yasuo hirose: 2015年10月 アーカイブ

 "抗がん剤は使い続けるとがんに耐性ができて効果がなくなる" という、がん細胞の "抗がん剤耐性" のあることはよく知られている。 そのため、一般的に、"抗がん剤の種類、乗り換え" という手立てが講じられている。

 ◆ 参照 当誌過去の "抗がん剤耐性" 関連記事
  <北海道大学の清野研一郎教授らは、がん細胞が分泌する生理活性物質のインターロイキン(IL)―34に、抗がん剤を効きにくくさせる働きがあることを見いだした。抗がん剤は使い続けるとがんに耐性ができて効果がなくなるため、一定期間しか使うことができない。今回の発見は効き目を持続させる医薬品の開発につながる。......> ( 薬が効きにくいがん細胞(抗がん剤への耐性)の問題!原因物質"IL―34"を特定!(北大)/当誌 2015.09.01


 今回注目する下記引用サイト記事抗がん剤効きにくくなった患者、肝炎薬併用で効果復活/yomiDr. ヨミドク/2015.10.29 は、その "抗がん剤耐性" への "対抗措置" になる研究について報じている。 <抗がん剤が効きにくくなった前立腺がんの患者に、C型肝炎の治療薬「リバビリン」を抗がん剤併用して使うと再び治療効果が高まるとする研究成果> というものである。

 < 抗がん剤が効きにくくなった前立腺がんの患者に、C型肝炎の治療薬「リバビリン」を抗がん剤併用して使うと再び治療効果が高まるとする研究成果を、慶応大の大家基嗣(もとつぐ)教授(泌尿器科)らがまとめた。京都市で29日から始まった日本癌(がん)治療学会で発表した。  研究グループは来年3月にも医師主導治験を開始して、安全性と有効性を確認し、リバビリン前立腺がんの治療薬としても使えるようにしたい考え。  前立腺がんと診断される患者は年間約8万人で、男性では胃がんに次いで多い。抗がん剤治療は、手術や放射線治療、男性ホルモンの分泌や働きを抑えるホルモン療法では治療できない患者に行われる。しかし、抗がん剤を使い続けるうちに半数近くの患者で効果が弱まり、再びがん細胞が増殖する。  研究グループは、抗がん剤ドセタキセル」が効かなくなる過程で、がん細胞遺伝子の働きが変化することに着目。コンピューターを活用して、約3000種類の既存薬から、遺伝子の働きを元の状態に戻す薬を探した。9種類の薬に候補を絞り、ドセタキセルが効きにくいマウスで実験したところ、リバビリンとドセタキセルの併用でがん細胞が縮小した。さらに、長期間の投与でドセタキセルが効かなくなった患者5人に、この治療を試すと、2人に効果が認められた。  大家教授は「安全性が確認されている既存の薬同士の組み合わせで、新薬開発に比べ、安いコストで素早く実用化できると期待できる」と話す。  東邦大医療センター佐倉病院の鈴木啓悦(ひろよし)教授の話「ドセタキセルは、進行した前立腺がんの治療で主力となる抗がん剤今後、リバビリンとの併用で治療効果が高まることが確認されれば、大きな進歩だ。実用化には、白血球の減少など両剤の副作用が相互作用で強く出ないよう、適切な用量を検討することが必要だ  (2015年10月29日 読売新聞)> とある。




















 がん治療に使われる放射線、抗がん剤などにあっては、正常細胞への副作用を回避するために、"がん細胞狙い撃ちするための各種手法" が工夫、開発されている。

 ◆ 参照 当誌過去の "ホウ素化合物" 関連記事

  <"がん放射線治療" において、"効果的ながん細胞照射・破壊!" を可能とし、その分 "副作用" が軽減されるという、そうした "放射線新治療法"......> ( 放射線"新"治療法研究(京大)!ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)!がん細胞だけを照射破壊!/当誌 2014.08.15


 今回注目する下記引用サイト記事中性子線で がん狙い撃ち...「頭頸部」末期患者、半数以上で腫瘍消える/yomiDr. ヨミドク/2015.10.28 は、  <がん細胞だけを狙い撃ちする放射線治療「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」を、顔や首にできる「頭頸(とうけい)部がん」の末期患者37人に行ったところ、半数以上でがんを消すことに成功したとの臨床研究結果を、大阪大や京都大などのチームがまとめた> と報じている。

 < がん細胞だけを狙い撃ちする放射線治療「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT◎)」を、顔や首にできる「頭頸(とうけい)部がん」の末期患者37人に行ったところ、半数以上でがんを消すことに成功したとの臨床研究結果を、大阪大や京都大などのチームがまとめた。29日から京都市で始まる日本癌(がん)治療学会で発表する。  BNCTは、がん細胞に取り込まれやすいホウ素化合物を点滴し、弱い中性子線を1時間ほど照射する。中性子を吸収したホウ素は核分裂して別の放射線を出し、がん細胞を内側から破壊する。ホウ素から出る放射線は細胞1個分ほどの範囲しか届かないため、正常な細胞を傷つけず、副作用は小さいとされる。  チームは2001年から、京大原子炉実験所(大阪府熊取町)の研究炉で生み出される中性子線を活用。弱い中性子線は体表に近い部分しか届かないため、舌や顎、耳の下などにできる頭頸部がんを再発し、有効な治療法がない患者にBNCTを実施した。  13年2月までの約12年間に治療を受けた37人中、20人(54%)で腫瘍が消え、13人(35%)で腫瘍が縮小した。3人は効果が確認できず、1人は治療後、診察に来ず評価できなかった。  末期の頭頸部がん患者に対しては、抗がん剤を投与し続けた場合の5年後の生存率は5%以下とする米国チームの報告がある。今回は30%(11人)だった。  チームの加藤逸郎・大阪大助教(口腔(こうくう)外科)は「生存率は従来の治療法より大幅に向上した。今後は治療が難しい、ほかのがんに使うことも検討できる」と話す。  桜井英幸・筑波大教授(放射線腫瘍学)の話「他に治療法がない患者を多く救った画期的な成績と評価できる中性子線による合併症の恐れはあり、安全性の検証も欠かせない」  ◎BNCT=Boron Neutron Capture Therapy  (2015年10月28日 読売新聞)> とある。

 "がん細胞" を攻撃するものといえば、抗がん剤(分子標的薬含む)であり、放射線などであり、そして免疫細胞だということになる。 そして、"がん細胞" 周囲の "正常上皮細胞(上皮組織)" も注目された。

 ◆ 参照 当誌過去の "正常細胞,がん細胞" 関連記事
  <北海道大学の藤田恭之教授らによる研究グループは、正常上皮細胞内のフィラミンとビメンチンというタンパク質が初期がん細胞を取り囲むことで、上皮組織から排除していることを明らかにした。......今後は、本研究成果を用いて「隣接する正常な細胞にがん細胞を攻撃させる」という新たながん治療が実現できると期待されている......> ( 正常上皮細胞が,がん細胞を組織から追い出す分子メカニズムを世界で初の解明(北大)!/当誌 2014.08.05


 今回注目する下記引用サイト記事正常細胞のがん攻撃力強化 北大チームが化合物発見 予防薬に道/どうしん ウェブ/2015.10.28 - 06:30 は、上記の "関連記事" の "続編" にあたるものと見受けられるが、<北大遺伝子病制御研究所の研究チームは26日、初期段階のがんの治療や予防に役立つ低分子化合物を見つけることに成功したと発表した。この低分子化合物を、初期のがん細胞の周辺にある正常な細胞に加えることで、がん細胞を排除する能力が高まるという。研究チームは「初期のがん細胞を見つける診断が確立されれば、がん予防薬の開発につながる」と話している> と報じている。

 < 北大遺伝子病制御研究所の研究チームは26日、初期段階のがんの治療や予防に役立つ低分子化合物を見つけることに成功したと発表した。この低分子化合物を、初期のがん細胞の周辺にある正常な細胞に加えることで、がん細胞を排除する能力が高まるという。研究チームは「初期のがん細胞を見つける診断が確立されれば、がん予防薬の開発につながる」と話している。  同研究所の藤田恭之教授(分子腫瘍)らの研究チームで、論文は20日付の英国の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に公表した。人間の身体には少数の変異を持つ「がん前段階」の細胞が存在するが、それを予防的に排除する治療法は見つかっておらず今回の発見で、薬によるがんの予防を実用化できる可能性が出てきた。  研究チームによると、今回はスクリーニング(ふるい分け)という手法で、正常細胞が持っている変異細胞を攻撃する能力を促進させる低分子化合物を見つけた。この低分子化合物を実際にマウスや哺乳類の培養細胞に加えてみると、正常細胞の攻撃力が増すことを確認できた> とある。

 "発がん性" 物質が、様々な分野で懸念される昨今だ。 事もあろうに、"医療現場( c.f. 放射線関連機器、抗がん剤......)" にも潜伏しているのが実態だと言われる。
 が、やはり最も意を払うべきは、日々の食生活なのかもしれない。


 今回注目する下記引用サイト記事「加工肉に発がん性」 WHO、赤身肉にも恐れ/47 NEWS【共同通信】/2015.10.26 - 23:45 は、  <ソーセージやベーコンなどの加工肉について「発がん性が十分認められ、大腸がんになるリスクがある」> との調査結果を、世界保健機関(WHO)が発表した、と報じている。

 <【ジュネーブ共同】 世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関IARC、本部フランス・リヨン)は26日、ソーセージやベーコンなどの加工肉について「発がん性が十分認められ、大腸がんになるリスクがある」との調査結果を発表した。赤身肉についても発がん性の恐れがあると指摘した。  欧米メディアによると、発がん性につながる物質が加工段階で生成されるという。欧米に比べると日本人の肉類の消費量は少なく、「日本人の一般的な消費レベルなら大腸がんリスクにはならない」との研究結果もある。> とある。

