こうした "心理面の苦痛" の中には、<診断後は仕事を続けるか悩み......> というような "仕事(経済的問題)" への不安も、小さからぬ比重を占めている点も見過ごせないだろう。

 これも、"がん" に見舞われた知人の話となるが、"病気療養の休職" がいつの間にか "退職" へと切り替わってしまった経緯を、"精一杯淡々として" 語っていたことを思い起こす......。一流企業に勤めていた彼には相応の蓄えもあったからまだしも、そうでなかったならば "生活苦/将来不安" が重くのしかかることにならざるを得ない。

 が、一方では、"がん" を背負ってしまった知人の中には、その後の経過良好もあって、新しい仕事へと果敢に踏み込んで立派に再起を図っている人がいるのも、また事実である

 "がん" が警戒されるのは、その "再発と転移" の可能性であるに違いない。
 したがって、先端研究では、その "仕組み" と "抑止法" とが焦点とされている


 ◆ "がん転移" 関連記事 参照
 (1) "がん転移抑制"する分解酵素「TLL1」を発見!(熊本大の尾池教授ら)新たな治療法期待!/当誌 2014.01.25
 (2) "がん"の再発/転移の仕掛け人(?):"がん幹細胞"!「身近な薬」が特効薬との新情報も!/当誌 2013.09.21

 今回注目する記事は、"がん転移の仕組み" を究明したものである。

 下記引用サイト記事がん転移の仕組み解明 京大、予防法開発に期待/【共同通信】/2014.04.22 - 04:00 が以下のように報じている。

 <がんの転移は、さまざまな臓器の表面を覆う「上皮組織」で、隣り合う細胞同士の相互作用がうまく働かなくなると起こる/ 相互作用に関わっているとみられるのは、腎管から出るタンパク質「フィブロネクチン」で、細胞を下支え/ 正常な上皮組織では、細胞は整然と並んでいるが、転移の初期段階では、刺激が加わると、上皮はもろくいびつな形になってバラバラになる/ 高橋淑子京大教授は「このタンパク質を使い、副作用の少ないがんの転移予防法や治療法開発に役立つことが期待される」と話す> とある。

 ちなみに、<タンパク質「フィブロネクチン」> に関しては、以下のとおり、かねてより<がん転移阻止> という視点から着目されていたようである。

 <フィブロネクチンは、1973年、培養細胞の細胞のがん化に伴い細胞表面から消失する糖タンパク質として発見された。 ...... 大きな関心は培養細胞の形態ではない。ヒトのがんの予防・診断・治療に、臨床的に応用できないだろうかという期待である。 ...... 1つの注目するアイデアが広範囲に追及されたのはRGDペプチドによるがん転移阻止である。1986年、GRGDSペプチドが、マウスの悪性黒色腫細胞の実験的がん転移を抑制すると報告された。学界・医薬品業界は、がん転移を抑制する画期的な医薬品の開発につながるとして、衝撃を受け、膨大な研究がなされた。ある研究室は、追試に成功し、さらに発展した研究成果を報告した。一方、別の研究室は追試できず、研究結果に懐疑的になった。そして2014年現在、最初の報告から30年弱経過した。明確な理由は不明だが(薬効なし? コスト? 副作用?)、がん転移の予防として臨床的に使用されていない。医薬品としても市販されていない>( フィブロネクチン/ウィキペディア

 今回の研究成果が、<副作用の少ないがんの転移予防法や治療法開発> へとどうつながってゆくかは定かではないが大いに期待したいところである

 "認知症" を原因とした高齢者の "行方不明/死亡" の深刻さが漸く注目されるようになっている

 ◆ 参照
 "浮上して、照らし出されている現実" とは、すでに指摘され尽くされてきた社会問題のひとつ、"孤独死" 現象を生み出している、社会の "無縁社会" 化(=コミュニティ崩壊)だと言えそうな気配がする>( "国民的な課題"の"認知症"に対して"社会的対応立ち遅れ"!"行方不明"後の推移が悲惨!/当誌 2014.04.21

 認知症やその疑いがあり、「はいかい」などで行方不明になったとして警察に届けられた人が、おととし1年間に全国で延べ1万人近くに上り、このうち死亡が確認されたり行方不明のままだったりする人が合わせて550人を超えることが、全国の警察本部への取材で分かりました/ こうした実態が明らかになるのは初めてで、専門家は「まだまだ氷山の一角で、国は詳しい分析を行い有効な対策を打ち出す必要がある」と指摘>( "認知症で行方不明" 1年で1万人近くに!国はこの社会問題に詳しい分析と有効対策を!/当誌 2014.04.18

 もはや、手をこまねいている場合ではない。
 そんな中、"迅速な対応" に踏み込み、"地域ぐるみで解決図る" 自治体もあるという


 下記引用サイト記事認知症で「徘徊」「行方不明」年間1万人時代が来た 地域ぐるみで解決図る「大牟田モデル」に関心高まる/J CAST ニュース/2014.04.19 - 16:00 では、そうしたモデルケースを紹介している。

 <防災無線で捜索協力呼びかける放送件数が急増/ 近年は、自治体が防災無線を活用して行方不明になった高齢者の捜索協力を放送で呼びかけるようになった/ 千葉県松戸市は、2013年の放送件数が21件/ 山梨県甲府市 認知症による徘徊が疑われる行方不明に関する放送件数が急増 事態の深刻さ/ 認知症で徘徊する高齢者を救うため、先進的なモデルをつくりあげたのが福岡県大牟田市/ 市は「高齢者等SOSネットワーク」を構築 捜索願が出ると警察は、地元の郵便局や駅、タクシー協会、ガス会社など協力団体に連絡する。そこからさらに郵便局員、タクシー運転手、従業員に情報が流れて捜索協力者が増えていく。民生委員を経由して校区内の公民館長、学校、PTA、商店など市民にも伝えられる/ 仕組みを円滑に回す努力も怠らない2004年度から年1回、「模擬訓練」を実施/ 当日、「認知症による徘徊でお年寄りの行方が分からなくなっている」との想定で、高齢者数十人が「行方不明者」に扮し、連絡を受けた地元の人たちが市内を巡回しながら該当者と思われる人に声をかけたりして救援を試みる/ 訓練で学ぶ重要なポイントが、徘徊者への「声掛け」/ 市のウェブサイトには、「近づきすぎず、しかし目線を合わせ、ゆっくりと穏やかな口調で」「わかりやすい簡潔な言葉で、一つずつ話しかける」といった細かなコツが書かれている/ 地域ぐるみで高齢者を救う大牟田市は全国の自治体の「見本」となっており、実際に同じような方式を取り入れるところが少なくない> とある。

 ただし、気になったのは、<近所づきあいや人間関係が希薄とされる東京でも、同様の対策は機能するだろうか> という問いかけがあった点だ。
 都道府県別での実情を見ても、決して大都市圏での "認知症に基づく行方不明と死者" は少なくない。いや、都市部での "警戒と対策" こそが求められているのではなかろうか
......。

 "認知症" は、個人的な医療問題であるばかりか、今や "社会問題"/"国民的な課題" として浮上している点が、日を追うごとに色濃くなっている

 ◆ 参照
 高齢者たちとその家族にとって最も悲惨な現実に対して、"有効な手立て" はないのだろうか? 今や "社会問題"/"国民的な課題" として浮上している、"認知症" とその結果としての "はいかい" によって "行方不明(死亡、行方不明のまま)" が高止まりしている現実のことである 自分の居住地でも、"高齢者の行方不明" を伝える市の広報スピーカーからの連絡が頻繁にある昨今である。 問題の原点は、"地域コミュニティ" が "機能不全" に陥っている現状ではないかと危惧されるが、それにしても、人の命にかかわる事態であるだけに憂慮される......> ( "認知症で行方不明" 1年で1万人近くに!国はこの社会問題に詳しい分析と有効対策を!/当誌 2014.04.18 )

 "浮上して、照らし出されている現実" とは、すでに指摘され尽くされてきた社会問題のひとつ、"孤独死" 現象を生み出している、社会の "無縁社会" 化(=コミュニティ崩壊)だと言えそうな気配がする。
 地域コミュニティが健全であった時代に、認知症による "はいかい(徘徊)" が悲惨なことになったことなぞ、果たしてあったのであろうか
......。

 下記引用サイト記事 1、2 : 1 認知症 保護しても誰か分からぬケースも/NHK NEWS WEB/2014.04.19 - 18:22 、2 認知症で不明 まず身近な場所捜して/NHK NEWS WEB/2014.04.18 - 04:39  は、"認知症" が広がる社会のいわば "盲点!" に警鐘を鳴らしているかに思われる。

 <認知症やその疑いがあって行方不明となる人が年間1万人近くに上っている問題で、NHKが全国の自治体などを取材した結果、無事、保護されたものの認知症のため名前や住所などの身元が分からず施設などで今も暮らし続けている人が少なくとも4人いることが分かりました。/  専門家は「認知症を巡る警察や自治体の取り組みが分断されている象徴で、情報の共有が必要だ」と指摘しています/  この4人以外にも、身元が分からないまま施設などで死亡した認知症の人もいる/  また警察庁によりますと、行方不明になってから親族などの元に戻るまで1年以上かかった人も、おととし1年間で8人いるということで、保護されたものの長期間、身元が分からないケースはさらに多数に上るとみられます

