yasuo hirose: 2014年8月 アーカイブ

 一般の患者にとって、"薬の効き目/副作用" の詳細については、結局、知る由もない。"ブラックボックス" と言っても過言ではないのかもしれない。

 製薬会社、薬を認可した国の厚労省、そして医師・病院などを、ただただ "信じる" 以外に手が無い というのが現実であろう。

 だからこそ、"信じられる側" はそれにふさわしい "厳正な検査体制" で臨むことが要請され、決して "営利目的" で、薬の検査情報が歪められたりしてはならないわけだ。

 ところが、薬をめぐる社会的現状は、かなり錯綜しており、国民病のひとつともされている "がん" の薬、"抗がん剤" に関しても、さまざまな不透明な現実が患者側を不安がらせてもいる。


 ◆ 参照 当誌過去の "抗がん剤、副作用" 関連記事

 (1) "抗癌剤職業曝露"の実態調査進む!やはり気になる!ここまで有害とされる抗癌剤の使用!?/当誌 2014.07.29
 (2) 抗がん剤の強い毒性!医師/看護師/薬剤師ら「抗がん剤曝露(ばくろ)対策協議会」設立!/当誌 2014.06.30
 (3) 今"がん治療"では「先生にお任せいたします」が通用しない!?"がんリテラシー"が必須!/当誌 2014.06.29
 (4) 医療従事者の"抗がん剤曝露量"とは何?"抗がん剤"は"正常細胞"にも作用するため警戒?!/当誌 2014.06.27
 (5) "新しい"抗がん剤:"分子標的治療薬"に、従来の抗がん剤にはない"皮膚障害の副作用"!/当誌 2014.06.25
 (6) "抗がん剤"で死亡 病院に賠償命令!"抗がん剤"の"副作用危険性"に改めて"要注意"か?!/当誌 2014.05.20
 (7) 『医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて 元気に 長生きする方法』はお薦め!/当誌 2014.02.22

 今回注目する下記引用サイト記事 1-2 ノバルティス:重篤な副作用2579例 未報告、死亡例も/毎日新聞/2014.08.29 - 21:51 / ノバルティス:学会で医師71人の旅費510万円肩代わり/毎日新聞/2014.08.27 - 21:10 は、既に<降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験を巡る虚偽広告事件> で起訴されるなどして顰蹙を買っている製薬会社ノバルティスファーマによる "不祥事" について報じている。

 記事で指摘されている<白血病治療薬イマチニブ(商品名グリベック)1313例 ▽ ニロチニブ(同タシグナ)514例> はいわゆる "分子標的薬(シグナル伝達系阻害薬)" という新たな "抗がん剤" であり、<▽ 抗がん剤のエベロリムス(同アフィニトール)261例 ▽ がんの骨転移などに使うゾレドロン酸水和物(同ゾメタ)130例> は "抗がん剤" として処方される薬である。

 現時点でこれらの "抗がん剤" が処方されている患者さんたちは、恐らく、不安でならないのではなかろうか
......。

 <◇ 厚労省が薬事法違反の疑いで調査開始/  製薬会社ノバルティスファーマは29日、同社が販売する白血病治療薬など複数の薬に関係する2579例の未報告の重い副作用情報があったと発表した。この中には死亡例もあるという。他にも重篤度などを評価中の6118例を含めた計8697例の未報告例について、厚生労働省は、薬事法違反の疑いがあるとして調査<を始めた。/  ノ社は白血病治療薬の臨床試験に社員が不適切に関与していた問題<を受けて、4月中旬に全社員約4500人を対象に副作用情報に関する調査を実施。その結果、約1万例で社内の安全性評価部署に連絡せずに放置していたことが判明し、厚労省から8月末までに内容を精査して報告するよう求められていた。/  ノ社が重い副作用があったと評価したのは、白血病治療薬イマチニブ(商品名グリベック)1313例 ▽ ニロチニブ(同タシグナ)514例 ▽ 抗がん剤のエベロリムス(同アフィニトール)261例 ▽ がんの骨転移などに使うゾレドロン酸水和物(同ゾメタ)130例−−など。/  ノ社を巡っては、降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の虚偽広告事件で東京地検特捜部が同社を薬事法違反の罪で起訴。また、別の臨床試験や医療機関へのアンケート調査などで把握した白血病治療薬の重い副作用16例21件を把握しながら国への報告を怠ったとして、7月末に厚労省から業務改善命令を受けている。ノ社は29日、命令に基づいて、社員の研修計画などを盛り込んだ改善計画書を提出した。

 <製薬会社ノバルティスファーマ(東京)が4月に開催された日本内科学会に出席した医師71人の旅費計約510万円を不当に肩代わりしたとして、業界団体「医療用医薬品製造販売業公正取引協議会」が27日、指導した。製薬会社が学会参加者の旅費を肩代わりすることは、医師への不当な便宜供与に当たるとして規約で禁止されている。> とある。




















 日常化したグローバリズムに伴う "人の移動の激しさ" から来るものなのか、それとも昨今の "温暖化気象" によるひとつの余波なのかどうか、"約70年ぶり" に "デング熱" の感染者が発生したという。

 ◆ 参照 "デング熱"
 <一過性の熱性疾患であり、症状には、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛(Arthralgia)、はしかの症状に似た特徴的な皮膚発疹を含む。治療方法は対症療法が主体で、急性デング熱にはいま起きている症状を軽減するための支持療法 (supportive therapy, supportive care)が用いられ、軽度または中等度であれば、経口もしくは点滴による水分補給、より重度の場合は、点滴静脈注射や輸血といった治療が用いられる。稀ではあるが、生命を脅かすデング出血熱に発展し、出血、血小板の減少、または血漿(けっしょう)漏出を引き起こしたり、デングショック症候群に発展して出血性ショックを引き起こすこともある。> ( ウィキペディア - デング熱/

 今回注目する下記引用サイト記事 1-2 新たにデング熱の感染確認 都内、埼玉の20代男女/【共同通信/2014.08.28 - 15:32 / 10代女性デング熱国内感染確認 約70年ぶり、埼玉県在住/【共同通信/2014.08.27 - 14:01 は、"感染者が複数発生!" という、やや謎めいた事実について報じている。

 <東京都と埼玉県は28日、海外渡航歴のない都内在住の男性と埼玉県在住の女性がデング熱にかかったとそれぞれ発表した。2人は20代で、既に感染が確認された埼玉の10代女性と同じ学校の生徒。いずれも東京・代々木公園で蚊に刺されたとみられる。国内感染は3人となった。/  都や県によると、3人はほかの生徒と一緒に8月初旬から週に3回ほど、学園祭に向けて代々木公園でダンスの練習をしていた。都は公園でデングウイルスを保有している蚊に刺されて感染した可能性が高いとみて、28日夕に駆除を実施する。

 <厚生労働省は27日、埼玉県在住の10代日本人女性がデング熱にかかったと発表した。女性には海外渡航歴がなく、海外でウイルスに感染した人を刺した蚊を通じ国内で感染したとみられる。海外で感染した患者は年間200例程度見つかっているが、国内での感染は1945年以降、約70年間記録がないという。/  女性は8月下旬に40度の高熱を出し、さいたま市内の病院に入院しているが、容体は安定しているという。国立感染症研究所などが女性の周辺に感染者がいないかなどの調査を進めるとともに、都道府県に情報提供した。/  デング熱はネッタイシマカなどが媒介するウイルスによる熱病。> とある。

 "致死率は90%" という怖い病気! それが "腹部大動脈瘤(りゅう)の破裂" だ。
 その恐さを改めて知らしめたのは、重厚な演技で人気を集めた俳優・米倉斉加年さんのまさに突然の死去である。
米倉斉加年さん死去 重厚な演技、絵本作家 80歳/東京新聞/2014.08.27

 そこで、"この病気の実態/治療法" などを知るべく、以下の記事を参照したい。

 今回注目する下記引用サイト記事vol.95 腹部大動脈瘤の破裂予防に注目されるステントグラフト手術/omron は、この病気の原因が、"動脈硬化" であること、治療法としては、患者の負担が小さい "ステントグラフト手術"、そして何よりも重要なのが "動脈瘤の有無" をチェックしておくことだと解説している。

 <予兆がまったくなく、ある日突然起こる腹部大動脈瘤(りゅう)」の破裂破裂すると致死率は90%、緊急搬送されて手術したとしても救命率は50%という怖い病気です。/  腹部大動脈瘤はおなかの部分を通っている大動脈にこぶができる状態で、血管の老化に伴う動脈硬化が主な原因とされています。腹部大動脈の直径は通常2㎝程度ですが、これが膨れて直径4㎝以上になる腹部大動脈瘤と診断され、女性で直径4.5㎝、男性で直径5㎝を超えると破裂するリスクが高くなるので、手術が勧められます。/  ただし、腹部大動脈瘤破裂前に見つかったという人は、約90%が偶然です。/  腹部大動脈瘤が発見されると、大動脈瘤のできている「場所」「形」「大きさ」など、さまざまな要素を考慮し、破裂リスクが大きい場合は予防的治療が必要となります。/  一般的な治療法は開腹手術による「人工血管置換術」ですが、近年、よりからだにやさしい「ステントグラフト手術」に注目が集まっています。/  ステントグラフト手術は、いわゆる"血管内治療"。患者さんの脚の付け根部分に局所麻酔をし、3㎝程度切開して大動脈から直径7㎜くらいに折りたたんだステントグラフト(金属バネ付きの人工血管)の入ったカテーテル(細い管)を患部まで挿入します。そして、レントゲン透視下で患部の状況を確認しながら、こぶの場所にステントグラフトを留置するのです。/  ステントグラフトはこぶの場所で広がって内側から動脈瘤をカバーします。こぶの中に新しい血管ができたのと同じ状態になるため、破裂の危険を避けることができます。/  ステントグラフト手術が注目されているのは、次のような利点があるからです。
 ① 全身麻酔の必要がなく、高齢の患者さんのからだへの負担が少ない。
 ② 開腹する必要がないので、合併症の危険が少ない。
 ③ 回復が早い。(開腹手術では入院3週間だが、わずか3~4日間)
 ④ 安全性が高い。(開腹手術に対し死亡率が低い)
/  何よりも重要なのは、動脈瘤を偶然見つけるのではなく、意識してチェックを行い"発見する"ことです。60歳以上で高血圧・喫煙・メタボリックシンドロームなど、動脈硬化のリスクが高い人は3~5年に1回、腹部超音波検査を受けてチェックしてもらいましょう。これだけで動脈瘤の有無が99%分かります。> とある。

 高齢化社会の進行にあって、"老化" によって引き起こされる様々な疾病の問題が否が応にもクローズアップしている。
 その中でも、本来、病気から身を守るはずの "免疫システム" 自体までもが "老化" に至るという現象、"免疫老化" が懸念されてもいる。

 以下のとおり、ヒトの "免疫システム" においては "T細胞" が有力な働きをしているわけだが、これらを供給している "胸腺" という臓器そのものが、加齢とともに退縮するとのことで、"免疫老化" という現象は避けられない推移と見なされてきた
......。