 がんに侵されてよい箇所なぞあるわけないが、とりわけ "舌がん)" については言うに及ばないはずだ。
 もう20年以上も前に "舌がん" を発症した友人の場合、当人の闘病姿勢の甲斐もあり、現在は "健在!" で暮らしている。 が、"話し方にその痕跡" を残している点は如何ともしがたい。
 ただ、近年は、"舌がん治療法" はますます進展している。


 ◆ 参照 当誌過去の "舌がん" 関連記事

 (1) <体の外から光線を当ててがん細胞を死滅させる新しいがん治療法「光免疫療法」を、米国立衛生研究所(NIH)の日本人研究者らが開発し、近く米国の3大学で安全性を確認するための臨床試験を始める。......> ( 【補足】近赤外線でがん細胞を攻撃!光免疫療法:がん細胞に結合のたんぱく質"抗体"!/当誌 2015.05.09

 (2) <近赤外線を使った舌がんや咽頭がんなどの新たな治療法。 がん細胞の表面に結合しやすい抗体に、特定の波長の光で活性化する化学物質をつなげた薬剤を開発。患部に薬剤を注射した後、近赤外線を当ててがん細胞だけを壊すことを目指す。正常な組織を傷つけないため副作用が少ないと期待......> ( 近赤外線でがん細胞を攻撃!舌がんや咽頭がんなどに新たな治療法!臨床試験を開始!/当誌 2015.05.08

 今回注目する下記引用サイト記事がん 舌を残したい[ 患者を生きる ]/apital 朝日新聞の医療サイト/2015.10.26 は、突然、"舌がん" に見舞われ、"がん宣告" に加えて <左半分切除」と言われ> た "ある主婦のケース" を紹介している。

 <左半分切除」と言われ  東京都内に住む主婦(47)は2013年の年末、舌が腫れていることに気付いた。左縁がふくらみ、刺すような痛みも感じた。  最初のうちは、金属の入れ歯が舌に当たって口内炎が出来たのかと思った。「ビタミンが足りないのだろう」と市販のビタミン剤を服用した。そして、口内炎用の薬を塗って治そうとした。  しかし、腫れは引かない。翌年の2月下旬ごろにはさらに大きくなり、痛みも激しくなった。  ただ、次女(16)が高校受験だったこともあり、診察を受けるのを先延ばしにしていた。次女が都立高校の推薦入試に合格したのを見届け、14年3月上旬、通い慣れた歯科医院を訪れた。  「すぐに総合病院を受診して下さい」。舌を見た歯科医師にそう言われた。5日後、歯科医師が書いてくれた紹介状を持って、大学病院の口腔(こうくう)外科を受診した。  舌を触診した大学病院の担当医にはこう言われたという。  「細胞を取って検査しないとはっきりとは言えませんが、たぶん、舌がんです」  CTやPETなどを使った精密検査の結果、3月下旬、正式に腫瘍(しゅよう)約5センチの舌がんと診断された。  がんの進行度は4段階あるうちの「ステージ3」で、舌の左半分を切除することや、そのあと腕の筋肉の一部を使って舌を「再建」するといった治療法を担当医は淡々と説明した。主婦は「がん」という言葉よりも、「舌を切る」という説明にショックを受けた。  実は主婦は、事前にパソコンの検索サイトに「舌がん」「手術」の単語を打ち込み、ヒットしたサイトを片っ端から読んでいた。  「手術後に舌が3倍になったような気がして、息がしづらかった」「口を閉じられずによだれが出続け、一晩にティッシュペーパーを1箱使った」。そんなコメントが目に留まった。  大学病院では「舌の一部切除」という以外に、別の治療方法の説明はほとんど受けなかったという。ただ、ネット上には、手術以外にも、抗がん剤治療や放射線の一種の陽子線治療など、様々な選択肢が紹介されていた。それを見て、「舌は切りたくない」と強く願うようになっていった  (石川雅彦)  (朝日新聞 2015年10月20日掲載)  イレギュラーな治療法  舌がんが見つかった東京都の主婦(47)は2014年3月、受診した都内の大学病院で切除手術を勧められた。しかし、なんとか舌を切らずにがんを治療したい。セカンドオピニオンを受けられる病院をネット上で探すうち、舌がん患者のブログから、南東北がん陽子線治療センター(福島県郡山市)のサイトにたどり着いた。  サイトには「動注化学放射線療法」という聞き慣れない言葉が載っていた。舌に通じる動脈から抗がん剤を送り込み、同時に放射線治療でがんをたたくという。> とある。

 脳内での情報伝達が、神経細胞(ニューロン)同士の接続(シナプス)を通じて行われていることはよく知られている。この "シナプス" こそが、脳の働きにおいて、中心的なな役割を果たしているとされる。

 ◆ 参照 当誌過去の "シナプス" 関連記事

  <においの刺激が強いほど増産されるタンパク質「NPAS4」が、神経細胞同士の接続(シナプス)を増加させることを、県立医科大学の坪井昭夫教授らの研究グループが発見した......> ( 神経細胞同士の接続Synapseを増加させるタンパク質"NPAS4"!神経細胞再生医療に応用!/当誌 2014.08.02


 今回注目する下記引用サイト記事シナプス制御分子を解明 岩手医大研究班/岩手日報/2015.10.23 は、この "シナプス" に関して、<遺伝子操作したマウスの解析を通して脳の情報伝達を担う「シナプス制御」の分子メカニズムが解明された> と報じている。

 < 岩手医大副学長で医歯薬総合研究所の祖父江(そぶえ)憲治所長(神経科学)ら研究グループは22日、盛岡市の同大で記者会見し、遺伝子操作したマウスの解析を通して脳の情報伝達を担う「シナプス制御」の分子メカニズムを解明したと発表した。精神疾患や発達障害の病態解明につながる可能性があり、うつ病や統合失調症、自閉症などの創薬や治療法の開発に向けて、さらなる研究の進展が期待される。  祖父江所長と同研究所の真柳平講師、群馬大医学系研究科の安田弘樹准教授は、脳内の神経シナプス形成に「PSD―Zip70」というタンパク質が深く関係すると突き止めた。  PSD―Zip70が欠損したマウスを作製し解析したところ、認知機能障害や強い不安行動を示すことが判明その原因として、PSD―Zip70がないと「Rap2」というタンパク質が異常に活性化し、正常なシナプス形成を阻害することを解明した。Rap2がPSD―Zip70を介して制御されている分子メカニズムを世界で初めて明らかにした> とある。

 "睡眠" が、"レム睡眠" と "ノンレム睡眠" とで成り立っていることは、たとえ各々の "役割" が解明されていないとしても、よく知られている。

 ◆ 参照 当誌過去の "レム睡眠" 関連記事

 (1) "記憶の脳回路痕跡" マウスでついに発見!"デカルト以来350年の謎"に実証的な決着が!/当誌 2014.03.22

 (2) <研究者たちの説明によると、恐らく、レム睡眠では、わたしたちは周囲の変化や刺激により敏感だが、夢の記憶喪失(実際、起きてしばらくすると夢の大部分は記憶から消え去る)が学んだ条件付けに作用して、これを消し去る。反対に、ノンレム睡眠は、記憶を強固にするための基本となる睡眠で、そのため眠りながら勉強するためには理想的なのだろう。> ( 「睡眠学習」は可能だ!? 現代の神経科学は未だに残された未知の洞窟を探査し切るか?/当誌 2012.09.18


 今回注目する下記引用サイト記事浅い眠り、記憶への助走? 「レム睡眠」役割解明へ 筑波大など、マウスの実験で確認/apital 朝日新聞の医療サイト/2015.10.23 は、  <夢を見る浅い眠り(レム睡眠)には、続いてやってくる深い眠り(ノンレム睡眠)の時に脳内の記憶定着を促す役割があることを、筑波大と理化学研究所などのチームがマウスの実験で確かめた。脳科学の長年の謎だったレム睡眠の役割解明につながる成果> だと報じている。

 < 夢を見る浅い眠り(レム睡眠)には、続いてやってくる深い眠り(ノンレム睡眠)の時に脳内の記憶定着を促す役割があることを、筑波大と理化学研究所などのチームがマウスの実験で確かめた。脳科学の長年の謎だったレム睡眠の役割解明につながる成果という。22日付の米科学誌サイエンスに論文を発表した。  レム睡眠は、鳥類と哺乳類だけにみられる状態。ヒトでは新生児期に多く、大人の睡眠時間の約15%を占めるが、具体的な役割は不明だった。  筑波大の林悠(ゆう)助教(神経科学)らは、レム睡眠からノンレム睡眠へ切り替える脳内のスイッチ役の神経細胞を特定。スイッチを自在に切り替えられるマウスを遺伝子操作で作り出し、レム睡眠の効果を調べた。  すると、レム睡眠を無くしたマウスは、ノンレム睡眠中に生じるゆっくりとした脳波(デルタ波)が、次第に弱くなることが分かった。逆にレム睡眠を増やすと、ノンレム睡眠中のデルタ波は強くなった。  デルタ波には記憶形成や脳機能回復の作用があることが知られている。林助教は「レム睡眠によって脳内の記憶の整理が促されていると考えられる」と話す。アルツハイマー病うつ病など、睡眠中にデルタ波が減少する病気の解明につながる可能性もあるという。 (吉田晋) (朝日新聞 2015年10月23日掲載)> とある。

 "東京電力福島第1原発事故" 後、"低線量の放射線被ばく" の実情如何が懸念され続けている。 事実から目を逸らさせる風潮は愚かしいかぎりだが、他方で、真実を直視しようとする動きも目に入る。

 ◆ 参照 当誌過去の "福島原発" 関連記事

 (1) <東京電力福島第1原発事故後、福島県で見つかっている子どもの甲状腺がんの多くは被ばくで発症したものだと主張する分析結果を岡山大の津田敏秀教授(環境疫学)らのチームがまとめ、国際環境疫学会の6日付の学会誌電子版に発表......> ( 「被ばくで発症」と主張する分析結果!福島原発事故後見つかっている"甲状腺がん"!/当誌 2015.10.08