 <認知症やその疑いがあって行方不明となる人が年間1万人近くに上っている問題で、NHKが、行方不明となり死亡した人の家族などを取材した結果、自宅から1キロ以内の比較的近い場所で遺体が見つかったケースが全体のおよそ60%にの上ることが分かりました。/  専門家は「先入観を持たずに、身近な場所から丁寧に捜してほしい」と指摘しています/  見つかった場所の中には、水がほとんど流れていないふたが閉まった用水路の中や、住宅と塀の間の狭い場所など、通常、入り込むと思わない所で見つかるケースも少なくない/  認知症に詳しい認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子部長は、「認知症の人は、症状によっては狭い場所に入る傾向もみられるため、捜す際はこんな所に行くはずがないと先入観を持たずに、まずは身近な場所から丁寧に捜してほしい」と指摘> とある。

 "認知症" について考える時、以前、強い共感を覚えた記事に遭遇したことを覚えている。以下のとおりだ

 ◆ 参照
 <認知症は記憶を司る『海馬』が萎縮するために起こるが、最近になって感情を司る『扁桃核』の衰えも発症に大きく関わっていることがわかってきた」という。そこで大切なのが、扁桃核=感情を刺激する生き方だ。
 そのためには、不快に感じることを、考え方や行動によって快に変えていくことが、扁桃核を刺激し、認知症の予防につながるらしい。したがって「認知症になるか、ならないかの分かれ道は40代以降、扁桃核に刺激を与えてきたかどうか」が重要となるのだ。/  マンネリな生活を送っていると、認知症の危険
/  「マンネリで変化を好まない公務員」は扁桃核を刺激しない頭の使い方の人が多く、そのため認知症になりやすいという意味で、かなり危ない職業/  脱公務員的な生き方こそが、認知症予防の第一歩/  脳に刺激を与え続ける生活が必要>( "公務員"は、なぜ"認知症"になりやすい? "変化を好まないマンネリ"が"危険因子"に!/当誌 2013.12.23 )

 この主張は、決して "誹謗中傷" の類なぞではなく、優れた医学的/社会的洞察であろう。
 今回注目する記事は、この著者の講演であり、"認知症" について実に分かりやすく話されているので、注目してみたくなった


 下記引用サイト記事講演(5)立ち塞がる二つの壁...認知症にならないために/yomiDr. ヨミドクター/2014.04.18 がこれである。

 <認知症にならないために/ 大きな二つの壁/ 60歳代から70歳代で現れる「血管性認知症」という壁/ その後の80歳前後で現れる「アルツハイマー型認知症」という壁

 <生活習慣病を予防/ まず、血管性認知症にならないためには、どうすればいいか/ 脳出血や脳梗塞などの脳血管障害にならないために、生活習慣病の「三大疾病」を予防すること/ 特に糖尿病/ 糖尿病を防ぐために必要なのが「糖質制限食のすゝめ」/ 3食のうち、1食は糖質を抜いてください/ 例えば、夕食でご飯を食べるところを、冷ややっこや納豆に替える/ アルコールなら、ビールや日本酒よりも、焼酎やウイスキーをお薦め/ 
三大疾病の二つ目は脂質代謝異常。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)/ 全然運動しない人に多いのですが、皮下脂肪がほとんどないのに内臓脂肪は多い人/ 要するに、メタボリックシンドロームは「運動不足症候群」/ 運動さえしてもらえれば、間違いなく内臓脂肪は減ります/ 
三つ目が高血圧/ 血圧に関しては、本当に「余計なことを言う人」が多い/ 高血圧と診断された人は、誰が何と言おうと、血圧を下げる薬を飲み続けてください

 <扁桃核を意識、社会参加も積極的に/ アルツハイマー型認知症の予防方法/ アルツハイマー病は、80歳以上になったら、治らないもの/ 80歳を超えたアルツハイマー病は、病気というよりも、頭を使わないことによる「廃用」がかなりの部分を占めている(引用者注) 「廃用」......廃用症候群。安静状態が長期間に渡って継続することによって引き起こされる、さまざまな心身の機能低下等を指す/ 一日誰とも話すこともなく、ずっとテレビを見ている生活が毎日毎日、延々と続くのです。このような、皆さんが生きてきた中で、かつて経験したことがないほど刺激がない生活を送ると、やっぱり認知機能が落ちてくる/ 若いうちから外に出て人と関わる生活を送ることが必要/ 
扁桃核海馬大脳皮質とつながっていて、感情をつかさどる器官/ 扁桃核は「快」と「不快」を瞬時に区別する機能/ 認知症の人の脳を見てみますと、もちろん、記憶をつかさどる海馬萎縮しているのですが、その先にくっついている扁桃核さらに萎縮/ 感情を刺激するような生活が認知症予防にはとてもいい/ 運動をすると神経の細胞が増えることもわかってきました/ あとは、社会参加です。誘われたら断らないこと。それと、死ぬまで働くということです。ある程度の年齢になり、悠々自適の生活を送ると、人間は絶対、堕落する

 <脳と筋肉をリハビリ...「ピンピンコロリ」目指して/ まず、脳リハビリです。公文の教材を使った学習療法を中心に、頭を使います。続いて、パワーリハビリ。運動機能の改善をねらい、体を使います/ この二つのリハビリによって、できるだけ元気にピンピンと長生きしてもらって、家でコロリと最期を迎える「ピンピンコロリ」が最大の理想

 現在、がんの患者数が一位、二位を占める "大腸がん" の検診/発見は、人間ドックなどに組み込まれた "大腸内視鏡検査" というのが定番だ

 ※ 大腸内視鏡検査 ...... 検査前処置用下剤服用 → 肛門から直径約13mmの内視鏡挿入 → 5分ほどかけて大腸の一番奥まで観察 → "ポリープ" の発見/組織採取

 ◆ 参照 サンプル採取による大腸がん発見
  <大腸がんや胃がんの患者から採取したサンプルで検証......専門の医師の判断と8~9割が一致......測定から照合結果が出るまでの時間は約2分......病理診断に利用できる水準。データを蓄積すればさらに精度が高まる可能性がある......>( がんの有無を"2分で診断"(山梨大など)!がんの組織検査/生検での複雑な前処理が不要!/当誌 2014.02.26

 こうした "相応の負担感(!?)" を伴う検診をどう受けとめるかは人それぞれかもしれないが、"もっと簡便な検査方法" を望む声は少なくなかったはずだ

 下記引用サイト記事微量の血液で大腸がん発見 国立がんセンターが開発/朝日新聞/2014.04.17 - 14:40 は、まさにこれに応えるものであろう。

 <早期の大腸がんを数時間で見つける方法を、国立がん研究センターなどの研究チームが開発した。ごくわずかな血液で調べることができ、従来の方法よりも精度が高い。数年以内の実用化を目指すという/ 細胞が分泌する「エクソソーム」という微粒子に着目。大腸がん細胞のエクソソームに特異的に多く含まれる物質を発見し、0・005ミリリットルの血液からそれをとらえて光らせる方法を開発した。1時間半から3時間で検出できる/ 大腸がん患者194人の血液を調べたところ、約5割から検出。健康な191人から検出されたのは、1人だけだった。大腸がん特有のほかの物質も特定し、検査の精度をさらに上げることを目指す> とある。

 高齢者たちとその家族にとって最も悲惨な現実に対して、"有効な手立て" はないのだろうか? 
 今や "社会問題"/"国民的な課題" として浮上している、"認知症" とその結果としての "はいかい" によって "行方不明(死亡、行方不明のまま)" が高止まりしている現実のことである


 自分の居住地でも、"高齢者の行方不明" を伝える市の広報スピーカーからの連絡が頻繁にある昨今である。
 問題の原点は、"地域コミュニティ" が "機能不全" に陥っている現状ではないかと危惧されるが、それにしても、人の命にかかわる事態であるだけに憂慮される


 下記引用サイト記事認知症で行方不明 1年で1万人近くに/NHK NEWS WEB/2014.04.16 - 19:00 は、こうした "憂慮される現実" に警鐘を鳴らすかたちで報じている。

 <認知症やその疑いがあり、「はいかい」などで行方不明になったとして警察に届けられた人が、おととし1年間に全国で延べ1万人近くに上り、このうち死亡が確認されたり行方不明のままだったりする人が合わせて550人を超えることが、全国の警察本部への取材で分かりました/ こうした実態が明らかになるのは初めてで、専門家は「まだまだ氷山の一角で、国は詳しい分析を行い有効な対策を打ち出す必要がある」と指摘/ 行方不明になったとして警察に届けられた人は全国で延べ9607人に上ること/ このうち、川に転落したり交通事故にあったりして死亡が確認された人は351人/ その年の末の時点でも行方不明のままの人も208人いたこと/ 認知症の問題に詳しい認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子部長は「今回明らかになったのはまだまだ氷山の一角で、今後、認知症による高齢者は増え『はいかい』の問題はより深刻化していくことが予想される。国は、正確な実態を把握するとともに詳しい分析を行って、有効な対策を打ち出していく必要がある> とある。

 問題が深刻であり、直ちに "有効な対策" が講じられる必要に迫られていのは、以下のような "今後" が待ち構えているから

 <厚生労働省の研究班によりますと、国内の認知症の高齢者はおととしの時点で462万人に上り、高齢者の15%に達すると推計/ 認知症の予備軍とされる「軽度認知障害」の高齢者は400万人に上ると推計され、国内の認知症とその予備軍の高齢者は合わせて860万人余り、高齢者の4人に1人> という "今後" なのである。

 "がん免疫(細胞)療法" は、従来からのがん治療の "三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)とは一線を画している。
 患者の体内に備わっている "免疫" システムを最大限に活用して、がん細胞を撃退するという点、そして "三大療法" が大なり小なりに伴う "副作用" が回避できるという点などに大きな特徴があると考えられている。
 それだけに、この "がん免疫(細胞)療法" は、"がんの第4の治療法" として根強い期待を集めている。