 ◆ 参照 当誌過去の "胸腺" 関連記事

  <日本では高齢化社会のさらなる進行により、免疫システム老化が引き金となる慢性炎症疾患、がんや感染症などの疾患の増加が危惧されており、対策が急がれています/ 老化に伴って、特に獲得免疫の応答が低下・劣化します。この現象は「免疫老化」と呼ばれ、この免疫老化が、高齢者における慢性炎症疾患(関節リウマチなどの自己免疫疾患)や発がんの増加、易感染性の誘発、ワクチン効率の低下につながる....../ T細胞は胸腺でつくられますが、胸腺は加齢とともに退縮するので、老齢期においては新たなT細胞の供給が減少/ つまり、免疫老化の原因は主としてT細胞自身の過剰な分裂・増殖によって誘導される細胞老化だと考えられます> ( 免疫システムの老化を引き起こす仕組みを発見(愛媛大学)!迫り来る"免疫老化"の危惧!/当誌 2014.04.05


 ところが、今回注目する下記引用サイト記事世界で初めて臓器を自己再生させることに成功/Gingazine/2014.08.25 - 10:39 は、何と、上述の"胸腺" という臓器を、"世界で初めて自己再生させることに成功!" させたという研究成果について報じているのである。

 <機能の衰えた胸腺を人工的に再生できれば、老齢に伴い胸腺が縮小し免疫機能が低下する症状を克服> できるのではないかと、大きな期待が寄せられているようだ。

 <分裂・分化することでさまざまな細胞に成長する可能性を秘めた幹細胞から人工的に臓器を作り出す研究が進む中で、正常に機能するよう臓器を自己再生させることに世界で初めてイギリスの研究チームが成功しました。/  世界初の臓器再生に成功したのはイギリス・エジンバラ大学の研究チームで、この成果はNature Cell Biologyで発表されています。/  エジンバラ大学Medical Research Council centreのクレア・ブラックバーン博士の研究チームは、マウス胚性線維芽細胞(MEF細胞)を遺伝的に改変してFOXN1タンパク質を発現させ免疫作用を持つ胸腺というリンパ器官の幹細胞様組織に導入することで、衰えた胸腺を再生させることに成功しました。この再生した胸腺はT細胞を作り出し正常な臓器として完全に機能したとのこと。/  今回、エジンバラ大学の研究チームが作り出した胸腺は世界で初めて「正常に機能する」人工の臓器ということになります。/  世界で初めて臓器を自己再生させることに成功したブラックバーン博士は「とてつもなくエキサイティングなことです」と感想を述べました。/  胸腺は臓器の中では比較的単純な構造を持つものだと言えますが、この再生技術を他の臓器や人体で用いるためには、細胞の増殖プロセスを制御して癌細胞化することを防ぐ仕組みの開発などが必要であることから時間がかかるとのこと>。しかし、機能の衰えた胸腺を人工的に再生できれば、老齢に伴い胸腺が縮小し免疫機能が低下する症状を克服できたり、生まれながら胸腺が機能しない子どもが骨髄移植をせずに済んだりするため非常に大きな期待が寄せられています。/  ブラックバーン博士は今回の成果について、「非常にエキサイティングな進歩であり、再生医療の広い分野に応用できる可能性がある」と述べており、再生医学のさらなる進歩が期待できそうです。> とある。

 "筋萎縮性側索硬化症(ALS)" や "閉じ込め症候群(TLS [totally locked in state])" という "難病の辛さ" については、過去にも何度か注目してきている。

 ◆ 参照 当誌過去の "筋萎縮性側索硬化症(ALS)" 関連記事

 (1) "iPS細胞"の応用で、神経の難病:"筋萎縮性側索硬化症(ALS)"の進行を遅らせる(京大)!/当誌 2014.06.28
 (2) "TLS 患者" における、"自律神経系" の "非言語的コミュニケーション"/当誌 2010.03.25
 (3) なぜ、 "閉じ込め症候群" に少なくない人々が関心を寄せるのだろうか/当誌 2010.03.24
 (4) "閉じ込め症候群" と、 "人間的な意識" によって寄り添われる "人間の命"/当誌 2010.03.22

 こうした "難病の壮絶さ" は、簡単には言い尽くせないかと思えるが、中でも、自身の思いや意思が表現しにくい点、あるいはやがてそれが不能にもなっていく点( "閉じ込め症候群" )などに、辛さは極まるのではないかと思われる。
 こうした患者さんたちの "人間としての尊厳"、"QOL(生活の質)" の改善が、現代のデジタル技術などの活用によってもっと効果的に進められないものかと考えるのは、決して自分だけではなかろう。

 今回注目する下記引用サイト記事フィリップスとアクセンチュア、ALS患者向け生活支援脳波連携ソフトを開発/マイナビニュース/2014.08.22 が伝える動向は、まさにそうした期待に的確に応える展開だと思えた。

 <ロイヤル フィリップスとアクセンチュアは8月5日(米国時間)、脳波を測定できるデバイス「Emotiv Insight Brainware」とウェアラブルディスプレイを接続したコンセプト実証ソフトウェアを開発したと発表/  同ソフトは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者をはじめとした神経変性疾患患者の自立的な生活を支援する可能性を示すもので、患者の思考や感情、表情などをリアルタイムで検知し、脳から発信される電気信号を捕えるセンサ技術が搭載されている「Emotiv Insight Brainware」を経由して、ウェアラブルディスプレイに表示されるアプリケーションを視覚的に操作することができる。/  具体的には、ウェアラブルディスプレイと「Emotiv Insight Brainware」をタブレット端末に接続することで、ユーザーは脳からの指令で「フィリップス緊急通報サービス」、「フィリップス・スマートテレビ(TP Vision製)」、「スマートLED照明 Philips hue」などのフィリップス製品をコントロールすることができるようになるという。/  同ソフトは、視線や音声の指令によってもコントロールすることが可能で、どちらの場合も、ユーザーはあらかじめ定められたメッセージを通じたコミュニケーションや、医療サポートのリクエスト、テレビや照明をコントロールすることができるようになる。/  両社は同ソフトについて、既存のテクノロジーがどのようにALS患者の方々の生活の質を改善できるかを実証する良い例となるとしており、......「同コンセプト実証は、深刻な疾患を持ち、体の動作に問題を抱える人々が、デジタル革命を通じて生活の質を取り戻すという、ウェアラブル技術の力強い新たな可能性を示している。/  同コンセプト実証は、たとえ患者が病院にいなくても、人とデバイス、データ、技術を素早く連携することで、患者の生活の質を改善できる可能性があることを証明するものであり......」とコメントしている。> とある。

 健康に良い "睡眠" の内実が、その量としての "睡眠時間" と、質としての "睡眠の深さ" とによって決まることは、よく知られている

 ◆ 参照 当誌過去の "睡眠時間" 関連記事
  <睡眠が1時間減れば、翌日の満足度や生産性、健康、思考能力が低下する/ 人間の能力に関する研究の1つでは、最も能力を発揮する人々は1日あたり8時間36分睡眠をとっていることが分かった/  睡眠が十分取れていないときには同じ人物とは思えないようになり、それは明確に現れる。睡眠が十分でなければ、ネガティブな出来事の連鎖につながりかねない。仕事ではあまり成果を出せず、いつもしている運動ができず、食生活も乱れる......> ( こんな時代環境だからこそ改めて注目して良い"良質な睡眠/睡眠時間"が秘めた起爆力!/当誌 2013.12.26

 "適切な睡眠" が、快適な気分と高い生産性を促すという点は、日常の経験からも十分了解できるところだ。
 ただ、いま一歩踏み込んでみるならば、現在、社会的にも憂慮されている "高齢者の認知機能低下" という問題などと "睡眠(時間)" との関係はどうなのかが気になる



 今回注目する下記引用サイト記事睡眠時間が短い人の脳は老化が早い:研究結果/WIRED/2014.08.24 - SUN は、"平均的な睡眠時間" と "認知機能" との関連性について、常識的にも説得性のある結果、つまり、<睡眠時間が少ない人ほど脳の老化が早まり、認知力が低下しやすくなる> という結果、そして<大人には7時間の睡眠が最適であること> などを伝えている

 < 睡眠時間が少ない人ほど脳の老化が早まり、認知力が低下しやすくなるという研究結果が発表された。はたして、健康的な人生を送るためにわたしたちは何時間寝るのがいいのだろうか/  睡眠時間は生産性と密接にかかわっているシリコンヴァレーの起業家でエンゼル投資家のケヴィン・ハーツは、成功の3条件のひとつとして睡眠の大切さを挙げている/  社会の高齢化や平均寿命が長くなるにつれて、看過することのできない社会問題がある。加齢にともなう認知力の低下や、パーキンソン病やアルツハイマーなどの神経変性疾患だ。しかし、お年寄りの全員がこれらの病気に悩まされるわけではない。今回デュークNUSシンガポール校が行った研究によると、睡眠時間が少ない人ほど脳の老化が早まり、認知力が低下しやすくなるのだという/  脳の老化が早まるには、もって生まれた遺伝子に加え、おそらくいくつかの環境要因があると思われる。なかでも、ジャーナル誌「Sleep」で発表された研究が注目したのは、「平均的な睡眠時間」と「認知機能」の関連性だ/  デュークNUSシンガポール校では、55歳以上の中国人被験者66人を対象に、睡眠の長さと質について尋ねた。研究者らは、炎症の度合いを調べるための血液検査や、認知力を試す神経心理学的検査を行い、加えて、脳の容積もMRIで測定。睡眠時間が脳にどう影響するかを調べるために、同調査を2年ごとに行った/  「睡眠時間は脳の老化のマーカーとして使えます」と話すのは、研究を率いたジューン・ロー博士だ/  彼らの結果によると、被験者の一部は年齢を重ねたにもかかわらず、神経心理学的検査に練習効果とみられるスコアの上昇があった。しかしほかは、睡眠時間が少なかった人ほど脳室の拡大が早く、認知能力にも低下がみられた。年齢、性別、学歴やBMIを考慮した後も、睡眠時間の影響は統計的に有意なままだったという。また今回の調査では、睡眠時間と炎症反応には関連がみられなかった/  睡眠は、食事や適度な運動と同様に気を配る必要があるということだ/  今回の結果を受け、デュークNUS認知神経科学のディレクターであるマイケル・チー教授は次のように述べている/  「神経心理学的検査の大規模な研究結果をみると、大人には7時間の睡眠が最適であることがわかります。これからは何が心血管の代謝に良いのかを調査し、脳の長期的健康を保つ方法を模索していきたいですね」> とある。

 現在では、"iPS 細胞" から、神経細胞、心筋細胞、腸細胞などなどあらゆる種類の "再生医療用細胞" が作製され始めている。
 そのめざましい成果は、<"肺組織(呼吸器細胞)"を作るための材料> にまで進展していると言われる


 ◆ 参照 当誌過去の "iPS細胞と肺組織" 関連記事
  "肺組織(呼吸器細胞)"を作るための材料として"iPS細胞"が利用可能!研究者らが成功!/当誌 2013.12.18

 こうした挑戦が進む "再生医療用細胞""臨床応用"への道は、まだ半ばだとされてはいるものの、その作製効率や安全性の向上の面での前進は著しいようだ。


 今回注目する下記引用サイト記事iPSから肺胞細胞を作製、難病解明に道...京大/yomiDr. ヨミドクター/2014.08.23 は、<iPSから肺胞細胞を作製> という研究での目覚ましい成果が得られた、と報じている