 (2) < 低線量の放射線を長期間にわたって浴びることで、白血病のリスクがごくわずかだが上昇するとの疫学調査結果を、国際がん研究機関(本部フランス・リヨン)などのチームが1日までに英医学誌ランセット・ヘマトロジーに発表......> ( "低線量放射線被ばく"も長期にわたると"白血病リスク!"欧米作業員30万人の疫学調査!/当誌 2015.07.05

 (3) <放射線が人体に与える影響を分析する国連の機関――国連の原子放射線影響科学委員会――は東京電力福島第一原子力発電所の作業員の内部被ばく量について、日本政府や東京電力が実際より20%ほど少なく評価している可能性があるとして、今後、影響の全体像を把握するためにも継続して調べる必要があると指摘......> ( 東電福島原発/作業員の被ばく過小評価か?! 国連の原子放射線影響科学委員会が指摘!/当誌 2013.10.14


 今回注目する下記引用サイト記事原発作業員のがん死亡リスク増加 低線量被ばくでも/47 NEWS/2015.10.21 - 19:38 は、とかく蔑ろにされがちな "原発周辺での低線量被ばく" と "発がんリスク" との関係に、警鐘を鳴らすかのような報道をしている。

 < 欧米の原子力施設で働く30万人以上を対象にした疫学調査で、100ミリシーベルト以下の低線量被ばくでも線量に応じてがんによる死亡リスクが増えたとする分析結果を、国際チームが21日までに英医学誌BMJに発表した。  国連科学委員会などは被ばく線量が100ミリシーベルトを超えると発がんリスクが高まるが、100ミリシーベルト以下では明確なリスク上昇を確認できないとの見解を示している。  チーム100ミリシーベルト以下でも白血病のリスクが上昇するという調査結果を既に発表しているが、今回新たに肺や胃、肝臓など白血病以外のがん全体でリスクの上昇を確認したという。> とある。

 "がんは発見したら直ちに手術" という従来からの対応は、いささか過剰な治療ではないのかという議論が、少なくとも米国では広がっているという。 また、同様の意味合いで、"がん検診の過剰さ(?)" を懸念する声もある。

 ◆ 参照 当誌過去の "がん検診,過剰" 関連記事

 (1) "前立腺がん検診"は過剰医療なのか?米国での"PSAスクリーニング検査"非推奨の効果!/当誌 2015.06.29
 (2) 米医療界、日本で当たり前に行われている医療を"無駄"と!チュージング・ワイズリー!/当誌 2014.10.15


 今回注目する下記引用サイト記事初期のがん、治療すべきか―議論促す日米の研究結果/THE WALL STREET JOURNAL/2015.10.21 - 12:07 JST は、  <ごく小さな甲状腺がんにさえ積極的な治療を施す状況が何年も続いているが、米国と日本の有名な研究者たちは論文で、古い慣行を見直すよう勧め、多くの早期がん患者は経過をみながら待つのが効果的かもしれないと述べている。 小さな甲状腺がんを持つ患者を検査・診察しながら見守るこの方法は「活発な監視療法」とも呼ばれ、成長したり転移したりしそうにないがんの摘出手術に代わる可能性がある。> と報じている。

 < ごく小さな甲状腺がんにさえ積極的な治療を施す状況が何年も続いているが、米国と日本の有名な研究者たちは論文で、古い慣行を見直すよう勧め、多くの早期がん患者は経過をみながら待つのが効果的かもしれないと述べている。  米国甲状腺協会の専門誌「Thyroid(甲状腺)」掲載の二つの論文によると、小さな甲状腺がんを持つ患者を検査・診察しながら見守るこの方法は「活発な監視療法」とも呼ばれ、成長したり転移したりしそうにないがんの摘出手術に代わる可能性がある。  米国がん協会のオーティス・ブローリー最高医療責任者(CMO)は「いつも、がんは恐れる対象であり、全てのがんは悪だと教わってきた。全てのがんは手術すべきだとも教わった」と述べた。だが、今では、前立腺がん、乳がん、甲状腺がんなどいくつかのがんの初期段階に対する治療に対し、かつてないほどの疑問が持たれているという。  内分泌学を専門とするスローン・ケタリング記念がんセンターのR・マイケル・タトル博士は、甲状腺がんと診断される人の数が米国で「非常に増えている」と述べた。タトル氏は、二つの論文の一方の主執筆者だ。  新たな症例が年間6万件を超える状況にあって、タトル氏早期の甲状腺がんについて「従来の手法では、直ちに甲状腺手術を受けるよう当たり前のように勧めているが、これを見直すことが重要だ」と話す。電子版に掲載されている日本の研究結果によれば、注意しながら待つことを選んだ患者の経過は、手術を受けた患者と同程度に良好だったという。......  一部の手術には正当な理由がないとの声も聞かれそうだ。甲状腺を切除すると疲労や体重増加といった副作用が出ることもある。そのため、手術はもっと慎重にすべきだとタトル氏は主張。「私たちは、技術が自分たちの先を行っていることに気づき始めた」と述べ、「20年前なら見つけられなかっただろう甲状腺がんが見つかっている」とした。  タトル氏がスローン・ケタリングで数年前に設置したプログラムでは、綿密な超音波検査や医師の定期訪問を伴う経過観察という選択肢を患者に提供している。初期には医師と患者から強い抵抗もあったが、次第に受け入れられて250人の患者が参加しているという。  甲状腺がん患者のための協会ThyCaは、観察を選択肢に入れることを支持している。だが、経過観察しながら待つことを嫌い、切除を希望する患者もいるという。  甲状腺がんを注意深く見守るという手法は、より広範な議論の一端だ。米国では、悪影響を受けるリスクがほとんどない、がん以前の病変や初期のがんに対する治療が過剰かどうかが議論されている。...... 一方、観察支持派も含め、一部の医師は過剰治療への反対が行きすぎることを警戒している。前立腺を専門とするカリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部内分泌科のピーター・キャロル博士は「『診断からがんという言葉を除外しよう』という人がいた。それは少し危険だと思う」と述べた。初期の患者は、がんという言葉がなければ警戒しないだろうという。  がん協会のブローリー氏は、非浸潤性乳管がん(DCIS)が危険な侵襲性乳がんに発展しうる時期についてのデータが不足しているため、正式な実験をしたいとの意向を示した。ダナ・ファーバーがん研究所のアン・パートリッジ医師も同意見で、他機関のスタッフと実験の準備をしているという。> とある。

 "神経" は "軸索" と呼ばれる突起を通じて電気信号を伝達している。 そこで、この "軸索" が "切断" されると、"神経" が機能せず、結果的に "切断" された状態になるという。

 今回注目する下記引用サイト記事切断神経の再生容易に 名古屋大、線虫で成功/47 NEWS/2015.10.21 - 03:00 は、その "切断" された "神経" の"再生" に可能性をもたらす新しい動向について報じている。

 < 切断された神経の再生を容易にすることに、名古屋大の研究グループが線虫を使った実験で成功し、米科学誌電子版に20日発表した。人間にも同様の再生の仕組みがあると考えられ、脊髄損傷などの治療への応用が期待される。  神経は人間だと1ミリから1メートル以上の長さがある「軸索」と呼ばれる突起を通じ、電気信号を別の神経や筋肉へ伝達する。軸索が切断されると、神経は機能しなくなる。感覚神経や運動神経の中には再びつながるものがある一方、脳や脊髄など中枢神経は基本的に再生されない。> とある。

 ほぼ毎日のように、地元の "地域防災システム用ラウドスピーカー" からは、"認知症徘徊行方不明者" 捜索への協力を呼び掛けるアナウンスが聞こえてくる昨今だ。 また、全国各地で、地域独自の見守り対処方法が編み出されて、実施されてもいるようである。

 今回注目する下記引用サイト記事認知症の行方不明者を早期発見 システム開発、大阪市立大認知症の行方不明者を早期発見 システム開発、大阪市立大/47 NEWS/2015.10.19 - 17:52/47 NEWS/2015.10.19 - 17:52 は、  <認知症の高齢者に、位置情報を知らせる送信機を持ってもらい、自宅周辺で行方が分からなくなった際、速やかに見つけられるシステムを大阪市立大などのチームが開発> と報じている。

 <認知症の高齢者に、位置情報を知らせる送信機を持ってもらい、自宅周辺で行方が分からなくなった際、速やかに見つけられるシステムを大阪市立大などのチームが開発し、19日発表した。数キロ四方の地域に位置情報受信用の装置を設置して網を掛ける仕組みで、比較的低コストで運用可能。  チームの辻岡哲夫准教授(情報工学)は「地域での見守り体制を構築し、家族の肉体的、精神的負担を減らしたい」と話しており、年内にも実証実験を始める計画。  開発したのは、歩数や進行方向など位置を特定できる情報を電波で定期的に発信する送信機と受信装置。電波信号を受信装置で受け取り、現在地を推測する> とある。

 "がん治療のジャンル" では、昨今しばしば "終末期" の "緩和ケア(緩和医療)" ―― 併せて "QOL(Quality of life, 生活・人生の質)" ―― という言葉が注目されるようになった。 "高齢化の進行とがん患者の増大" という趨勢に促されているものと思われる。

 ◆ 参照 当誌過去の "QOL" 関連記事

 (1) <京都大学大学院医学研究科の奥野恭史特定教授らの研究グループは、がん患者の病気の進行具合や生存率を80―90%の精度で予測できる手法を開発した。患者の血液から得られる3種類の検査値を組み合わせて算出し、98年から京大病院が記録している5000人以上のがん患者の検査値で予測モデルを構築した。終末期の患者に最適な治療を提供する客観的な判断基準として活用が期待される> ( 終末期のがん治療は変わるか!?京大が生存率を80―90%の精度で予測する手法を開発!/当誌 2015.10.02

