科学一般: 2014年7月 アーカイブ

 つい最近のことだが、"音楽家の坂本龍一さん中咽頭がん" 、"落語家の林家木久扇さん" が喉頭がん" という "のどのがん" に襲われたとの報道が相次いだ。( ちなみに、2011年には、落語家・立川談志喉頭がんで死去 )

 "酒やたばこ" と縁が切れない男性たちは、とかく "のどの調子がいまひとつ......" というのが常態(?)のようだから、そんな報道にはギクッとさせられたのでは......。

 しかし、"中咽頭がん" や "喉頭がん" と言われてみても、その場所がどこなのかを正確に言い当てられる方は多くないのかもしれない


 そこで、今回注目する下記引用サイト記事違和感続けば耳鼻科を 酒やたばこで男性に多い、のどのがん/東京新聞/2014.07.29 は、"のどのがん" の概略を知る上では大いに参考になると思われた

 <のどにできるがんは、圧倒的に男性に多いという特徴がある。最近では、音楽家の坂本龍一さん(62)が中咽頭がん落語家の林家木久扇さん(76)が喉頭がんの治療に専念すると報道された。酒やたばこが原因となることが多く、長期間のどに違和感が続くような場合は耳鼻咽喉科を受診したい (砂本紅年)/  どこの病院でも、耳鼻咽喉科でのがん患者が増えています」。国立がん研究センター中央病院・頭頸部(とうけいぶ)腫瘍科長の吉本世一(せいいち)医師(50)は説明する/  耳鼻咽喉科の「咽喉」は、「咽頭」「喉頭」を合わせたのどを指す。のどは途中で食道と気管の二つに分かれるが、食道の上部にあるのが咽頭気管の上部にあるのが喉頭だ。それぞれにできるがんを混同している人が多いが、性質は異なるという/  まず、喉頭 は声帯があり、気管や肺に通じる空気の通り道。このため、たばこによる炎症からがん化することが多い。喉頭がんは、声がかすれるなどの症状で分かることが多い/  一方の咽頭 は、食道から胃に通じる食べ物の通り道。場所によって上中下に分かれる。喉頭がんと違って、症状があまりなく、首のリンパが腫れるなど進行した後に見つかりやすい下咽頭は特に酒による炎症からがん化しやすく、咽頭がんの中で最も多い。特定のウイルスが原因の上咽頭がんは日本人には少ない/  中咽頭 は酒、たばこの両方の影響を受け、原因の半数以上を占める。がんのできる部位の多くは扁桃だ。近年は酒やたばこ以外の原因に、子宮頸(けい)がんの原因にもなるヒトパピローマウイルスがあることが分かっている。この場合は放射線治療、抗がん剤がよく効き、予後(治療後の病状の見通し)がいい。一方、酒やたばこが原因の場合は比較的予後が悪く、しっかりとした治療が必要だ。米国ではウイルス由来が六、七割に上り、今後日本でも割合が増えていくとみられる。  喉頭がんも咽頭がんも、通常の定期健診では検査しない。のどの違和感やのみ込みの引っかかり感が一カ月以上続いて、数カ月単位で症状が悪化している場合は受診したい/  一般的に、早期がんは放射線治療、進行がんは手術が中心だが、最近は手術や放射線治療が進歩し、患者の病状やがんの性質などによって治療法を個別に選ぶことが多い。進行がんでも治る確率は十分にある。治療の後遺症も以前に比べれば少なく、再建手術の技術も向上している。  ただ、酒やたばこが原因の咽頭がんは、数年後に食道がん、肺がんなどになる割合が二、三割に上る。喉頭がんも肺がんになりやすく、引き続き注意が必要だ。吉本さんは「日本人はアルコール分解酵素が弱い体質の人が多く、飲酒の影響を受けやすい。たばこの副流煙も発がんのリスクになる。飲酒を控え、本人はもちろん周囲の人も禁煙することが何よりの予防だ」と話している> とある。




















 確かに "早期発見、早期治療" という掛け声は、あたかも医療の基本、常識を代弁しているかの感がある。

 確かに、同じ "根治" が望めない病気であっても、 "アルツハイマー型認知症" なぞは、脳内への "アミロイドβ" 蓄積の兆候を捉えて薬服用などの早期治療を始めると、症状を遅らせることができるとされている。
 ただし、"がん" の場合は、事情がいささか複雑なようなのである。
 いわゆる "がん検診" は、"早期発見、早期治療" が決まり文句として唱えられ、多くの人々が概ね賛同するかたちで対応されているのかもしれない。
 ところが、"がん" というものは "早期発見された場合" には、"早期治療によって治せる" と限ってはいない点、そこが問題なのだそうである。
 つまり、"がん" は、"小さな腫瘤をより早く発見"="克服可能性大" という分かりやすい図式が成り立つような単純な構造ではなさそうなのである。―― 深入りはしないが、 "転移" という問題が隠れているから ―― 「初期の小さなうちに発見できたのでよかった!」で済ますことができない、ということなのである。
 したがって、"がん検診" については、"早期発見、早期治療" というスローガンの下で、何の不思議もなく実施され、そして参加するという流れが、果たしてそれでいいのかどうか反芻されても良さそうに思えるわけだ
......。


 さて、今回注目する下記引用サイト記事【家庭医が教える病気のはなし】(62) がん検診、早期発見の功罪/msn 産経ニュース/2014.07.29 - 09:03 は、その根拠として挙げられた点にいま少し踏込みがあっても良いかとも思われたが、それはともかく "早期発見" を謳い文句とした "がん検診" には、デメリットもあり! という疑問を呈している

 <検診は、特定の疾患の早期発見により早期治療を提供するためのものです/  検診も健診と同じように、(1)早期発見のための検査のふるい分け基準が明確である(2)診断後に有効な治療法がある― の2つの条件を満たす必要があります。ただし、これは必要条件にすぎず、十分条件ではありません/  読者の多くは、「がんは早期発見が第一」「検診で早く見つければ見つけるほどいい」と思われているかもしれません。医療従事者でそう思っている人も多いようです。しかし、がん検診を専門とする者の立場からすると、これはそんなに単純な問題ではありません。早期発見には実はさまざまな害があるのです/  分かりやすいのはまず、お金です。個人が自己負担で行う任意型のがん検診は別ですが、症状のない人を対象に早期発見のために行う対策型のがん検診は、国や自治体の厳しい財政状況の中、何十億円の費用を使ってようやく1人のがん死亡が予防できるというような状況では、社会全体としては害となってしまいます/  もう一つの問題は、本当はがんではないのに、がんと診断される偽陽性者の問題です。対策型のがん検診はコストを抑える必要があり、より安価で簡便な方法で、かつ見落としを少なくするために、疑わしい人をなるべく広く拾い上げるという戦略を取ります。その結果、本当はがんではないのに、がんの疑いで精密検査を受ける人が多くなるのを避けることができません/  がん検診で「精密検査が必要」と言われた人は、それだけでも不安な気持ちになります。さらに医療保険を使い、自己負担もしたうえで、苦痛を伴う検査を受けなくてはならず、これはがん検診の最も大きな避け難いデメリットといえるでしょう。もちろん、精密検査で問題ないということで得られる安心というのもあるわけですが、安心ばかりが強調され、不安の問題がないがしろにされている面があると思います/  がんの早期発見には多くのコストがかかり、そのうえ、偽陽性の問題を避けられない。まず、このがん検診のデメリットについて押さえたうえで、そのデメリットを上回るメリットがあるかどうかが対策型のがん検診に問われているのです。(武蔵国分寺公園クリニック院長 名郷直樹)> とある。

 一ヶ月ほど前に、"抗がん剤曝露" という話題について注目することがあった。

 その種類は別にして、診断結果として "がん宣告" を受けてしまうと、ほぼ "自動的に(!?)選択される" のが "抗がん剤治療(化学療法)" だと言われる。
 というのも、この "抗がん剤治療(化学療法)" が、多くの場合 "標準治療(お勧めコース?)" と定められているからだ。
 だが、最近では、この "抗がん剤治療(化学療法)" を拒む患者さんも現れているようなのだ。 それというのも、この "抗がん剤" の "副作用" がかなり "辛い!" ものであると同時に、"抗がん剤" 自体の "有害さ (毒性)!" が指摘されるようになってきたからである。
 ところで、この "有毒性!" に関して、妙に説得力を与えることになったのが、今回も再度注目する "抗がん剤職業曝露" という問題ではないかと思われる。
 医師や看護師、薬剤師らが、"意図せず接触、吸引" しただけでも "有害" と見なされ始めている "抗がん剤" の "毒性" が、"がん患者であれば、その使用はやむを得ない" とする判断は、どこかムリがあるように見えるのだが......。
 やや長い引用で恐縮ではあるが、◆ 当誌過去の "抗がん剤曝露" 関連記事 に、先に目を通していただきたい


 (1) <抗がん剤を取り扱う医療従事者の健康被害を防ごうと、医師や看護師、薬剤師らが「抗がん剤曝露(ばくろ)対策協議会」を設立し、危険性に関する啓発や汚染対策などの活動方針を28日までに公表/  抗がん剤は主に点滴で投与され、がん細胞だけでなく正常な細胞に対しても強い毒性がある。点滴液の交換時や患者の排せつ物の処理の際に触れたり揮発物を吸い込んだりして体内に入り、健康被害を起こす恐れが指摘されている。海外では看護師の血液中の白血球でDNA損傷が増えたとの報告もある/  協議会は今後、薬液が外部に漏れにくい器具を使用したり、ガウンや手袋の着用を徹底したりする安全対策を進めるよう呼び掛ける/  病棟の汚染状況や健康被害の実態調査もしたいとしている/  抗がん剤の運搬や投与を担当することの多い看護師に対策の必要性が十分に知られていないという。協議会理事長の垣添忠生国立がん研究センター名誉総長は「在宅医療で抗がん剤を使うケースも増え、家族が薬剤にさらされることもある。医療従事者に限らず、対策の意識を高めていきたい」と話した> ( 抗がん剤の強い毒性!医師/看護師/薬剤師ら「抗がん剤曝露(ばくろ)対策協議会」設立!/当誌 2014.06.30

 (2) 医療従事者の"抗がん剤曝露量"とは何?"抗がん剤"は"正常細胞"にも作用するため警戒?!/当誌 2014.06.27

 (3) <【 背 景 】 多くの抗がん剤は、がん細胞に対しては殺細胞作用がある一方、分裂している正常細胞に作用し、変異原性、催奇形性、発がん性がある医療従事者が抗がん剤に曝露する経路としては、エアロゾルの吸入、皮膚・目への付着、汚染された手指からの食物などを介した経口摂取などが考えられる。近年、医療従事者の抗がん剤曝露について啓発・予防が行われており、本院においても抗がん剤を安全に取り扱うための指針を作成した。しかし、医療従事者が実際どのくらい抗がん剤に曝露されているのかの調査報告は少ない>/  【 目 的 】 外来化学療法センターにおける環境中のシクロフォスファミド(CPA)フルオロウラシル(5-FU)を測定し、医療従事者の抗がん剤曝露リスクを明らかにする>/  【 結 果 】 測定箇所は全部で21箇所、うち8箇所(38%)から抗がん剤が検出された。CPAは男女トイレ床、病室入口と点滴棒下の床および看護師グローブの5箇所から検出された。特に男子トイレ床では、すべての測定日にCPAが検出され、1回平均217.6 ng/100cm2であった。5-FUは男子トイレ床、病室内PCマウス、薬剤トレイの3箇所から検出された> ( 抗がん薬の職業曝露 外来化学療法センターにおける抗がん剤環境曝露の現状/日本癌治療学会

 (4) < この取材のとき、「抗がん剤の恐さを知るには、これを見るのがいちばんです」と出してくれたのが、5-FU という日本で広く使われている抗がん剤の医師向け添付文書でした。...... ここにはカラー頁(64頁~)で示すように、冒頭いきなり「警告」と真っ赤な文字で大書された警告文が出てきます。
 医師向け添付文書というのは、その薬物の組成、効能、用法容量などが詳しく記された文書です。その文書によると 5-FU は高度に毒性が強い薬物で、用法をまちがえると、容易に死者を出しかねないということで(実際死者は沢山出ている)、いきなり真っ赤な警告文が出てくるわけです。そして「使用上の注意」の項には、「重篤な副作用」があらわれて、「致命的な経過をたどる」可能性に注意がうながされ、つづく「重大な副作用」の項には、「激しい下痢」「壊死性腸炎」「ショック、アナフィラキシー」「白質脳症(神経麻痺)」「神経梗塞、狭心症」「急性腎不全」「間質性肺炎」「胆管壊死」などなど命が幾つあっても足りなさそうな重大な副作用がズラリと十六項目も並んでいます。それを読んだだけで、こんな薬物絶対服用したくないと思います
 これはどういう抗がん剤かというと、RNA を破壊することによって、DNA の合成を阻害する薬です。あらゆる細胞増殖は DNA の情報を RNA が外部に持ち出して、その情報をもとに RNA がアミノ酸をかき集めてきて、タンパク質を合成するという形で行われていきます。具体的な作業は全部 RNA が行います。5-FU はその RNA を軒並み破壊するわけです。5-FU を使えば、確かに DNA 合成が止められ、細胞増殖は止まります。しかし同時に、RNA 破壊で体内のあらゆる細胞の働きが止まってしまうので、とんでもなく広範な副作用があらわれるわけです。近藤さんの『新・抗がん剤の副作用がわかる本』(三省堂)によると、5-FU が属するフルオロウラシル系抗がん剤が広く使われている( 数十万人に処方され数百億円の売上げになっている )国は、世界広しといえども日本だけで、欧米では全く使用されていないといいます。......
> ( 立花隆 NHKスペシャル取材班 『がん 生と死の謎に挑む』文芸春秋 2010.12.15。 なお同書は、NHK番組 "NHKスペシャル 2009年11月23日放送" と連動 )