 当誌ではこれまで、この "がん免疫(細胞)療法" の進展の数々をトレースし続けているが、"免疫" システムの最大限活用という点に最大公約数はあるものの、下記のとおり、そのアプローチは "多彩" である

 ◆ 参照 最近の当誌での"がん免疫(細胞)療法"関連記事

 (1) がん免疫細胞療法の一翼:"樹状細胞ワクチン療法"(WT1抗原利用)を提供!(メディネット)/当誌 2014.04.04
 (2) "がん免疫療法(第4の治療法)"の一種:"がんペプチドワクチン療法"!臨床試験進展中!/当誌 2014.04.03
 (3) 各地で進む!"がん免疫細胞療法:NKT細胞療法"臨床試験!新たながん治療の選択肢!/当誌 2014.03.13
 (4) "iPS細胞でがん免疫療法"!京大発ベンチャーが着手!いよいよ"実用化のステージ"か!/当誌 2014.03.01
 (5) 自己免疫を強化させることでがん細胞と戦わせる"免疫療法"薬、初の"医療保険対象"か!/当誌 2014.02.25
 (6) "がん免疫療法"進展!免疫細胞を"再教育"!新療法で白血病患者88%の症状消失(米国)!/当誌 2014.02.23
 (7) "iPS細胞"技術:"がん免疫療法"への応用目指し着実な進展!NKT細胞ほか免疫細胞培養!/当誌 2014.01.27

 こうした "多彩さ" に、今一つ "新たな研究成果" が付け加えられた

 下記引用サイト記事がん免疫療法の研究用に抗PD-L1抗体を発表=米CST〔BW〕/時事ドットコム/2014.04.16 - 10:58 がそれである。

 <米ライフサイエンス企業のセル・シグナリング・テクノロジー(CST)は、ウサギの抗PD-L1モノクローナル抗体を発表した。PD-L1活性化T細胞の細胞表面受容体PD-1に結合し、T細胞の活性を阻害する。PD-L1腫瘍細胞の表面でアップレギュレート(引用者注.発現量増加)されることから、腫瘍細胞による免疫回避の一要因と考えられている。同抗体はがん免疫療法に使用できる可能性がある> とある。

 ちなみに、"T細胞" とは、もちろん "免疫細胞" であり、この "免疫細胞" がリードして "がん細胞(腫瘍細胞)" を叩くことになる。

 だが、"がん細胞" 側は、これに対抗して "T細胞" の働きを邪魔する策を弄する。ここで登場している "PD-L1" というタンパク分子がその一つであり、これを、"T細胞" にまとわりつかせて、"T細胞" の働きを阻害しようとするわけだ。

 そこで "免疫細胞" 側としては、この "PD-L1" というタンパク分子を封じ込めるために、これを捕縛(これに結合)する別のタンパク分子(抗体!)を、抗PD-L1モノクローナル抗体というかたちであてがう作戦に出る、というのが、この研究成果の狙いだということなりそうだ。

 つまり、これまでの "がん免疫(細胞)療法" は、"免疫細胞" 側の "活性化" に力点が置かれていたのに対して、今回の場合は "がん細胞(腫瘍細胞)" 側からの "" を "潰す!" ことに重点が置き直されている、ということになる
......。

 "がん免疫(細胞)療法" は、従来からのがん治療の "三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)とは一線を画している。
 患者の体内に備わっている "免疫" システムを最大限に活用して、がん細胞を撃退するという点、そして "三大療法" が大なり小なりに伴う "副作用" が回避できるという点などに大きな特徴があると考えられている。
 それだけに、この "がん免疫(細胞)療法" は、"がんの第4の治療法" として根強い期待を集めている。

 当誌ではこれまで、この "がん免疫(細胞)療法" の進展の数々をトレースし続けているが、"免疫" システムの最大限活用という点に最大公約数はあるものの、下記のとおり、そのアプローチは "多彩" である。

 ◆ 参照 最近の当誌での"がん免疫(細胞)療法"関連記事
 (1) がん免疫細胞療法の一翼:"樹状細胞ワクチン療法"(WT1抗原利用)を提供!(メディネット)/当誌 2014.04.04
 (2) "がん免疫療法(第4の治療法)"の一種:"がんペプチドワクチン療法"!臨床試験進展中!/当誌 2014.04.03
 (3) 各地で進む!"がん免疫細胞療法:NKT細胞療法"臨床試験!新たながん治療の選択肢!/当誌 2014.03.13
 (4) "iPS細胞でがん免疫療法"!京大発ベンチャーが着手!いよいよ"実用化のステージ"か!/当誌 2014.03.01
 (5) 自己免疫を強化させることでがん細胞と戦わせる"免疫療法"薬、初の"医療保険対象"か!/当誌 2014.02.25
 (6) "がん免疫療法"進展!免疫細胞を"再教育"!新療法で白血病患者88%の症状消失(米国)!/当誌 2014.02.23
 (7) "iPS細胞"技術:"がん免疫療法"への応用目指し着実な進展!NKT細胞ほか免疫細胞培養!/当誌 2014.01.27

 こうした "多彩さ" に、今一つ "新たな研究成果" が付け加えられた。
 下記引用サイト記事がん免疫療法の研究用に抗PD-L1抗体を発表=米CST〔BW〕/時事ドットコム/2014.04.16 - 10:58 がそれである。

 <米ライフサイエンス企業のセル・シグナリング・テクノロジー(CST)は、ウサギの抗PD-L1モノクローナル抗体を発表した。PD-L1活性化T細胞の細胞表面受容体PD-1に結合し、T細胞の活性を阻害する。PD-L1腫瘍細胞の表面でアップレギュレート(引用者注.発現量増加)されることから、腫瘍細胞による免疫回避の一要因と考えられている。同抗体はがん免疫療法に使用できる可能性がある> とある。

 ちなみに、"T細胞" とは、もちろん "免疫細胞" であり、この "免疫細胞" がリードして "がん細胞(腫瘍細胞)" を叩くことになる。

 だが、"がん細胞" 側は、これに対抗して "T細胞" の働きを邪魔する策を弄する。ここで登場している "PD-L1" というタンパク分子がその一つであり、これを、"T細胞" にまとわりつかせて、"T細胞" の働きを阻害しようとする。

 そこで、この "PD-L1" というタンパク分子を封じ込めるために、これを捕縛(これに結合)する別のタンパク分子(抗体!)を、抗PD-L1モノクローナル抗体というかたちであてがう作戦に出る、というのが、この研究成果の狙いだということなのであろう。

 つまり、これまでの "がん免疫(細胞)療法" は、"免疫細胞" 側の "活性化" に力点が置かれていたのに対して、今回の場合は "がん細胞(腫瘍細胞)" 側の "対抗策潰し!" に重点を置き直していることになる......。

 健康を害すれば、身体も心も辛いだけでなく、とかく "おカネがかかる" ! かと言って、"おカネをかければ" 健康になれるものでもない。"おカネをかけずとも健康になれること" に目を向けたいものだ

 それは、"持ち前の免疫力を最大限に発揮すること!" 以外ではないと思われる

 ◆ 参照
  番組 NHKスペシャル『人体ミクロの大冒険 あなたを守る!細胞が老いと戦う』紙面要約!/当誌 2014.04.09

 < ◆ 地中海に浮かぶ長寿の島:イタリヤ/サルデーニャ島 ...... 長寿の人の割合が世界一 100歳超の高齢者は5千人に一人(世界平均の2倍)
 長寿の人(100歳の人)の共通項
 血液から採取した免疫細胞に特徴
 免疫細胞が非常に効果的に働き続けていることが分かった

 免疫細胞の働きには年齢によって大きな違いがある。
 60代の免疫細胞は病原体に対して動きが鈍い。
 サルデーニャ島の高齢者はこの免疫細胞が衰えていない、20代の動きを保っている

 「長生きの大きな要因は遺伝を別にすればなんといっても免疫でしょう。特に百歳以上の高齢者は免疫細胞の力が非常に強いことに驚かされます。病原体に対して抵抗力が高いのです。」

 優れたコンテンツに満ちた同番組は、多方面にわたる説得力を持っており、さまざまなことを考えさせた。
 今回、目を向ける点は、その中のちょっとしたエピソード的な一点 ―― "免疫力と運動" ―― に過ぎない

 < ◆ 運動による免疫細胞の改善
 バーミンガム大学(英) 衰えた免疫細胞を運動で回復させる。 5分間の運動でも、筋肉から分泌された物質が免疫細胞を活発にさせる。 免疫細胞を若く保つことが老化を阻止する> (同上サイト)

 ここでも、<5分間の運動でも......> とあるが、この点が重要だと思える。
 とかく、"何でも一生懸命!" になりやすい国民性からすると、"運動は身体にいい" というと "がむしゃら" なりがちだ。
 しばしば、"苦痛に歪む表情"でジョギングなどをしている方を見かけるが、それも "週一の休日" という頻度であれば、多分、翌週に疲れとダメージを持ち越すだけの結果ではないかと余計な心配をしたりする......。

 そこで、"免疫力を高める" ための運動の仕方/留意点! に着目する際には、今回注目する記事としては、下記引用サイト記事■ やさしい免疫のはなし ~運動すれば病気にならないの?~/健康科学研究室 が最適ではないかと思われた。