 (2) <緩和ケアは、生命を脅かす疾患による問題に直面する患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的、心理的、社会的な問題、さらにスピリチュアル(宗教的、哲学的なこころや精神、霊魂、魂)な問題を早期に発見し、的確な評価と処置を行うことによって、 苦痛を予防したり和らげることで、QOL(人生の質、生活の質)を改善する行為である、としているのである> ( がんの"緩和ケア"、利用進まず(2.6% アフラック調査)!末期がんと同一視されている?/当誌 2014.07.13


 今回注目する下記引用サイト記事「クオリティー・オブ・デス(死の質)」指標、1位は英国/時事ドットコム/2015.10.07 - 10:34 は、  <死を迎える人への「ケアの質」、2015年版の「クオリティー・オブ・デス(QOD、死の質)」指標において、英国が80か国中でトップであり、高齢化と人口増加が進む現代において、緩和ケアは世界的な急務となっていること> などを報じている。

 <【ロンドンAFP=時事】死を迎える人への「ケアの質」において、英国が80か国中でトップであることが、6日に公開された調査結果で明らかになった。高齢化と人口増加が進む現代において、緩和ケアは世界的な急務となっている。   英経済誌「エコノミスト」の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」が発表した2015年版の「クオリティー・オブ・デス(QOD、死の質)」指標によると、英国での緩和ケアが最も優良であることが分かった。  英国が1位となった理由についてEIUは「総合的な国家政策、英国民保健サービス(NHS)への緩和ケアの積極的な組み込み、強いホスピス運動、この課題に対する地域社会の関与」を挙げている。  ランキングでは、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、ベルギー、台湾が英国に続いた。最も低い評価を受けた5国は、ミャンマー、ナイジェリア、フィリピン、バングラデシュ、イラクだった。  71位の中国は、進行する高齢化と心血管疾患などの罹患率増加による影響を最も受けやすい国とされた。  日本は76.3点で14位だった。......> とある。

 ちょっとした <軽い頭部外傷が原因> でも、頭の内部で、思いのほか大変な事態が生じる、というようなことがあるようだ。

 今回注目する下記引用サイト記事硬膜下血腫、「自分の血を注入」で劇的回復/yomiDr. ヨミドク/2015.10.16 は、そうした事態のひとつである、<慢性硬膜下血腫("特発性低髄液圧症候群"を併発の場合)> への "有効な治療法" について報じている。

 < 脳を覆う膜の内側で出血し、脳を圧迫して頭痛や歩行障害などを起こす慢性硬膜下血腫の一部で、「ブラッドパッチ(自家血硬膜外注入)と呼ばれる治療が劇的に効く例があると、山王病院(東京都港区)の高橋浩一脳神経外科副部長らが、16日午後、日本脳神経外科学会(札幌市)で発表する。  慢性硬膜下血腫は、軽い頭部外傷が原因とされる。脳や脊髄の周囲を満たす髄液が、これを閉じこめる硬膜の外に漏れる「特発性低髄液圧症候群」も併せて発病している場合がある。  慢性硬膜下血腫は、頭に小さな穴を開けて血液の塊(血腫)を取り除く手術が一般的な治療法だ。ただし、同症候群を合併する硬膜下血腫で手術を行うと、脳の位置が下がるなどして逆に状態が悪化し、死亡例も報告されていた。  同症候群には、自分の血液を硬膜の外に注入し、固まらせて髄液の漏出を止める「ブラッドパッチ」が有効とされる高橋副部長らは同症候群を合併する硬膜下血腫の患者45例にブラッドパッチ治療を行ったところ、8割にあたる36例で、手術などを必要とせず、病気が治った。高橋副部長は「ブラッドパッチは医療保険で認められておらず、早急に保険適用してほしい」と訴えている。 (2015年10月16日 読売新聞)> とある。

 近年、"難しいがん手術" などにおける、執刀医を技術的に支援するIT装置が様々に開発されている。

 今回注目する下記引用サイト記事京大医学部病院:肝臓に直接手術部位投影するシステム開発/毎日新聞/2015.10.16 - 22:32 は、肝臓がんの切除手術において、従来から活用されて来た、手術対象の "モニター画面" 投影という支援環境を、かなり画期的に発展させ、<プロジェクションマッピングを応用して肝臓がんの切除部位を照らす新システムを開発した> と報じている。

 < 京都大医学部付属病院(京都市左京区)は16日、プロジェクションマッピングを応用して肝臓がんの切除部位を照らす新システムを開発したと発表した。従来は医師がモニター画面を確認しながら手術をしていたが、肝臓に直接、手術部位を示すことも可能で、より安全で正確な手術が期待できる。早ければ2018年の実用化を目指しており、肝臓がんだけでなく乳がんや肺腫瘍手術などへの応用も可能になるという。  同病院とパナソニックが共同で開発し、昨年9月から臨床研究を進めていた。これまで 肝臓がんの摘出手術では、赤外線で発光する蛍光色素を正常な部位に注入したうえで、赤外線カメラで部位をとらえ、それを投影したモニター画面を確認しながら手術していた。医師は部位とモニターを交互に見る必要があった。  新システム では、赤外線カメラとプロジェクターを組み合わせた機器を使用。赤外線カメラでとらえた映像をもとに、プロジェクターから映像を照射。カメラとプロジェクターは連動していて、肝臓が手術中に動いても、正確に追尾して照射できるという。  肝臓がんの摘出手術は、出血のコントロールや肝機能の維持などが必要で、技術的に難しいとされる。日本消化器外科学会雑誌によると、肝臓切除手術後の30日死亡率は1.9%、90日死亡率は3.8%で、より安全な技術の確立が求められている。  同病院によると、これまで約30例の肝臓がんなどで投影試験をし、今後1年間で約30例の手術を実施する計画。機器の小型化や光線が追跡する能力を高めたうえで、システムの実用化を目指す。  京都大大学院医学研究科の波多野悦朗准教授(肝臓外科)は「システムの導入で、より正確な手術が期待できる。乳がんや直腸がんなど、同じように色素を使用する手術への応用も可能になる」と話している。 【川瀬慎一朗】> とある。

 "医療従事者の抗がん剤曝露" という問題については、かねてより懸念されて来た。 "がん治療" での "効き目" とは別に、"抗がん剤の強い毒性" が、それらを扱う医療従事者に思わぬ被害をもたらす、という皮肉な問題点なのである。

 ◆ 参照 当誌過去の "抗がん剤曝露" 関連記事

 (1) <多くの抗がん剤は、がん細胞に対しては殺細胞作用がある一方、分裂している正常細胞に作用し、変異原性、催奇形性、発がん性がある。......近年、医療従事者の抗がん剤曝露について啓発・予防が行われており、......> ( "抗癌剤職業曝露"の実態調査進む!やはり気になる!ここまで有害とされる抗癌剤の使用!?/当誌 2014.07.29

 (2) <コベルコ科研は、医療分野向けの評価・解析サービスを強化する/  医療分野向けの評価・解析サービスとして、近頃引き合いが増えている事例の一つとして紹介したのが、医療従事者の抗がん剤曝露量の分析。医療現場に残留している抗がん剤を専用キットでふき取り、その箇所の残留抗がん剤量を分析するもの。近年、医療従事者の抗がん剤曝露が問題になっていることに応えるサービスである> ( 医療従事者の"抗がん剤曝露量"とは何?"抗がん剤"は"正常細胞"にも作用するため警戒?!/当誌 2014.06.27


 今回注目する下記引用サイト記事抗がん剤を無人で自動調合 九州大、健康被害防止に/47_NEWS/2015.10.15 - 21:05 は、その "医療従事者の抗がん剤曝露" という問題との関連で、<九州大は15日、毒性の強い抗がん剤を扱う医療従事者の健康被害を防ぐため、抗がん剤無人で自動調合できるロボットアーム型の装置を開発> と報じている。

 < 九州大は15日、毒性の強い抗がん剤を扱う医療従事者の健康被害を防ぐため、抗がん剤無人で自動調合できるロボットアーム型の装置を開発し、報道陣に公開した。九大によると、薬に接触せずに連続で自動調合できる装置は世界初。   装置は、密閉空間の中に設置した円筒形の本体から、両腕のように2本のアームが伸びる形状。動作の正確性を高めるため、1本のアームに7カ所の「関節」を設け、滑らかに複雑な動きをこなせるようにした。密閉空間に用意した薬剤の種類や分量を読み取り、瓶入りの薬剤を容器に詰め替えて密封する作業までこなすことができる。> とある。

 "再生医療" の飛躍的な進展の中で、注目されているのが、素材として活用される "増殖細胞" の元である "幹細胞" だ。 その中でも、"脂肪幹細胞" と呼ばれる "幹細胞" に、近年熱い視線が注がれているという。

 ◆ 参照 関連記事

 ポテンシャルが高い 脂肪肝細胞 ―― 脂肪幹細胞の分化

 幹細胞の中で、実用化という面で最も進んでいるのが体性幹細胞です。人工的につくられるES細胞やiPS細胞と異なり、体性幹細胞は私たち自身の体内で実際に働いています。例えば、赤血球や白血球・血小板など血液の細胞をつくる「造血幹細胞」、神経細胞をつくる「神経幹細胞」、骨・軟骨・脂肪・神経など様々な組織をつくることができるとされている「間葉系幹細胞」などがそれです。

従来、体性幹細胞の一つ、間葉系幹細胞の中の骨髄由来間葉系幹細胞(以下、骨髄幹細胞)の研究が最も多くなされてきましたが、2001年に脂肪組織中から間葉系幹細胞が発見されると、骨髄幹細胞の100〜1000倍もの幹細胞を比較的容易に確保できること、また、骨髄幹細胞が持つ、骨・脂肪・軟骨等へ分化する能力も併せ持っていることなどが証明され、現在は脂肪幹細胞による研究が多く行われています。脂肪幹細胞の主な働きには、創傷治癒・分化・免疫調節・新生血管形成などが挙げられ、すでに糖尿病や心筋梗塞・脳梗塞・肝機能障害・アレルギー疾患など、様々な病気に対する治療への適用が試みられており、脂肪幹細胞は、様々な疾患治療への応用が期待されています

( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)


 今回注目する下記引用サイト記事脂肪幹細胞、低酸素下で増殖促進 関西医大、米誌に発表/47 NEWS/2015.10.15 - 08:07 は、"脂肪幹細胞" をに関する最新動向として、<筋肉や骨、神経などの細胞や組織になる能力がある「脂肪幹細胞」低酸素下で培養すると、通常よりもよく増殖するようになることを関西医科大(大阪府枚方市)の覚道奈津子助教(形成外科学)のチームが解明> と報じている。

 < 筋肉や骨、神経などの細胞や組織になる能力がある「脂肪幹細胞」低酸素下で培養すると、通常よりもよく増殖するようになることを関西医科大(大阪府枚方市)の覚道奈津子助教(形成外科学)のチームが解明し、米オンライン科学誌プロスワンに15日発表した。  チームは「脂肪幹細胞を大量に増やす技術として低酸素での培養が有効である可能性を示した。脂肪幹細胞を用いる再生医療への応用が期待できる」と説明している。  チームは、人の下腹部の脂肪組織から採取した脂肪幹細胞を1%の酸素濃度の環境下で培養7日後には、空気中と同じ酸素濃度の場合と比べ、細胞数が1・6倍になった> とある。

 "がん患者" にとって、否が応でも気にせざるを得ない事柄の一つ、いや最大関心事と言って良いのかも知れない事柄に、"余命" とか "5年生存率" とかというものがある。

 ◆ 参照 当誌過去の "肺がん 5年生存率" 関連記事

  <国立がん研究センターは14日、2007年にがん診療連携拠点病院でがんと診断され、治療を始めた患者のデータをまとめ、5年後の生存率を公表した。......肝臓がんは35・9%、肺がんは39・4%と厳しい状況が明らかになった。......> ( 肝臓がん:35.9%と肺がん:39.4%、厳しい生存率!治療開始5年後を集計(国立がん研セ)!/当誌 2015.09.16


 今回注目する下記引用サイト記事肺がん患者、特定たんぱく質の量で余命に差/日本経済新聞/2015.09.21 - 01:00 は、その "余命(の長さ)" と "ある種の関係" を示すかのような生体事実、即ち "(肺がん患者の)血液中の特定たんぱく質の濃度" に関する研究結果について報じている。

 < 神戸市立医療センター中央市民病院の加藤了資医師らは、肺がん患者血液に特定のたんぱく質がどれくらい含まれるかで、手術後の余命に1.5~2倍の差がつくとする研究結果をまとめた。緩和ケアを始める時期など、今後の治療方針を決めるのに役立つという。  この2種類のたんぱく質肺腺がん肺扁平(へんぺい)上皮がんという2種類のがんと関係している。まず246人の進行した肺腺がんの患者について、がん細胞から漏れ出る血液中のたんぱく質を調べた。「CA19―9」と呼ぶたんぱく質濃度が高いと、平均余命は12カ月強と、低い患者の26カ月強の半分以下になった。  これに対し、肺扁平(へんぺい)上皮がんが進行した90人の患者では、腫瘍マーカーなどに使われる「CEA」と呼ぶたんぱく質の濃度を調べたところ、濃度が一定以上だと余命は平均15カ月だったが、一定以下では9.5カ月だった。> とある。

 "副作用" として、正常細胞にも悪影響を及ぼすことになる "抗がん剤" の投与で、そのターゲットを "がん細胞" だけに絞り込むための "特殊な手法" の開発が研究・追及され続けている。

 ◆ 参照 当誌過去の "抗がん剤 カプセル" 関連記事

 (1) <ウイルスほどの大きさのカプセルに入った抗がん剤を、がん細胞までピンポイントで届ける投薬システムの臨床試験が、国内で最終段階に入っている。「ナノマシン」と呼ばれる新技術で、早ければ来年度中にも承認され、医療現場での使用が始まる見通しだ。 ナノマシンを使ってシスプラチンをがん細胞だけにピンポイントで運べれば、正常な細胞に影響を与えないので副作用をほとんど感じることなく、(副作用)対策も不要になる。 また、がん細胞の中に入り込み核の近くで抗がん剤を放出することから、薬剤耐性を獲得したがん細胞への効果も期待される......> ( 抗がん剤投薬システム"ナノマシン"!がん細胞を狙い撃ち!副作用減らし効果高める!/当誌 2015.08.01

 (2) <岡山大と岡山理科大の共同研究グループは、複数のがんの標準治療薬になっている抗がん剤を極小の「人工カプセル」に封じ込め、がん細胞内に効率よく送り込む技術開発に成功した。> ( 抗がん剤、"がん細胞だけを狙い撃ち"する"極小カプセル化"に成功!副作用軽減に効果!/当誌 2014.10.04


 今回注目する下記引用サイト記事京都薬科大や北大、抗がん剤をカプセルで 細胞傷めず運搬/日本経済新聞/2015.10.11 - 23:38 も、研究動向の一連の流れに沿い、<抗がん剤をカプセルで 細胞傷めず運搬> するという点で共通した二つの研究について報じている。

 < がん細胞だけに抗がん剤を送り込むDDS技術を京都薬科大学や北海道大学のチームがそれぞれ開発した。がん組織は正常な組織に比べて血管に隙間が多く、脂質の膜でできた微小カプセルを血管に注射すればがん細胞に多くが流れ着く。効き目が強い薬を封入し、がん細胞内に集中して取り込ませる。正常な細胞は傷めず、副作用を減らす。10日まで名古屋市で開いた日本癌学会で発表した。  京都薬科大の浜進講師ら はリポソームという脂質でできた膜で抗がん剤を包み、特殊なペプチド(たんぱく質の断片)を付けてカプセルにした。  カプセルの一部ががん細胞の膜につくと分解してカプセルが壊れ、封入した薬が細胞内へ放出される。  カプセルに緑色の蛍光色素を入れ、ヒトの肺がんの培養細胞で実験した。カプセルが細胞に触れ、30秒~1分で色素が細胞内へ入る様子が観察できた。今後はマウスで実験する。  北大の尾崎倫孝教授ら は、カプセルの表面に2種類のペプチドを付けた。一方のペプチドが細胞膜を刺激し、カプセルが膜を通り抜けるのを助ける。細胞に入ると、もう一つのペプチドが環境の変化を感じて形を変え、カプセルをほどいて薬物を放つ。  カプセルに蛍光物質を付けた抗体を入れ、がんの培養細胞にかけると、15分で95.8%が細胞内に運ばれた。微小ながんを光らせる物質を入れて早期診断へも応用する。5年後をメドに臨床研究を目指す。> とある。

 輸入品が安くなるとばかり浮かれていられないのが、TPP 締結後の "この国の食の安全" という問題になるようだ。 これだけがんの発症が懸念視されているご時世なのだから、"発がん物質含有食品" についてはもっと警戒されてよいはずであろう。

 今回注目する下記引用サイト記事TPP、危険な海外食材が大量輸入&流通の恐れ 発がんリスクある米豪牛肉、検疫率は1割/Business Journal/2015.10.11 は、今回の TPP 締結 によって、<「危険な食品が日本に入ってくるのではないか」という懸念> が浮上しているとの観測を解説している。

 <......いずれにせよ、海外からの食材の流通が拡大することは間違いなく、一部では「危険な食品が日本に入ってくるのではないか」という懸念もある。「TPPは、日本の食の安全に重大な脅威を与える」と指摘するのは、フリーライターの小倉正行氏だ。  「TPPにより、日本の関税撤廃率は95%にも及び、アメリカをはじめとする海外から低価格な食品の輸入が急増することになります。特に、ホルモン系のがんの原因ともいわれる成長ホルモン剤が大量に使用されたアメリカやオーストラリア産の牛肉は、関税が大幅に下げられたことによって、大量に流通することとなり、私たちの健康に大きな影響を与えるでしょう。  また、輸入食品の検疫を行っている食品衛生監視員は、全国に406人しかおらず、検査率はわずか1割です。つまり、9割の輸入食品が検疫なしで流通しているわけです。このような状況下で輸入食品が急増することは、まさに食の安全の脅威といえるでしょう」(小倉氏)  食品の安全基準、規制緩和の恐れも  さらに、小倉氏は税関の通関体制についても言及する。日本はTPPによって48時間通関が義務化されるが、それが輸入食品の安全性確保に大きな影響をもたらすというのだ。  動植物検疫や食品検疫の対象となる貨物について見ると、輸入手続きの平均所要時間は92.5時間です。それを48時間にするために、食品安全基準の規制緩和などを行って時間を短縮せざるを得ないわけで、輸入食品の安全性に重大な影響を与えることは明らかです。  また、TPPによってISDS(投資家と国家間の紛争解決)条項も導入されるため、TPP参加国を多国籍企業が訴えることが可能となります。これによって、例えばアメリカの多国籍企業が、日本が食品の安全性や国民の健康を確保するために行った措置に対して、『損害を被った』と訴訟を起こす可能性があります。日本政府がそれを恐れて、規制などに消極的になるということも十分に予想できるわけです」(同)> とある。

 食中毒の発生を、季節は夏場だと思い込んでいる人が意外と多いのではなかろうか。 ところが、食中毒を引き起こす "ノロウイルス" については "冬場" こそが "流行期" なのだそうだ。

 ◆ 参照 当誌過去の "ノロウイルス" 関連記事

  <東京都は19日、「ワタミの介護」(大田区)が運営する有料老人ホーム「レストヴィラ東大和」(東大和市、65人入居)で入居者16人が集団食中毒を起こし、うち1人が死亡したと発表した。......同ホームの調理担当者と入居者10人からノロウイルスが検出され、都は、給食を原因とする食中毒と断定した。......> ( 「ワタミの介護」有料老人ホーム、給食が原因の"ノロ食中毒"で1人死亡!(東大和市)/当誌 2015.02.21