 <人間のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、呼吸に欠かせない「肺胞」の細胞を作ることに成功したと、三嶋理晃・京都大教授(呼吸器内科学)の研究チームが発表/  肺の難病の病態解明や治療薬開発に役立つとしている。論文は米科学誌「ステム・セル・リポーツ」電子版に22日掲載/  肺胞は、肺の末端にあるブドウ状の組織で、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する役割がある。iPS細胞や胚性幹細胞(ES細胞)から作製する研究が国内外で進められているが、作製過程で様々な種類の細胞ができるため、肺胞になる細胞だけを分離することが課題だった/  発表によると、チームは肺胞になる細胞の表面には「CPM」という特有のたんぱく質があることを発見。iPS細胞を肺組織の細胞に変化させる過程で、CPMを持つ細胞を分離して培養したところ、肺胞の細胞だけに成長した/  (2014年8月23日 読売新聞)> とある。

 心臓の筋肉(心筋)に酸素を供給している冠動脈の異常による一過性の心筋の虚血のために、胸痛や胸部圧迫感などを伴う "狭心症" という症状が起きる。完全に冠動脈<が閉塞し、心筋が壊死してしまった場合には "心筋梗塞" に至る、とされる

 こうした冠動脈異常とその治療との関係で注目されているのが、心臓の筋肉(心筋)上の毛細血管に関わっている "血管新生" という現象だ。もちろん、望ましい現象として関心が持たれているわけだ

 ◆ 参照 当誌過去の "血管新生" 関連記事

 (1) <血液を供給するため心臓の表面を走る「冠静脈」が作られる仕組みを大阪大や京都大、東京大などのチームがマウスを使って解明......> ( 心臓の表面を走る「冠静脈」が作られる仕組み解明!心筋梗塞などへの治療手法開発に!/当誌 2014.07.25
 (2) 糖尿病、足切断などの合併症に関わる"血管新生"低下機構の1つを解明に成功(金沢大)!/当誌 2014.07.07

 今回注目する下記引用サイト記事東北大、超音波に血管新生作用と発表 - 狭心症の新たな治療法として期待/マイナビニュース/2014.08.21 は、 "狭心症" への新たな治療法として期待が込められている "超音波による血管新生作用" に関する研究成果について報じている

 <東北大学は8月21日、ある特殊な条件の超音波に血管新生作用があることを発見し、この研究成果をもとに狭心症患者を対象とした超音波治療の治験を開始したと発表した/  今回の研究成果は東北大学大学院医学系研究科循環器内科分野の下川宏明 教授(東北大学病院臨床研究推進センター センター長)、同 大学院工学研究科の金井浩 教授、同 長谷川英之 准教授らと日立アロカメディカルの研究グループによるもので、米科学誌「PLOS ONE」に掲載された/  狭心症は心臓の筋肉に血液を送る冠動脈の異常によって引き起こされる心臓疾患標準的な治療方法は生活習慣の改善を基本とし、薬物治療、カテーテル治療、冠動脈バイパス手術の3つがある。しかし、日本では人口の高齢化や食生活の変化にともない、これらの治療法では十分な効果が得られない重症例が増加しており、新たな治療法の開発が期待されている/  下川教授らは約15年前から血管新生を誘導する低出力体外衝撃波治療の開発・臨床応用を進めており、2010年に厚生労働省から先進医療として承認を得ていた。しかし、衝撃波は......などの問題があった/  そこで同研究グループは、40年以上前からエコー検査で使用され、安全性が確立されている超音波にも血管新生作用がないか調べたという/  実験ではまず、超音波をヒト由来の培養血管内皮細胞に様々な照射条件で当て、血管新生に最適な照射条件を特定。さらに、この照射条件の超音波を、虚血性心疾患モデル動物(ブタ)に照射したところ、毛細血管数が増加して、心筋の血流や収縮力が改善することが確認されたとのこと。....../  同研究チームは2013年度より重度の狭心症患者を対象に全国8カ所で治験を実施しており、患者への負担が少ないことや他の虚血性疾患への応用が期待されることなど、同治療法の有効性を示すことを目指している> とある。

 "パーキンソン病" のような神経変性疾患治療の鍵は、損傷を受けている "神経細胞" に代わって、正常な "神経細胞" を "移植" によってどう置き換えるか、だと考えられている

 ◆ 参照 当誌過去の "神経細胞、パーキンソン病" 関連記事

  <マウスの脳に移植された脳細胞が、6カ月後には完全に機能的に統合されたことが確かめられた。この移植の成功は、死滅した脳細胞の置き換えができる可能性を示唆するもので、パーキンソン病のような神経変性疾患に治療の道が開けるかもしれない......> ( 脳への"ニューロン幹細胞"移植に成功!死滅した脳細胞の置き換え可能性が示唆される!/当誌 2014.08.17

 今回注目する下記引用サイト記事iPSのパーキンソン病治療、4年後に治験計画 京大/朝日新聞(阿部彰芳)/2014.08.21 - 18:02 は、<iPS細胞から作った神経細胞> を使って、"パーキンソン病" の治療を進めようとする計画について伝えている

 <iPS細胞から作った神経細胞でパーキンソン病の治療を目指す京都大iPS細胞研究所(CiRA)の高橋淳教授は20日、作製する神経細胞の薬事承認を得るため、2018年度にも治験を始める構想を明らかにした。承認が得られれば、品質の安定した神経細胞を製品として流通させることができ、再生医療普及の大きな足がかりになる/  報道関係者との会合で明らかにした。パーキンソン病はドーパミンという神経伝達物質を作る細胞が減っていき、運動に障害がでる難病。動物実験では、重症化する前なら、神経細胞の移植で治療効果が期待できるとされている/  高橋教授らは来年度から患者自身の細胞から作ったiPS細胞を使い、臨床研究を始める予定だ。iPS細胞によるパーキンソン病治療は例が無く、安全性や一定の効果が確認できれば、治験に進む方針。治験ではCiRAがストックするiPS細胞を使う予定。患者にとっては他人の細胞で拒絶反応のリスクがあるが、大量生産が可能になり、コストを大幅に下げられるメリットがある/  一方、患者自身の細胞を使う治療法も京大病院で続ける計画だ。4年後には、保険診療と併用できる先進医療への認定を目指すという。(阿部彰芳)> とある。

 "この事実" の受けとめ方は人それぞれかもしれない。そうこだわることもはないと見る人、あるいは、"少ない論文数" は何がしか "研究水準の実情" を反映しているに違いないと考える人など......。

 ただ、今や、"現代医療" の分野での "幹細胞" に関連する研究は "再生医療" そして "がん治療" などの先端領域において、可能性に満ちた局面を切り拓くテーマとして、世界中の医療関係者たちの熱い視線が注がれていることは否定できない。

 したがって、折からの日本経済政策における "成長戦略の医療分野版!" にとっても、この "幹細胞" に関連する研究は重要な意味を持ち続けていたはずだ。"iPS細胞" 関連研究と並んで......。


 ところが、こうした文脈からすれば、やや "拍子抜け(?)" 感を伴わざるを得ないのが今回注目する下記引用サイト記事幹細胞の論文、中国を下回る...発表数3位転落/読売新聞/2014.08.18 ではなかろうか......。

 <iPS以外が低調 08~12年調査/  再生医療の実用化につながる幹細胞に関する論文数で、日本は中国に抜かれ、3位になったとする調査報告書を特許庁がまとめた/  幹細胞研究を巡る国際競争が激しくなる中、首位の米国と中国が、幅広い分野で論文数を伸ばしたのに対して、日本はiPS細胞(人工多能性幹細胞)以外の分野が伸び悩んだことが影響したとみられる/  特許庁は、世界の医学論文が登録された米国立医学図書館のデータベースを使い、2008~12年に発表された幹細胞関連の約1万7500本を分析した。論文の筆頭著者の所属する機関の国籍を比べたところ、米国が5129本で首位。1640本と数を伸ばした中国が2位。日本は微増の1350本で3位だった。04~09年を調べた前回調査で日本は2位だったが、4位だった中国に追い抜かれた/  研究機関別では、カリフォルニア大、スタンフォード大が1、2位で、米国が上位50位のうち半数を占めた。日本は京都大が6位、東京大が14位など5機関が入ったが、中国が中山大(11位)など7機関で上回った/  分野別にみると、iPS細胞で、08年から12年の間に、日本の論文は11倍に増え、米国に次ぐ2位ただ、実際の患者への治療が近い骨や心筋などに変化する間葉系幹細胞で、論文数を1・4~2・5倍に増やした欧米中に対し、日本は横ばいだった/  国の指針によって臨床研究に使えない状態が続いてきたES細胞(胚性幹細胞)の論文も減る傾向にあり、報告書は分野のバランスを考慮した研究開発を進める必要性を訴えている> とある。

 "認知症" で高い比率を占めている "アルツハイマー病" が、"脳内にアミロイドβが蓄積する" ことで発症することはよく知られた事実だ。

 ここから、"脳内アミロイドβ蓄積" を "抑制/除去" する各種のアプローチが模索されている


 ◆ 参照 当誌過去の "脳内アミロイドβの抑制/除去" 関連記事

 (1) アルツハイマー病"新治療法"!鼻粘膜からアミロイドβを採取/脳のたんぱく質"ILEI(アイレイ)"!/当誌 2014.08.13
 (2) アルツハイマー抑制タンパク質"ILEI"を発見(滋賀医科大)!副作用回避!治療薬に期待!/当誌 2014.06.06
 (3) アルツハイマー病:老化による異常タンパク質(Aβ)蓄積とAβ分解酵素ネプリライシン!/当誌 2014.04.30
 (4) (再)"自衛機能"として!アルツハイマー病から脳を守る細胞内の「掃除屋」タンパク質!/当誌 2014.03.16
 (5) アルツハイマー型認知症の進行を既存薬(脳梗塞予防薬「シロスタゾール」)内服で抑制!/当誌 2014.02.28
 (6) "アルツハイマー病"の脳内原因物質"アミロイドβ"の"掃除役タンパク質sorLA"が特定!/当誌 2014.02.14

 今回注目する下記引用サイト記事北大、アルツハイマー病の原因となる脳内アミロイドβ蓄積を軽減する手法を明らかに/財経新聞/2014.08.20 - 00:10 もまた、この"脳内アミロイドβ蓄積" を "抑制/除去" することを目指す新しい手法を紹介している

 <北海道大学の湯山耕平特任助教らによる研究グループは、神経培養細胞由来のナノ顆粒であるエクソソーム」を投与することで、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβ蓄積が軽減されることを、脳内の研究によって明らかにした/  これまで、神経細胞から放出されるエクソソームによって、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβを除去することが明らかになっている。しかし、これは培養細胞による実験の結果であり、実際の脳内で同様の効果が得られるかどうかは不明であった/  今回の研究では、アルツハイマー病モデルマウスの脳内にエクソソームを持続的に注入した。その結果、海馬領域でのアミロイドβ濃度の低下、シナプス障害の抑制、アミロイド斑が減少することが分かった/  今後は、本研究成果を活かした全く新しいアルツハイマー病の予防・治療法が開発できると期待されている/  なお、この内容は「The Journal of Biological Chemistry」に掲載された> とある。