 さて、今回注目する下記引用サイト記事抗癌剤曝露の定期的なモニタリングと曝露を軽減するための対策が必要、抗癌剤職業曝露の実態調査の結果【臨床腫瘍学会2014】/日経メディカル 癌Experts/2014.07.23 では、"抗がん剤職業曝露" の実態調査が進められた喫緊の事例が紹介されている

 <外来化学療法室における抗癌剤職業曝露の実態調査において、使用頻度・使用量が多い 5-FU について調査したところ、安全キャビネットの作業台、患者用トイレ、ミキシングを行った薬剤師のガウンと手袋から 5-FU が検出されたことがわかった。7月17日から19日まで福岡市で開催された第12回日本臨床腫瘍学会学術集会で、九州大学病院外来化学療法室の河野裕子氏が発表した/  抗癌剤の多くは、抗腫瘍作用のみでなく、発癌性や催奇形性といった有害な作用も有している。ごく少量の抗癌剤に間欠的に曝露した場合の人体への影響を前向きに立証することは困難であるが、医療従事者が抗癌剤を取り扱う際に、飛散や曝露を防止するための対策が必要と考えられる/  河野氏らは、抗癌剤を取り扱う現場の汚染リスクを評価し、今後の対策に役立てるため、抗癌剤曝露調査を行った。  同院では抗癌剤曝露防止マニュアルを作成、医療従事者に抗癌剤曝露を防止するための対策をとるよう奨励している/  医療従事者モニタリングの結果、 5-FU が検出されたのはミキシングを行った薬剤師のガウンと手袋だった。ミキシングを行っていない薬剤師の白衣、および医師と看護師の白衣からは検出されなかった。1日(2013/12/13)に 5-FU のミキシングを行った件数が8件、160.14gと最も多かった薬剤師のガウンからは、316.5ng/100cm2、手袋(1枚当たり)からは536755ng/100cm2が検出された/  河野氏は「今後、抗癌剤曝露について多く報告されているエンドキサンなど、他の抗癌剤についても調査を行い、モニタリングの指標となりうるか、検討が必要。今回の検討では測定期間が5日間×1回、1日間×2回であり、偶発的な数値である可能性も否定できない。今後も定期的にモニタリングを継続し、抗癌剤曝露を軽減するための対策を講じる必要がある」と考察した> とある。

 全国各地を網羅するかのような猛暑! そして、うなぎ登りで増えているのが "熱中症患者搬送件数"!

 やはり "盲点" があったかのかもしれない。
 その一つは、ありふれた事実かのだが、「自分は大丈夫だ」という根拠のない思い込み。特に、"屋内で発症した人" の大半は「自分に起こるはずはない!」と思っていたかのような点......。
 もう一点は、"熱中症" が起きてしまうプロセス! "熱中症" は、突然それに見舞われるというよりも、"発汗がストップする" といった "脱水症" が先行し、そして "熱中症" へと突き進むという進行のあり方である


 今回注目する下記引用サイト記事猛暑「かくれ脱水」に注意 兆候知って熱中症予防/msn 産経ニュース/2014.07.26 - 21:41 は、こうした "熱中症発症のメカニズム" を解説している。

 <日本列島の広い範囲で厳しい暑さが続いている。夏の行楽シーズンで外出の機会も増えそうだが、熱中症の危険性も高まるため、その兆候を知っておくことが予防には有効だ/  熱中症の予防に取り組む医師や看護師らのグループ「教えて!『かくれ脱水』委員会」(東京)は、深刻な脱水状態の一歩手前を「かくれ脱水」と名付け、予防策などをホームページで公開している/  同委員会によると、脱水状態になると発汗がストップし、熱中症につながる。そのため、熱中症対策の基本は脱水症対策と主張。特に高齢者と子供は脱水状態に陥りやすいため、より警戒が必要としている/  そこで、高齢者向けに、400人の臨床研究を基に開発した「かくれ脱水チェックシート」を作成。「皮膚がカサつくようになった」「便秘になった」などの項目で危険度を確認できる。子供向けには、子供の体調変化などから分かるかくれ脱水の発見方法を公表している/  同委員会は「自分は大丈夫だと思いがちだが、脱水症や熱中症は身近な病気。兆候を知ってもらい、予防に努めてほしい」と呼びかけている> とある。

 昨日、着目した "医療ミス!" と並び、医療現場では何としても避けてもらいたいのが "薬の副作用死!" ということになるはずだ。

 "新薬が、効く、効かない" という事象があることはそれはそれとしても、"認可された薬" が原因で、服用患者が死亡に至る! というのは何ともやり切れない。

 軽度の副作用で悩まされるどころではなくて、こうした "副作用で死亡する!" というケースの場合は、製薬会社を含めた医療側の責任が大きく問われなければならないのではなかろうか


 今回注目する下記引用サイト記事C型肝炎薬で15人副作用死...「田辺三菱」製/読売新聞/2014.07.26 は、"C型肝炎治療薬" 使用の治療において、"15人もの副作用死亡者!" が出ていたことを報じている

 <2011年に発売されたC型肝炎治療薬テラビック」(一般名・テラプレビル)を服用した患者の4人に1人に全身の皮膚炎や肝不全などの重い副作用が起き、15人が死亡していたことが、製造販売元の田辺三菱製薬(大阪市中央区)などへの取材でわかった/  発売前の臨床試験(治験)中から副作用の危険性が指摘され、重い肝硬変や肝臓がん患者は処方の対象外となっていた。しかし死亡例の多くで医師の判断で対象外の患者に投与されていた/  同社によると、テラビックは11年11月の発売以降、昨年9月までの約2年間に1万1135人が服用、23%の2588人に重い副作用症状が出た。うち13人が肝不全や皮膚炎、腎障害などで死亡、さらに今年2月までに2人が亡くなった。いずれも薬の服用との因果関係が疑われた/  テラビックは、治験中に重い副作用が頻発したため、厚生労働省は市販にあたり、同社に第三者委員会の設置を指示。同委による分析で対象外の患者への使用が判明した/  同委の報告書によると、ある高齢女性は、過去に肝硬変と診断されていたが、医師が処方を開始。食欲減退などの症状が出たが、同じ治療を約3か月間継続。肝炎ウイルスは検出されなくなったものの、急性肝不全で死亡した/  60歳代の男性患者は服用開始直後に皮膚の発疹などが現れ、いったん治った。ところが50日目に再発した後は悪化の一途をたどり、全身の皮膚がただれて亡くなった。同委は、副作用の兆候を見逃した疑いがある例と判断した/  この薬は皮膚の状態を注意深く観察すれば、副作用の悪化が防げることが治験で判明。厚労省は処方可能な医療機関を肝臓病と皮膚病の専門医がそろう約800施設に限っていた/  同社によると、死亡例以外でも、服用した人に副作用の兆候である皮膚の症状が現れたのに、専門医が重症化を防ぐ措置を十分に行わなかった例も目立ったという。薬の副作用に詳しい「医薬品・治療研究会」代表の別府宏圀(ひろくに)医師(75)は「専門医に限る対策が根本的な副作用対策にならないことは、過去の副作用被害でも明らかだ。今回の問題点を検討し、警鐘とすべきだ」と話している/  テラビック 肝炎ウイルスの増殖を抑える飲み薬(1日3回)で、免疫を活性化させる治療薬の注射(週1回)と、抗ウイルスの飲み薬(1日2回)と併用する。昨年12月、副作用が少ない新たな治療薬が発売され、テラビックの使用量は減少傾向にある> とある。

 "がん放射線治療法" は、がんの"三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)の一つとなっている。
 これらの治療法は、必ずしも問題なしとはされず、その評価もいろいろと分かれているのが現状であろう。が、少なくともあってはならないのは "医療ミス" である。

 ただでさえ、がん患者は "余命、再発、転移......" といった身に迫る不安材料によって、精神状態は揺らぎ続けているに違いなかろう。
 そこへ持って来て、"医療技術の稚拙さ" に由来する "医療ミス" まであったのでは、がん患者はおちおちしてはいられまい。

 がんを対象とするだけに、"除去手術/抗がん剤/放射線" は、その副作用からも窺えるところだが、いずれも行使される影響力はいわば重火器に匹敵(?)するほど大きい
 それだけに、"操作ミス、判断ミス" を含む "医療ミス" は絶対に回避されなければならないはずだ


 今回注目する下記引用サイト記事がん放射線治療で誤照射 7人健康被害か/NHK NEWS WEB/2014.07.24 - 17:35 は、"がん放射線治療法" における、看過できない "医療ミス" について報じている

 <神奈川県伊勢原市にある東海大学医学部付属病院で、がんの放射線治療を行った100人の患者に対し、患部以外の誤った場所に放射線を当てていた医療ミスで、このうち7人の患者に皮膚のえ死などの重い健康被害が起きていた可能性のあることが分かりました/  東海大学医学部付属病院では、去年12月、子宮がんなどの放射線治療を行った100人の患者に対して、患部から3センチずれたところに誤って放射線を当てていた医療ミスが明らかになりました/  font color="#800080">それによりますと、今回の医療ミスが原因で100人の患者のうち7人に、皮膚のえ死や排尿障害などの重い健康被害が起きていた可能性があるということです。7人のうち5人はすでに完治したものの、2人は現在も治療を続けているということです
/  また、報告書では、医療ミスの原因について、経験のない放射線技師が担当したことや、前の担当者からの引き継ぎ不足、それに、医療機器メーカーの説明が不十分だったことが重なったとしています......> とある。

 "除去手術/抗がん剤" 治療法が、種々の弊害もあって見直しがなされる状況で、"放射線治療法" の意義については色褪せてはいないようだ。
 ただ、医療界において、"放射線治療科" の存在比重は思いのほか小さいままであったとも言われ、この分野の飛躍発展には多少時間が掛かるのではないかとも
......。

 "心筋梗塞" などによって、心臓がダメージを受けると、大量の心筋細胞が破壊されることになるが、ヒトを含む哺乳類は失われた心筋細胞を元に戻す自己再生能力を持っていない
 そこで、人工的に心筋細胞をどう "再生" させるのか?! というこの点が、"心筋梗塞再生医療" の中心課題となる


 ◆ 参照 当誌過去の "心筋梗塞再生医療" 関連記事
  <皮膚や心臓に含まれる細胞を、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を経ずに効率良く心筋細胞に変化させることに成功したと、慶応大の家田真樹特任講師(循環器内科)らの研究チーム......> ( 心筋梗塞再生医療!iPS細胞を経ずに"効率良く"体内での心筋細胞作製に成功(慶応大)!/当誌 2014.06.13

 今回注目する下記引用サイト記事心臓静脈できる仕組み解明 タンパク質が血管新生/msn 産経ニュース/2014.07.22 は、"心筋梗塞再生医療" に、"心筋細胞" 再生とは別のアプローチ ―― 心臓表面での"血管新生" ―― から貢献するであろう画期的な研究成果が紹介されている

 <心筋細胞からAng1が分泌されないと、マウスの胎児の心臓に冠静脈が作られなかった/  血液を供給するため心臓の表面を走る冠静脈」が作られる仕組みを大阪大や京都大、東京大などのチームがマウスを使って解明し、22日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した/  心筋の細胞が分泌するアンジオポエチン1Ang1)というタンパク質が、冠静脈を作るよう他の細胞に働き掛けていた/  心筋梗塞などで、詰まった血管のかわりに新しい血管を作り出して治療する手法の開発に役立つという/  チームの中岡良和大阪大助教らは、心筋細胞からAng1を分泌できないマウスの胎児を使って実験/  分泌されない場合は、胎児の心臓で冠静脈が作られないことを明らかにした。心臓のすぐそばにある「静脈洞」という部位に血管を作る内皮細胞が未分化の状態で存在し、Ang1の作用でこの細胞が冠静脈になることも確認した> とある。