 <1 運動とナチュラルキラー細胞  運動に対して明らか反応するものとしてナチュラルキラー細胞(NK細胞)があげられます。これはリンパ球のひとつで血液中を巡回し,ウイルスや癌細胞等に働きかけます
  2 運動強度とナチュラルキラー細胞活性  運動強度に応じてナチュラルキラー細胞活性は高まり,運動をやめると活性は低下 問題なのは,無酸素作業閾値(AT)を越えるような高い強度の運動後や,2時間以上の運動後には顕著な低下がみられるということ。/
  3 継続した運動習慣とチュラルキラー細胞活性  一方,継続した運動習慣を持つ人の安静時のナチュラルキラー細胞活性は,標準より高い つまり 1回の運動ではデメリットをもたらす運動条件でも,習慣化することによってより大きな免疫能力獲得することができる
  4 免疫力を高める運動は人それぞれ違う  中高年者は虚血性心疾患をはじめとする循環器系の傷害予防を考えて,ウオーキングやジョギング等の有酸素運動を習慣化することをすすめます。いきなり息が切れるような強度の高い運動をすることは,デメリットが多い
  5 楽しく運動をしないと免疫力は高まらない  運動をする際に気をつけてほしいことがもうひとつ。それは楽しみながら運動をするということ。 ナチュラルキラー細胞にはβ-エンドルフィンというホルモンのレセプターがあり,これは楽しいとか気持ちがいいという感情を引き起こす作用がある。このβ-エンドルフィンがナチュラルキラー細胞に結合すると細胞活性が増加。つまり楽しみながらする運動では免疫機能が増加する。逆にストレスの高い状態で行えば免疫力は抑制されるので,押しつけられて嫌々する運動むしろマイナスとなるので避けるべき> とある。

 "免疫力を高める運動とは" という視点に立つならば、<1回の運動ではデメリットをもたらす運動条件でも,習慣化することによってより大きな免疫能力獲得することができる> という作法こそが Best!のようである

 "アルツハイマー病" の解明および治療薬開発ほどに重要かつ急がなければならない医療課題はないかと思われる
 そこで、これらの研究にとって必須となる "実験用マウス" が要請されることになるわけだ

 下記引用サイト記事アルツハイマー病マウスを開発 理研、患者に似た症状/中日新聞/2014.04.14 - 03:00 は、そうした要請に応えられるという "実験用マウス" が "開発" されたというニュースを報じている。

 <アルツハイマー病患者に似た症状を示すマウスの開発に成功したと、理化学研究所脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)の西道隆臣シニアチームリーダーらが14日、米科学誌ネイチャーニューロサイエンス電子版に発表した。現在、研究に利用されているアルツハイマー病のマウスより患者の状態に近いという/ 脳の中に有害なタンパク質「アミロイドベータ」がたまり認知症になる病気の解明や、薬の候補を試す研究に役立ちそうだ> とある。

 これまで利用されていた "実験用マウス" は、異常行動や突然死など、患者と異なる特徴が出るという問題があった> のだそうである......。

 "鳥インフルエンザウイルス" 問題への警戒に関しては、中国における "H7N9型インフル" 以来となる。

 ◆ 参照 1.
  目が離せない"中国の鳥H7N9型インフル"!新たな感染者!"人から人への感染"も認める!/当誌 2014.01.30

 今回の警戒されるのは、中国での "H7N9型" ではなく、"H5型鳥インフルエンザウイルス" だとされ、むしろごく最近に "朝鮮半島" で猛威を振るった流れから来るものようである。( 参照 【 引用記事 2 】

 下記引用サイト記事熊本でH5型鳥インフルエンザウイルス検出/NHK NEWS WEB/2014.04.13 - 12:20 が伝えるところによれば、

 <熊本県多良木町の養鶏場で、ニワトリが大量に死に、県が行った遺伝子検査で「H5」型の鳥インフルエンザウイルスが検出されました/ 熊本県によりますと、県南部の多良木町の養鶏場で、11日から13日朝までに、飼育されていたニワトリ、5万6000羽のうち、およそ1100羽が死んだということです/  簡易検査で鳥インフルエンザの陽性反応が出たため、県が詳しい遺伝子検査を行ったところ、10羽のうち2羽から、「H5」型の鳥インフルエンザウイルスが検出されました/ この問題で熊本県は、この養鶏場に加え、経営者が同じ相良村の養鶏場の合わせて2か所から、それぞれ半径3キロ以内の養鶏場に対して、ニワトリと卵の移動を禁止するとともに、10キロ以内の養鶏場に対しても、ニワトリと卵の域外への出荷などを禁止する措置を取りました/ さらに、この2か所の養鶏場で飼育されている合わせて11万2000羽のニワトリの処分を決め、午前10時半から処分を始めたほか、周辺の道路で車両の消毒を行うなどして、ウイルスの感染拡大を防止する措置を取った> とある。 専門家は以下のように注意を喚起しているという。

 <韓国でも鳥インフルエンザが大流行していて、いつ国内で感染が広がってもおかしくない状態が続いていた。ゴールデンウイークが終わる頃までは渡り鳥の移動の時期で、感染がさらに広がる可能性がある。養鶏場や鳥を飼育している施設では、防疫対策の徹底など警戒をしてほしい> と。

 "再生医療/移植手術" 分野の進展は目覚ましいものがある。いわゆる "幹細胞" に基づく培養技術をはじめとする最先端の技術( "3Dプリント" 技術など)が、想像を超えた研究成果を生み出しつつあるようだ

 もちろん、研究成果のすべてが臨床の場で結実しているわけではないにせよ、"再生医療/移植手術" への切実なニーズを持つ人々に対して夢のような可能性を提示している

 下記引用サイト記事身体パーツの培養ラボを訪ねて:幹細胞と3Dプリントでつくる鼻、耳、心臓/WIRED/2014.04.11 - FRI は、そんな驚くべき最先端の状況を報じている。

 <アレクサンダー・セイファリアン博士幹細胞研究室/ 人工の鼻、耳、気管など......培養されたこれらの身体部位は、交通事故に遭った人や負傷兵などの身体損傷を補うのに役立てられる。今後は、主要な内臓器官がこの技術によって作られる可能性もある/  セイファリアン博士らのチームがこれらの部位を作製するのに用いている手法は、幹細胞研究と3Dプリンティングを組み合わせ、そこにナノテクノロジーを少々加えたもの/  第一のステップでは、患者のCTスキャン画像を基に、3Dプリンティングを使って、必要な身体部位の型をガラスで作製する。次に、セイファリアン博士が特許を有するナノコンポジット材料(1~100ナノメートルの大きさに粒子化した素材を、別の素材に練りこみ分散させた複合材料)をガラス型に流し込み、塩などを加える/  固まったら、あとは型を水に浸し、塩を溶かすだけでいい。そうすると、微細な蜂の巣状の素材でできたスキャフォールド(足場)が完成する。これが、幹細胞が成長するための土台となる/  次はいよいよ、肝心の幹細胞を患者本人から採取する番だ。以前は切開手術が何度も必要だったが、現在は腹部を一度切開するだけでいい。そこで採取した脂肪細胞をスキャフォールドに加える/  あとは、この「建設現場」を適切な環境に置いて成長させる。その後、患者の皮下に移植して4~8週間待つだけだ(培養された耳や鼻には皮膚がないため、いったん前腕の皮膚下に移植して、皮膚で覆われるのを待つ)> とある。

 ただし、問題にも直面しているとのことである。
 <しかし、この段階に来てチームは足止めをくらっている。培養した耳や鼻を、しかるべき場所に移植しなおすためには、規制当局の認可が必要だからだ/  研究チームは2013年、癌で鼻を失った男性の幹細胞などを使って、世界初の人工鼻として移植されるパーツを作製した。しかし、認可が下りるまでは、それが現在ある場所(患者の腕)から、本来あるべき場所(患者の顔)へ移動させることはできない> とあり、また、<現在までに約1,000万ポンド(約17億円)を費やしたこの研究成果> と<問題は資金が得られるかどうかだ> というシビァな課題にも遭遇しているとか......。

 誰もが "無用の長物" だと思ってやまなかった "盲腸(虫垂)" が、この期に及んで、"免疫システムの上で重要!" だと分かったという。
 しかも、"腸管免疫系" システムに欠かせない "腸内細菌" のバランス維持に欠かせない存在だというから驚きである。

 "腸内細菌" のあり様が、ヒトの "免疫力" の大半を占めている点は、昨今では、大きな注目を集めている事実だ


 ◆ 参照
 "免疫力" の観点から、"" という臓器に着目し続けている。ヒトの "免疫力" の "60%" が、"腸" における "腸管免疫系" によって担われているからである>( 今注目の"免疫力"の本命:"腸"という臓器!"腸は第2の脳"どころか脳より賢い腸に従え!/当誌 2014.03.07
 ヒトの腸管は栄養成分を消化・吸収する役割のほか、食べ物とともに侵入する病原菌などから身体を守る免疫機能も担っている。抗体の6割を腸管でつくる人体最大の免疫器官といわれる。しかも、数百種類、100兆個もの細菌が常在、生息することが知られる。その大部分は大腸に棲[す]む。有害物質を作るウエルシュ菌、病原性のないビフィズス菌、乳酸菌やバクテロイデス、大腸菌など多種多様である。これらの腸内細菌腸管免疫系に関与することが明らかにされてきた>( 免疫力!腸内細菌とヨーグルト!ヒトの腸管は抗体の6割をつくる人体最大の免疫器官!/当誌 2014.02.19

 既に "盲腸炎" で "盲腸" を摘出してしまった人には気の毒なのであるが、下記引用サイト記事無用の長物と考えられていた虫垂の免疫学的意義を解明~炎症性腸疾患の制御に繋がる新たな分子機構~/大阪大学・科学技術振興機構(JST)/2014.04.10 は、新たに判明したその研究結果をつぎのように報じている