 "完治する・がん治療法" が見出されているならば言うことがない "がん早期発見" ではある。が、今のところ、"がん早期発見" は、"有難くもあり、有難くもなし" というところか......。( ex.「検診による早期発見に意味はない......」近藤 誠『抗がん剤だけはやめなさい』文春文庫/2013.10.10 )

 それにしても、一方では、"がん早期発見" を礼賛する声がありそうなのが現状である。
 そんな趨勢に呼応して、"血液検査" で "がんを発見する" という方法も研究されてきた


 ◆ 参照 当誌過去の "がんを血液で発見" 関連記事

  <早期の大腸がんを数時間で見つける方法を、国立がん研究センターなどの研究チームが開発した。ごくわずかな血液で調べることができ、従来の方法よりも精度が高い。数年以内の実用化を目指すという/ 細胞が分泌する「エクソソーム」という微粒子に着目。大腸がん細胞のエクソソームに特異的に多く含まれる物質を発見し、0・005ミリリットルの血液からそれをとらえて光らせる方法を開発した。1時間半から3時間で検出できる/ 大腸がん患者194人の血液を調べたところ、約5割から検出。健康な191人から検出されたのは、1人だけだった。大腸がん特有のほかの物質も特定し、検査の精度をさらに上げることを目指す> ( 微量の血液で大腸がん発見(国立がんセンター)!細胞が分泌する"エクソソーム"に着目!/当誌 2014.04.19

 さて、今回注目する下記引用サイト記事新たな血液検査法開発へ/NHK NEWS WEB/2014.08.18 - 17:56 は、そうした "血液検査 → がん発見" という方法の "集大成(?!)" を目指すかのような研究プロジェクトがスタートした、と報じている

 <がん細胞が血液中に出す特殊な物質を目印に乳がんや大腸がんなど、日本人に多い13種類のがんを血液を調べるだけで早期発見できるようにする新たな検査法の開発を国立がん研究センターなどのグループが始めると発表/  これは、国立がん研究センターNEDO=新エネルギー・産業技術総合開発機構、それに東レなどの企業4社が共同で行うと18日、記者会見し、明らかにしたもの/  これまで以上にがんを早期に発見できるという新たな検査法の開発のカギとなるのはマイクロRNAという特殊な物質  マイクロRNAは、ヒトの細胞が血液中に出す物質で、細胞ががん化すると分泌されるマイクロRNAの種類や量が変わることが最新の研究で分かってきたということ/  グループでは、国立がん研究センターに保存されている大量のがん患者の血液を詳しく分析し、乳がんや大腸がんなど日本人に多い13種類のがんについて初期のがんの目印となるマイクロRNAを見つけ出し、新たな検査法の開発につなげたいとしています/  研究は、今後5年間行い、最終的には、健康診断などの血液検査でがんの早期発見が行えるようなシステムの開発を目指す/  国立がん研究センターの落谷孝広分子細胞治療研究分野長は、「将来的には、血液1滴で、どんながんがあるのか、早期に発見できるようにしたい」と
 <「腫瘍マーカー」との違いは/  多くは進行したがんの状態を把握するのに使われ、早期診断に使えるよう確立されたものはまだない> 
 <がんの早期発見はどう変わる/  今回開発を目指す新たな検査法は血液を採るだけ。毎年の健康診断などの際に行う血液検査で合わせて実施できるようにすれば、検査を受ける人の数は増加し、これまで以上に初期のがん患者を見つけ出せると期待されます> とある。

 "脳" という臓器は、数多くの "神経細胞 = ニューロン" によって構成されている。
 だが、もちろん、それらが複数個結集したら "" となるはずだと考えるのは、いささか単純過ぎるに違いなかろう。

 では、"神経細胞(神経幹細胞)" が、相応の環境において "分裂" を続け、いわば "培養" されるならば、然るべき "構造" を伴って "脳" が形成されて行くのであろうか
......。

 今回注目する下記引用サイト記事ラットの神経細胞で「人工脳」作成に成功 米研究チーム/朝日新聞/2014.08.18 - 09:51 は、「 "神経細胞" → "脳" 」という展開プロセスを実験において迫るという、実に興味深い研究成果を紹介している。
 作り出された "構成物" が "脳" であると言い切るには、幾分エビデンス(?)は少な目な気配ではあるが、"脳のような立体構造" となり、外的刺激への "反応" も備わっているという


 <神経細胞を特殊な物質で培養して、原始的な「脳」を人工的に作ることに米マサチューセッツ州のタフツ大の研究チームがラットの実験で成功した。おおまかな構造が脳と似ており、衝撃を与えると実際の脳と同じように反応し、化学物質と電気信号を発する。脳の働きを解明するのに役立つという。チームは、この成果を生かして人間の細胞を使った人工脳作りも進めている/  人間の大脳は、糸状の神経線維が集まった「白質」の表面を、神経細胞が集まった「灰白質」が覆う二重構造をしている/  同大のデビッド・カプラン教授らは、絹でできたスポンジ状の物質にラットの神経細胞を含ませて培養すると、神経細胞がこの物質を足場にして成長することを発見。足場をドーナツの形状にして培養すると、ドーナツ部は灰白質、中央部は白質に分かれ、脳のような立体構造になった/  人間の脳は、外傷に対して化学物質や電気信号を大量に発することが知られているが、作製した直径5ミリほどの人工脳におもりを落として衝撃を与えると同様に反応した/  人間の脳は、働きや病気になる仕組みなどで未解明の部分が多い。これまでの研究では、霊長類などの高等動物か人間の遺体から採取した脳組織が使われてきたが、今回作った人工脳は脳の仕組みや性質、外傷や薬物に対する反応を調べるのに最適/  カプラン教授は取材に「現在、iPS細胞を活用して、人間の細胞による立体的な『脳』を開発する研究を続けている」とコメント/  研究成果は米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。(嘉幡久敬)> とある。

 "筋ジストロフィー" 治療のアプローチとして期待される研究成果(京大グループ)については、つい先日注目したばかりである

 ◆ 参照 <要点は二点、一つは、<筋肉の幹細胞を移植→「骨格筋」再生> であり、もうひとつは<iPS細胞から幹細胞を作る> という "京大研究チーム" ならではのアプローチ......> "幹細胞"移植で骨格筋再生(京大)!"iPS細胞→幹細胞"で筋ジストロフィー治療に期待!/当誌 2014.08.16

 今回注目する下記引用サイト記事骨格筋再生する二つの物質...京大グループが発見/yomiDr. ヨミドクター/2014.08.15 も、"ニュース・ソース" は上記記事と同一である。
 あえて、"再注目" した理由はと言うと、"骨格筋の幹細胞" の "培養過程" で "加えられた"、"二つの物質、二つのマイクロRNA" に着目しておきたかったからである


 <体を動かす筋肉「骨格筋」の再生を促す物質をマウスの実験で突き止めたと、京都大の瀬原淳子教授、佐藤貴彦・特定助教らが14日、オンライン科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表/  現在は有効な治療法がほとんどない筋ジストロフィーの治療に役立つ可能性があるとしている/  筋ジストロフィーは、筋肉の構造を支えるたんぱく質を作ることができず、成長するにつれて全身が動かなくなる難病骨格筋細胞のもとになる幹細胞を筋肉に移植し、正常なたんぱく質を作らせれば治療できると考えられているが、骨格筋の幹細胞は体外で培養すると性質が変わり、移植しても機能せずに死滅してしまうのが課題だった/  瀬原教授らは、細胞内の様々な物質の働きを詳しく調べた結果、遺伝子の機能を調節する「マイクロRNA」と呼ばれる物質のうち、ある特定の2種類が骨格筋幹細胞で活発に働いていることを確認した/  この二つのマイクロRNAを加えて培養した骨格筋幹細胞を、筋ジストロフィーを発症したマウスの足の筋肉に移植。すると、骨格筋細胞が増え始め、筋肉の再生を促すようになった/  >瀬原教授は「移植する細胞の数を増やすといった改良を進めれば、治療法として確立できるかもしれない。他のマイクロRNAの働きも詳しく調べて、様々な病気の再生医療の実現に役立てたい」と話している/  (2014年8月15日 読売新聞)> とある。

 アルツハイマー病/パーキンソン病のような神経変性疾患が警戒されているのは、脳における "ニューロン(神経細胞)" は一度損傷を受けたり、死滅したりするならば、その部分を回復させたり、補ったりすることができないからだ。
 だが、そうした "ニューロン(神経細胞)" の再生という課題に関しても、研究面では徐々に進展が図られているようだ


 ◆ 参照 当誌過去の "脳の神経幹細胞とニューロン" 関連記事

  <神経幹細胞は神経の様々な細胞を作るが、ニューロンを作る能力は徐々に衰え回復しない/ 衰えた神経幹細胞を若返らせ、脳などで情報を伝達するニューロン(神経細胞)を再び作り出させることに、慶応大と理化学研究所のチームが成功した/ 神経幹細胞はiPS細胞などで作れるが、そこからニューロンを効率的に作る手法がなく、認知症などの治療や薬づくりの壁になっていた/ マウスの神経幹細胞を使い、ニューロンを作り出す初期の状態で必要なマイクロRNA(リボ核酸)という分子を特定。衰えてニューロンを作らなくなった神経幹細胞でこの分子を働かせると、ニューロンを作る状態に戻った/ この分子を神経幹細胞が残っている海馬などで働かせられれば、記憶回復なども見込めるかもしれない> ( 認知症治療に!衰えた脳の神経幹細胞を若返らせ、"ニューロン"を再び作り出させるか?!/当誌 2014.01.16

 今回注目する下記引用サイト記事脳への「ニューロン幹細胞」移植に成功:パーキンソン病治療へ/WIRED/2014.08.14 - THU は、<死滅した脳細胞の置き換えができる可能性を示唆する> と評価される<脳への "ニューロン幹細胞" の移植> に成功! という研究成果を報じている。
 "パーキンソン病" などを治療する道が開かれるとの期待が生まれている


 <マウスの脳に移植された脳細胞が、6カ月後には完全に機能的に統合されたことが確かめられた。この移植の成功は、死滅した脳細胞の置き換えができる可能性を示唆するもので、パーキンソン病のような神経変性疾患に治療の道が開けるかもしれない/  ルクセンブルグ大学の「Luxembourg Centre for Systems Biomedicine」の幹細胞研究チームが行ったこの実験では、ホストマウスの皮膚細胞をリプログラミングして「誘導ニューロン幹細胞」(induced neuronal stem cells)を作成し、これを脳に移植した/  脳の海馬と皮質に移植されたこれらの細胞は、新たに形成されたシナプス(ニューロン間の神経活動に関わる接合部位)を介して、6カ月後には、元からある脳細胞と完全に機能的に統合されたという/  誘導ニューロン幹細胞は、ホストの脳の中で、時間とともに、各種の脳細胞に変化した。具体的には、ニューロン(神経細胞)や、グリア細胞のひとつであるアストロサイト、さらにはオリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)へと変化した/  移植された脳組織が長期にわたって生き続けるためには、既存の細胞ネットワークとの機能的統合が不可欠だ。移植された細胞は、いくつかの試験でも正常に活動した。マウス本体においても、好ましくない副次的影響は見られなかった/  研究者チームの次の目標は、パーキンソン病患者の脳の中で死滅していく特定の種類のニューロン、つまり大脳の黒質内にあってドーパミンを分泌しているニューロンを置き換える方法を探すことだ。将来的には、これらのニューロンの移植によって、減少したドーパミンの分泌を回復できる可能性があり、パーキンソン病の有効な治療法になるかもしれない/  ただし、マウスを使った現在の研究から人間の臨床試験へ至るには、まだかなり長い道のりがあることは言うまでもない/  研究論文は『Stem Cell Reports』に掲載されている> とある。