 "アルツハイマー病" 患者数は、全世界で4400万人に上り、50年には1億人を超えると推測されているという。先進諸国での高齢化の趨勢が拍車を掛けているようだ。

 にもかかわらず、"アルツハイマー病" に対する "治療薬" の "開発" 状況が、現状芳しくないのだそうである。

 ちなみに、国内での "アルツハイマー病向け治療薬" の状況は以下のとおり


 ◆ 参照 当誌過去の "アルツハイマー病向け治療薬" 関連記事

  <アルツハイマー型の認知症には有効な薬が 4種類/  以前は、アリセプトという薬だけだったのですが、3年ほど前からレミニールリバスチグミンパッチメマリーという薬が出て来て、治療薬の選択肢が随分増えてきました/  アリセプトレミニールリバスチグミンパッチは同じ系統の薬(コリンエステラーゼ阻害薬)なので、一緒に使うことはできません/  メマリーという薬は、この3種類とは別系統の薬(NMDA受容体拮抗薬)なので、一緒に使うことができます/  アリセプトレミニールリバスチグミンパッチは、コリンエステラーゼ阻害薬と呼ばれ、アセチルコリンという物質を脳の中で増やす働きがあります/  アルツハイマー型認知症になりますと、アセチルコリンという物質が減ってきます。アセチルコリンが減るたびに、物忘れが起こってくるのです。減ったアセチルコリンを増やすことによって、記憶を改善させる働きがあります/  アリセプトには5割ほどの「改善」例がありますが、「不変」例は35%/  アルツハイマー型認知症のように、ゆっくりと徐々に進行してくる病気の場合には「不変」であっても進行を抑制できている可能性がある/  「不変」であっても「効果」のうちである可能性がありますので、安易に服用をやめないようにしていただきたい/  リバスチグミンパッチは、レミニールアリセプトと同じ系統のコリンエステラーゼ阻害薬ですが、違いは貼り薬だということです。これを胸や背中に貼ると、効果が出ます/  メマリーは、コリンエステラーゼ阻害薬と併用することができるのですが、病気がある程度進行した人に対して使うことができる薬/  薬の選択の幅は広がっているのですが、残念ながら、まだ根本的にアルツハイマー型認知症を治せる薬はありません> ( 増えてきた"アルツハイマー病の治療薬"!気をつけておくべき"要注意事項"がありそう!/当誌 2014.05.01


 今回注目する下記引用サイト記事治療薬開発が停滞/47NEWS - 医療新世紀/2014.07.22 は、こうした "アルツハイマー病向け治療薬" の "開発" が "低迷している" 状況について報じている

 <認知症の主な原因であるアルツハイマー病治療薬開発はほとんどが失敗しており、新たな発想での開発が急務だとする論文を米国の研究チームが英医学誌に発表した。/  チームが2002~12年に米国で実施されたアルツハイマー病新薬の治験413件を調べたところ、99・6%は失敗しており、がんの新薬開発の失敗率(81%)に比べ高いことが分かった。また09年をピークに治験の件数が減っていることも明らかになった/  アルツハイマー病患者は全世界で4400万人に上り、50年には1億人を超えると推測される。一方、承認された薬は進行を遅らせる2種類計5剤にとどまっている> とある。

 端的に言って、"新薬開発" の難易度は思いのほか高いということなのであろうか......。あるいは、隠れた別の要因でも潜んでいるのだろうか......。それにしても、<新たな発想での開発が急務> という指摘はどう実現されていくことになるのか......。

 "血液サラサラ" 状態が、健康にとって望ましい状態であること! は言い尽くされてきた。

 つまり、血液がサラサラとスムーズに流れていく状態で、ネバネバ、ドロドロとした高脂血症 ―― 総コレステロール・中性脂肪・LHD(悪玉)コレステロールの値が基準値より高く、血液中に脂質が多い状態 ―― ではない状態が望ましい、ということ。

 そして、この "血液サラサラ" には、いゆゆる "植物繊維" を多く含む食品など( 大豆・魚・植物性の油・緑黄色野菜・海草・きのこ類...... )が良いとされている。

 なお、"血液ドロドロの高脂血症" は生活習慣病であるいろいろな弊害をもたらすわけだが、なかでも心臓血管系の病気(心筋梗塞!)のリスクを高める! という点が警戒されている


 今回注目する下記引用サイト記事心筋梗塞後の食物繊維摂取で死亡リスク減/msn 産経ニュース/2014.07.19 - 08:49 は、米国での大規模な調査結果であり、"心筋梗塞" 予防に良いとされてきた "食物繊維摂取" の食生活が、発病後の死亡リスクを下げる効果にもつながっていることを報じている

 <食物繊維の積極的な摂取心臓血管系の病気の予防に良いだけでなく、心筋梗塞を起こした後の死亡リスクを下げる効果も期待できそうだ。米ハーバード大などのチームがそんな研究を英医学誌『BMJ』に発表した。有用性が見られたのは、シリアルや全粒粉などに含まれる穀物の食物繊維だった/  心筋梗塞は心臓に血液を供給する血管が動脈硬化などによって詰まり、心筋の一部が駄目になってしまう病気。医療の進歩で救命率が上がったため、社会復帰する人も増えている/  発病後は薬による治療が中心になるが、チームは食生活面の指針も重要だと考え、発病予防に良いとされている食物繊維が発病後にも有用かどうか、1976年と86年に始まった米国の2つの大規模研究に登録した男女を追跡して調べた/  対象は、2008年までに初めて心筋梗塞を起こし、食事内容のデータもある男性1840人、女性2258人。心筋梗塞後の追跡期間は男性が9年、女性は8・7年(いずれも中央値)/  食事の内容から食物繊維の摂取量を算出し、最多から最少まで5グループに分けて分析最少グループの死亡リスクを1とした場合、最多グループのリスクは男性が0・82、女性は0・71と低いことが分かった。男女を合わせた場合のリスクは0・75だった> とある。

 昨日、"アルツハイマー病" と "糖尿病" 治療薬の "インスリン" との奇妙な関係について着目したばかりである。( 参照 アルツハイマー病治療にもヒント?!インスリン受容体がシナプスまで運ばれて学習成立?!/当誌 2014.07.21

 ところが、期せずして、7月20日のTV番組 "NHKスペシャル:"認知症800万人"時代 認知症をくい止めろ ~ここまで来た!世界の最前線~" では、"認知症/アルツハイマー病" が、"糖尿病治療薬:インスリン" の投与によって、さらに "脳梗塞再発予防薬:シロスタゾール" の服用によって、症状がくい止められた! と放映し、大反響を呼んでいたのである。

 "認知症/アルツハイマー病" とは無縁と考えられていた "糖尿病" や "脳梗塞" 向けの "既存薬" が、"認知機能低下" を想定外にくい止めている! というのである。

 ちなみに、この "脳梗塞再発予防薬:シロスタゾール" が "認知症" に効くという事実についても、当誌ではこれまでに以下のようにフォローしてきている


 ◆ 参照 当誌過去の "シロスタゾール" 関連記事

 ( 1 ) <国立循環器病研究センター(略称:国循)は、脳梗塞再発予防薬として広く用いられている抗血小板薬シロスタゾール」が認知症の進行予防にも有効であることを明らかにしました/ 認知症は、いくつかの対症療法は存在しますが、認知機能の低下そのものを根本的に食い止める手法はまだ見つかっていません/ アルツハイマー型認知症認知症症状の進行抑制に用いられるドネペジル塩酸塩という薬剤を内服している洲本伊月病院の患者を対象に、シロスタゾール内服者と非内服者年間の認知機能低下率をミニメンタルステート検査(MMSE)により比較したところ、シロスタゾールを内服していた患者では年間の認知機能低下が有意に抑制されていることが分かりましたシロスタゾールを内服していた患者では、特に記憶の再生や自分の置かれている状況を正確に把握する能力(見当識)の低下が阻止されていました/ シロスタゾールがアルツハイマー病のような神経変性症にも有効である可能性を示唆している> ( (再) 脳梗塞予防の既存薬「シロスタゾール」!アルツハイマー型認知症の進行を抑制!/当誌 2014.03.12

 ( 2 ) <血液が固まるのを防ぎ、脳梗塞予防などに用いられる薬「シロスタゾール」に、認知症の進行を抑える効果のあることが、国立循環器病研究センターなどの研究で分かった/ 認知症患者は血管の病気を併発しやすく、シロスタゾールを服用することがある。研究グループは、アルツハイマー型認知症で治療中の人を、シロスタゾールを内服したグループとしなかったグループに分け、認知機能の変化を比較した。 その結果、軽度認知症の患者では、内服した人の認知機能の年間低下率は、しなかった人の約8割に抑えられた。また、記憶したり、自分のいる場所を正確に把握したりする能力も改善した> ( アルツハイマー型認知症の進行を既存薬(脳梗塞予防薬「シロスタゾール」)内服で抑制!/当誌 2014.02.28


 なお、上記のTV番組の番組紹介サイト"認知症800万人"時代 認知症をくい止めろ ~ここまで来た!世界の最前線~/NHK ONLINE - NHKスペシャル/2014.07.20 は、その番組内容を次のように解説している

 <これまで認知症は、ひとたび発症すれば決してくい止めることのできない"宿命の病"とされ、いつできるとも知れぬ画期的新薬の登場に望みがかけられてきた。
 しかし今、世界各国の認知症対策の最前線では、全く違うアプローチに注目が集まっている。認知症とは何の関係も無いと思われていた"糖尿病"や"高血圧"などの既存薬を投与したところ、発症直後の患者の記憶力の低下がくい止められたという医学的な報告が相次いでいる
 更に、症状が進行した患者でも、"脳の残存機能に働きかける介護法"で、症状を改善できることもわかってきた。最新の脳科学の知見を手がかりにしたこれらの方法を、認知症人口の爆発直前の今、広めることができれば、破綻も回避可能との見方も出始めている。
 番組では、日米欧のホットな対策の現場を緊急報告。スタジオではそれをもとに、認知症の進行度合いに応じて、私たち自身、そして日本の医療・介護の現場が、今すぐに出来ることは何かについて、徹底的に議論してゆく


 これら "既存薬" の効き目については、上記のとおり、<発症直後の患者の記憶力の低下がくい止められた> とあり、"限定的" であり、すべての認知症患者に該当するものではないようだ。
 また、"既存薬" とはいえども、"素人療法" で対処することは、"副作用" 問題が伴うため禁物だと思われる


 "アルツハイマー病" 解明研究の中に、"インスリン" に着目した報告が増えているという

 <「<アルツハイマー病患者の脳では、インスリンをつくったり利用したりするしくみが壊れている」>( "アルツハイマー病"と"糖尿病"との関係に熱い視線が!"インスリン"の働き周辺に注目!/当誌 2013.07.30

 ◆ 参照 当誌過去の "アルツハイマー病と糖尿病" 関連記事

  <「アルツハイマー病患者の脳では、インスリンをつくったり利用したりするしくみが壊れている」/ 最近の研究で、インスリンは脳でも少しつくり出され、神経細胞を守る作用があるとわかってきた。だが患者の脳では、インスリンをつくったり糖を利用したりするのに欠かせない複数の遺伝子の働きが大幅に落ちていた。/ インスリンがうまく使えないことがきっかけになって、神経細胞の障害を招き、発症につながっているらしい。......> ( "アルツハイマー病"と"糖尿病"との関係に熱い視線が!"インスリン"の働き周辺に注目!/当誌 2013.07.30


 今回注目する下記引用サイト記事インスリン受容体の輸送で学習成立か/Science Portal/2014.07.18 が報じる研究成果は、生物における "記憶・学習" の働きと "インスリン" との関係の側から、現在、関心を集め始めている冒頭のテーマ: "アルツハイマー病とインスリン"ヒントを与えるものだと言えそうだ
 将来的には、<認知症の治療や記憶・学習能力の向上にもつながる>のかもしれない。

 <記憶や学習の仕組みは深い霧の中にある。その霧をはらすきっかけになるかもしれない成果が出た。インスリン受容体が細胞内で神経細胞間接合部のシナプスまで運ばれて学習が成立することを、東京大学大学院理学系研究科の富岡征大(まさひろ)助教と大野速雄(はやお)研究員、飯野雄一教授らが線虫の実験で示した。認知症の治療や記憶・学習能力の向上にもつながる基礎的な発見である/  研究グループは、細胞内のインスリン受容体カルシンテニンという2種類のタンパク質に着目した。いずれも、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患や記憶能力に関係することが指摘され始めている。 体長1㎜ほどの小さな動物にもかかわらず、簡単な記憶、学習の能力を備えている線虫で実験/  血糖値を下げる働きがあるインスリンを受け取る受容体には、アミノ酸の数が異なる2つのタイプがある。線虫でも両タイプがあることをまず見つけた。このうち、アミノ酸が82個多くて大きいタイプのインスリン受容体カルシンテニンに橋渡しされて、細胞内の輸送系のキネシンに結合し、レールのような微小管の上を神経細胞のシナプスまで運ばれていることがわかった/  このインスリン受容体の輸送は、線虫が飢餓状態になると、塩の濃度で記憶しているえさがある場所を探索する記憶学習行動の際に働いており、飢餓経験と環境情報(場所の塩濃度)を結びつける学習に必要であることを見いだした。この細胞内輸送は、えさの有無を知らせるシグナル伝達経路を通じて調節されて、シナプス領域に運ばれて学習の成立に関わるインスリン受容体の量を変化させていることも明らかにした/  研究グループの富岡征大助教は「血糖値を下げるインスリンの受容体が神経細胞の活動の調節に働いている可能性を示した意義は大きいと思う。それが、記憶学習の際にシナプス領域に運ばれるのも興味深い。線虫と類似の学習の素過程がマウスなどほ乳類でも起きているか、検証していく。同時に、インスリン受容体カルシンテニンが人の認知症などにどう絡んでいるかも探りたい」と話している> とある。

 今や、"放射線被ばく" が "発がんリスク" となることはよく知れ渡っている。
 もちろん、昨日の今日といった短兵急な話ではなく、"放射線被ばく量の累積" が、"遺伝子変異、損傷" を加速させて、そしてある時、体内の "正常細胞" を "がん細胞" へと変換させてしまうという推移になるようだ。