 <大阪大学 大学院医学系研究科 感染症・免疫学講座(免疫制御学)/免疫学フロンティア研究センターの竹田 潔 教授らのグループは、私たちの体で不必要な組織と考えられていた虫垂に存在するリンパ組織が、粘膜免疫で重要な役割を果たすIgAの産生に重要な場であり、腸内細菌叢の制御に関与していることを突き止めました/ 本研究では、虫垂リンパ組織が大腸に動員されるIgA陽性細胞を産生する場であることを明らかにしました。さらに、虫垂がなくなると、大腸の腸内細菌叢のバランスが崩れることも明らかにしました/ IgAは腸内細菌叢の維持に重要な抗体であることから、虫垂は腸内細菌叢のバランス異常によって発症する炎症性腸疾患の制御にも関わる重要な組織であると考えられます。今後、虫垂を標的とした炎症性腸疾患への新たな治療法の開発が期待されます/ 今後、虫垂リンパ組織の重要性を念頭においた腸管免疫系の制御法が開発されることにより、炎症性腸疾患や腸管感染症の治療に繋がることが期待されます> とある。

 "潜伏する病気" に対する "早期発見/早期治療" という原則は、その病気に対する "治療法" がほぼ完成している場合には異論のないところであろう。
 これに対して、現状での "治療法" が、残念ながら "根治" には届かず "症状悪化の遅延/抑止" という段階だとするならば、患者側の心境は複雑とならざるを得ない......。
 "アルツハイマー病" の "予見" に関する現時点での、悩ましく複雑な現状についてなのである。

 ◆ 参照 アルツハイマー病予見に関する当誌記事
  アルツハイマー病原因物質"βアミロイド"検出の薬剤 国内向けに開発!(GEヘルスケア)/当誌 2014.04.10

 下記引用サイト記事アルツハイマーの予見法、実用化目前か/毎日新聞/2014.04.09 は、"こうした現状" を、"患者側の複雑な心境" をも踏まえつつ "リアルな全体像" として照らし出している

  確かに、<最近では、早期発見や早期診断で得られた数々の知見に基づいて、かなり早い段階から病気の進行を食い止める新たな治療法の開発が大きく前進しつつあるという。「治療の開始時期が早いほどその効果は大きく、おそらく治療後もかなり良好な経過をたどることになるだろう>(下記引用サイト記事) とする展望が開かれているようではある。 まさに、"早期発見/早期治療" という原則が支持強調される側面である。

 だが、もう一方で、<だがその一方で治療法の選択肢が限られているため、リスクを抱えた人は発症前検査に対して消極的になる傾向がある。医薬品、医療倫理、および保健政策に詳しいペンシルベニア大学医学大学院のジェイソン・カーラウィッシュ(Jason Karlawish)教授は、「自分のためになるからと検査を勧められても、私は断るだろう。いずれ発症するとわかっても、生きることへの不安が膨らむばかりだ」と語る。> という側面も看過できないようである

 <効果的な治療方法の開発には信頼できる検査方法の確立がポイントになる> ことは分かるし、そのために、"発症前" に遡った "潜伏状態の患者データ" の蓄積が必要なことも分かる
 しかし、"予見" と称する "予告される!アルツハイマー病" を、"恐怖感!" 無く受け容れられるような聖人(?)は決して多くはなさそうに思うが......。

 "アルツハイマー病" の原因とされる "アミロイドβ" の脳内沈着については、現状では、"早期発見/検出" と "早期抑性の治療" が重要な対応だとされている

 そのため、脳内における "アミロイドβ" の沈着度合いを検出する技術が次々と開発されてもいる

 ◆ 参照 1. "アミロイドβ"の検出に関する記事
 (1)早稲田大の逢坂哲弥教授と朝日透教授らの研究チームは、アルツハイマー病の原因物質を短時間で検出する技術を開発した。高性能な半導体センサーを使い、病気の原因とされる物質をとらえる。将来、血液による検査も可能になれば、病気の早期診断につながると期待される/ アルツハイマー病は認知症のうち7割を占める。脳内にアミロイドβ(ベータ)という物質がたまって病気を発症するとされる。アミロイドβは脳から血液にも流れ出るとされ、検出できれば早期診断につながる/ 研究チームは半導体センサーを改良。アミロイドβが付着すると、半導体に流れる電流が変化し検出できる。実験では水に溶かしたアミロイドβを1時間以内でとらえた> ( アルツハイマー病の原因物質を短時間で検出する技術開発(早大)!病気早期発見に期待!/当誌 2014.03.28

 (2)米ジョージタウン大学などの研究チームは10日までに、将来的にアルツハイマー病を発症するかどうかを極めて高い精度で予見できる血液検査法を開発したと発表/ 研究チームは血液検査で手軽に調べられる脂肪の値に着目。米ニューヨーク州とカリフォルニア州に住む70歳以上の健康な高齢者数百人の血液を調べた/ このうち28人が5年後に、アルツハイマー病やその前兆となる軽度の認知症状を発症。この28人の脂質を調べたところ、特定の10種類の脂質の値が、発症しなかった人に比べて低くなっていたことが分かった/ 検証のため、アルツハイマー認知症状を発症している別の54人の血液を調べ、やはりこの脂質の値が低いことを確認/ この血液検査法では、90%以上の精度アルツハイマー病認知障害を発症するかどうかを予見できるという。症状が表れる前から予測できるのが特徴で、研究者は、脳の細胞が死滅し始めるのと同時に脂質の濃度も低下し始めるようだと解説> ( "血液検査"でアルツハイマー予見、精度90%超!(米大学) 予防/早期治療に結びつくか?!/当誌 2014.03.11

 ◆ 参照 2. その他アルツハイマー病 最新記事  "アルツハイマー型認知症"予防策の一つ!"有酸素運動"で"酵素:ネプリライシン"強化!/当誌 2014.04.01 )

 今回注目する下記引用サイト記事アルツハイマー原因物質の検出薬を開発へ GEヘルスケア/日本経済新聞/2014.04.07 - 20:09 も、これに関する記事である。

 <GEヘルスケア・ジャパン(東京都日野市)は7日、日本メジフィジックス(東京・江東)と共同で、アルツハイマー病の原因物質の一つとされるたんぱく質「βアミロイド」を検出する薬剤を国内向けに開発すると発表した。陽電子放射断層撮影装置(PET)検査で脳内に沈着するβアミロイドの分布を調べ、アルツハイマー病の早期発見につなげる。製薬会社による治療薬開発のスピードアップにも役立つ可能性がある/ 開発を計画するのは「フルテメタモール」。患者に投与するとβアミロイドがある場所に集まる性質がある。体内の放射性同位体の分布を調べるPET検査でβアミロイドの蓄積の度合いが分かる> とある。

 今回は、昨日の予告どおり、TV番組 <『人体 ミクロの大冒険 第3回 あなたを守る! 細胞が老いと戦う』/NHK スペシャル/2014.04.06 - 21:00~21:49> の、鑑賞に基づいた "紙面要約" である。

 先ず、科学ドキュメンタリーとして、"極めて精密で分かりやすいCG" を織り込んだ優れた番組であったというのが正直な感想である。

 もちろん、当該分野の研究動向の歩調を、ほとんど遅延なくフォローしていた点においても、高く評価できると思えた。
 高齢化社会と高齢病に否応なく眼が向く現時点にあって、人々の関心事に極めて "タイムリー" な番組であったことも評価し得る。

 下記番組の紙面要約で、番組のエッセンスについては、ほぼトレースしたつもりなので重複は避け、"核となる中心部分" だけを振り返ってみる

 <免疫細胞こそが老いや病を引き起こす大きな要因だとする衝撃の事実!身体を守るはずの免疫細胞が逆に身体をこわしていく。/ 肝臓内での免疫細胞の姿 大量の "マクロファージ" が一箇所(病原体ではなく肝臓の細胞)に群がる。 免疫細胞の暴走→「慢性肝炎」 何らかの誤作動が起こり間違って本来敵ではないものに攻撃を始めてしまう。 これが免疫の暴走であり、組織を破壊して老化につながっていく/ 「メタボリック症候群」(高血圧、糖尿病、心臓疾患......)も主犯は免疫細胞の暴走/ 一つ間違えると、免疫細胞の暴走によって "サイトカイン" がところ構わず撒き散らされると身体中が免疫細胞の攻撃対象と化す→全身が老いてゆく最大の原因!/ 免疫細胞たちのリーダー "T 細胞" はなぜ暴走してしまうのか?/ "胸線" 内で、"T 細胞" のアンテナが厳しく選別され、アンテナの性能の悪いものは "T 細胞" ごと壊される。 生き残る"T 細胞" はわずか5%以下!→厳しい選別を乗り越えてはじめて、"T 細胞" は、司令塔として実戦に向かう/ ところが "胸線" :思春期を過ぎるとほとんどなくなってしまう!(宿命として維持できない)/ つまり、"胸線" が無くなって、新しいT細胞の補充が不可能になると、古くなった "T 細胞" は次第に判断力を失っていく!/ "T 細胞" は、残ったものでやりくりするしかない。 思春期以降は、細胞からの十分なケアは期待できない! これこそ細胞が私たちに強いている宿命!/ この宿命は、今、大きな転換を迎えている!/ 人工 T 細胞(←iPS細胞) 老化によって新しい "T 細胞" ができなくなったのを、iPS細胞化して再生する 無限に増やせる!/ こうしてつくられた "T 細胞" には大きなメリットがある。 異物を識別するアンテナはすでに "胸線" でチェック済みのため、すぐに実戦でつかうことができる。> とある内容が、この番組の面目躍如たる部分であるに違いない。