 <筋線維の破壊・変性(筋壊死)と再生を繰り返しながら、次第に筋萎縮と筋力低下が進行していく遺伝性筋疾患>( ウィキペディア - 筋ジストロフィーとされる "筋ジストロフィー" は、未だ根本的な治療法が確立していない難病だ

 ◆ 参照 当誌過去の "筋ジストロフィー" 関連記事

  <筋肉が徐々に衰える筋ジストロフィーの発症に、細胞内にあり、発汗のコントロールなど体内でさまざまな働きをする生理活性物質「プロスタグランディン」がかかわっていることを、神戸大大学院の竹島泰弘特命教授(小児科学)らの研究グループが発見し20日、発表した/  プロスタグランディンによる炎症を抑える薬剤は多く存在しており、筋ジスの治療に役立つ可能性がある> ( 筋ジストロフィー症状の原因物質を発見!発症の仕組みは遺伝子異常の他は不明だった!/当誌 2013.06.22


 今回注目する下記引用サイト記事幹細胞移植で骨格筋再生、京都大 筋ジス治療に期待/【共同通信】/2014.08.14 - 22:34 は、未だ動物実験の段階の研究成果ではあるが、<筋肉の幹細胞を移植>することで<骨格筋再生>が果たせ、将来的には、"筋ジストロフィー治療" に役立つ可能性がある、と報じている

 <徐々に筋肉が衰える筋ジストロフィーを発症したマウスに、マイクロRNAという微小な物質を加えた筋肉の幹細胞を移植すると、腕や足を動かす「骨格筋」が再生することを京都大のチームが突き止め、14日付の英科学誌電子版に発表/  メンバーは京大の瀬原淳子教授(発生生物学)や京都府立医科大の佐藤貴彦助教ら。瀬原教授は「今後、人でも再生できるのか調べたい。人工多能性幹細胞(iPS細胞)から幹細胞を作れば、筋ジスの治療や予防に役立つ可能性がある」と話した> とある。

 がんの治療法は、"三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)が "標準" とされてはいるものの、患者にとって辛い点は、いずれを選択しても体への甚大なダメージが避けられないこと。

 "除去手術" ではがんに冒されていない部分まで切除され、"QOLが悪化(生活が不便になる)" するケースが少なくない。

 "抗がん剤" では想像以上の "副作用" が懸念されている。

 また、"放射線治療" においても "放射線被ばく" 自体が "発がん" 的作用を持つこともあって、X線などの照射による悪影響が "副作用" として警戒されている


 ◆ 参照 当誌過去の "がん放射線治療" 関連記事

 (1) がん放射線治療で3センチずれたところに誤照射/医療ミス!患者100人の7人に重い被害!/当誌 2014.07.26
 (2) "抗がん剤"で死亡 病院に賠償命令!"抗がん剤"の"副作用危険性"に改めて"要注意"か?!/当誌 2014.05.20
 (3) がん治療で選択肢増加!切らずに治す"サイバーナイフ"とは?鮮明なPET画像と一体化!/当誌 2014.03.03


 今回注目する下記引用サイト記事京大チームが研究の放射線新治療法 がん細胞だけを破壊可能/ガジェット通信/2014.08.12 - 07:00 は、"がん放射線治療" において、"効果的ながん細胞照射・破壊!" を可能とし、その分 "副作用" が軽減されるという、そうした "放射線新治療法" について紹介している

 <放射線治療は患部にX線などを照射してがん細胞の分裂を止め死滅させるただし周辺の正常な細胞にも影響するため疲労感、食欲不振や激しい吐き気、下痢などを引き起こすことがある。また場合によっては数十回の照射が必要なため、長い治療期間がかかる。副作用があるため照射できる総線量が限られる(治療回数に制限がある)こともデメリットだった

 <それらの弱点を克服する新たな放射線治療の研究が進んでいる。その一つが、京都大学原子炉実験所で研究されている「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」だ。同実験所粒子線腫瘍学研究センターの小野公二・京都大学名誉教授が語る/  「BNCTは原理的にがん細胞だけを破壊することができます。これが従来の放射線治療とは決定的に違います」  現在の放射線治療ではX線、ガンマ線、電子線が主に使用されているBNCTの特徴は、従来の手法と異なり体の外から「中性子線」を照射することにあるがん細胞だけを破壊できる」とは、どういうことか  「まず患者の体内にホウ素化合物を含んだ薬剤を点滴で投与します。ホウ素化合物がん細胞に取り込まれやすい性質を持っている。そこに中性子線を照射すると、中性子が当たったホウ素化合物が核分裂して放射線を出し、がん細胞を破壊します。放射線といっても細胞1つ分の範囲(数ミクロン)しか届かないので、周辺の正常な細胞を傷つけることなく治療ができます」>

 <照射数日前から入院してホウ素化合物を点滴投与した後、がん細胞ホウ素化合物が集積しているかどうかを「PET」という画像診断装置で確認する。ケースにもよるが中性子を照射するのは約1時間。いずれの処置も患者への負担は少なく、治療前後の入院は数日で済むという/  小野氏と共同研究している川崎医科大学の平塚純一教授はこう語る  「私はこれまで約90例の治験を行なってきました。繰り返し手術し、抗がん剤を投与しても再発して大きくなってしまった60代の方の頸部がんが、BNCTで消えた例もあります」/  臨床研究段階にある今、対象者の多くは他の治療法では打つ手が無くなった患者だ。560件以上の臨床研究を行なってきた小野氏が、こう説明する  「通常なら余命1年半に満たない患者が、3~4人に1人の割合で5年以上生存しています」>

 <小野氏らは2018年頃の実用化を目指しているが、課題も残されている。現在、治験で効果が得られているのは脳腫瘍のほか喉頭部、咽頭部、舌、皮膚などの比較的浅い(体表に近い)部位にあるがんだ。理論的には肝臓や肺といった深い部位の(人体の内部に位置する)がんにも適応可能とされるが、現時点では難しい中性子線を照射する対象となるホウ素化合物が鍵になるという。小野氏が解説する  「実際には、ホウ素化合物がん細胞に濃く集まっているだけで、正常な細胞にも一部浸透しています。どれだけがん細胞に濃く集まるホウ素化合物が開発できるかがポイントです。正常な細胞と、がん細胞に集まるホウ素化合物の濃度差が大きいほど、がん細胞のみを破壊する効果が強くなります」  その濃度差が小さいまま深い部位のがんを叩こうとすると中性子線を強く照射しなければならず、患部の手前にある正常な組織も傷つけてしまう  「現在は8倍程度の濃度差ですが、それが15~20倍となるホウ素化合物が開発されれば、治療が可能になるがんは増えます」(小野氏)> とある。

 人間の "持ち前の自然な能力" の、その盲点を衝くかのように、"振り込め詐欺" は卑劣な犯罪を続けている......。

 言うまでもなく、"顔を突き合わせる" ならば "欺きようがない/欺かれようがない" にもかかわらず、その場面が外され "電話に置き換えられる" だけで、途端に危うくなってしまうのが人間......。

 対面状況において、"相手の顔の識別" をしたり、"相手の顔の表情を了解" したりする "能力" は、やはり人間(霊長類?!)が進化の過程で培ってきた "持ち前の自然な能力" だと思われる


 ◆ 参照 当誌過去の "脳と顔" 関連記事

 (1) "脳は他者の顔を見る前から活動"していること(Early SPN)を"脳波"から確認(東工大)!/当誌 2014.06.05
 (2) チンパンジーも人間と同様に"右脳使い顔を識別"!右脳には左側視野の映像情報が先に!/当誌 2013.08.17


 今回注目する下記引用サイト記事人は「相手の信頼度」を、瞬間的に判断している:研究結果/WIRED/2014.08.12 - TUE は、"" に関する、人間の "持ち前の自然な能力" についての研究を報じているが、"顔の識別能力" に加えて、"相手の信頼度" についても瞬時に感知してしまうのが人間なのだそうだ

 <われわれは、相手の顔を意識して見なくとも、その人が信頼できるかどうかを瞬時に判断している。脳の扁桃体の活動を追跡した神経科学者チームが、このような結論を導き出した。扁桃体は、意思決定、情動反応、記憶など、多くの社会的に重要な脳機能の処理にかかわる脳の領域だ/  ニューヨーク大学心理学部のジョナサン・フリーマン准教授が率いる研究チームは、脳がどれほど迅速に相手の信頼度を判断しているかを調べ、相手の顔を知覚的に意識することが判断を下すうえで必要かどうかを明らかにする研究を実施/  研究では、被験者に一連の顔の画像を見せた。そのなかには、見た人に「信頼できる」という印象を与えることが明らかになっている顔の特徴(下がった眉と高い頬骨)をコンピューター合成によって強調した画像と、反対に「信頼できない」印象を与える特徴(吊り上がった眉と平らな頬骨)を強調した画像混じっていた(リンク先に例あり)/  実験では、被験者の脳活動をモニタリングしながら、逆向マスキングと呼ばれる手法を用いて顔画像を見せた  被験者が顔を意識的には認識できない状態にした/  実験の結果、顔を意識的に見ることを妨害されたにもかかわらず、扁桃体の活動が観察され、扁桃体が顔の全般的な信頼度を追跡していることが示された/  「今回の研究結果は、扁桃体による、意識を介さない社会的手がかりの処理が、これまで理解されていた以上の範囲で行われている可能性を裏付けている。扁桃体は、他者の顔から受ける信頼度を、その顔を意識的に知覚しなくとも評価することが可能なのだ」とフリーマン氏は述べている> とある。

 国民的な課題ともなっている "アルツハイマー病治療" について、今朝の報道番組( NHK総合「おはよう日本」)は、この "最新動向" について3点ほどを伝えていた。

 (1) 早期発見のため<鼻の粘膜からアミロイドβを採取>する試み、
 (2) <アミロイドβの蓄積を防ぐ物質の研究>と<血液脳関門>という脳血管機能の特殊性、
 (3) そして、アミロイドβの蓄積を抑止する<脳にあるILEIというたんぱく質>について、である


 なお、<脳にあるILEIというたんぱく質>については以下を参照

 ◆ 参照 当誌過去の "アルツハイマー抑制タンパク質<ILEI>" 関連記事

  <脳内のタンパク質ILEI(アイレイ)」がアルツハイマー病原因物質の生成を妨げ、発症を抑制する効果があることを滋賀医科大分子神経科学研究センターの西村正樹准教授らの研究グループが発見し、4日、英科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」の電子版に発表した。副作用リスクの少ない治療薬の開発が期待できるという......同グループは、アルツハイマー病の患者の脳では正常な脳よりILEIが減っている点に着目。培養細胞でILEIを増やすと、分泌されるAβが約30%減ることが判明した。別のタンパク質の分解は正常に進み、副作用の危険性が抑えられた......> ( アルツハイマー抑制タンパク質"ILEI"を発見(滋賀医科大)!副作用回避!治療薬に期待!/当誌 2014.06.06