 したがって、原発事故による "放射線被ばく" のリスクに対しては特別な警戒心が働くのは道理であろう


 ◆ 参照 当誌過去の "放射線被ばく" 関連記事

  <"放射線被ばく" のリスクは、"被ばく" 直後にその健康被害が表面化するようなケースならばそれは危機的な事態だと言うほかないわけだが、そうではない場合にも、"発がん的影響("遺伝子の変異・損傷")" を被ってしまう! という点が "要注意!" なのだそうだ> ( 福島の鼻血「内部被ばくか」 神戸の医師 学会で発表!人体への影響は未解明な点多し!/当誌 2014.07.15

 ところが、"医療機器がもたらす放射線被ばくのリスク" に対しては、意外なほどに "寛容/ルーズ(?)" だと見られている。
 医療現場での "放射線被ばく" とて、その "危険度" はまったく同じであるのに、「念のためにCT、とりあえずCT」といった気軽さで、"10ミリシーベルト~30ミリシーベルト" といわれる "CT" を受けたり受けさせたりしているのが現状だとされる。
 中には、厳密さを求め、一度の検査で、造影剤注射による撮影まで付け加えた複数回撮影を行う場合もあり、"発がんリスク" は否応なく高まる計算だ
......。


 今回注目する下記引用サイト記事子どものCT検査 被曝減らす工夫...放射線量 体格に応じ設定/読売新聞 - 最新医療/2014.07.03 は、"CT" 検査時の "放射線被ばく" の現状、それも<特に放射線の影響を受けやすい子ども>(子どもは "発がんリスク" が高い!)をめぐる現状について報じている

 <子どもが頭を打った時などに行うCT(コンピューター断層撮影)検査。頭の中の様子がひと目でわかるため、救急現場でよく行われているが、日本医学放射線学会などは「損傷のリスクが低い場合にはCT検査を行うべきではない」などとする指針をまとめた/  CT検査は放射線を使って体の内部の断面を映し出す。...... 子どもの場合は1・3~14ミリ・シーベルト程度とされる/  発がんするリスクが増えるのは、一度に被曝する量が100ミリ・シーベルトを超えた場合とされ、...... 特に放射線の影響を受けやすい子どもについては、被曝量を減らすための検証が世界中で進んでいる海外では、子どもに行われたCT検査を検証した結果、「30%以上は不必要」「3分の1は他の検査に変更可能か、不要」などの研究がまとまっている/  国内でも日本医学放射線学会などが「画像診断ガイドライン(指針)」を昨年改定。子どもの頭のけがの大部分を占める軽症の場合、「5分以上意識がない」「3回以上の 嘔吐(おうと)がある」などの米国の検査基準を示し、この基準などを参考にリスクが低いと診断された場合、CT検査を行うべきではないとした/  国内でも日本放射線技術学会や日本医学放射線学会が、それぞれ全国の主な病院を対象にCT検査時の放射線量の調査を始めた。愛知医大放射線科教授の石口恒男さんは「これまで日本では全国的なデータがなかった。調査に基づいて日本の基準値を決め、CT検査の被曝量を適切に管理できるようにしたい」と話す> とある。

 なお、子どもの "発がんリスク" については、特に注意が必要だとされる。

 「このようにCTには危険がありますが、なかでも、子どものCTは危険です。子どもは臓器・組織が成長段階にあり、放射線の影響を受けやすいのです。発がんリスクのグラフからわかるように、年齢が低いほど、発がんリスクが高くなっている。成長のため細胞分裂が盛んな小児の臓器・組織は放射線感受性が高いことのほか、成人より長く生きることが、発がんリスクを高める原因です
(近藤 誠『放射線被ばく CT検査でがんになる 』亜紀書房,2011.07.07)


 "がんの再発・転移" の仕組みを解明するためにも、その正体を暴かなければならないのが "がんの元になる細胞"、"がんの親玉:がん幹細胞" という存在の構造だと考えられている。

 ところが、この "がん幹細胞" は、"数も少なくて潜伏している" ため、体内で発見することは不可能に近い! とされている。

 そこで着目されるのが、ならば "がん幹細胞" を "人工多能性幹細胞(iPS細胞)技術" によって作成すべしというアプローチである


 ◆ 参照 当誌過去の "がん幹細胞" 関連記事

 (1) "iPS技術"で"がんの親玉:がん幹細胞"を作製(神戸大)!根源を叩く治療法開発等に貢献!/当誌 2014.07.11
 (2) 術後長期間を経て"再発・転移"する乳がんのメカニズムを解明!(国がん) 新治療法へ!?/当誌 2014.07.05

 今回注目する下記引用サイト記事がん幹細胞は一種類だけではない!~マウスiPS細胞により世界で初めて証明~/岡山大学 - プレスリリース/2014.07.07 は、こうした "iPS細胞技術" による "がん幹細胞" 作成研究において、注目すべき新たな成果が生まれたと報じている

 <岡山大学大学院自然科学研究科ナノバイオシステム分子設計学研究室の妹尾昌治教授らの研究グループは、生体内で悪性脂肪肉腫を形成するがん幹細胞の作成に世界で初めて成功しました。 iPS細胞からがん幹細胞を世界で初めて作成する事に成功してから2年、今回はがん細胞が分泌する小胞にiPS細胞をがん幹細胞へ誘導する物質が含まれることを発見。 異なる種類のがん幹細胞をiPS細胞から作り出せることを明らかにしました/  iPS細胞を使って性質の異なるがん幹細胞を作成していくことで、あらかじめ人為的に、多種多様ながん幹細胞を調製し、これらを標準品として用い、がん患者の組織内で同様な細胞の有無を調べるという、これまでに無い診断アプローチの実現と、それを応用した画期的な「個の医療」につながる可能性を意味しています。将来、多くのがん幹細胞を準備して......> とある。

 <iPS細胞を使って性質の異なるがん幹細胞を作成していくことで、あらかじめ人為的に、多種多様ながん幹細胞を調製し、これらを標準品として用い、がん患者の組織内で同様な細胞の有無を調べる......> という、"格段に飛躍したがん治療" の可能性が広がり始めたようである

 "認知症" の実態とその発症原因は、<脳が萎縮し老人斑が生じるアルツハイマー型認知症、脳梗塞などが原因の脳血管認知症、運動障害なども伴うレビー小体型認知症> というのが、一般的な認識であろうかと思われる

 ◆ 参照 当誌過去の "認知症" 関連記事

 (1) "認知症"にならないための"正攻法"!"血管性認知症"と"アルツハイマー型認知症"が壁!/当誌 2014.04.20
 (2) 65歳以上の4人に1人が認知症とその"予備軍"となる見込み! 認知症に関する基礎知識!/当誌 2014.01.07

 また、"認知症" と見なされる各症状は、その軽減や先送りが望めても完治することは難しいと考えられている。
 ところが、"認知症" へとつながっていく "認知機能の低下" の原因は決して一様ではなく、しかも、その中には「治る」ケースも見出せるという。必要なのは、緻密な "診断技術" である、と



 今回注目する下記引用サイト記事【ニッポン病院の実力】正確な画像診断技術 「治る」認知症を把握 ★東京都健康長寿医療センター・放射線診断科/zakzak/2014.07.16 は、こうした "診断技術" 重視の対応を推進している "認知症" の治療現場を紹介している

 <高齢化社会の進む中、診断や治療のみならず、福祉、介護にも関わる問題として注目される「認知症」。一般的に、脳が萎縮し老人斑が生じるアルツハイマー型認知症、脳梗塞などが原因の脳血管認知症、運動障害なども伴うレビー小体型認知症といった名称は広がっている/  ところが、画像診断技術の進歩により、従来とは異なる仕組みで、認知機能が低下するケースが多いこともわかってきた。そのひとつが「嗜銀顆粒(しぎんかりゅう)性認知症」。徐々に怒りっぽくなるといった性格変化を伴い、アルツハイマー病とは脳のダメージを受ける部分が、わずかにずれる。適切な治療により症状は改善されるのだが、アルツハイマー型認知症と診断されることは珍しくない/  そんな新たな原因を突き止めて、適切な治療へ結びつけるべく牽引(けんいん)しているのが東京都健康長寿医療センター放射線診断科/  「認知機能の低下の原因は、細かく分ければ100種類近くにもなります。認知症は治らないと言われますが、治る病気もあるのです。だからこそ、きちんとした診断技術の確立が必要ですし、それを普及させることが重要だと思います」/  こう話す德丸阿耶(あや)部長(57)は、脳や神経の放射線診断のスペシャリスト。  コツコツと積み上げた診断力は、認知機能低下の原因が山のようにあることも明らかにしている  アルツハイマー型認知症発見されて約100年たちますが、国際アルツハイマー病診断基準に画像診断が加えられたのは、2011年と最近のこと。診断が異なれば、治療、看護、介護の方法も違ってくる。だからこそ、ひとりひとりの患者さんに合わせた診断技術の確立が、必要不可欠といえるのです」(德丸部長)/   患者の脳を映した画像をアルツハイマー型認知症だと思い込むと、別の病気は見えなくなってしまう。思い込みは捨て、ひとりひとりの人生の背景を考慮しつつ、脳の仕組みをひもといていくと、見えなかったことが見えてくるそうだ。  それを後押しするのが、MRI(核磁気共鳴)や脳の血流を映し出すSPECT(単一光子放射断層撮影)などの検査機器の進化高い診断技術の上で、德丸部長は最新機器を駆使している/  嗜銀顆粒性認知症も、まだ誰もが診断できる状況ではありません。正しい診断を誰もができるようにしたい。それには、若い方々も育てなければなりません」と德丸部長。  患者の誰もが適切な医療を受けられるように、診断技術の向上と普及に尽力中だ> とある。

 "認知症" の予防策については種々の試みがなされている。
 中でも頻繁に取り上げられ、関心が向けられているのは "運動(軽い運動、有酸素運動)" であろう


 ◆ 参照 当誌過去の "認知症の予防" 関連記事
  <ウオーキングと同じ程度の軽い運動を短時間行っただけで、脳の認知機能が高まったことが筑波大学などの研究グループの実験で分かりました/  その結果、脳の中の認知機能をつかさどる「前頭前野背外側部」と「前頭極」の活動が運動をしていないときよりも活発になり、認知機能が高まったことが分かりました......> ( "軽い運動でも脳の認知機能向上" が新たな実験結果で判明!"認知症予防"に繋がるか?!/当誌 2014.05.24

 "運動" と同様に、日常生活における基本である "食生活" のあり方もまた着目されている
 ◆ 参照 "揚げ物"を摂りすぎるとアルツハイマー型認知症リスクが増大!? 食生活での予防先決!/当誌 2014.03.25 )


 今回注目する下記引用サイト記事低栄養 認知症リスク倍増...70歳以上、赤血球など調査/yomiDr. ヨミドクター/2014.07.14 は、"認知症リスク" が心配となる高齢者にとっての"食生活" のあり方に対して基本的な示唆を与える、そんな研究結果を報じている。
 "認知機能維持" のためには、"粗食ではなく、積極的に肉や魚、牛乳などを摂取すること" が重要だとされる


 <健康診断の血液検査項目の赤血球数やHDL(善玉)コレステロール値、アルブミン値が低いと、認知機能の低下が2~3倍起きやすいとの研究結果を、東京都健康長寿医療センター研究所のグループがまとめた。栄養が低い状態が将来の認知症のリスクを高めることを示す結果/  同研究所の谷口優研究員らは、群馬県と新潟県に住む70歳以上の1149人の暮らしぶりや健康状態を調べて、認知症が疑われた人などを除いた873人を追跡調査(平均2・7年)した/  調査開始時の赤血球数、善玉コレステロール値、アルブミン値を、それぞれ「低い」「普通」「高い」の3群に分け、その後の認知機能の変化との関係を調べた。その結果、それぞれの値が低い群高い群に比べて2~3倍、認知機能が低下しやすかった/  赤血球鉄分コレステロール脂質アルブミンたんぱく質の状態を示しており、これらの数値の低い低栄養の状態が、認知症のリスクを高めていると考えられる/  谷口研究員は「高齢者は、認知機能を維持するためにも、粗食ではなく、肉や魚、牛乳などを積極的にとった方がいい」と話している> とある。

 なぜ、<肉や魚、牛乳などを積極的にとった方がいい> のかについての言及はないが、おそらく、良質な動物性たんぱく質身体の細胞・組織を増強、増加させること("脳の海馬の神経細胞" 増加にも)と密接に関係しているからなのであろう......。

 認知症の中でも "アルツハイマー型認知症/アルツハイマー病" は高い比率を占めている。

 また、"アルツハイマー病" は、その顕著な症状である記憶力低下が表面化する "ずっと以前から" 脳内での変異( 脳内ベータアミロイド・タンパク質の蓄積 )が進行していると診られており、その点から、もし、"早期発見=早期治療" で臨めるならば、症状の進行を大幅に遅れさせることができる、と考えられている。

 したがって、いかに早く "アルツハイマー病" の "前兆" を掴むか、が勝負どころだと見なされている。
 といっても、大掛かりな診断検査となって被験者に大きな負担をかけるようであっては奏功しない。いわゆる "簡単で侵襲性の少ない診断検査" こそが求められているわけなのである。