 前回(昨日)の記事のとおり、今日では、"寿命延長/抗老化作用" といったより包括的なテーマに関する研究も進められている。(参照 "食事制限による寿命延長/抗老化作用"を進める必須の因子"NPY"(神経ペプチド)を解明!/当誌 2014.04.07
 ところが、こうしたテーマの研究において、意外と "盲点" となってきたのが "免疫システム"(とその老化) ではなかったかと思える。

 仮に、例えば "免疫老化" という現象に目が向けられた場合にも、以下のように、"老化" に伴う "免疫力低下" が "疾患発症" の原因につながるという因果関係や文脈ではなかったか。つまり、"老化" に伴って "免疫力が機能低下する" ことだけが問題視されていたと言える。

 ◆ 参照
 老化によって、病原体などに対する獲得免疫応答が著しく低下するとともに、過剰な炎症反応が引き起こされます。それにより慢性的な炎症状態が誘導され、最終的に加齢に伴う慢性炎症疾患(関節リウマチなどの自己免疫疾患)の発症増加につながると考えられています。この現象は、免疫老化と呼ばれ、免疫系の司令塔であるヘルパーT細胞の機能的な劣化が一因だと考えられていましたが、そのメカニズムは不明でした/ 山下教授らは、マウスでメニン(Menin)というたんぱく質が、ヘルパーT細胞老化を制御する鍵分子として働くことを明らかにしました。......>( 免疫システムの老化を引き起こす仕組みを発見(愛媛大学)!迫り来る"免疫老化"の危惧!/当誌 2014.04.05

 確かに、"老化" に伴う "免疫力の機能低下" が問題視されること自体は、間違いではない。それどころか重大な懸念材料である。"免疫機能の低下" によって、本来ならば防御されるはずの疾患が罷り通ってしまうからだ。

 ところが、"免疫老化" が危惧される理由は、これだけではなさそうなのである。
 "免疫システムの老化(免疫細胞の老化)" が、"免疫機能" の由々しき "誤作動" を引き起こして、その挙句に、"疾患の原因自体になり果てる!" というのである。

 これは、"免疫システム" のいわば "負の働き" ということになる。それも、いわゆる "アレルギー/自己免疫疾患" とは異なった、"老化した免疫システム" ゆえの "暴走!" だと言えそうなのである

 下記引用サイト記事(同TV番組)人体 ミクロの大冒険 第3回 あなたを守る! 細胞が老いと戦う/NHK スペシャル/2014.04.06 - 21:00~21:49 は、こうした "老化した免疫システム" がもたらす奇異な現象を、分かりやすいコンテンツで解説していた。とりあえず、"番組紹介欄" によれば以下のようになる。

 <これまで老化とは「身体のあらゆる場所が衰えること」とされていたが、最新の細胞研究「免疫細胞の衰えがその根底にある」という事実を明らかにしつつある/ 身体を守るはずの免疫システムを指揮するT細胞という免疫細胞は思春期の始まりとともに生産がほぼ終わってしまう。そのため、年齢を重ねるにつれて能力が衰え、やがて誤作動して自らの組織を攻撃するようになり、老年病や生活習慣病といった多くの病気を引き起こす原因のひとつになっている/ こうした知見により、免疫細胞の老化そのものを防ごうとするまったく新しい老化研究がはじまっている> とある。
 これは、いわば<反逆する免疫細胞!> という表現となり、一つの "宿命!" だと見なされる。
 そして、この "宿命!" への挑戦に値するのが、<人口細胞:iPS細胞> の技術なのだとされる。

 "番組" を観た上での補足は以下のとおりとなる。
  ※ この部分は、次回(明日)に持ち越すこととする

 "腹八分目" の食事が "健康によい" ことはよく知られた事実であり、ひいては "長生き/長寿" の秘訣とさえ言われてきた。
 現に、この事実には、"科学的な裏付け" も付け加えられている。


 ◆ 参照
  <40代〜60代の被験者4人での実証実験では30パーセント減らした食事を3〜7週間続けただけで、長寿を担っているサーチュイン遺伝子が目覚めて働き始めた/ サーチュイン遺伝子は殆ど休眠中で、その結果、老化が進行/ 飢餓状態になると目覚め、細胞中のミトコンドリアを活性化/ 活性酸素の害を防ぎ、免疫力低下、動脈硬化、高血糖、惚け、骨粗鬆症、脱毛白髪等の老化症状を防ぎ改善して、美肌と持久力と抗がん作用を高める/ 更に注目すべきは遺伝子損傷の修復能力で、今、福島で問題になっている放射線被曝への抵抗力も期待できる/ 減食ではなく薬物でサーチュイン遺伝子を活性化させる方法/ 薬品名はレスベラトロールで、1939年に北大の高岡道夫氏が有毒なバイケイソウから発見/ 動物実験では、長寿、抗炎症、抗癌、血糖降下、放射線障害抑止などの効果が確認/ レスベラトロールを毎日服用すれば、食事制限なしでサーチュイン遺伝子を活性化できる。レスベラトロールと同じ働きをする薬品が次々と開発されている......( NHKスペシャル/2013.06.12『あなたの寿命は延ばせる ~発見!長寿遺伝子~』より)>( "長寿遺伝子サーチュイン"と"中年太り"との関係が解明!"肥満/メタボ"では長寿不可!?/当誌 2013.12.28

 上記記事は "遺伝子(長寿遺伝子サーチュイン")" に関するものであるが、今回注目する記事は、"神経ペプチドの一つ"(アミノ酸がつながってできた分子)を焦点とした "寿命延長の研究" に関するものである

 下記引用サイト記事食事制限による寿命延長、抗老化作用の一部因子解明/早稲田大学広報室広報課/2014.04.01 が、それであり、<食事制限による寿命延長、抗老化作用> が "有効になるための前提条件" ではないかと目されている。

 <早稲田大学人間科学学術院の千葉卓哉准教授(早稲田大学人間科学学術院・早稲田大学応用脳科学研究所)、長崎大学医学部の下川功教授らのグループは、食事制限による寿命延長、抗老化作用に関して、神経細胞で発現している神経ペプチドの一つである、ニューロペプチドY(NPY)が重要な役割を持つことを明らかにしました。約80年ほど前から、ネズミに与える餌を自由に食べる量の30%程度減らす食事制限を行うと、寿命が延長することが知られていました/ 今回の研究では、NPYを持たない遺伝子改変マウスに対して食事制限を行っても、活性酸素によって誘導される酸化ストレスに対する抵抗性が高まらず、結果として寿命延長が見られないことが明らかとなりました/ NPYは摂食行動を促すホルモンの一種/ 食事制限の寿命延長、抗老化作用には、NPYが必須の因子であることが示唆されました> とある。

 <これらの研究成果から、NPYの量を増やす薬などを開発することは、老化に伴って発症率が増加する様々な疾患の治療薬になると期待> されている、というから今後の動向が注目される......。

 がんなどに対して "有意な効果があるとされる新薬" が、臨床で使えない状態を指す "ドラッグ・ラグ" という言葉がある

 <ドラッグ・ラグ(drug lag、新薬承認の遅延)とは、新たな薬物が開発されてから、治療薬として実際に患者の診療に使用できるようになるまでの時間差や遅延のことである。また、他の国や地域における使用の承認からの遅延を指して使われることもある。これらはいずれも、主として規制当局による承認の遅れに起因するものを指している
 日本においては、日本国外において既にその使用が承認されている薬剤が、国内では使用が承認されていないこと、また承認の遅れを指して使われる
>( ドラッグ・ラグ/ウィキペディア

 患者サイドにとっては、"いても立ってもいられない心境" に苛まれることは容易に想像できる

 下記引用サイト記事国立がん研究センター 小児の難治性神経芽腫の免疫療法 治験に東北大、九大も参加/ミクス Online/2014.04.04 - 03:50 は、そうした状況を突き崩すかのような朗報に値する報道ではないかと思われる。

 <国立がん研究センター(以下、国がん)はこのほど、小児がんの難治性神経芽腫の再発抑制を目的にした「抗GD2抗体免疫療法」の医師主導治験の実施施設を増やすと明かした。現在の実施施設の国がん、大阪市立総合医療センターに加え、今夏にも東北大学や九州大学でも開始する予定。14年前半に投与量や治療方法を確定させ、実施施設を増やしたうえで、オーファンドラッグとしての承認申請を目指す。抗GD2抗体免疫療法は化学療法や放射線治療終了後に行う。10年の米国での報告によると、2年間で20%の再発抑制が確認されている/ 神経芽腫は......海外では再発抑制の標準薬としてビタミンA類似薬があるが、日本では15年にわたりドラッグ・ラグの状態が続いているとされる/ 抗GD2抗体免疫療法は、神経芽腫細胞表面のGD2という糖脂質に働きかける抗体(ch14.18)を、免疫機能を高める他の薬剤と併用。......今回の治験では、両剤とも日本の承認薬ではないことから、国内で使用できる別の薬剤を用い、米国の抗GD2抗体免疫療法を再現する形で承認取得を目指す/ 同免疫療法は、欧州では13年12月に承認申請され、米国では14年前半に承認申請される見込み。日本では13年10月より国がんなどで医師主導治験が開始された。欧米での承認前に日本で治験が開始されるのは小児がんでは初めてという/ 国がんは、「海外とのドラッグ・ラグを生むことなく日本で使える仕組みづくりも視野に、今後も牽引的役割を果たしていきたい」とコメント> とある。

 規制当局側としては、当然のことながらいわゆる "薬害問題" への慎重な警戒が必要であろうことは推察できる。 が、"医師主導治験" 方式などを十分に活かしながら、患者側の強い期待に呼応してもらいたいものだと思われる......。