 今回注目する下記引用サイト記事新型のノロウイルス拡大 免疫なく大流行に警戒/47 NEWS/2015.10.10 - 08:30 は、目前に迫った "冬場" を前にして、"今年のノロウイルス" は "新型" であるため、多くの人に "免疫がなく" 大流行が警戒される、と報じている。

 < 激しい嘔吐や下痢を引き起こすノロウイルスの新型が国内で確認され、広がりつつあることが、川崎市健康安全研究所などの調査で10日までに分かった。毒性は従来と変わらないが、多くの人は免疫がなく大流行する恐れがある流行期の冬を前に、同研究所は注意を呼び掛けている。  同研究所によると、川崎市で2014年、感染性胃腸炎の患者から採取した検体を調べたところ、通常と異なるノロウイルスの遺伝子配列を発見、「G2・17」という種類が変化した新型ウイルスと分かった。  このウイルス15年1月から徐々に検出数が増加。川崎市では15年1~6月に36人から新型を検出した。> とある。

 "転移がん" の "転移経路" は、概ね "血流/血管" だとされている。
 "がん細胞" が、血管に接着・浸潤して血流に乗ることで、"転移" の第一歩が始まる。
 したがって、"転移がん" の予防は、この推移をどうくい止めるかに意を向けることになる。


 ◆ 参照 当誌過去の "転移がん" 関連記事

 (1) <ANPは炎症によって起きるE-セレクチンの発現を抑制することでがんが血管へ接着することを防ぎ、再発・転移を抑制していると考えられる。......> ( "がん転移"予防効果の仕組み="心臓ホルモン(ANP)"による血管の保護!"国循"が解明!/当誌 2015.03.28
 (2) <ホルモンが、転移の経路となる血管に作用して転移を防ぐ仕組み......> ( "心臓から分泌されるホルモン" が "がんの転移"を防ぐ!9施設で初臨床研究へ!(国循)/当誌 2015.02.27


 今回注目する下記引用サイト記事効率的に血中がん細胞収集 転移早期発見に期待/47 NEWS/2015.10.09 - 18:14 は、"転移がん" の "転移経路" である "血流/血管" を研究ターゲットとし、<がん患者の血液にわずかにあるがん細胞を効率的に他の細胞からえり分けて集める技術を、名古屋大などの研究チームが開発し、9日発表した。採血した血液を、狭い間隔に並べたシリコーンの円柱に流してがん細胞を引っ掛け、一つずつ集める仕組みだ> と報じている。

 < がん患者の血液にわずかにあるがん細胞を効率的に他の細胞からえり分けて集める技術を、名古屋大などの研究チームが開発し、9日発表した。採血した血液を、狭い間隔に並べたシリコーンの円柱に流してがん細胞を引っ掛け、一つずつ集める仕組みだ。  血液に染み出るがん細胞の数を約1時間で調べられることから、抗がん剤の効果を確認する検査や、転移がんの早期発見に応用が可能という。新井史人・名古屋大教授(マイクロ・ナノシステム工学)は「臨床試験で精度を確かめて10年以内の実用化を目指す」と話している。> とある。

 がんの "根治" に迫るためには、通常の "がん細胞" を撃退するだけに止まらす、いわゆる "がん幹細胞" をも死滅させなければならない、とされている。

 ◆ 参照 当誌過去の "がん幹細胞" 関連記事

  <細胞には、"通常細胞" と、これらを増殖的に生み出す "幹細胞" とがある。 そして、この事実は、"正常細胞" と "がん細胞" に共通しており、"がん" にも "一般のがん細胞" があるとともに、これらを増殖的に生み出す "がん幹細胞" とがあることになる。......> ( がん細胞を退治する"幹細胞"を開発したという研究結果(米ハーバード幹細胞研究所)!/当誌 2014.11.17


 今回注目する下記引用サイト記事「がんの親玉」鉄分除去で抑える...根本的治療法、開発の可能性/yomiDr. ヨミドク/2015.10.08 は、その「がんの親玉」=「がん幹細胞」を "抑制!する新手法" について伝えている。 その "" は、<体内の鉄分> の "除去" だと報じている。

 < がんの再発や転移の原因とされ、「がんの親玉」とも呼ばれる「がん幹細胞」は、細胞の鉄分を取り除けば抑え込める可能性があるとの研究成果を、岡山大の大原利章助教(免疫病理学)らのチームがまとめた。  がん根本的に治す治療法の開発につながるという。8日から名古屋市で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。  がん幹細胞は、がん組織<の中に数%含まれているとされ、がん細胞の供給源になる。抗がん剤や放射線が効きにくく、がんの再発や転移の原因とされる。  体内の鉄分が過剰になるとがんになりやすいことが知られている。チームはこれに注目し、iPS細胞(人工多能性幹細胞)で作ったがん幹細胞鉄分を与えると、普段より3倍増えた。一方、鉄分を取り除く薬を加えると、がん幹細胞の増殖が抑えられた。  また、このがん幹細胞がんを発症させたマウスに、を取り除く薬を与えると、がんの腫瘍が小さくなった。  チームは昨年から、肝がん患者に対し、鉄分を除去する薬剤を使った治療法の臨床研究を行っている。大原助教は「がないと、がん幹細胞が増える際に必要なたんぱく質の働きに影響が出るのだろう。この手法でがん幹細胞を攻撃できれば、がんを根治できる可能性がある」と話している。  川崎医科大の岸文雄教授(分子生物学)の話「海外では臨床試験が間近に迫っているものもあり、世界に遅れないためにもこの研究は重要だ。がん幹細胞を標的としていることに将来性を感じる」  (2015年10月8日 読売新聞)> とある。

 "がん発症" の原因の一つとして、いろいろな影響による "DNA" の損傷(遺伝子変異)というケースのあることはよく知られている。

 ◆ 参照 当誌過去の "がん DNA" 関連記事

 (1) 肺がんや胃がんなど21種類約2000症例のがん細胞の"ゲノム(全遺伝情報)"を解読/DB化!/当誌 2015.07.02
 (2) "がん"になる可能性がある"遺伝子配列のわずかな違い(SNP)"!国際共同で新たに特定!/当誌 2013.03.29


 今回注目する下記引用サイト記事がん治療薬の開発に期待 欧米3氏にノーベル化学賞/朝日新聞/2015.10.08 - 00:28 は、今年の "ノーベル化学賞" が、"がん治療薬の開発に期待" が寄せられる欧米3氏による "「DNA修復のメカニズム研究」" に贈られる、と報じている。

 < スウェーデンの王立科学アカデミーは7日、今年のノーベル化学賞を、英フランシス・クリック研究所のトマス・リンダール名誉グループリーダー(77)、米デューク大のポール・モドリッチ教授(69)、米ノースカロライナ大のアジズ・サンジャル教授(69)の3氏に贈ると発表した。「DNA修復のメカニズム研究」の業績を評価した。  生物の基本的な遺伝情報であるDNAは、紫外線やたばこに含まれる化学物質などさまざまな刺激で絶えず傷ついている。傷が放置されたままだと、DNAをもとにたんぱく質を正常に作れなくなり、異常な細胞やたんぱく質が体内に増えて病気になってしまう。  ただ実際には、生物は多様な遺伝子を修復するしくみを持っているDNAの修復のしくみは、3人がさきがけとなって解明が進んだ。酵素が傷の場所を見つけて別の酵素が新たな「部品」を挿入したり、部分的に作り直したりすることが明らかになってきた。  今後は、こうしたメカニズムの解明を受けて、がんの原因解明や治療薬の開発につながることが期待されている。  DNA修復について青山学院大の福岡伸一教授(分子生物学)は「傷をスキャンし、分解してから正しく直す生物の精妙なしくみで、がんにならず恒常性を保てる。一方で、修復が完全だったら突然変異は起こらないし、生命は進化できない。そうしたことにも示唆を与える研究だ」と評価する。  授賞式は12月10日にストックホルムである。賞金の800万スウェーデンクローナ(約1億1200万円)は受賞者3人で分ける。(竹石涼子、神田明美)> とある。

 いわゆる "発がん原因" のひとつに "放射線被ばく" (CTなどの医療機器からの "被ばく" も含む) があることはよく知られている。 そして、<東京電力福島第1原発事故による放射線の影響> もまた、決して看過できない "被ばく" のケースだとされている。

 ◆ 参照 当誌過去の "甲状腺がん" 関連記事

  <福島県の全ての子どもを対象に東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べる甲状腺検査で、事故直後の1巡目の検査では「異常なし」とされた子ども4人が、4月から始まった2巡目の検査で甲状腺がんの疑いと診断されたことが23日、関係者への取材で分かった。25日に福島市で開かれる県の検討委員会で報告される。  甲状腺がんと診断が確定すれば、原発事故後にがんの増加が確認された初のケースとなる。調査主体の福島県立医大は確定診断を急ぐとともに、放射線の影響かどうか慎重に見極める。  1986年のチェルノブイリ原発事故では4~5年後に子どもの甲状腺がんが急増した> ( 福島で"甲状腺がん"増加か!? 子ども4人 放射線影響か確認 チェルノブイリの前例も!/当誌 2014.12.25


 今回注目する下記引用サイト記事「被ばくで発症」と主張 福島事故後の甲状腺がん/【共同通信】/2015.10.07 - 04:00 は、<東京電力福島第1原発事故後、福島県で見つかっている子どもの甲状腺がんの多くは被ばくで発症したもの> という、調査研究チームによる分析結果について報じている。

 < 東京電力福島第1原発事故後、福島県で見つかっている子どもの甲状腺がんの多くは被ばくで発症したものだと主張する分析結果を岡山大の津田敏秀教授(環境疫学)らのチームがまとめ、国際環境疫学会の6日付の学会誌電子版に発表した。別の疫学専門家からは「結論は時期尚早」との指摘がある。  研究チームは、福島県が事故当時18歳以下だった約37万人を対象にした昨年末時点までの甲状腺検査の結果を分析。年間発症率は事故前の日本全体と比べ、20~50倍と算出した。さらに福島県内でも地域によって発症率が最大2・6倍の差があった。> とある。