 こうした脈絡から、かねてより "アルツハイマー病" の症状進行を反映する "バイオマーカー" として、"嗅覚機能の低下" に目星がつけられていた


 ◆ 参照 当誌過去の "アルツハイマー病嗅覚" 関連記事

 (1) "正常な老化過程における細胞死"について、ハエの嗅覚神経細胞老化で究明(東京大学)!/当誌 2014.07.01

 (2) "血液検査"でアルツハイマー予見、精度90%超!(米大学) 予防/早期治療に結びつくか?!/当誌 2014.03.11

 (3) アロマセラピー!"香りの力"で認知症を予防する!アルツハイマー型認知症と嗅覚障害!/当誌 2014.03.04

 (4) "においビジネス"/においと記憶の密接な関係/嗅覚だけはほぼダイレクトに脳へ/当誌 2010.05.20


 今回注目する下記引用サイト記事嗅覚と目の検査でアルツハイマー病早期発見の可能性も/Impress Watch/2014.07.14 では、"アルツハイマー病" の "前兆" を掴む方法として、"簡単で侵襲性の少ない診断検査" である "嗅覚機能と目の検査" に着目している研究成果が紹介されている

 <アルツハイマー病の新しいバイオマーカー/  コペンハーゲンで開かれたAlzheimer's Association International Conference(登録商標)2014(AAIC 2014)で13日に報告された4つの研究試験の結果によると、においをかぎ分ける能力の低下は認知機能障害とアルツハイマー病の発症を示唆するものかもしれず、また目の検査でアルツハイマー病に関連するベータアミロイド・タンパク質の脳内蓄積を示せるかもしれない/  このうち2つの研究では、においをかぎ分ける能力の低下は脳細胞機能の喪失、アルツハイマー病への進行と著しい関係があった。ほかの2つの研究では、目の中で検出されたベータアミロイドのレベルが (a)脳内のベータアミロイドの負荷量と著しい相互関連があり、(b)研究者たちは研究中にアルツハイマー病の人を正確に特定することができた/  ベータアミロイド・タンパク質アルツハイマー病の特徴である粘着質の脳「プラーク」に見られる主な物質である。記憶喪失など認知問題の典型的なアルツハイマー病の症状より何年も前に脳内に蓄積されることが知られている/  Alzheimer's Association(アルツハイマー病協会)のヘザー・スナイダー医学・科学事業担当理事は「世界的なアルツハイマー病の広がりに直面して、アルツハイマー病のずっと早い段階でこの病気のリスクを発見する簡単で侵襲性の少ない診断検査が緊急に必要とされている。アルツハイマー病研究者たちは病気の初期段階での治療、予防試験に動いている......」と語っている/  臨床的には現在、アルツハイマー病を発見できるのは発症の後期段階で脳の著しい損傷がすでに生じてからにすぎない。アルツハイマー病バイオマーカーより早い段階で発見できる。例えば、脳PET画像をベータアミロイド・タンパク質と結合する特殊化学物質と併用すれば、プラークとしてのタンパク質の脳内蓄積は症状の出現より何年も前に明らかにできる。こうしたスキャンは経費がかかり、どこでも利用できるものではない。

 < ▽ 認知機能が正常な高齢者における嗅覚機能悪化に伴うより大きな神経変性  においを正しくかぎ分ける能力の低下は認知機能障害の前兆、アルツハイマー病の初期臨床特性であるという証拠が増えている。この病気は脳細胞を殺すことで始まり、これには嗅覚にとって重要な細胞が含まれることが多い  ハーバード大学医学部、ハーバード大学公共保健学部採用希望者のマシュー・E・グロードン博士 と同僚は、...... この研究対象者グループで小さな海馬と薄い嗅内皮質は低いかぎ分け能力、低い記憶力と関連していたと報告した。また科学者たちは、研究参加者のうち脳内アミロイドのレベルが高いサブグループでは、嗅内皮質が薄いことで示されているように多くの脳細胞死が(年齢、性、推定認知的予備力を含む変数調整後で)嗅覚機能の低下と著しい関連があることを発見した

 < ▽ 軽度認知障害からアルツハイマー病への移行に関連するにおいかぎ分け能力低下  コロンビア大学医療センターのダバンゲレ・デバナンド精神科教授(神経学、セルギエフスキ・センター)と同僚は平均年齢80.7歳のニューヨーク市民1037人の認知症のない高齢者の多人種サンプル(白人34%、アフリカ系米国人30%、ヒスパニック36%)を調査し、...... 追跡調査された757人の中に、UPSITで低い嗅覚識別スコアを示した被験者が、人口動態、認識、機能測定、言語の管理能力、アポリポタンパクE遺伝子型について調整した後、認知症とアルツハイマー病への移行と大いに関係があったと報告した。UPSITで計算されてそれぞれの点数が低かった被験者については、アルツハイマー病にかかるリスクが10%増加した。さらにUPSITスコアが低い基準値だが、言語記憶の測定値でないものは、基準値の認識機能障害のない被験者の認識低下に大きな関連性があった

 < ▽ ベータアミロイドに対する目の検査は、脳内レベルと相関関係があり、アルツハイマー病にかかった人を判定する  最近の研究は、アルツハイマー病にかかった人の網膜にベータアミロイドプラーク(斑)を識別した。これは脳内に見いだすプラークと相似しており、早期発見の単純かつ非侵襲的方法になる可能性を示唆している。...... 予備的研究の結果によると、網膜で見つかったアミロイド水準はPET画像検査で示された脳内アミロイド水準とかなりの相関関係があった。網膜アミロイドのテストはまた、それぞれ100%と80.6%の感度でアルツハイマーおよび非アルツハイマー対象者を差別化した

 < ▽ 目の水晶体で検知されたアミロイドは、脳内で検知されたアミロイド水準と強い相関関係がある  AAIC 2014でCognoptix, Inc.のポール・D・ハートゥング社長兼最高経営責任者(修士号取得)と同僚は、アミロイドとレーザースキャナーと結びつけた局所適用軟膏を使って、水晶体のベータアミロイドを検知する新しい蛍光リガンド眼球スキャニング(FLES)システムによる研究結果を報告した  研究者たちは軽度の症例や20歳にマッチした健康的なボラティアを含めて、おそらくアルツハイマー病にかかった20人を調べた。そのすべての被験者のアルツハイマーの状況は観察者に伏せられた。  蛍光画像処理から得られた結果を利用して、研究者は高い感度(85%)と特定性(95%)による健康管理からアルツハイマー病にかかった人を差別化することができた。さらに目の水晶体テストに基づくアミロイド水準は、PET脳内画像処理を通じて得られた結果と大いに関連性があった。> とある。

 昨日は、この日本の現時点での "がん罹患数・がん死亡数" の多さに、改めて目を向けてみたところだ( "今年のがん死亡は37万人"と初の予測! がん対策に寄与するための統計処理的な予測!/当誌 2014.07.14 )。

 こうした現状があるだけに、"発がん性" リスクを秘めた "放射線被ばく" やその類似状況に対しては、より "科学的" な視点でのシビァな対応が要請されてよいのだと思われる。言い換えれば、"無頓着は、将来に禍根を残す!" ことになるのではないかと思われる。

 確かに、現状の "がん罹患患者" と過去における "放射線被ばく" の経緯とを関係づける、そうした統計は少ないとしても、"がん発症" が、"遺伝子の変異・損傷" を起因としている事実は明らかだと考えられている。そして、"遺伝子の変異・損傷" の原因は複数の背景が想定されてはいるものの、"放射線被ばく" は重大なリスク要因と見なされている。
 しかも、この "放射線被ばく" リスクは、放射線の特質上、"累積的" な "被ばく量" が問題視されるものであり、この点は、ヒトの体内の "遺伝子の変異・損傷" が "一定量を超える" ことを引き金として "がん発症" が起動してしまう点と符合しているようだ。

 "放射線被ばく" のリスクは、"被ばく" 直後にその健康被害が表面化するようなケースならばそれは危機的な事態だと言うほかないわけだが、そうではない場合にも、"発がん的影響("遺伝子の変異・損傷")" を被ってしまう! という点が "要注意!" なのだそうだ



 今回注目する下記引用サイト記事福島の鼻血「内部被ばくか」 神戸の医師、学会で発表/神戸新聞/2014.07.14 - 07:10 は、ほんのしばらく前に話題となっていた "漫画「美味(おい)しんぼ」での鼻血" 問題に対して、"科学" の立場からの一石を投じる、そんな動向を報じるものである

 <東日本大震災による原発事故の後、福島県では、子どもを中心に鼻血が出る症状が相次いだ。漫画「美味(おい)しんぼ」で登場人物が鼻血を流す場面「風評被害を招く」などと批判されたが、実際に放射性物質が結合した金属粒子が鼻の粘膜に付着し、内部被ばくを起こした可能性があることを、東神戸診療所(神戸市中央区)の郷地(ごうち)秀夫所長が12日に名古屋市で開かれた日本社会医学会で発表した。(三上喜美男)/  郷地所長は神戸大学医学部卒業。兵庫県内で約35年間、被爆者の治療を続け、福島などから避難している被災者の診断や健康相談にも当たっている/  郷地所長によると、福島からの避難者の2人に1人ほどが家族などの鼻血を体験している。突然出血し、普段あまり鼻血を出さなかった子どもが多いのが特徴。避難後はほとんどの症状が治まっているという/  500ミリシーベルト以上の放射線を全身に浴びれば、急性障害で鼻血が出る場合がある。だが福島ではそうした被ばく例はなく、放射線と鼻血の因果関係を疑問視する専門家もいる/  しかし、東日本大震災の被災地では、原発から飛散した放射性セシウムなどが金属粒子と結び付き拡散したことが気象庁気象研究所の観測などで確認された。東日本一円で医療機関のエックス線フィルムが粒子で感光する現象もみられ、当初から健康への影響を疑う声が聞かれていた/  郷地所長は、金属粒子が鼻の粘膜に付着したのが引き金となった可能性を指摘する。金属粒子は直径数ミクロンで、人体のごく小さな範囲に1日100ミリシーベルトを超える放射線を出し、組織を損傷する/  郷地所長は「もともと花粉症やアレルギーなどで粘膜が炎症していた人が出血を起こしても不思議はない」と話す。大量に吸い込んだ人も少なくないとみられ、内部被ばくの問題と捉え、早期に科学的な調査と分析をすべきだったと強調する> とある。

 こうした "統計処理的な予測" が、"違和感!" を刺激したり、場合によっては "感情の逆撫で!" につながり得るであろうことは当然予想されよう。
 "がん" が、もはや "他人事" だとは言い切れなくなっている、そんな環境の中に置かれていると、"がん罹患数" もさることながら、"がん死亡数" といった "統計的予測" は、やはり物議を醸さざるを得ないのかもしれない......。
 が、関係当局側にとっては、さまざまな対応案件が絡む "がん対策" の推進のためには、やむを得ない措置であろうかと、斟酌させられてしまう


 今回注目する下記引用サイト記事今年のがん死亡は37万人と初の予測/Science Portal/2014.07.11 は、まさに "ハードボイルド" な仕草で、こうした "統計的予測" について報じている

 <今や日本人の3人に1人はがんで亡くなる。日本人死因の1位を1981年以来占め続けているがんの動向は人々の身近な関心事である。2014年新たにがんと診断される人(罹患数)は88万人(男性50万人、女性38万人)、死亡する人は37万人(男性22万人、女性15万人)と、国立がん研究センターのがん対策情報センターが推定し、7月10日にがん情報の総合サイト「がん情報サービス」で公開した/  その年のがんの動向について予測して公表するのは初めて。1975年以降のがんの推移を基に、人口の高齢化なども考慮して予測した。同情報センターは今後、毎年春にその年の予測数を公開する。「予測精度を検証しつつ、ニーズに沿ったがん統計情報を整備していく。がん対策の目標設定や評価への活用など、一層確実ながん対策に寄与したい」としている/  14年がん罹患数は胃と肺、大腸の順で、いずれも13万人前後。男性では胃がんと肺がんが罹患数9万人でほぼ並び。女性では乳がんの罹患者が8万7千人と飛び抜けて多い。死亡数では、肺がんが7万7千人で、胃がんと大腸がんの各5万人を大きく上回った。治療の難しい膵臓がんの死者数は3万2千人で、肝臓がんと入れ替わって4位になった> とある。

 やはり、留意すべきなのは、"罹患数予測" にあっては、<がん罹患数は胃と肺、大腸の順で、いずれも13万人前後。男性では胃がんと肺がんが罹患数9万人でほぼ並び。女性では乳がんの罹患者が8万7千人と飛び抜けて多い> という点。
 また、<死亡数では、肺がんが7万7千人で、胃がんと大腸がんの各5万人を大きく上回った> という点であろう......。
 "野放図(?)な喫煙環境" を生き抜いた末に、こぞって "高齢化" を迎える世代が、否応なくリスクの影を色濃くしているということになるのであろうか
......。

 がん治療のジャンルでは、昨今しばしば "緩和ケア" ―― 併せて "QOL(Quality of life, 生活・人生の質)" ―― という言葉を目にするようになった