 "免疫(細胞)療法" というアプローチが、がん治療などにおいてもにわかに注目されている昨今だ。"三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)で懸念され続けてきた "副作用" がないことから、"第4のがん治療法" とも評されている

 そうした状況下で、やはり一つ気になるのは、そもそも高齢者層は "免疫力が低下している" と指摘されている点ではないかと思われる。
 言うまでもなく、"免疫(細胞)療法" における "がん細胞駆逐" の主役は、体内に備わっている各種の "免疫細胞" だ
 最先端の "免疫(細胞)療法" では、この "免疫細胞" の "増加/強化" が目指されてはいるようだが、"高齢者層の免疫力低下状態" は好ましい条件ではないはずだ......。

 そこで、今回注目する記事は、"高齢者層" における "免疫システム老化" という問題に焦点を合わせた。

 下記引用サイト記事免疫システムの老化を引き起こす仕組みを発見/科学技術振興機構(JST) 愛媛大学/2014.04.02 が、この問題の現状、および今後の展望とを示している。

 <日本では高齢化社会のさらなる進行により、免疫システム老化が引き金となる慢性炎症疾患、がんや感染症などの疾患の増加が危惧されており、対策が急がれています/ 老化に伴って、特に獲得免疫の応答が低下・劣化します。この現象は「免疫老化」と呼ばれ、この免疫老化が、高齢者における慢性炎症疾患(関節リウマチなどの自己免疫疾患)や発がんの増加、易感染性の誘発、ワクチン効率の低下につながる/ 獲得免疫に関わる細胞の中でも、T細胞の機能は個体の老化に大きく影響を受ける/ T細胞は胸腺でつくられますが、胸腺は加齢とともに退縮するので、老齢期においては新たなT細胞の供給が減少/ つまり、免疫老化の原因は主としてT細胞自身の過剰な分裂・増殖によって誘導される細胞老化だと考えられます/ T細胞の一種であるヘルパーT細胞は、免疫系の司令塔であり、免疫老化に伴うその機能的な劣化は、免疫システム全体の機能不全につながりますしかし、免疫老化におけるヘルパーT細胞細胞老化とそれに伴った機能異常のメカニズムはほとんど分かっていませんでした

 <山下教授らは、マウスでメニン(Menin)注3)というたんぱく質が、ヘルパーT細胞老化を制御する鍵分子として働くことを明らかにしました。次に、Meninの下流で働いて老化に伴う過剰な炎症反応の誘導を抑える分子として、バック2(Bach2)注4)というたんぱく質を同定しました。今回の研究から、ヘルパーT細胞老化に伴ってMeninの機能が弱まり、MeninBach2の発現を誘導できなくなることが、炎症状態につながる可能性が示唆されました/ 今後、この仕組みをさらに詳細に解析し、制御法を見つけることで、老化に伴う慢性炎症疾患の発症や感染症の増加の予防・治療へとつながることが期待されます> とある。

 "免疫システム老化" 解明に向けた研究は、まだ緒に就いたばかりのようではあるが、貴重な一歩が踏み出されたかに思われる......。

 前回(昨日)は、<がんの免疫療法の一種ペプチドワクチン療法> という "免疫アプローチ" に基づく "がん治療法" に注目した。"脱副作用" という "第4のがん治療法" であった。

 <がんペプチドワクチン療法は、がんに対する特異的な免疫力を高めてがん細胞をやっつける治療法。がん細胞の表面にはがん特有のペプチド(特定のアミノ酸化合物)が目印として現れるため、このペプチド人工的に合成して体内に投与することで、ペプチドを目印として攻撃するキラーT細胞(CTL)が他の正常な細胞を傷つけることなく、がんのみを攻撃する。患者自身の免疫力を高めるため、副作用が少なく、近い将来、第4の治療法として確立されることが期待されている> ( "がん免疫療法(第4の治療法)"の一種:"がんペプチドワクチン療法"!臨床試験進展中!/当誌 2014.04.03

 上記のとおり、この療法の眼目は、<がん特有のペプチド(特定のアミノ酸化合物)人工的に合成して体内に投与すること> にある、と理解できる。
 いわば、患者の体内に存在する既存の "免疫細胞(キラーT細胞)" を "けしかける(?)" ための "目印" を体内に投与することに力点があり、何らかの "免疫細胞" を直接増やしたり強化するわけではなさそうである。

 これに対して、 今回注目する記事/下記引用サイト記事 1メディネットなど、人工がん抗原ペプチドによる樹状細胞ワクチン療法を提供/マイナビニュース/2014.04.02 は、その名、"樹状細胞ワクチン療法" が示すとおり、"免疫細胞" である "樹状細胞" 自体を、その働きを強化した上で "ワクチン" として患者に投与する、というものである。

 <人工がん抗原ペプチド「MACS GMP PepTivator WT1(WT1ぺプチベータ)」を用いた樹状細胞ワクチン療法/ WT1ペプチドは有望ながん抗原ペプチドと考えられており、手術などで摘出したがん組織がない場合でも、同ペプチドを代用し、樹状細胞ワクチン療法として利用/ 今回、提供が開始されたWT1ペプチベータを用いた樹状細胞ワクチン療法は、これまで白血球の型(HLA型)によって治療が提供できなかった患者に対しても治療が提供できるほか、CTL(キラーT細胞)を活性化、増強するヘルパーT細胞を増やすことで、治療のさらなる有効性向上が期待される治療法> とある。

 この具体的な仕組みについては、下記引用サイト記事 2免疫細胞治療の仕組み/免疫細胞治療の種類/メディネット MEDI+NET の"最下段図表" が示している。
 その働きが強化された "樹状細胞" 自体が、"注射" などで体内に戻されてく手順が良く分かる

 こうした "免疫細胞" 自体を "体外" で "培養/増強" して、再び "体内" に戻すという "がん免疫療法" 手法に関しては、 "iPS細胞" 由来かどうかを超えて、以下の記事の手法でも共通している

 ◆ 参照
  ( "iPS細胞でがん免疫療法"!京大発ベンチャーが着手!いよいよ"実用化のステージ"か!/当誌 2014.03.01
  "iPS細胞"技術:"がん免疫療法"への応用目指し着実な進展!NKT細胞ほか免疫細胞培養!/当誌 2014.01.27 )

 どの "がん免疫療法" が良いのかは、いずれもが "実績づくりのプロセスの段階" にあるため、にわかには判断し難いようである。(しかも、"費用" の問題も絡んでいる......)

 こうした判断への材料の一つとなるかと考え、下記引用サイト記事 3樹状細胞ワクチン療法情報 ~医療関係者の皆様へ~/テラ株式会社/ で、<がん免疫療法の歴史>、<樹状細胞ワクチン療法』と『ペプチドワクチン療法』の比較> という記事を併せて掲載しておくこととした。

 今回は、"がんの第4の治療法" として期待されている "がん免疫療法" の動向に注目してみたい。

 <"三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)に依拠してきたとされる "がん治療" であるが、これらに伴いがちな "副作用" と袂を分かつかたちで推進されているのが、いわゆる "がん免疫細胞療法" だ。
 "がん免疫療法" とは、患者体内に備わった "免疫力/免疫細胞" を活性化させ、支援することで、"がん細胞" の動きを封じ込める治療法のことである。
 この新しい動向は、現在 "研究~臨床試験" の段階とはいうものの、かなり迅速な進展を見せているようだ。
 "がん免疫療法/がん免疫細胞療法" で有望視されているのは、"NKT細胞療法" と呼ばれる治療法!> ( 各地で進む!"がん免疫細胞療法:NKT細胞療法"臨床試験!新たながん治療の選択肢!/当誌 2014.03.13

 なお、今回、注目するのは "がん免疫療法" の一種である、"がんペプチドワクチン療法" に関するものとなる。

 なお、これとは別に、当誌では過去に、"NKT細胞療法" という "がん免疫療法" に目を向けた経緯がある。念のために以下のとおり併せて掲載しておくこととする。

 ◆ 参照 1.
 <名古屋医療センター/ 治療の効果と安全性を確かめる試験を昨年三月、始めた/ 臨床試験では、患者の静脈からの成分採血で、白血球の一部を取り出し、フラスコで培養。NKT細胞を活性化できる状態にして、再び患者の体内に点滴で戻す/ 齋藤俊樹・臨床研究センター再生医療研究部長は「抗がん剤と異なり、副作用はほとんどない」と話す/ 培養の途中で、NKT細胞の鍵になる物質「アルファ・ガラクトシルセラミドアルファ・ギャルセル)」を加える。白血球の一部と、アルファ・ギャルセルが結合し、NKT細胞と接触すると、NKT細胞が増殖、活性化する。NKT細胞が活性化すると、がんを攻撃する物質や、他の種類のリンパ球を活発にさせる物質が出て、がんの再発を抑えると期待される/ NKT細胞はT細胞、NK細胞の両方を活性化できると考えられており、従来の免疫治療の弱点を補う可能性がある」と、千葉大大学院の本橋新一郎教授(免疫細胞医学)は指摘 ( 各地で進む!"がん免疫細胞療法:NKT細胞療法"臨床試験!新たながん治療の選択肢!/当誌 2014.03.13

 さて、今回注目してみる記事は、下記引用サイト記事がんペプチドワクチン療 医大の臨床試験に24人参加/Web Hidaka 日高新報/2014.04.01 であり、"がんペプチドワクチン療法" という "がん免疫療法" に関する記事である。

 <がんの免疫療法の一種ペプチドワクチン療法に取り組む(和歌山県)県立医科大で寄付講座による臨床試験が昨年夏から始まり、半年が経過した。手術、化学療法(抗がん剤)、放射線の標準治療に行き詰まった難治性のすい臓がんと食道がんの患者を対象とし、関西を中心に24人の患者が参加。同大だけでなく、北海道から九州までの各拠点医療機関で臨床試験開始に向けた手続きもスタートした