 増加の一途を辿るとされる "前立腺がん" であるが、手術、放射線をはじめとして種々の治療法が試みられている。

 ◆ 参照 当誌過去の "前立腺がん" 関連記事

 (1) 粒子線治療:先進医療除外も!前立腺がんや一部の肝臓がんなど、学会、優位性示せず!/当誌 2015.08.09
 (2) "前立腺がん"治療の新情報!"PSA値"の受けとめ方!手術以外の"小線源療法(内照射)"!/当誌 2014.08.11


 今回注目する下記引用サイト記事前立腺がん、凍らせ壊死...慈恵医大が新治療の臨床研究/yomiDr. ヨミドク/2015.10.05 は、<慈恵医大病院(東京都港区)は、前立腺がんを凍らせて壊死(えし)させる臨床研究を始めた> と報じている。

 < 慈恵医大病院(東京都港区)は、前立腺がんを凍らせて壊死(えし)させる臨床研究を始めたことを明らかにした。  同病院によると国内初の臨床研究で、今後1年以内に5人程度の患者に行い、安全性や有効性を確かめ、国の先進医療に申請したい考えだ。  前立腺は精液の一部を作る臓器で、骨盤内にある。凍結療法は、患者の肛門付近から細長い特殊な針をがん細胞の近くに数本刺し、凍結用のガスを注入して行う。がん細胞をマイナス40度に冷却して壊死させる。  今月1日に1例目を実施した臨床研究は、最初に放射線治療を行った後、前立腺内にがんが再発した患者が対象になる。こうした患者には現在、前立腺がんの発症に関わる男性ホルモンの分泌や働きを薬で抑えるホルモン療法が行われている。だが、薬を使用し続けると骨粗しょう症や糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞といった重い副作用が出る恐れがある。  凍結療法を行う慈恵医大泌尿器科の三木健太講師は「安全性と有効性が確認できれば、ホルモン療法を行わなくて済む患者が増える可能性があり、治療の選択肢が広がる」と説明する。(2015年10月5日 読売新聞)> とある。

 大きな "期待感" と、その "効き目" を見つめる慎重な姿勢という、いわば "賛否両論" の空気が渦巻く "がん免疫療法" かと思われる。

 ◆ 参照 当誌過去の "がん免疫療法" 関連記事

  "がん免疫療法"新動向:"改変リンパ球"でがん攻撃!2年以内メド医師主導治験(山口大)/当誌 2015.10.01


 今回注目する下記引用サイト記事免疫活用、がん細胞攻撃 慶大や京大が治療法研究 /日本経済新聞/2015.10.05 - 02:00 は、そうした "がん免疫療法" 研究の最新動向に目を向け、

 <さまざまな免疫の仕組みを活用し、がん細胞を攻撃する治療法の研究が進んでいる。 慶応義塾大学などはがん細胞が免疫の働きを抑える機構を解除する技術を開発し、腫瘍をたたく効果を動物実験で確認した。 京都大学免疫反応の司令塔役である「ヘルパーT細胞」の働きを示す細胞をiPS細胞から作る技術を開発した。いずれも基礎研究だが、多様な働きを持つ免疫システムにのっとる形で効果的にがんをたたけると期待される。 研究成果は8日から名古屋市で始まる日本癌(がん)学会で発表する。がん免疫療法体内でよそモノを排除しようとする免疫の仕組みを利用し、がん細胞を攻撃する。ただ、がん細胞免疫を抑える機能を持っており、治療効果をどう高めるかが課題の一つだ。...... > と報じている。

 "重粒子線(炭素イオン線)" は、"陽子線" と並び「最先端医療技術」と謳われる "がん粒子線治療法" として注目を浴び続けている。

 ◆ 参照 当誌過去の "重粒子線" 関連記事

 (1) <安倍政権の成長戦略の目玉として掲げられた「最先端医療技術」。そのひとつであるがん粒子線治療の有効性に疑問符が付けられた。がん粒子線治療とは陽子線と、重粒子線(炭素イオン線)をがん細胞に照射する治療だが、さらに問題も起きている。早くも看板倒れとなってしまうのか。  同じ粒子線でも、陽子線と重粒子線とではエネルギーの強さに大きな差がある。RBE(生物学的効果比)という指標で示すが、X線の1に対して、陽子線は1.1とほぼ同じだ。だが、重粒子線は2~3倍高い。がん細胞を攻撃する殺細胞効果が非常に強いが、同時に正常組織に与えるダメージも大きくなる。このため、重粒子線治療は従来のX線治療では起こり得ない重篤な後遺症を招いているという。......> ( 有効性に疑問符が付けられた「がん粒子線治療」!"医療ツーリズム"5500億円の行方!?/当誌 2015.09.23

 (2) <重粒子線や陽子線を患部に照射し、がんを治療する粒子線治療について、日本放射線腫瘍学会が「前立腺がんなど一部では、既存の治療法との比較で優位性を示すデータを集められなかった」とする報告書を厚生労働省に提出した。粒子線治療はがん細胞を狙い撃ちできる治療法として普及し、診療報酬上も自己負担となる照射費用以外は保険適用される優遇を受けている。同省は優位性を示せない部位について、有効性や副作用の有無を調べる臨床試験を求める「格下げ」や、がんの進行度に応じて先進医療からの削除も検討する。......> ( 粒子線治療:先進医療除外も!前立腺がんや一部の肝臓がんなど、学会、優位性示せず!/当誌 2015.08.09


 今回注目する下記引用サイト記事群馬)群大が重粒子線がん治療施設を公開/apital 朝日新聞の医療サイト/2015.10.04 は、その "重粒子線" に関して<群馬大学重粒子線医学研究センター(前橋市)は3日、先進的ながん治療に使う重粒子線治療施設を一般公開した。 重粒子線治療は、炭素イオンを専用の装置でがん細胞に照射し、死滅させる。がんの形に合わせた照射ができるため、近くの臓器への影響が少なく、体への負担が少ないとされる> と報じている。

 < 群馬大学重粒子線医学研究センター(前橋市)は3日、先進的ながん治療に使う重粒子線治療施設を一般公開した。  重粒子線治療は、炭素イオンを専用の装置でがん細胞に照射し、死滅させる。がんの形に合わせた照射ができるため、近くの臓器への影響が少なく、体への負担が少ないとされる。  同センターによると、照射時間は1回1~2分程度で週4回、平均3週間程度行う。診療や入院費と別に314万円の自己負担が必要だが、1700人以上が治療を受けている> とある。

 早いもので、世界初とされたiPS細胞技術を活かした "加齢黄斑変性" に対する移植手術から一年が経過した。 この間、"がん化の懸念" を無しとはされなかったようだが、無事な最新動向が公表された。

 ◆ 参照 当誌過去の "iPS細胞 網膜" 関連記事

  <理化学研究所などのチームが12日、目の難病患者の皮膚から作製したiPS細胞(人工多能性幹細胞)を網膜の組織に分化させ、患者に移植する手術を実施したと発表した。iPS細胞を使った治療を人で試すのは世界初。手術の安全性を確認するのが目的で、計6人に実施する予定だ。同日夜に記者会見する。iPS細胞を開発し、ノーベル医学生理学賞を受賞した京都大の山中伸弥教授も、会見する予定だ。/ 理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の高橋政代プロジェクトリーダーを中心に研究を進め、先端医療振興財団(神戸市)の先端医療センター病院が手術を実施した。/ 手術を受けたのは、網膜の下の細胞が傷み、視力が落ちたり視界がゆがんだりする難病「加齢黄斑変性」の患者。兵庫県在住の70代の女性という。......> ( "iPS細胞"使った移植手術(難病「加齢黄斑変性」の患者)実施! 理研、世界で初めて!/当誌 2014.00.00


 今回注目する下記引用サイト記事iPS移植 目の網膜の細胞 1年後も患者「良好」/神戸新聞NEXT/2015.10.02 - 12:00 は、  <先端医療振興財団(神戸市中央区)と理化学研究所多細胞システム形成研究センター(同)は2日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から目の網膜の細胞を作り、昨年9月に臨床研究として世界初の移植を行った兵庫県内の70代女性の難病患者について、1年後の詳細な検査でも腫瘍などはなく、視力の低下が抑えられており、「良好と評価できる」と発表した。腫れがなくなるなど網膜の形も改善したという> と報じている。

 <先端医療振興財団(神戸市中央区)と理化学研究所多細胞システム形成研究センター(同)は2日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から目の網膜の細胞を作り、昨年9月に臨床研究として世界初の移植を行った兵庫県内の70代女性の難病患者について、1年後の詳細な検査でも腫瘍などはなく、視力の低下が抑えられており、「良好と評価できる」と発表した。腫れがなくなるなど網膜の形も改善したという。  一方で、財団などは「視力の低下抑制などは、移植時に悪い血管を除いたことが主に関係していると考えられる」と説明。「移植細胞は正常な場所で生きているが、その効果だと断言はできない」と慎重な姿勢を示した。  臨床研究は目の網膜が傷んで失明の恐れもある「滲(しん)出(しゅつ)型加齢黄斑変性」の患者が対象。女性の皮膚からiPS細胞を作った後、網膜を保護する細胞に変化させ、シートにして移植。1年後の検査ではがんの検査も行った。  報告によると、悪い血管は再発せず、体液の漏出もなくなり網膜の形が改善。既存治療では低下が続いていた視力は0・1程度を維持し、「明るく見える」との自覚症状もあるという。  理研の高橋政代プロジェクトリーダー(54)は「世界中が注目する中、懸念されていたがんにならなくてよかった」と話した。  2例目の患者は遺伝子変異が見つかり、臨床研究を一時中断。安全性が確認された他人のiPS細胞を利用して再開する方針。(金井恒幸)> とある。