 < 緩和医療(かんわいりょう、palliative medicine)または緩和ケア (palliative care) とは、生命(人生)を脅かす疾患による問題に直面している患者およびその家族のQOL(Quality of life, 生活・人生の質)を改善するアプローチである。
 苦しみを予防したり和らげたりすることでなされるものであり、そのために痛みその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと治療を行うという方法がとられる(WHOの定義文2002より)。
 世界保健機構(WHO)は2002年に次のように定めた。
 緩和ケアは、生命を脅かす疾患による問題に直面する患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的、心理的、社会的な問題、さらにスピリチュアル(宗教的、哲学的なこころや精神、霊魂、魂)な問題を早期に発見し、的確な評価と処置を行うことによって、 苦痛を予防したり和らげることで、QOL(人生の質、生活の質)を改善する行為である、としているのである。
>( ウィキペディア - 緩和医療

 かねてより、がん患者の "QOL(Quality of life, 生活・人生の質)" はもっと配慮されて然るべきではないか、との印象を持ち続けてきた。
 言うまでもなく、"抗がん剤の副作用" のことであり、それによって苦しむ友人、知人の姿を目の当たりにするにつけ、"抜け落ちている!" のは頭髪だけではない! "生活・人生の質" に関する視点そのものが "抜け落ちている!" という印象が拭い切れなかったのである


 患者自身の選択による "抗がん剤治療" だったとはいえ、"セカンドオピニオン" による支援とてかたちだけの環境での治療が、"医師主導、誘導" となってしまう流れは濃厚であるに違いなかろう。

 一体、がん患者の "QOL(Quality of life, 生活・人生の質)" については、誰がどこで配慮しているのか? という疑念が募っていくばかりであった
......。

 今回注目する下記引用サイト記事がんの緩和ケア、利用進まず アフラック調査で2・6%/【共同通信/2014.07.11 - 17:17 は、こうした "がん患者における QOL " と表裏一体となっている "緩和ケア" という措置が、現在の日本では患者側の視野に入りにくくなっている、そんな現状について報じている

 <アメリカンファミリー生命保険(アフラック)が11日に発表した「がん経験者の心の変化に関する調査報告」で、心身の負担を軽減するために末期がんに限らず利用できる緩和ケア」を「利用したことがある」と答えた人が、わずか2・6%しかいなかった/  緩和ケアは、医師や看護師、ソーシャルワーカーらが連携し、苦痛や経済的不安を和らげる措置「言葉としては知っていた」が73・2%あり、認知度はそれなりに高いものの、ほとんど利用されていない実態が明らかになった/  利用の検討の有無では、「検討したことがある」が6・1%に対し「検討したことがない」が61・6%で、関心も低い> とある。

 なぜ、ここまで "緩和ケア" への関心が低いのかの原因は定かではないが、"末期がん" と同一視、一体視されているかのような現状、"がんへの立ち向かい方(闘う?!)"、そして "抗がん剤への過剰な期待感" などが伏線にあると考えることもできる......。

 <国立がん研究センターは10日、2014年に新たにがんと診断される人の数(罹患数)は88万2200人、がんで死亡する人は36万7100人との予測を公表した......> ( 今年のがん死亡37万人、初予測 国立がん研究センター/【共同通信】/2014.07.10 ) という喜べないニュースもあり、"がん" に対する国民の関心は否応なく高まっている

 "がん" への関心のほとんどは、"不安(と恐れ)" で埋め尽くされているかに思われる。 "仕事の継続" に関わる不安、"命そのもの" への不安、そして "医療費負担" ......

 治療における眼目、患者としての関心の焦点は、もちろん "どう治るのか/症状改善" の側面以外ではない。しかし、がん医療の現状はというと、これらは必ずしも保証されているわけではない。
 だからこそと言うべきか、"より確かな効き目" を望む患者に対し、公的医療保険が適用外の "新薬/新治療法" が医師側から提案されるケースも生まれる。
 その提案の中には、"効き目" や "延命効果""未知数"(承認されていないのだから当然!)でありながら、"患者負担額" は "桁外れに高額" というケースも少なくないという



 今回注目する下記引用サイト記事がん未承認薬6割、月100万円超 保険外なら重い負担/朝日新聞(土肥修一)/2014.07.11 - 07:19 は、こうした "未承認のがん治療薬" を使ったがん治療での "患者側の高額な負担" という実態の調査結果について報じている

 <米国や欧州で承認され、日本では未承認のがん治療薬41種類のうち、24種は薬代が円換算で月に100万円を超えるとする調査結果を国立がん研究センターがまとめた。承認されて公的医療保険が適用されないと、患者は高額な負担が必要となる例を示した/  41種は2000年以降に欧米で承認され、14年5月末時点で日本では承認されていない抗がん剤やがんワクチン/  月100万円を超えた24種のうち、6種は300万円を上回った。最高額は前立腺がんを対象にしたがんワクチン「シプリューセルT」で、月620万円になるという/  公的医療保険が適用された薬であれば、自己負担は1~3割。患者の年齢や収入によって異なるものの、高額療養費制度を使えば、薬代を含めた1カ月の医療費を大幅に減額できる/  一方、未承認のまま使う場合公的医療保険と自由診療を組み合わせる「混合診療」は原則認められないため、薬代に加えて、本来なら保険が使える検査費や入院費なども含めて全額自己負担になる/  がんの薬物治療は数カ月かかるケースが多い。混合診療が認められても、重い薬代の負担は変わらない。......費用負担と薬の効果をよく理解したうえで、治療を選択すべきだ> とある。

 患者側の「藁をもすがる」対応姿勢と、種々のインセンティブ(?)を持つ医師側姿勢とが相呼応して生み出されている "高水準新薬価格"
 これが効けば高くない、という患者側の心境は察するに余りあるとしても、果たして "どの程度、どう効くのか?" という肝心の事実はどこに
......。

 正常細胞に、その "大元の細胞" としての "幹細胞" があるように、"がん細胞" にも "がん幹細胞" があるとされる。
 そして、がんの "再発や転移" が、この "がん幹細胞" による "仕業" ではないか、と推定されているようなのである


 ◆ 参照 当誌過去の "がん幹細胞" 関連記事

  <......乳がんは、手術をしても、その10年後や20年後でも再発や転移する場合があることが知られている。この仕組みとして、がん細胞の発生の大元であるがん幹細胞がはじめて発生した時に骨髄に移動し、増殖もせず休眠状態になり、長い年月を経て再び目覚めるためと考えらえているが、どのようなメカニズムで休眠状態になり、また目覚めるのかはよく分かっていなかった......> ( 術後長期間を経て"再発・転移"する乳がんのメカニズムを解明!(国がん) 新治療法へ!?/当誌 2014.07.05

 しかも、この "がん幹細胞" が、がん治療にとって "手強い" 点は、 (1) "抗がん剤" が効かない! という点、 (2) 潜伏しているため発見が非常に難しい点! である、と考えられているようである。 だからこそ、上記参照記事のように、<術後長期間を経て"再発・転移"する> という悲惨な事態が発生するのだと見なされてもいるわけだ


 今回注目する下記引用サイト記事iPS技術でがん幹細胞を作製 神戸大、治療法開発に貢献/【共同通信】/2014.07.10 - 03:00 は、こうした "捉え所がない!" とされてきた "がん幹細胞" の正体を明かすために、これを "iPS技術" を使って作製し、研究材料としようとする、そんな新しいアプローチについて報じている

 <がんのもとになる「がん幹細胞」を人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製技術を応用して作ることに神戸大と京都大iPS細胞研究所などのチームが成功し、9日付の米オンライン科学誌プロスワンに発表した/  がん幹細胞体内でがん細胞を次々と生み、転移や再発のほか、治療が効きにくくなる原因となる。チームによると、今回のような手法での作製は世界初。簡単にがん幹細胞を得ることができ、がんの「親玉」の研究が進むことで、根源をたたく治療法や、診断法の開発に役立つという/  iPS細胞は皮膚などの細胞に数種類の遺伝子を導入して作る> とある。

 "アルツハイマー病" を完全に治す治療法や治療薬は、いまだ確立されていない現状ではあるが、"アリセプト" ほか、新薬の開発も進められているため、専門医による "早期発見" と "早期治療" によって、"症状の進行をある程度遅らせること" が可能だと言われている。

 そこで注目されるのが、 "早期発見" ということになるが、"その前兆" を "血液検査" から見つけ出す、いわば "予見検査法" と呼ばれるアプローチが関心を集めはじめている


 ◆ 参照 当誌過去の "アルツハイマー予見" 関連記事

  <米ジョージタウン大学などの研究チームは10日までに、将来的にアルツハイマー病を発症するかどうかを極めて高い精度で予見できる血液検査法を開発したと発表/ 研究チームは血液検査で手軽に調べられる脂肪の値に着目。米ニューヨーク州とカリフォルニア州に住む70歳以上の健康な高齢者数百人の血液を調べた/ このうち28人が5年後に、アルツハイマー病やその前兆となる軽度の認知症状を発症。この28人の脂質を調べたところ、特定の10種類の脂質の値が、発症しなかった人に比べて低くなっていたことが分かった/ 検証のため、アルツハイマー認知症状を発症している別の54人の血液を調べ、やはりこの脂質の値が低いことを確認/ この血液検査法では、90%以上の精度アルツハイマー病認知障害を発症するかどうかを予見できるという。症状が表れる前から予測できるのが特徴で、研究者は、脳の細胞が死滅し始めるのと同時に脂質の濃度も低下し始めるようだと解説> ( "血液検査"でアルツハイマー予見、精度90%超!(米大学) 予防/早期治療に結びつくか?!/当誌 2014.03.11


 今回注目する下記引用サイト記事アルツハイマー発症予見の検査法 英研究チームが開発/【共同通信】/2014.07.08 - 23:28 も、<アルツハイマー発症予見の血液検査法> であり、<アルツハイマー病の発症に関係する可能性がある血液中のタンパク質の組み合わせを特定> した "新しい検査法" だとされる

 <【ロンドン共同】 軽度の認知障害がある人が近い将来にアルツハイマー病を発症するかどうかを比較的高い精度で見分ける血液検査法を開発したと、英オックスフォード大などの研究チームが8日までに専門誌に論文を発表した。英BBC放送などが伝えた/  実用化には数年を要する見込みだが、早期発見・治療薬開発につながる可能性がある/  研究チームは千人以上を対象にした調査で、アルツハイマー病の発症に関係する可能性がある血液中のタンパク質の組み合わせを特定血液検査により、軽度の認知障害に苦しむ人が1年以内にアルツハイマー病を発症するかどうかを87%の確率で予見できたという> とある。

 一般の患者にとって、医者が処方する "" に対してはそれらを服用前に吟味したり、評価したりする立場にはなさそうである。
 "既存薬" であれば、その "" に関する情報を検索して確認することも可能といえば可能だが、問題は、雨後のタケノコのように承認されている "新薬" については、結局、自らを "実験台(?)" とするしかないのであろうか
......。

 国の監督官庁による "承認" であるからといって、100%の安全性が保証されているわけではないことは、昨今のニュース 子宮頸がん、ワクチン副作用176件/読売新聞/2014.07.05 からも窺えるところだ。 ( 肺がん用「分子標的薬(抗がん剤)/イレッサ」の重篤副作用の例もある )

 加えて、昨今の動向には、<厚生労働省は、世界初となる医薬品や医療機器を早期に承認するための新制度を、今年度内に創設する方針を決めた> ( 先進医薬品を早期承認...厚労省方針/読売新聞/2014.06.17 ) という推移もあり、これが逆に不安を誘ってもいる。
 患者側にとっての "薬" の "安全性" を巡っての現状は、患者側が、"おちおちとしてはいられなくなった" 気配が重苦しく漂ってはいまいか
......。


 今回注目する下記引用サイト記事SGLT2阻害薬...重篤な副作用に注意勧告/yomiDr. ヨミドクター/2014.06.26 は、<何百万人もの患者がいる糖尿病> 向けの "新薬" において、 "予想された副作用" に加えて "重篤な副作用" が発症しているとして、"注意喚起!" がなされている事態について報じている

 <糖尿病の新薬「SGLT2阻害薬重篤な副作用が相次いでいるとして、専門家で作る委員会が6月16日、適正使用を求める文書(Recommendation)を出しました/  SGLT2阻害薬は、糖の再吸収を防いで尿中に排出させることで血糖値を下げるという新しい機序の薬で、4月にまず1社から発売されたのを手始めに6社から発売が予定されています。低血糖を起こしにくく、体重の増加を招かないなどの利点があるとする一方、特に高齢者などで脱水の危険性などが指摘されていました/  適正使用を求める文書は、「発売開始から1か月の副作用報告を受け、因果関係など情報に不十分な点はあるものの、重篤な副作用の懸念のうち、残念ながらいくつかが現実化した」「予想された副作用である尿路・性器感染症に加え、重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞、全身性皮疹(ひしん)などの重篤な副作用が発症している」として、使用にあたっては慎重な注意を呼びかけています/  新薬には常に、未知の副作用のおそれがあります。SGLT2阻害薬は特に、発売前から懸念が示されていました。今回の文書は公的な強制力のあるものではありませんが、専門家によって素早い対応がとられたことは評価できます/  糖尿病は2009年末からインクレンチン関連薬(GLP1受容体作動薬、DPP4阻害薬)が7製品発売され、新薬ラッシュが起きています。なかでも飲み薬のDPP4阻害薬は、この2、3年の間に急速に普及し、最もよく使われる薬のひとつになっています/  取材した糖尿病の専門医は「専門医はまず従来薬を選択し、DPP4阻害薬をすぐに使うことはしない」と話します。新薬の急速な拡大の背景には、非専門医による使用があるとみられます/  そこへもってきての、"さらなる新薬"SGLT2阻害薬の登場です。何百万人もの患者がいる糖尿病では、すべてを専門医がみるわけにはいきません。適正使用の呼びかけがいち早く伝わることを願います。(田村良彦)> とある。