 さて、今回注目する下記引用サイト記事アルツハイマー病治療・新たな可能性 ( NHK総合[おはよう日本] )/JCC/2014.08.12 - 07:07 および 笠間 睦 は、冒頭の "TV 報道番組"(と以前の放送) の内容概略を伝えてくれているので引用させていただいた

 <認知症の治療に新たな可能性を開く最新の研究/  認知症の約7割を占めるのがアルツハイマー病/  アミロイドβ  この物質は症状がでる約25年前から蓄積を続け発症する  発症前にアミロイドβを発見し治療をはじめようと各国の研究者たちが動き出している/  早期発見の新たな取り組み......滋賀医科大学・遠山育夫教授は注目したのは鼻の粘膜からアミロイドβを採取し病気になる可能性を調べようとしている/  現在アルツハイマー病を診断するには脳の画像を撮影したり、脊髄へ注射をしたりする必要があり高額の費用がかかり体の負担も大きいのが現状/  しかし、この綿棒をつかう方法なら誰でも受けられる/  この検査はリスクの高い人を見つけて専門機関に受診させることが狙いとしている/  国立長寿医療研究センター(愛知・大府)ではアミロイドβの蓄積を防ぐ研究......アミロイドβ同士が結合する仕組みを解明。その結合を化合物で防ぎ分解することにした  (薬物が血液脳関門(blood-brain barrier;BBB)を通過できないという課題に取り組み、BBBを通過して脳に移行する薬剤を発見)/  滋賀医科大学・西村正樹教授は脳にあるILEIというたんぱく質によってアミロイドβが発症しないことが分かった> とある。

 "心臓の手術法" には、"オンポンプ手" と "オフポンプ手術" との二つの方法があるという

 <これまでの冠動脈バイパス手術は、心臓を止め、「人工心肺装置」というポンプに全身の血液循環を代替させる「オンポンプ手術が主流だった。だが1990年代に、こうした装置を使わず、心臓を動かしたまま行う「オフポンプ手術が登場、急速に広がっている。>( NIKKEI NET いきいき健康 心臓病治療の実力病院調査

 なお、"オフポンプ手術" が広がる背景には、"人工心肺を使った場合(オンポンプ)リスク" として以下の "3つのデメリット" が横たわっていたと指摘される

 < (1) 動脈硬化の進んだ血管に勢いよく血液が流れ込み、血栓がはがれて脳梗塞を起こす (2) 十分な血液が肺や腎臓などに行き渡らず、肺機能や腎機能の低下を招く (3) 心臓機能が落ちた高齢患者の場合、一度心臓を止めると血流を再開しても心臓が十分に拍動しない恐れがある―― >(同上)


 さて、今回注目する下記引用サイト記事人工心肺使わず、高齢者の心臓バイパス手術急増/yomiDr. ヨミドクター/2014.08.11 は、上記の「オフポンプ手術」の普及が奏功してのことか、"80歳以上の高齢者" における "心臓手術(冠動脈バイパス手術)" 比率が大きく増加したことを伝えている

 <心臓の主要な手術の一つ、冠動脈バイパス手術を昨年受けた8人に1人が80歳以上の高齢者だったことが日本冠動脈外科学会の調査で分かった/  割合は10年前に比べ倍増した。体に負担をかけない手術法の普及が背景にある。20日発行の同学会英文誌に掲載する/  冠動脈バイパス手術は、心筋梗塞や狭心症などに対する手術。調査は心臓手術をしている442病院を対象として、330病院(75%)から回答を得た。集計によると、昨年行われた初回手術9187例(緊急を除く)のうち、80歳以上は1130例(12・3%)、70歳以上は4850例(52・8%)。2003年は80歳以上が6・2%、70歳以上が44・3%だった/  駿河台日本大学病院の折目由紀彦心臓血管外科部長は「心臓を動かしたままで行うオフポンプ手術が普及してきた。脳梗塞などの心配が低く、回復も早いため、高齢者にも広がった」と話す> とある。

 中高年の男性にとって、"前立腺がん" への不安は打ち消し難い。

 しかも、人間ドックなどが実施する前立腺がん可能性や悪性度、進行度を調べる検査での "PSA(前立腺特異抗原)の値" というものが、正直言って "あてにならなかったりする(?)"


 ―― <PSA の基準値(いわゆる正常値)は「四」とされています。しかし、この値を超えてもがんでない人が大半で、組織検査をした場合に前立腺がんを発見される割合は、四人に一人程度です。PSA は正常の前立腺細胞でもつくられ、がんがなくても高値になるからです。PSA は血中に流入しやすく、自転車のサドルで前立腺が刺激されただけでも高値になります。
 逆に、PSA が二から四程度と低くても、組織検査をすれば、十数%にも前立腺がんが見つかります。つまり高値でも、低値でも、予想がはずれることが多く、がん検診の手段として疑問があります。......
 ......米政府の予防医学作業部会は二〇一一年、「年齢」「人種」「家族歴」にかかわらず、PSA 検査が死亡率を下げるとの証拠は見いだせなかったとして、すべての男性に「検査は勧められない」との勧告案をまとめました
>( 近藤 誠 『 がん治療で殺されない七つの秘訣 』 文春新書/2013.04.20 ) ――


 今回注目する下記引用サイト記事将来は男性がんの第2位に 手術以外の「前立腺がん」治療
/dot./2014.08.08 - 07:00 は、その "前立腺がん" に対する治療法においても、"手術以外" の "新たな治療法" が奏功しているといった記事なのである

 <2010年1年間で発症した人は約6万5千人、東京オリンピックが開催される20年には男性のがんでは肺がんに次いで2位になると言われる前立腺がん。女性の乳がんと同様、早期に見つければ、根治する可能性が高く、治療の選択肢が多いがんだ/  前立腺は膀胱(ぼうこう)のすぐ下に尿道を取り囲むようにある男性特有の臓器で、精液を作る役割を果たしている。ここにできるのが前立腺がん/  手術以外に、永久密封小線源(しょうせんげん)療法(小線源療法)という放射線治療があること/  小線源療法とは、超音波で前立腺の形を見ながらコンピューターで治療計画を立てて、会陰部(陰嚢と肛門の間)から長い針を刺してその針を通してヨウ素125という放射線を密封したシード(カプセル)を、がんのある前立腺内に50~100個埋め込む治療だ。すると、埋め込んだ線源から放射線が放出され、がんをたたく。放射線は徐々に弱まり、1年で全くなくなる。シードは永久に前立腺内に残るが問題はないという/  小線源療法内照射と言われる。手術と比べると患者の負担が少なく、腰椎からの下半身麻酔による2時間程度の治療で済む。入院も3泊4日だ/  国立病院機構東京医療センター泌尿器科の斉藤史郎医師は日本における前立腺がんへの小線源療法の先駆者で、同センターは、現在も全国有数の治療数を経験している/  相原さんは、07年1月から、男性ホルモンの分泌や作用を抑えてがんの進行を遅らせるホルモン治療を始め、3カ月間受けた。そして、同年4月、小線源療法を受けた。さらに、小線源療法の1カ月半後に外照射による放射線治療を5週間かけて25回受け、治療は終了した/  小線源療法は、現在、単独では、低リスクの症例に行われるのが標準だが、治療前、治療中のホルモン治療、そして治療後の外照射による放射線治療をあわせて行うことにより、高リスクの症例に対しても標準治療とされている/  治療後は、3カ月ぐらい尿が出にくく、頻尿になるなどの排尿障害の日々が続いたが、薬によるコントロールで、1年後には排尿障害はほとんど気にならなくなった/  それからは、3カ月に一度経過を診てもらうため通院していたが、7年経った今も再発はなく、普通に日常生活を送っている/  「相原さんのようにこれだけ高リスクだと、手術でリンパ節を広範囲にとる拡大郭清をしても再発する可能性がある症例ですが、再発もせず、QOL(生活の質)も保たれて、元気に過ごされています」(斉藤医師)/  同センターは、小線源療法を受けて5年以上経った990人の追跡調査を実施したが、そのなかの高リスク97症例で、5年で再発しなかった症例が86.5%という好成績だった。このデータを13年に日本癌治療学会学術集会で発表し、注目されている> とある。

 "がんの予防薬/治療薬" として、思わぬ "既存薬" が名指しされるケースがある。中でも、その薬品名が頻繁に出てくるのは、何と言っても "アスピリン" であろう

 ◆ 参照 当誌過去の "既存薬/アスピリンとがん予防" 関連記事
  <アスピリン日常的に服用することで、膵臓(すいぞう)がんリスクを半分に減らせるという研究報告が、米国がん学会(AACR)が発行する医学誌「がん疫学、生体指標と予防」に発表された。膵臓がんは、悪性腫瘍の中で最も死亡率が高いものの一つとされるが、この予防に安価な薬が役立つ可能性が出てきた......> ( 既存薬"アスピリン"の低用量常用/長期間服用で"膵臓がん"リスク抑制という研究成果!/当誌 2014.07.03

 "アスピリン" が、"がん発症、心臓病" などのリスク低減に "効能" があることは頻繁に目にするところである。
 が、同時に "副作用(消化管出血、胃腸障害、脳内出血)" に関する指摘も欠かさず指摘されてきたことにも留意しなければならないようだ



 今回注目する下記引用サイト記事【EU発!Breaking News】「日々75mgのアスピリン服用で胃、食道、大腸がん予防を」とロンドン大学研究チーム。/livedoor NEWS - Techinsight/2014.08.07 - 17:00 は、従前の米国での注目に加えて、"ロンドン大学" によっても当該事実が指摘、発表されたと報じている

 <少し前から騒がれるようになっていた、病気を予防する目的での微量のアスピリン服用の効果。先には米国で心臓血管疾患をかなり防げるのではないかと話題になったが、ロンドンの専門家はこのほど「期待されているがん予防効果もある」と発表/  ロンドン大学医学部クイーン・メアリー・カレッジで腫瘍学を専門とするジャック・キュージック教授とその研究チームは、このほど行われた英メディア『BBC』とのインタビューで、以前から期待が高まっていた「アスピリンに大腸がんを防ぐ効果」という話題について、200にも及んだ調査の結果を発表。効果は確実だとして人々を驚かせている/  欧米ではアスピリンを常用している人が本当に多いが、彼らに大腸がんの発症が少ないことを専門家らは長く注目してきた。COX-2(シクロオキシゲナーゼのアイソザイムの1種)が大腸がん患者に高頻度で発現していることから、アスピリンの持つCOX-2を抑え込む作用に高い期待が寄せられていた/  「喫煙と肥満の問題を解消できた場合、その後にがん予防のカギを握るのはアスピリンでしょう」とキュージック教授。50歳以上の健康な人すべてが毎日75mgのアスピリンを10年にわたり服用するようになった場合、大腸ばかりか食道や胃のがんについても現在より発症数を3~4割減らせると発表。がん予防の効果のためには最低5年間の継続が望まれるが、具体的には20年間で122,000人のがん死を防げるであろうとした/  ただしアスピリンは強い成分ゆえ、人によっては胃腸障害や脳内出血を引き起こす可能性があり、こうしたことが原因で同時に18,000人の死亡が予測されるとのこと。アスピリンはまさに"両刃の剣"であり、個人の健康状態や年齢を考え、服用は慎重に行われるべきだという> とある。