 "がん細胞/がん組織" を縮小/消滅させる治療アプローチの一つに、その "エネルギー源を断つ" という "兵糧攻め" としての手法がある。

 今回注目する下記引用サイト記事果糖運ぶタンパク質解明 京大、生活習慣病やがん治療に期待/京都新聞/2015.10.01 - 09:36 は、そうした "がん細胞への兵糧攻め!" に通じる方策としての可能性がある研究動向について報じている。

 < ヒトをはじめとする哺乳類で果糖を細胞内に運ぶタンパク質の立体構造と輸送のメカニズムを、京都大医学研究科の岩田想教授や野村紀通助教らのグループが解明した。生活習慣病やがんの治療薬の開発につながる成果で、英科学誌ネイチャーで1日発表する。  小腸の上皮に多く存在する膜タンパク質GLUT5果糖を体内に取り込む役割をしている。また、乳がんや膵臓(すいぞう)がんでは、がん細胞にGLUT5が多く現れ、果糖を多く吸収して増殖していることも分かっている。  グループは、分子同士をつなぐのりの役割をする抗体を使ってGLUT5を結晶化することに成功し、エックス線で立体構造を解析した。その結果、GLUT5は、細胞の外側に開いた状態で中央のくぼみに果糖を取り込み、続いて内側に開いた状態に構造を変化させて内部に輸送していることをコンピューター解析を使って突き止めた。  立体構造や変化の過程が分かったことで、果糖の輸送を阻害する分子の設計が可能になる。岩田教授は「果糖と同じくエネルギー源であるブドウ糖を輸送する膜タンパク質は別にあるため、GLUT5の阻害剤は比較的副作用の小さい、生活習慣病やがんの治療薬として期待できる」と話している。> とある。

 がん治療のジャンルでは、昨今しばしば "終末期" の "緩和ケア緩和医療)" ―― 併せて "QOLQuality of life, 生活・人生の質)" ―― という言葉を目にするようになった。
 "緩和" という言葉が意味するように、"がんの痛み" の問題が比重を占めるとともに、"死" や "人間の尊厳" の問題にも深く関係していると思われる。


 ◆ 参照 当誌過去の "終末期" 関連記事

 (1) がんの痛み取り除く治療「日本は先進国では最低水準」!必要以上に麻薬を怖がる風潮?!/当誌 2015.02.10

 (2) "がん患者":高い自殺危険性(約20倍)!患者や家族へのサポート体制の充実を求める声!/当誌 2014.04.24


 今回注目する下記引用サイト記事終末期のがん治療は変わるか!?京大が生存率を80―90%の精度で予測する手法開発 最適な治療を提供。客観的な判断基準としての活用目指す/ニュースイッチ 日刊工業新聞/2015.10.01 は、"終末期" のがん治療のあり方に多大な影響を与えるであろう「予後」の "予測" を行う新手法について伝えている。
 <京都大学大学院医学研究科の奥野恭史特定教授らの研究グループは、がん患者の病気の進行具合や生存率を80―90%の精度で予測できる手法を開発した。患者の血液から得られる3種類の検査値を組み合わせて算出し、98年から京大病院が記録している5000人以上のがん患者の検査値で予測モデルを構築した。終末期の患者に最適な治療を提供する客観的な判断基準として活用が期待される> と報じている。


 < 京都大学大学院医学研究科の奥野恭史特定教授らの研究グループは、がん患者の病気の進行具合や生存率を80―90%の精度で予測できる手法を開発した。患者の血液から得られる3種類の検査値を組み合わせて算出し、98年から京大病院が記録している5000人以上のがん患者の検査値で予測モデルを構築した。終末期の患者に最適な治療を提供する客観的な判断基準として活用が期待される。  生存期間1カ月を90%以上、同3カ月を80%以上の精度で予測できるという。データとして電子カルテに入力すればより客観的な判断ができるようになる。従来の予測モデルでは2カ月以上先の生存予測は難しく、精度は最高でも70%にも満たなかった。担当の医師の主観的な判断に左右されるなどの課題が指摘されていた。  終末期の患者には、病気の進行具合や治療の効果、生存できる確率などの医学的な見通しである「予後」の通知が必要となる。最適なタイミングでの緩和医療への移行や、医薬の治験を実施する際のリスク回避に、今回の予測モデルを役立てられるという。また、不適切な治療の継続で生じる医療費の無駄を削減するための判断基準としての活用も見込める。  京大病院の武藤学教授は「医師の先入観を排除し、普遍的な判断ができるようになる」と話す。今後は他の医療機関の患者から得た検査値を当てはめ、予測精度の安定性と有効性を実証する必要があるとしている。  日刊工業新聞2015年10月01日 科学技術・大学> とある。

 がん治療法の "三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)で懸念され続けてきた "副作用" がないことから、"第4のがん治療法" とも評されている "がん免疫療法" というアプローチが、期待を背負い続けている。 また、このアプローチは、"免疫細胞によるがん細胞攻撃への効果" を高めるために種々の新手法が試みられている。

 ◆ 参照 当誌過去の "がん免疫療法" 関連記事

 (1) "がん免疫療法(第4の治療法)"の一種:"がんペプチドワクチン療法"!臨床試験進展中!/当誌 2014.04.03
 (2) 各地で進む!"がん免疫細胞療法:NKT細胞療法"臨床試験!新たながん治療の選択肢!/当誌 2014.03.13
 (3) 自己免疫を強化させることでがん細胞と戦わせる"免疫療法"薬、初の"医療保険対象"か!/当誌 2014.02.25
 (4) <相手を正確に見分けて適切な攻撃を加えるリンパ球/ T細胞/ 大量の外敵が体内に侵入して自然免疫では手に負えなくなると、この外敵だけ攻撃する能力を持ったT細胞が億単位まで急激に増加、一斉攻撃を開始/ T細胞は、別のリンパ球「B細胞」に情報を渡す。B細胞は外敵の動きを封じる「抗体」と呼ばれるたんぱく質を作り出す/ 麻疹(はしか)などの病気に2回以上かかりにくくなる理由だ/ 予防接種・獲得免疫/ 免疫が戦うのは「外敵」だけではない/ がん細胞/ 1日当たり新たながん細胞は約5千個もできるといわれている/ このがん細胞が「がんの芽」だ/ 増えて集まるとがんになる/ リンパ球が早い段階で、がん細胞を見つけて殺してしまうので、ほとんどの場合、がんにならずに済んでいる......> ( 1日当たり新たながん細胞は約5千個もできる?! なのに"がん"にならないワケ:免疫力!/当誌 2014.01.26


 今回注目する下記引用サイト記事改変リンパ球でがん攻撃 山口大、2年以内メド医師主導治験/日本経済新聞/2015.09.27 - 23:30 は、この "がん免疫療法" というアプローチでの新動向について伝えている。
 <山口大学の玉田耕治教授らは、患者の血液から採取したリンパ球に人工遺伝子を入れて改変し、体内に戻してがんを攻撃させる新たな治療法を開発した。マウスを使った実験で、がんの縮小を確認した。2年以内をメドに、国立がん研究センターと共同で医師主導治験の実施を目指す> と報じている。


 < 山口大学の玉田耕治教授らは、患者の血液から採取したリンパ球に人工遺伝子を入れて改変し、体内に戻してがんを攻撃させる新たな治療法を開発した。マウスを使った実験で、がんの縮小を確認した。2年以内をメドに、国立がん研究センターと共同で医師主導治験の実施を目指す。  新たな治療法では患者から血液をとってリンパ球を採取し、遺伝子操作技術を使って、表面に蛍光物質を捉える「キメラ抗原受容体(CAR)」を作る。がん細胞の表面たんぱく質に結合する蛍光物質を患者に投与したうえで、この改変リンパ球を患者に注射する。  患者の体内では、まず蛍光物質がんに結合。次に改変リンパ球がその蛍光物質をとらえ、がんを攻撃するしくみだ。ヒトの膵臓(すいぞう)がんの細胞をマウスの皮下に移植して腫瘍を作り、蛍光物質と改変リンパ球を投与したところ、2週間で腫瘍が消失した。  改変リンパ球を使ったがん治療はすでに米国で臨床試験段階に入っているが、がん表面のたんぱく質を直接とらえている。蛍光物質を表面たんぱく質に結合させ、それをリンパ球が認識する二段構えの方式にすることで、複数の表面たんぱく質をとらえて攻撃できるようになった。異なるターゲットを同時に攻撃するため、がん治療で問題となる耐性が起きにくいと期待される。  リンパ球の攻撃が強すぎる場合は、がんに結合しない蛍光物質を投与すればリンパ球がそちらに向かい、ブレーキをかけることができる。> とある。

2020年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          














関連サイトへのリンク


  • 電子書籍(eBooks)制作にフォーカスしたサイト
  • 明けない夜はないことを確信するサイト
  • Green(地球環境改善)にフォーカスしたサイト
  • ソフトウェア技術者やSEのための評価と育成、人事考課制度を考えるサイト
  • さまざまな業種・業態でご利用可能なモバイル活用の予約システム!
  • 創作小説『海念と保兵衛』のサイト
  • 創作小説『かもめたちの行方』のサイト
  • 当ブログ推奨の商品を展示したAmazon ストアー!
  • 当AdhocBlogブログの過去のエントリー
  • 株式会社アドホクラット当時のサイト

★売れ筋! No.1!
家庭用"放射線測定器"

日本通信 bモバイルWiFi ルータ+1 ヶ月定額SIM BM-U300W-1M
価格:¥ 20,208
国内配送料無料 Amazon





このアーカイブについて

このページには、yasuo hirose2015年10月に書いたブログ記事が含まれています。

前のアーカイブは、
 yasuo hirose: 2015年9月
です。

次のアーカイブは、
 yasuo hirose: 2015年11月
です。

最近のコンテンツは、
 インデックスページ
で見られます。

過去に書かれたものは、
 アーカイブのページ
で見られます。

年月別アーカイブ