 "電動の歩行支援ロボットやロボットスーツなど" が、歩行困難者の "歩行支援機" として注目され始めている現在だ。

 ただ、"電動" 方式だとどうしても "重装備" となりがちであり、"よりシンプルで扱いが簡単な支援機を!" という要望も少なくないであろうと思われる。

 こうした要望に見事応えたのが、今回注目する下記引用サイト記事電源いらない歩行支援機 安く軽く、名工大など開発/朝日新聞(鈴木彩子)/2014.07.07 - 07:26 が報じる <電源いらない歩行支援機>=「ACSIVE(アクシブ)」である


 <脳卒中などで片足にまひが残った人のリハビリを助ける歩行支援機を、名古屋工業大学の佐野明人教授と、義足メーカーの今仙技術研究所(岐阜県)が共同開発した。自力で歩く二足歩行ロボットをヒントにした、モーターも電源もいらない装具/  名前は「ACSIVE(アクシブ)」。片足の骨格のような構造で、まひした方の足に着ける腰骨の位置に固いバネが仕込まれ、まひ側の足が後ろに下がると縮む。反動で「ポーン」と太もも、ひざ下を順に振り出し、無理なく次の一歩を踏み出せる/  鋼板製で、重さは腰のベルトも含めると約900グラム。腰のベルトとふくらはぎの留め具で固定する。バネの強さや板の長さは利用者に合わせて調節する/  佐野さんは、動力を与えなくても人間のように歩き続ける二足歩行ロボットの研究者  モーターや電源なしで、緩い下り坂を27時間、72キロ歩き続けたロボットの開発に成功している/  重力で倒れそうになると腰の位置のバネが縮み、反発で次の一歩を振り出す。「人間に応用したい」と数年前にアクシブの開発を思い立った。留め具など快適に装着できる工夫は今仙技研の経験を生かした/  昨年5月から岐阜大学病院リハビリテーション部と共同で試行する。脳卒中などで片足にまひが残った入院患者の退院前リハビリを中心に、50~70代ののべ約30人が1回20~30分活用。早い人は1週間ほどで歩く姿勢が改善/  同大学整形外科の青木隆明講師は、「足が自然に上がるため正しい歩き方のイメージがつかめ、自信がもてて早期回復につながるようだ」と説明/  市販されている電動の歩行支援ロボットやロボットスーツに比べ安価で、装備はシンプルで軽い。青木さんは「装着が簡単で高齢者も扱いやすい」と話す/  今仙技研は医療機関やリハビリ施設向けに9月に販売を始める予定で、1台15万~20万円ほどの見通しだ。両足のまひや、長年続くまひには適用が難しいという> とある。

 よく指摘されるように、"早期開始" の "リハビリ" が望ましい点は間違いなく、その点から言えば、こうした "歩行支援機" の活躍の可能性は決して小さくはなさそうである

 糖尿病の合併症は、いずれも恐いものばかりだが、中でも "糖尿病性壊疽(えそ)"(神経障害、感染、血流障害などの重なりから発症)に至ると、最悪、足が腐って切断しなければならなくなるという恐ろしい障害だ。

 そしてこれとの関係で、糖尿病における "血流障害" という症状が警戒視され、ここから糖尿病患者における "血管新生"(新たな血管を作って血流を増やす働き)の機能低下という症状が懸念されるのだそうだ


 今回注目する下記引用サイト記事金沢大、糖尿病が血管新生を低下させる機構の1つを解明することに成功/マイナビニュース/2014.07.04 は、こうした文脈において糖尿病患者の "血管新生" 低下という症状の、そのメカニズムの一つが解明されたという報道なのである

 <金沢大学は7月2日、糖尿病患者において、新たな血管を作って血流を増やす働き(血管新生)が低下する要因の1つとして、糖尿病になると肝臓が産生する分泌タンパク「ヘパトカイン」の1種である「セレノプロテインP(SeP)」が過剰に生じるためであることを発見したと発表/  これまで研究グループでは、ヘパトカインの1種であるSePが2型糖尿病患者で増えていることを報告してきており、今回の研究では、SePの血管に対する作用の検討を行ったという/  その結果、SePは、血管内皮細胞の増殖および遊走を低下させること、血管内皮細胞で血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のシグナル伝達を阻害することで、血管内皮細胞の増殖を阻害すること、ならびにSeP産生を増やしたマウスでは、皮膚に作った潰瘍の治りが悪くなること、逆にSePを生まれつき半分に低下させたマウスでは、足の血管を縛った後の血流の回復が良くなることなどを見出したという/  研究グループでは、今回の成果を受けて、糖尿病患者の体内では、ヘパトカインであるSePが肝臓で過剰に作られることで、SeP血管新生を低下させ、その結果として足切断などの合併症が発症しやすくなるという結論を得たとしており、今後、SePの働きを下げる薬剤を開発することで、糖尿病患者の合併症に対する新たな治療につながることが期待できるようになるとコメントしている> とある。

 "臓器移植手術" にとっての大きな課題は、ドナーからの "その提供に巡り合えるチャンス" が極めて少ないことだとされている。

 したがって、"臓器提供" を受ける患者と手術を担う医師の側としては、その提供を最大限に活かす判断と対応が不可欠のようである。

 もちろん、成功に至るためのリスク回避に緻密な判断が要請されるわけだが、同時に、"柔軟な総合的判断" もまた強く要請されていると思われる


 ◆ 参照 当誌過去の "肺移植" 関連記事

 (1) ドナー提供臓器(肺)を"特殊装置で機能リカバリー"の上移植手術!岡山大学病院国内初!/当誌 2013.10.25

 (2) 肺移植の3歳児は順調に回復!"ほっ"とさせ、"ほっこり"させるこうした記事を歓迎!/当誌 2013.07.24

 (3) 3歳の男の子に母親の肺の一部を移植する生体肺移植手術開始!皆が成功を祈り見守る!/当誌 2013.07.02


 今回注目する下記引用サイト記事脳死の女性の肺 反転させ移植に初成功/NHK NEWS WEB/2014.07.04 - 04:44 は、(1) "脳死の女性から提供された肺" を、(2) やむを得ず "左右を反転" させて移植を成功させたという "国内初" の肺移植事例について報じている

 <岡山大学病院は、脳死と判定された女性から提供された片方の肺を、重い肺の病気の男性患者に、反対側の肺として反転させて移植する手術に国内で初めて成功したと発表/  岡山大学病院によりますと、大阪の病院で脳死と判定された女性から提供された左の肺を、3日、特発性間質性肺炎という病気の60代の男性患者の右の肺として移植する手術に成功/  病院は、当初、左の肺としてそのまま移植する予定でしたが、提供された肺が、男性患者の左の肺と比べて小さく、状態もよくなかったため、右の肺として移植したほうが、全体として肺の機能の回復が期待できると判断し、反転させて移植したということ/  執刀した大藤剛宏医師によりますと、ことし3月に京都大学附属病院で、片方の肺を反転させて反対側の肺として移植する生体肺移植手術が行われましたが、脳死移植では今回が国内で初めてだということ/  患者の容体は安定していて、順調にいけば3か月ほどで退院できる見通しだということで、大藤医師は「本来なら移植を断念せざるをえないケースだったが、手術が無事終了したことで、今後より多くの患者に移植の可能性が広がったと思う」と話しました> とある。

 言うまでもなく、その種類を問わず、"がん" が恐れられる最大の理由は、"再発・転移" であろう。
 いわゆる "三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)と呼ばれる "がん治療法" における "最も切実な課題" もまた、この "再発・転移" の "抑制/阻止" だと見なされている。
 それだけに、この課題への有効な手立てが構築されたならば、その時こそ "がんの根治!" という言葉にリアリティが付与されるはずではなかろうか


 ◆ 参照 ――
 < 転移(てんい、metastasis)とは、腫瘍細胞が原発病変とは違う場所に到達し、そこで再び増殖し、同一種類の腫瘍を二次的に生じること
 がんが転移して新しい腫瘍が形成されると、それは二次がんあるいは転移がんと呼ばれ、転移した細胞は原発病変のものと同一種となる。これは、例えば、乳癌が肺に転移した場合、二次がんは悪性の肺細胞ではなく、悪性の乳腺細胞によって形成されることを意味する。この肺の疾患は肺癌ではなく乳癌肺転移になる。但し臨床医学の現場では習慣的に、二次がんが転移した先の器官の名前で「転移性○○がん」と呼ぶ
 特定のがんは特定の臓器に転移するといった傾向もある。例えば、前立腺癌は、通常、骨に転移する。同様に、大腸癌は肝臓に転移する傾向がある。また、女性の場合、胃癌はしばしば卵巣に転移する(Krukenberg播種)。
 腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍とに分類されるが、このうち、悪性腫瘍のみが浸潤や転移を行う。見掛け上、良性腫瘍であっても、転移が起こった場合には悪性腫瘍とみなされる。......
>( ウィキペディア/転移 (医学)

 このように、"がんにおける最大懸念" と言わざるを得ないだけに "がん再発・転移" とその克服研究については、以下のように当誌でも注意深くフォローし続けてきた

 ◆ 参照 当誌過去の "がん再発・転移" 関連記事

 (1) "がん細胞転移"の仕組み解析(名大グループ)!タンパク質インテグリンベータ1の関与!/当誌 2014.05.03

 (2) "がん転移"の仕組み(フィブロネクチン)解明(京大)!副作用少ない予防/治療法開発へ!/当誌 2014.04.23

 (3) "がん転移抑制"する分解酵素「TLL1」を発見!(熊本大の尾池教授ら)新たな治療法期待!/当誌 2014.01.25


 今回注目する下記引用サイト記事国がん、術後長期間を経て再発・転移する乳がんのメカニズムを解明/マイナビニュース/2014.07.03 は、この "再発・転移" のメカニズムを解明した点、および、これに基づき "新たな治療法の確立ヘの道を拓くことが期待される" とする、そうした画期的な研究成果について報じている

 <国立がん研究センター(国がん)は7月2日、乳がんの特徴である術後長期間を経ての再発、転移について、骨髄中の間葉系幹細胞が分泌する微小な小胞エクソソーム乳がん細胞の休眠状態を誘導していることを明らかにしたと発表/  同成果は、研究所分子細胞治療研究分野の小野麻紀子研究員、同 落谷孝広 分野長らによるもの。詳細は、米科学誌「Science」の姉妹誌である「Science Signaling」(電子版)に掲載/  乳がんは、手術をしても、その10年後や20年後でも再発や転移する場合があることが知られている。この仕組みとして、がん細胞の発生の大元であるがん幹細胞がはじめて発生した時に骨髄に移動し、増殖もせず休眠状態になり、長い年月を経て再び目覚めるためと考えらえているが、どのようなメカニズムで休眠状態になり、また目覚めるのかはよく分かっていなかった/  今回の研究では、骨髄中に存在する間葉系幹細胞が分泌する直径100nmの顆粒(エクソソーム)によって一部の乳がん細胞が幹細胞様の性質を獲得し、休眠状態になることが確認されたほか、間葉系幹細胞由来のエクソソームに含まれるマイクロRNAが、乳がん細胞へ受け渡され、乳がん細胞の遺伝子発現を変化させることで、休眠状態を誘導する要因の1つとなりうることが確認/  また、乳がん患者骨髄中で、乳がん細胞間葉系幹細胞が隣接して存在することも確認骨髄中に潜伏するがん細胞では原発巣がん細胞と比較して、休眠状態を誘導するマイクロRNA量が増加傾向にあることも証明/  今回の結果を受けて研究グループでは、骨髄中にある、あらゆる血球細胞になることが可能ながら基本的には休眠状態となっている造血幹細胞と同様に乳がん細胞も周囲の細胞からのエクソソームを利用して休眠状態を誘導、維持している可能性が示されたとしており、将来的には、例えば、間葉系幹細胞からのエクソソームの供給経路を断ち切る新規薬剤を開発し、骨髄中で乳がん細胞休眠状態になることを打破し、抗がん剤耐性を克服するといった、新たな治療法の確立ヘの道を拓くことが期待されるとコメント> とある。

 "認知症" や種々の病気を遠ざけるために、多くの人たちが、日々何らかのかたちで "運動" に勤しんでいる姿をいたるところで見受ける昨今だ。
 平凡なテーマではあるが、これが庶民にとって "安上がりで、効果的な健康法!" であること、これはほぼ間違いなさそうである。
 そうした意味合いで、当誌でもこれまでに眼につくかぎり意を払ってきた