 <がんペプチドワクチン療法は、がんに対する特異的な免疫力を高めてがん細胞をやっつける治療法。がん細胞の表面にはがん特有のペプチド(特定のアミノ酸化合物)が目印として現れるため、このペプチド人工的に合成して体内に投与することで、ペプチドを目印として攻撃するキラーT細胞(CTL)が他の正常な細胞を傷つけることなく、がんのみを攻撃する。患者自身の免疫力を高めるため、副作用が少なく、近い将来、第4の治療法として確立されることが期待されている/ 県立医科大は、消化器系がん研究・治療の国内トップリーダーである外科学第二講座の山上裕機教授を中心に、昨年、国内初のがん患者団体( 市民のためのがんペプチドワクチンの会 )による寄付講座を開設製薬企業などが主導する臨床試験には参加できないHLA(白血球の型)がA2というタイプの患者も対象とし、9月13日から正式にすい臓がんと食道がんのペプチドワクチン治療がスタートした> とある。

 "がんペプチドワクチン療法" のしくみは、<がん細胞の表面にはがん特有のペプチド(特定のアミノ酸化合物)が目印として現れるため、このペプチド人工的に合成して体内に投与する......> という、"免疫(応答)メカニズムの原点" を踏まえたアプローチとして理解できる。

 "認知症/うつ" の予防や、"脳の萎縮" の抑制に、"鶏肉"(に多く含まれる成分 "イミダゾールジペプチド" )が功を奏する、という記事が目についた

 昨日は、"アルツハイマー型認知症" 予防策の一つとして、"有酸素運動" が好ましいことに注目したが、今回は、"予防策として好ましい食品" への注目ということになる

 <鶏の胸肉に多い成分を中高年のボランティアに3カ月間、朝晩の食事の際に取ってもらったところ、脳の記憶機能に関連する部位が年齢とともに萎縮する傾向が抑えられたとの研究成果を、東京大と国立精神・神経医療研究センターのチームがまとめた/ この成分はアミノ酸で構成される「イミダゾールジペプチド> (下記引用サイト記事 1鶏の胸肉成分、記憶に効果?=中高年3カ月摂取で--東大など/THE WALL STREET JOURNAL/2014.03.29 - 05:30

 <東京大学などの研究グループが、鶏肉に多く含まれる成分のイミダゾールジペプチドに、認知機能と神経心理機能を改善する効果があることを突き止めた。試験で同成分を摂取した中高年者では脳の萎縮が抑えられ、神経の働きが穏やかになる傾向がみられた。認知症やうつの予防につながると期待できる> (下記引用サイト記事 2鶏肉で認知症・うつ予防 脳の萎縮を抑制 東大グループなどきょう研究発表 /日本農業新聞 e農net/2014.03.30

 そこで、<イミダゾールジペプチド> という成分(アミノ酸結合体)に眼を向け直すと次のようになる。

 <渡り鳥を祖先に持つガチョウの骨格筋中に豊富に含まれていることが分かりました中でも『イミダゾールジペプチド』の濃度が高かったのは、羽を動かす胸肉の部分渡り鳥が2週間以上も休むことなく飛び続けられる理由(パワーの源)がここにある>(下記引用サイト記事 3『イミダゾールペプチド』の正体/日本予防医薬) とある。
 そして、どうも "同成分" の "中心的な働き" は "抗酸化作用" ではないかと推測される。

 <『イミダゾールペプチド』の抗酸化作用イミダゾールジペプチド』とはヒスチジン(または1-メチルヒスチジン)とβ-アラニンのジペプチドである「カルノシン」と「アンセリン」のこと/ イミダゾールジペプチド』の抗酸化作用は1988年にAmes博士(変異原性試験の開発者)らのグループによって報告/ 「カルノシン」も「アンセリン」もヒトが摂取すると、血液中で速やかに単独のアミノ酸に分解され、骨格筋中に移行し「カルノシン」に再合成される/ そのとき、抗酸化作用が発揮されます/ この抗酸化作用について、ヒトの疲労試験で酸化ストレスマーカーを用いて、その変化がはっきりと確認できたのはなんと『イミダゾールジペプチド』だけだった> (下記引用サイト記事 3『イミダゾールペプチド』の正体/日本予防医薬) とある。

 "抗酸化作用" とは、体内の活性酸素を取り除く作用であり、この作用により、生活習慣病の予防や老化が抑制される、という。

 ちなみに、この抗酸化物質が、記憶に関わる "脳の神経細胞" にとっても "有効" であろうことは、以下の点からも納得させられる

 <肉や乳製品は「アミロイドβ」の凝集を促進させるそうなのでなるべく控え、抗酸化物質の多い野菜や果物をとることで、アルツハイマーの原因である「アミロイドβ」を抑制することができます。>( "アルツハイマー型認知症"予防策の一つ!"有酸素運動"で"酵素:ネプリライシン"強化!/当誌 2014.04.01

 <どうすればニューロンを長生きさせられるだろうか? (1) 運動をすること。これは、新しいニューロンの形成を促進/ (2) 細胞を損傷させるフリーラジカルを防ぐために、抗酸化物質やオメガ3脂肪酸の豊富な食事をすること/ (3) さらに重要なのは、歳をとっても頭脳を鍛えること。学習は脳の柔軟さを保ち、シナプスの形成を促進する>( 脳は決して老化しない可能性がある!但し神経細胞を損傷する可能性のある諸要因は別!/当誌 2014.10.11

 既に、"商魂逞しい" サプリメントベンダー各社からは、この成分を配合した製品(疲労回復向け)各種がリリースされているようである......。

 今や "国民病" とさえ危惧されている "アルツハイマー型認知症" に関しては、さまざまな視点からの関連記事をフォローし続けている

 "原因" に関わるもの、"治療法/治療薬" に関するもの、"症状の進行抑制" に類するもの、そして "予防効果あり" と目されるもの......

 ◆ 参照
  ※ "食生活で予防" に関連 ( "揚げ物"を摂りすぎるとアルツハイマー型認知症リスクが増大!? 食生活での予防先決!/当誌 2014.03.25
  ※ "有酸素運動で予防" に関連 ( ランニングなどの有酸素運動が、脳の老化阻止/海馬の"神経幹細胞"新生/記憶能力増大!?/当誌 2014.03.23
  ※ "Aβ分解促進" に関連 ( (再)"自衛機能"として!アルツハイマー病から脳を守る細胞内の「掃除屋」タンパク質!/当誌 2014.03.16
  ※ "症状の進行抑制" に関連 ( (再) 脳梗塞予防の既存薬「シロスタゾール」!アルツハイマー型認知症の進行を抑制!/当誌 2014.03.12

 いずれの "視点" も欠かせないはずだが、"予防効果あり" と目されるものについては、より注目されてよいかと思っている。 (併せて、"認知症患者" の "介護" については、喫緊の課題だと思いつつも手薄となっている......)

 今回注目する記事は、"予防効果あり" と目されるものであり、相応に説得性があると得心できる "有酸素運動で予防" というアプローチの記事である。

 その "説得性根拠" の一つには、"アルツハイマー型認知症" の "原因物質" と考えられている "アミロイドβ" を "分解" する "ネプリライシン(Neprilysin)" という、体内に備わった "酵素" の働き云々というメカニズムが控えていると窺える

 しかも、この "ネプリライシン" は、日常的な "有酵素運動" によって "働き強化" が有効だとされている点、そこが、庶民にとっての "自己防衛策" として注目に値するわけだ。

 先ず、この "ネプリライシン" 自体の "効能" については、下記引用サイト記事 2アルツハイマー病の血管からの投与による遺伝子治療実験に成功――簡便な方法でアルツハイマー病予防となる潜在力をもつ――/独立行政法人理化学研究所 国立大学法人長崎大学/2013.03.18 で確認することができる。

 <脳内のを分解するのがネプリライシンと呼ばれるタンパク質分解酵素で、加齢や症状の進行とともにネプリライシン量が低下することが知られています。アルツハイマー病の症状を緩和するため、ネプリライシン遺伝子をウイルスベクターで直接脳内に注入し、ネプリライシンの活性を増強して量を減少させるという治療法があります。......

 同記事の "眼目" は、"ネプリライシン" をどのように "脳内患部" に届けるかの方法なのではあるが、"ネプリライシン" 自体の "効能" については、

 <(マウス)脳内のアミロイドやAβ重合体の量が減少/ また、空間学習や記憶能力をみる迷路試験を行ったところ、野生型マウスのレベルまで認知機能が回復することを確認> とある。

 そこで次に、この "ネプリライシン" が、"有酵素運動" によってどのように "生成/活性化" されるかに関心が向くことになるわけだ

 下記引用サイト記事 1ネプリライシン 食品と運動で増やし アルツハイマー予防に/トレンドニュース9.jp/2013.10.01 は、決して実証的研究成果に関するものではないのだが、説得力がある。(このテーマでの実証的研究は散見されるところだ。 ex.「マウスの実験で、運動をすると、アルツハイマー病の危険度がおよそ3分の1になった」との記事など......。)

 <ネプリライシンの減少と有酵素運動/ しかし残念ながらこのネプリライシン、60才を過ぎると体内での生産量が低下してしまいます/ しかし有酵素運動で増やすことが出来るそうです/ 有酵素運動とは、エアロビ、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどの、一定時間以上継続し脂肪を燃焼させる運動のこと/ ダイエット目的でこれらの運動を行っている人も多いですが、それと知らずにアルツハイマーの予防になっていたなんて一石二鳥> とある。

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