 自分なぞは、自分に処方されたクスリのうちで "ジェネリック医薬品" が出ているものについては必ずそれを受け取るようにしている。 "同一内容" であり、"低価格" なのだから、何も "特許" で利益を守られてきた製薬会社のものを買い続けることはないからだ

 ◆ 参照
 <"ジェネリック" 医薬品とは、特許によって保護された初発の医薬品の特許期間が過ぎることで、後発の製薬会社が同種類の医薬品を製造・出荷することが可能となり、研究開発費分が上乗せされない分、販売価格が安くなるそんな医薬品のことである> ( 低価格の"後発医薬品(ジェネリック医薬品)"普及に、薬剤師(薬局)は消極的反応の模様?/当誌 2013.01.13

 ところが意外と、この "ジェネリック" 医薬品 についてご存じでない方がおられたりする。あるいは、それを "B級品" だと勝手に思い込んでいる方もおられる

 まあ、 "ジェネリック" 医薬品 についてはともかくとしても、クスリというものに対して、"結構ルーズ" な方が少なくないような気がする。
 たとえば、クスリの "副作用" などに関しても、無頓着であることも少なくなさそうであり、"抗生物質薬剤" の弊害( ex.耐性菌の問題、腸内細菌バランス崩壊の問題など )に対しても意を払わない方も
......。

 今回注目する下記引用サイト記事目立つ薬の知識不足 啓発団体が10カ条提言/47NEWS - 医療新世紀/2014.08.05 は、まさに、現状では多くの人に薬の基本的な知識の不足が目立つ! という点に注意を喚起している

 <医薬品に関する知識・理解を深めることや、適正な使用を「国民の役割」として定めた改正薬事法の施行を11月に控えているにもかかわらず、現状は多くの人に基本的な知識の不足が目立つことが、製薬会社などでつくる啓発団体「くすりの適正使用協議会 」の調査で分かった/  結果を受け、同協議会は最低限必要な薬の知識を10カ条の提言にまとめ発表/  新薬の特許切れ後、別の製薬会社が同じ有効成分を使って製造するジェネリック医薬品(後発薬)と、処方箋なしに薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品(OTC )は別物なのに、両者の区別がついていない人が全体の79%/  副作用のリスクによって第1~3類に分けられている一般用医薬品について、第1類の方が第3類よりリスクが高いことを正しく理解していない人は81%。さらに、健康食品やサプリメントと医薬品の違いを理解していない人も28%/  薬の使い方については、知識と実際の行動の間にずれのあることが分かった/  提言は「くすりの知識10カ条」と題し、薬は医師・薬剤師の指示や説明書に従って使うこと、自分の判断で服用をやめたり他人に譲渡したりしないこと―など、一般市民が必ず知っておくべき基本的な知識を示した> とある。

 "抗がん剤" などの新薬開発における "基礎研究" 段階にあっては、"新薬の候補物質を作り出す" ことが課題となるそうだ。

 なおここでは従来、何百万種類という合成、天然の化合物群の中から目的の効果を持つ物質を探し出す( "スクリーニング screening" )という気が遠くなるような作業が欠かせなかったという


 今回注目する下記引用サイト記事スパコン「京」で創薬成功...東大など がん新薬候補物質/yomiDr. ヨミドクター/2014.08.07 は、こうした "創薬スクリーニング" が、"世界最速級スーパーコンピューター" によって賄われることで奏功したという快挙が報じられている

 <東京大と富士通、製薬会社の興和は、理化学研究所の世界最速級のスーパーコンピューター「京(けい)」(神戸市)を活用して、抗がん剤の候補物質を作製することに成功/  「IT創薬」と呼ばれる方法で、高い治療効果が見込める薬を効率的に作る新たな技術として注目される/  研究チームは、がん細胞の表面にある増殖に重要な役割を果たすたんぱく質に着目。たんぱく質の「鍵穴」に「鍵」のように入り込み、細胞増殖を抑える化学物質をスパコンで設計した。たんぱく質と化学物質が引き合う力や体内の水分の影響など複雑な計算を、スパコンを使うことで精密に行うことが可能になった/  8個の化学物質を合成し、そのうち1個が、たんぱく質と実際に強く結びつくことが確かめられた。従来は、10万種類以上もの既知の化学物質の中から、鍵穴にぴったりの物質を探す方法が主流だったが、スパコンを活用することで全く新しい未知の構造の化学物質を設計して検証することができる/  児玉龍彦・東大教授は「異分野の力を結集することが、これからの創薬には重要だ」と話す> とある。

 "iPS細胞(人工多能性幹細胞)" という名称自体は、存分に聞き慣れてはいるものの、この掴みどころの無い "存在と概念" の深さについては、分かったつもりではいても、凡人の理解力からはかけ離れていると言わざるを得ない。

 昨日は、この "iPS細胞" の作製時における、"とある事実の新発見" という興味深い記事に注目した


 ◆ 参照
 "iPS細胞"作製時における"組み込み遺伝子"の作用解明!"iPS細胞を作る新方法"の開発?!/当誌 2014.08.06

 ところがである、一見、"同一ニュース" だとは合点しにくい "記事"(ただし、どうも "同一対象" の記事のようである ) に遭遇し、結局、改めて "iPS細胞" という "存在と概念" の懐の深さに当惑させられている。もちろん、各々の記事の記者の視点云々という側面の事情もあるにはあるが......。

 とにかく、今回注目する下記引用サイト記事ヒト祖先に感染ウイルス遺伝子がiPSの質左右/yomiDr. ヨミドクター/2014.08.05 に目を向けてみる

 <人類の祖先に感染し、細胞内に定着したウイルスの遺伝子が、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の質に大きな影響を与えることを突き止めたと、京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授と高橋和利講師らのチームが発表した/  質の高いiPS細胞を効率よく作製する技術につながるという。5日の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される/  iPS細胞は、基本的には皮膚細胞など通常の細胞に4種類の遺伝子を入れて作るできたiPS細胞の中には、筋肉や神経など様々な細胞に変化する性質が弱いなど、質の悪い細胞もあるが、その詳しい原因は不明だった/  発表によると、チームは通常の細胞からiPS細胞を作製する際「LTR7」と呼ばれる遺伝子が活発に働くことを発見した。この遺伝子の働きは、正常なiPS細胞では、ある時点を境に弱まるが、質の悪いiPS細胞では活発に働き続けており、iPS細胞から通常細胞を作る際の妨げとなることがわかった/  LTR7は、大昔、人類の祖先に感染した、レトロウイルスという種類のウイルスの遺伝子が、人類の遺伝子として取り込まれたもので、害はない山中教授は「レトロウイルス由来の遺伝子の一部がiPS細胞にとって大事なのは予想外だった。iPS細胞の謎の一端が解明された」と話す> とある。

 iPS細胞は、"ヒトの皮膚などの細胞" に、"4つの遺伝子(Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)" を組み込みつつ培養し、その細胞を、"受精卵のような状態" に戻す(= "初期化" )ことによって作られる、という。

 ただし、"組み込まれた遺伝子" がどのように作用するのかは分かっていなかった


 今回注目する下記引用サイト記事iPS細胞作製時の遺伝子の作用を解明
/NHK NEWS WEB/2014.08.05 - 04:56 は、この点を解明したことで、iPS細胞を作る新たな方法の開発につながるのではないかと伝えている

 <さまざまな種類の細胞に変化できるiPS細胞は、ヒトの細胞に遺伝子を組み込むことによって作られますが、この際、遺伝子が、細胞のどの部分に作用しているかを京都大学iPS細胞研究所のグループが突き止めました/  iPS細胞を作る新たな方法の開発につながる可能性があると期待されています/  研究を行ったのは、京都大学iPS細胞研究所の高橋和利講師のグループです/  さまざまな種類の細胞に変化できるiPS細胞は、体の細胞に遺伝子を組み込むことで作られますが、遺伝子がどのように作用するかは分かっていませんでした。  そこで研究グループは、組み込んだ遺伝子が、細胞の「ゲノム」と呼ばれる遺伝情報のうちどの部分に作用しているか、分析しました。その結果、遺伝子「HERV-H」という特定の配列に結合し、この部分の働きが一時的に活発になることが分かりました。  遺伝情報のこの部分は、ヒトの進化の過程でウイルスに感染したことで作られ、これまで、特に働きを持たないとみられていたということです/  iPS細胞の作製に成功し、ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授は「役に立たないとされていた部分に重要な働きがあったことは驚きだ。詳しい仕組みを解明することで、iPS細胞を作る新たな方法の開発につながる可能性がある」と話しています> とある。

 現在、がんの治療法は "三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)を "標準" としつつ、これらに加えて、いわば "がんの第4の治療法" とも言われる "がん免疫(細胞)療法" も注目と期待とを集めている

 ◆ 参照 当誌過去の "がん免疫(細胞)療法" 関連記事
  <患者の体内に備わっている "免疫" システムを最大限に活用して、がん細胞を撃退するという点、そして "三大療法" が大なり小なりに伴う "副作用" が回避できるという点などに大きな特徴があると考えられている。
 それだけに、この "がん免疫(細胞)療法" は、"がんの第4の治療法" として根強い期待を集めている
。> ( "がん免疫(細胞)療法"/最近の各種動向一覧!最新:腫瘍細胞免疫回避の一要因 PD-L1!/当誌 2014.04.17


 今回注目する下記引用サイト記事 : 北大、上皮細胞が初期がん細胞を排除する仕組みを解明 がんの新治療薬の開発に期待/財経新聞/2014.08.02 - 14:34 / 正常上皮細胞ががん細胞を駆逐する分子メカニズムを解明/北海道大学 - PRESS RELEASE/2014.08.01 は、"免疫(細胞)療法" とは異なるものの、体内患部周辺の "正常細胞" が、"免疫細胞" の機能にも似た(?)、いわば "抗がん的作用!" を果たすという特殊な現象に着目し、このメカニズムを解明したと報じている。
 今後の展開次第では、"新たながん予防・治療法" として期待されるという


 <北海道大学の藤田恭之教授らによる研究グループは、正常上皮細胞内のフィラミンとビメンチンというタンパク質初期がん細胞を取り囲むことで、上皮組織から排除していることを明らかにした/  これまでの同グループの研究で、上皮細胞層にがんが発生した時、周囲の正常な細胞と相互作用が起こって、がん細胞が上皮細胞層から逸脱する現象が起こるこは分かっていたものの、その仕組みについては解明されていなかった/  今回の研究では、哺乳類培養細胞とゼブラフィッシュを用いて正常上皮細胞とがん細胞の境界で特異的に機能している分子を模索したところ、フィラミンとビメンチンという細胞骨格タンパク質ががん細胞を取り囲んでいることが分かった。また、これらのタンパク質はがん細胞を上皮細胞層から押し出すよいうに排除していることも明らかになった/  今後は、本研究成果を用いて「隣接する正常な細胞にがん細胞を攻撃させる」という新たながん治療が実現できると期待されている