 ◆ 参照 当誌過去の "運動の効用" 関連記事

 (1) "軽い運動でも脳の認知機能向上" が新たな実験結果で判明!"認知症予防"に繋がるか?!/当誌 2014.05.24

 (2) "認知症"と脳の"ワーキングメモリ"! "早足歩行"で認知機能低下を抑制――熊本大学!/当誌 2014.05.04

 (3) "免疫力を高める"ための運動の仕方/留意点! 運動はすればよいというものではない!/当誌 2014.04.16

 (4) "アルツハイマー型認知症"予防策の一つ!"有酸素運動"で"酵素:ネプリライシン"強化!/当誌 2014.04.01

 (5) ランニングなどの有酸素運動が、脳の老化阻止/海馬の"神経幹細胞"新生/記憶能力増大!?/当誌 2014.03.23

 (6) 「運動すると不安が鎮まる」という"ニューロン/神経伝達物質"領域のマウス実験結果!/当誌 2013.07.18

 (7) "糖尿病" 治療効果! "毎日30分以上の早歩き相当の運動" で "死亡リスク半分以下"に!/当誌 2013.02.26


 今回注目する下記引用サイト記事痩せるだけじゃない!運動は「脳の活動をぐぅ~んと高める」と判明/マイナビニュース/2014.06.29 も、その一種となるが、"運動が脳活動を高める!" という点に焦点を合わせ説得力を持つ

 <■ 1:運動は筋肉だけでなく脳も鍛えられる!  記憶に関係する脳の部位として、海馬(かいば)  海馬は、65歳くらいになると、1年で1%程度委縮する  有酸素運動や筋力トレーニングをすることにより、海馬の神経細胞が、逆に増加する  「高齢者に速歩を週3回、1回40分、1年間実施したところ、海馬で新しい神経細胞が生まれやすくなり、海馬が1~2%大きくなったというデータが出ています。スポーツクラブでトレッドミルやバイクをこいでいる人は、筋肉だけでなく脳も大きくしているのです」  適度な運動の大切さ/  ■ 2:デュアルタスクが脳の活動を高める  また最近では運動しながら脳を使うことで、脳の活動を高めることが明らかに  「運動しながら簡単な引き算をしたり、しりとりをすることで、脳の萎縮を抑制し、脳機能の維持に役立つというデータが出てきています」  ものを考える時や、コミュニケーションをとったり、仕事の段取りをする時に使われる前頭葉の活動が高まるので、運動しながら英会話を聞いたり、学習テープを聞くとその効果が高まる  二つのことを同時に行う"デュアルタスク"は、脳機能の維持に大事/  ■ 3:運動はストレスに強い脳をつくる  さらに運動をすることで、ストレスに強い体質になることもできる  「運動をすると、GABAと呼ばれる気持ちの安定に関係する物質を出す神経系が育つとされています。1回の運動で、その効果が6週間ほど保たれますので、スポーツクラブに隔週で通っても、十分、効果が期待できるということです」  1日5分程度の運動でも、免疫力がアップする効果がある/  ■ 4:運動はやる気のスイッチになる  やる気は、脳の線条体という部位が司っていますが、運動するだけで線条体の活動が高まることが知られています。つまり、運動をすることがやる気を出すことにつながっているのではないか、ということです」  気持ちがへこんでいる時に運動すると気分転換になったり、やる気がわいてきます  運動してもダイエットなどの結果が伴わないとやめたくなりますが、脳への隠れた効果を知れば、運動を続ける意義を見出せる> とある。

 "がん" や "アルツハイマー病" などの治療/予防に効果的な薬の開発が、新規プロジェクトであれば時間も経費も莫大なものとなろうことは容易に想像できる。

 そこで着目されているのが、既に開発済みで認可もなされている "既存薬" が、当初、ターゲットとされていた病気に加えて、"がん" や "アルツハイマー病" などに対しても "効果あり" と発見されたケースである。
 このメリットは、言うまでもなく、"安価な薬" が直ちに可能となるという点であるに違いない。 そんなケースはあるのか? と信じられないかもしれないが、実例が報じられている


 ◆ 参照 当誌過去の "既存薬" 関連記事

 (1) <シロスタゾールを内服していた患者では年間の認知機能低下が有意に抑制されていることが分かりましたシロスタゾールを内服していた患者では、特に記憶の再生や自分の置かれている状況を正確に把握する能力(見当識)の低下が阻止されていました/ シロスタゾールがアルツハイマー病のような神経変性症にも有効である可能性を示唆している> ( (再) 脳梗塞予防の既存薬「シロスタゾール」!アルツハイマー型認知症の進行を抑制!/当誌 2014.03.12

 (2) <血液が固まるのを防ぎ、脳梗塞予防などに用いられる薬「シロスタゾール」に、認知症の進行を抑える効果のあることが、国立循環器病研究センターなどの研究で分かった> ( アルツハイマー型認知症の進行を既存薬(脳梗塞予防薬「シロスタゾール」)内服で抑制!/当誌 2014.02.28

 (3) <慶応義塾大学の佐谷秀行教授と永野修講師らは、がんを生む親玉とされる「がん幹細胞」をたたく新薬候補の作用を胃がん患者の臨床研究で確かめた大腸炎の治療に使う薬の成分をがんにも応用したところ、数人の患者でがん幹細胞が減ったという。抗がん剤や放射線が効かず、再発や転移の元凶といわれてきたが、攻略の糸口をようやくつかんだ。数年内にもがんの根治につながる薬の実用化を目指す/  研究に使うのは「スルファサラジン」という成分......> ( "がん幹細胞"をたたく"新薬"候補!"身近な薬"="スルファサラジン"の臨床研究:慶応大!/当誌 2013.10.02


 そして、今回注目する下記引用サイト記事アスピリン常用 膵臓がん予防に一役/SankeiBiz/2014.07.02 - 05:00 は、"膵臓(すいぞう)がん" への予防効果あり、と目される "アスピリン" に関する研究成果なのである

 <アスピリン日常的に服用することで、膵臓(すいぞう)がんリスクを半分に減らせるという研究報告が、米国がん学会(AACR)が発行する医学誌「がん疫学、生体指標と予防」に発表された。膵臓がんは、悪性腫瘍の中で最も死亡率が高いものの一つとされるが、この予防に安価な薬が役立つ可能性が出てきた/  研究報告によると、心臓病の予防に約75~325ミリグラムの低用量のアスピリン毎日服用した人は、膵臓がんリスクが48%低くなったという。また、アスピリン定期的に10年間服用した場合リスクは60%まで下がった/  アスピリンは、常用することで大腸がんや、食道がん肺がん前立腺がんリスクを減らせることがさまざまな研究で報告されており、心臓発作脳卒中リスクを減らすために処方される薬の定番でもある。膵臓がんは、成人の60人に1人が発症するとされており、5年生存率は5%にも満たない。そのため、膵臓がんの予防方法の発見は「極めて重要」だと、論文の上席著者であるイェール大学のハービー・リッシュ教授(疫学専攻)は述べた/  「家族にがんを患ったことのある人がいたり、遺伝子検査を受けたりして、膵臓がんのリスクが高いとわかった人にとって、アスピリンの服用はがんのリスクを減らす手段の一つとして有効であるかもしれない」と同教授は話した/  リッシュ教授は、がん発症のメカニズムが不明なため、アスピリンがどのような働きをしているのかはわからないという。ただ、アスピリンの炎症を抑える効果が、がんのリスクを減らしている可能性があるそうだ/  しかし、膵臓がんの予防効果があるからといって、誰もがアスピリンを服用すべきだということではない。アスピリンには消化管出血などの副作用もあるからだ> とある。

 当記事の中でも、<アスピリンは、常用することで大腸がんや、食道がん肺がん前立腺がんリスクを減らせることがさまざまな研究で報告されており、心臓発作脳卒中リスクを減らすために処方される薬の定番でもある> と述べられているわけだが、ここに来て、さらに "膵臓がんへの予防効果" が追加された格好となる

 何かと "不眠" で悩む人が少なくない現状であり、また "不安" のタネも尽きない昨今である。そのためか、"睡眠薬(睡眠導入剤)、抗不安薬" などの服用へと近づく気配が漂っていそうである......。

 ありがたいことか、困ったことか、かかりつけの医者に、少しでもこうした症状を話したりすると、今どきの医者は躊躇うことなくこれらの薬を処方するとも聞く。

 かねてより、薬には "副作用" というものがほぼ確実に伴っていると懸念されてきたが、特に、"睡眠薬(睡眠導入剤)、抗不安薬" などのような神経作用を "なだめる(?)" 薬には、同時に、"薬物依存性" がありはしないかと心配もなされてきたようだ
......。

 今回注目する下記【 引用記事 1 】睡眠薬常用、目にダメージ...神経過敏でけいれん/YOMIURI ONLINE 科学/2014.06.29 - 13:29 は、<睡眠薬抗不安薬の長期服用> が、思わぬ "副作用" をもたらすリスクについて報じている

 <睡眠薬抗不安薬を長期服用すると、脳の中央にある視床が過度に興奮し、まぶたのけいれんや目のまぶしさ、痛みなどを伴う眼瞼(がんけん)けいれんが引き起こされ、服薬をやめても視床の興奮が続く例があることが、神経眼科医らの調査で分かった/  三島総合病院(静岡県三島市)の鈴木幸久眼科部長と東京医科歯科大の清澤源弘臨床教授らが11年前から調査を開始。不眠症などでベンゾジアゼピン系や類似の睡眠薬、抗不安薬を長く服用し、眼瞼けいれんを発症した患者21人(服薬期間の平均は約4年)を対象とした。服薬を2週間以上中断してもらい、薬の直接的な影響を除き、ポジトロン断層法と呼ばれる画像検査で脳の活性度を調べた/  このデータを健康な男女63人、薬と関係なく発症した患者21人、服薬中だが未発症の24人(検査時は薬を2週間以上中断)の画像と比較した/  その結果、服薬中の発症患者は、全身の感覚情報を大脳に中継する視床が健康な人よりも激しく活動していた。薬の影響で、視床神経細胞の興奮を抑える働きが鈍り、神経が過敏になって目の症状が引き起こされたとみられる> とある。

 なお、【 引用記事 2 】は、当記事中で指摘されていた<ベンゾジアゼピン系や類似の睡眠薬、抗不安薬> は数限りなく提供されているのであるが、その中の一例として<ベンゾジアゼピン系や類似の催眠鎮静剤> の、一般公開されている "添付説明文" を引用したものである。(筆者自身服薬歴あり)
 「使用上の注意」として、<連用すると、薬を使わないと眠れなくなることがあります(精神的な薬物依存)。薬の使用はできるだけ短期間にとどめ、薬を使わないで眠るように努力してください> とされる部分に眼が向かうはずであろう
......。

 現在、"がん(がん細胞)" にせよ、"アルツハイマー病(神経細胞)" にせよ、その病気解明と治療法の模索において、細胞レベルの現象である "細胞の死" という局面がスポットライトを浴びている。
 このことは、いわば "iPS 細胞" が "細胞の誕生/生成" という点で注目されるのと対照的に、"細胞の死" という局面の問題もまた大きな現代的意義を持つことを示しているかに思われる。

 "がん" の場合には、"がん細胞の死" が如何にして可能となるのかに関心が向けられ、"アルツハイマー病" の場合には、"神経細胞の死" がどうすれば回避できるのか、が追及されているわけだ。

 そして、この "細胞の死" という現象で注目され続けているのが、"免疫システム" のジャンルの研究で明らかになりつつある "アポトーシス(細胞の自殺?!)" という興味深いメカニズムである

 <多細胞動物の細胞は、発生の過程で、あるいはX線や抗がん剤などDNAを損傷するストレス刺激や、細胞へのウイルス感染やがん化させる刺激など、さまざまな刺激に対する生体防御機構の一つとして、自らアポトーシスを起こして自殺する機構を持っている> ( 下記の ◆ 参照関連記事より )

 今回注目する下記引用サイト記事東大、老化によって嗅覚神経の細胞死が起きることを明らかに/財経新聞/2014.06.28 - 19:22 は、こうした "アポトーシス" 現象が、特別異常な刺激を被らなくとも、"自然な老化、正常な老化" の過程においても発生する、との研究成果を報じている

 <東京大学の千原崇裕准教授らによる研究グループは、ショウジョウバエの嗅覚神経細胞が老化によって死んでいることを明らかにした/  老化による脳機能の低下に関して、神経変質疾患を患っている場合の細胞死については研究がおこなわれていたものの、正常な老化における細胞死についてはほとんど研究されていなかった/  今回の研究では、モデル動物としてショウジョウバエを使い、細胞死を引き起こす酵素「カスパーゼ」がリンゴ酢や酵母の匂いを感知するOr42b神経細胞活性化していることを突き止め、実際に老化したショウジョウバエはこの神経細胞の数が減少していることを明らかにした。この結果から、老化によって嗅覚神経細胞が細胞死することや、それによってショウジョウバエが異常な行動をすることが分かった/  一般に、老化に伴って嗅覚機能は低下する。また、パーキンソン病を含む神経変性疾患でも運動機能障害に先だって嗅覚機能低下が現れる。今回の研究成果は、正常な老化の過程で神経細胞が細胞死することの意義や分子機構に迫るとともに、神経変性疾患で神経細胞が細胞死する原因と発症機序の理解に繫がることが期待される> とある。

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