 <研究成果のポイント
  ・ 正常上皮細胞が,がん細胞を組織から追い出す分子メカニズムを世界で初めて解明
  ・ 正常上皮細胞が,免疫細胞を介さない抗腫瘍能(腫瘍を攻撃,退治する能力)を有しているという新規の概念を提唱
  ・ 隣接する正常な細胞にがん細胞を攻撃させるという,新たながん予防・治療薬への展開
  今後はこの研究をさらに発展させることによって,「隣接する正常な細胞にがん細胞を攻撃させる」という,がんを取り巻く社会性を利用した新たながん予防・治療薬の開発が期待されます> とある。

 "がん細胞" を攻撃、死滅させる上での最大の難問は、"がん細胞" が、"正常細胞" と余りにも共通項が多過ぎて区別されにくい点だと言われている

 含まれる遺伝子もほぼ共通であるなら、対・免疫システム関係においても "自己" として認識されるため、"がん細胞" だからといって "非自己" 見なされて攻撃対象とされることにはならないのである

 "がん特有のエンドレスな細胞分裂" モードという点以外は、"がん細胞" と 正常細胞" とは、"自己" の "瓜二つ" の細胞なのである
 ここから、"免疫システム" での治療アプローチが困難さを極めるし、また "抗がん剤" 治療アプローチにおいても、正常細胞" への "とばっちり!" が回避できないという "副作用" ばかりが表面化することになるわけだ
 とにかく、"がん細胞" の "首輪" にどのような "" を付けて、"正常細胞" との "区別!" を明瞭とさせるのか......。それが、"免疫システム"、"抗体医薬"、"抗がん剤" などのがん治療アプローチにおける最重要課題のひとつとなり続けてきた


  今回注目する下記引用サイト記事 1~3東北大、がん攻撃の新手法開発 正常細胞と区別/河北新報/2014.08.01がん細胞だけ攻撃 東北大、新抗体の作製成功/河北新報/2014.08.02がん細胞だけを攻撃する抗体作製技術の開発 〜副作用のない抗体医薬品の開発が可能に〜 /東北大学大学院医学系研究科/2014.07.29 は、そうした "区別!" の問題に、独自な視点からの研究成果を生み出したと報じている

 <東北大大学院医学系研究科の加藤幸成教授(腫瘍生物学)らの研究グループは、がん細胞だけを攻撃する新しい抗体の作製に成功した。新抗体は、がん細胞の中の糖タンパク質ポドプラニン」とは結合するが、正常な細胞ポドプラニンとは結合しないため、副作用のない治療薬の開発につながると期待される/  がんの悪性化に関わるポドプラニンは、肺や食道などのがん細胞に現れるが、同時に、肺や皮膚などの正常な細胞にも発現する/  このため、がん細胞だけを攻撃する抗体の作製は困難とされていた/  加藤教授らは、がん細胞正常な細胞に同じ糖タンパク質が現れる場合でも、タンパク質の表面に付着している糖の化合物に違いがある点に着目。この違いを見分ける抗体を作製した/  加藤教授は「今回の技術を応用すれば、ポドプラニン以外の糖タンパク質に反応する抗体の作製も可能。副作用を心配せずに治療薬の開発を進めることができる」と話す> とある。

 体内で発生してしまう "活性酸素" が、身体に良くないこと( "老化現象" を起こす!)は再三指摘されてきた。
 なお、これが脳の神経細胞周辺での現象であれば、アルツハイマー病につながると考えられるだけに、警戒されるわけだ。

 そして、赤ワインに含まれるポリフェノールやレスベラトロール、あるいはゴマの成分セサミンは、そうした "活性酸素" を抑え込む働きがあることによって注目されてきた


 ◆ 参照 当誌過去の "レスベラトロール" 関連記事

 (1) "長寿"促進の薬開発につながるか!? "長寿遺伝子Sirt1"関連の"肺で働く2タンパク質"!/当誌 2014.05.14
 (2) マウスへの"遺伝子注入"実験で"失われた記憶回復に成功"!(スペイン)/当誌 2014.04.26
 (3) "食事制限による寿命延長/抗老化作用"を進める必須の因子"NPY"(神経ペプチド)を解明!/当誌 2014.04.07
 (4) "長寿遺伝子サーチュイン"と"中年太り"との関係が解明!"肥満/メタボ"では長寿不可!?/当誌 2013.12.28


 今回注目する下記引用サイト記事赤ワインやゴマ、体にいいものは細胞レベルでも 細胞死抑制、京大が解明/msn 産経ニュース/2014.08.01 - 09:07 は、"赤ワインやゴマ" の成分が、"細胞レベル" における機能障害を抑制するという研究成果を伝えている

 <細胞内の不要なタンパク質が分解できなくなるなど機能が低下した細胞生存率を上げるのに、赤ワインに含まれるポリフェノールやゴマの成分が有効なことを京都大のチームがハムスターを使って明らかにし、31日付の英科学誌電子版に発表した。アルツハイマー病の予防などに役立つ可能性があるという。チームの阪井康能教授(分子細胞生物学)は「健康に良いとされる食品成分が細胞レベルでも効果があることを示す成果だ」と話している/  細胞内にあるタンパク質を分解する機能が落ちた細胞では内部に異常なタンパク質が蓄積。エネルギーを作るミトコンドリアの機能障害が生じ、細胞を傷つける活性酸素が発生するなどして神経細胞死が起きアルツハイマー病などになる/  チームは活性酸素を減らす働きがあるポリフェノールの一種「レスベラトロール」とゴマの成分「セサミンタンパク質が分解できなくなったハムスターの細胞に添加。いずれも添加しなかった細胞に比べ8時間後の生存率が1~2割上昇することを確認した> とある。

 脳の "神経細胞" が損なわれることは、例えば、脳卒中、脳梗塞、アルツハイマー病、その他外的事故など様々なケースによって起こり得る。
 そしてこの場合、問題となるのは、<ほとんどの成人の脳では神経細胞が新たに生産されることはない>(下記引用サイト記事) という点であり、損傷に見舞われた "神経細胞" が担っていた機能が、損傷とともに失われてしまうのだ


 ◆ 参照 当誌過去の "嗅覚と神経細胞、神経細胞・神経幹細胞生産" 関連記事

 (1) 嗅覚と目の検査でアルツハイマー病早期発見可か!?新しいバイオマーカーになり得るか!?/当誌 2014.07.16
 (2) "正常な老化過程における細胞死"について、ハエの嗅覚神経細胞老化で究明(東京大学)!/当誌 2014.07.01
 (3) ランニングなどの有酸素運動が、脳の老化阻止/海馬の"神経幹細胞"新生/記憶能力増大!?/当誌 2014.03.23
 (4) 認知症治療に!衰えた脳の神経幹細胞を若返らせ、"ニューロン"を再び作り出させるか?!/当誌 2014.01.16


 ところが、今回注目する下記引用サイト記事奈良県立医科大研究グループ、神経細胞の接続増やすタンパク質を発見/msn 産経ニュース/2014.08.01 - 04:22 では、"神経細胞・再生医療" への道を切り拓く可能性を秘めた研究成果が紹介されている

 <においの刺激が強いほど増産されるタンパク質NPAS4」が、神経細胞同士の接続(シナプス)を増加させることを、県立医科大学の坪井昭夫教授らの研究グループが発見した  脳卒中などで損傷した部位を再生させる再生医療への応用も期待される/  ほとんどの成人の脳では神経細胞が新たに生産されることはないが、においの情報処理を行う脳の領域「嗅球(きゅうきゅう)」の神経細胞例外的に側脳室で生産され、脳梗塞などで損傷した部位移動して神経回路を修復する性質をもつことが分かっている/  研究グループは、においの刺激で発現量が変化する遺伝子に着目。嗅球の神経細胞内にあるNPAS4刺激の強さに応じてつくられ、シナプスの数を調節していることを突き止めた/  今後、NPAS4を薬剤などで人為的に活性化させることができれば、神経障害を回復させる再生医療に応用できる可能性があるという/  県立医大の坪井教授は「研究で多くの脳梗塞患者などが救われることを目指したい」と話している> とある。

 "闇鍋" のようなスリル! だなんぞと言っている場合ではなかろう。

 <人の中枢神経への作用が、大麻より40倍ほど強いとみられる成分>( 危険ドラッグ 大麻より40倍強い成分も/NHK NEWS WEB/2014.07.30 - 19:51 ) も含まれており、"幻覚性" どころか、"依存性" や "死亡リスク" までが極度にせり上がったドラッグ、それが "危険ドラッグ" なのだという。

 ちなみに、"闇鍋" のようだというのは、"業者" が "規制逃れ" のために "適当(デタラメ)な調合" を仕出かし、まさに、"死亡リスク" なんぞそっちのけで売り捌いているからだ


 今回注目する下記引用サイト記事規制といたちごっこ 危険ドラッグ 大麻・覚せい剤しのぐ害も/東京新聞/2014.07.31  は、"危険ドラッグ/ハーブ"( "脱法ドラッグ/ハーブ" )の、想像を上回るほどの危険な実態! について伝えている

 <全国で危険ドラッグ脱法ドラッグ)の事件・事故が相次ぐ中、その依存性や有害性が大麻や覚せい剤をしのぐ実態が浮かび上がっている。規制されると、構造が少しだけ異なる新物質が次々と流通。専門家は「より危険性が高まっている」と指摘する。 (山本真嗣)/  気持ち良かったのは最初の一カ月だけ。目がさえて全く眠れず、食欲もなくなり、体重は約二十キロ減。薬の切れ目がつらく、一晩で三回分を使うほどになり、車を運転しながら吸って信号待ちの車に追突したことも。会社は解雇され、ホームレスになった後も、拾い集めたアルミ缶を交換した金でハーブを買った  男性は「大麻でも、ここまでぶっ壊れなかった」と後悔する/  「材料も量も分からない。闇鍋みたいなものだ」。国立精神・神経医療研究センター依存性薬物研究室の船田正彦室長(48)は警告する。危険ドラッグ主な化学物質は、大麻に似た作用のある合成カンナビノイド系と、覚せい剤に似たカチノン系これらを乾燥した植物片に混ぜると危険ハーブになる。これらの依存性や有害性は十分に解明されていないが、業者は規制逃れのために新たな物質を作り、それらが複数混ざり合う商品も。使用者が中毒で搬送された病院でも原因が分からず、処置が遅れる危険性があるという/  同センターの研究グループが、合成カンナビノイド系の化合物をマウスに投与した実験では、依存性は大麻の十~二十倍。脳神経細胞に与えると神経線維が切れたり、細胞が減ったりする有害性が確認/  調査を担当した同センター診断治療開発研究室の松本俊彦室長(46)は、「危険性は覚せい剤に勝るとも劣らない」と指摘。危険ドラッグ依存症の外来患者の症状は、年々悪くなっているという。「業者はどれだけ危険なのかを試して作るわけではない。規制逃れで物質が変化し続けている結果、有害性も強まっているのではないか」と推測> とある。

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